風力発電タワー倒壊事故

                                   

 上の写真は先般青森県はむつ市で起きた風力発電タワーの倒壊写真です。新エネルギーという名の、まがいものの未来を象徴しているようです。それはそうとして、風力発電タワーがコンクリート製だとは今まで知りませんでした(関西には風力発電施設が少ないもんで)。基礎と本体との接合部で破壊しているから、これは基礎や基礎地盤の問題ではありません。このコンクリートの柱はRC造のように見える(PC鋼線らしきものが見えない)。タワーの外周に沢山の鉄筋が埋め込まれて(全て同じ場所で切断している)いますが、これは補強筋であって、構造筋ではない。構造筋と見られるのは、上の写真で何本か突出している細い線です。高さ70mに達する構造物を支えるには如何にも少ない。しかもすっぽ抜けているから基礎と剛結されていない(剛結されていれば、基礎の鉄筋やコンクリートがまくれあがるはずである)。この鉄筋は一体何の役割を果たしていたのでしょう?施工時に鉄筋の手抜きをしたのでしょうか?つまり、タワーはコンクリートだけで支えられていたということなのだ。RCの場合、鉄筋とコンクリートの応力分担比は15だから、簡単に言えば、鉄筋が無ければ、コンクリートには15倍の応力が懸かることになる。こういう柱に繰り返し荷重が加われば少しずつクラックが発生する。クラックが発生した部分での強度は0だから、これがある範囲まで広がれば、僅かな風力でも簡単に倒壊してしまう。
 風力発電タワーというものは、その性質から常に横方向の繰り返し荷重を受ける。つまり、常に曲げ荷重が不規則に作用する。曲げモーメントはタワー最下端で最大となる。RCなら曲げには耐えられない。つまり、構造としてはPCのような曲げに耐えられる構造とし、特に本体と基礎との接合部には十分な補強が必要である。設計ミスの疑いも残る。
 
(07/01/11)


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