滋賀県某テールアルメ崩壊事故6(高裁照会状)

そうこうしている内に年もあけた、平成14年2月、今度は大阪高等裁判所から、関係各社に照会状が送付されてきました。これまで各社が主張している事柄で、裁判所が判断し難い部分を分かりすく解説せよ、ということでしょう。何時もこういうことをするのかどうか、私は知りませんが、なかなか面白いことをする。こういうのは得意中の得意。各社への照会項目と回答を提出順に掲載します。

 C、Dの回答が技術的(地質学、地すべり工学、土木工学)に見て妥当かどうかの判断は読者にまかせます。見せ物としても、なかなか面白いですよ。


照会事項 回答 コメント
1、本件崩壊場所の地盤の特性について、崩壊部直下の岩盤中には谷状地形の存在が認められ、地下水が集まり安い条件を作るとともに、その中に厚い地すべり崩積土が堆積していたとする甲60の1の鑑定意見書の見解の根拠を判りやすく説明されたい。特に地下水が集まりやすい場所であったと考える根拠について明らかにされたい。
2、阪神大震災により本件テールアルメ崩壊部分に垂直変位が生じたとする丁13の見解の当否について明らかにされたい。併せて上記眼開きが生じた原因についての見解を分かりやすく説明されたい。
3、阪神淡路大震災により本件テールアルメ崩壊部分に垂直変位が生じたとする丁13の見解を前提にした場合、砕石置き換えにより本件崩壊を防ぎ得たか否かについて明らかにされたい。
長文なのでここをクリック

 弁護士に出した日付と、弁護士が裁判所に提出した日付はことなるので、正確には回答期日はわかりませんが、H14の3月中には出していると思います。

2、被控訴人Dへの照会状

照会事項 回答(準備書面5) H14/4/16 コメント
1、阪神大震災により本件テールアルメ崩壊部分に垂直変位が生じたとする根拠を示されたい。又、西側壁面と偶角部に発生した眼開きが垂直変位によるものであるとする根拠を示されたい。
1、従前の審理において、本件崩壊箇所であるテールアルメのコーナー部分に、当初垂直変位が発生していたことは当然の前提であって、Dとしては根拠を示すまでもないと理解していたが、その根拠は次のとおりである。
 平成7年1月27日、Dの高見博が現場において目視した結果、目地の開きは不等沈下(垂直変位)に起因するものと判断した。この判断についてはAの東次長、Cの馬場氏も同意見であった。
 なお、垂直変位の程度は、数値で表せば次のとおりである。
 平成7年1月27年   崩壊箇所において   計画高から196o沈下
 平成7年5月26年   崩壊箇所において   計画高から400o沈下
 平成7年6月29年   崩壊箇所において   計画高から540o沈下
 以上の数値はAの東次長が計測したもので、Dの高見は東次長から聞いた数値を記録しておいた(丁19)
2、なお、甲60、61、62、63、64、65号証を作成した横井和夫氏(以下、横井氏という)が、阪神大震災の直後に垂直変位が生じることはあり得ないとか、丁11の1の写真では垂直変位の事実が確認出来ないと主張するので、今回新たに丁14号証から丁19号証の証拠を提出し、本件崩壊箇所の変状の経緯を立証する。
3、又丁14号証は、前記高見が本件場所において、平成7年1月27日、同年5月26日、同年7月4日、同年7月5日、同年7月6日、に写真撮影したので(丁11、15、16、17、18の各1乃至3)、その撮影方向を示した手書き図面である。
 丁14号証で示された@からDまでの番号は撮影方向を示しており、撮影方向と写真は次の様に対応する。
   丁14の撮影方向@〜丁11の1ないし4
   丁14の撮影方向A〜丁15の1ないし4
   丁14の撮影方向B〜丁16の1ないし3
   丁14の撮影方向C〜丁17の1ないし3
   丁14の撮影方向D〜丁18の1ないし3
4、又丁19号証は、本件崩壊箇所に目地開きとクラックが生じたとの報告を受けたDの高見が、平成7年月27日に本件現場に赴いてから崩壊直前の同年6月29日までの本件崩壊部分のテールアルメの変状を上司の小林部長(丁13号の作成者)に報告するために作成したファクス文書である。
 これによると、高見は平成7年1月27日から同年5月26日までの間は、西側壁面(スキン面)に生じた目地開きとクラックは不等沈下によるものと判断し、何れ沈下が収まれば美観上補修すれば足りると判断し、Aの東次長にその後の計測を依頼した。
 更に前期写真(丁11、15、16、17、18)を撮影しておいた。なお、高見は最初に現場に赴いた平成7年1月27日、Aの東次長から「当時、基礎部は硬い岩が出たので、置き換えなしで施工した」との説明を受けたが(丁19)、それを聞いた高見は、当時置き換えしなかったことが不等沈下の原因かもしれないと内心では想像していた。但し、高見は施工時の基礎部を自分の眼で視認したわけではなく、又崩壊部分の客観的な地質データがあるわけでもなく、東次長の「岩が出た」という報告を信用せざるを得なかった。
 そして、沈下が沈静化するのを待つことにした。処が、同年6月29日、当初の予測に反してさらに沈下が進み、壁面上の「通り」に変位が見られるようになり、テールアルメ上部の地表面にはクラックが発生したので、この時点で始めて高見は「基礎底面に於けるすべり破壊を起こしているように判断した(丁19).
 そこで高見はテールアルメの崩壊への対処法を相談するため、上司に報告すべく丁19号証を作成したものである。
5、従って、阪神大震災後の平成7年1月27年の時点で、本件崩壊場所であるテールアルメコーナー部において不等沈下(垂直変位)が生じていた事実は争うべくもない
 そしてこの経緯は平成8年8月1日付けのC作成の報告書(甲25)3枚目の
「1、設計から現在に至る経緯」の3において、「C平成7年1月16日(ママ)阪神淡路の大震災が発生し、全体の点検を行ったところ、終点コーナーより南部分の法面部分において不等沈下が原因と思われるクラック(1箇所)をコンクリートスキンに発見した。Dこの時点での対策案としては、沈下の沈静化を待ち補修する予定とした(B、C、Aとの協議)」
と明瞭に記されている。
 ちなみに、この報告書(甲25)は高見が下書きしたものである。
 又、高見は本訴一審の証人尋問ににおいて、平成7年1月27日に現場で西側壁面にクラックを確認したこと、クラックは地震による不等沈下であると判断していたこと(平成11年2月22日付調書の17丁)をそれぞれ証言した。
 以上のとおり、Dは阪神大震災直後に西側壁面に目地開きの発生を確認し、その原因は地震の影響による不等沈下(垂直変位)によるものと当初から判断しており、これは一貫した主張である。
 従って、当時の現場を確認していない横井氏が、地震直後の垂直変位について、「事実の裏付けのない非合理的なものであり、容認出来ない」(甲65のP5)と主張することは、根拠の無い言いがかりである。
 Aには当時東次長が作成した垂直変位を裏付けるデータが残っているはずである。
6、なお、横井氏は地震直後の丁11の1では垂直変位は認められないというが、既述のとおり、地震直後、高見は垂直変位が発生したと判断し、そうであるからこそ後日のために丁11の1の写真を撮影した。
 確かに丁11の1の写真だけでは分かり難いが、同写真と同じ日に撮影された丁15の1(丁14の撮影方向A)の写真を見ると、目地の開きが下へ向かう程に大きくなっている現象を認めうる。
 横井氏は「垂直変位の場合は基礎の一部が不等沈下したことになる。この時も目開きは生じるが、・・・(目地の開きは)大体同じ幅になるか斜面上であることを考慮すると下段の方が大きくなる可能性の方が高い。」(甲65のP6)と解説しており、当に横井氏の解説通り、平成7年1月25日時点でテールアルメに垂直変位が生じていたことを根拠付けるものである。
 おそらく、横井氏も今回Dが提出した写真を見れば、垂直変位が発生していた事実を否定はすまい。

この値がT.A.立ち上がり以降の累積沈下量で地震によるものとは云えないぐらいは、少し土木をかじった人間なら、誰でも判る。



以下、意味不明。
こちらの要求は地震直後の垂直変位、それも地盤の変位。地すべりが始まってからのことなど、どうでも良いのだが。
















これが地震で発生したとは云えないんだが。















この点は証拠写真が手に入ったので、後ほど詳細に検討します
2、本件崩壊箇所以外にもいわゆる岩着又は採石置き換えのされていないテールアルメの設置部分が存在したとすれば、阪神淡路大震災により、何故本件崩壊箇所(のみ)に垂直変位が生じたのかその根拠を示されたい。 設計図上、岩着ないし砕石置き換えが施工条件として要求されていない箇所(標準基礎で足りる箇所、丁12参照)については、回答の必要はないと判断する。
 本件崩壊箇所以外の場所で、設計図上、岩着ないし砕石置き換えが要求されているにもかかわらず、岩着ないし砕石置き換え処理がなされていない箇所が存在するかどうかは、不明なので(仮に存在したとすればどの場所か)、本照会については回答することはできない。



実際は存在する。これを認めてしまったらDの主張は根拠を失う。これが最後の防衛戦。
3、
3-1阪神淡路大震災によってその基礎地盤にクラック(亀裂)が発生したとする根拠(本件場所に到達したと予想される地震波のエネルギーの大きさも念頭に置かれたい)
3-2また、何故に本件崩壊箇所の基礎地盤(のみ)にクラックが発生したかについて説明されたい。
3-3さらに、本件崩壊箇所の基礎地盤が局所的に他の箇所に比べて弱かったとする根拠を示されたい(崩壊部直下の岩盤中には谷状地形の存在が認められ、地下水が集まりやすい条件を作るとともに、その中に厚い地すべり崩積土が堆積していたとする甲60の1の鑑定意見書の見解をも念頭において説明されたい。
3-1)丁13のP3の2)Cの3行目の「クラック等も同時に発生していたのではないかと考えられます」との表現中、「クラック」という表現は正確ではないので、「剪断変形とそれに伴うクラック」と訂正する。
 地震直後に崩壊箇所が不等沈下(垂直変位)をおこしていたことから、テールアルメ盛土内のみならずテールアルメの基礎の下部地盤においても剪断変形が発生していた可能性が強い。なお、一般論として、地震の揺れによって土中内に剪断変形が生じることは実験等によって明らかにされている。
 また、横井氏が本件現場で鉛直方向の揺れは無かったと説明しているが、鉛直方向の揺れが小さかったという考えは、あくまで机上に於ける理論上の推測に過ぎず、実際に本件現場でいかなる方向で揺れが発生したのかは誰にも判らない。仮に横井氏の考えるとおり、横方向での揺れだけであったとしても、土の性質によっては土中内に剪断変形が生じることはある。
3-2)本件崩壊箇所においては、地震後に調査したボーリングデータ(丁7、丁8)によれば、崩壊箇所のテールアルメの基礎の下にN値の低い層のあったことが判明していること、それにもかかわらず、当該テールアルメ基礎部分で置き換え処理がなされていなかったため地耐力不足が強く推察されること、現に地震直後に部分的な垂直変位が生じていたことから判断して、本件崩壊箇所の下部の弱い層の付近には、地震の揺れによる剪断変形が生じたと判断される。
3-3)丁7及び丁8のボーリングデータによれば、本件崩壊箇所のテールアルメの下にN値の低い層(弱い層)のあることが判明しており、そのことを「崩壊部分の基礎地盤が局部的に他の箇所に比べ弱かった」(丁13のP3の2のB)と表現した。
 甲60の1の鑑定意見について、特に異論はない。
意味不明





これも又モノスゴイ理論。これが一部上場企業の云う事ですよ。
 圧縮、剪断、引っ張りの区別が出来ていない。
根拠にはならない。
4
4-1)雨水の浸透(とそれによる地下水位の上昇)により基礎地盤の強度低下が進んだという根拠を示されたい(特に甲63における反論を十分念頭において説明されたい)。
4-2)又、何故に本件崩壊箇所(のみ)について基礎地盤の強度低下が進んだのかについても説明されたい。
4-1)照会事項3で説明したとおり、地震によって本件崩壊箇所の下にある弱い層(事故後のボーリングデータにより存在が判明)の付近において剪断変形とそれに伴うテールアルメの部分的な垂直変位が発生した結果、テールアルメの盛土内や下部地盤の剪断変形を生じた付近において、すべり面を形成しうる層が生じ、そこに雨水や地下水が浸透しやくなり、地下水が滞水し、その結果、間隙水圧が上昇し、剪断強度が低下したと判断する。
 なお、水の浸透によって、土中の剪断強度が低下することに自体については横井氏も特に異論は無いと解される。
 横井氏の意見(甲63)とDの考え方の相違点は、地震後に垂直変位が発生していたか否かという点にあるが、これについては照会事項1で説明したとおりである。
 なお、Dは最終的にすべり破壊が生じたことを否定するものではなく、又、今回の崩壊が地耐力不足による垂直変位のみを原因として発生したと考えているわけでもない。すべり破壊が生じる前段階として、地震後の垂直変位が崩壊を誘発するひとつのきっかけになった可能性を否定出来ないと考えているのである。
4-2)本崩壊箇所においては置き換え処理がなされていないこと、事故後のボーリングデータによれば本件テールアルメの下部には弱い層があったこと、そうすると、弱い地層が存在する地盤の上にテールアルメが設置され地耐力が確保されなかったものと判断せざるを得ない。現に、地震後にテールアルメのコーナー部に垂直変位を生じており、こうした現象から判断すれば、前記の弱い地層付近で剪断変形が生じて、すべり面が発生していた可能性が強い。そして、そこに水が浸透し、間隙水圧が上昇して土中の剪断強度が低下する要因になったと考える。仮に、弱い層が取り除かれ、置き換え処理がなされた上でテールアルメが施工されておれば、地盤の揺れによる当該部分の剪断変形やテールアルメの垂直変位を防ぎ得た可能性がある。
殆どカンニング。
全体として、水の浸透と間隙水圧の上昇を混同している。間隙水圧の意味が理解できていない。
 こんな単純な話に同意する訳がない。




5、甲60の1の鑑定意見書が地すべりの根拠として指摘する末端隆起や引っ張り亀裂の点についてどう考えているのか明らかにされたい。 横井氏が「地すべり崩壊が先ず発生して、その結果テールアルメが崩壊した」との命題を前提とする上で、末端隆起や引っ張り亀裂をその根拠とされるについては理論上は間違いはない。 
 しかしながら、横井氏の見解は、地震後に垂直変位が生じていたことは顕かなのに、それがないことを前提にして説明しているので、Dとしては、事実に基づかない非科学的な議論として評価のしようがない。
引っ張り亀裂や末端隆起は十分な事実と思いますがね。
 以上の次第であるが、横井氏の論調からは、Dは設計者ないしは監理者であるとの前提で意見を述べているように思われるが、Dは設計者でもなく監理者でもなく、テールアルメ部材の販売者に過ぎない。
 従って、Dが本件現場での地質情報を獲得する義務はないし、また、Dが無償でなしたテールアルメ施工の現場指導も、あくまでテールアルメ本体部分に限っており、テールアルメよりも下部の基礎工については、いかなる意味であれ、そもそも指導する立場にない。
 この点を裁判所におかれては誤解されることはないと思料するが、本書面では、本件崩壊箇所の崩壊のメカニズムに限定してDの考えを述べているので、本件崩壊にDに責任がないことについては、Dの責任原因に関するAの具体的な主張をまって(未だに明確な主張がない)、詳細に反論したい。
そのとおり。しかしDは犠牲の羊として選ばれたのだ。今後末永く、つき合って貰わねば困る。


 この後も、Dは砕石置き換えの有効性を主張し続けますが、ある時その他の主張を全て取り下げてしまいます。

2、被控訴人Cへの照会事項と回答要旨

照会事項 回答H14/4/22 コメント
1、本件崩壊箇所の地盤の特性についてどう考えているのか明らかにされたい。特に崩壊部直下の岩盤中には谷状地形の存在が認められ、地下水が集まりやすい条件を作ると共に、その中に厚い地すべり崩積土が堆積していたとする甲60の1の鑑定意見書の見解の当否について明らかにされたい。 鑑定意見書(甲60の1)によれば、地すべり地である根拠として「@地形上の特徴、A樹木基部の屈曲の2点から、本斜面は地すべり斜面と断定
出来る」と結論づける論述(P10以下)の中で
@地形上の特徴について
「・・・・北側山地斜面下部の等高線間隔が大きくなっている。・・・」と主張しているが、他の斜面との顕著な差異は認められない。又、地形上の特徴として
「・・・崩壊地の東側では、等高線は斜面にほぼ平行になっているが、崩壊地では山頂のやや下方を頂点とする円錐状を示すようになり、又、平坦部も不鮮明になる。・・・・」
 と述べているが、崩壊斜面の等高線形状が他の斜面と大きく異なり、特に地形上の特異性として捉えるには、かなり無理な点があり、過大評価と云わざるを得ない。また、崩壊地付近の北側斜面に円錐状を示す小規模な等高線の形態は認められるが、崩壊していない健全な斜面の地点であり、これを以て地すべり斜面と評価するには、またかなり無理な点があるといわざるを得ない。
A樹木基部の屈曲について
「・・・本斜面内樹木の基部が屈曲していることが鮮明に判る。・・・これは地すべり斜面に見られる大きな特徴である。樹木基部が屈曲する原因には他に雪荷重「がるが、これは積雪深が数mに及ぶ豪雪地帯の話であって、滋賀県南部には適用出来ない。・・・」
 と述べているが、樹木の生育時に、一方だけから強風を受ける木、針葉樹など直根性の樹木は幼生期には直根の生育が旺盛で、傾斜地では斜面に対して直角方向に伸びようとする性質がある。従って、樹木の屈曲は地すべり及び積雪荷重のみにて起こりうるモノではない。また、わすれてはならない事柄に当地区は、県下有数の多雨、多雪地帯であるということである。近年は積雪量は極端に少なくなったが、ほぼ10年以前には50pを越える積雪がしばしば見られ、湿気を含んだ重い雪の着雪による森林被害も発生した。降雨降雪時に吹く風は山腹斜面に吹き下ろす風が主で、針葉樹では生育時に圧縮を受ける側に異常を受ける。これらのことから樹木(崩壊地斜面の樹木は針葉樹である)の屈曲が地すべり地を現す決定的な要因とは断定できない。
 さらに、崩壊箇所は地山がテールアルメに最も接近する地点で、盛土との境から崩壊が生じていること、又崩壊形態は典型的な突発性の斜面崩壊を示しており、崩壊は、地すべり斜面が誘因として発生したとする見解は、説得性が全く無い論述といえる。













何処かの教科書の丸写しと思われる。
実際の雪圧による樹木の屈曲を見たことが無いのだろう。
Cの見解では、広い丘陵の中で、ある谷にだけ強い風が吹くらしい。
2、本件崩壊箇所がもともと地すべり地であるとする上記鑑定意見書がその根拠として指摘する点(地形判読図、崩壊時の写真)の当否について明らかにされたい。  本地点の地盤は、砂岩・泥岩互層を基盤とし、その上位に泥岩風化層・表層が5m前後の深度で存在すると想定している。これはテールアルメの施工位置(安定計算断面N03+20.0)で崩壊後のボーリング結果による岩盤線(鑑定意見書甲60の1の復旧工断面B-B)と一致している。復旧工事での施工写真が示すとおり、崩壊部直近の掘削面では想定通りの地層状況が、又斜面法先付近のテールアルメ底面地盤では砂岩層が確認されており、想定地盤とほぼ一致する。
 鑑定意見書(甲60の1)によれば「・・・本崩壊事故の原因は(1)テールアルメ直下の岩盤の谷状地形と、それに堆積した厚さ数m〜10数m以上に達する軟弱な崩積土を素因とし、・・・1)もともと本斜面は河岸段丘が崩壊して生じた地すべり地であった。・・・丁度テールアルメ崩壊部をとおり東北東ー西南西方向に延びる断層の伏在が推定される。これが岩盤中の弱線となって過去の地すべりを引き起こしてきたものと考えられる。」
 と想定し、崩壊箇所の地盤特性を
「(2)崩壊部直下の岩盤中には谷状地形の伏在が認められ、地下水が集まりやすい条件を作るとともに、その中に厚い地すべり崩積土が堆積する」
と述べている(p20以下)が、この主張によるならば、復旧工事に於ける崩壊箇所の掘削面に顕著な痕跡が現れるはずである。なぜならば、地すべりの発生する規模は1〜100haと大きいもので、その痕跡は広範囲に渉るものである。なお、復旧工事の施工写真から顕かなように崩壊箇所で崩積土が被覆している地盤状況が目視出来ない。これを局所的な現象として捉えるならば、人工的な捨て土等による現象以外考えられなく、自然地形ではあり得ない事である。
以上の事項を勘案すると鑑定意見書(甲60の1)は、崩壊事故は(を?)地すべりにより誘発された不可抗力的な現象と誘導するための詭弁による論述と言わざるを得ない。
 更に鑑定意見書(甲60の1)で
「平成6年度は西日本は記録的な干天続きで、地下水位が十分低下していた」とする。平成6年9月28日の現場写真によると、テールアルメ背面に雨水が多量に湛水する状況が窺える。崩壊地点の地層は泥岩層で地表水が浸透しにくい不透水層である。加えて、地山テールアルメに最も接近する地点で、殆どの雨水がテールアルメに浸透し、短時間で飽和状態に達したと考えられる。なお、このような状況下では、地山と背面盛土との境界面に形成されるすべり粘土が短時間にまた容易に形成され、これが崩壊の大きな誘因になったと考えられる。
 加うるに、背面盛土は少量でその殆どが切崩土のまま高まきになって十分締め固めされていない状況を想定すれば、更に状態は悪化する。
 これらの事項を勘案すれば、明らかに施工時の人為的事故であることは明白である。



これは重要な指摘。Cが自ら墓穴を掘ったようなもの。







意味不明
地すべり防止対策法か何かの孫引き






凄い理論だね。断層粘土が数〜数10日で出来るわけだ。この点は粘土屋に聞いてみなければ判らない。

 Cの反論は、殆どが意味不明の理屈で構成されており、私もこれを読まされてどう理解して良いのか、随分悩んだ。しかし、この後、被控訴人Cは高裁から技術的意見を求められなくなった。あまりの馬鹿馬鹿しさに裁判官もあきれたのだろう。しかし、これまで提出されていた証拠写真以外に、施工写真なるものがあるのが判りました。



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