大阪府庁舎移転の問題点(橋下VS河田の鉄条網バトル)
横井技術士事務所 技術士(応用理学)横井和夫
現在大阪府知事橋下と関大河田恵との間で、府庁舎の咲州移転を巡ってバトルを繰り広げています。以下の記事は筆者が別の記事「次期('12年)大阪府知事選に向けて」に掲載した、大阪府庁舎問題関連を集めたものです。筆者がどちらのスタンスに立っているかは、読めば直ぐ判ります。
大阪府庁WTC撤退を巡って、橋下は「あらゆる情報で物事を決めるのは従来の行政手法。公選制による首長はそれを越える勘が必要」、と言い訳。その勘が見事に外れた訳だ。大阪府は・・親分の言い分を守るため・・河田所見に最後まで抵抗していた。最終的に橋下が降伏したのは、建築研の評価結果である(日建設計も降伏したのか?)。これも又情報であり、しかも橋下が最も嫌う国営情報だ。勘の鋭い知事なら拒否したのではないか?それに屈服するとは、云ったこととやったことの大矛盾。
同じく管直人。6月脱原発宣言「3.1以後、日本のエネルギー政策の中心を何処に置くべきかを考えたところ、脱原発にいきついた」。と言うことは、それまでは脱原発では無かった訳だ。原発推進を訴えていた鳩山内閣で重要閣僚を歴任していたことは、かつては原発容認・推進派だったということだ。これも又大矛盾。
以上の大矛盾は何処のマスコミも報道していません。
(11/08/31)
橋下が咲州への府庁舎全面移転を撤回。この勝負、第一ラウンドは河田の勝ち。なお、橋下は咲州を関西の防災拠点にする考えだったらしいが、これこそシロートの見の程知らず思いつき。咲州ほど災害に脆弱な場所は、大阪湾全体を見渡してもそう多くない。それ以上の問題は、大阪府職員に大規模災害の経験者が殆どいないということである。災害対策は、何よりも経験がものを云う。教科書を読んだり、人の講演や役所の講習を受けたところで、身に付くものではない。その点大阪は兵庫県に比べ遙かに劣っている。第一、大阪ではここ30年ほど、災害らしい災害が起こっていない。だから、槇尾谷川ダム撤回などというナンセンスな決定が出てくるのだ。こんなシロート集団に関西防災の中心的役割を担わせたところで、何もできないどころか、混乱に輪を掛けるだけ。福島事故当時の政府・民主党や東電本店のようなもの。災害対策は大阪上本町より、神戸元町に任せておいた方がよい。
(11/08/19)
東北大震災で津波高さが15mを越えるなどという話しが出てくると、突然大阪府側は想定津波高さを倍にするとか、上町断層地震でも想定地震動を見直すとか、辻褄の合わない場当たり対応。これを橋下は「これが危機管理と言うモノだ」と嘯くのだから、開いた口が塞がらない。対応に一貫性がないのである。問題を府庁舎の災害対応性に限定するなら、筆者は府庁舎を全く別の場所、例えば吹田市千里のエキスポランド跡地を奨める。ここなら、津波は全く心配ない。地震も大丈夫。交通の便はよい。場所柄からいって、南港なんかに比べ遙かに高い含み資産が得られる。そもそも、大阪府庁が大阪市にいなければならない理由はない。大阪市内の道路・河川整備など公共事業は大阪市に任せ(政令都市だから独自行政は可能なのである)、大阪府は府下市町村の面倒だけ見るようにすればよい。そうすれば二重行政もなくなる。二重行政が発生するのは、大阪府庁とその出先が大阪市内にもあるからである。要するに、大阪府が大阪市から出ていけば良いだけの話しだ。
(11/08/17)
大阪府が府庁WTC検討委員会のメンバーに、反対派の河田恵を起用。本心は何処か?橋下自身がWTC移転に自信をなくし、止めたくなったが、そのアリバイ造りを謀った?或いは河田を取り込んで、反対派の動きの牽制を謀った?
それより前に、あのWTCビルは欠陥建築です。制振工法のコンピュータープログラムに問題があるのか、制振機構に不具合があるのか?それより以前に、南海ー東南海地震が起これば、咲州は液状化より、マッドダイアピル(泥火山)が発生するおそれがある。そうなれば、WTCビルは最悪倒壊だ。理屈は結構ややこしい。だから学問的には非常に興味のある話しだが、今回の東北大津波と同じで、取り上げる人はいないだろう。おまけにその時橋下はどっか遠くに逃げている。
(11/06/09)
なんと今度は、橋下が府庁舎の咲州移転を白紙に戻すと発言。やっぱりWTCビルが筆者が云ったとおり(11/04/02)、欠陥建築であることを認めたのである。誰が作ったのか?施工は何処だか知らないが、設計は日建設計。日本最大の建築設計事務所である。ところが、筆者はこの会社にあまり良い印象を持っていない。福島で大チョンボをやらかした原子力村と同じく、超がつくほどエリート意識が強く、関連業界を見下す傾向がある。その代わり、住友系列だから金には渋い。筆者が日建設計の仕事に疑問を持った原因には、二つの土質調査例がある。日建設計も系列にボーリング会社を持っていて、日建設計からの土質調査はそこがやることになっている(今はどうか判らない)。
まず一つは神戸市商工貿易センタービル(神戸での最初の高層ビル)である。設計は日建設計、施工は鹿島建設。地下(GL-13m付近)を掘削していたところ、状況が事前土質調査(日建設計の子会社が実施)と異なっていたので、チェックボーリングを行うことになった。それを当時筆者が所属していた会社が受注し、新入社員だった筆者が現場に派遣された。その時に見た事前土質調査では、沖積層の下にN値50以上の洪積砂礫層が10数mに渉って堆積し、なお且つ山側に傾斜している断面図が示されていた。ところが掘削面の観察やボーリングでは全く逆で、粒度淘汰の悪いN値20〜30位の砂礫層と、