世界の地震の話題

技術士(応用理学) 横井和夫
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 先日、中国甘粛省で起きた地震による災害の一部。家屋が赤茶色の泥流に埋まっているのが分かります。おそらく上流にダムがあって、それが地震で決壊して泥流となって流れ出したものと思われます。
 この地震、規模はM6.2とそれほど大きくはないが小さくもない。映像では相当被害が出ているようだが、死者が今迄で140人程度と少ない。現在中国では習近平の指示により「国家安全」が最優先され、国家の強固性を毀損するような報道は厳しく規制される。その結果、被害状況も実態より小さく報道されている可能性があります。無論上部への報告もそうなるので、習近平の判断指示は益々実情から乖離したものとなります。経済問題も然りです。
(23/12/22)


 昨日モロッコで起こったM6.8地震。アトラス山脈の南縁に顕著なリニアメントが見えます(図黒線)。このリニアメントは南のアフリカプレート(AF)と北のユーラシアプレート(Eu)の境界断層に相当します。震源はマラケシュのやや南(図赤X印)。地震はこの断層で生じたと考えられます。
 断層規模にしては地震規模が小さいので、将来同規模の地震が起こる可能性は高い。被害はもっと広がります。
(23/09/10)

 

先日の中国山東省での地震(M5.5)の前に現れた妖しい光。ネットでは、もっぱら地震の前兆現象という説が流行っているらしいが、中国当局は「単なる自然現象」と否定している。地震直前にプラズマ発光現象があり、95’「兵庫県南部地震」でも、そうと考えられる現象がみられているが、それとは全く違う。赤い色は太陽光が何かに屈折して波長が延びた結果ではないかと思われる。何かとは?黄砂の粒子かもしれない。
(23/08/08)

 昨日フランス北部で生じたM5.5の地震で傾いた古い教会か僧院。報道では震源地が示されておらず、ボルドーからレンヌに掛けて、ということだけ。
 これが南部のコートダジュール方面なら、筆者が昔見つけた活断層と思しきリニアメントが震源か、というので面白くなる。リニアメントはないが、パリ盆地を一つの沈降盆地と考えれば説明できるかもしれない。例えば、2万年前の氷河期で氷河の重みで地殻が沈降する。パリ盆地はその一例である。
 その後氷河が解けると、反動で地殻が隆起する。その時に地殻内に引張応力が働き岩石を破壊して地震が起こる。北欧に多いシーテイングジョントは氷河の解凍の結果と考えられているが、このときにも地震が発生するはずだ。この種の地震は面的に起こるので、震源がはっきりしなくても不思議ではない。また、この応力は未だ十分解放されていないとも考えられる。そうであれば、このような安定地殻と考えられていたユーラシア北部やアラスカ・カナダでも、内陸地震が起こる可能性がある。原発や核ミサイル基地、パイプラインの安定性に影響するかもしれない。
(23/06/19)

 本日午後3時過ぎにアラスカアリューシャンで発生したM8.1(推定)地震の震源。マグニチュードから見て相当大きい地震。当然津波は警戒しなくてはならない。筆者は以前からこの辺りでの地震発生を予測していた。M8.1なら、今後この地域での地震が収束するとは限らない
(21/07/29)

これはガーロック断層近くで見られた褶曲構造の露頭。記事ではこの褶曲がガーロック断層のクリープ運動によるものと説明していましたが、それは間違いです。この地域はプレートの沈み込み帯に出来る付加体が発達するところ。この褶曲は付加体に発生する特徴的な構造です。海底地すべりやその他の情報を含んでいます。
(19/11/05)


 これはアメリカネバダ砂漠で見られた「ガーロック断層」の地表変位。センスは左横ずれ。変位速度は年数o程度と思われる。クリープ断層らしいが、日本の中央構造線の数倍に達する。USGSは間もなくこの断層でM8級の地震が発生すると警告している。
(19/11/01)

 昨日台湾で、M61の地震が発生しました。左図で台湾島右上の赤×印が震源位置。これから南何西方向に赤破線で示したリニアメントが伸びています。これは幾つかの活断層が集まった活断層帯です。今回の地震はこの活断層帯の一部が活動したものと考えられます。では何故地震は活断層の端っこで起きるのでしょうか?
 断層には大きく大陸地殻内で発生する直下型地震と、海洋プレートが大プレートの下に沈み込むプレート型地震があります。前者も主に発生原因はプレートの運動によりますが、これは地殻が割れる現象です。この割れた痕跡が(活)断層です。一方の海洋型地震はプレート同士の滑りで発生するものです。今回の台湾地震は発生場所が活断層上だから、これは地殻の割れが原因と判断されます。
 物体の割れ・・・破壊現象・・・を扱う物理分野が破壊力学です。破壊力学の教えるところによると、物体内にひび割れや切りかけのような不連続部・・・これをグリフィスクラックと呼ぶ・・・がある場合、物体に力を加えると不連続部の周りに応力集中が発生し、それは不連続の端部で最大になる。この値が物体の持つ強度を超えると物体は破壊し、新たな破壊面が形成されます。その結果それは更に成長することになります。断層を地殻内のグリフィスクラックと考えると、プレート運動により常時力が加えられます。そして断層の周りにはストレスが蓄積され.それは断層端部で最大になり、遂に破壊します。それが地震です。この結果地震は既存断層の端部で発生するのです。
 1995阪神淡路大震災を引き起こした平成7年兵庫県南部地震は野島断層の北端が震源です。今回の台湾地震もグリフィス破壊の典型と云えるでしょう。この原理をわきまえれば、少なくとも活断層直下では、地震が発生する場所が予見できることになります。
(19/04/19)

 中国四川省でM4.7〜4.9の地震が続き、住民はこれはシェールガス採掘が原因だと騒いで、当局が遂に操業停止という騒ぎ。シェールガス採掘にしてはマグニチュードが大きすぎる感はある。但し報道では震源深さが示されていないので何ともいえない。
 震源深さが0なら(通常の地震計ではシェールガス採掘対象となる数100 から1000数100mの深さは検知できない)、この地震はシェールガス採掘によるものでしょう。しかし数qオーダーなら直下型地震になる。これが連続して発生したとすると、本地震の前触れとも考えられる。間もなく巨大地震が発生する可能性があるので要注意。習もジョンウンやトランプばかり見ている場合ではない。
(19/02/27)

 


日本時間本日未明、アラスカで起こったM7,0地震のよる道路の亀裂。原因はよく分からないが、液状化ではないか、という感じがします。
(18/12/01)


 本日パプアニューギニアで発生したM7.5地震で発生したクラック。初めは液状化の跡かと思ったが、よく見ると噴砂などは見えない。おそらく地表地震断層と思われる。変位のセンスははっきりしないが、クラックの方向から見ると、右横ずれ活断層ではないか?
(18/03/05)

昨日イラン/イラク国境付近のクルデイスタン地域でM7.3の地震が発生。直下型地震としては、それほど大きくもないが小さくもない、97年兵庫県南部地震と同規模と考えれば良いでしょう。震源としてはアラビア/ユーラシアプレートの境界断層に近く、この周辺の岩盤の破壊とみられます。アラーの祟りではありません。今のところ死者100数10人と伝えられますが、今後もっと増えるでしょう。
 以前から筆者が注目しているのがパレスチナ地震です。これは間違いなくやってきます。それが何時かだけが問題なのです。今回の地震で、それが近づいた感がします。戦争などという暇なことをやっていないで、アラブ/イスラエル双方が力を合わせて、地震に対する備えをすべきです。ところが我々自然科学者や技術者がそう云っても、常に足を引っ張る不届きものがいる。それが政治・宗教原理主義者達です。彼らの頑迷と強欲のためにどれだけの人命が失われたはかり知れません。
(17/11/13)

 

 

 本日未明韓国東南部で発生したM5.8地震の震源。朝鮮半島東南部には活断層と思しきリニアメントが発達する。その一つが動いたのだろう。これの東部海底では今年7月にも地震が発生している。
 なお先日4回目の核実験を行った北朝鮮東北部の実験場にも、活断層が通っている。知らぬはジョンウンばかりなり。
(16/09/13)

イタリアの地震報道は連日だが、同日起こったミャンマー地震については、ネットもメデイアも知らん顔だ。日本人はそれほどミャンマーに関心がないのか?それなら今後のミャンマー進出に悪影響を及ぼす。
 それともミャンマー政府が被災地を封鎖し、報道をシャットアウトしているのか?これではミャンマーの民主化は絵に描いた餅。あたかもアウンサンスーチーは中国訪問中。ひょっとして、彼女は地震を口実に中国に軟禁され、洗脳されているかもしれない。
(16/08/27)

イタリア ノリチア地震で震源付近をGoogleEarthで見てみました。活構造らしきリニアメントはみられますが、あまりはっきりしない。一方ミャンマーでもM6.8の地震が発生した。ミャンマーは南北方向の構造が強く発達している。そのどれかが活動したのでしょう。なお、筆者がみているミャンマー活断層に対しては、M6.8というのは小さすぎる。今後数年内にもっと大きな地震が発生するでしょう。
(16/08/25)

 本日朝、イタリア中部ペルージャ付近でM6.2の地震が発生。この付近では数年前にM6.3の地震が発生した。その所為で地震予知に失敗した地質学者や地震学者が大勢逮捕される騒ぎ。その多くは解放されたが、日本でも予算ばっかり食って役立たずの地震屋など、刑務所に放り込んだ方がよい。
 それはそうと、ペルージャとはどういうところで、地震はどんなところで発生したのかと、Google Fatthを見てみると、ペルージャの南方になにか奇妙な楕円形の地形を発見。
 3Dで見てみると台地のようだ。台地の斜面に白い露頭がある。どうやらこれは石灰岩台地のようだ。そこで台地の上を見てみると、凹地や穴の跡のようなものもみられる。これはドリーネだ。要するに台地の下は穴だらけということ。これは地震とは無関係。
 いずれ別のサイトでこの様子を紹介しましょう。
(16/08/24)


 昨日韓国東岸の日本海沖でM5.0の地震が発生しました。直下型だから津波の恐れはありません。この震源は筆者が北朝鮮・韓国・北方領土問題で、12/03/13に指摘した海底リニアメントに一致します。興味があれば是非どうぞ。なお、これまで地震がないとされてきた韓国まで地震が発生するということは、東北太平洋沖地震以来、日本列島だけでなく、東アジア全体の地殻が不安定化してきている表れでしょうか?
(16/07/06)

今日のWSJに拠れば、最近ニューヨーク周辺で地震(M2.0程度)が頻発している。地質学者の一部は近じか大地震が発生する可能性があると警告している。個人的に云えば、NYの周辺で今後大地震が起こる可能性は殆どないと思う。しかし実際に起こった小規模地震の原因は何かと言われると、ずばりよく判らない。
 M2.0という規模から考えると、核実験でもない限り、トンネル工事のような人工地震は考えられない。NY周辺の地質は先カンブリア紀の花崗岩や片麻岩から出来ているから、シェールガス掘削の影響は考えられない。一つ考えられるのは地球温暖化でグリーンランドの氷床が薄くなり、地中応力が減少して地殻表層に引っ張り応力が発生した、というモデルである。これもグリーンランドとNYとでは離れすぎているから説得力に欠ける。
 もう一つ、確かNY州北部には石灰岩(或いはP-C大理石)が発達しているはずである。石灰岩であれば地下に鍾乳洞が発達している。これが崩壊を起こしたケースも考えられる。要するに地下の陥没だ。このケースだと地震は説明できるだろう。なおこのケースでは、将来大地震はともかく、大陥没が起こる可能性はある。それが起これば大騒ぎだ。NY州はいずれ地上から消えてなくなる。どっちにしろ、原因は大阪高槻からえは判らない。とりあえず震源地帯にボーリングでもやったらどうか、としか云えない。
 では何故アメリカ地質学者が大地震の到来を警告したのでしょうか?ここには09年イタリアラクイア地震のトラウマがあると思います。この地震では、大地震はないと言った地震学者が住民から告発され、一部は逮捕される騒ぎ。アメリカの地質学者の脳にもこれが影響している可能性はあります。その影響は日本の原発活断層にも及んでいます。
(16/03/04)

 台湾で今朝発生したM6.4地震の震源域(図下のピンクの部分)。この地域は地形的には台湾中央山脈と山麓丘陵地帯の境界部で多数の活断層が錯綜していることが判ります(太田・岡田1984)。このように断層が錯綜・密集しているところこそ、温泉開発にはもってこいと思うのだが、未だ誰も信用しよらん。
 この震源域内で思い切って1000m程掘ってみれば、必ず温泉が出ます。やってみますかあ?


(16/02/06)


 ブラジルで鉱山のダムが破堤して大被害。このダム、鉱山の排水の一時貯留用だったらしい。破堤の理由として今挙げられてりるのは、約一時間前に起こったM2.5程度の地震。地震による鉱山ダムの破堤としては、1974年伊豆半島沖地震で、鉱山堆積場が崩壊して被害を出した例があります。
 しかし今回の地震はマグニチュードが2.5と、人体では感じられないレベル。本当にこれがひきがねだったのでしょうか?おまけにブラジルは大陸地殻で元々地震が発生しにくい地域。俄かには信じがたい面もありますが、他に原因もないようです。
 ではこんな小さいマグニチュードの地震がダムを決壊させることが出来るのは何故でしょうか?一つはこれがスロー地震だったという可能性です。この種の地震が発生する地震波の周波数は非常に低く、エネルギーは大きくても、人体や普通の地震計では感じられない。ダムは多分アースフィルタイプだと思われます。この周波数がたまたまダムのそれと、一致してしまった可能性が考えられます。ダムがコンクリート製だったら大丈夫だったでしょう。
 では、何故ブラジルという大陸地殻で、スロー地震が発生するのでしょうか?それがよく判らない。
 もう一つはダムの基礎処理がいい加減で、永年に渉って基礎が洗掘されてきていたという可能性もある。こうなれば話になりません。
(15/11/07)

 ミャンマーでM6.6(6.8という報道もある)の地震が発生しましたが、果たしてこれがワタクシが予測していた「ミャンマーの活断層」と一致しているでしょうか?
 これによると、マンダレー北方イラワデイ川沿いには非常にはっきりしたN-S性のリニアメントが見られます。活断層とはこういうものなのです。これに比べれば大飯原発の活断層もどきなど、断層の内にも入らない。
(12/11/11)

 09年のイタリア、ラクイラ地震で、被害予測を誤って大きな被害を出したとして、イタリアの裁判所が地震学者ら専門家7人に禁固6年の判決を言い渡した。容疑は彼等が「大きな地震が来る兆候はない」と予報したもの。この地震はM6.3で、これが大きいかどうかは議論が分かれるだろう。実際地震エネルギーで云えば、「阪神淡路大震災」を起こした「平成7年兵庫県南部地震」の約1/30に過ぎない。死者は約300人で、これも阪神淡路大震災の1/20である。これも大被害と言えるかどうか微妙な話しである。被害が大きくなった原因は、ろくに建物が耐震補強されていなかったことは顕か。とすれば、建物の建築指導を怠った行政や、甘い耐震基準を放置した政府の責任も問われるだろう。
 自然災害に学者の責任を問うたり、こんな判決が出たりするイタリア人の感覚が我々日本人にはよく分からない。カトリックの信仰と何か関係があるのか?それともこの辺りはイタリアでも左派の強いところなのか?いやいや、何でもあり式の昔のイタリア喜劇映画を思い出した。
(12/10/23)

昨年5月にスペイン南部で起こったM5.1の地震について、調査委員会はこの原因を地下水の過剰汲み上げによるものと断定しました(ロイター)。地下水汲み上げ如きで地震が起きるか?と思うが、なんと50年の内に250mも地下水位が下がっていたらしい。おそらく狭い盆地に多数の井戸を掘ったのでしょう。スペインのことだから、地質は新しい石灰岩とか凝灰岩ではないでしょうか?結構軟らかいから、無いとは云えないでしょう。
 日本では阪神大震災の前年に、兵庫県東南部猪名川町地方で群発地震が発生した。その時、某専門家は温泉の掘りすぎだろう、と宣わった。似たような話しだがホントかどうかはわからない。温泉でも200〜300mぐらいは地下水位を下げるが、猪名川町の地質は主にジュラ系丹波層群で、岩盤強度はスペインに比べ比べものにならないほど大きい。
(12/10/22)