アフガニスタンの地すべり(14/05/03)


横井技術士事務所
技術士 横井和夫


 5月3日には、今度はアフガニスタンで大規模地すべりが起こりました。図-1はその全景です(CNN)。図-2はこれのコントラストを、やや強調したものです。


図-1

図-2

 典型的な馬蹄型地すべりです。地すべりは丘陵の尾根で発生しており、崩壊ブロックの先端は谷の反対側迄押し寄せ、人家を呑み込んでいることが判ります。崩壊は中央だけでなくこのブロックの向かって右側斜面からも崩壊が生じているようです。又左側斜面裾にも別の崩壊が発生しています。

 図-3はこの地すべりを模式化したものです。主ブロックの背面に滑落崖に平行に(C)、右斜面にも側部滑落崖に平行に(A)、又主ブロックの左側の浅い沢沿い(B)にも、何か溝の様な線状模様(リニアメント)が見えます。これは一体何でしょう?これらがクラックだとしたら、今後更に大規模な崩壊が発生するおそれがあります。


図-3

 リニアメント(A)を延長すると、右側壁滑落崖に、リニアメント(B)を延長すると同じく左側壁滑落崖に一致します。従って、今回の地すべりではこれらのリニアメントが何らかの役割を果たしている可能性があります。(A)(B)が断層だとすると、地すべりが発生した斜面の土塊は、断層によって周囲から分離されています。断層とその周辺の透水性は、断層に平行方向で大きく、直角方向には小さくなります。その結果、仮に斜面の裾に何か不透水性の岩盤でもあれば、(A)(B)の間に降った雨は、その間に滞留し水位はドンドン上昇し、遂に崩壊に至った、というモデルが考えられます。
 
 なお、崩壊直後には死者2500人という情報もありましたが、とてもそんなに人口があるようには見えません。連絡が採れない人間の数が、連絡毎に増えていってこな数字になったのでしょう。
(14/05/05)