横井調査設計の地形・地質調査


地表踏査、空中写真判読、調査計画

 地表踏査・空中写真判読は地質調査の基本中の基本です。地質屋であれば誰でも出来るとお思いでしょうが、これが出来ない人(や会社)が結構います。基本であるが故に最も難しい分野です。

当社のモットーは次のとおりです。

踏査のための踏査ではありません。あくまでも次のステップである調査計画、更には設計上の基本方針を決定するための踏査です。

  1. 現場を見た段階で結論を出します。余計なことは致しません。大概の問題は"見れば判る"のです。
  2. 調査計画も調査のための調査ではありません。設計(場合によっては施工計画も含まれる)のため、或るいは「会計検査」対応まで含めた計画を行います。
  3. ご希望があれば、御社の設計技術者、地質技術者と同行して調査と同時に教育訓練も行います。
  4. 既存地質資料(例えば地調マップ)があっても、それが当社の見解と相違する場合は当社の判断を優先します。

     対応分野は次のとおりです。

地質構造調査

  これは横井調査設計の最も得意とする分野です。ここで紹介している地表踏査に加え、空中写真判読、CSA-MT探査、ボーリングコア解析を併用して調査地域の地質構造を解析します。


 左の写真は奈良県大淀町に見られる「中央構造線」の露頭です。写真上の黒っぽい部分は白亜紀和泉層群の断層粘土。下の白灰色部分は第四紀菖蒲谷累層・竜門層。6500万年前の地層が数10万年前の地層の上にほぼ水平にのし上がっている例です。但し、この断層は今後再活動するおそれはありません。この露頭の100m程北に、ほぼ東西方向の谷があり、ここに新しい断層が通っていると考えられます。この次、この地域で「中央構造線」が再活動するとすれば、こっちの方でしょう。

   


広域地質構造調査
     地下水・温泉探査


道路計画・土地開発


日本は世界でも有数の災害多発国です。地震・地すべり・土砂崩壊が後を絶ちません。
 従って、我が国で何らかの開発をしようと思えば、必ずその土地の地質と相談した方が良いでしょう。別にしなくても構いませんが、それから発生するリスクは、相談しなかった人の責任です。場合によっては民事・刑事訴訟対象になり得ます。
 右の図は和歌山県のある地域の林道計画ルート付近の地質図です。全体として砂岩優勢のオリストストロームと泥岩優勢オリストストロームが数10〜100mピッチで繰り返しています。又、泥岩優勢オリストストロームの中に地質構造に平行に断層が入っています。この手の断層はほぼ等間隔に発達する癖があるので、図の一番上にある泥岩層の中にも、断層が入っている可能性があります。それは詳細設計に入ってからのお楽しみになります。
 この図から

  • 東西方向の法面はスレーキングの可能性が大きく、法面工は原則として密閉型被覆工が必要である。法面勾配によっては補強工を併用すること。
  • 南北方向の法面は東西方向の法面に比べ安定性が高いので、法面工としてはランクを下げて可。
     という結論が下されます。その理由は何か、読者で考えて下さい。

砂防、地すべり、広域防災

  これも横井調査設計が最も得意とする分野です。地すべり調査は、先ず現地踏査を行い地すべり範囲を決定した後、ボーリングその他の調査計画を行います。


左の図は和歌山県のある砂防河川の流域地質図です。図の右半分は中新世熊野酸性岩の凝灰岩及び花崗斑岩。左半分は同熊野層群の砂岩・泥岩。両者の境界付近に大量の落石が発生しています。これらは段丘化が進んでいるのでかなり古く、おそらくは数万〜数10万年前のもの。落石は直径10数mのものが珍しくありません。この落石堆の中で、図中央の渓流に向かって多数の土石流が発生しています。いわゆる「蛇抜け」というもので正面から見るとなかなか迫力があります。
  

地すべり、崩壊調査は原則として空中写真判読や現地調査で行うべきです。しかし、やむを得ずそれが出来ないケースがあります。
 左の図は土地造成が終了した後に、用地の角地(図の右下部分)が崩壊を起こし、係争に発展したケースです。当社がこの件にタッチしたときは既に旧地形はとっくの昔に無くなっているので、仕方なく地形図から地形判読を行ったものです。
 この程度の地形判読は誰だって出来そうなものですが、訴えられた人々はそんなことはない、地すべりは予見不可能だ、といまだに頑張っています。

 関連サイトは地すべり、崩壊

トンネル

  トンネル実施設計で最も重要なことは、抗口位置の設定と抗口対策工計画です。これの合理的計画には詳細な地質調査が必要なのです。しかし、合理的な・・・無駄・無理・むらの無い・・・調査計画が要求されます。そのためには、事前に抗口部地質を把握Xしておくことが極めて重要です。現代のプロポーザル合戦にうち勝つためにも必要なのです。


  これは、和歌山県下で計画された、あるトンネル抗口周辺の地質図です。抗口地山は崖錘で、抗口に近接して断層が予測されました。抗口を前に出した方が良いのは言うまでもありませんが、ICとの関係で、これ以上抗口を出すことは出来ません。抗口位置を現計画に保って、抗口対策工で突破する、と言うのが結論になります。
 この点から
  1. 抗口部の崖錘の分布状況
  2. 推定断層の位置・規模・破砕状況の確認

 が今後の調査計画で重要であると言えます。
 なお、図で段丘(Tr)とした部分に類似した地形を崖錘としてしまっているケースがしばしば見受けられます。崖錘と段丘では盛土や構造物基礎の設計・調査法の考え方が違ってきますので注意が必要です

これも和歌山県下での某トンネル計画の例です。 地質は四万十帯のオリストストロームとそれを覆う段丘礫層。トンネルは段丘礫層の中を通過します。
 段丘の上は農村地帯です。こういう処にトンネルを掘る場合、最も気を付けなくてはならないのは水です。これはトンネル内湧水のことではありません。周辺の水利用への影響です。近くに稼働中の井戸があって、それの水量がトンネル工事で減ったりすると、トンネル工事どころではなくなります。従って、こういうケースでは地質などは二の次に置いて、井戸調査をしなければならないのです。
 というわけで、概査の次いでに周辺を見て歩くと、なんと、トンネルルートのすぐ側に古くからの湧水池が見つかりました(図の右端)。それも神社付きです。果たして、このトンネルの運命や如何に。
 道路計画高を上げて明かりにするのが一番良いように思います。
 それとこういうややこしいトンネルの設計は無理に取らず、知らん顔をしてよその会社に押しつけるのが一番頭の良い方法です。

なお、トンネルの問題解決には、様々な方法があります。その一つとしてCSA-MT探査をお奨めします。MT探査のトンネル計画への摘要例はここをクリックしてください。


特殊問題
    様々なケースを取り扱いますが、一例として地下空洞探査を紹介します。


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