福島第一原発事故凍土壁工法批判

横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫


 本日やっと毎日新聞が、福島第一凍土壁(凍結工法)について特集を組みました(ただし他のメデイアは知らん顔)。この件について筆者は、13年以来批判と否定を繰り返しています。三年近くかかって、世間もやっと筆者に追いつきかけたようだ(まだ追いついたとは言えないが)。
 今、本工法で問題になっているのは、湧水量がほとんど減少しないことである。東電の報告では、90%の地点で地温は0゜C以下に下がっているが、湧水量はたった20t/dayしか下がっていない。東電はこれをトレンチとか、局部的な透水層の凍結が未完成とするが、それだけでは数字上の辻褄が合わない。別の原因を考えるべきである。
 ある学者は「これは凍土壁ではなく、すだれのようなものだ」と評した。。つまり凍結体のあいだを水が自由に流れているという状態である。しかし原発地盤を構成する上部仙台層群の泥岩の透水性は十分小さいので、このケースは考えにくい
 水が凍結すると体積が膨張する。水が拘束されていると、周囲に圧力を加える。これを凍結圧あるいは凍上圧と呼ぶ。これは結構馬鹿にならない力を発揮して、寒冷地のトンネルやダムなどに凍上被害*を与える。
 さて福島第一原発の地盤は、主に上部仙台層群の泥岩からなる。これは岩盤といっても、圧縮強度はせいぜい数~10数MPa程度だ。このような軟らかい地盤で凍結をすれば、凍結圧によって、凍土壁の周囲の地盤が破壊する。その結果凍結部周辺に細かい亀裂が発生し、それが新しい凍結経路を作った可能性が考えられる。
 しかしこの場合でも、別ルートからの地下水供給がなくてはならない。本地点での最大の地下水供給源は背後の段丘礫層である。これは地形・地質の専門家なら一目見て分かるこれまで東電がやってきた地下水対策は、何故かこの礫層を無視して(ある日突然消されてしまった)、明後日の方向ばかり見てトンチンカンなことばっかりやっているのである。これでは何時まで経っても拉致はあかない。
 さて、このまま行って凍結工法がダメとなったら、どうするのでしょうか?残る工法は粘土注入ぐらいしかない。実はこの工法は民主党時代に出てきた案。12年の政権交代で、これは破棄され、変わって登場したのが凍結工法。しかも福島汚染水対策は、東京オリンピックの関係で、今や国家事業になっている。
 今更東電も政府も凍結工法を捨てるわけにはいかない。もしそうなら、政権交代だ。これも東京五輪の呪いか!
*この前ネットを見ていると、元国交省河川局長というのが「川は自然の油田」なる本をかいって、その中で「ダムは自然の岩石と同じで、時間とともに強くなる」という妄言を吐いておる。このオッサン、岩盤の風化やダム・トンネルの凍上現象を見たことがないのだろう。こういうもの知らずの官僚が土木行政をリードしてきたかと思うとぞっとする。
(16/09/07)

 福島第一原発凍土壁の破綻の続き。福島から汚染水は完全除去というのは、東京オリンピック招致への重要な国際公約だった。それが現実に破綻しかけているというのに、朝日ネット以外のどのメデイアも無視している。これは政権から、メデイア産業へ何らかの圧力があったからか?今の政権ではあり得る。しかし規制委員会の議論は、法律によって公開しなくてはならない。だから幾ら隠しても無駄なのだ。国民みんながオリンピックで浮かれているときに、こんな冷や水をかける記事を流しても無駄だから無視したのだろう。
 福島原発対策費用の直接負担者は東京電力であり、最大受益者である東京都民も費用を負担しなくてはならない。しかし、先の都知事選で、当選した小池は、この問題はスルー。ただ一人付言した鳥越俊太郎は落選した。つまり小池に投票した250万都民は福島問題は自分の問題ではなく、いずれお上(つまり政府)が何とかしてくれるとふんでいるのである。
 これは天保大飢饉の折、各地で餓死者が出ているのにも関わらず、幕府の手厚い保護の下、他人事のように過ごしてきた江戸っ子と同じ感覚だ。その所為で、幕府はつぶれたのだ。
(16/08/20)

 東電福島第一原発地下水処理について、昨日東電は1%の凍結が未完成と原子力規制委員会に報告した。これと同じ報道は一カ月前にもあったから、一カ月経っても事態は改善されなかったということだ。
 未凍結部1%といえばわずかに見えるが、全長820mの凍土壁の1%はおよそ8~10mで土木的には決して無視できる値ではない。又、地下水湧出量は殆ど変わらない、と言われる。これは当たり前で、広い水系の中で一部だけ囲んだところで、全体の流量が変わるわけがない。これは小学生でも分かる理屈である。凍結工法はまさにこの馬鹿馬鹿しいことをやろうとした。この工法の問題と、対策案は既に述べてある。
 未凍結部とはどこか?ズバリ筆者が何度も指摘しているトレンチである*。この部分の止水が出来ないのである。では仮にこの部分の止水が出来たとして問題は解決するでしょうか?東電が一所懸命やっているのは出口対策である。出口を幾ら閉じたところで、入り口を閉めなければ、水はいくらでも入ってきて、どこか弱点を見つけてそこからでていくのである。そしてこの水は原発構内を通っているから、当然放射能に汚染されている。
 筆者の対策案の根本は、周辺台地からの流入地下水を、原発背後で集水遮断し、それを域外に排出し、残り1割に対策集中すべきというものである。この結果、汚染水対策に対し時間稼ぎができるから、その間に抜本的な対策を考えればよい。。
 これは誰でも考える手段である。何故これが拒否されたのか?13年リオでのオリンピック招致委員会で、アベが「日本には汚染水は一滴もない」などと根拠のない大見えをきったことである・・・この種のはったりは長州人の特徴で、これに人の好い東北・関東人はみな騙される。
 これが独り歩きして、福島から汚染水は一滴も漏らさない、ということになった。この結果が凍結工法**なのだが、これは所詮壁をつくるだけで、モデルは二次元に過ぎない。しかし水は天からもやってくるし、地下からも沸いてくる。つまり三次元的に考えなくてはならない。それが出来ていない。一滴も漏らさないということ自体、ナンセンスなのである。これを真に受けた大西有三こそアホの典型。後の委員会など東電演出のサル芝居。
 しかし、昨日の報道では規制委員の中から、「凍結工法は既に破綻している。背後の地下水に注目すべきではないか」、という云う意見が出てきたらしい。事が明らかになって2年、やっと皆さんも私に追いついてきたようだ。
*このトレンチ周囲からの漏水が分かってから、いろんな対策工事をここでやっていいる。これが反って地山を攪乱し、透水性を増加させた疑いもある。
**アベの大見えに驚いたのが、東電。どうすればよいか?を東大生産研に相談したところ、でてきたのが凍結工法。しかしこの工法は、筆者が既に指摘しているように様々な問題をもっている。本来は鹿島が責任をもって対処すべきなのだが、鹿島も自信を無くしてしまったのだろう。
(16/08/19)

 本日福島第一原発の凍結工法が開始されました。筆者がこれまで何度も云っているように、この工法はまがい物です。まず説明図にインチキがある。下の左の図が今回東電から発表された図で、これがマスコミ関係に配布されている。当然原子力規制委員会にも、この図がわたっているはずである。下の右の図はこれまで東電がマスコミに流していた対策工概念図。
 何処がどう違うかと言うと、地下水流入経路が異なっているのである。左の図では地下水が全体として流入してくるようになっているが、右の図では特定の経路を伝っていることになる。右の図であればサブドレンのような手法で対応可能だが、左の図のように面的に流入してくる水には、面的対応が必要である。実は筆者にはこの図が何を云いたいのかさっぱり判らないのである。
 筆者としては、右の図もシロート臭くって、直接引用したくなかったが、とりあえず筆者が筆を入れたので、なんとかそれらしくなった。では何故今回右ではなく、左に行ったのか?云うまでも無く凍結工法を合理化するためです。筆者が主張する山側台地上での排水トレンチ工法では、カジマも東電も金にならないからだ。

   

 地下水力学の世界では、どちらかと言うと、右の図は「被圧地下水」、左の図は「不圧地下水」のイメージである。不圧か被圧かでは地下水対策は根底から異なる。その点を曖昧にしているのである。
 それだけでなく、今回の凍結は海側から始めることになっている。何故海側からなのか?本日WSJでも、早速この点に対する疑問が提示されている。

 誰が考えても山から来る地下水を遮断するなら、山側遮水壁を先行するだろう。それに対する原子力規制委員会の説明は、さっぱり判らない。判らないのはお前がアホだからだというだろうが、ワタシに言わせれば、規制委員会の田中がアホだから騙されているだけなのだ。
 筆者が思うに、こんな非科学的かつ非常識なやり方を容認するのは、外部圧力しか考えられない。誰が圧力を掛けたのか?ずばり地元の漁協である。彼らとしては、とにかく漁業規制を解いて欲しいのだ。だから海に直結する対策を要求するのである。それが長期的には逆効果になることもしらないでだ。漁師というのは海賊だからこれに勝てる神はいない。
 本日WSJによれば、凍結工法で遮断出切る地下水は90%程度で、それは東電も認めているということだ。だったら筆者が主張している段丘上の遮水トレンチと何にも変らない。どちらが安いか、計算するまでもない。それどころか、凍結工法で一滴も漏らさないと、テレビで言い切った東大土木はどう説明するのか?
(16/03/31)

 昨日BSフジプライムニュース。テーマは福島第一原発の止水工法。コメンテーターは自民額賀と民主馬渕。ゲストスピーカーは東大生産研の若手教授。問題は今東電がやろうとしている凍結工法の妥当性である。額賀はこういう話はまるっきり素人だから、東電の説明を鵜呑みにしてそのまま喋るだけ。フジテレビもなんでこんなアホを呼んできたのか意味不明。馬渕は議員になる前はゼネコンに居たこともあって、まるっきりの素人ではない。独自の情報網ももっているのだ*。彼は凍結工法の不安定さを批判し、彼が採用しようとした粘土注入工法に拘る。
 一方東大若手は馬渕の追及に対し、地下水流出に対しては4重のバリアーで対処しようとしている、4番目が凍結であって、これによって地下水流出は食い止められると説明する。しかしこの説明は嘘です。まず①一重目は原子炉隔壁、②二番目は事故後海側に打設」した鋼矢板、③次がその後建屋外周に行った薬液注入。
 まず①は事故直後の水素爆発で破壊されて役に立たなくなった、②は筆者に言わせれば、役立たずのまがいもの。当たり前だが、鋼矢板如きで放射性物質の移動を遮断できるわけがない。③もどんな薬液を使ったかわからない。只のモルタル注入ではあるまいか。これも問題解決には全く役に立たない。せめてウレタンとかビニール系のような浸透性薬液を使えば話は別だが、これとても高放射能レベル下ではどれだけ効果が持続出来るかかわからない。定期的に再注入が必要だろう。
 つまりこれまでの三重バリアのどれもが失敗し、どうにもならなくなって飛びついたのが④凍結工法なのである。これら四重のバリアが始めからあれば誰も文句は云わないが、どれも後から無理やり泥縄式にくっつけたもの。だからどれもうまくいかないのである。
何故こんなことになったかと言うと、東電もカジマも原発周辺の広域的地下水調査を怠り、原発敷地内という狭い局所的現象に目を奪われたからです。そのため背面台地からの地下水流入を認めるのに2年も3年も懸かっている。ワタシなど、2万5千分1地形図を一目みれば3分でわかった。途方もない時間の無駄遣いである。
 筆者が聞くところによれば、カジマが東大生研にいって、アドバイスを頼んだところ、出てきた答えが凍結工法だということだ。その裏に地下水対策委員長の大西有三の影がちらつつく。
 では何故カジマも東電も東大も、当初あった粘土注入工法を嫌ったのか。それが謎である。番組で東大若手が云った説明もとってつけたようなもので説得力に欠ける。この工法は石油備蓄基地の内、久慈(岩手県)基地の遮水工法として実施されている。つまり実績はあるのである。ここで筆者が感じるのがゼネコン同士の確執。馬渕の以前の勤務先が何処か知らないが、カジマのライバル会社だったかもしれない。又、久慈基地のプライムは清水ではなかったか?そうなればカジマとしてはメンツに懸けて粘土注入工法を潰しに懸からなければならない。東電など昔からカジマのオンブにダッコだからカジマのいうことは何でもハイハイだ。

 
かくして、日本土木史上かつてない工費の濫費と工期の無駄使いが始まるのです。只それも20年東京オリンピックまで、という気もします。自民党政権が続く限り、その後は福島はほったらかしですよ。
(16/03/12)

 福島第一原発の凍結工法の実施が認められたようですが、海側の凍結を先行するらしい。これがどうもよく判らない。そもそもこの工法は、背後の台地から流入する地下水の遮断が目的だったはず。だったら山側を先行するのが当然。山側で効果が確認されれば、海側は別工法でも対処できるのである。何故海側を先行するのか?地元漁協の要求か?てな疑問が直ぐに出てくる。海賊の言うことを一々聞いていれば、幾らむしりとられるか判らんぞ。
(16/02/15)

 原子力規制委員会の田中が福島第一原発の凍結工法を批判。あんなことするより、汚染水を浄化して場外放出すべきだ、と発言。筆者はそもそもこの人物、住む分野も違うし活断層に関する見解も異なるので好きではないが、汚染水対策に関しては意見は一致した。多少地下水に関して勉強して、東電の云うことばっかり聞いていては、何時までたっても埒が明かないことに気が付いたのか?
 福島の地下水対策は筆者がかねてより主張するとおり、発電所の外周に集水井か集水トレンチのような集水施設を設け、場内への流入量を低減した上で、汚染水浄化を行うべきである。そのほうが工事も簡単だし、工費も安い。凍結工法のような密閉法では、発電所外の地下水位が高くなり、汚染水が迂回流となってしまうから、かえって地下水汚染域を拡大してしまう。何か問題が発生したとき需要なことは、問題の拡散を防ぎ一箇所に集中させて一挙に解決を図ることである。これ、は筆者が未だ30そこそこの若蔵だったときに、道路公団仙台建設局の工事課長から聞かされた鉄則である。
 では何故凍結工法などという非常識な工法が採用されたのか?それは20年東京オリンピックが原因である。3年前リオで開かれたオリンピック招致大会で、アベは福島の放射能は解決済みと大見得を切った。この瞬間に、汚染水は一滴も漏らさないということになってしまったのである。ところが現実は、とてもそれどころではない。筆者が漏れ聞いたところでは、困った東電とカジマが東大の生産研に相談に行ったところ、返って来た答えが凍結工法だということだ。そういえばあの頃BSフジの某番組で、ゲストに出てきたのが東大土木の准教授。彼が言うのは「一滴も漏らさない」と言うのが前提だ。かくして稀代のナンセンス工法が一人歩きしてしまったのである。
(16/02/14)

 愛知製鋼の爆発事故で、トヨタが国内全生産をストップする騒ぎ。似たようなことは12年前の中越地震で起こっている。この地震で日本スピンドルの工場が被災し、エンジンシャフトの供給がストップして、日本の主要自動車メーカーの生産がストップしてしまった。このとき以来生産拠点の分散が進められたはずだが、現実には相変わらずの選択と集中路線が続いていたのだろう。懲りない面々だ。
 一方、三陸の震災復興事業。莫大な国費を”費消”しながらも、効果は未だ見えてこない。本日毎日新聞朝刊では、高所移転地は高齢化率80%で限界集落化と報道。要するに若者が戻ってこないのである。
 
元々三陸地区は過疎化地帯。それに地震・津波と言う災厄が加われば、人々は出て行くのが当たり前。人が少なくなる地域に復興事業と称して無理やり予算をつぎ込んでも、効果は上がらず残るのは借金だけ。それよりは身の丈にあった復旧事業で臨むべきだ。こんなことは筆者は震災直後から云っていた。
 これも誤った選択と集中主義の表れ。理由は当初の復興構想会議に八百旗部とか梅原猛のような法文系人間をいれたこと。彼らは実務とは迂遠で雲の上を歩いているような存在。彼らが対策構想を主導したから。このような人物は論理の完成性を重要視するから、結論はどうしても「選択と集中」になってしまう。その結果が限界集落という現実だ。
 筆者の意見は復興ではなく、復旧だ。但し従来の災害復旧のような頑なさではなく、もっと地元の意見を取り入れた柔軟なものにすればよいだけである。
(16/02/01)

 完成なった中電浜岡原発の防潮堤(中央の青い帯)。提とは云うが、筆者にはただの薄っぺらな衝立にしか見えない。第一、22mもの津波が押し寄せるというのに、控え壁すら入っていない。
 我々(応用理学技術士)の世界では、こんな壁より外側に掘割を作り、津波の減勢を諮るべきという意見の方が強い。
(15/12/27)

 「いなむらの火」の続き;元々湯浅自動車道広川ICの計画は、本線を現道(国道42号)寄りにするものだったが、筆者はこの計画では接続する「地蔵トンネル」の明り部分が不安定で、地すべりの懸念があったので、もっと山側にシフトすべきとし、山側シフト案を考えた。
 一方道路屋も原計画では現道から料金所へのアプローチ区間が短か過ぎるので、夏の行楽シーズンには渋滞を引き起こす。だから本線を山側にシフトしてアプローチ区間を長くすべきという意見。要するに計画変更を要するという点で一致。地質屋と土木屋の意見が一致を見た珍しい例で、建設省もそれで納得したが、道路公団がごり押しして元に戻ってしまった。
 我々の案であれば「いなむらの火」の高台の半分は避難地に使えた。しかし道路公団のためにすべてがパーになった。おまけにその後の景気対策で、2車線だったのが4車線になって、高台全体がICに化けてしまったのである。
(15/12/29)

 自民和歌山選出の二階が「いなむらの火」の故事を引いて、「全国つなみの日」を提唱。しかし和歌山や三重・高知はいざ知らず、長野や栃木・群馬のような内陸県にはピンとこない。大阪だって殆どの府民は関心なしと言うのが実態だろう。
 「いなむらの火」の舞台となった和歌山県広川町広の高台は、筆者は卒論やその後湯浅自動車道の概略設計*などでよく知っているが、今や高速道路のインターチェンジに様変わり。だからいざ南海トラフ地震となれば、広川町や湯浅町の住民は逃げる場所をなくしてしまった。
 ここに高速道路やICを誘致したのは和歌山県と地元の広川町や湯浅町。なんとなく云うこととやることが、違っているのじゃありませんか?と云いたい。和歌山県や和歌山県選出国会議員は、「つなみの日」なんて選挙用売名目的お祭り騒ぎに血道を上げるのではなく、緊急避難地や避難経路の整備とその支援に努力すべきである。
*このときに、この高台・・・・洪積世の海岸段丘で、段丘礫層と白亜紀の岩盤からなる・・・の下に20mの軟弱地盤がある、などと云ったアホ会社がある。
応用地質という三流会社である。そのバカ説明にウンウンとうなづいていたのが和歌山県土木部。バカの二乗に懸かればやってられなくなる。
(15/12/26)

 四国電力伊方原発再稼動が決定ですが、筆者私見では何でこんな所に原発を作ったのか?伊予の今治とか新居浜とか瀬戸内海島嶼ならもっと安全だ。福島でも何10年も前から太平洋側で地震が頻発し、おまけに後ろには「双葉断層帯」という活断層帯を控えている。こんなヤバイ所の原発は、さっさと廃止すればよいと思っていた矢先にあの事故だ。
 伊方だって目の前に「中央構造線」という、世界でも第一級の活断層がある。これまでの報道では「中央構造線」に関する議論があったことは伺えない。
 無論筆者も今後近々「中央構造線」が自律的に活動するとは思っていないが、「中央構造線」は西南日本内帯と外帯を繋ぐ接着剤で、構造力学的にはヒンジのようなもの。変位が限度を越えると、ヒンジも壊れる。
 南海トラフ地震が起こり、外帯が変位すると、内帯はリジッドだから、何処かに応力集中と二次的破壊が発生する。そこが当に「中央構造線」なのである。「中央構造線」が破壊すると、当然周辺の岩盤も破壊されるから、地震が頻発する。
 現在の原子力規制委員会の議論は、そういう問題を相手にしない。いわば静的活断層論で、かつてのベロウゾフの垂直論を思わせる。
(15/10/26)

 09年に原子力保安院が、東電に津波対策として重要施設を、福島第二原発並みに屋内保管等の対策を要望していたにも拘わらず、東電担当者は土木学会の指針がでないと出来ない、更に原子炉を止めることなど出来ない、と抵抗。結果がどうなったかはみんな知っている通りだ。
 まず重要施設とは排水ポンプとか非常用電源のことだが、これの移設など所有者の裁量でどうにでもなる。別に土木学会指針など必要ではない。こんな瑣末なことまで下駄をあずけられりゃ、土木学会こそいい迷惑だ。
 次に担当者とは誰か?これは本店と現場の二重行政があって、それぞれが責任を擦り付け合う。これは国交省初め一般の役所でも同じである。マスコミ的には本店の責任を問いたいだろうが、必ずしもそうはならない。例えば発電量をどうするとか、何処かの用地を買収するとかという話なら本店の裁量権に属するだろうが、たかがポンプや発電機の移設のような小さい話は現場所長の裁量権に属する。また、津波や地震に対する安全対策でも、現場の安全っ責任者は所長なのだから、所長がこれで行くといえば、本店は認めるのである。
 別に死者に鞭打つ気はなが、もし故吉田所長が東北大学や保安院の指摘に対して胸襟を開き、地震学に謙虚だったら、これほどの惨事にはならなかった可能性は大きい。
 第三に・・・重要施設の移転のために・・・原子炉は止められないというがそんなことはない。原子炉は三ヶ月ごとの定期点検が義務付けられているから、その間にやってしまえばよい。無論移設には準備工事は必要だが、それは定期点検前に済ましておくのが当たり前。原子炉が止まってから慌てて準備工事を始める馬鹿など、この世にはいない。何故東電は重要施設の移転を拒否したのか?
 要するに面倒臭いのである。軽減税率で麻生が「これは面倒くさい」と云って与党からもブーイングを食らっただ、もともともんなことを言い出したのは、財務省とか経産省。麻生は彼らの代弁をしただけだ、アホだから。要するに何事も細かいことを面倒臭がってサボるのは官僚主義の現れ。吉田所長自身、官僚主義の虜になっていたのではあるまいか?要するに官僚の手抜き主義が、未曾有の惨事をつくったのである。
 まず皆さん考えて見なさい。同じ11年東北太平洋沖地震地震でも、東北電力女川や東電福島第二は、なんの問題もなく問題をクリアーした。問題は福島第一だけなのである。少なくとも地震や津波に対する影響は、これら3原発には大きな差は無かったはずだ。何故福島第一にだけ被害が集中したのか?福島第二との間に何かイザコザとか、ライバル意識があったのか?あいつのやるとおりやってられるか、これは・・・エリート社会にはよくある現象・・・筆者はこれは天災と言うより、人災の要素が大きいと思う。
(15/09/26)

 今朝チリ沖で起こったM8,3地震。この日本への影響は未だ判らない。津波の場合、三日ぐらい懸かることがある。だから太平洋岸の人達は、逃げ支度の用意をしておいたほうが良い。
 仮に来なかったとしても、それは次に来る南海トラフ地震に対する予行演習なのだ。キチンと普段の体制が取れているかどうかをチェックすることが大事。判っておるかね?和歌山県。
(15/09/17)


 これが東電が出したサブドレーン工法の概要。私はまず効果はないと考えます。何故なら全体の構成が、いかにも東電=東芝チック電気屋的回路集中主義で出来ていることです。この手の集中主義の欠点は何処かに欠損が発生すれば、それが全体に波及すると云うことです。まずこの画で描かれている地下水流入経路と、排水系との関係ががよく判らない。

 図で暗色に塗られている帯状部分が地下水流入経路と考えられる。背面の山側の滞水層は河岸段丘の下に貯まった部分。これが崖の背面で急に直角に折れ曲がり、原発建屋の背面で又水平に戻る。そこに井戸(サブドレン)を掘って地下水を補足しようと言うわけだ。しかし世の中、こんなに画に描いたように上手くいくでしょうか?それとこの画では地下水はタンク群のしたを通ってくるから既に汚染されていると考えられる。
 まず背面の縦水脈だが、これは原発敷地掘削によって、上部仙台層群中に発生した緩み域とか割れ目を想定したものだろう。この種の二次的割れ目は方向や大きさがランダムで地下水経路は非常に複雑になる。つまり潜り込んできた地下水は多方向に分散してしまう。又、この地下水は崖の下で上手く水平に方向を変えているが、本当か?もしこのようなことが実際にあるとすれば、水平透水層の下に不透水層が無くてはならない。図のように都合よく不透水層があるとも思えないが、仮にこれがあったとすると、地下水は周囲に拡散することになる。必ずしも海のほうへのみ流れるとは限らないのだ。
 逆に不透水層が無ければ、汚染地下水は周囲に拡散するから、サブドレンは全く効果はなくなる。そもそも岩盤中の井戸の取水効率は極めて悪い。そんなことは少し経験のある地下工事屋なら誰でもしっている。
 翻って筆者が考えているのが下図に示すトレンチ補足法。

1)サブドレンのようなヤクザな工法は使わない。(ヤクザというのは名前だけで効果もなにも判らない。ただ金だけをむしりとっていくという意味)
2)原発敷地と民有地境界に排水施設を設ける。排水施設としては
    1)集水井工+集水ボーリング
    2)排水トレンチ
 の2案がある。
1)は直径4m位の井戸を掘り、その中から水平ボーリングを行なって地下水を集め、排水ボーリング孔から他所に排水するものである。地すべり対策で多くの実績がある。
2)基盤の上部仙台層群までトレンチを掘削し、そこに地下水を集め排出するものである。 

コストとしてはどちらが有利かは、詳細設計をしてみないと判らない。ただ長期の維持管理コストを考えると2)の方が有利と思われる。

   Tr;段丘層
Usg;上部仙台層群

今日の朝刊で福島第一原発の地下水処理案を見ました。東電はなんで何時までもこんな馬鹿工法にこだわるのか、と思っていたらネットで福島の電源に火災が生じ、凍結工が一時停止という情報。だから云わんことじゃない。凍結など新国立と並ぶ天下の愚策。
 と言うことでワタクシ独自の地下水処理案を後日公開します。アイデアは2案あり、もう固まっていますが、具体的な画にするには少々時間が必要。
(15/07/28)

 某報道によれば、東電福島福島第一原発凍結工法進捗率が未だ2割ぐらいで、これではアベの国際公約年内収束は達成不可能。福島の汚染水対策も、東京オリンピック誘致に向けての重要な国際公約。新国立も実態は危ないが、それに加え福島汚染水問題が重なれば、アベの国際信用ががた落ち、ギリシア並にになる。アベもチプラスか?ということになる。
 さて何故凍結工事が遅れているのか?それは凍結体の形成に、予想以上の時間が懸かっているからだ。凍結体の形成理論の詳細をここで述べる余裕はない。凍結体の形成に関するパラメーターは主に地盤の初期温度、熱伝導率、時間である。これは地下水の影響を考えなくて良い場合である。一方地下水が流速を持っていると、地下水は熱も一緒に運んでくる(或いは逆に凍結剤の熱を奪っていく)。このため地下水が豊富な地盤では、凍結体の形成が困難になったり、形成に時間的遅れが生じる。一般的に見て地下水流速が2~3m/day、透水係数で10-4㎝/sec以上の地盤では凍結体の形成が困難とされる*。
 通常、凍結工法は軟弱地盤帯でのトンネル切り羽安定化とか隣接構造物への影響軽減が目的として実施される。いわば土木では局所的ローカル工法なのである。そういう場面では、施工ヤード全体の地下水の賦存状態には大きな変化はないと考えることも可能である。ただしこれも十分な地盤・地下水調査の裏づけが必要である。かつて大阪市営地下鉄4号線森之宮工区での凍結工法失敗で訴訟に至ったのは、この事前調査が不足していたからである。地下鉄のような小断面でさえ、こういうことがあり得るのである。まして福島第一原発の凍結ヤードは地下鉄などに比べ遥かに大きい。と言うことは、凍結体形成条件に様々な問題があったことは容易に想像出来る。
1) 一つは凍結剤形成プラントから凍結体形成位置までの距離の問題である。凍結剤に使われるのは、液化窒素かフロンガスが一般である。福島でも安価で安定しているフロンガスを使っていたというのは、容易に想像できる。この場合フロンガスを送るコンプレッサーと、凍結管との距離が長くなれば凍結効果は低下する。この点に設計上の瑕疵があったのか?しかしこの程度のことは、東電もカジマも判っていたはずで、これが原因とすれば大恥だ。
2) もう一つが地盤特に地下水の問題である。これは人間が勝手には操れない。操れると錯覚しているのも大勢いるが、そういうのは概ね経験・技術が未熟だから大概失敗している。福島第一原発で止水の対象となるのは基盤である上部仙台層群である。これは鮮新世の堆積層である。福島第一原発では主に泥岩が現われているようだ。しかし福島原発での全体的な詳細地質情報は公開されていない(公開されると困る人間がいるのか?)。仙台層群の中にも砂層がある。随分昔だが仙台市内のある立抗工事で、地山が自立しないので薬液注入をやったところ、薬液が流出してしまい、一向に効果が出ない。そこで地下水調査を行なったことがある。崩壊層は仙台層群の中の七北田層の砂。透水係数は現場透水試験や粒度試験の結果から、3×10-3~2×10-4㎝/sec
オーダーが得られた。
 つまり福島原発地盤の中には、凍結体形成を阻害する地層が介在する可能性があるということだ。これらの分布はある規則性を持っているが、その規則はケースバイケースで異なる。つまり、凍結工法の成否を左右する地盤の透水性分布は斑である。止水工法を計画する場合は、この斑の状況を把握しておかなかればならない。これを無視して機械的に対応すれば、結果はある場所では無駄になったり、又ある場所では凍結が遅れ、当初の期待効果が得られないことになる。これを避けるには、事前の綿密な地質調査が必要なことは云うまでもない。
 もし地質調査の結果、阻害層が見つかったとすればどうすればよいか?一つは工法そのものの変更である。もう一つは補助工法を使って、地盤を施工条件をクリアーできるよう改良することである。本件では薬液注入によって一旦地盤の透水性を低下させ、その後凍結に入れば一応の効果は期待出来る。しかし薬液注入工法は永久的なものではない。何年か経つと注入剤が劣化する。そうするとまた再注入である。極端に言うと、永久にこれの繰り返しだ。
 そして最終的に考えられるのが工法の変更である。これは化学的に安定な物質で空隙を充填するものである。それも透水係数を1/100か1/1000まで低下させなければならないから、相当細粒のものでなくてはならない。その候補として挙げられるのは粘土グラウトだが、筆者が昔から興味を持っているのが微生物グラウトである。水には石灰分や珪酸分が含まれている。これを微生物を利用して濃集し、空隙を充填するのである。これは未だ実用化されていないが、地質学的にはその証拠は幾らでもある。少々時間は懸かるが、福島原発が安定化するにも相当の時間が必要だ。その間に実用化できれば、これは日本発新技術として商品化できるのである。
 新国立も白紙に戻せたのだから、福島の凍結も白紙にに戻せるはずだ。どっちもバックにカジマが糸を引いているのもよく似ている。
*「土の凍結ーその理論と実際」;土質工学会
(15/07/19)

 東電福島第一原発事故に関するIAEAの最終報告書が出ました。これによると日本側が主張する想定外理由はことごとく否定され、これまでIAEAが提起してきた安全対策、特に設計基準超の過酷事故対策を東電側がことごとく無視してきた結果と結論付けた。その主な原因としてIAEAは東電の硬直した体質、規制官庁の安全神話を挙げている。
 IAEA報告書とこれまで政府・東電が出した報告書と根本的に異なるのは、後者は内輪だけの話で国際的には影響力をもたない。一方IAEA報告書はその逆である。国際的に影響を及ぼすと言うことだ。これがどういう意味を持つかと言うと、例えば今政府や東電なんかが進めている原発輸出に影響を与えかねないということだ。
 サンケイや週刊新潮などは、死んだ吉田前福島第一原発所長を「日本を救った!」とか英雄美談で飾っているが、筆者は元々彼の行為というか考え方に疑問を持っていた。そもそも彼は所長として着任して以来、何をテーマとしていたのだろうか?普通ある職場のヘッドに任命されれば、まずやるのが職場内規律の確保と安全対策。設備・運用に瑕疵はないかをチェックし、不足があればそれを改善するのが第一歩。むしろ彼はそういうキャリアーにならないことより、コスト削減を優先したのではなかろうか?例えば東北大チームがM9クラス地震の再来と巨大津波を警告したにも拘わらず、対策工実施を反対したのは彼だった。その他IAEA が指摘した安全対策を、東電はことごとく無視している。これには現場最終責任者の所長の意見が反映していると見ざるを得ない。吉田前所長自身がIAEAが指摘した東電硬直体質・安全神話の体現者ではなかったか?
 彼は上に対してずけずけモノを言う・・・果たして何を云っていたのかよく判らない・・・タイプだったらしく、それをマスコミが取り上げて一種の吉田神話を作り上げてしまった。こういう上司は部下に対しても厳しく、しばしば職場には所長の言うことに逆らえない空気が出来てしまう。 
 もしこの上司が安全よりコストを優先するタイプだったらどうだろう。同じ技術者として彼は、筆者とはあまり馬の会うタイプではなかったかもしれない。
(15/05/25)

 天下の愚挙、東電福島第一原発凍結工事が始まりましたが、直ぐに汚染水タンク基礎からの水漏れが発覚。幾ら大枚はたいて地下湧水・・・それも僅か一日400t・・・を遮断しても、上から漏れていたのでは何にもならない。当に頭隠して尻隠さずの例えだ。
 それより建屋を凍結壁で囲んでも、内陸からの地下水はその周りを迂回して海に到達する。既に事故から数年経過しており、放射性物質はかなり地下深部まで浸透している。すると迂回流はこれを溶かして流下するから、やはり周辺への放射能汚染は防げない。それどころか凍結工法は汚染域を拡大する可能性すらある。この経過は少なくとも、数10年以上数100年オーダーの時間を要するから、数年程度の誤魔化し観測は実態を反映していない。
 そもそもは東電が汚染水をタンクに貯めておくという安易な方法によったことにある。なんでもそうだが、特に土木では、問題が生じたときそれはその場で解決し、問題の拡散を防ぐのがセオリー。東電はことの始まりからそれが出来ていなかったのだ。
 ずばり言えば、この工法はアベの東京オリンピック招致演説に合わせた、辻褄合わせの場当たり工法に過ぎない。つまり政治施工なのである。これはこれまで無駄公共事業で散々使われている。一時期これは廃れかけたのだが、アベ流ナンデモ懐旧路線で再び目を覚ました。近代土木の敗北である。
(15/05/03)


東電福島第一原発トレンチ止水工事がワタクシが云ったとおり失敗した。第一水が流れているところに氷やドライアイスを放り込んだところで、凍るわけがない。小学生相手のNHK「夏休み子供科学電話相談室」のレベルである(ところがこのレベルが結構高い。原子力規制委員会の教科書学者で対応出来ますか?)。
 そこで出てきたのが、トレンチと建家との間に止水材を投入する案。コンクリートに隙間が出来ていて、そこから水を漏れるから、それを充填するだけなら、ウレタンとか今は使用禁止のビニール系など幾らでもある。しかし空洞そのものを充填してしまう止水材など寡聞にして知らない。発泡モルタルか何かだろうか?これでも流速があれば、注入と同時に流失してしまうから何にもならない。

 筆者が云うとおり、まず土砂をトレンチ内に投入し、空洞の流速を下げてから凍結に懸かればよい。直ぐに出来なければ、今や地盤をチェンソーで切削する工法がある。これでトレンチを切断し、鋼矢板を建て込み、水を一旦者水して、土砂を投入する方法もある建家とトレンチとの隙間の充填はその後考えればよい。。物事には順序というものがある。それを踏み外せば、とんでもないことになる。
 筆者が思うにこの件、工法の変更も必要だが、関連メンバー(原子力規制委員会、東電、ゼネコン)の入れ替えの方を急いだ方がよい。この問題、何故こんなに混乱したのか?ワタクシは10月福島知事選を睨んだ、アベ官邸の圧力が背後にあると見ています。ある時のBSフジプライムニュース。ゲストコメンテーターは東大土木の準教授。彼がいきなり云ったのが「水は一滴も漏らさないのが基本方針」。誰がこんな非現実的なことを云ったのか?アベかノブテルか?凍結工法の採用については、鹿島と東大生産技術研究所の関連も噂されている。まともな学者なら「そんなことは出来ない」と依頼者を説得するのが当たり前。その当たり前のことをサボってきたあげくが、今回の恥さらしだ。
(14/08/20)

 いささか旧聞に属しますが、東電福島第一原発トレンチの止水対策で、氷やドライアイスを大量(数tオーダー)投入したところ、水温が12 ゜Cから8 ゜Cに低下した、これで凍結工法が前進したと東電が発表、という記事がでた。これは典型的な大本営発表報道である。
 8 ゜Cから凍結温である4 ゜C迄はまだまだほど遠い。その内塩を入れろとか、アホな指令が又出る可能性もある。幾ら水温が下がっても、水が動いていれば水は凍らない。これは小学生だって判る。氷山や流氷は海水が凍っているのではなく、氷河や・・・最近のNHK映像で証明されたように・・・凍結河川先端の崩壊である。
 筆者はトレンチを見たことがないので、土のような固形物の投入は出来ないのか、と思っていた。ところが、氷やドライアイスを投入している。と言うことは土のような物質も投入が可能だと言うことだ。とすれば、土・・・綺麗な土は不用。建設残土とか崖錘のような、見かけは汚いが、粒度配合の良い土・・・に少量のセメント・ベントナイトを混入して撹拌混合する。ベントナイトは投入時の流動性を確保するため、セメントは土粒子を拘束し、流出を防ぐためである。こうすれば透水性が低下するので流速が抑えられ、凍結効果が促進される。
 しかしこの程度なら、東電の土木屋や鹿島ならすぐに思いつくはずだ。何故それが採用されず、氷やドライアイスのような小学生レベルの話しが出てくるのか?それは原子力規制委員会が、実験室レベルのことしか経験がないシロウト学者集団・・・これはある時大前研一が指摘している・・・だからである。彼等は実験室のモデル実験の経験はあるが、実際の地下水の状況を測った事もなければ、どう動くかの想像も出来ない。
 こういうシロウトが原子力行政の根幹を握っていることが最大の癌なのだ。
(14/08/08)

福島第一原発トレンチの凍結が上手く行かないので、原子力規制委員会は、やれ氷を入れろとか、ドライアイスを入れろとか、シロウトの入れ知恵ばかり。この連中は凍結工法のなんたるかを知らないのだ。凍結工法は水を凍らせるのではなく、地盤を凍らせるのである。その違いが判っていない。こんなこと誰でも判るが、一番判っていないのが、原子力規制委員会だ。かようなシロウトに原子力安全行政を任せてよいのか?稀らは8月には凍らせろ、と東電に指示したが、彼等は実験室と自然状態とでは根本的に条件が異なるのだ。
 なお規制委員会は全ての作業を8月まで終わらせよと指示する。何故8月までか?それは10月に福島県知事選があるからである。9月からは本格的な選挙戦が始まる。それに勝つためには、福島第一原発で何らかの実績を作らなくてはならない。それがトレンチの止水である。ただの土木工事が政治マターになってしまった。これを封建権威主義という。
(14/07/25)


福島第一の凍結工法で用いられているロータリーパーカッション掘削機。外形から見ると、クローラータイプだから鉱研RPD130Cシリーズではあるまいか。鉱研が直営でやっているのだろうか?
 なお後ろ向きの現場監督員の背中には「鹿島」とあるから、鹿島が元請けで、鉱研がその下請けに入っているのだろう。と言うことは、東電に凍結工法を売り込んだのは、やっぱり鹿島だった。
 この件でネットを見てると、日経に「水との戦い」という名のサイトがありました。その中に誰かが泥岩の露頭に張り付いている映像があった。処が彼が持っている道具がハンマーではなくただの金槌。こんな物、まともな地質屋が持つわけがない。泥岩表面には水が滴っているようだが、こんなもの幾らでも創作出来る。おそらくマスコミのヤラセだろう。同じヤラセならもっと上手くやれ。

 なかなか進まない、福島汚染水処理。問題はトレンチの凍結遅れ。筆者の見解では、凍結は遅れるどころか、工法として破綻するだろう。この画を見ただけで、凍結など不可能なのは、中学生の理科のレベルで直ぐに判る。筆者は始めから凍結など工法として成り立たないと主張している。
 最大の癌は原子力規制委員会の更田という委員長やその他のシロウト能なしメンバーだ。福島問題を解決したければ、まず今の原子力規制委員会を解体し、メンバーを全員追放し、本当の意味での専門家による組織が必要である。
(14/07/08)


東電福島第一原発の凍結工法が行き詰まっている。原因はタービン室からの汚染水を排出するトレンチの凍結が出来ないから。どうやらトレンチは十分閉塞せずにそのまま凍結しようとしたらしい。水は動けば凍結が遅れるのは誰でも知っている。だから透水性の高い砂や砂礫には適用しない。


 そもそも凍結工法は流れている水を凍らせるものではなく、水を含む地盤を凍らせることが目的である。と言うことはトレンチ内に予め凍結可能な地盤を作っておくことが必要である。確か東電計画書ではトレンチをコンクリートで閉塞する事になっていたと思ったが、それをやっていなかったのか?
 コンクリートを流し込んでもそれだけでは十分な不透水層は作れない。そこに薬液注入をやって固結する。薬注だけでは永続性を担保出来ないから、最終段階に凍結工法を採用する。と言うなら論理は収束する。しかし、現実はそれとは逆方向に行ってしまった。何故こうなるのか?関東の連中は有効応力法に拘り、全応力法を理解出来ないからだろう。
 なお山側の地山にも凍結工法の弱点となる箇所はあるはずだ。そこの調査は十分行き届いているのか?筆者は柱列工法を推奨しているが、透水地山の固結と言う点では凍結と大して変わりない。しかし効果が同じなら安い工法を採用するのが土木の常識だろう。
(14/07/06)