中国の原発計画と活断層

横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫


 現在中国で稼働中の原発は20数箇所だが、建設中・申請中を含めると、なんと127箇所もあるらしい。図-1はその分布である(16/01/01毎日新聞)。

 
図-1 

 沿岸部に集中しているが、大陸内部にも多く計画されている。内部中央に計画されている施設は、おそらく長江やその支流河川に沿うものだろう。これだけ沢山の原発を作って大丈夫だろうか、と誰もが思う。中国大陸は大陸と云ってもシベリアやオーストラリアのような本物の大陸ではなく、超大陸パンゲアから分離してきた陸塊(クラトン)の集合体である。クラトンの境界部には数1000mに及ぶ厚い地層が堆積している(これをかつて中国人地質学者は「陸向斜」と読んだが、今はどうなんでしょう)。又新しい活断層も数多く発達する。断層で地震が起こり、厚い堆積物が加われば地震の揺れは相当遠くまで到達する。10数年前の四川地震では、震源の四川省から数1000㎞離れた北京でも揺れが感じられたと言われるから、大陸だといって安心してはならないのである。
 図-2は尾池による東アジアにおける大地震と主要活構造分布図、図-3はこれに図-1の原発計画図を重ねたものである。

   
図-2  図-3 

 さて皆さん、これを見てどう思うでしょうか?一目見て判るのは、主要活構造に近接して計画されている原発が結構多いということだ。そして注意しなくてはならないのは、ここで取り上げられている主要活構造は、日本では「中央構造線」とか「糸静線」に匹敵するような大断層だということである。現在日本の原発安全審査で問題になっている活断層とは、規模もなにも大違いと言うことだ。日本人はこれに比べれば髭のような断層に右往左往しているのである。