滋賀県某テールアルメ崩壊事故5(1st Rnd)


 さて、鑑定意見書を出しても、なんの反応もないので半分忘れていた13年11月、やっと被控訴人Dから、同社補強土事業本部技術部長名で「A鉄工所滋賀工場テールアルメ崩壊事故に関する事故原因に関する検討」という反論書(丁13号証)が、又同年12月被控訴人Cから「B鉄工所滋賀工場敷地の造成工事に伴う地形・地質調査について」という文書が弁護士経由で届いた。その全文をここに紹介します。理由は下手な嘘をついても、見る人が見れば、直ぐに見破られるという見本だからです。なお、年が明けた1月に被控訴人Bの代理人からの反論書も届いていますが、一審判決及びC、Dの焼き直しなので考慮する必要も無いので、省略します。

1、被控訴人Dの主張

項目 Dの主張(丁13号証) コメント
1、T.A.の内的・外的安定検討の概略説明
2、施工から崩壊までの経過説明 ずっと後に、新たな証拠が見つかったので、そこで詳細に検討します。
3、崩壊原因の検討 @平成5年に施工開始、施工中に大きな問題なく順調に施工されています。仮に外的安定あるいは内的安定について、設計図に問題があるとすれば、テールアルメは施工中であっても変形や崩壊を起こす事になりますが、そういう事実はありませんでした。
Aテールアルメ構造物完成後、平成7年7月の崩壊に至るまで、1年7カ月が経過していますが、特に阪神大震災までの1年間は、テールアルメ構造物は土留め機能としてその目的を十分果たしていました。この事実はテールアルメの内的安定と外的安定とが十分確保されていたことを意味します。
 仮に、当初より不安定で、強度の不足した地盤上に施工されたのであれば、前述のとおり、テールアルメは完成までに崩壊していたはずですので、設計時点での安全性については問題無かったと考えられます。
B阪神大震災において、西側壁面と偶角部に眼開きが発生しました。これは地震動によって、テールアルメ構造物がその下部にある基礎地盤を含めて全体として揺すられ、特に崩壊部分の基礎地盤が局部的に他の箇所に比べ弱かったため、地耐力(支持力、沈下)が確保されず、変形に繋がったと考えられます。
 当該変形箇所のテールアルメ基礎地盤において、「岩着」もしくは「砕石置き換え」の処理がなされておれば、支持力が確保され、沈下が防止されて、地震直後に見られた垂直変位は起こらなかったのではないかと推測します。
C地震後のテールアルメ構造物の変形は、外観から観察出来る限りにおいては、目地開きが見られましたが、同時に盛土上面
のクラック、或いは基礎地盤内のクラック等も同時に発生していたのでは無いかと考えられます。

 しかしながら、この段階においても目地開き程度の変形に過ぎず、内的安定は勿論のこと、外的安定も確保されていました。
D3月、4月、5月に断続的な降雨がありましたが、表面排水機能が十分発揮出来て居れば、次のさらなる問題は発生していなかったであろうと思われます。
 つまり、阪神大震災により発生したと考えられる盛土上面のクラックから、多量の雨水が浸透し、この浸透水が基礎地盤内に発生したクラックにも浸透したと思われます。
 3カ月間、この状態が継続され、基礎地盤の強度低下に繋がったと考えられます。即ち、地震動において発生した多くのクラックに浸透した雨水は、土中の細粒分を洗い流し、空隙を大きくします。この空隙を保持すべき土粒子の粒子間結合力(内部摩擦角、粘着力)が、テールアルメの荷重に耐えられなくなった時に、外部安定の項目A図のような支持力不足やB図のような沈下が発生します。
E6月には特に目立った降雨が発生していません。この段階では地下水位もかなり低下していたと考えられますが、基礎地盤は非常に空隙の多い状況になっており、定量的には判定できないものの強度がかなり低下し、かろうじて安定を確保出来ていた状況にあったと推測されます。
 そして、7月の降雨により、大きくなったクラックから、以前にもまして多量の雨水が浸透し、ますます地盤の強度低下が進み、テールアルメ構造物の荷重を支えきれなくなり、一部崩壊に至ったと考えられます。
F以上を簡単にまとめますと、阪神大震災の地震動により、テールアルメと基礎地盤が全体として揺すられ、そのために、崩壊箇所のテールアルメと基礎地盤にクラックが発生すると共に、若干ながら垂直変位が生じました。阪神大震災直後にコンクリートスキンの目地開きが見られたのは、テールアルメが垂直に沈下したためと思われます。
 その後、テールアルメのクラックを通じて基礎地盤へのクラックに相当長期間(3月、4月、5月)雨水が浸透する事態が継続し、基礎地盤の強度低下が進み、その後一旦は地下水位も下がり、テールアルメは安定したものの、7月の豪雨により、再びテールアルメや基礎地盤のクラックに雨水の浸透が進んで、一部崩壊に至ったものと思われます。
これが騙しのテクニックというのは誰にでも判ります。



この会社は短期と長期の区別がつかないらしい。だから以後何度議論しても噛み合わないのだ。




単なる想像なので、私の逆襲に合うと直ぐに撤回しました。




この時点では、Dは強度低下の原因を土砂流失と考えていた。決して間隙水圧の上昇といっていない点に注意!










4、設計図但し書きについて 1)甲第60号証の1の鑑定意見書7pには、図4-1から図4-5までの外的安定計算を引用し、「これからは崩壊斜面部では『砕石置き換えをしなくともテールアルメは安定する』という結論しか出てこない」との記載があります。
 確かに、崩壊斜面の図面である鑑定意見書図4-5(N03+20.0)における外的安定計算では、鑑定意見書が指摘する結果が導かれ、それ自体に間違いはありません。
 しかしながら、設計図(丙第20号証)において、崩壊部分の基礎工に関し、「岩盤までの置き換え」を施工条件として図示したのは、鑑定意見書がいう「単なる安全弁」として要求したものではなく、施工条件として明記したものです
 従いまして、設計図(丙第20号証)で明示された「岩盤までの置き換え処理」を施工において無視されることは決して許されるものではありません。
2)既に述べましたが、テールアルメの外的安定の検討項目としては、@すべり破壊に関するものと、A支持力とB沈下防止という地耐力に関するものがあります。そして、鑑定意見書の図4-1 から図4-5までの安定計算書は、@すべり破壊に関する検討を行ったものに過ぎず、ABの地耐力に関する検討は含まれていません。図4-1から図4-5までの安定計算書においては、確かに崩壊箇所(N03+20.0)の図4-5において、砕石置き換えを必要としていません。しかしながら、これは@すべり破壊に関して砕石置き換えを必要としていないだけであって、ABの検討に当たっては、別途の考慮が必要です。
 そして、崩壊箇所(図4-5 N03+20.0)について、@すべり破壊の検討に当たっては砕石置き換えは不要との結論が出ていますが、AB地耐力については別途配慮し、設計図上「岩盤まで置き換え処理」することを施工条件としているわけです。
 確かに、テールアルメ工法については、一般論として、地耐力に関する検討は必要無いというのが建前であり、公刊されているテールアルメのマニュアル等にも、地耐力に関する記載は一切ありません。よって、地耐力に関する検討は必要無いことになります。
 しかしながら、弊社としましては、土木の経験工学的見地から、テールアルメの設計にあたり、本来必要ではない地耐力についても一応配慮し、土質から見て地耐力につき配慮した方がよいと判断される場合には、@すべりの計算結果にかかわらず、岩盤までの置き換えを施工条件とし、設計図上それを要求することがあります。
 従いまして、@すべりの計算結果のみから判断し、設計図に示された置き換え処理の施工条件を無視されては困ります。
3)そして、崩壊箇所に置き換え処理を要求した理由ですが、鑑定意見書の図4-5から判断する限り、テールアルメの外側地盤がテールアルメよりも弱くなっており、地耐力に対して配慮し、テールアルメと同等以上に高めるため、設計図上、良質土による置き換えを要求しています。
 これにより、テールアルメの地耐力が高まり、垂直方向の外的安定がより増すことになります。
4)このように、地耐力の観点から置き換え処理を要求しているのであり、単なる安全弁というものではありません。置き換え処理にはコストがかかるのであり、コスト増を前提にする以上、設計図における置き換え処理の条件は必ず守って頂かなければなりません。




私の経験ではコンサルという連中は自分のミスをこの種の但し書きで誤魔化すことが多いのだが。






こんな一般論は聞いたことがないし、公刊マニュアルでは地耐力の検討を要求している。後程、その見本を示します。
実際に無視したのはコンサル。


周りが地すべりである以上、こんな姑息な手段では間に合わない。

コストがかかるから「但し書き:」などといういい加減なやり方では困るのだ。
5崩壊箇所について置き換え処理がなされていた場合との比較 既にご説明申し上げたとおり、今回のテールアルメの一部崩壊については、阪神大震災による地震動により発生したテールアルメの下の基礎地盤にクラックが発生し(ママ)、そこに長期間大量の雨水が浸透したことが直接の原因であると推測されます。従いまして、置き換え処理をしなかったことが崩壊の直接の原因であると断定することは出来ないと思われます。
 しかしながら、外観から判断する限り、阪神大震災の直後に発生した目地開きの原因はテールアルメに垂直変位が生じた点にあり、仮に岩までの置き換え処理がキチンとなされていれば、地震直後の垂直変位は発生しなかったと思われます。
 そうすると、垂直変位が発生した場合と比べれば、垂直変位が生じない場合の方がクラックの発生量も少なく、外的安定に対する障害もより少ないと考えられますから、結果的に今回の崩壊が起こらなかった可能性を否定しきれません。とりわけ、地震後に垂直変位が生じた後にも暫くの間は外的安定が維持されていたことを考慮すると、垂直変位が生じなかった場合には更に外的安定が維持され、今もまだテールアルメが崩壊せずに安定していた可能性を拭い切れません。
 従いまして、置き換え処理をしなかったことが崩壊の直接の原因であると断定することは出来ませんが、置き換え処理をしていたとしても崩壊していたと断言することも出来ないと思われます。
全体として意味不明。


 ここで一審では出てこなかった「垂直変位」や「クラック」という言葉がいきなり出てきます。地すべりをナントカ潰さなきゃいけないから、とにかく他の言葉を探す。随分悩んだんでしょうねえ。しかし、もっと勉強しなけりゃ駄目。しかも、嘘をついちゃいけない。中学生レベル。
 さて、この技術部長さんが現れたのは、これが最初で最後。この件はこの後、社外の人間に委託されました。彼は何処へ行ったんだろう。これが原因でリストラされたんでしょうか。


Dへの私の反論は下をクリック
被控訴人Dへの反論書



2,被控訴人Cの主張

項目 Cの主張(丙22号証) コメント
1、調査実施の経過  平成4年8月〜12月に実施した地盤調査の経過及び実施内容は概ね次のとおりである。なお、詳細な内容については、平成5年1月に「B鉄工所滋賀工場建設に伴う地質調査ー報告書」として提出している。
1.1調査計画
 計画地一帯は、標高300〜350mの丘陵地帯で、丘陵地の一般的な地形と工学的性質の特徴を述べると次のとおりである。
 
地形の特徴 標高約500m以下。尾根の高さは揃っている。
谷底に狭い低地がある。台地より高く丸みを持つ地塊
地表付近の地盤の特徴 {柔らかい岩石}
風化花崗岩、第三紀の堆積岩、火山岩、礫岩
設計・施工上問題となる地盤 風化岩、崩土、頁岩、蛇紋岩、断層破砕帯
起きやすい災害 山崩れ、地すべり、なだれ、土石流
主な土地利用 林地、果樹園、畑
地下水状況 主に被圧水、深・浅にあるが水量は少ない
調査方法 地形判読、地表地質調査、ボーリング、孔内検層、岩盤試験、岩石試験

 当該調査地の地形は、上記に示す地形特徴の範疇にあり、これを参考にして調査計画を立案した。当然の事ながら、工場用地造成のための地盤調査であり、このことを念頭に置いて立案したことは云うまでもない。
(1)予備調査
a)資料調査
 収集した資料を整理すると、概略の地形地質情報は次のとおりである。
 調査地は、標高300〜350mの丘陵地で、浸食によって開析された谷地形が発達している。又、北側には笹路川が流下し、これより調査地北縁までは河岸段丘が形成され、耕地として利用されている。
 地質資料は、地質調査所がまとめた「地域地質研究報告亀山地区の地質(昭和56年)」を用いた。これを基に調査地周辺の地質概要を述べるとi以下のとおりである。
 周辺地盤は、古生層と第三紀層を主体として構成され、一部に貫入岩類が分布する。基盤岩は、第三紀の鮎川層群土山累層に相当する唐戸川礫岩層と千谷砂岩泥岩層で構成されている。両者は、調査地東側を北東〜南西方向に走る市場断層によって接している。
 依って、調査地の地盤は、東部の一部が礫岩層で他は砂岩泥岩層から成るものと思われる。また、谷部にはこれらの礫岩、砂岩泥岩を基盤とし、軟質な粘性土と緩い礫質土及び砂質土が薄く分布している。
b)現地調査
 資料調査による地形地質情報を基に地表地質踏査の着眼点を
     @地質露頭での踏査
         (被覆層の種類、土質及び厚さ、地山の地質、地質構造ー地層の傾斜や断層、風化や割れ目の状況)
     A傾斜地の地形状況
         (斜面の形状、安全度)
 を主体として実施した。その結果の概要を示すと次のとおりである。
 調査地内では、唐戸川礫岩層と千谷砂岩泥岩層を区切る市場断層が確認されないことから、調査地を構成する地質は千谷砂岩泥岩層とした。
 千谷砂岩泥岩層は、調査地西側より東側に緩く傾斜(傾斜角10〜15゜)しており、西側(下位層)では砂岩・凝灰岩などの細粒堆積物が主体で、東側(上位層)では礫岩・砂岩などの粗粒堆積物が主体となる。なお、岩相変化が大きく連続性に乏しい地質である。
 谷部には軟質ルーズな粘性土〜礫質土からなる沖積層が分布しているが、谷底の一部には基盤岩が露出していることからその層厚は薄いものと思われる。又、千谷砂岩礫岩層の上位層が唐戸川礫岩層と見ることも岩相の上では可能であるが、市場断層が確認されていないこと、及び礫岩が泥岩層の上に整合境界で接している露頭などから判断して、調査地の地質構成を下記に示す地質構成表の通りとした。
地質時代 地層名 層相、岩相
第四紀完新世 沖積層 粘土、砂礫
第三紀中新世 鮎川層群
土山累層
千谷砂岩泥岩層
(下位)

千谷砂岩泥岩層
(上位)
礫岩、砂岩

砂岩、泥岩、凝灰岩
 斜面の形状・安全度は下表の-「斜面の安定度判定基準(案)ー鹿島出版会、斜面安定、P35、1975」を基に地表踏査を実施した。その結果を示すと下記の通りである。
              山腹崩壊危険度判読表(斜面の安定度判定基準(案)
ランク 危険度大 安全度大
項目 -2 -1 0 1 2 備考
40゜以上 30〜40゜ 25〜30゜ 20〜25゜ 20゜以下 山岳地形
35゜以上 25〜30゜ 20〜25゜ 15〜20゜ 15゜以下 第三紀、段丘
植生の状況 伐採地
幼齢林80%以上
伐採地
幼齢林20%以上
伐採地
幼齢林20%以下
管理林
100%
表面の状況 小起伏あり 平滑である 面積比
傾斜変換線あり 傾斜変換線無し
斜面横断形 平型、凹型 複合、凸型
斜面縦断形 複合、平衡 上昇、下降
                                  
 (注); 調査地適用項目
 従って、調査地の斜面安定度を+1弱と考え、現況斜面の健全度は特に問題無しと判断した。
(2)本調査
 予備調査(資料調査、地表地質踏査)の結果を踏まえて、次の各調査を実施した。
 @地盤の地質構成を把握するための調査
      ・ボーリング
      ・サウンデング(標準貫入試験)
 A地盤の工学的性質を把握するための調査
      ・サンプリング(未固結粘土ーブロックサンプリング)
              (岩盤ーボーリングオールコアサンプリング)
      ・室内試験  (物理試験ー比重、含水比、粒度)
              (力学試験ー三軸UU試験)
 調査地点は、千谷砂岩泥岩層の上位層、下位層のそれぞれで、盛土及び切土部の代表的な地点を対象に調査測線(谷部の盛土計画法面付近ーA、B測線、切土計画法面付近ーC、D測線)を各2箇所ずつとし、合計8箇所実施した。
 なお、調査地点の選点にたいしては、施工後に残存する傾斜地の乱れによる斜面の安定性をできるだけ損ねないように配慮した地点とした。
{付記}当該調査地は、切土の発生土砂を盛土材として流用する予定であり、計画では盛土高さは最大20mになると予想される。従って、盛土法面工法に補強土壁工法(テールアルメ工法)を考慮する必要があると判断されたので、調査地点についてD株式会社に材料メーカーとしての参考意見を求め、選定条件に加味した。
a)ボーリング調査結果              以下本件崩壊事故と余り関係はなく、退屈なだけなので省略




何処かの教科書や報告書の丸写しなので全く無意味。

被控訴人はこれを第三紀層の一般的特徴とし、これに基づいて調査計画を立案したとするが、表の出典自体不明。それに、少しまともな技術者なら、こんな初歩的な表を基に調査計画を考えますか?発注者を馬鹿にしているとしか云えません。



データがどこを見てもありませんが
























地調の地図に記載されているから、無いわけではないだろう。調査者にその能力が無かっただけ。報告書の地質図をみてもレベルは判る。







































意味不明


責任のなすり合いが始まる。
2,テールアルメの崩壊事故について 2-1)地すべりと斜面崩壊について
 一般に移動が緩慢で、発生域内にその地塊の大半が残存した場合を地すべりと称し、移動が急速で移動地塊の大半がその下流域に攪乱堆積しているものを斜面崩壊と称している。地すべりと斜面崩壊の特徴をまとめて次表{地すべり・斜面崩壊の実態と対策ー山海堂、p6、1971}に示す。
                            地すべりと崩壊の違い
地すべり 崩壊
1)地質 特定の地質又は地質構造の処に多く発生する。 地質との関連は少ない。
2)土質 主として粘性土をすべり面として滑動する。 砂質土(マサ、ヨナ、シラス等)の中でも多く起こる
3)地形 5〜20゜の緩斜面に発生し、特に上部に台地状の地形を持つ場合が多い。 20゜以上の急傾斜地に多く発生する。
4)活動状況 継続性、再発生 突発性
5)移動速度 0.01o/day〜10o/dayのものが多く、一般に速度は小さい。 10o/day以上で速度は極めて大きい。
6)土塊 土塊の乱れは少なく、原型を保ちつつ動く場合が多い。 土塊は攪乱される。
7)誘因 地下水による影響が大きい。 降雨時に降雨強度に影響される。
8)規模 1〜100haで規模が多い。 規模が小さい。
9)徴候 発生前に亀裂の発生、陥没、隆起、地下水の変動が生ずる。 徴候の発生が少なく、突発的に滑落してしまう。
 前表から明らかに、本件テールアルメの崩壊事故は、突発性の斜面崩壊によるものと云える。

2-2)斜面崩壊の要因
 斜面崩壊の誘因には、重力の他に、地震動・発破などの振動、降雨や融雪時の浸透水などの外力の作用や、吸水による粘土の膨張や間隙水圧などによる土の剪断強さの低下などがある。これを、土の剪断応力を増大させる要因と、土の剪断強さを減少させる要因に分けて次表(新編土質力学ー森北出版、p37、1971)に示す。
           斜面崩壊の二大要因
    
T、土中の剪断応力を増大させる要因
 1 外力の作用
 2 含水量が増したための土の単位体積重量の増加
 3 掘削による土の一部の除去
 4 人工又は自然力による地下空洞の形成
 5 地震・発破などによる振動
 6 引っ張り応力による割れ目の形成
 7 割れ目の中に働く水圧
U、土の剪断強さを減少させる要因
 1 吸水による粘土の膨張
 2 間隙水圧の作用
 3 土の締まり方の不十分
 4 収縮・膨張又は引っ張りによって生じる微細な割れ目 
 5 不安定な土中に生じる歪みと緩慢によって起こる崩壊
 6 凍土や氷レンズの融解
 7 結合材の性質の退化
 8 緩い粒状の土の振動
 
 本件テールアルメの崩壊は、上表の「斜面崩壊の二大要因」からも明らかなように、地表水の浸透によって誘発されたものであり、これによるひび割れの増幅、更には地下空洞の形成(水路構造物の漏水によって生ずる基礎地盤の空洞化が比較的短時間で形成されることをよく見地するところである)、構造物の変位等にと発展し、これらの繰り返しによって崩壊に至ったものと考えられる。
 地表水によって、崩壊が誘発されるのを防止するためには、排水工を実施することが望ましい。亀裂やクラックが発生した場合、この箇所にビニル布等を被覆し、雨水の浸透を防止する工法を浸透防止工という。水路工は崩壊地内の雨水を速やかに集水して区域外へ排除させる工法である。この工法は安定計算として定量的に取り扱うことは困難であるが、対策工として多くの場合に有効である。
 更に、テールアルメの外的安定の検討には、補強土を含む盛土全体に対し、@基礎地盤の上載盛土を含む全体の荷重に対するすべり安定、A基礎地盤の沈下乃至不同沈下の許容値との対比の2項目について検討するとしている(地盤工学ハンドブック、p1179より引用)。
 このことは、テールアルメの基礎地盤支持力不足による有害な沈下変位を規制したもので、有効な基礎処理がなされていなかった場合には、テールアルメの変位によって盛土の亀裂・ひび割れが発生することになり、前述の崩壊要因を増幅する結果となる。

2-3)崩壊地点のボーリング調査について
 調査地点の選点については、前述(2)本調査の項で述べたとおりであり、崩壊地点で調査されていなかったことを、あたかも瑕疵の如く、鑑定意見書(甲第60号証の1)に記載されているが、地盤調査の流れの中には施工監理(ママ)調査も含まれていることには触れられていない。施工管理(ママ)調査は、品質管理と安全管理を目的として実施されるものであるが、施工中に設計変更や工法変更になった場合の調査も含まれる。
 品質管理調査は、構造物が予め定められている規準や規格に適合しているかどうかの判定を行うものであり、材質の品質管理や盛土の締め固め管理などがある。
 一方、安全管理に関する調査は、工事によって生じた地盤変状などが構造物や周辺地域に及ぼす影響などを調べるために実施されるものである。この場合、図化するなどして、挙動の把握と適正な判断を行い、設計・施工に速やかに反映させることが重要となる。
 しかるに、施工請け負い業者は施工管理調査について、特記仕様書に明記されていないことを理由に、一切の責を負わないと主張しているが、たとえ特記仕様書に明記されなくとも、施工管理は当然の事ながら施工業者の責務であり、設計図書に明記されている事項が実施出来ない場合、又は地盤変状を見地した時は、速やかに設計者もしくは施主に報告すると同時に設計変更、工法変更の提案・進言等をなすべきである。
 更に述べるなら、報告並びに提案・進言に留まらず積極的に参画するのが施工管理者の責務であり、利益にも繋がるものと思われる。
                                                                        以上
この辺りは教科書の丸写しで意味はな











































これ以下も、殆ど何処かの教科書、マニュアルの丸写し。内容に問題が感じられる部分も無くはないが、原著者の名誉を考えて特に触れない。原著者も、こういう馬鹿に引用されて真に迷惑でしょうねえ。



















意味不明



 CもDもどうしても、地すべりとは認めたくはないようですね。しかし、その後、半年程の間に事態は急転します。ここで最も大事なのは、被控訴人Cに対するAの反論の中の「結論1,〜6,」です。なお、ここで挙げた指摘項目は、単なる地すべりの話に留まりません。あらゆる場面に通用します。三菱自工もこの反省を怠ったために、会社解散寸前まで追いつめられたのです。
 反論を読んで直ぐ判りますが、Cは全く技術力はない。ストーリーも他人のものまね、又は何処かの教科書の丸写し。しかし、その内容を理解・斟酌する能力が無いので、ちぐはぐに成ってしまう。こちらの鑑定意見書を読んで、これはやばいと思って慌てて、教科書を探し出して、とりあえず都合の良い処を、拾い出した図がありありです。Dも無いが、Cよりはしぶとそうだ。適当な嘘をでっち上げる程度の脳は持っている。特に全国展開をやっている大手メーカー(一部上場)だから、そうは簡単に引き下がらないだろう。従って、Dを徹底的に叩く。Cなど何時でも潰せる。Dを潰せば相手はバラバラ、後はこっちの思い通り。



被控訴人Cへの反論書


RETURN     地すべりへ   次  へ   TOPへ