BPルイジアナ沖原油流出事故

一次閉塞が完了したルイジアナ沖BP事故井の閉塞部。よく判りませんが、後学のためコピーしておきました。白い部分がセメンテーション、上下の黒い部分が破損したライザーパイプでしょうか?
(10/08/09)
 これが新しく設置された噴出防止バルブキャップの概念図。後学のために記録しておきました。
 実際に今回設置されたのは図の太線で囲まれた部分。原理は我々地質屋がダム調査でおこなうルジオンテストとほぼ同じと考えられます。但しルジオンテストは上から圧力水を注入しますが、これは下からの圧力水(油)をコントロールするもの。
 装置の中心部分は、あくまで図中央の「遮断弁」と」新しい吸い上げパイプ」です。
 1500mの深海で、バルブをどうやって操作するのかよく判りません。いつも登場するあのロボットを使って操作するのでしょうか?

 なお、この事故は詳しいことは当事者が死亡しているため判らないが、はっきりしていることは人為事故です。暴噴防止装置のセメンテーションを、規格に合わない方向に変更してしまったことが原因になった。つまり一次責任は、掘削を請け負ったハリバートンにある。しかしそれは問題にされず、事業者や出資者の責任ばかり追及される。ハリバートンはブッシュ政権の副大統領チェイニーの関連会社。おそらく他の関連企業の中にブッシュ関連企業がいるでしょう。オバマの支持率は今や40%台。アメリカ企業を槍玉に挙げる訳にはいかない。
 たかが一カ所での作業員のチョンボのために、メキシコ湾全体の石油掘削を凍結するなど正気の沙汰ではありません。当に羮に懲りてなますを吹く例え。仮に数1000mもの油井の稼働を一旦留めれば、簡単には採掘を再開出来ない。油井を放棄するのと同じ効果を産みます。この点に現実を知らず世論のみを頼りにするオバマ政権の限界を感じます。
 なお、これは鳩山・菅民主党政権と全く同じパターンです。
(10/07/17)
 これは事故井の原油噴出を防ぐための”ふた”。こんなツールはこれまで見たことが無かったので、参考までにコピーしておきました。
 要するに、破損したライザーパイプを切断し、その上にバルブキャップを固定したもの。深海だから溶接は不可能なので、おそらく圧接でしょう。キャップの上にドリルパイプが接続されており、そこからガス抜きをやっているはずです。噴出ガス量(つまりガス圧)は内蔵のバルブで調節されているものと思われます。構造的には、それほど複雑では無いはずです。
(10/07/14)
BPルイジアナ沖事故の現況(ロイターより)。マスコミ報道は写真があっても解説が無いのが困る。画面右上で炎を上げているのが事故井でしょうか?手前の掘削リグはリリーフウェルと思われます。他の船舶は原油回収船か作業の支援船か?
(10/06/30)
地球観測衛星テラによる重油流出の航跡。全体として右回り(時計回り)に重油が移動していることが判ります。渦の中心が流出点。北半球では湾岸流が時計回りになるのが当たり前なので、別に問題ではない。
(10/05/18)
日本の深海掘削船「ちきゅう」の暴噴防止装置。この上にライザーパイプが接続し、その中をドリリングツールスVが上下します。海底に穴を空けるだけでも、複雑なシステムが必要だということが判ります。
 今回のBP事故はライザーパイプを破損しているので、その影響は相当深刻なものになるでしょう。
メキシコ湾での原油流出事故を」起こした、英BP社の掘削地点付近の海底地形。掘削地点は右から二つ目の白点から下に大陸斜面上。大陸斜面には何かごつごつとした突起が見えます。一体これは何でしょう?一見すると、玄武岩の沸き出しのように見えますが、マサカそんなことはありません。
 ルイジアナ沖原油事故で、BPは破損したライザーパイプに高濃度泥水を注入して、暴噴を防ぐと言うことだが、果たして上手くいくでしょうか?油井の間隙圧が十分下がっているのか?高濃度泥水は余り使われない特殊泥水と思われるが、高温下での安定性とか、注入特性とか、判らないことが多い。そもそも、考えられる高温・高塩分環境下でセメントが上手く固まるでしょうか?まだまだ、クリアーしなければならない課題は多そうです。
(10/05/27)


 これが今問題になっているルイジアナ沖原油暴噴の現場(本日英BP社発表)。海底のキューポラから噴き出すブラックスモークのようです。
 暴噴対策は大分難航しているようです。一つの方法として、元井の横に、沿わせ掘りをやるというのがあります。沿わせ掘りでガス圧を下げ、本井をセメンテーションで閉塞してしまおうというわけ。果たして上手く行くかどうかは保障しません。さて、そこまでやるかどうか?ボーリングトラブルとは、そういうものなんです。
(10/05/13)

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