'17中央自動車道瑞浪での土砂崩壊

技術士(応用理学) 横井和夫


 中央道の崩壊現場。原因は業者の産廃不法投棄と云うことで決着しましたが、崩壊箇所が領家帯中の熱水偏執帯ということには、変わりはありません。業者はこの付近に鉱区権を持っており、崩壊箇所はその一部だ、と云っているからです。鉱区権が設定できるということは、その担保となる鉱物・・・本件の場合カオリナイト(領家花崗岩中の長石の可能性もあるが?)・・・が存在するということです。
 又、写真を見ても、崩壊は不法投棄土砂だけでなく、その下の地山から発生しているとしか考えられません。
(17/08/25)

08/18から08/19にかけての東海豪雨で発生した、岐阜県瑞浪町の中央道に於ける土砂崩壊(08/20毎日新聞)。この崩壊で興味を惹いたのが、崩壊部(写真中央上)や、高速道路に流出した土砂が白色化していること。中には白色の岩塊もあった。これは何を意味するのでしょうか?

それだけでなく崩壊土が泥流化して下流に押し寄せたが、その泥流の色も何となく白っぽいことである。


 崩壊が起こった場所は岐阜県瑞浪市周辺の地質は主に中新世瑞浪層群か、白亜紀後期の領家花崗岩類。一方、白っぽい色を見せる岩石はというと、石灰岩か流紋岩質凝灰岩ぐらいしかない。どちらも瑞浪層群や、領家花崗岩類とは無縁の存在である。
 もう一つ考えられるのが、カオリナイト系熱水変質帯である。これなら領家帯でも考えられる。中新世のある時に、領家帯に火山活動が起こり、それに伴って熱水変質帯が形成された。この痕跡は兵庫県南部他に、幾らでも見られる。
 カオリンと云うのは、中国中部景徳鎮の北にある、カオリン(虎林山)をタイプとする粘土鉱物である。保水製が高く、幾らでも伸びるので、微細彩色に有効で、中国陶磁器の主要原料になっていた。但しこれはよく覚えて欲しいのが、カオリナイトなど別に珍しくお何んとも、日本では、六甲山地の周りには幾らでもある。
 今回の崩壊地域が、領家帯中のカオリナイト変質帯中のことなら、全ては説明できる。
1、まず中央道周辺にカオリナイト変質帯が分布していた。
2、過去にない豪雨が到来した。地盤を構成するカオリナイト変質帯は透水性が悪く、地下水を遮水する効果しか、もたなかった。
 その結果、変質帯中」の間隙水圧が急上昇し、崩壊にいたった。カオリナイト変質帯中では、地山の船団郷土も著しく低下するのである。
 さて皆さん、果たして今の国土交通省とか、昔の道路公団の説明を信じられるでしょうか?
(17/08/19)