平成23年度東北地方太平洋沖地震と福島原事故

汚染地下水対策
 NHKスペシャル 原発事故の意外な真実(福島第一原発SR弁)
復興から復旧へ

横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫

新たな三陸復興計画・・・・今後三陸地方では、海抜15m以下は居住禁止とする。どうしても住みたければ、一切自己責任・自己負担とする。


本日3月11日は東北大震災の日。東北大震災と云えば津波。今から20年ほど前、某設計会社の依頼で隠岐の島の道後にトンネルの調査に行ったことがある。その会社が隠岐の島のトンネル実施設計受注を目論んで、地質の様子を見てくれというわけだ。
 現地では、海岸から50m程上の山腹沿いに現道があるが、これは幅が狭く老朽化が進んでいるので、海岸沿いに道路を付け替えようという計画である。
 海岸まで降りると、浜は酷いプラスチックゴミの山。沖のフェリーや何かから流れ着いてきたのだろう。それは別にして、もしここで大地震が起こり津波が押し寄せれば、この道路はイチコロだ。勿論トンネルどころではない。こんな道路計画はやめさせなくてはいかん、と思いつつ岬を回って、対岸につくと、なんと二次覆工は未だだが貫通直後の別のトンネルがもう出来ているのである。今更どうにもならない。
 トンネルを通るとそこには漁村がある。つまりこの海岸道路は、これらの漁村を貫くように通っているのである。確かに現道は高所にあるから不便で仕方がない。特に高齢化が進むと、年寄りでは高いところに上れない。だから海岸沿いルートを要求したのだろう。逆に言えば、村を通らねば用地は譲らない、とでも脅されたのかもしれない。
 では50m上の現道は何だったのだろうか?おそらく過去に津波か高波で村が被害に会って、それで道を高所に作ったではないだろうか?しかし・・・隠岐の島の例でみたように・・・漁師というものは海から離れられない。そういう記憶がいつの間にかなくなって、便利な方へ流れるから、又同じ災害を繰り替えすのである。
(19/03/11)

 「第三者の厳しい目」という言葉が、要するになれ合いの言い訳サル芝居であることが、広く世間に認識されるようになったのは、舛添第三者報告書のおかげである。これと同じことが東電福島原発事故で繰り返された。
 それは炉心溶融に関する東電委託の第三者委員会報告書に、暗に当時の民主党官邸の関与をほのめかす記述があることである。果たしてこの情報がどこから漏れたのか?それがはっきりしない。当時社長だった清水も記憶はないというし、それより第三者委員会が当時の官邸メンバーに聞き取りした事実もない。これなど舛添第三者委員会の手法とそっくりなのである。あのヤメ検の佐々木弁護士なら「それが第三者委員会というものだ」と居直るだろう。
 さて筆者もこれまで何度か、裁判の鑑定をやったことがある。私的鑑定だから、無論スタンスは依頼者の利益に資すること。しかし舛添や東電第三者委員会ほど下手ではない。両者とも報告書作成の基本が出来ていない。上っ面を撫でているだけなのである。だから世間から信用されないのである。
(16//06/17)


 九電川内原発再稼動に関し、火山学会がクレームを付けた。それに対し原子力規制委員長の田中が切れて、火山学会の言い分は非科学的だ、火山学会は夜も寝ないで努力せよと筋違の言い分。火山学会こそ大迷惑だ。この原因は田中が火山にシロウトと言う点と、工学系人間だから火山学会のような理学系学会が理解出来ないのだろう。工学系学会は行政との結びつきが強い。彼らの主な任務は行政の代理人となって、学会基準を作ることである。これによって行政は結果責任を担保できる。
 田中の専門は情報工学で、火山どころか原子力だってシロウト。誰かが田中に「・・・これで大丈夫ですよ」と囁いたのだろう。ところがそれに火山学会という無責任集団がクレームを付けたのが田中が切れた理由だ。そもそも工学系の人間は、理学系に対し偏見を持っている。こいつらは何も苦労せず浮世離れのことばっかりやっておる、具体的なことは何も出来ないくせに文句ばかり一著前だ、税金の無駄使いだ、というわけだ。
 一方の火山屋はそれに対し何の反論も出来ない。何故なら日本の火山学は、明治の小藤文次郎、坪井誠太郎以来、火山岩石学と火山層序学が主流で、実際の火山の挙動観測や噴火予知など、永く亜流とされてきたのである。何故なら、火山の下が具体的にどうなっているかを知る技術が無かったからである。今回の九電報告書でも、古くからの定性的判断しか行っていない。それともっと重要な点は、これは火山学だけでなくその他学問全般に及ぶ大学の蛸壺化である。この原因の一つに、共通一次試験に代表される大学の制度改革がある。この結果他分野に広い視野を持った研究者が大学にいられなくなった。余計なことをするとマイナス評価になるから、ひたすら蛸壺に籠もることになる。火山学もその例外ではありえない。この点が今の日本火山学の最大の弱点ではないか?むしろ、田中や九電によってその急所を突かれた感がする。
 しかし現代では地下の様子を探る技術は、急速に進歩してきている。要は火山屋がそれに眼を向ける度量を持っているかどうかではないか。そもそも日本の活火山のエントロピーが今どのレベルにあるのかすら判っていないのだ。それも判らないで火山予知など出来るわけがない。
 
(14/11/09)

東電が、NYタイムズが福島原発吉田調書での、朝日誤報を報道したので感謝発言。おまけに「朝日は東電社員を侮辱した」と朝日叩きにワルノリ。さて東電にそんなことを言える資格があるでしょうか?
 そもそも混乱の原因を作ったのは、朝日ではなく東電である。03/15時点での吉田所長の返事を正確に理解し官邸に伝えておけば、その後の混乱は無く、朝日の誤報にも繋がらない。何故こんな混乱が起こったのか?それは東電本店から、誰も当事者能力を持つものが現場に派遣されておらず、本店・現場の意思疎通パイプが作れなかったためである。その間東電本店は官邸の方ばかりを見、現場にはトンチンカンな指示ばかり出していた。これが吉田所長の「馬鹿野郎」発言に繋がる。逃げたのは現場ではなく本店なのである。
 これはかつての大戦で散々見られた光景である。大本営参謀は前線も見ずにマニュアルに従って、非現実的トンチンカン命令を出す。混乱するのは前線部隊だ。ここで発生するのは中央と前線との抜きがたい不信感。ガダルカナルでもビルマでも、東京から参謀が派遣されてきたのは、既に敗色が決定された時期。大本営参謀は敗北の事実を認めるだけだった。沖縄戦では第32軍参謀に、大本営派遣参謀の八原大佐殺害未遂事件まで起こっている。これが真の敗戦原因だよ。
 しかし何故今頃東電が朝日たたきに乗り出したのか?それは自分のミスを他に転嫁し、責任逃れを諮る姑息な役人根性の作用である。そのためには、今や朝日は格好のスケープゴートだ。もう一つ朝日は東電解体論の急先鋒だった。これを潰しておけば、東電ー経産コネクション(天下りルート)は安泰。おそらく何らかの筋・・・サンケイか?経産か?・・・から、東電生き残り手段を聞きだしたのだろう。その提灯持ちをやっているのが、アベ政権べったりのサンケイが。無論そのためには金が要る。それだけではなく、行動も示さなくてはならない。おそらく東電からアベ・自民党筋に、既に献金が渡っている。その窓口がアベの愛人(の一人)にして現経産相、原発再稼動論者稲田ナントカだったりして。東電の朝日叩きもその一環。全てを裏で取り仕切っているのがアベ晋三という具合。しかし、東電の株主の既に6割は外人投資家。彼らは原則とし政治献金は認めない。世の中そう甘くは無い。
(14/09/24)


 これは本日昼に北関東地方を襲った地震の震度分布です。筆者が関心を持つのは地震の大きさではなく、震源の位置です。これは中央構造線(MTL)を震源としている可能性が大きい。東北太平洋地震以来、MTLや富士川断層が震源と考えられる地震が幾つか発生しています。いずれMTLを震源とし、M7,5級の地震が北関東で発生する可能性があります。
 
さてこれが西南日本に及んだとき、筆者は四国電力伊方原発の再稼動審査開始は早すぎると考えます。
(14/09/16)
 

福島第一原発で、地下水バイパスルートからトリチウムが検出されたが、それは当たり前。あんなバイパス案など根本的解決になっていない。あんな計画は、地下水に全くシロートが頭の中で考えだしたもの。そもそも、一体何を解決したいのか、その意図が判らない。一からやり直せ!
(14/05/28

急転直下、東電福島第一原発の地下水バイパス案が地元漁協に承認されました。筆者の見るところ、この裏には東電から関連漁協に5億位は流れていますな。間に入ったのはアベか?そういえば、彼は先月いきなり福島に飛んでいる。
 そもそもこの騒ぎ2年ほど前、東電が汚染前地下水の海洋投棄を地元漁協に申し入れた処、了承が得られず、そこから話しがややこしくなり、問題が拡大・複雑化したのである。問題そのものは複雑でも何でもない。山側から流下してきた地下水が原子炉建家に流入し、原子炉で汚染されてしまった。汚染水は放射能除去装置(ALPS)で浄化され、汚染前の地下水と浄化水は海へ、残滓の放射性物質だけが固形化されて中間貯蔵施設へ、と行くはずだった。処がここで現れたのが迷惑屋と云われる人種。これは様々な形態を採る。例えば地元自治会や商工会役員だったり、農・魚協役員だったり、市会議員だったりだ。彼等にとって、業者の云うことがすんなり通ればメンツが立たない。ここで一番男を立てなくては、と思いついたのが「風評被害」。さて、東電が従来通りの民間会社だったら、シャンシャンで「被害補償」が獲れた。
 処が原発被害以後、政府による資本注入が行われたから、東電は半ば国営企業になってしまった。そうなると昔みたいに、地元に云われたから即ン億という訳にいかない。何故なら東電の支出は会計検査の対象になるから、使途が判らない地元補償金は費用として計上出来ない。それだけでなく、これに輪を掛けたのが汚染水タンク漏れ事故。これにマスコミが飛びついたから、話しが更にややこしくなった。その結果、お互い身動き出来なくなってしまったのである。それでも増えるのが汚染水。もうパンクだ、と言うわけで今年三月アベが乗り出したのだろう。総理が出て手ぶらと言うわけには行かない。その金がざっと5億と言うわけだ。この金が何処へ行くのか?大部分は地元漁協だ。漁協というのは、魚は獲らないが、陸地から金をせしめるのは上手い(本四や関空を見れば良い)。何処から出たのか?東電から、というのは上に挙げた問題から難しい。おそらく内閣機密費と言うところだろう。
 以上の事を見ると、アベ内閣の手法は、当に岸・佐藤というアベのジジイ譲りの古くさい自民党手法にすぎないのである。それに騙されているのが、日本人、特にマスコミなのだ。
(14/04/04)

本日は平成23年東北太平洋沖地震三周年。三年も経っているのに、東北じゃ未だに復興計画がもたついて、手が付けられなかったり、工費高騰で入札不調になったり、ゴタゴタの連続。これじゃいつまで経っても復興は夢の又夢。やっと復興が終わったら、人口流出で誰もいなくなり、借金だけが残った、ということになりかねない。
 一方神戸の場合は、震災半年後に復興計画が出てきて、三年後にはあらかた復興は片づいていた(但し新神戸空港なんてお荷物まで背負い込ませたのは失敗だったが)。何故この様な違いが出てきたか?神戸市や兵庫県の中で、地震が来るなんて予想した者は誰もいない。だからあの復興計画は地震災害を踏まえた者ではない。
 都市計画法では4年ごとに都市計画の見直しが出来ることになっている。神戸市はこれを利用して、4年毎に市街地の再開発計画を作っていたのだ。そして阪神・淡路大震災。しめたとばかり、金庫の奥から再開発計画図を引っぱり出し、それを復興計画に仕立て直しただけなのである。そうでなければ、あんな短期間にあんな膨大な復興計画が出来るはずがない。
 それに比べ東北三県は、震災が来てからやっと復興計画着手。つまり後手を踏んでいるのである。そんなことだから復興計画は国に主導権を握られ
、地元としての答がいつまで経っても出せない。更に、国と自治体、自治体と住民の思惑・利権が対立して前に進まない。こんなことは、これまでダムや空港なんかで散々繰り返されてきたことだ。それから全く何も学ばず、同じ失敗の再生産。そもそも東北太平洋岸地域では、津波が来ると云うことは当たり前だから、全ての都市計画はそれを前提に組み立てなければならない。例えば、道路・鉄道などのインフラは高地移転、住宅も予め移転用地取得を進める等である。処がいつの間にかそんなことは忘れられ、いつまで経っても昔通り、海岸にへばりつくようなことばっかりやってきたから、こんな眼に会うし、会ってからも未だに復興のメドさえ立たないお粗末。それに輪を掛けたのが、田老や大船渡などの役に立たない巨大防潮堤。あんなものいくら高くしても、津波は乗り上げてくるのだ。そんな役立たずを、自民党は国土強靱化計画などと云って、和歌山や四国で再現しようとしている。愚の骨頂である。ああいう巨大構造物をつくるから、住民は安心してしまったり、行政も住民に対し、これがあるから安心です避難の必要はありません、と嘘をつかなければならなくなるのだ。その結果が震災被害の再生産である。
 神戸は先手必勝で主導権を握って、早々に復興を成し遂げた。一方、東北は何もしなかったために国に鼻先を引き回され、未だにのたうち回っている。この違いは何か?DNAの差か?
(14/03/11)

 滋賀県高島町で見つかった、福島県産木材チップの不法投棄。放射能が0.1μSrで、これは許容値である年間被爆量1mSrの3倍だ、と騒ぐマスコミの無知さアホ加減はさておいて、この土地の所有者と言うか、登記者が誰かに興味が起こる。
 バブル崩壊後、全国に塩漬けになった土地は、数え切れないほどある。その多くは大手・准大手ゼネコンが何らかの形で関与しているケースが多い。
 今福島県で除染工事を請け負っているのは、そういうゼネコン。汚染物質の貯蔵施設や受け入れ先が決まらない中、業者が自分の所有地に持ち込んだ・・・或いは下請けにそう指示した・・・可能性はある。従って、この手の話しはもっと広がるでしょう。
(13/11/30)

 いよいよ始まりました福島第一原発4号機使用済み燃料取り出し。取り出し施設は骨組みだけで壁がない。あるテレビ番組で、出演者が「雨や風が吹いたらどうするんでしょう?」などと心配していたが、そんな時にこんな危険な仕事をするわけがない。しかし何故壁をなくしたのか?あっても邪魔にはならない.し、あった方が、高度感が無くなるので、作業員の心理的負担が少なくなり、作業も安全になる。天候に拘わらず、作業を継続出来るので、工程短縮・工期確保にも有利である。今の高層〜超高層建築は、みんな下から床を打ち、外壁もシートで囲って、作業員の恐怖心を除くようにしている。
 更によく判らないのが、事前にキャストの32m落下実験をやっていなかったことである。記者団の質問に対し東電が出した回答根拠は、23年前に電中研がやった、高さ17mからのものだけ。実際にはこのときのデータを基に、PICESSを使ってシミュレーションしているのだろうが、これでだけでマスコミの納得を得ることは難しい。事故後時間が無かった訳ではない。実験設備を作ろうと思えば出来たし、エレベーターメーカーの協力が得られれば、既存施設で実験する事もできた。どうも東京電力という会社のやることは、常識ある技術者にとって、理解し難いことが多い。永年の官僚的統治機構で、すっかり視野狭窄症に陥ってしまったのだろう。
(13/11/19
)

 柏崎原発の安全審査が始まりましたが、話題はフィルターベントなど枝葉末節問題。ワタクシは反原発ではないが、浜岡と柏崎は廃止すべきと考える。理由は古いということと建家の構造。あんなバラックでは話しにならない。それともう一つ、敦賀の様な三流活断層をワアワア騒ぎながら、中央構造線直近の四電伊方原発再稼働に積極的なのは何故か?嶋崎など東大学者は、所詮政権の芸者なのだ。
(13/11/21
)



 これが今マスコミや反原発部落民が大げさに騒いでいる、福島第一原発汚染水の排水バルブである。排水バルブの水漏れ云々の前に、そもそも何でこんなものつくったのか?その理由が判らない。排水バルブがあろうと無かろうと、接合部から水が漏れようと、排水溝に溢れれば皆同じだ。何故こんな小学生で判ることがわからないのか?それが判らない。要するに、東電もマスコミも反原発屋も頭の悪さは同レベルと言うこと。みんなものが判っていないのである。
(13/11/10)

福島原発の圧密沈下

 福島原発貯水タンクの沈下の原因は”圧密沈下”などと、東電はまたまた見え透いた嘘をつく。洪積世の段丘礫層が圧密など、起こすわけがない!シロウトをたぶらかすのもいい加減にせよ、だ。一体誰がこんなインチキを吹き込んだのだ。まさか応用地質という会社じゃないでしょうねえ。あの会社ならやりかねないが。要するにタンク基礎処理の手抜き、タンク底盤の構造的欠陥の結果。人災以外の何者でもない。要するに、東電に基礎技術がないのである。よくこんなことで、原発輸出などほざけるなあ、と思う。世界への恥さらしだ。
 まずここでは”圧密”という言葉について説明します。土質力学では”圧密”とは、”過剰間隙水圧が消散し有効応力が増大する過程”、と定義されます。難しい様ですが、実際難しいのです。これが発生するのは、主に未固結の水で飽和した粘性土地盤で、砂や砂礫質地盤は特殊な例を除くと対象外になる。
 土の様な多孔質媒体は、粒子と粒子間隙からなります。粒子間隙を埋めるものは空気と水です。空気の存在も重要で、今回伊豆大島大金沢で起こった土石流崩壊にも、空気が大きく関係しています。しかしそれはさておき、空気がなくて、間隙が水だけで満たされている状態を考えてみます。この中の粒子に働く力は次式で表されます。
         σ0=σ0´+u0 
         従って
         σ0´=σ0ーu0                                            (1)
 ここで       σ0;土粒子と水との全応力
            σ0´;土の粒子骨格に働く有効応力
            u0;水が負担する応力(間隙水圧)
 ここで地盤内にある外力Pが作用したとします。Pは直ぐには粒子骨格には伝わらず、一旦間隙水で支えられる。このとき発生する間隙水圧を、過剰間隙水圧冰とよびます。冰は、非排水条件ではPに等しい。この段階での地中有効応力は次のようになる。
         σ1´=σ0ー(u0+冰) = σ0ー(u0+P)                             (2)
 しかしこの状態は何時までも続くわけではない。何故なら土には間隙があり、そこから水が排出されるからである。この結果冰は次第に減少し、同時に土の骨格構造がこの力を分担することになる。この過剰間隙水圧消散過程を”圧密”と呼ぶ。この過程で土粒子骨格に発生する力を儕とすると、最終的には
          σ1´=σ0+儕ーu0                                         
となる。結局土粒子骨格は、儕という応力を獲得する事になり、その分強度が増加する事になる。但し粒子骨格が、既にある力Pcを持っている場合は
               儕=P-Pc                                          (3)
となる。
 このとき土粒子骨格に発生する歪みεは、土粒子骨格の変形係数をEsとすると
               ε=儕/Es                                         (4)
 これの総和が圧密沈下量になります。

 (3)式から Pc>=Pの時は儕=<0となるから、土粒子骨格には歪みは発生せず、従って圧密沈下は生じない。
 では、どういうケースでPc>=Pとなるかというと
(1)かつてあった上載荷重(地層や盛土)が、浸食や開発で取り除かれたとき。
(2)かつて地下水や天然ガスの汲み上げで有効応力が増加したが、その後の覆水で有効応力が減少したとき。
(3)地震による動的圧密
(4)土粒子間の化学的結合
 などである。

 又、この沈下は瞬時で生じる訳ではなく、時間を要する。この沈下量と沈下に要する時間を合わせたものが、”圧密”沈下である。
 さて、以上を予備知識として、福島サイトで圧密沈下が生じる可能性があるかどうかを検討してみる。       

1)福島原発汚染水タンク群が建設されているのは、原発施設背面の台地で、これは洪積世に生じた海岸段丘である。これは少なくとも数〜10数万年は過去に形成されたものである。土質的には主に砂礫であり、それだけで圧密の対象外になる。更に過去に何度も大地震を経験しており、十分な応力履歴(Pc)を受けている。この点からも圧密は無視して構わない。砂礫層の下は下部最新統の上部仙台層群相当層になるが、これは上部の段丘層が堆積するまでに、一旦削剥を受けており、その点からも段丘層以上のPcを受けている。
2)圧密を生じるには、地盤が水で飽和していなければならないが、そのためには地下水位が地表面近くになければならない。しかし、この様な洪積世段丘層でそのような可能性は考えがたい。実際東電自身、当初は仮に汚染水漏れがあったとしても、地下水に到達するには時間が懸かると説明していたのだから。常識的には、地下水位は地下数mにあると考えられる。
3)つまり在来の台地とその下には、圧密沈下を生じる可能性のある地盤は、存在し得ない。しかし、古い池や谷があって、そこに軟弱層が堆積していた。そこを盛土したためタンクが圧密沈下を起こした。

 福島第一原発港湾地区で放射能強度が増大。理由は地盤改良工事・・・つまりLW注入工事。だから云わんこっちゃない。東電は港湾地区の止水を、シルトフェンス、鋼管矢板列、更に現在施工中のLW注入の三重の防護壁などと言って胸を張ったが、こんな嘘八百のタワゴトに騙されるのは、自民党かアホのマスコミぐらい。要するに最初の二つがダメだったから、今三番目をやっているだけ。これだって本当に効果があるかどうか判らない。多分ダメだろう、とは筆者が既にここで先月(13/09/07に指摘してある。汚染水の流出原因は、おそらく注入圧の掛けすぎだろうが、注入孔の位置が護岸に接近し過ぎているのかも知れない。事前に十分な実験工事をやったのか、その点が疑われるだろう。

 さてもう一つはタンク底面からの漏水。東電はこれを鋼板とパッキンの熱膨張の差と発表。鋼板とパッキン材との熱膨張率の差がパッキン材に繰り返し応力を与え、破断する可能性は、既に筆者が上と同じ(13/09/07)の記事で指摘しています。只疑問な点が2点ある。
1、新聞報道では底面で、熱膨張の差によりズレが生じた事になっているが、タンクに溜まっているのは水である。熱の素は太陽熱だが、水は比熱が大きいので、簡単に熱を底面に伝えない。1〜2年の短期間で、部材にズレを生じるほどの温度差を与えるとは思えない。
2、最初底面からの漏水が見つかったタンクの、外周コンクリートに発生したクラックは、明らかにタンク基礎の不等沈下によるもので、熱膨張の差ではない。東電或いは請け負い業者の、施工技術が未熟だったからに他ならない。
 但しその後見つかった側面からの漏水は、ボルトの緩みとされているが、熱膨張の差がボルトの緩みを発生させているのであって、締め直せばそれで済むと言うものではない。外壁には、筆者が云うとおりPC鋼線で緊張を掛けておくべきである。
(13/10/16)

勇気あるトンネル屋よ出よ】

 先日環境省から福島事故での、汚染土中間貯蔵施設建設計画の概要が発表されました。新聞でそれを見たときの第一印象は、こんな物、プロの技術屋の考える事ではない、大学生の夏休みレポートのレベルだ。

1、施設の概要は法切りオープンカットで、地盤を掘削し、そこにフレコンバッグ(所謂トン袋)詰め汚染土を収納しようというもの。
2 、この工法の利点は
1)最も単純な工法で、誰でも出来る(土木のシロウトの東電や環境省でもだ)。しかし出来るのは形をなぞるだけで、本質は真似出来ない。
2)比較的コストが低い。
と言うことぐらいしかない。しかし長期的に見れば、必ずしも低コストとは云えない。
3、逆に問題点は
1)まず用地確保が問題。行政は納得しても個々の地権者は別。一人一人と個別に交渉して行かなくてはならない。これは途方もない時間と労力を要する。
2)明かり工事だから、工程が天候によって左右される。施工中の雨水排水が大変。
3)図では施設を地下水面の上に設置することになっている。この地下水面は自由地下水面だから、季節によって大きく変動する。それによって掘削高が規制される。そもそも日本で、こんなに地下水位の低い場所があるのでしょうか?
3)最上部には覆土する事になっているが、ここにも雨水の浸透がある。結局、最後は雨水排水で、今の福島第一原発のように、アタフタするのではないか?
4)雨水は図では、排水管により河川又は海に排水する事になっているが、果たしてこれが地元の納得を得られるか、これも問題である。それとこの排水管は地山の中に設置されるが、どうやって施工するのでしょうか?排水管と施設ヤードとは連結しないのでしょうか?
5)汚染土と言っても放射線を出す。その地表への影響はどうか?覆土厚が小さければ、地表は地下の汚染土の影響に曝される。何のための中間処分か判らなくなる。覆土厚を十分大きくとろうとすれば、恒常的に地下水を汲み上げ、地下水位を下げなくてはならない。その点の配慮がこの図には全く示されていない。

 何となく、この施設概要図は都合の良いところだけを集めてでっち上げた、只のマンガにしか見えないのである。

 問題はまだまだある。環境省副大臣の桜田が「中間貯蔵施設は人の住まない福島へ」などと発言して、菅が口頭注意したが、これなど官邸の本音を反映した典型ヤラセ発言。つまり民意を測るアドバルーンである。自民党の得意技だ。もし桜田発言が政府の本音なら、本施設は福島県内の汚染地区に設置されることになる。そうすると、貯蔵施設の掘削で新たな汚染土を発生させることになる。その処理のために、又貯蔵施設が必要になるから、いつまで経っても作業は終わらない事になる。
 最大の問題は用地取得である。掘削底面をあくまで地下水面上とするなら、おそらく膨大な面積が必要になる。これを巡ってあちこちで綱引きが始まり、その内・・・・いや既に始まっているかもしれないが・・・・政治家や、或いはヤクザの介入を招きかねないのである。逆に言うと、自民党とアベ内閣はそれが狙い目なのかもしれない。自民党福島支部と不動産屋、地元ゼネコンには大歓迎の工法である。

 これに対し筆者が考えているのが、地下空洞収納法である。地下に大断面空洞を掘削し、そこに汚染土(や汚染水)を収納するものである。

1、地下30〜40m付近以下に大断面トンネルを掘削し、それを汚染土(汚染水)の貯蔵施設とする。
2、用地が東電所有地内なら問題はない。民地の場合でも、地下40m以深であれば大深度法が適用出来るので、用地買収の必要はない。つまり政治家やヤクザの介入余地はない。
3、トンネル工法はNATMとし、防水シート・ロックボルトで遮水・補強を行う。いずれも既に実績が多く成熟した手法である。
4、掘削対象地山は上部仙台層群相当の軟岩であるが、ロックボルトやアンカー等の補助工法を併用することにより、十分施工は可能である。
5、地上に十分な土被りを採れば、これが天然バリアーとなって雨水浸透を防げる。

 この種の大規模地下空洞掘削工事例として、兵庫県平木鉱山のサブレベルストーピング法と、カット&フィル工法の例を示す。本鉱山では中生代白亜紀有馬層群中の熱水変質帯を対象に、カオリナイトの採掘を行っている。採掘済み部分を岩石ズリで埋め戻している。

 本工事の特徴の一つに、一辺8mのピラー(鉱柱)による仮支えがある。この概要を下図に示す。ピラーはカオリナイトをそのまま使い、2mのロックボルト、更に天盤にはケーブルボルトを使うシステムボルテイングにより切り羽を補強している。カオリナイト岩盤の強度はというと、ハンマーで叩けばボソッと言うだけ(これは筆者が実際に試したのだから、間違いない)の、云ってみればD級の上ぐらいの程度である。上部仙台層群相当なら、それ以上の強度は持っているはず。このピラーは盛り立てと平行して撤去される。
 既に何10年も前から、この様な大規模空洞掘削が行われているのである。何故この様なアイデアが出てこないのか、不思議でならない。みんな怖がっているのか。今こそ勇気あるトンネル屋の登場を願うものである。

 この方法を拡張すれば、今の原発直下数10〜100mぐらいの深度に中間貯蔵施設、地下数100m付近にハイレベル最終処分地、という考えが出て当然なのである。何故廃棄物発生地と処分地を分けなければならないのか?その必要は全く無いのである。これで儲かるのは、実は自民党。電力会社と地元が揉めれば揉めるほど、政治家の出番が増えてくる。それが政治利権に繋がるのである。そしてそれを左派反原発部落民が、結果的に支援しているのである。「核廃棄物は、発生源の地下で処分する」という原則を法律で規定すれば、何の問題も無くなる。アホのコイズミ純一郎の馬鹿発言も雲散霧消なのである。
(13/10/11)

 下の図はボーリングNO1-2孔に於ける全線量の垂直分布です。ところでNO1−2と言うのがどの位置なのか、東電のHPをみてもさっぱり判らない。出てくる図面がバラバラで、統一性が採れていないためである。それでもあれこれ見比べて、この地点は2号機から出る分岐トレンチが、護岸と接する場所の近くらしい事ぐらいが判った。
 表示しているのは全線量だから、どれがどの物質から出ているのか判らない。例えばγー線を出す物質なら、例えそれが質量として少なくても、線量としては大きな値を示す。そういう問題はあるが、ある傾向があることは判る。それは線量分布が、OPー0m(GL-4m)付近をピークに正規分布傾向を示すことです。他にもピークはありますが、OPー0m付近が特に顕著です。
 これはどういうことかと言うとOP-0m付近に、水ミチのような空隙があり、そこに圧力を持った汚染水が侵入し、それが周囲に浸透していることを現しています。と言うことはその空隙を閉塞してしまえば、汚染水の湧出は止まると云うこと。問題はどういう方法でそれをやるか、と言うことだ。人によってやり方は異なるが、東電はどうもそれをLW注入という、時代遅れの工法でやろうとしているようだ。筆者なら、ウレタン注入で対処する。ウレタンを使えば、細かい空隙もびっしり閉塞出来る。何故そんな常識的工法を使わないのでしょうか?

 ところで東電は参考資料にボーリングコア写真を貼付しているが、説明図(柱状図)が無いので、何がどうなのかさっぱり判らない。写真から見る限り、地表(GL+0m=OP+4.0m)から2mは盛土。その下は上部仙台層群相当の泥岩だろう。上の図で、地下水浸透が生じていると考えられるGL-4m付近の状態を見ると、どうもGL-3.9m付近から4.5m付近までコアが軟質になり、おまけにGL-4.1m付近までに、何か斜めの割れ目が入っているように見える。これが汚染地下水の流動経路になっている可能性が高い。だから、汚染地下水遮断工法の計画には、もっと詳しい地質構造調査が必要なのである。
(13/10/07)

アベが国際会議で福島の汚染水対策に「世界の知見を」と訴える。とんだ恥さらしだ。たかが1日400tの水を何故止められないのか?それでも技術屋か!と云いたい。青函など毎秒数10tの湧水を止めているのだ。こんな物通常の土木技術で簡単に解決出来る。これぐらいのことが出来ない原因は、東電・経産省・官邸・業者の内部や周辺に、対策工について派閥が出来て、それが互いに足を引っ張り、おまけに、それぞれに政治家=族議員がくっついているからである。
 本来それを交通整理して道筋を付けるのが、首相なり官邸の役割なのだが、能力と基礎知識が足りないから、誰かに利用されるのである。
 問題は東電に対する国際的信用度。ああ後から後からミスを連発されると、東電の云っていることは本当か、と疑いたくなる。従って、誰もまともに付き合いたく無くなるのは当然。だから国際的知見など出てこないし、出てきても、この際日本から金を、ふんだくれるだけふんだくろうという怪しい連中だけ。最初の汚染水水処理で、フランスやアメリカメーカーに騙されたばっかりじゃないか。それでもやろうと云うのだから、アベなど本当に真性アホだ。

(13/10/06)

 東北産並びに、その他の日本産魚介類でも、僅かでも放射性物質が認められれば輸入禁止、という韓国政府の決定に対し、日本政府は「非科学的である」とWTOに提訴。ところが、同じ舌で東電に対し汚染水を「1ミリ*でも漏らしてはならぬ」と要求。これは矛盾ではないか?
 何故漏らしてはならないのか?あの東大工学部の馬鹿准教授と同じで、漏らすと放射能が勝手に増殖していく、とでも思っているのだろうか?放射能とウイルスの区別が付いていない。
 誰がこんな馬鹿げたことを云ったのか知らないが・・・おそらくアベ辺りがのぼせ上がって、口走ったのだろう・・・、このために地盤凍結などという馬鹿工法が出てくるのである。
 愚か者に権力を持たすと、国が滅びる典型である。こんなことをやらされたのじゃ、東電からまともな人間はドンドン去っていく。残るは愚者の楽園だ。
*ミリとは1/1000を現すSI単位接頭語で、これだけではどういう物理量を現しているのか判らない。この後に基本単位として、ニュートンなり立方メートルを付けなくてはならない。こういうことも判らない人間があれこれ指図するから、現場が混乱するのである。
(13/10/05) 

 又も福島で汚染水漏れ。タンクヤードの外周を囲むコンクリート隔壁から、雨水が溢れたというもの。こういう事故は前にもあったように思う。雨は今後も降るのだから、こういう事故は今後も起こるということだ。
 筆者は前から考えていたのだが、思い切ってタンクヤードをテントで囲めばよい。つまりドームである。こうすれば雨水をカット出来るし、雨天でも補修作業が出来るから効率アップ。ついでに原子炉建家やALPSを含む全敷地をテントで覆う。何故なら、地下水でも今問題になっているのは表流水である。これの供給源の大部分は雨水浸透。これをテントで全面カットすれば、地下水対策は随分楽になる。なお、コンクリートやアスファルトは遮水材としてはあまり効果はないので、これによる被覆はしても無駄である。
(13/10/03)

 経産のキャリア官僚が自身のブログに、「三陸復興無用論」をアップして話題になっている。実はこれ、ワタクシが震災半年後(11/09/06)に「復興から復旧へ」と題して、同じ所見を述べている(中身が同じかどうかは知らないが)。
 要旨は、そもそも東北三陸地方は過疎地帯で、将来人口が増加する見込みはない。そこに莫大な復興予算を付けても将来的効果はない*。一時的なバブルを産むだけで、残るは借金だけ、百害あって一利なし。面倒で時間が懸かる復興より、早期に地域再建を図れる復旧の方が得策である。それどころか、復興予算はバブルどころか、自民党政治家、地元土建屋、ヤクザ始め闇社会の食い物になるだけだ。その証拠が、高さ15mの巨大防潮堤である。他にもそういう傾向がでている。
 筆者は今それより過激になって、三陸地方では海抜15m以下は居住禁止とし**、そこで住みたければ一切自己責任とし、国・行政は補助を行わない。これぐらいやらなけりゃ、この民族は、同じ失敗を何度も繰り返す。これというのも、五百旗頭や梅原猛***の様な、現実を知らず、東北に住んだこともない、関西文系アホに、復興構想を任せたからである。
 しかしこの様な正論は、日本人のような情緒社会主義国家には、到底受け入れられないだろう。斯くして、日本はガラパゴス化を進め、滅亡するしかない。いずれ日本人はガラパゴスイグアナのような絶滅危惧種となるだろう。
*「あまちゃん」だけでは人口は増えない。
**実際現地には、「これより下には人は住むべからず」という標柱が残っている。何故、先人の教訓を守れないのか?
***五百旗頭は神戸出身。梅原猛はヤマト朝廷の回し者、藤原氏のスパイだ。ヤマトによる日本支配を追認した元凶でもある。
(13/09/26) 

 確か09./13の毎日新聞記事だったと思うが、福島事故対策案を国内外に公募する、という記事があった。項目は
   1)トリチウムの除去方法
   2)タンク基礎の補強方法
   3)タンクからの漏水検知方法
   4)汚染地下水の処理方法
 何故こんな程度のものまで、外国に頼ろうとするのか?それが理解できない。逆にこの程度の問題に解答を出せない、国内企業や研究者の能力劣化が問題なのである。

1)トリチウムの除去方法
 これは既に1950年代には完成している。トリチウムという物質は、自然界に一定割合で存在している水素同位体である。又、海水中には大量に存在する。水素・重水素とトリチウムは質量は違うから、これを遠心分離器にかければ、トリチウムを分離出来る。結構単純な原理なのである。ただしその前に濾過や水素のガス化など、ややこしいプロセスが必要であるが、それを使えばトリチウム除去は難しい話しではない。この程度のことは誰でも知っていることなのです。
 実はトリチウムは・・・・トリチウムだけではダメですが・・・水爆の原料なのです。初期の水爆は、重水素とトリチウムをぶつけてエネルギーを得るというやり方をやっていました。これでは水爆が大きくなってしまうので、今では重水素ーリチウム型水爆の方が主流になってるはずです。又その設備を持っているのは、今のところアメリカ・ロシアと、後は中国とイギリス・フランスとせいぜい日本ぐらいで、何処にでもあるというものではない。ただし米露中仏英は、現在ではトリチウム製造プラントを廃止しているか、動かなくしているはずです。日本にも熱核融合炉研究のための、トリチウム製造プラントはあるはずですが、研究用だから急な用には役に立たない。従って、アメリカかロシアに委託と云うことになるが、どちらも核軍縮交渉に妥結したばかりだから、外国からのトリチウム処理を引き受ける訳がない。だから嫌でも処理プラントを別に作って、国内処理にならざるを得ないでしょう。
 ところが、既に日本は数100tのプルトニウム・・・軽水炉産だから現実には役に立たない・・・を所有し、更に昨日イプシロンロケットの発射にも成功した。固形燃料ロケットだから、軍事転用は可という見方はある。ただしその割に図体が大きいから、潜水艦にも、トレーラーにも積み込めない。要するに役に立たない。更にここにトリチウムが加われば、日本は将来核武装に踏み切るのではないか、と疑う国は疑ってくる。
 問題は除去されたトリチウムの後始末をどうするのか?それに日本政府が・・・国際的にも納得される・・・明確な答えを持っていなければ、海外企業は乗ってこない。国内企業でも、日立・東芝など海外展開している企業は、同様の反応を示すだろう。

(1)現在世界中に存在する人工トリチウムの大部分は、1950年代の米ソ、1960〜70年代の英・仏・中の大気圏核実験によって、もたらされたものが大部分である。現在未だそのかなりのの部分が残っている。それに比べれば、今回福島第一原発で排出されたトリチウムなど、ゴミみたいなものである。
(2)トリチウムは仮に吸収しても、2週間程度で対外に排出され、健康的には殆ど影響はない。
(3)トリチウムの半減期は12.3yで、セシウム134やストロンチウムSr90に比べ、1/3〜1/2以下になる。つまり数10年ぐらい経てば、殆どは安定同位体に替わってしまう。

 以上の理由から、筆者には何故アベがトリチウム除去に拘るのか、理解出来ない。現在漏出しているトリチウムなど、除去する必要があるのでしょうか?。むしろ、分からず屋の漁協とか、無責任にあれこれ非科学的騒ぎを起こす、国際的反原発テロリストを除染するべきだろう。

2)タンク基礎の補強方法
 この問題は実は次の三つの命題に分かれる。
 (1)基礎地盤の地耐力不足
 (2)基礎の耐荷力不足
 (3)タンク底盤の強度不足

 問題をどれかに絞らなければ、答えが返ってこないのは当たり前である。ところが日本の役人はしばしば、問題あやふやにしたまま、答を要求することが多い。東電という会社も十分官僚的体質会社である。筆者はこれまで役人のあやふや要求(これは国交省とか、農水省のように中央官庁に多い)で、散々煮え湯を飲まされた経験があるから、ウッカリ解答を出す気にはなれないが、とりあえずの所見を述べておこう。

(1)基礎地盤の地耐力不足
 タンク高さは11mであり、荷重度は常時で110〜120KN/u、地震時でその3割増しとしても、せいぜい150〜160KN/uに過ぎない。一方本タンクヤードは地形には、阿武隈山地東方に発達する洪積世の海岸段丘上にあり、地耐力は少なくとも300〜500KN/uはあるので、地対力は問題無いと言うのが、常識的判断である。ところが一部のタンクで、水張り試験で8pという大きな沈下量があった。更にその周囲の張りコンクリートにもクラックが入っている。常識的には沈下量はせいぜい2〜3pと言ったところ。コンクリートにクラックが入るなどあり得ない。従って、8pという沈下量は明らかに異常である。何故こんな異常値が出てきたかは東電の説明が必要だが、筆者は敷地造成時の施工ミスと考えている(13/08/27)。と言うことは、この問題を全タンクに及ぼす必要はない、ということだ。そして、それは各タンクの水張り試験データを見れば、一目瞭然の筈なのだ(ただし、試験が正常に行われ、データの改竄・捏造が無い、という条件が必要)。
 もしこれで、地耐力不足と疑われたタンクが現れればどうすべきか?基礎地盤の補強工法には色々あるが、どれももの凄く高くつく事と、基礎地盤は強化されても、上部構造物が却ってガタガタになるので、百害あって一利なし、というケースが少なくない。代替タンクを作って、貯留水を一旦そこに移し、タンクを解体した上で、基礎地盤を改良するか、放置するかを考えた方が安く付くだろう。

(2)基礎の耐荷力不足
 一般に危険物貯蔵施設としてのタンク基礎には
 @ベタ基礎
 Aリング基礎
 Bクイ基礎
 が用いられる。地盤条件から見てBクイ基礎はあり得ないので、@かAのどちらかだが、どちらも基礎には鉄筋が入るので、幾ら基礎地盤が段丘層で無くても、(1)で挙げた8pという大きな沈下量などあり得ない。と言うことは、基礎に鉄筋が入っていないという構造上の欠陥が、他のタンクにもあるのでは無いかという疑いを作る。ところで上に挙げた基礎種類は、恒久施設としてのタンクに対してである。恒久建造物であれば建築基準法による認可*が必要である。しかし短期的な一時貯蔵施設であれば・・・要するに仮設構造物・・・、その手続きは必要ではなく、タンク基礎も必要ではない。今回のタンク群建設には、その種の行政上の抜け穴をくぐった可能性が大である。と言うことは、タンク基礎の設計や施工上の記録が全く無い(仮設だから、記録保管の義務もない)というケースも十分あるのだ。本タンク群の設計・築造に関し、東電がどういう発想で臨んだか、というのは非常に大きな要素である。これを知らずに、あれこれ云っても、却って馬鹿を見るだけでは無いか、という根本的な不信を抱かざるを得ない。
*汚染水の放射能線量によれば、これ以外に危険物貯蔵施設としての設置許可が必要。

(3)タンク底盤の強度不足
 タンク底盤は一枚の鋼版で出来ているわけではない。数枚の鋼版を溶接で繋ぎ合わせているだけである。もしタンク基礎が無かったり、底盤地盤に凹凸があれば、底盤に弱点が生じ、汚染水を貯めれば、そこに水圧が集中する。この結果、溶接が矧がれたり、溶接部分で底盤が引き裂かれる事もある。この問題は要は溶接の問題なのである。

 それはそうと、筆者はこれをもの凄く難しく考えていたようだ。それは汚染水をタンク内に貯蔵したまま、基礎の補強をやらなければと思っていたのである。これは確かに大変難しい(不可能とは云わないが)。処が、本日(13/09/21)、新聞を見ていると、なんとタンクを空にして、内部のボルトを締め直しているではないか。タンクを一時的にでも空に出来るなら、上記の問題は一挙に、実に簡単に解決出来る。工事の手順は以下の通りである。
@まずタンク底盤調査を行う。この目的は@底盤に傷が入っていないか、溶接に乱れが無いかのチェック、A底盤下に隙間が無いかどうかのチェック、である。@については上面からの目視観察、Aについては超音波探傷診断などで調査する。最近は非破壊検査技術が進んでいるので問題はない。問題は汚染水を移送した後のタンク内放射能強度だけで、これが強すぎれば、探傷技術に新たな開発が必要になるかもしれない。
Aタンク底面にゼオライトかベントナイトの様な吸着性物質を散布被覆する。その上に防水シートを重ね、上から更に吸着材を重ね、最後にコンクリート吹きつけを行う。防水シートと云っても只のビニールシートではない。トンネルNATMで使う防水シートを使用する。底面版の撤去は不要である。コンクリート吹きつけ厚は30p程度が目安。
Bコンクリート硬化後、ロックボルトを打設して基礎と地山を一体化させる。@で隙間が見られたら、そこにコンタクトグラウトを行う。

 以上でタンク基礎の補強・防水化は完了である。

 次ぎにタンク本体の補強と防水化に移る。タンクを空に出来るから、これも基礎の補強工と同じ作業を繰り返す。
@まずタンク内面にコンクリートを吹きつけを行って、セグメントとフランジ間の凹凸を埋める。
A次ぎにコンクリートが硬化しないうちに、防水シートと吸着材を貼り付ける。
Bコンクリートを吹き付ける。

 しかし、タンク自身の強度が弱ければ、ボルトが緩んだり、セグメントの隙間が開く。それによって内部止水工がダメージを受ける。これに対しては、タンクの外側をPC鋼線により緊張をかける。これにより、タンク強度を緊張度にもよるが、10〜20%は増加出来る。必要であれば、再緊張をかけることも出来る。なんら問題はない。

以上でタンクからの防水対策及び駆体補強は完了である。

3)タンクからの漏水検知方法
 率直に云って、目的がよく判らない。上記2)の対策で、タンク及び基礎からの漏水は防止出来るから、今更漏水検知など必要ではないはずだ。だから、タンクが現状のままで、2)に先だって、漏水タンクかどうかを判定するための漏水検知なら理解できる。
 これは実に簡単な問題で、何故こんな初歩問題を公募するのかよく分からない、と言うのが筆者の率直な感想である。地すべりに経験のある技術者なら5分で答を出す。出せなければパーだ。漏水検知の目的には
(1)漏水量検知
(2))漏水地点の検知
 の二つがある。
(1)漏水量検知
 これはタンク頂部からの水位測定とか、タンク底盤に高精度間隙水圧計を設置すれば事足れるので、たいした話しではない。
(2))漏水地点の検知
 これもあまりたいした話しではない。タイミングとしては、2)の前段階とイメージすればよいのだろうか?
@タンク内にトレーサーを投入する。トレーサーとしては何種もあるが、バックグラウンドとして放射能強度が高い事を考慮に入れなくてはならない。
A結論としては、蛍光発色剤が一番簡単で誰でもよく分かる。一般にはフルオレッセンソーダを使うが、べつに”バスクリン”でも構わない。漏水個所があれば、紫外線を当てると蛍光を発するので誰でも判る。タンク底盤からの漏水も、そういう水は一旦は、必ずタンクと地面(或いは底盤コンクリート)との境界から、外部に浸潤するので、底面部に紫外線を当てて観察すれば、必ず検知出来る。

 
4)汚染地下水の処理方法
 これはタンクからの汚染水対策と、原発本体からの対策とで異なる。更に既に流出している汚染水と、これから生じ得る汚染水とでは、対策の方針も異なるのである。これは実は複雑に関連し合うので、簡単な話にはならない。ここでは汚染水タンクからの漏水対策に絞る。
 まず2)でタンク底盤や駆体の漏水が防止できるので、今後汚染水の増加は防げる。従って、問題は既に地下に浸透した汚染水対策に絞れる。これの基本工法は地下水排除工である。これは従来の地すべり対策事業で、十分成熟した技術である。これについては既に述べてあるので省略。
(13/09/22) 

 全く東電という会社は本当に困った体質だ。何が困った体質かと云うと、肝心なことを隠し、ほとぼりが冷めた頃に「実は・・・」と小出ししてくる。つまり後出しジャンケンなのである。しかもそれに政治日程を利用してくる。例えば、海洋部への放射性物質漏洩は、参院選の後。今回の汚染水タンクからの水漏れが、地下水位に達したと言う発表も、東京オリンピック決定後。又ブエノスアイレスIOC総会前に、アベがいきなり福島問題を、政府主導で解決すると発表した。以上の事を付き合わせると、東電発表の背景には官邸の強い意向があり、東電はそれに沿った発表しか出来なくなっている。もはや東電には当事者能力はなく、政府の差し金で云うままに動いているとしか云えない。脳死状態に入った生きた屍だ。おそらく官邸と東電の背後に、闇の人物がいて、それが双方の橋渡しをしているのだろう。
 さて政府が取って代わると言うが、本当に大丈夫なのか?そもそも何処が主管となるか、それすらも決まっていない。アベはアメリカ企業を招く*などとたわけたことを云っているが、アメリカ人に日本の地質のややこしさを判る人材はいない。金だけむしり取られて、後始末は日本人だ。あのフランス製やアメリカ製放射能除去装置のブザマを見ればよく判る。東京都庁舎の設計も、当初はアメリカ企業がコンペ一等を獲ったが、結局ものにならず、詳細設計は丹下健三作になった。その間役立たずの絵を描いた、アメリカの建築屋に東京都が幾ら払ったか、判らないのである。
 さてそれはともかく、昨日テレビに出てきた映像では、背後の台地下で西から東に向かう矢印があり、その下流に15本の井戸があり、それらを繋ぐバイパス管で海に流す画があった・・・何となくワタクシが09/07記事で書いたことを、パクッテいるような気もしたが、それは云うまい。
 と言うことは、東電は上記の矢印が、地下水流動の方向だと思っていたのだろう。もし、これが本当なら、対策としては今のタンク群の上流・・・敷地の東側・・・に集水井を設置し、そこから水を集めて海に流せばよい。集水井は今のような15本も要らない。敷地面積から見ても3〜4基で十分。ただし集水ボーリングを併用する。要するに上流でブロックし、下流で処理するのである。問題は既設タンクからの漏水。むしろタンクヤード外周を凍結した方が良いかもしれない。これは冗談だが、地下水対策と汚染水対策は、区別して考えなくてはならないのである。
*これは顕かなアメリカすりより路線。政権延命にアメリカの支援を頼ろうとしているのだろう。
(13/09/12)
 

ブエノスアイレスIOC総会で、アベは「福島の汚染水は完全にブロックされている」と大見得を切ったが、事実はとんでもない。今後地下水と海水汚染は更に拡大していくでしょう。
(13/09/10)

汚染地下水対策

 そもそもことの発端は、東電が汚染前の流入地下水を海へ放流する計画を地元に打診したところ、たった一部の漁協が反対し、その結果が、国を挙げての福島汚染水対策。実態は東京オリンピック誘致のためのパフォーマンス。何事も外圧が懸からねば何もしないのが、この国民の性。なお、反対漁協組合長は、東電の鼻先を引き回し、国からか法外な金をふんだくるのに成功したのだから、さぞかし鼻高々だろう。
 さて福島汚染水対策、総額500億とも云われるが、そもそも問題は何か?全く関係のない事をマスコミも、政府も政治家も、みんなゴッチャにしているのだ。その結果が500億という法螺金になってしまった。これらを別々に解決していけば、コストは数分の1以下で済む。
1、原子炉建家への地下水の流入
2、流入地下水の放射能汚染
3、汚染水貯蔵タンクと、タンクからの漏水
4、原子炉建家と付属施設からの汚染水の漏出
 これらの解決には
5、地下水の流入経路と、建家からの流出経路の確認が何よりも必要だが、東電はこれについて、何ら具体的な解答を持っていない。これが最大の問題である。

1、原子炉建家への地下水の流入
 建家への地下水流入量は”たった一日300t”である。これを”たった”と表現するか、”300tも”と表現するかで、世間の印象は大違い。今の世間感情では、どうも後者の印象らしいが、それは実際を知らないシロート考え。300t/dayを分当たり水量に直すと、200l/minに過ぎない。これは土木では殆ど湧水と見なされないレベルである。通常の工事なら、側溝を掘って釜場に集め、1t/min程度の水中ポンプで排出してしまうレベル。日常的な現象なのである。今の土木屋は、この程度の湧水すら処理できないのである。
 新聞によれば、原発建家背後に15本の井戸を掘って、地下水を汲み上げている。誰がこんな馬鹿馬鹿しいことを、東電に奨めたのでしょうか? 別にやってはイカンとは云わないが、もう少し知恵を出しても良いと思はないでしょうか?。通常は別の方法で地下水流入経路を調査し、そこに向けて集中的に対策をやるものである。15本の井戸がその調査だ、と言うならそれでも構わない。しかし15本の井戸の、全ての揚水量が同じであるはずがない。揚水量の多い井戸もあれば、少ない井戸もある。その分布が@地下水流入経路なのである。また、各井戸掘削時に透水試験(低圧力のルジオンテストでよい)とか流向流速測定をやっておけばA透水層の垂直分布が得られる。両者を組み合わせれば、地下水流動機構、つまり地下水の透水経路が得られる。そこに集水井を掘削し、集水ボーリングで地下水を集め、排水ボーリングで海に排出する。200l/min程度の出水量なら、100〜150o程度のパイプで十分排出出来る。これは何も奇をてらった工法ではない。地すべり対策工では、何処でもやっている標準的工法である。凍土壁*など全く必要ではない。ただし、排水は放射能に汚染されていないことの確認が必要である**。第一、地下水の湧出は今に始まったことではなく、原発開設以来常にあったはずだ。その時の状態をよく調べておけば、どの辺りで地下水が多いか、大方の見当は付けられるはずである。更にとっくの昔に地下水対策工をやっておけば、今頃こんな僅かな湧水で、大騒ぎする必要はなかったのである。
 ところが現在東電から示された対策工は、漫然と施設の周囲を取り囲む画だけ。地下水の流れとか、そういう特異性は全く考慮されていない。こんな画は工業高校のレポートでも描ける。土木というより、建築屋の画だ。
 ここで厄介なのは、3、汚染水貯蔵タンクと、タンクからの漏水だ。問題をこれと関連付けさせないためにも、発電所を含む広域の地下水調査が必要なのである。

*そもそも、福島第一原発の所為で、日本中の原発が止まり、そのあげくが膨大な貿易赤字。おまけに国民は、やれ電力料金値上げ、やれ節電で大迷惑。そのあげく出てきたのが、凍結工法という電気を贅沢に使う工法。これでは筋が通らない。そこを追求するメデイアが全くないのは、どういう訳だ?
**これが出来るには関連漁協の承認が必要だと言うが、何故必要なのでしょうか?そもそも、これは関連10漁協の内9漁協までは承認している。僅か1漁協のみが反対しているだけなのだ。こんなのは、漁協幹部を金で買収するなり、なんなりすれば、どうにでもなる(その漁協も最近軟化しているという話しもある)。凍土壁300億に比べれば易いものだ。それで云うことを聞かなければ、東電はデータを揃えて裁判所に強制執行を請求すればよいのである。なお、これが国直轄工事になれば、それこそ区分所有法を使って強制執行はやりやすくなる。無論反対派は人間を送り込んで実力阻止だ。成田三里塚闘争の二の舞みたいだが、今の左翼にそんな根性はない。
 
2、流入地下水の放射能汚染
 1、によって地下水の遮断又は経路変更が為されれば、この問題は自ずと解決する。残りは原子炉建家内に溜まった水処理だけなのだ。後はALPSの回復を待つだけとなる(筈だ)。

3、汚染水貯蔵タンクと、タンクからの漏水
 これは結構厄介な問題である。現在使われているセグメント式タンクは、今の日本では地上設置型の永久貯蔵施設としては認められていない。筆者もこんなの見たことがない。このタイプの壁体は、土木では大口径深礎の抗口支保工ぐらいで、他にはちょっと見あたらない。どっちみち仮設材だから、耐用年数は数年くらい。その後は解体してメーカーのメンテナンスを受けなければならない。つまり、東電はここ数年の耐用年数内に、これの処分を決めなければならない。
 タンクからの漏水は、@タンク基礎部からの漏水と、Aタンク本体からの漏水に分けられる。@は基礎処理や底盤部の施工不良が原因である。しかし、これはタンク築造直後の水張り試験で容易に検知出来る。つまり、水張り試験結果(試験がまともに行われておればの話しだが)を見れば、どの範囲のタンクに問題があるかどうかは、一目瞭然なのである。しかもこれは非常に早く現象が現れる。極端には、タンクを満杯にした直後にも現れるのである。
 一番見分けにくいのはAタンク本体からの漏水である。これはタンク本体の構造的欠陥に由来する。この方式では各セグメントの接合部にポリウレタン材料を挟み、それをボルトで締め付ける。ここでの問題は止水材(ポリウレタン材)の材料劣化である。この原因は二つある。接合材であるポリウレタン材料の放射線に対する耐久性。もう一つは鉄とポリウレタン材との熱膨張率の差による繰り返し応力による、止水材の劣化である。これはセグメントを緊結するボルトの耐久性にも影響する。それだけでなく、紫外線照射によるタンク本体の発錆も生じている。これまでの漏水は主にタンク基礎からだった。これはある程度、場所を特定できる。しかし、今後はタンク本体からの漏水が頻発する可能性がある。そしてこれらの汚染水が地下に浸透する可能性が、もっと大きな問題である。この問題は2〜3日前から気が付いていたのだが、ここに書き込む前に昨日(13/09/05)に東電が、その事実を発表しました。これらを考えると、タンクからの漏水は今後更に拡大すると考えられる。

4、原子炉建家と付属施設からの汚染水の漏出
 これは地震後半年ほど経って発生した、電源ケーブル用ボックス(いわゆるトレンチ)からの漏水である。これが発覚して東電がやった対策が、係船岸壁外側への(1)シルトフェンスの設置、(2)鋼矢板壁の打設。そして現在施工中の(3)水ガラス壁の築造である。東電(及びアベ総理)は、これを三重の防護壁と称し、アベは完全にブロックされていると内外に声明した(13/09/08ブエノスアイレスIOC総会)。事実は全く逆で(1)(2)が全く効果が無かったので、慌てて(3)をやっているのに過ぎないのである。
 (1)シルトフェンスとは網です。シルト(粒径0.076o)以上の粒子を通さないだけの効果しかない。それ以下の粒子(粘土やコロイド)は通ってしまう。鋼矢板は確かに、土木工事での止水に使われるが、矢板同士の間に隙間があり、完全に水を遮断出来る者ではない。止水と言っても、工事に差し支えない程度のレベル。水は必ず漏れるのである。その証拠が、小名浜海水面潮位と、敷地内地下水位との関係(東電HP)潮位と地下水位には明瞭な相関があり、地下水と海水が連動していることは顕かである。誰がこんなことを東電に奨めたのでしょうか?
 それが今年になって判って、慌てて始めたのが岸壁内での(3)水ガラス注入。東電はこれにより、水ガラス壁を作ると言うが、そんなこと出来るのでしょうか?第一に、水ガラスはその名のとおり、液体である。これを圧力を掛けて注入すれば、土の空隙や、岩盤の割れ目を通って網目状に浸透するが、これは必ずしも面的に連続しない。団粒状あるいは切れ切れ状態になってしまう。これではとても遮水壁とは云えない。第二は、水ガラスの材料劣化である。これは必ずしも確認されていないが、一昨年、水ガラスで止水した2号機トレンチで、再び漏水が確認されている。この原因に水ガラスの劣化が挙げられている。それと不思議なのは、取水部は止水壁築造区間から外されていることだ。これなら陸上部水位が海水面より高くなれば、汚染水は海に幾らでも流出する。だから何のための止水壁なのかが、判らないのである。
 筆者は外壁止水工をやっちゃいけないとは云わないが、やるなら工法を工夫すべきである。筆者は水ガラス単独ではなく、セメント+ベントナイトを併用すべきと云っているのである。この工法では、水ガラスはあくまで瞬結導入材であり、セメント(よりはセメント系固化材の方が、長期的には効果がある)による柱列造成が主役である。この方法では高価な水ガラスを最小限しか使わないから、実はコストは遙かに安くなる。しかも安定的な改良壁が作れる。だから今の土木では、LW単独注入などやらないのである。それをなんと既に捨てられた工法が復活する。何故か?そりゃゼネコン(カジマ)が儲かるからだ。
 と言うことで、現在東電がやっており、かつ今後公共事業になりかねない、外壁部の水ガラス注入はコストばかり懸かり、殆ど効果を発揮しないだろう。それと不思議なのは海水取り入れ口が注入工から外されていること。今陸上部の地下水位が上昇し、汚染水が止水壁を越えかねない勢い。こんな時に海水取り入れ口を開放しておれば、そこから汚染水が幾らでも流れ出す。何となく、頭隠して何とやらの風情である。

5、問題の認識の差 
 ある計画をするとき、目標をどう設定するかで、計画内容・規模は大幅に変わってくる。それが東電計画ではよく判らない。東電の地下水対策委員会で何が話されたのか、それが明らかになっていない。こういう委員会では、しばしば声の大きい奴の言い分が通ってしまう。それが委員会の空気を作ってしまうのである。過日BS8プライムニュース、ゲストは東電社長と立地本部長*。ゲストコメンテーターというのがいて、これが東大工学部原子力工学科の准教授か何か。この三人が皆東大。さて東大准教授が何を言い出すかと聞いていると、「地下水は一滴も漏らさないことが大事です」と。それに対し東電側は反論も何もしない。つまり、この準教授の主張は、東電も予め了解済みということなのである。逆に言えば、これが委員会の結論ということでもある。要するに八百長(委員会に八百長は付き物と言うことを一般ピープルは知らない)。この「一滴も漏らさない」方針が例の総延長3000mに及ぶ凍土壁に繋がるのである。問題はこの「一滴も漏らさない」方針が、技術的・経済的合理性を有しているかどうか、である。この様な絶対的方針が打ち出されると、その後はこの方針が一人歩きして、方針を護ることだけが事業の目的になってしまう。この例は幾らでもある。その最悪がかつての戦争なのである。
 そもそも、遮水工法には(1)粘土グラウト、(2)地中壁、(3)凍結壁の3案があったと聞いている。これらの内(3)凍結壁は最も工費が高いが、遮水効果が高いと言うことで採用となった、と報道されている。凍結の遮水効果が高いのは、誰でも知っていることで、そんなことわざわざ委員会で審議するまでもない。問題は対費用効果ということなのである。委員会も東電もこれを無視して、(3)凍結壁になだれ込んでしまった。この原因に考えられるのが、「一滴も漏らさない」という呪文なのである。
 それに対し筆者は、適当な地盤処理で地盤の透水性を下げれば、湧水量が下げられるから、その分処理施設の負荷が下がる。その間に次のステップの対策を考えれば良い、という考えである。要するに対策実現に柔軟性を持て、ということだ。例えば透水性を1/10に下げれば、湧水量は1/10に低下出来る。1/100なら1/100だ。工学的にはそれで十分である。先日仙台の一般市民女性から電話があって、筆者の考えを説明すると、この方が良く判るというご返事。一般市民は学者や役人が懸かりやすい呪文と無関係である。だから却って道理がよく判る。一般市民よりは、むしろ学者・役人・政治家の方が、ものの道理が判らないのである。何故なら、彼等はものの道理より、自分の体面を重んじることと、専門家の蛸壺にはまっていること、何よりも建前という呪文に束縛されるから、外界が見えなくなっているからである。
*これは要するに地上げ屋の親分だから、技術など判らなくても務まる。ウッカリ技術など判らない方が都合が良いのだ。

6、新たな問題
 この節を書いている最中に汚染水が地下に浸透し、地下水面に達しているという報道。実は東電はズーット前から判っていたのではないか?それを今まで隠していたのは、国費投入のタイミングを見計らってのことか?
 そもそも筆者はこの問題が起こる遙か前の11年4月には、原発外周カーテングラウチング必要の可能性を示唆しています(11/04/03)。筆者が示唆したとおり、事故直後にこれをやっておれば、事態はこんなに深刻化しなかったでしょう。しかもこんなグラウチングは大したものは必要ない。ちょいと透水係数を下げれば用は済む。ハイダムのカーテングラウトとは訳が違う。それを電力屋は同じように考えるから、問題が混乱するのである。
 筆者なら、@とりあえず凍土工法に代表される東電=委員会案はゴミ箱に捨てて、始めから考え直す。A改めて敷地内外で徹底的な地質・地下水調査を行い、地下水流動機構を明確化する。その上で、B以降の各工法諸元を決める。B凍土工法はキャンセルし、発電所外周にカーテンクラウチングを行う。Cその後敷地内で集水井工を行い、敷地内の地下水を排除する。D排除された地下水を、一旦放射能除去装置を通した上で、海中投棄とする。E海側の水ガラス注入は止めて、CB注入に変更する。F護岸から外部防波堤間の海域を埋め立てる。これの意味は一つは、海域に流入した放射性物質と生態系との接触を遮断することである。もう一つは、どうしても汚染水タンクヤードは、今の面積では足りないので、不足分を確保する事である。
(13/09/07)    

 いよいよアベが福島原発汚染水処理対策方針作成を」指示。これで福島問題は東電から国直轄マター(つまり公共事業)になったわけだ。大丈夫かね?国直轄工事でも失敗した例は大滝ダム白屋地すべりとか、何時まで経ってもまともにならない国道112号月山道路とか、失敗例は幾らでもある。第一、国に放射能や汚染対策の専門家などいるのかね。これまでややこしい事は、みんな電力会社にマル投げしてきた。今度はそうはいかない。
 それと、担当省庁は何処か?実施部門は何処か?まさか・・・というよりこれが十分あり得るのだが・・・原発管理公団でも作るのではあるまいか?そうなれば、自民党に原発管理族という新たな族議員が誕生する。聞くところによると、政府は汚染対策チームに国交省や農水省のメンバーを加えるつもりらしい。これは止めた方がよい。そもそも経産と国交省や農水省は仲が悪いし、国交省と農水省の関係も良くはない。出身が違えば考え方・手法が皆違う。船頭多くして船山に登るの例えどころか、汚染水対策に入る前の入り口で大揉め、空中分解の可能性だってある。
 それと政府の汚染対策方針は、どうも東電が書いた筋書き通りのようだ(一昨日の茂木発言)。そこへやってくる政府官僚は皆寄せ集め。東電ストーリーをそのまま踏襲して、せいぜい2年の任期を過ぎれば、元に戻れる。やる気全くなし。これでは税金をぶち込むだけで、全く問題は解決しないどころか、無駄の上塗りだ。そこがオボッチャンのアベや菅(スガ)は判らないのである。ただのアホだ。

 それはともかく、相次ぐタンクからの汚染水漏出報道。筆者はこれをタンク基礎地盤処理のミスと判断している。無論これは大きな要因と思われるが、これは漏出タンクが、ある地域に限定されるはずである。無論これは複数であっても構わないが、その分布にはある傾向が見られるはずである。しかし、漏出タンクが多数で、その分布に何らかの傾向が無いとすればその原因は、タンク基礎地盤だけでなく、本体の構造に起因すると考えるべきである。
(13/09/02)

 原子力規制庁は1年前から、福島第一原発の汚染タンク漏れについて、指導を行ってきたという。それに従わなかったのが東電だ、と言うわけだ。よくある行政と企業との責任のなすり合い。逆に言うと傷の舐めあいにも見えるのだが。
 さて1年前の東電福島第一原発所長は誰だったのか?別に死者に鞭打つ気はないが、汚染水タンク建造は、1年以上も前の、彼が所長を務めていた時に始まっている。汚染水漏れも、実はその時に始まっていたのではないか?彼はタンク築造工事に、相当以上の権限を持っていたはずである。その時、彼がどういう判断をしたのかは重要で、是非とも明確にしなくてはならない*。
 自民党プロパガンダ雑誌の様に、「日本を救った・・・」などと、きれい事**で済ましてはならないのである。
*筆者も見たことがないボルト締めタンクを認めたのは誰か?
**これは要するに、管と民主党を悪役にしたいための自民党の陰謀。
(13/08/30)

 今回のタンク漏れ事故について、地震で70pの地盤沈下を起こしたため、地盤の強度が下がったからだ、と馬鹿な事を言うアホがいる。70pの地盤沈下とは、福島県相馬地域全体についての事であり、福島第一原発や、ましてタンクヤードの一部に過ぎない破損地域とは無関係である。何よりも、地盤沈下を起こすと何故地盤強度が下がるのか?その物理的説明が無くてはならない。それが無ければ、ただの山勘の占いに過ぎないのである。
 まず、汚染水漏れが生じているタンクは、タンクヤードの一部に限られている。汚染水漏れの原因は、タンク底面の不等沈下によるタンク底版*の破損と考えて間違いない。では何故底版の不等沈下・破損が生じたか、が問題である。問題のタンクヤードは前に述べた35m段丘面の上である。この段丘面は、洪積世の海岸段丘層で構成されている。この段丘層の地耐力は少なくとも100t/uはある(嘘だと思ったら載荷試験をやって見ればよい)。一方タンクは、高さ11mに過ぎないから、接地圧は常時で11〜12t/u、地震時でその3割増しとしても、せいぜい15〜16t/uに過ぎない。だからこの程度では水張り試験で、コンクリートにクラックが入ったり数pもの沈下が生じる筈がない。と言うことは、破損タンクの地盤が、本来の地盤と異なっていたことに他ならない。そこでもう一度、前回の図-2に戻ってみる。
 タンクヤードは、原子炉施設背面の平坦な段丘面であり、地形的には全く軟弱地盤の存在を伺わせるものは見られない。ではタンク不等沈下の原因となった、地盤の不均一性はその後に作られたものとなる。タンクを設置するとなれば、いくらかの整地工事は不可欠である。この時よくあるのが整地面の勘違い。例えば下請け業者が、整地面高を勘違いして掘りすぎてしまって、掘削面高が計画面より下がってしまった。後の測量で気が付いても、もう遅い。そこで何処かから土を盛ってきて、帳面だけを合わせておく*。そうなると、地盤は当初想定の段丘層ではなく、埋め土だ。その情報が上のレベルに届いておればよいが、しばしばあるのがみんな知らん顔。構造屋は、地盤が想定とは違う埋め土とは露知らず、洪積層或いは岩盤としてタンク基礎を設計し、タンク屋もその通りに施工してしまう。その結果がタンクの不等沈下である。
 つまり、本件タンク基礎不等沈下騒ぎは、地震による地殻変動とか、そんな難しい話しではなく、要するに人間社会によくある、勘違いの連鎖の結果なのである。では何故勘違いの連鎖が起こるか?それを避けるにはどうすればよいか?が真のテーマになる。何故勘違いが起こるか?それは外部からの過剰なプレッシャーである。これがあると、誰も落ち着いてものを考えることが出来なくなる。その結果が勘違いの連鎖となるのである。今回、過剰プレッシャーを掛けたのは誰か?東電本社であり、政府であり、マスコミである。
*図面を見ると切り土盤だから、構造物が不等沈下する筈はない。処が実際にボーリングをやってみると、岩盤じゃなくて盛土だった。馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、現実にはこれは結構あるのだ。
(13/08/27)

  東電福島タンク汚染水漏れ原因は、タンク基礎の破断と判明。大体そんなところだろうと思っていたが、その通りになったのが、がっかり。
 まずこの原因は
1、80年代、東電始め電力業界に吹き荒れた、「生産性向上運動(TQC)」という文化大革命。この所為で、東電や関電にも自殺者が横行した。
2、バブル崩壊後、竹中平蔵ら新自由主義経済主義の下で、1、が更に加速・強化された。その典型が株主配当優先経営である。おまけに00年以降コイズミアホ政権下で、更に強化された。
 この結果発生したのが、生産技術の外注化。お陰で、どの会社や役所でも技術者のリストラが相次ぎ、残ったのは
3、工法過信主義
 まず、メーカーが事業者に取り入り、我が社の製品・工法を採用すれば、全ての問題は解決します・・・、なんて法螺を吹くと、たちまちそれに騙されるアホがでてくる・・・・・・
これは倉敷のJX水島シールド事故と共通する。
(13/08/25)

これは福島第一原発の遮水工事の概要図です。遮水工事は未だ途中なので、これが最終形ではありません。


図-1

 これでは地下水の流れがどうなっているのか、さっぱり判らない。そこでオーソドックスに正面から攻める事にしました。下図は福島第一原発付近の地形図(国土地理院1/25000電子地図)です。これを見ると、この周辺の地形は海岸に沿う海岸段丘面とその背後に発達する丘陵面からなることが判ります。


図-2

 海岸段丘面には標高によって、1)22〜25m、2)35〜40m、3)40〜45mの3面が識別出来る。福島第一原発周辺には、これらの内2)35m段丘面が広く発達している。この南部に22〜25m段丘面が分布している。海岸線に沿って、急峻な段丘崖が発達する。同原発は35m段丘面の先端部を開削して建設されたものである。段丘面を構成する地質系統は第四紀の段丘礫層。但しこれはせいぜい数m程度の厚さしか無いので、今回の地下水問題への寄与は少ない。その下には、おそらく上部仙台層群相当の鮮新〜最新統が分布する。これは軟質な泥岩砂岩からなる。泥岩はほぼ不透水層と考えてよいが、砂岩には非常に透水性が高いケースがある。筆者もかつて仙台市内のある地下工事で苦労させられた経験がある。基盤岩は恐竜化石で有名な白亜系双葉層群で、これは地下数100m以深に分布する。これは今回の問題には関係しない。
 こういう場合、地下水は段丘層と、その下の鮮新〜最新統の境界付近に滞留し、重力に従って、地形上の下方に流下するのが普通である。それでも細かく見れば、段丘層/鮮新統境界の傾斜や凹凸で、地下水の流れは規制される。又、一部の地下水は鮮新統の割れ目を通って更に深く浸透する。この流れは、割れ目の方向・密度によって規制されるからより複雑になる。地下水対策工は、これらの地下水の流れを把握した上で決定されなければならないのである。
 下図は上の図から推定した第一原発の断面である。図-3aはN-S方向、図3-bはE-W方向の推定断面である。N-S方向断面を見てみよう。原発建家は35m段丘面を開削した底面に設置されている。当時の技術水準から推すと、施工は法切りオープンカットと考えられる。その場合、建家の周囲には埋め戻し土が残る。さて、掘削後の地下水位分布だが大略は図-3aのようになる。この様にして浸透してきた地下水は、建家外周の埋め戻し土中に滞留する事になる。但しこの水の量は極僅かで、最も多いのは建家周辺に降った雨が路盤等を通ってきたものである。
 これらは建家外壁に水圧を加えるから何らかの対策が必要である。対策としては
      (1)地下水排除工
      (2)遮水工
 の2者がある。
(1)地下水排除工
 これは建家に浸透してくる地下水を強制的に排除するものである。排除方法としては@建家外周に水平ドレーンを交わして、そこから水を抜く。末端はトンネルで海に排出する。A建家の壁に水抜き孔を開け、そこから水を抜く。末端処理は同じ。通常の地下水排除工はAを採用する。
(2)遮水工
 建家周辺を薬液注入やコンクリートで固め、改良体を築造して地下水の流入を阻止する工法である。改良体の背面の水圧も高くなるので、ダムや高圧被圧水が作用するトンネル以外の一般土木では、殆ど用いられない。改良後は建家外周を迂回流となって海に注ぐ。長期的には平衡状態に達する。

 これまでの福島第一原発の地下水対策工としては、地形・地質で特に変わった条件は考えられないから、(1)の内Aの水抜き孔を採用していたと考えられる。この場合流入する地下水と、それを排出する量がバランスしておれば、問題はない。しかしことの発端は、建家内の水位が高くなり、それが放射能で汚染されていることが判ったからである。と言うことは、建家からの排出側に何らかの欠陥が生じたことになる。或いはその欠陥を瑚塗するために、排出部を塞いだ処、却って炉内の水位が高くなってしまった、というケースも考えられる。

  
図-3a                        図-3b

 図-3bはE-W方向の推定断面である。元々海岸線まであった段丘崖はEL8m迄開削され、更に原子炉施設部分は海水面付近まで掘削された。海側には護岸が作られ、その間は埋め立てられる。こういう場所に強い地震力が作用すると、構造物の被害は地山と埋め土の境界に集中する。これは埋め土と地山との地震時応答変位の差である。地震直後に出た護岸の変位とか、図-1で示されている、トレンチからの汚染水漏出箇所からも顕かである。原発施設と地山/埋め土境界との間には、複雑な配管が走っている。これも全く大丈夫とは云えないが、概ね地山の中をトンネル方式で通っているので、多少は大丈夫かな、と言う程度。今後も監視は必要である。地山の上部仙台層群と埋め立て土の透水性の差は、数10〜数100倍ぐらいになるので、原子炉施設から漏出した汚染水の、海までの経路は、概ね埋め立て土の状況によって左右されると考えてよい。
 さてこの区間の問題は
 (1)汚染水が何処からきているのか?
 (2)どういう経路を辿って海に流出しているのか?
 の2点である。これを解決しなくては、どんな対策工法も砂上の楼閣に過ぎない。実はこの二つは密接に関係している。

 こういう地下水問題を扱う時は、まず最初に地下水流動機構を押さえることが重要である。流動機構には流出点と、それに継続する流動経路の二つがある。処がそのどれも目に見えないことが普通である。そのため行われるのが、@地下水位観測、A地下水流動調査である。これが全く出来ていなかったから、今回のようなもめ事に発展したのだろう。その証拠が図-1に見られるような、たった2箇所しかない地下水位観測井だ。こんなことで複雑な地下水挙動が把握出来ると思っているのだろうか?少なくとも10〜20箇所ぐらいのボーリングをやって、地下水位観測井網を作る。その水位分布を見れば、大体地下水の流れは把握出来る。そこに地下水追跡調査をやれば、地下水流動機構はほぼ決定出来る。追跡調査の薬剤は、別に医学で使っているような難しい薬品は要らない。入浴剤でも十分だ。要は、質より数だ。前の戦争で、日本は質に拘って零戦零戦と言い続けたが、結局勝ったのは数で上回るグラマンだった。

(1)汚染水が何処からきているのか?
 汚染水流出箇所は原発建家とその周辺施設の何処か、に決まっている。それを最もよく知っているのは東電自身のはずだ。しかし、事故の人事異動やなんやらで、全体を把握できている人間が居合いのだろう。その場合は施設の状況から当たりをつけ、次ぎに述べる地下水流動調査の結果から犯人を突き止めざるを得ない。当に地質探偵の出番である。
(2)どういう経路を辿って海に流出しているのか?
 これも地下水流動調査をセオリーに沿って、綿密にやれば、自ずから答えは出てくる。

 こういう地下水流動調査をやると、汚染水流出源はかつてのトレンチ破損個所だったというケースもある(筆者はその可能性は非常に高いと思っている)。もしそうだとしたら、当初やったLWによる止水は効果が無かったことになる。或いは一時は効果はあってもその後劣化したとか。始めから、LWなんていい加減な工法じゃなく、せめてCB注入を併用するとか、思い切ってウレタンを使った方がよかったかもしれない。

 さて以上から見ると、今回の汚染水問題に関係するのは、東西約20〜30m、南北数100mの僅かな範囲に過ぎないということが判る。又汚染水の量も300t/day と聞くと大変な量に見えるが、分単位に直すと200l/分に過ぎない。こんなもの一般土木、特にトンネルではざらの数字で、むしろ少ない位だ。中山トンネルや青函では毎分数〜10tの水が出ている。この程度の水も止められないで、それでも土木屋か!
 それは別にしても、やはり東電側に基本が出来ていないことは指摘出来る。まずこの場所での問題は、汚染水の海中への漏出が止まらないことである。その理由は汚染水の地下での浸透経路が判っていないことである。それも判らずに闇雲にLW注入をやって、地下水が改良壁を越える恐れがあると言い出している。しかし、本当に改良壁体が出来ているかどうかも判らないし、その効果も眉唾なのである。いい加減な注入をやって、その効果が無かったことを誤魔化すために、地下水が壁体を越える、という殆ど現実では聞いたことがない、与太話を捏造しているのではないか*、という疑いすらある。

 そもそも東電にも東電設計にも・・・みんなカジマにおんぶにだっこで・・・まともな土木屋がいなくなったのではないか?80年代の行き過ぎた、木川田ブラック生産性向上運動(TQC)の悪しき副作用である。今それをやろうとしているのが、アベー竹中ブラック経済政策。

 対策としては、LWや凍結などというヤクザな工法は排除し、前から云っているように連続地中壁工法を中心とし、まともにやると言うことだ。それともう一つ重要な点は、現護岸と外侮防潮堤の間を埋め立ててしまうことである。これをやれば、汚染水と外部生態系との接触を遮断出来る。それと、汚染水タンクの用地を確保出来る。
 要するに、東電は対策に最も重要な地質地下水に関し、何にもやってこなかった。その結果が、現在の体たらくである。誰が東電の後ろで糸を引いているのか?
*そもそもLW壁は未完成である。この場合、地下水は完成部分を迂回し、未完成部分から海に流出するから、地下水が壁体を乗り越える事などあり得ない。
(13/08/16)

東電福島第一の汚染水処理がなかなか上手くいかない。連日出てくるのは一日当たり300tが出てくるとか、発電所内の処理施設では賄えない、とかの悲観的情報ばっかり。その結果汚染水対策に国費投入が決まったが、そこで悪役・無能役を務めるのが東電。これは政府ー自民党ー東電一体のヤラセ芝居の疑いが濃い。 
 つまり東電は当事者能力なしの演技をして、国費投入の道筋を描いたのである。それを最初に作ったのは資源エネルギー庁でしょう。その結果が後始末の国民負担です。東電は何もしなくて良い。株主への配当は続けられるし、役人OBの給料も払い続けられる。 そっちの方が大事だったのだろう。 先に死んだ元所長がもっとまともな技術者なら(自民党プロパガンダ紙では、彼を日本を救ったなどともてほやすが、とんでもない)、こんなことにはならなかったでしょう。
 その口車に乗ったのが、大西有三の様なアホ学者。そうでなければ凍結工法のようなナンセンス工法は出てこない。筆者なら、これの数分の1のコストで水を止めて見せますよ。
(13/08/08)

 「水ガラスでも止められなかった汚染水」と言うのが、最近の新聞報道。つい一年前は水ガラスで汚染水の漏出が止まった、と云ってなかったでしょうか?筆者は水ガラス(LW)で止水壁など作れるのか?と思っていたから、LWで漏水が止まらなくても不思議ではない。
 筆者は注入屋じゃないから詳しいことは避けるが、そもそもLWは恒久的止水工には使わない。耐久性に問題があるからだ。高アルカリ性だが、日本の土は酸性〜弱酸性土が多い。又長期的には雨水が浸透してくるが、これには活性酸素が含まれている。これが土中の酸性成分を溶かして浸透してくると、その内次第に改良土の中性化が進む。そうするとNaが分離する。Naは水溶性だから水に溶けて何処かへ行ってしまう。つまり長期的にはLW注入部はスカスカ穴だらけになって止水性が低下するのである。それとLWは液体だから、何処に入っていくか判らない。注入圧が適正でなければ、水ミチを作ってしまって、注入効果が偏ってしまう欠点がある。だから恒久的止水性を要求されるダムのカーテングラウトには、LW単独は使わない(金の面が大きいが)。通常土木では、LWは次の本注入前の導入材や、本掘削前の一時注入ぐらいにしか使わないのである。だから恒久的止水工では、LWを導入材として周辺を高アルカリ雰囲気にして、次ぎにセメント或いはセメント+ベントナイトを注入(CB注入)するのである。但しCBだけでは固結に時間が懸かる。これを短縮化するための高アルカリ性を作るのが水ガラスである。つまり、恒久的な土粒子骨格は、セメントで作るのが基本である。処が、見かけの固結効果で云えばLW単独の方が早い。仮にLW単独、LW+セメント、セメント単独で固結試験をすれば、LW単独が勝つのに決まっている*。しかし、長期的視点で見れば、ただの錯覚に過ぎない。実は土木には、この種の錯覚が常につきまとうのである。
 どうも東電がなにか勘違いしていたようにしか思えない。その原因は”錯覚”だ。それにしても1年やそこらで水漏れを起こすとは、どんなグラウチングをやっていたのだ、などと云われても仕方がない。
*これは表層改良とよく似ている。表層のトラフィカビリテー改良によく使われるのが(1)石灰、(2)セメント、(3)セメント系固化材である。これを4週圧縮強度や含水比で比較すると、急速性の(1)石灰が勝つのに決まっている。ところが、長期間経つと、石灰は水を吸ってぐずぐずになる。元の状態に戻るどころか、却って地盤強度は低下するのである。だから、最終硬化材は遅硬性の(2)か(3)を用いるべきなのである。
(13/08/01)

 これが今放射性物質(主にトリチウム)漏洩で問題になっている福島第一原発の上空からの映像。画面中央の建家列の左から1、2、3、4号機の順だろう。放射能漏れが見つかったのは建家と、岸壁の中間に設置された観測井と、岸壁前の海域。そこで筆者が不思議に思うのは、何故岸壁と防波堤の間を埋め立てなかったのだろうか?だ。この部分を埋め立てて置けば、仮に放射性物質が漏洩しても、外洋への漏洩は防げる。少なくとも外洋漏洩までの時間を稼げる。放射性物質漏洩対策で最も重要な事は、外部生態系(特に食物連鎖)への拡散の遮断である。海域を埋め立てる事によって、外侮生態系への関係を絶つことが、とりあえず出来る。その間に、次のステップへの対応策を考えるのである。


 そもそもこの地点、震災直後にピットからの漏水が見つかって大騒ぎしたところだ。その後何をしていたのかね?ピットの周りを薬注で止水するのは当たり前だが、その他の地域の地下水調査も同時に進めなくてはならないのも当たり前。トリチウム増加が確認されたのは、今年5月以降。5月から急に増える訳がない。データが無かったのだろう。つまり2年間、何もしないでほったらかしにしていたのだ。
 ここに伺えるのは、これまで何度も繰り返し述べているが、東京電力という会社の技術レベルの劣化である。特に土木、中でも地盤・地下水に関する分野の劣化が酷い。基本的なことが何も判っていない疑いがある*。だからいざというときに、何もできずにアタフタするのだ。
*2号機ピットの漏水が見つかったとき、東電はこれが海に出るまで何10年も懸かりますとアナウンスしていた。筆者はテレビでこれを聞いて、何10年の根拠はなにか?浸透流解析をやってからの数字か?どうも東電は流速と透水係数をゴッチャにしているのではあるまいか?という疑問を持った。
(13/07/25)

 福島第一原発2号機横の観測井で、高濃度のSr90が検出されている。筆者は、これはむしろ建家外での地下水汲み上げの副作用と考えている。外で過剰揚水を行うと、地下水の流れは逆に建家から外へ向かう。つまり汚染水の場外への拡散を助長しているようなものだ。
 これを防ぐには遮水壁の築造が一番だが、始めから完璧なものを求めてはならない。そんなシロートじみた事をするから、凍結工法などというナンセンス工法が出てくる。
 筆者なら建家の廻りを、先にソレタンシュか何かで先行注入して、地山の孔隙を閉塞し、次ぎに連壁で遮水壁を築造する*。これで建家周辺地山の透水性を1/100位まで下げれば、タンクが満杯になる時間を100倍遅らせられる。これはそれほど難しい水準ではない。例えば、現状では10日で満杯になるとすると、改良後は満杯まで1000日(約3年)を稼げる。その間に、次のステップで何を為すべきかを考えればよいのである。次のステップで、更に前ステップの1/10迄下げられれば、トータルで1/10000日(約30年)になる。おおよそ廃炉に必要な時間が稼げるのである。対策を遅らせると、事態は拡大する。それを防ぐには早め早めに手を打つことが肝要。それが解決の必勝法。
 全体に見て、東電という会社は設備・建築が優先で、土木が弱い。その土木でも構造優先で地盤が弱い。だから、問題が地下に及ぶと対策が後手後手に廻る。本来自分らで解決しなければならないことを政府任せにしたものだから、凍結などというナンセンス工法を押しつけられても**、何も云えないのである。技術的には二流の烙印を圧されても仕方がない。

*遮水壁を含めた地下遮水体の構築には、大きく次の3法がある。(1)注入工法、(2)地下連続壁工法、(3)両者の併用。
(1)注入工法はセメントを基材とし、スラリーの形(モルタル)で地山の空隙に注入し、それの固結を待って、遮水体(グラウトカーテン)を造るものである。これは通常の構造物だけでなく、貯水ダム遮水壁築造の標準工法であり、実績は多い。セメントの粒子は大きいので、空隙が小さい場合は、なかなか充填が上手くいかない。そこでセメント粒子の注入を円滑にするために、添加剤としてベントナイトを使ったり、固結を早くするためにLW(珪酸ソーダ)を先行注入したりする。
(2)地下連続壁工法は、地中に溝を掘り、そこに鉄筋コンクリートの壁を造って遮水体を築造するものである。これも地下鉄・地下街工事などに実績が多く、標準工法と云ってよい。今回は遮水だけが目的だから鉄筋は必要ではない。
(3)は両者の併用だが、現在ではむしろこれが標準と云える。例えば、連壁単独の場合、元々地山に孔隙が多いと、そこからセメントミルクが流出してしまって、壁体が上手く仕上がらないとか、連壁の掘削で逆に地山を緩ませるようなことが発生する。これを避けるために先に先行注入を行い、連壁築造後更に二次注入を行う。
 遮水体の築造は、基本的にはこの三法を基本に考えるのが常識で、凍結のようないかがわしい工法が出てくる余地はない。だから、政府検討会の裏に何かがある、と疑われるのである。
**報道によれば、止水工法政府委員会の委員長は大西有三らしい。あんなのに任せるから凍結なんてナンセンスが出てくるのである。
(13/07/06) 

 福島原発一号機の漏水対策で政府案として出てきたのが凍結壁案。そもそもの発端は、これまでタンクに貯めていた2号機流入地下水を、海洋投棄とする案を地元漁協に提示したところ、大部分漁協が納得したにも拘わらず、一部の漁協が反対したために、こんな妙な話になったのだ。誰がこんなものを出してきたのか?凍結と言えば大成建設。大方これまで福島の土木を牛耳ってきたカジマに対し、風穴を明けようという魂胆だろう。政府案として採用された理由が、他工法に比べ止水性が最も高いというもの。他工法とはどんなものか顕かではないが、大方注入や連壁・柱列工法だろう。凍結工法が他に比べ止水性が高いのは当たり前で、そんなもの中学生だって判る。つまり政府検討会の委員達の能力は中学生並みに劣化したのである。
 今回の止水工法の目的は、放射能で汚染された水を施設外に排出されるのを防ぐのではなく、施設内への周辺地下水の流入を防ぐだけのものである。それだけなら透水係数を一桁か二桁下げれば良い。そんなこと、ちょいと注入すれば済む話しである。それだけでは漏水を完全防止出来ないと言うなら、地下水位低下工法を併用し、別にリチャージウェルを掘って、余った地下水を復水すればそれで済む。たかがそれだけのために、何で政府はこんな高い工法を推奨するのか?背後に見え隠れするのは、政府・自民党とゼネコンの利権争奪。高い工法ほど経費が膨らむから、その一部が自民党や経産省OBの利権に化けやすいのである。
 それとも思い切り高い工法を押しつけて、逆に反対漁協を孤立化させ、云うことを聞かせようとする作戦か。しかし、他漁協もそれに倣う姿勢を示したら何にもならない。逆に東電が孤立化してしまう。私なら反対漁協を補助金打ち切りかなんかで兵糧攻めにし、潰してしまう作戦を採る。織田信長なら間違いなくそうする。それも兵糧攻めなんて悠長な方法でなく、皆殺しだ。国民皆さんは、信長を時代変革の英雄と持ち上げる。だったら、信長流のやり方を認めなくてはならない。
(13/056/01)

 よく分からないのが、福島原発での地下水海洋投棄問題。問題の原因は、水素爆発で損傷した地下壁からの水の流入を抑えるために掘った井戸からの地下水を、海洋に投棄したい、というお話。
 東電は何故揚水で処理しようとしたのでしょうか?普通こういう場合は建家外周に薬注或いは連壁などで止水壁を作る。揚水は止水壁築造までの仮設工に過ぎない。止水工が仕上がればお役ご免。
 何故こんな初歩的なことが判っていないのか?それが不思議。コンサルタントの能力に問題があるのではないか?ワタクシはこの事故が起こってから、常に疑問に感じてきたのが、土木分野での不手際である。コンサル(東電設計)の技術力はともかく、後ろにはカジマが控えているのではないか?それとも連壁は高くつくから井戸で誤魔化そうとしたのか?何をやってるのだ!東大出の秀才ばっかり集めるとこうなるのである。
 なお、地下水と汚染水の違いが判っていない漁協があると云われるが、そんなことはない。反対すれば漁業補償の値段がつり上がるからである。つまらない誤魔化しをやったあげくが、海賊に足下を見られる事になってしまった。なんたるザマか!
 それと水素爆発というのは力は上空に行くから、地下壁に作用するはずはない。とするとこの損傷は爆破ではなく地震で生じたのか?地震で地下壁が壊れた例など聞いたことがない。一体全体どんな壁を作ってきたのか?理解に苦しむ。原発建家の構造設計そのものが間違っていたのだよ。救いようがない。
(13/05/14)

【福島第一原発汚染水漏洩の真実】

 何時まで経っても判らない福島原発の汚染水漏洩問題。なにか皆さん、もの凄く勘違いしているような気がします。この問題、貯水槽の構造の詳細や漏洩の詳細な状況が判らないのでコメントのしようもないが、筆者が判らないのは、何故みんな判らない判らないと騒ぐのか、その理由が判らないのである。一体全体何が判らないのでしょうか?
 今のところ、判らないとされるのは次の2点がある。
1、漏洩検知器の水位が貯水位と連動しない。
2、貯水池外での放射性物質濃度の増大が見られない。
 そもそもこの件、筆者が疑問に思ったのは、1万数千m3の貯水量に対し、たった120m3という1%に過ぎない漏洩をどうやって検知出来たのか、これは土木計測の世界では誤差の範囲である。それは東電自身の発表だからそうなんだろう。だからそれは別にして上記2点について検討してみよう。
1、漏洩検知器の水位が貯水位と連動しない。
 貯水池の防水シートはポリエステルシート(と言うよりメンブレンではないか?)2枚を上下に、間にベントナイト層を挟んだ構造になっているらしい。漏洩検知器は先端を中間のベントナイト層に挿入し、地上に水位計を繋いだ構造らしい。一種の間隙水圧計である。さて問題とされるは、この検知計内水位が管底から1mぐらいしかなく、貯水位を全く反映していないということである。東電もその原因は分からないとする。しかし、何故判らないのか、その理由が判らない。この構造では、検知管内水位と貯水位は連動しないのがあたりまえ、連動すればそれこそ重大事である。検知器は水圧ではなく水頭を測っているのである。水頭は実際の水位がなければ計れない(これが水圧と違う)。一方貯水池側はポリエステルシートとベントナイト。どちらも不透層である。筆者はこれまでの永年の土質調査経験の中で、ベントナイトの間隙水圧を測ったことはなかった(そもそもそんなものは測れるのか?)。 
 

 これを一般の圧密理論を使って説明してみよう。
1)有効応力と全応力
 飽和」した土に上から荷重刄ミを加えると、その荷重(全応力σ)は土の構造骨格と水とによって支えられる。土の構造骨格が支える荷重が有効応力σ´、水が支える部分が中立応力(間隙水圧u)である。土が飽和正規圧密状態なら、uは正確に刄ミに一致する。水の単位体積重量を10KN/m
3とすると、u=刄ミ=hw(貯水位)となる。東電が設置した漏洩検知器はベントナイト層の間隙水圧uを測定してそれを貯水位hwに換算しようとしたのだろう。しかしここには大いなる誤謬がある。
2)間隙水圧の測り方
 間隙水圧の測定方法は沢山ある。
(2-1)水位検知型
 これは媒質に働く水圧を水位の変動に換算する方式である。水位の変動を測るからには、媒質中の水が速やかに移動しなければならない。何故なら水の圧縮性は殆どゼロだから、圧力変化はそれによる動水勾配変化によってのみ伝達されるからである。従ってこの方式は媒質の土質が砂や砂礫のように、透水性が十分大きい場合にのみ有効である。
(2-2)圧力検知型
 1)が圧力を水位に換算する間接測定方式なのに対し、これは圧力を直接電気信号に変えて測定しようとするものである。粘性土の様に透水性の低い媒体の間隙水圧測定には、通常この方式を使う。しかしこれでも媒体の透水性によって、測定値が最終値に収束するのに時間を要する。結果的には(2-1)と変わらない。
3)水位が変化しない理由
 これには二つの理由が考えられる。
    (3-1)ベントナイトの透水性
    (3-2)ベントナイトの過圧密性
(3-1)ベントナイトの透水性
 
先に述べたように間隙水圧測定には、媒質中の水の移動が必要である。ここで重要なのことは媒質であるベントナイトの特性である。ベントナイトは珪素・アルミナを主成分とする粘土鉱物だが、この特徴は水を吸収して構造を広げ、水の移動を拘束してしまい、且つ壁を作ってしまうのである。この特性を利用して、土木では止水材として、女性化粧品では水分吸着剤として利用される。そもそも水の移動を拘束するのがこの物質の特徴なのである。この点がベントナイトと普通粘土との違いである。普通粘土は壁を作らない。だから時間は懸かっても水を通してしまう。しかしベントナイトは水の移動を拘束してしまうから幾ら水圧が加わったとしても、それを水位変化として伝達する事が出来ない(水圧なら別の計測方法を考えれば可能だろう)。それでも全くゼロと言うわけではない。時間をかければ情報が伝達されているかもしれないが、そのスピードがあまりにも遅いので、変化を捉えられていない可能性がある。
(3-2)ベントナイトの過圧密性
 どういう施工方式を採ったのかよく判らないが、防水シート敷設に当たってはその都度ローラー転圧を行っていたのではないだろうか?又工事完了後、湛水試験を行っていなかったか?ベントナイトを一般の粘土と仮定しよう。この場合、ベントナイトの粘土骨格は過去に受けた最大荷重を先行応力として記憶する。転圧を受けた場合は転圧荷重を、湛水試験の場合は湛水位荷重を記憶してしまう。通常湛水試験は、運転水位の1〜2割増しで行われる。と言うことは、ベントナイトは貯水荷重より大きい荷重を先行応力として記憶する。このとき、貯水位が計画水位より低ければ、過剰間隙水圧はそれ以上には上がれず、水位計方式では検知出来ないことになる。
 つまり、ベントナイト層に検知器を設置し、間隙水圧を水位変化で測ろうと云うこと自体ナンセンスなのである。もし貯水位を水位計でなく間接的に測ろうと思えば、貯水池底に土圧計のような直接計測装置を設置した方が良い。一体全体だれがこんな馬鹿馬鹿しい方法を思いついたのか?それの方が問題で、日本の将来に与える害毒が大きい。
2、貯水池外での放射性物質濃度の増大が見られない。
 報道によれば、遮水層の深さ毎に放射能強度が低下するが、その原因が判らないとする。貯水槽の底に強度λ
0の放射性物質があり、そこからt離れた場所での放射能強度をλとするとコンプトン散乱効果により
         λ=λ
0exp(-μt)
という関係になる。ここでμは線吸収係数である。
つまりある媒質を経過すると、放射能強度は通過経路の対数に比例して減少するのである。だから深さとともに放射能強度が低下しても当たり前。

3、では何処から漏洩したのか?
 まず、漏洩をどうやって検知測定したのか?そのシステムが顕かではないから、筆者としては推測のしようもないが、当初から貯水池ではなく配管系に問題があるのではないか、と疑っていた。事実2号以下貯水池では配管のトラブルが原因だったことが判った。問題は1号貯水池だが、これもその上流の配管系を含む機械系での漏洩の可能性は疑われる。
 しかしマスコミを始め、貯水池の遮水材(ポリエステルシート=メンブレン)の破損・欠陥を疑う声は大きい。しかしそうだろうか?そもそもここで用いられている多層構造遮水シートは、もともと揚水式発電所の上ダム漏水防止用に開発されたものである。このシートの弱点の一つに継ぎ目の問題がある。しかしこれには「融着」という特殊技術を使う。金属で云うと溶接のようなものだ。これによって、隣接するシートを一体化する。この技術は、既に30年以上前から実用化されている。次ぎに応力集中の問題がある。例えば岩盤貯水池の場合、岩盤強度の差で表面に凹凸が生ずる。一方で水圧は平等に作用するから、突出部分に応力集中が発生する。これがシート破損の原因になるが、そんなものは凹みをコンクリートで充填するなどして、貯水池表面を滑らかにすれば解決する。第三の弱点として、水圧が加わることにより、メンブレンが伸びる、その結果内部に引っ張り応力が発生し、そこから破断が発生することが挙げられる。しかし多層構造の場合、中間のベントナイト層が潤滑剤の役割を果たすため、引っ張り応力は全体には伝わらない。ベントナイトの伸びが力を吸収してしまうのである。そしてベントナイトは幾らでも伸びる特性を持っている。これが女性化粧品に用いられる理由である(ウソだと思えば、資生堂に聴いてみればよい)。
 先に述べたように、この様な遮水式シートは揚水式発電所の上ダムに用いられるが、そこでは数10mの水位差が発生する。それにも耐えられる材料を使うのである。福島貯水池で発生する水位は数mに過ぎない。しかも、東電は蛇尾川や奥新川などで揚水式発電所で施工経験がある。どういう点から考えても、遮水シートが破損したとは考えがたい。
 ところが、これを認めない頑迷固陋人間がいる。その代表が原子力規制委員長の田中俊一と云うシロートである。彼はこの件に関して、「汚染水の遮水にビニールシートを使うとは理解出来ない」と発言した。筆者にとって理解出来ないのは田中委員長の頭の中身である。彼は、ただのビニールシートと多層構造シート(メンブレン)の違いが判っていない。専門が情報工学だから、実際のもの造り特に土木や建築のように、自然と対話しながら進めて行く技術が理解出来ないのだろう。技術者としてシロートなのである。前任の斑目も酷かったが、今の田中はこれと違った意味で酷い。こういうのが原子力施設安全評価のトップにいるのだ。こういうシロートは直ちに解任し、社会から追放すべきである。
(13/04/15)

 昨日は3.11震災3周年記念日。新聞やマスコミに乱れ飛ぶのは、遅れている震災復興、被災地の振興は見られずといった復興の遅れ批判記事。本当にそうなのか、そう云って国民を不安に陥れ、売り上げを伸ばそうというマスコミの常套手段なのか、どちらか判らない。早くも聞こえるのは復興予算不足・・・要するに、もっと銭よこせーという・・・のタカリせびりの声。
 もしこれが本当なのなら、これまで2年も懸かって一体全体何をしてきたのか?そもそもの問題は、目標とする「復興」とは具体的にはどういうことなのか?実はこれが全く国民に明らかにされていない。復興構想会議メンバーと復興庁の役人、それに拘わる一部の政治家だけが知っている。復興構想会議などという茶番に座った五百旗部とか梅原猛のような文系口舌の徒が、訳の判らぬ言葉遊びばかりやってきて、それを政治が利用してきたから、何時まで経っても何もできないのである。
(13/03/12)

【オールド東北主義者のタワゴト】

 03/09毎日新聞朝刊に作家むのたけじのインタビュー記事がありました。こんなの未だ生きていたんですねえ。赤いアンモナイトというか、すっかり姿を消した共産党の亡霊です。

 それはそうと彼のいわんとするところは、
1、この様な惨事を招いたのは中央政府と(東電という)独占資本なのだから、補償請要求は堂々とすればよい。
2、古来から東北は植民地状態に置かれてきた。これが復興を遅らせる原因だ。

 さてこの論理、昔からある東北被虐史観の蒸し返しである。昔からと言ってもそんなに昔ではない。せいぜい明治維新以降。特に昭和大不況から戦後高度成長期にかけて強まった。この史観の特徴は、日本を東北と西南に分け、東北は被害者、西南は加害者と位置づけ、両者の相克・対立という図式で日本史の構造を組み立てようとするものである(例えば網野善彦)。これは大正期以降の社会主義者、戦後・・・特に高度成長期・・・の進歩的文化人やアホジャーナリズムの心を捉え、いわばモダン文化の一つとなった・・・・今や誰も見向きもしないアナクロ。冒頭に挙げた東北植民地論はこの延長線上にある。
 東北被虐史観の基は次のような思いこみから始まる。
1、東北には、古代ヤマトに負けない優れた文明が栄えた時期があった。
2、東北の人間は純朴で、ウソを付かない。常に自然を畏敬している。
3、そのような東北及び東北人を中央に対する従属的関係に置いたのはヤマトの侵略行為である。これが現在の東北植民地化を産んだ。
 これは実は沖縄差別論と重なるのである。

 ある時のNHK歴史」ヒストリア、テーマは「天明大飢饉」。ゲストの一人は東北代表の学者。彼曰く「東北は元々、西より豊かだったのだ。その証拠が縄文時代では東北の人口が多かった」。これは本当かも知れない。但しそれは縄文時代という温暖気候下での話しである。このオッサンは気候変動の人間活動に及ぼす影響を忘れている。今から平均気温が5〜6゜も高い・・・・これは縄文時代の平均気温・・・と、太平洋高気圧の勢力が強くなり過ぎ、西日本を中心に夏には雨が降らなくなる。その結果西日本は水不足に陥り、人々は北に移動する。これが見かけ上の東北人口増である。ところが今から2500〜2600年前に全世界的な寒冷化が起こった。日本ではこれを「弥生小氷期」と呼ぶ。これが縄文文化の破滅を呼んだ。もう一つ重要な点は、この寒冷期をきっかけに中国で、春秋戦国時代という群雄割拠の動乱時代が始まった。この影響は当然朝鮮半島にも及ぶ。大陸の動乱を避けた人々が列島に移住し、稲作農業や鉱山・土器製造などの新技術を伝えた。当時の西日本の気候が丁度稲作農業に適していたからかも知れない。又、気温の寒冷化は降雨をもたらし、豊富な水を供給する。これも稲作農業にとってプラスである。斯くして西日本を中心に稲作+須恵器文化が誕生した。
 
1、東北は植民地と云えるか?
 

(13/03/09)

 東電が福島事故直後、国会議員団の立ち入り調査を「何もみえないから」といって断ったのを、虚偽だと大騒ぎ。「見せない」のじゃなく「来て欲しくない」というのが本音じゃなかったのか。気持ちは判るねえ。事故で大騒ぎしているところに、国会議員のような何の役にも立たない野次馬に来て貰っても邪魔迷惑なだけだ。震災後、被災地を訪れた国会議員は多いが、行儀振る舞いが悪くて地元から迷惑扱いされた例はわんさとある。
(13/02/07)

原子力規制委員会の新安全指針案骨子が発表されました。詳細は他マスコミに詳しいのでここでは触れません。中にはどうでも良いような者もありますが、この中で筆者が気になった点をいくつか挙げて、所見を述べることにします。
1、航空機の墜落にも耐えられる壁を持った補助管理棟を別に設ける。
2、フィルター付きベントを設ける。
3、津波防止提を設ける。主電源が停止しても24時間可動可能なようなバッテリーを設ける。ケーブルを不燃性のものにする。その他
4、活断層の範囲を40万年以前まで広げる。

1、航空機の墜落にも耐えられる壁を持った補助管理棟を別に設ける。
 何故航空機の墜落が補助管理棟だけなのでしょうか?原子炉建家には落ちてこないのでしょうか?墜落してくるのは飛行機だけでしょうか?北朝鮮のミサイルは考慮しなくて良いのでしょうか?そもそも従来、こういった問題を議論してこなかったことが問題である。今から40年近く前、あるコンピューターソフト会社が、私のところにパイセスというプログラムを売り込みに来た。1ケース600万円という経費に驚いて使ったことは無かったが(今ではもっと安く、PCで動くバージョンもあるでしょう)、その時見たパンフレットでは、用途としてミサイルが原子炉建家に衝突したときの、建家の破壊シミュレーション例があった。アメリカでは40年以上前から、こういう過酷事故を想定していたのである。それに比べれば、日本の通産省(当時)や電力会社の無神経鈍感さ・平和ボケが如何に酷かったがよく判る。今回もテロなどのケースは滅多にないからと対策を見送った。しかし、福島の時も既に警告があったのにも関わらず、そんな地震は滅多に無いと対策を見送ったからあのザマなのである。1000年に1回の地震と、テロに襲われる確率を比較すれば、どちらが高いか直ぐに判りそうなものだ。
 その他、相変わらず設備・機械重視の発想から抜け切れていない感がする。筆者が既に述べているように、古い函型建家は構造としてはバラックのようなもので、過酷事故に対し極めて脆弱である。この形式を用いている原発は原則として早期に廃炉すべきである(東電柏崎、中電浜岡など)。廃炉が出来ない場合は、現在の建家を撤去してドーム型に立て替えるか、外側に補強壁(今のようなバラックではなく、全体一体化する構造を有すること)を設置すべきである。円筒・ドーム構造でも過酷事故に対する安全解析を行い、必要であれば補強する。
 又、基礎についてなんら言及が無いのが気に懸かる。おそらく規制委員会のメンバーの中に、建築屋や土木屋がいないのでしょう。メーカー主導体質から一歩も抜け出せていない。
2、フィルター付きベントを設ける。
 これは別に構わないのだが、ベント弁他減圧弁を、過酷事故下でも確実に作動出来るようなものに取り替える必要がある。福島のように肝心の時に開かない弁では話しにならない。なお、ベント弁を煙突の様に屋外に立てるようになっているが、これの耐震性は問題になる。トンネル形式にして地下から地上に排気出来るようにした方が、地震に対しては安全である。なお、原発炉体には多数の排気弁が使われているが、これが炉体毎に違っている可能性がある。出来るだけ、形式を統一化しておいた方がよいだろう。
3、津波防止提を設ける。主電源が停止しても24時間・・・・・・・
 どうでも良いような事なので省略。
4、活断層の範囲を40万年以前まで広げる。
 これはいきなり出てきた話しである。40万年の根拠は何か?丁寧な説明が必要である。言い出した規制委員会の嶋崎は、人間活動の高まり云々と訳の判らないことを云うが、全く説明になっていない。活断層が原発で問題になるのは、地震の発生確率である。これは地殻変動の活発さに関係する。地殻変動は人間活動とは何の関係もない。何の関係もないことを無理矢理くっつけることを「牽強付会或いはこじつけ」という。本来活断層の定義は、中新世以降のネオテクトニクスという時代における”その地域”の、地殻変動の状況から決められるべきである。 ここで”その地域”と地域を限定しているのは、地球は広い、従って地殻変動の状況も場所によって大きく異なっても当然だからである。例えばアフリカで起こっている現象を、そのまま日本に持ってきてもナンセンスである。
 地殻変動量は地盤隆起量で表すことが出来る。日本及び世界各地のネオテク時代の地殻変動量が求められている(下図の左)。これによると、アジア各地では100万年ぐらい前から隆起を始め、50〜60万年前ぐらいから活発化していることが判る。これを活断層期の始まりとしても良いのだが、これも曖昧である。近畿地方での地殻変動の様子を、もう少し詳しく表したのが右の図である。

 右の図を見ると、如何にも地殻変動はゆっくりと定常的に進んでいるように見える。もしそうなら兵庫県南部地震とか、東北太平洋沖地震など起きる筈がない。実際は地殻変動が活発な活動期と、安定な休止期が繰り返す。つまり、地殻変動は階段状に進む。その階段も等間隔にあるのではなく、間隔が短い時期(活動期)と長い時期(安定期)とが繰り返す。この変化がイベントである。右の図によると、大きく三つのイベントが読みとれる。第一は基盤岩の隆起が始まった時期で、これは大阪層群の層準ではアズキ火山灰の時代であり、約70〜80万年BP、第二は丘陵面の隆起が始まるMa8〜10イベントである。これは30〜40万年前BPである。第三は高位段丘面の始まりで、おおよそ20万年BPである。このイベントの前後が活動期で、その中間は休止期と考えられる。但し休止期と云っても、ズーット安定な訳ではなく、地震の発生間隔が活動期に比べ少ないということに過ぎない。
 さて、活断層の定義の中に「最近の時代に活動し、今後も再活動のおそれがある断層」というものがある。上の図で云えば、少なくとも近畿地方では最も新しい活動期とは約20万年BPとなり、従来の活断層の定義(17万年BP)とほぼ一致する。「いや、2O万年BPというのは、それほど精度の高い数字ではない、又他地域に共通するとは云えない。従って安全側に見て、倍の40万年を暫定値として採用する」というのであれば、それはそれなりに筋が通っているし、反対派を説得もできる。しかし、いきなりの副委員長判断で40万年BPとするのは、極めて乱暴であり非科学的である。又、活断層問題は単に原発だけでなく、一般都市開発にも関係する。例えば近畿地方の自治体では、活断層上の建築を規制する動きがある。また、事前の活断層の認定について訴訟に至ったケースもある。活断層問題は最早原子力規制委員会の独占物ではない。一方、原発規制は社会的影響力が大きい。上述の自治体規制で原子力規制委員会の決定を踏襲する可能性は大きい。従ってこの問題は原子力規制委員会だけでなく、関係学会(地質学会、応用地質学会、地形学連合、第四紀学会、土木学会、建築学会等)による十分な討議を経た上で、関係者(原子力ムラ住人の学者・企業だけでなく、国交省関連 一般実務エンジニアの意味)の納得了解を得る必要があると考える。
 
 しかし、何故嶋崎がいきなり根拠不明の40万年説を出したのか?何となく裏に東大内の理学系(地震研、物理)vs工学系(原子力、資源)の、予算人事を巡る対立・怨念があるように思われる。永年予算を牛耳ってきた工学系に対する理学系のまきかえしか?馬鹿馬鹿しいだろうが、これまで日本で国論を二分するような対立の陰には、しばしば東大内の抗争が関係していることが多い。原子炉を廃炉にする前に、東大を廃校にした方が良いかもしれない。
(13/01/25)

 東北復興予算に、何やら関係ない支出が含まれている疑惑。その中に沖縄の道路のり面補強予算があった。これに対し国交省は「のり面工は大雨・洪水対策ではなく、地震対策だ」とぬけぬけとおっしゃるから恐れ入る。
 道路のり面設計の基本資料である国交省監修、日本道路協会発行の「道路土工(のり面江指針)」の何処に地震対策工の解説が載っているでしょうか?せいぜい「地震時の設計をするときはこうせよ」と言うだけで、あとは知らぬ顔だ。どっちみちいずれ会計検査の対象になるのは間違いない。
(12/10/04)


 「ホンテン!ホンテン!」の大音響だけが強調された東電電話会議の模様。あまりマスコミは気にしていないようだが、技術屋の眼から見ると重要な会話が一つ。何号機かよく憶えて居ないが、現場「減圧出来なければ注水出来ない」、斑目「注水を先行すること」、清水(社長)「斑目先生の指示通りにすること」。これが命取りになって水素爆発を起こした可能性が大きい。
 既に炉心はメルトダウン状態で炉内の温度は上がる一方。従って炉内や配管内の蒸気圧は急速に上昇する。そんなところに少々の水を送り込んだところで、水は直ぐに蒸発するから炉内の蒸気圧がますます上がるだけ。第一、注水しようとしても炉内圧力以上の出力が出せて、なおかつ大容量のポンプが必要だが、当時東電は福島原発内にそのようなポンプを配置していなかった。こういう場合は、現場が主張するようにまず減圧し、注水可能な状態を造ってから注水するのが技術の常道である。それを遅らせたことが致命傷になった。清水が斑目案を採ったのは、経営者の責任というより、責任を斑目に負わせ、自分は責任を被らなくて済む官僚的保身術である。
(12/08/07)

 間もなく原爆記念日ですが、広島・長崎ではキノコ雲が起こった。ところが福島原発事故ではそれは起こっていない。それは何故か?この違いをチャンと答えられる人は何人いるでしょう?答えられない人はもっと勉強すべきです。
(12/08/05)

 今日又、NHK福島原発事故の真実なるDocを見てしまいましたが、やっぱりあの構造では、SR弁もベントバルブも開かないと感じた。果たして、今度の原子力安全委員長はバルブの構造が判っているでしょうか?これは専門家でなくては判らない。いや専門家でも見逃してしまうおそれがある。原発施設と言うモノは、シロウトでは想像もできない複雑で巨大な構造物だ。そこに減圧バルブも判っているかどうか、という人間が権限を握って入ってくると、むしろ極めて危険な状態を作る可能性がある。
 今の与党やその他政治家が要求しているのは、専門家は信用できないから、シロウトを使えということだ。シロウトなら信用できるのでしょうか?そもそもバルブがどういったものかも判らない人に、安全審査ができるのでしょうか?こういう人間に限って、自分の主張を押し通す傾向が強い。シロウトが状況を混乱させた例は、歴史上枚挙にいとまない。
(12/08/04)

 SPEEDIに関する文部科学省の調査報告書が出ましたが、不思議な点が幾つかある。まず、SPEEDIを試動したのは1号機が爆発した3/14。官邸に送付しようとしたが、回線が混乱して出来なかった、と釈明。しかし、地震当日ならいざ知らず、3/14なら回線は復旧しており、送付出来なかったとは思えない。仮に回線が繋がらなかったとしても、文部科学省から官邸までは直ぐだ。データを自転車で運んでも大して時間は懸からない。連絡が付かなかったというのは、言い訳にもならない。SPEEDIの運用に関し他省庁との連絡体制や、原子力安全委員会との間にチャンネルが無かった、と他人事みたいに云っているが、チャンネルを作るのが役人の仕事だろう。いざとなれば、大臣・副大臣・政務官を動かすぐらいのことをやらなくてはならない。その努力もせず、只指をくわえて見ていただけだ。アホ・ボンクラのそしりを受けて八無を得ない。
 というように、あちこちから批判のパンチを食らうのを覚悟して、敢えて何故こんな報告書を出したのか?言外に秘められたココロは、要するにSPEEDIを有効に動かすには、今の体制では人員も足らず、組織も未熟である。これを補うには更なる予算措置が必要である。と言うわけで、結果はSPEEDI予算の大幅アップ。これこそ禍を転じて福となす、霞ヶ関流秘術「焼け太り」。それが証拠に、SPEEDIのシミュレーション精度について、斑目の筋違いデタラメ批判に反論もせず、その通りと頭を下げているのである。予算を獲るにはこれぐらい出来ない駄目、これが役人の生きる道と模範演技。
(12/07/29)

 昨日のNHKスペシャル、メルトダウンの意外な真実。2号機メルトダウンの弱点は減圧バルブ。始めてSR弁やらベント弁の詳細を見ましたが、あれでは圧は抜けないことは一目見れば判る。バルブの構造が根本的に間違っている。
 原発の減圧バルブには、圧力容器に直結するSR弁(複数)と、ベント管に付随するベント弁(2個)がある。ベント弁の一つのみが手動式で、他は全て遠隔操作式。これらの内、正常に作動したのは手動式の一つのみで、他は全く作動しなかった。SR弁というのは2本のシリンダーが並列に並び、一方が送気パイプに、一方がバルブを通して加圧パイプ(原子炉側)に繋がっている。シリンダー内にはピストンがあり、ガスで充填されている。送気パイプとシリンダーはストッパーで遮断されているのだろう。加圧パイプの蒸気圧が高くなると、シリンダーの内圧も高くなるから、それをキャッチすると、送気パイプから窒素ガスを送ってシリンダーを加圧する。そうすると、ピストンが動いてバルブが開くというお話なのだが、本当か?という疑問が沸く。まず加圧パイプの蒸気圧が窒素ガス圧より高ければ、ピストンは動かない、つまりバルブは開かない。シリンダー内の流体が気体の場合、圧力容器側からも圧力が加わっているので、いくら窒素ガスで圧しても、体積が圧縮するだけだからピストンは動かない。つまりバルブは開かない。
 ベント管の遠隔操作バルブの場合、管内にギアがあってこれがバルブを固定している。管内圧力が高くなると、外側の送気パイプから空気を送って管を膨らます。そうするとギアが回転してバルブが開く。そんなにうまい話になるでしょうか?これも問題は送った空気が、思った通りに働いてくれるかどうかだ。実際には働かなかった。NHKの解説では、空気を送るコンプレッサーが700mも遠くにあり(それも最初は何処にあるか、誰も知らなかったと言うのである)、その間に送気パイプの何処かから空気がリークしたため、となっている。しかし、仮に空気を予定通り送れても、ギアが予定通り回転したかどうか判らない。何故なら、東電はこれまでこれら減圧バルブの機能チェックを一度もやってこなかったというのだ。
 これらの問題の根底には、バルブの設計に根本的ミスがあったと考えられる。管内圧力上昇を防ぎたければ、まず受け側の圧力を下げなくてはならない。ところが、どのバルブも受け側から高圧ガスを送り、発生側に対抗しようとしているのである。これだと、発生側と受け側の圧力がバランスしてしまって、何時まで経っても全体の圧力は下がらない。基本的ミスである。
 筆者が疑問に感じるのは、何故減圧バルブをこんな複雑な機構にしなければならなかったのか?世の中には、もっと単純な機構の減圧バルブは幾らでもある。また、何でも遠隔操作に拘りすぎている感がある。例えばSR弁を液圧制御型にする(液圧なら体積変化が生じないから、制御側の圧力を確実に相手に伝えられる)と、一人で複数の弁をコントロールすることは難しくはない。
 高圧ガス容器を制御するとき、減圧バルブは極めて重要である。これに対する関心が原子力屋には乏しかったのではないか、という感がする。ボーリング屋なら直ぐに気がつく。筆者はこの後、直ぐにもっと簡単な構造のバルブを思いついて、特許を獲ろうとおもったたが、この程度ならだれでも思いつけるし、既にそういうのはあるかもしれないから止めた。
(12/07/22)

【SPEEDIと斑目の節操】 

 国会事故調査委員会が公表されて暫く経つ。筆者もそのダイジェスト版を事故調hpからダウンロードして一読してみた。その結果は、東電を悪者にする割に、随分国、特に経産省に遠慮した内容だなあ、という感想を持ったということだ。その理由の一つがSPEEDIに関する記述がないことである。事故調報告書の章の一つに「被害拡大の理由」というのがあるが、ここでもモニタリングポストの活用不足や住民への通報の遅れなどは指摘されているが、汚染域の拡大予測という視点はない。
 1979年TMI事故を契機にアメリカで開発された、核拡散予測シミュレーションプログラムである。日本では1980年より日本原子力研究所で日本版の開発が進められ、1990年以降科学技術庁所管の(財)日本原子力安全技術センターによる運用が進められてきた。本事故で、SPEEDIの予測結果がネット等で公表されだしたのは、事故発生後半年近く経っていた同年秋頃だったと記憶する。ところが、最近公開された資料によれば、1号機爆発の翌日に当たる3/14には米軍にデータが供与されている(これが合衆国政府による、在日米人の100q避難命令に繋がったと考えられる)。又、4月下旬以降定時的に予測計算が行われている。もし、この結果が早期に公表されていれば、避難はより早期に、安全に行われていたという指摘もある。しかし、国会事故調報告書は、これらの点については一言も述べていない。
 SPEEDIの結果を公表しなかった理由について、安全委員長の斑目は当初から「予測の精度が悪く、不正確で参考に出来ない」と全く無視の姿勢。しかし、ある報道では「SPEEDIの結果を見せられた閣僚の一部が、これではとても公表出来ないと公表に難色を示した」とも云われる。これも国会事故調報告書には取り入れられていない(当たり前だが、事故調そのものがSPEEDIを無視しているのである)。実は、事故発生直後からSPEEDIは運用されていたのである。斑目は何故SPEEDI情報の公表にストップをかけたのか?これには次の2ケースが考えられる。
  1、斑目自身がSPEEDIを信用していなかった。
  2、何処かから(斑目に直接)ストップの指示が入った。

1のケース;事故後の彼の発言からは、この疑いもある。しかし、SPEEDIは90年から運用を始めており、彼が中身を知らなかった筈はない。彼が再三主張している「予測の精度が悪く、不正確で参考に出来ない」という言葉も、まともな技術者の中では到底受け入れられるものではない。無論シミュレーションソフトの場合、初期モデルや入力パラメーターにより結果が変化するのは当たり前である。しかし、状況が状況なのだから、足りないデータでとりあえず結果を算出し、足りない部分は実測で補完し、モデル・パラメーターを修正し、メインにフィードバックして修正計算を行うするのは当然である。90年代以降理工学の分野では、コンピューター技術の発達により、初期値→実測→モデル修正で問題解決を図るのは当たり前の技術になっている。SPEEDIは当にそういう流れに沿ったソフトである。しかるに斑目の言い分は、半世紀前の線形計算の域を脱していない。本当か?というのが筆者の疑問である。
2のケース;そもそも従来の原発安全審査では、通産(経産)省ルートと科学技術庁(文部科学省)ルートの二つがあった。通産ルートは無論原発推進派。それに対し科技庁ルートはむしろ規制派。両者の関係が上手く行くわけがない。ところが、ある時を境に安全審査が通産ルートに一本化された。その理由は定かではないが、例の橋本行財政カイカクで、科技庁が文部科学省に一本化されたことや、「もんじゅ」騒ぎで科技庁所管の動燃が解体され、科技庁の権威が著しく低下したこともあるかもしれない。この科技庁がSPEEDIを所管していたのである。いずれにせよ、原発安全審査は経産に一本化されたわけだから、経産省系が文科省系のSPEEDIを無視したり邪魔したくなるのは当然。それで、経産系が、斑目に圧力を掛けて、SPEEDIの使用に待ったをかけたのではないか。

 筆者はどちらかというと、2のケースの方が可能性は高いと考えている。しかしいずれにせよ、最終責任者は斑目だから彼が責任を免れられる筈がない。そこで疑問に感ずるのは、彼の科学者・技術者としての節操である。かれは事故直後、「想定」という言葉を強調していた。何かを想定しなければ何も作れない。それは当たり前で、斑目に云われなくてもみんな判っている。「想定」というものは、そもそもアバウトなものである。想定を作るための手法・データもアバウトである。例えば40年後を目指しての施設を想定する、といっても40年後の人口やGDPや、人々の関心事がどうなっているか判るわけがない。そこはそこで割り切って出発する。原発だって似た様な状態から始まったのだ。肝心の原発想定にアバウトさを認めながら、SPEEDIに厳密を要求する。これは矛盾としか云いようがない。この矛盾した行為を説明出来るモデルが、2の経産圧力モデルである。斑目はこれに屈したのだろう。科学者・技術者としての節操にかけるとしか云いようがない。

さて、国会事故調報告書にもう一つかけている視点がある。それは経産省の責任である。そもそも日本の原子力政策を握っているのは、経産省原子力政策局である。ここが原子力発電量を決め資源エネルギー庁に伝える。エネ庁が各電力会社に発電量を割り当てる。原子力安全委員会や保安院など実施部門はその一次下請け、電力会社は二次下請けに過ぎない。ところが、下請けに過ぎない東電や政府実施部門ばかり責任が追及され、肝心の大元である原子力政策局や資源エネルギー庁が、不問にされているのは何故か?彼等は計画部門であって、実施部門ではないから事故発生や処理に直接責任を負わないためか?そんなことはない。日本のエネルギー政策は細かい点まで、みんな経産省の統制下にある。原子力は国策だから、電力会社が勝手なことを出来るわけがない。ここで重きをなすのが、電力会社内の経産OBである。彼等の仕事は、電力会社が国策を忠実に守っているかどうかを監視すると同時に、下請けである電力会社の要望を本省に挙げることも含まれる(そうでなければ高い給料を払う意味がない)。もし、安全委員会から、電力会社にとって極めて不利益になる注文が出てきたとき、それの対抗策を本省に挙げ、本省から安全委員会に圧力を掛けて貰うのも重要な役割である。福島第一の安全性バックチェックを10年以上も延期させたのは、OBの努力無くして実現しない。それだけではない。何故東電は政府与党からの給与引き下げ要求に、あれほど抵抗したのか。それはOBの給料を確保するためである。麗しき現役ーOB協力体制である。
(12/07/18〜24)

 元総理細川護煕が進めるのが、震災新資源(世間ではガレキと呼ぶが、これは誤った用法なので、筆者は用いない)を利用した「命の森」構想。東北の海岸線沿いに2〜30mの盛土を行い、その表面に植樹するというもの。実現の可能性とかコストとか、世間の間違った偏見など問題もあるが、他の復興案・・・例えば自民党の国土強靱化計画なんか・・・に比べれば遙かにまし。又、世間が間違っているのが・・・これは復興構想会議とか復興庁も含まれる・・・、震災新資源を十把一からげに、みんな同じに見ていることだ。しかし、現場では既にコンクリート・土・鉄・木材・プラスチックなどに分別されている。コンクリートは筆者の構想では海に沈めて魚礁に転用するというものだったが、細川案では盛土基礎材に転用することになっている。別にこれはこれで構わない。土は盛土本体に、鉄はスクラップとして再生する。木はチップに加工してバイオマス発電所に持っていけばよい。プラスチックは難しいが、溶鉱炉に鉄鉱石と一緒に放り込めば発熱材になる。そうすれば全体の処理量は相当小さくできる。
 実際東北3県から出る新資源は重量で1900万tと云われる。これを土に換算すると1000万m3程度にしかならない。1000万m3など大した量ではない。100ha(72ホール)のゴルフ場を二つ作れば、この程度の土は直ぐに出てくる。復興構想会議が文学者や宗教家や文系官僚だけで固めて、実務家特に土木屋をいれなかったから、簡単な問題を難しくしているのである。
(12/07/05)

東電福島4号機の残骸・・・・・これで「耐震性に問題無し」とはよくいうねえ。その心臓に感心する。


 これが12/06/26に公開された福島第一原発4号機建家の残骸です。中越沖地震以来、疑問だった東電型建家の実態がよく判る写真なので、NHKウェブサイトから転載しました。中越沖地震柏崎原発の時、疑問に感じたのは次の通りである。
1)保安院の安全指針では建築物は剛構造とする、ということになっている。
2)しかし、2号機でスロッシングが起こるなど、かなり低い周波数の波が長時間作用したことが伺える。
3)原発建家の地震記録でも0.7〜1.0secの低い周波数の波が卓越している。

 さて、これが建物の構造とどう関係しているのか、がここ数年来の疑問だったのだが、今回やっと解決出来た。
1)基本的な骨組みは、RC造の単純梁構造である。
2)壁はブロック毎につくられており、壁と柱や梁とを繋ぐ鉄筋が見られない。あっても大したものではない。つまり、骨組み構造と壁とは一体ではなく、その境界が構造上の弱点となり、少し力が加われば簡単に剥がれてしまうレベルのものである。
3)壁にも十分な鉄筋が入っているようには見えない。そもそも鉄筋が細い。こんな鉄筋、今時安物のマンションでも使わない。
4)天井にトラス状構造物が見えるが、これはクレーンの走行路であり、建家の構造体ではない。
5)斜材のような耐震構造物はみられない。つまり建築後耐震補強が行われていない可能性が高い(東電は過去常に耐震性は問題はない、と言い張っていたが、それが本当か疑わしくなる写真である)。もし、まともな耐震補強をしておれば、水素爆発で全体が吹き飛ぶというような無様なことにはならなかったはずだ。

 ずばり云って、時代遅れのお粗末な建築である。これでは、長周期の波が発生して当たり前である。こんな物を40年以上使ってきたわけだ。又、現在残っている原子炉建家は残骸であって建築物ではない。東電は強度は十分あると主張するが、どの部分の強度を指して云っているのだろうか?破壊されていない部分だけの強度を云っているのではあるまいか?僅かでも自分に都合よい言葉やデータがあれば、それを拡大して自己弁護に使う、これを一般に「牽強付会」というが、電力会社によく見られる病弊である。どんな構造物 でも全体に及ぶ亀裂が入れば、構造物全体の強度はゼロと見なされる。上の写真を見れば、構造物としての連続性は既に失われている。構造物全体の強度はゼロと見なすべきである。又、構造物が壁や柱の傾斜が建築基準法規定内に入るので、安全性に問題はないと言い張るが、建築物ではないものに建築基準法を適用すること自体ナンセンス。また、同じ報道では一部では変形が進んでいたり、新たな亀裂が見つかったと云われる。ということは、この建家は今安定しているわけではなく、今後も変形を続けて行くということである。その変形が限界に達したとき、崩壊に達する。ではその崩壊が何時発生するかだが、筆者の見方では、早ければ年内、遅くとも3年以内に発生するだろう。また、この発生は明確な予告なし*に突然発生する。

*本当はそんなことはなく、キチンとした計測をすれば予測可能である。但し、本体の放射能強度が高いため、センサーの設置が出来ないことが難点。

なお、この建家を後世の記念のために永久保存を、という運動があるらしい。こういう人は、地震や放射能の意味が全く判っていないのではないか?と思われる。まず、構造的に完全に破壊されているため、何時壊れても不思議ではない。これをそのままの形で永久保存をしようと思えば至難の業。何らかの形で補強するにも、放射能強度が高くて近寄れない。周囲に何か防護工のようなものをやって、本体が崩壊したときに、放射能で汚染された瓦礫が外に飛散しないようにするのが関の山だろう。

(12/06/27)

 昨日福島産魚介類の一般販売が始まりましたが、何故こんなことが今まで出来なかったことが面妖。原因は、海流と魚の習性に対する無知。原子炉冷却に伴って、放射性物質が冷却水とともに海中に流出する。この内、ヨウ素のような半減期の短い物質はどうでも良い。寿命の永い物質の内、セシウムは軽いから海流に乗って拡散してしまう。プルトニウムやストロンチウムのような重い物質は、流出口近くの海底に沈殿して遠距離には拡散しない。
 魚は産まれた場所に居着いていない。福島沖産の魚(サバ、マグロなど)はみんな回遊魚である。おまけに福島県内漁港に水揚げされた魚は、福島沖で育ってはいない。つまりどの魚も、昨年3月には福島沖にはいなかったのだ。こういう魚が放射能に汚染されている訳がない。
貝は海底の泥を食って放射能を蓄積するではないか?という疑問がある。そのとおり。しかし、元々福島沖の貝など商品として流通していない。商品用貝類の大部分は養殖なのである。養殖設備は津波で大方が破壊されている。従って、放射能汚染貝類が商品として流通することはあり得ない。
 以上から、福島産魚介類はずっと前から汚染などされていないのである。ところが、相変わらず福島産魚介類は汚染されていると信じている人達もいる。その人達は海流の存在も魚は地球上を回遊することも信じられず、海の水はずーっと止まったままで、魚は産まれたところから死ぬまで、同じ場所に住んでいると思っているのである。これこそ農耕民族の特徴である。日本人の多くは未だに農耕民のトラウマから脱し切れていないのだ。
(12/06/25)

 小沢一郎が震災直後の「塩を買い占めろ」と指示、という話しが夫人離縁状の中にある。買い置きと買い占めとは、言葉は似ているが意味は天地ほどの違いがある。買い置きは自己防衛のためで、それはそれなりに首肯出来る部分もある(但し小沢ほどの大物政治家が買い置きに奔るとは、という批判は出てくる)。買い占めは商品を独占的に所有し、他の所有権を妨害する行為である。一般に物価上昇を招いたりして、経済バランスを崩してしまう。常に有権者から監視されている政治家にとって、決して行ってはならない行為である。放射性物質が海に入り、それで塩の値段が高くなると踏んだのでしょうか?発電所や製鉄所から出てくる精製塩とは違い、深層水を使う天然塩は放射性物質を僅かだが含む。大部分は放射性カリウムK40だが、極微量のウランも含む。これらは崩壊の過程でγ線を放出する。これはエネルギーが大きいので、細胞を活性化させたり、雑菌を殺す。つまり、天然塩が健康に良いのは、放射能のお陰なのである。ウソと思えば、精製塩と天然塩の放射能強度を測って見ればよい(但しワタクシは測ったことはありません)。
海水の質量は膨大だから、福島ぐらいの放射能が紛れ込んだ位では、何の影響もない。つまり、塩の値段は変わらないから、買い占めても無駄だ。
(12/06/17)

福島原発4号機建家の傾斜について、東電は計測の結果大丈夫だ、と断言したが、本当に大丈夫か?
1、コンクリート強度は耐震基準をクリアーしているというが、強度はどうやって測ったのか?
2、壁の変位も基準内に入っていると云うが、計測は経時的に行っているのか?変位はある時点での量よりは、それが継続しているかどうか、が重要なのである。
(12/05/26)

 原子力安全委員会に秘密会議があって、それが裏でこそこそ画策していると、毎日新聞が鬼のクビでも獲ったような大騒ぎ。どんな秘密会議かとよく読むと、ただの幹事会。役所の委員会の決定は政策意志決定を左右するから、必ず事前準備として幹事会を設置する。幹事会をとりまとめた事項を、委員会が審議するのが建前。幹事会は原則非公開。ヘボ新聞社の編集会議とは訳が違う。
 まあ、日本のマスコミが如何に世間知らずか、ということの証拠。それと毎日という新聞、3.11から少なくとも原子力・エネルギーの関しては急激に左旋回しましたね。旋回し過ぎて、失速・墜落しなければ良いですが。
(12/05/25)

 私の嫌いな西部邁が今日の毎日新聞に面白いコラムを書いていた。要旨は大略、「国際放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の委員長が『福島』に於いて今後健康被害が出るとは考えられないと発表したが、この事実は日本のマスコミでは全く無視されている。もしこれが事実なら、あの福島を救えというかけ声や、原発反対騒ぎは、只の愚行である。これは、固定した情報により、大衆の(意識)の中に『これは大変だ』という集団意識が生まれ、『原発反対』という集団行動が産まれる。もっとオツムを使って異説も認めよ」と云うものである。
 福島問題を西部は情報という視点で切っているが、筆者は日本人の潜在意識にその原因があるのではないかと思っている。日本人や東南アジア系の人種は、ソレトニントランスポーターDNAが多いという説がある。ソレトニンは不安物質であり、悲しみを表現する他、気持ちを落ち着かせる効果がある。これが多いと、新しいもの・見たことがないものに対しては警戒心が強くなり、臆病になる。東南アジア各国が、ああも簡単にヨーロッパの植民地になってしまったのも、この所為かもしれない。逆に妙なものに対しては、慎重になるという長所もある。だったら何でも新しいことをやりたがるヨーロッパ系、特にイギリス系はドーパミン−TーDNAが多いのだろうか?なんでも直ぐに火病を起こす韓国人は、アドレナリンーTーDNAが多いのだろうか?同じ日本人でも、関東人が直ぐに振り込め詐欺にひっかかり、関西人に被害が少ないのは、ソレトニンーTーDNAと関係があるのだろうか?
 それは別にして、福島事故直後から始まった「放射能汚染」という言葉は、日本人の不安心理を刺激し、全国民的にソレトニンの分泌が増えた。ソレトニンが増えると、前向き物質であるドーパミンの分泌が減り、恐怖物質であるアドレナリンが増える。アドレナリンは自己防衛本能をコントロールする物質だが、これが過剰になると外に対して攻撃的になる。事故直後からの原発反対運動や、昨年8月の五山の送り火に対する中傷カキコミや、震災瓦礫の受け入れ拒否の運動などは、ドーパミン減少に伴うアドレナリン分泌効果と考えられる。島田市のカミ振り乱したオバハンなど、定めしその証拠。
 さて振り込め詐欺被害者とソレトニンーTーDNAとの関係だが、私が満更無いとは云えないと思っている。例えばいきなり電話がかかってきて・・・それだけでソレトニンーTーDNA受容者は不安になる・・・それが子供や夫の事故を通知する。これで感情はズーット落ち込んでしまう。頭の中は不安感で一杯だ。そこにこうすれば助かりますよ、と云われると、わらをもすがる気持ちで簡単にはまってしまう。この段階では、他の感情物質であるドーパミンやアドレナリンの出る幕はない。ソレトニンーTーDNAの少ない関西人では、まず前向き物質のドーパミンが出てきて、脳はこの話が本当かどうか確かめるよう、言語中枢に指令する。そこであれこれ聞き出して、情報を集めようとする。その段階で詐欺師は、諦めて退散するのである。
 なお、福島に於ける健康被害については、事故直後からロシアやフランス・アメリカ政府より同様の見解が示されていたが、マスコミにより見事に無視され、政府もマスコミに引きずられて有耶無耶にしてしまった。これは千載の禍根になるだろう。
(12/05/23)

静岡県島田市がとうとう新資源受け入れを表明。非常識な瓦礫反対運動がテレビで放映されたので、相当の批判が市や反対団体に寄せられたためではないか?何でも自分で決められず、マスコミの風評ばっかり気にしているから、こんなことになるのだ。
 新資源処理すら自分で決定出来ない・・・何かというと政府の基準が不明確だからと、責任を政府に追い被せるだけの・・・無能自治体が、やれ地方分権だ、道州制だ、などと偉そうなことを云っても、笑い事に過ぎない。
権利を主張したければ、リスクをとらなくてはならない。
(12/03/15)

 東電柏崎原発ストレステストに239箇所の誤りがあったとして、枝野が東電に対し非常な不快感。しかし、問題は誤りの数ではなく内容である。その説明もなく、単に数が多いからだけで結論を出すのでは、霞ヶ関のアホ役人や、地方の馬鹿裁判官と変わりはない。要するに中身が理解出来る眼(頭)がなかった証拠。それを質問も出来ないマスコミも、眼(頭)がないのである。
これは君が代を口パクでやっているかどうかをチェックするマヌケ教師や、職務命令を金科玉条に振りかざす、クソタワケの橋したや維新と同レベル。
 なお、枝野は本日衆院予算委員会で、中国の商標権訴訟について、「国家としてプライドはないのか」と批判。これは誉めてやるが、もし中国から四の五の云われたときに、あくまで突っ張り通せるか、どうかが今後の課題。小沢なら直ぐヘナヘナかも。
(12/03/13)


左は文部科学省が発表した東京直下地震モデルの模式図(12/03/07毎日新聞)です。注意しなくてはならないのは、直下型地震は、昨年の太平洋沖地震とは性格が全くことなることです。それに合わせた対策・対処が必要になります。
 例えば震源地域では、水平動より鉛直動が大きくなるので、従来水平動に対応して作られていた免震装置が効果を発揮出来なくなるとか、高層〜超高層ビルに衝撃波が発生して柱が座掘するとか、

 東電が17%値上げを打ち出していきなり出てきたのが、東京都が中部電力から直接電気を買うという話し。電気に色は着いていないし、今中電が東京までの送電網を持っているわけでもない。果たしてどうやって電気を買うのか不思議千万と思っていたが、なんのことはない、こんなことを言い出した東京都のトップが、電気の基本を判っていないことがことの発端なのである。
 先日、某民放BS番組に東京都副知事のイノセが出てきて、東京都電力購入について持論を吐いていたが、聞いていていやになったね。何が嫌になったかというと電気の基本が全然判っていないと云うことだ。例えば、電力周波数をキロヘルツ*と云ったり、今は家電製品でも東西で供用出来るんだから、電力周波数の共有化など簡単に出来るはずだ、などとのナンセンス発言。今の家電製品はみんな周波数変換装置を備えているのですよこれと全体送電系の変更(周波数の共通化)とは全く意味が違う。原因と結果を取り違えているのだ。こんなことも知らないアホが東京都副知事を務めている。ボスの都知事のセンスを疑いたい。イノセの要求を聞いていた中部電力の専務もウンザリしたでしょう。
 
最近大学生の学力低下が取り沙汰されていますが、いい年した政治家の学力低下・知識不足も相当のものだ。
*何故これがナンセンスか判りますねえ。電力周波数はヘルツの世界。キロヘルツはその1000倍周波数が高い世界で、ラジオだ。テレビはその1000倍のメガヘルツの世界。現在の携帯やスマホは、更に1000倍のギガヘルツの世界だ。これぐらいは判ってもらわなくちゃ困るのだ。
(12/02/28)


青い鳥ー無い物ねだりー症候群
 「青い鳥」とはメーテルリンク作の童話。「青い鳥」を探してさまよい歩く兄妹を通して、この世にありもしないものを要求する民衆の愚かさを批判した寓話。最近「放射能ゼロ運動」というものが流行っているらしい。放射能ゼロとはどういう意味か?これには二つの思いこみ(誤解乃至錯覚)がある。まず世の中はそもそも清浄無垢なものであり、それを乱す不純物は悪であり、排除しなければならないという思いこみ。その不純物の代表が放射能だから、これは絶対に受け入れられないという思いこみ。云うまでもないが、この思いこみこそが東北ー福島差別の始まりである。
 果たして過去に放射能ゼロという社会・環境はあったのか?下で紹介した島田市のオバハンとか、東京や大阪で催される反核集会に集まる環境保護主義者(多くはかつての左翼全共闘のなれの果てとその家族)はそういうものがあったと錯覚しているらしい。これこそが「青い鳥」症候群である。ところが、放射能ゼロ社会などかつて無かった。それどころか人間自身が放射能をまき散らしてきたのである。それをどうしてゼロに出来るのか?私は前から云っている。団塊・全共闘、あんなものこそアホ・タワケ・エゴの塊だと。自然界というモノは非常に複雑で、様々なものが入り交じる。人間も又、その挟雑物の一つである。人間自身が自然界に汚れを与えている。自然に汚れを与えたくなければ、墓場に行くしか方法はない。「青い鳥」症候群の本質はエゴである。左翼環境主義こそが究極のエゴイズム・絶対保守なのだ。このエゴ絶対純粋主義こそが、ナチやヨーロッパのユダヤ人差別、インドの差別、日本の神道差別を産んだのである。左翼とはそもそも抑圧された民族・階層に光を当て、彼等を解放し、喜びも苦しみも平等に分かち合い、差別を撤廃する運動ではなかったか?それが、今の日本では、自分の身の安全だけを考え、苦しんでいる人を助けようとせず、放射能被害と反原発に名を借りた自己中心主義に成り代わっている。反原発主義こそ究極のエゴイズムである。当に思想の堕落である。
 一体誰がこのような堕落をもたらしたのか?無論70年代に流行ったマルクーゼ理論やそれにおもねる左翼理論もあるが、もう一つ重要なのは90年代以降の新自由主義理論である。
(12/02/20)

 東北新資源受け入れ自治体の内訳があきらかになりました。拒否或いは未検討の自治体は全部で26、全体の半分です。半分が知らん顔をしている。その内訳を見ると、大部分が西日本特に中四国・九州に偏っている。というか、この地域で受け入れをOKした県は一つもない。そもそもこの地域は昔から地域エゴが強い。自分が良ければ他人はどうでも良い、という土地柄(江戸時代、外様の大藩が多かったから、その所為か)。それとブラクが強い地域でもある。ブラクも又強力地域エゴ団体。それが怖くて、県も自治体も切り出し出来なかったのだろう。西日本ではおおよそ200〜300年ごとに南海ー東南海地震が起こっている。これの期待確率は30年以内で70%を越えている。もし明日にでもこの地震が起こったら、西日本の原発だって無事とは云えない。その時の瓦礫処理をどうするのか?当たり前だが東日本は受け入れを拒否する。政府が間に入る保証はない。何故なら、その時道州制になっていたら、政府の答えは「道州間で解決して下さい」が当たり前。明日は我が身だ。いずれこの地域も地獄を見ることになるだろう。
日本の現実はこんなものだ。この状態で、道州制など実現可能と思いますか?経団連はこの問題についてナイーブ過ぎる。
 昨日テレビで、静岡県島田市の新資源受け入れに細野が出かけ、直接住民説得に懸かった様子が放映されていた。その様子を見てウンザリしました。何がウンザリしたかというと、我が日本国民その中でも環境保護主義者・・・彼等の多くは左翼系住民運動家・・の知性と知識の欠如に対してです。細野が検量計を振りかざし、瓦礫で0.06μSv、空中で0.068μSv(有馬温泉でも0.2μSvはある。島田の3倍だ)ですと叫んでも、反対派のオバハンが猛反発。髪の毛振り乱しての猛抗議。年はと見れば、60台の団塊全共闘世代。このオバハン0.008違っているのが気に入らないらしく、この差はなんだと詰め寄る。この種の人間は例え0.001違ってもダメなものはダメらしい。まるっきり算盤の世界である。ひょっとしたら、若い頃小学校の教師かなんかやっていて、細かい点数付けをやっていたのだろう。だから、数字には五月蠅い。しかしその背景つまり科学というものがまるっきり判っていないのだ。
 東北大震災以降目立ってきたのは、この種の一種の数値教条主義者・・・大阪橋下もその一人・・・である(その前にはダイオキシン騒ぎがあった)。彼等が作った妄想の典型が、福島原発以後流行ったホットスポットである。それを後ろから煽る、反体制派と称する学者が問題なのだ。あんなものまともに信用する学者や技術者はいない。数値教条主義者の共通項は、そもそも、理科数学が苦手でまともに勉強したことがない。ジュールとエルグの違いなど全く理解出来ないし、したくもない・・・しかし科学はこの面倒な違いを理解しなくては成り立たないのだ。こういう面倒なことをサボって目に付くことばっかりに目がいく。こういう人間に限って、数値の本質を理解しようとせず、数値だけを頼りにして、皮相ばかりをあげつらうのである。こういう人間こそ、新資源と一緒に何処かに埋め立てればよい。
(12/02/17)

東電が業務用電力料金17%アップを打ち出して政府は大慌て・・・筆者は個人的にはマスコミ、特にテレビ業界には30%超の値上げを要求しても良いと思っている。。東電はこれは権利だ、と居直る。いささか理不尽に見えるが、理屈はその通りなのだ。裁判になれば東電が勝つでしょう。
 
そもそもこの問題の始まりはコイズミ時代の電力自由化。供給先が1社で料金を自由化すればどうなるか?火を見るより顕か。料金は供給企業の思い通りになる。究極の独占資本主義である。この場合は、供給企業を分割するなり、他企業の参入を認めなければバランスが採れない。コイズミカイカクは実は自由主義とは名ばかりで、自由化に名を借りた統制経済を意図していたのでしょうか?
(12/01/29)

 東大が、M7級の首都直下地震が4年以内発生確率が70%と発表。昔なら、東大の発表となら、政府以上の権威を持っていたが、今や東大も只の大学。ああそうですか、と聞き流す連中も少なくない。何となく、昔の河角59年地震周期説を思い出します。これなら30年ぐらい前に起こっていなけりゃならないが、起こっていない。逆に起こっていないから、次ぎに起こるときのエネルギーはもっと大きいとも云える。
 
一方、政府の中央防災会議は30年で70%。何となく政府の方が大雑把に見えるが、これは使ったデータや計算法が違うから出てきた違いで、結論は同じ。つまりM7級の首都直下地震は、何時起こってもおかしくない、ということ。何でも政府に任せるんじゃなく、個人や企業が、東京から逃げ出すかどうか、自分で決断することを迫られているということだ。しかし、誰も逃げだそうとはせず、東京にしがみつくばかり。これじゃ、天下の東大も張り合いがない。その東大自身も東京にしがみついているんだから、せっかくの研究結果も、世間から疑いの眼で見られれしまう。知事はどうするんでしょうか?まさか都民をほっといて自分だけ逃げ出すんじゃないでしょうなあ。
(12/01/24)

 浪江町採石場産採石が放射能で汚染されていたことで、枝野は東電に賠償を要求したが、これって責任放棄或いは責任の横流しではないでしょうか?そもそもの問題は、政府がSPEEDIのデータを隠していたからである。採石業者も放射能汚染が自分のところに来ることなど想像も出来ず、大丈夫と思い出荷を続けていたに過ぎない。もし政府が正確な情報を流しておれば、この事態は避けられた可能性が高い。情報隠しを最終的に判断したのは、当時内閣総理大臣だった管直人であり、それに追随した閣僚や経産省の責任も大きい。採石賠償は、当時の閣僚に負わせるべきである。東電に賠償を要求した枝野は、当時官房長官。本人自身非常に大きい責任を持っている。採石業は経産省の所管だからねえ。私が東電会長なら、SPEEDI情報隠しについて政府を提訴しますよ。政府の無能の所為で余計な負担をおわされたとね。
(12/01/20)

 東電が電気料金大幅値上げを表明。本気かね?なんとなく原発再開を目指す地均しの気がします。後ろで筋書きを書いているのが経産省というのは顕か。さて、これが丁と出るかハンと出るか?下手すると電力分割となって・・・総選挙がありますからねえ・・・、実も蓋もないことになりかねない。何でも自分の思い通りになる、と思っているのがあの業界の欠点。
(12/01/18)

浪江町採石場産採石が放射能で汚染されていたことで、枝野は東電に賠償を要求したが、これって責任放棄或いは責任の横流しではないでしょうか?そもそもの問題は、政府がSPEEDIのデータを隠していたからである。採石業者も放射能汚染が自分のところに来ることなど想像も出来ず、大丈夫と思い出荷を続けていたに過ぎない。もし政府が正確な情報を流しておれば、この事態は避けられた可能性が高い。情報隠しを最終的に判断したのは、当時内閣総理大臣だった管直人であり、それに追随した閣僚や経産省の責任も大きい。採石賠償は、当時の閣僚に負わせるべきである。東電に賠償を要求した枝野は、当時官房長官。本人自身非常に大きい責任を持っている。採石業は経産省の所管だからねえ。私が東電会長なら、SPEEDI情報隠しについて政府を提訴しますよ。政府の無能の所為で余計な負担をおわされたとね。
(12/01/20)

 東電が電気料金大幅値上げを表明。本気かね?なんとなく原発再開を目指す地均しの気がします。後ろで筋書きを書いているのが経産省というのは顕か。さて、これが丁と出るかハンと出るか?下手すると電力分割となって・・・総選挙がありますからねえ・・・、実も蓋もないことになりかねない。何でも自分の思い通りになる、と思っているのがあの業界の欠点。
(12/01/18)

 またまた、意外な事実が明らかにされました。震災直後の3月14日にSPEEDIによる拡散予測データが米軍に提供されていた事実です。
 当初、政府はSPEEDIに不具合があって機能しなかったと説明していた。実はこの説明は嘘だったのだ。誰が国民には説明せず、米軍に提供せよと指示したのでしょうか?SPEEDIを所管しているのは文部科学省だが、こんな重要事項(日米安保条約に関連する)を文部科学大臣が決定出来る筈がない。出来るのは最高責任者である総理大臣の管直人だけである。それとも、霞ヶ関の木っ端役人が談合して、政府に内緒に自分等だけで動いたのでしょうか?それもあり得ますねえ。
 しかし、放射性物質の拡散はSPEEDIでなくては出来なかったでしょうか?1号機が水素爆発を起こした当日、福島北部を低気圧が通過した。筆者はこれをテレビの天気予報でみて、翌日は太平洋側から内陸方向への風が吹き、その結果、原発から北西方向に汚染地域が広がるだろうと予測した。事実そのとおりになったのである。何でもコンピューター頼りにする傾向が強くなったので、科学者も勘が鈍ってきたのである。
(12/01/18)



図は福島第一原発1号機の現状予測図です(東電発表)。格納容器の底に溶けた核燃料が溜まっていますが、この中には金やプラチナがザクザク。世間はゴミなどと言っているが、実は宝の山。日本はこれまで再処理をイギリスやフランスに委託していたが、実は彼等は良いところだけ横取りし、日本に用無しのプルトニウムというゴミだけを送り付けてきた。これが現実だ。だから、核燃再処理は日本でやらなくてはならない

福島第一原発で発生した放射性キセノンを、東電と保安院は「これは臨界ではなく、自発核分裂」と説明。臨界と自発核分裂とはどう違うのでしょうか?殆ど違いはない。臨界の一歩手前が自発核分裂。これが継続すると、中性子の発生を抑えられなくなって臨界に達する。実際、世の中にはそうなった例がある。アフリカコンゴにあるオクロ天然原子炉は、何億年も懸かって、天然ウランが自然に濃縮され、自然に臨界に達した例と考えられている。何億年では時間のオーダーが違うじゃないか、と思う人もいるだろうが、日本の原発用核燃料の濃縮度は数%に過ぎないが、それでも天然ウランの濃縮度に比べれば遙かに高い。つまり、今は自発核分裂であっても、放って置けば臨界に達する危険性は十分ある。つまり、福島原発は当たり前だが、未だ安定状態にはほど遠い段階なのである。それを東電や細野は「自発核分裂」という言葉で誤魔化しているだけだ。もう一つの誤魔化しは「冷温停止」という言葉。これだけ聞くと何か核反応が終わってしまう様に思える。しかし、これは冷却水が蒸発しない状態・・・中性子が発生しない状態とも云える・・・、というだけだ。冷却水の供給を止めれば、たちまち核分裂が再発する。だからズーット冷却作業は続けて行かなくてはならない。それはざっと見積もって20年以上ということだ。
(11/11/04)


復興から復旧へ

1、始めに
 東北復興計画が一向に前に進まない。管直人はお盆前には全員を仮設住宅へ、と約束したが、未だに数千の被災者が避難所生活。又、仮設住宅から本設への移行も全くメドが立っていない。それは被災地の復興計画が全く出来ていないから地域行政が動くに動けなくなっているからだ。この理由は、復興計画そのものに具体性・実現性がなく、地元に受け入れがたい部分があるからである。それというのも、管が震災直後に思いつきで「復旧ではなく復興」だと口走ったからである。ところがこれに、マスコミも政党も財界もみんな乗っかってしまった。私のような皮肉屋でも、直後はそう思ってしまったのである。しかし、それから半年、地に足付いた復興計画は出来ず、作っても財務省が足を引っ張る。肝心の地元3県も足並みが揃っているとはいえない。そもそも国と地元の間に共通認識がない。こんなことで本当に「復興」が可能なのか?誰だって疑問に感じる。
 何故みんな「復興」という言葉に乗っかってしまったのか?一つは、東北復興を関東大震災後の復興に重ね合わせてしまったこと、二つ目は国民それぞれが、それぞれの立場で復興事業による経済拡大効果を期待してしまったたことである。これには、復興特需を期待する建設業界等復興関連業界、それによる利権の拡大を狙う政治家・官僚の思惑が反映する。国交省などたちまち予算が増えるから反対するわけはない。だから、みんな目に見えない「復興」という名の幻に幻惑されたのである。そして、みんな思惑はバラバラ。これでは復興事業が進むわけがない。

2、「復興」、「復旧」とは
 筆者は現在、東北復興に関しては「復興」というデマゴギーより「復旧」という現実的選択にシフトすべきと考えている。大災害の後始末事業には「復興」と「復旧」の2種類がある。「復興」事業とは、災害で破壊された地域を一旦リセットし、全く新しい国土を創造することである。そもそも幻のようなもので、誰かが大きなプランを作らなくてはならない。しかも、その実現に一体幾ら金と時間が懸かるか判らない。それを実現する原動力は、必要条件としてそれを実現すべき論理的必然性と、強力な政治指導力である。更に十分条件として復興事業を通しての経済成長が将来期待されることがなくてはならない。そして重要なことは、これまでに無いことをやるのだから、それを進めるための新規立法が必要だということだ。
 明治以後の大規模復興事業としては、関東大震災後の「帝都復興事業」と、大戦後の「戦災復興事業」がある。前者の場合。日本は第一次大戦の戦勝国として世界の一等国。それに引き替え、東京のインフラ(道路等都市計画)は欧米先進国に比べ、お粗末そのもの。これを一気に解決しようとしたのが「帝都復興事業」である。これによって、東京が近代化すれば、東京に投資する企業も現れる。現に当時の経済力は、大阪が東京を遙かに上回っていた。資本が集まれば、それによる経済効果で、復興事業コストは吸収出来るのである。帝都の復興は、近代日本の完成に必要不可欠だったのだ。
 戦後の「戦災復興事業」も似た様なものだ。終戦で、日本国内の人口は急増してしまった。これへの食糧供給が日米双方の緊急の課題である。空襲で日本の主要インフラは概ね破壊されてしまった。食糧確保・供給にはこれを復旧することが不可欠。そして、インフラを復旧することにより、生産力は回復する。次第に資本が蓄積し、更にこれが再投資に繋がり、次の高度成長を実現するのである。そのシンボルが東海道新幹線であり、高速道路だったのだ。
 この2例が示しているのは、復興が成功するのは、事業による資本の再投資効果が確実に期待されていることである。これが曖昧であれば、その効果はどうなるか判らない。
 これに対し「復旧」は極めて現実的である。要するにインフラを元に戻すだけだから、目標がはっきりしている。しかも、我が国では復旧に関する予算要求手続きが完成しているので、新規立法は必要ない。と言うことは復旧に要する予算の確定も執行も、ルール通りにすればよいということだ。これは所管官庁も関連業界の熟知のことだから、あれこれ揉めることもない。

3、東北のケースについて考えてみよう
1)復興の場合
 復興が成功するには、復興事業によって景気が自律的に回復する条件が整うことが条件である。これには経済回復が必要だが、そのためにはヒト・モノ・金が東北に循環する構造、そのための魅力が必須である。果たしてそれが東北に存在しているか、特に後者の地域魅力があるか、がポイントである。
 三陸を例に挙げよう。復興会議はその提言として、TPPに対応した農水産業の集約化、民間資本の導入、住宅地の高所移転を挙げた。しかし、それに対する地元の反応は冷淡としか云いようがない。水産業の集約化は反対、住むところは今のままが良い。つまり過去への固執しかない。復興とは過去の経緯を断ち切ることから始まる。それを地元自らが拒否しているのだから、何をか云わんや。復興など都会に居る人間が勝手に描いたマンガにすぎない。更に、東北特に三陸地域はこれまでも過疎化地帯で、地震が無くても人口減は継続する。つまり、企業としては投資魅力が全くない。こんなところに莫大な復興資金を投入したところで、砂漠に水をまくようなもの。全ては過去のシガラミに吸収されて終わり。何の意味があるのか?それどころか、東北復興という名に東北3県がのってくるから、限界が無くなってしまう。地震とは無関係ないとんでもない事業にも、「復興」という錦の御旗が使われ、経費が無限に広がる危険性がある。既に発表された復興予算20数兆円。ある民主党議員は、これは天井ではないと放言。この数字は、「復興」という名の下の官僚による水増しである。こんないい加減な数字にころりと騙される民主党政権など、小学生レベル。但し小沢一郎だけ高笑いか。始めからデタラメが仕組まれているのだ。全く百害あって一利なしとしか云いようがない。
2)復旧の場合
 既に新幹線や高速道路は原旧に戻っている。一般道や在来線には一部不通区間もあるが、全体として大した影響はない。又、自動車始め主要産業の生産力も回復している。。とにかく、仙台市始め内陸都市部の住宅被害が殆どなかったのは幸いである。公共材の復旧については、被災地域には既に激甚指定がされているから、9割は国持ちだ。つまりこのシステムを使えば、大体5年・・・最大10年・・・で復旧が可能である。
 この方式は既存のシステムを使うから、復興構想会議やなんとか本部、復興庁などの余計な組織・役所・新たな法律は必要ない。その分コストが安くなる(復興庁など無駄官庁の典型だ)。勿論復興増税など必要なく、資金は通常予算かせいぜい復興債(60年償還の建設国債)で賄える。つまりおかしな族議員や談合企業が入ってくる余地は少なくなってくる(ゼロではないが、談合しても予算の頭を抑えられているから儲けは少ない)。

 震災後、あるチンピラ評論家が、神戸淡路大震災の時は「復興」ではなく、「復旧」にしたのが失敗だった。復旧にしたため、事業規模が小さくなり、その結果韓国にハブ港湾の地位を奪われてしまった、だから「復興」で行くべきだ。一見その通りに見えるが、ここには大きな誤謬がある。阪神地区は何と云っても日本のGDPの3割は叩き出せる底力を持っている。更に、当時経済成長著しいアジアに近い、という地理的優位性もある。これを考えたとき、「復旧」ではなく「復興」で行くというのは正論だし、説得力を持っている。しかし、東北に阪神地区と同じ経済貢献度を期待するのはナンセンスである。元もと大きな経済力のない地域に、過度な投資を行えばどうなるか。たちまちバブルが発生し、一時的には好景気に沸く。しかしバブルは所詮バブルである。何時かは潰れる。その後に残るのは大変な負債だ。それは東北だけで賄えるレベルではないだろう。皆さん、そんなことを考えているのでしょうか?

4、結論
 以上から、東北の今後は次のように考えるべきと考える。
1、復旧をベースとして、地域インフラ回復・整備を第一目標とする。但しこれにも条件がある。従来、災害復旧予算を一手に握っていたのは国交省河川局だが、これの対応に改善を要する。従来であれば、既存施設の移動・改良を、全く認めていなかった頑な態度を改めさせること。例えば、道路線形の改良だとか、公共建造物の安全な地区への移設を認めるなど、柔軟な予算査定を認めること。これが政治家の役割である。
2、今後10年間に渉って、被災地域の所得税・住民税・法人税・消費税の50%減免を行うこと。そうすれば、逃げ出したヒトや企業も戻ってくる。この人達をベースに次の復興を目指すべきである。
3、ヒト、モノ、企業が戻ってくれば、それは新たな地域魅力を作ることが出来る。そうなれば、外部資本が進出を考えるかもしれない。それを利用することによって、新たなステップを踏み出すことが出来る。但し、それが出来るかどうかどうかは、東北人の能力如何に懸かってくる。決して中央政府を当てにしてはならない。
 どのように優れた計画でもタイミングが遅れれば、只の無駄。最新式の手術でも、遅れれば患者は死んでしまう。それより、少々乱暴な方法でも、患者の命を救えれば、後は何とかなる。対策はやるなら早い方がよい。

(追記)
1、瓦礫処理について
 復興事業の最初に立ちはだかったのが瓦礫処理である。震災(と言うより津波)で発生した瓦礫の処理に、数兆円の費用が必要と試算されている。本当かね?とつい疑ってしまうのである。問題点は1)瓦礫の回収、処分を全て公共でやろうとしていること、2)瓦礫を邪魔者として二次利用を考えていないこと、3)瓦礫処理の単価が示されていないこと、である。環境業界と環境省の(癒着)による、相当の水増しが行われているのではないか。筆者の経験では、霞ヶ関の積算は実勢価格の3〜4倍である。
 瓦礫はゴミか?これは考えようによっては商品になる。例えばコンクリート塊や鉄製品は魚礁として最適である。どうすれば良いか、というと、ブルで瓦礫をかき集め、クラムシェルで掴んでバージに乗せ、、沖合数qで海中に投棄する。アホな環境主義者は海洋汚染ではないかと抗議するだろう。確かに一時的にはそう見られる現象もある。しかし、その後は海中の微生物や魚が綺麗に浄化してくれる。この例は南洋の日本沈没船に多く見られる。そして、瓦礫の山は豊富な魚の生息地に替わり、沿岸漁業が再生するきっかけにもなる。無論、水質劣化で破綻に瀕している中国漁業界に有料販売することも可能である。小さいコンクリート片や木片は水質浄化材として利用できる。
2、液状化被害は国庫で救済すべきか?
 震災後、政府の対応が遅いと批判されると管は千葉県浦安の液状化被害地を視察し、液状化も新たな都市災害などとトボケアホ発言。液状化などとっくの昔から判っている。これを見てもかつての団塊全共闘が如何に不勉強で無知無能であるかが判るのである、。その後ろにいたのが、辻本清美。東京・埼玉・千葉。神奈川など、首都圏での液状化マップはとっくの昔に出来ている。何故それが公表されなかったのか?理由は不動産業界の反対とそれに汚染された行政の無責任である。特にコイズミ政権下での景気浮揚策が、大きく影響したのは疑いない。こんな物の後始末を、一般納税者に転嫁するセンスが理解出来ない。阪神淡路震災では液状化に対する国庫補助などなかった。何故、浦安が対象になるのか?浦安に過激派組織でもあったのか?
(11/09/06)

 東京都が岩手県発生瓦礫50万tの受け入れをを表明したが、むしろ首都圏4都県こそ、放射能汚染土壌の受け入れをすべきではないか?何故なら、この住民こそ福島原発の最大受益者だからだ。
 汚染土壌の処分法は、地中処分によるべきである。この方法については只今アイデアを熟成中。但し東京湾周辺1都2県の協力が前提になる。
(11/10/26)


 仙台市が震災復興のためにパンダ貸与を要請?何を考えているのかね、この市。パンダ一匹につき、年間貸与料が1億円。誰がこの金を出すと思っているのか?まさか・・・と言うより多分・・・復興税ではないだろうねえ。おそらく、仙台市も宮城県も、自分達は被害者だから、親(国=国民)はどんな我が儘でも聞いてくれると思っているのだろう。三陸復興の最低必要条件は農漁業の再編、つまり漁業特区しかないのだが、それにも反対して既得権益を守ろうとする。

 
ワタクシははっきり言うが、これ以上東北を甘やかす必要はない。復興予算は廃止すべきである。
(1/10/20)


 これが本日から福島県で始まった除染の実態。何故こんな馬鹿馬鹿しいことに金を使うのでしょうか?この工事、本人が金を出すのじゃなくて、国が出す。最終的には税金だ
 
土壌除染など、上から10数pを鋤取れば、殆ど90%以上は除染出来る。写真のような方法では90%は無駄な土だ。それどころか、こんな乱雑な工事では、100%j除去は出来ないどころか、ショベルの隙間から土が漏れるから、工事中に放射性物質をまき散らす。何の役にも立っていない。
 
除染費用にン兆円とも云われている。その9割が無駄で、効果も疑わしい。その金が地元の土建屋に流れるわけだ。そしてその3割が闇社会に流れる。山口組は儲かって仕方がない。アホ政府とマスコミと闇社会が結んだ茶番劇。その結果が復興税なのだ。国民はもっと怒るべきである。
 
要は何事も丁寧にやることだが、それを今の日本人は忘れているのだ。


(11/10/18)

福岡でやろうとした福島県産品販売計画が、誰かからの放射能汚染メールで中止。これは以前、京都五山送り火での薪焚き中止と構図が似ている。このときも発信源は福岡だった。福岡に東北壊滅組織のアジトでもあるのか?「不買運動」をほのめかしているから、これは脅迫・威力業務妨害に相当する、主催者はメール発信者を刑事告訴すべきである。福岡県警は徹底的に洗い出すべきだ。えられるのは北朝鮮系組織。福岡は結構韓国・北朝鮮系が多い。夜の中州などまるっきりソウルだよ。
 なお、今時ネット掲示板だからといって匿名が確保されると思うのは大間違い。プロバイダーに必ず発振記録が残るから無駄だ。
(11/09/10) 


 福島県で天然キノコに異常高セシウム濃度。これはキノコがセシウムを吸収する性質を持っているから。と言うことは、このキノコが、有効な除染材になることを意味する。筆者は低平地の除染は何とかなるが、山林の除染をどうしてよいか判らなかったが、この手を使えば解決可能になる。只、キノコを植えても成長するまでに時間が懸かる。遺伝子操作で急成長キノコを作れば、問題は一挙解決。
 なお、放射性物質に限らず、土壌汚染・地下水汚染の最終除去はバイオに頼らざるを得ないのだが、未だ社会的コンセンサスは得られていないようだ。
(11/09/08)

復興から復旧へ

1、始めに
 東北復興計画が一向に前に進まない。管直人はお盆前には全員を仮設住宅へ、と約束したが、未だに数千の被災者が避難所生活。又、仮設住宅から本設への移行も全くメドが立っていない。それは被災地の復興計画が全く出来ていないから地域行政が動くに動けなくなっているからだ。この理由は、復興計画そのものに具体性・実現性がなく、地元に受け入れがたい部分があるからである。それというのも、管が震災直後に思いつきで「復旧ではなく復興」だと口走ったからである。ところがこれに、マスコミも政党も財界もみんな乗っかってしまった。私のような皮肉屋でも、直後はそう思ってしまったのである。しかし、それから半年、地に足付いた復興計画は出来ず、作っても財務省が足を引っ張る。肝心の地元3県も足並みが揃っているとはいえない。そもそも国と地元の間に共通認識がない。こんなことで本当に「復興」が可能なのか?誰だって疑問に感じる。
 何故みんな「復興」という言葉に乗っかってしまったのか?一つは、東北復興を関東大震災後の復興に重ね合わせてしまったこと、二つ目は国民それぞれが、それぞれの立場で復興事業による経済拡大効果を期待してしまったたことである。これには、復興特需を期待する建設業界等復興関連業界、それによる利権の拡大を狙う政治家・官僚の思惑が反映する。国交省などたちまち予算が増えるから反対するわけはない。だから、みんな目に見えない「復興」という名の幻に幻惑されたのである。そして、みんな思惑はバラバラ。これでは復興事業が進むわけがない。

2、「復興」、「復旧」とは
 筆者は現在、東北復興に関しては「復興」というデマゴギーより「復旧」という現実的選択にシフトすべきと考えている。大災害の後始末事業には「復興」と「復旧」の2種類がある。「復興」事業とは、災害で破壊された地域を一旦リセットし、全く新しい国土を創造することである。そもそも幻のようなもので、誰かが大きなプランを作らなくてはならない。しかも、その実現に一体幾ら金と時間が懸かるか判らない。それを実現する原動力は、必要条件としてそれを実現すべき論理的必然性と、強力な政治指導力である。更に十分条件として復興事業を通しての経済成長が将来期待されることがなくてはならない。そして重要なことは、これまでに無いことをやるのだから、それを進めるための新規立法が必要だということだ。
 明治以後の大規模復興事業としては、関東大震災後の「帝都復興事業」と、大戦後の「戦災復興事業」がある。前者の場合。日本は第一次大戦の戦勝国として世界の一等国。それに引き替え、東京のインフラ(道路等都市計画)は欧米先進国に比べ、お粗末そのもの。これを一気に解決しようとしたのが「帝都復興事業」である。これによって、東京が近代化すれば、東京に投資する企業も現れる。現に当時の経済力は、大阪が東京を遙かに上回っていた。資本が集まれば、それによる経済効果で、復興事業コストは吸収出来るのである。帝都の復興は、近代日本の完成に必要不可欠だったのだ。
 戦後の「戦災復興事業」も似た様なものだ。終戦で、日本国内の人口は急増してしまった。これへの食糧供給が日米双方の緊急の課題である。空襲で日本の主要インフラは概ね破壊されてしまった。食糧確保・供給にはこれを復旧することが不可欠。そして、インフラを復旧することにより、生産力は回復する。次第に資本が蓄積し、更にこれが再投資に繋がり、次の高度成長を実現するのである。そのシンボルが東海道新幹線であり、高速道路だったのだ。
 この2例が示しているのは、復興が成功するのは、事業による資本の再投資効果が確実に期待されていることである。これが曖昧であれば、その効果はどうなるか判らない。
 これに対し「復旧」は極めて現実的である。要するにインフラを元に戻すだけだから、目標がはっきりしている。しかも、我が国では復旧に関する予算要求手続きが完成しているので、新規立法は必要ない。と言うことは復旧に要する予算の確定も執行も、ルール通りにすればよいということだ。これは所管官庁も関連業界の熟知のことだから、あれこれ揉めることもない。

3、東北のケースについて考えてみよう
1)復興の場合
 復興が成功するには、復興事業によって景気が自律的に回復する条件が整うことが条件である。これには経済回復が必要だが、そのためにはヒト・モノ・金が東北に循環する構造、そのための魅力が必須である。果たしてそれが東北に存在しているか、特に後者の地域魅力があるか、がポイントである。
 三陸を例に挙げよう。復興会議はその提言として、TPPに対応した農水産業の集約化、民間資本の導入、住宅地の高所移転を挙げた。しかし、それに対する地元の反応は冷淡としか云いようがない。水産業の集約化は反対、住むところは今のままが良い。つまり過去への固執しかない。復興とは過去の経緯を断ち切ることから始まる。それを地元自らが拒否しているのだから、何をか云わんや。復興など都会に居る人間が勝手に描いたマンガにすぎない。更に、東北特に三陸地域はこれまでも過疎化地帯で、地震が無くても人口減は継続する。つまり、企業としては投資魅力が全くない。こんなところに莫大な復興資金を投入したところで、砂漠に水をまくようなもの。全ては過去のシガラミに吸収されて終わり。何の意味があるのか?それどころか、東北復興という名に東北3県がのってくるから、限界が無くなってしまう。地震とは無関係ないとんでもない事業にも、「復興」という錦の御旗が使われ、経費が無限に広がる危険性がある。既に発表された復興予算20数兆円。ある民主党議員は、これは天井ではないと放言。この数字は、「復興」という名の下の官僚による水増しである。こんないい加減な数字にころりと騙される民主党政権など、小学生レベル。但し小沢一郎だけ高笑いか。始めからデタラメが仕組まれているのだ。全く百害あって一利なしとしか云いようがない。
2)復旧の場合
 既に新幹線や高速道路は原旧に戻っている。一般道や在来線には一部不通区間もあるが、全体として大した影響はない。又、自動車始め主要産業の生産力も回復している。。とにかく、仙台市始め内陸都市部の住宅被害が殆どなかったのは幸いである。公共材の復旧については、被災地域には既に激甚指定がされているから、9割は国持ちだ。つまりこのシステムを使えば、大体5年・・・最大10年・・・で復旧が可能である。
 この方式は既存のシステムを使うから、復興構想会議やなんとか本部、復興庁などの余計な組織・役所・新たな法律は必要ない。その分コストが安くなる(復興庁など無駄官庁の典型だ)。勿論復興増税など必要なく、資金は通常予算かせいぜい復興債(60年償還の建設国債)で賄える。つまりおかしな族議員や談合企業が入ってくる余地は少なくなってくる(ゼロではないが、談合しても予算の頭を抑えられているから儲けは少ない)。

 震災後、あるチンピラ評論家が、神戸淡路大震災の時は「復興」ではなく、「復旧」にしたのが失敗だった。復旧にしたため、事業規模が小さくなり、その結果韓国にハブ港湾の地位を奪われてしまった、だから「復興」で行くべきだ。一見その通りに見えるが、ここには大きな誤謬がある。阪神地区は何と云っても日本のGDPの3割は叩き出せる底力を持っている。更に、当時経済成長著しいアジアに近い、という地理的優位性もある。これを考えたとき、「復旧」ではなく「復興」で行くというのは正論だし、説得力を持っている。しかし、東北に阪神地区と同じ経済貢献度を期待するのはナンセンスである。元もと大きな経済力のない地域に、過度な投資を行えばどうなるか。たちまちバブルが発生し、一時的には好景気に沸く。しかしバブルは所詮バブルである。何時かは潰れる。その後に残るのは大変な負債だ。それは東北だけで賄えるレベルではないだろう。皆さん、そんなことを考えているのでしょうか?

4、結論
 以上から、東北の今後は次のように考えるべきと考える。
1、復旧をベースとして、地域インフラ回復・整備を第一目標とする。但しこれにも条件がある。従来、災害復旧予算を一手に握っていたのは国交省河川局だが、これの対応に改善を要する。従来であれば、既存施設の移動・改良を、全く認めていなかった頑な態度を改めさせること。例えば、道路線形の改良だとか、公共建造物の安全な地区への移設を認めるなど、柔軟な予算査定を認めること。これが政治家の役割である。
2、今後10年間に渉って、被災地域の所得税・住民税・法人税・消費税の50%減免を行うこと。そうすれば、逃げ出したヒトや企業も戻ってくる。この人達をベースに次の復興を目指すべきである。
3、ヒト、モノ、企業が戻ってくれば、それは新たな地域魅力を作ることが出来る。そうなれば、外部資本が進出を考えるかもしれない。それを利用することによって、新たなステップを踏み出すことが出来る。但し、それが出来るかどうかどうかは、東北人の能力如何に懸かってくる。決して中央政府を当てにしてはならない。
 どのように優れた計画でもタイミングが遅れれば、只の無駄。最新式の手術でも、遅れれば患者は死んでしまう。それより、少々乱暴な方法でも、患者の命を救えれば、後は何とかなる。対策はやるなら早い方がよい。

(追記)
1、瓦礫処理について
 復興事業の最初に立ちはだかったのが瓦礫処理である。震災(と言うより津波)で発生した瓦礫の処理に、数兆円の費用が必要と試算されている。本当かね?とつい疑ってしまうのである。問題点は1)瓦礫の回収、処分を全て公共でやろうとしていること、2)瓦礫を邪魔者として二次利用を考えていないこと、3)瓦礫処理の単価が示されていないこと、である。環境業界と環境省の(癒着)による、相当の水増しが行われているのではないか。筆者の経験では、霞ヶ関の積算は実勢価格の3〜4倍である。
 瓦礫はゴミか?これは考えようによっては商品になる。例えばコンクリート塊や鉄製品は魚礁として最適である。どうすれば良いか、というと、ブルで瓦礫をかき集め、クラムシェルで掴んでバージに乗せ、、沖合数qで海中に投棄する。アホな環境主義者は海洋汚染ではないかと抗議するだろう。確かに一時的にはそう見られる現象もある。しかし、その後は海中の微生物や魚が綺麗に浄化してくれる。この例は南洋の日本沈没船に多く見られる。そして、瓦礫の山は豊富な魚の生息地に替わり、沿岸漁業が再生するきっかけにもなる。無論、水質劣化で破綻に瀕している中国漁業界に有料販売することも可能である。小さいコンクリート片や木片は水質浄化材として利用できる。
2、液状化被害は国庫で救済すべきか?
 震災後、政府の対応が遅いと批判されると管は千葉県浦安の液状化被害地を視察し、液状化も新たな都市災害などとトボケアホ発言。液状化などとっくの昔から判っている。これを見てもかつての団塊全共闘が如何に不勉強で無知無能であるかが判るのである、。その後ろにいたのが、辻本清美。東京・埼玉・千葉。神奈川など、首都圏での液状化マップはとっくの昔に出来ている。何故それが公表されなかったのか?理由は不動産業界の反対とそれに汚染された行政の無責任である。特にコイズミ政権下での景気浮揚策が、大きく影響したのは疑いない。こんな物の後始末を、一般納税者に転嫁するセンスが理解出来ない。阪神淡路震災では液状化に対する国庫補助などなかった。何故、浦安が対象になるのか?浦安に過激派組織でもあったのか?
(11/09/06)


 管は辞任間際に福島に行って、いきなり「向こう20年間は居住出来ない地区が出る」などというものだから、地元は当然反発。最後に晩節を汚したようなものだ。新聞になにやら減衰曲線のようなものが載っていたが、これが根拠か?減衰曲線は複数でパラメーターの説明がない。元素毎の減衰を表しているのか?結局何を云いたいのか判らない。要するに、除染のような積極的対応は行わず、チェルノブイリと同様、放射能強度の自然消滅を期待する消極的対応を選択したのだろう。除染案もあったと思うが、それに要する天文学的費用に、東電も政府(財務省)も眼を廻したのだろう。しかし、どの程度の費用が必要かは明らかになっていない。要するに除染などしたくない役所・・・つまり経産省・・・が法外な費用をふっかけた疑いがある。これは役人がよくやる手で、これに対抗するには、対抗出来るだけの眼と経験がなくてはならない。それが他の各省に無かったか、それとも霞ヶ関で八百長をやっているかのどちらかだ。最低はやはり原子力関係学者・・・特に物理屋・・・の無知無能である。
 それはともかく、低平地(水田等農地)の除染は可能である。よく言われるのが除染のため、剥土した土を何処へ盛っていくかだ。今東電は福島原発周辺の地下水汚染対策のために、海側に鋼矢板打設を計画している。筆者は鋼矢板のような姑息な手段ではなく、これを鋼板セルとか大径鋼管矢板とし、その中詰め土に汚染土を流用すればよいと考えている。無論セメントスラりーとしても良い。
 山林の剥土は困難である。しかしこれも山地と平地の境界に水路を整備し、その上で山地の強制除染を行い、汚染水を水路末端で捕捉し、それに対し二次除染を行えばよい。管や反原発部落民の最大の欠点は、このような技術的対応を始めから毛嫌いする事である。縄文民の感覚は21世紀文明人には理解出来ない。
(11/09/01)

 脱原発を旗印に、自分の延命だけを謀る管の広島長崎ジャック。大新聞はそれを高々と報道する。しかし、内閣支持率は最低。みんなしらけとるよ。
 陸前高田の松が放射能に汚染されているから、五山の送り火でそれを使うと、放射能が京都中にばらまかれる、という風評をネットで流した奴がいて、それを頭から信じたアホが京都に大勢いる。元々、京都は怨霊の祟りを恐れる町。セシウムを怨霊と勘違いして、こんなたわけたネット風評を怨霊襲来と脅えて大騒ぎした市民もアホなら、五山の送り火を中止した理事会もマヌケ。最早、京都は世間の物笑いだよ。これにより、陸前高田市や京都市は莫大な損害を蒙った。両市はスレ立ちや煽り屋に対し損害賠償請求を行うべきである。
 そもそも五山の送り火とは、そういう怨霊を鎮める祭りだったのだが、主催者も町民も祭りの意義を忘れてしまったのだろう。
(11/08/09)

 地震から5ヶ月になろうというのに、東北復興事業がなかなか動きません。地元は政府が保証してくれないから自分らでは動けない。政府は地元の動きが鈍いから何も出来ないと、互いに責任をなすり合うだけ。
 何故こういうことになるのか?それは歴史的事情があるからだ。
元々、中世以来東北地方は伊達・最上・南部・津軽などの地域勢力が強く、近世以降でも変わらない。こういう風土では、良いときには領主と領民の一体化が図られ、一部の夢想的文学者が描くユートピア的社会が成立する(これは嘘だよ)。しかし実態はどうか?都合が良いときは、領主・領民一体化が図られるが実態は馴れ合い。都合が悪くなれば責任は領民に転嫁されるのは当たり前。これが嫌で領民が何か新しいことを企てれば、それは領主の権限を侵す一揆と見なされ弾圧を受ける。天明・天保大飢饉に於ける、津軽・南部・秋田藩に於ける苛斂誅求を見よ。だったら、何もせずに領主が動くまでじっと待っていた方がよい。東北人の美徳とされる粘りは、そういう風土から培われたのだろう。明治維新後、領主が中央政府に変わっただけ。領主である中央政府と、領民である東北農漁民との馴れ合い体質は何にも変わらない。だから、こういう事態になると、両方とも相手の出方が判らないから、何時まで経ってもにらみ合いになってしまう。
 一方関西はどうかというと、神戸大震災の1週間後に県・市の協議会が発足し、一ヶ月後には国を巻き込んだ復興会議が出来た。半年後には復興事業が始まっている。何故こうなるかと云うと、関西特に摂津・河内・泉州地域には中世以来大大名がいなかった。徳川幕藩時代でもそうで、大名と言えば譜代の中小が幾つか、、あとはみんな天領。天領なら幕府がみんな面倒見るのじゃないか、と思うのは関東流発想。確かに関東・東海では幕府が細かいところまで面倒を見ていた。ではそれ以外の天領の実態はどうかと云うと、収税地・・・つまり税金を納めることを義務付けられたのが天領だったのである。幕府は税金さえ貰えればあとは知らん顔。だから、大阪始め近畿の天領領民は、幕府など当てにせず、もめ事は自分らで納めることが習慣になってきたのである。ところが幕府は、それすらも担保出来ないほど行政能力が劣化した。これが天保飢饉以来、西日本を中心に倒幕運動が始まった理由である。
 筆者は今のこの騒ぎの張本人は管直人だと思っている。しかし、問題は彼一人ではない。そもそも「震災復興構想会議」とはなにものか?あんなもの何の意味もない。行政の経験もない、五百旗部とか、只の夢想主義者梅原猛。あんな能なしを連れてきて何の意味があるのか?只のお飾りで、時間と税金の無駄遣い。復興庁などという役所は必要なし。インフラ回復なら国交省で、経済インフラ復興なら経産省など、既存省庁を利用すればそれでよい。管のアホが関東大震災の復興庁を真似しただけだろうが、あの当時とは情報やテクノロジーで格段の差がある。その程度の違いも判らない連中が、政治を操っている点に現代日本の問題がある。
(11/08/04)

 東電の始末の付け方に付いて、与謝野馨が「地震・津波は神の意志だ」と発言。これじゃ何の解決にもならない。只の思考停止状態。自分の手に負えないことを神様の所為にするのは、自分のチョンボを天の意思になすりつける今の中国政府と同じ。斯くして、愚者は同じ失敗を繰り返す。
 東北復興案の始めにあった高台移転案がいつの間にか消えて、避難路整備にレベルダウン。何処かの省(デーバダッタ)が「もっと現実的な案でいきましょうや」と、そっと囁いたらしい。どこの省か云わなくても判りますねえ。1000年に一回の地震だから当分来ないだろうという甘い読み。今後東北に大津波を発生させる地震は、千島沖、アリューシャン沖、マリアナ沖など幾らでもある。斯くして、愚者は同じ失敗を繰り返す。デーバの甘い言葉に載ってはならない。管は所詮三流修行者にすぎない。
(11/08/01)


[ストレステストと埋蔵電力]

 今日の新聞に原子力保安院による原発ストレステストの解説が載っていたが、相変わらずさっぱり意味内容が判らない。まず1)何故1次2次に分けるのか?その合理的説明がない。単にこうやるんだと云うだけ。2)休止中原発に対し1次テストを実施するが、2次テストも同じようにやる理由が判らない。3)ストレステストをやっている間、原発をストップしなければならない理由は更に判らない。
 EUでもストレステストは実施するが2段階に分けず、テスト中も原発は運転を続ける。国土交通省は、大きな地震や耐震設計基準が変わる毎に、国道や地方道の一等橋について耐震診断を行う。これは一種のストレステストだが、この間交通を規制する事はない。耐震診断で安全性不足と判定された橋梁は、掛け替えや補強が行われるが、この工事中も供用がストップされることはない。
  考えられるのは、管の頭が未だに大学受験時代でストップしていること。昔の受験参考書(今でもそうかもしれないが)の中には、例えば学研の「チャート式」の様に、あるステップをクリアーしなければ、次のステップに進めなくなるものがあった。筆者はそんなもの使ったことはなかったが、最近ではその学力向上システムがより強化されているのではあるまいか?段階式ストレステストは、当にくだらない餓鬼受験生向けテストを、国家レベルで最先端技術に適用しようとするもの。ナンセンスを通り越して犯罪だ。管直人というのは、結構真面目な点取り虫受験生だったのかもしれない。
 
テストは飽くまで机上のシミュレーションであって、実際に過酷環境を与える訳ではない。だからテスト実施中は、原発には何の負荷も懸からない。それをテスト終了まで再稼働を認めないなど、非科学性も甚だしい。この非科学性こそが、団塊全共闘の特徴、更にその代表でもある管直人の売り。あれが学生運動に入ったきっかけが、水俣病事件に始まる反科学・技術主義。更にこれがベトナム反戦運動と共鳴して、今日のような馬鹿左翼を産んだのである。
 以前霞ヶ関埋蔵金が話題になったが、今度は埋蔵電力である。実態は各公共・私営施設に保管されてある非常用電源。これを活用すれば電源不足は解消されると言うのが「みんなの党」の主張。これに賛同するアホも増えてきた。そこに何かがあると聞いて、それが直ぐに使えると錯覚するのがシロート。資源の世界では、そこにある、というのとそれが直ぐに使えると言うのには、天地ほどの差がある。埋蔵電力論は、この点を無視した小学生算数並みの数字の横流しである。
 電気は発電器がなくては作れない(雷だって一種の発電器)。発電器はエネルギーがなくては動かない。非常用電源の多くはデイーゼル発電器だろう。デイーゼル発電器のエネルギー源はデイーゼル油。ところで、どの事業所も非常用電源は、ダウンした外部電源が回復するまでの間を補充するもの。その間は概ね数時間のオーダー。つまり、デイーゼル油はせいぜい数時間分しか備蓄していないということだ。要するに、デイーゼル油がなくなれば次の補充が来るまでストップ。埋蔵電力活用論者は非常用電源を全て活用すれば電力不足はなくなると主張するが、仮に全部使うと数時間で止まってしまう。その間、事業者はデイーゼル油を求めて右往左往しなくてはならない。無論、電力不足が生じるのは夏の中間ピーク時だけだから、こんな事は現実には起こらないと思われるが、起こらない筈のことが起こったのが福島原発事故なのである。
 又、非常用電源推進論者は
電力はあるあると言うが、それをどういう形で利用するのか、の具体論が欠けている。事業者から電力会社が買い上げるのか?その場合、非常用電源と外部電源を接続する工事が必要になる。又、買い上げ価格をどう決めるのか?或いは、電力供給量が不足したとき、大口需要者向け供給量をカットするのか?その場合大口需要者は非常用電源で賄う事になるが、発電経費は大幅に上昇する。これによるコストアップ分は誰が負担するのか?
 それより、大口需要者が一斉に非常用発電に踏み切ったとき、デイーゼル油の供給は大丈夫なのか?この疑問の理由は石原チンタローにある。チンタローが都内へのデイーゼル車の乗り入れを規制した。それが伝染して、今や大阪・京都でも同じようなことをやっている。そうすると、当然石油メーカーはデイーゼル油の生産を抑えるのが当たり前。いきなり生産をアップせよと云われても直ぐには応じられない。まして、何時潰れるか判らない民主党政権の云うことを、ハイハイ聞いていたのじゃ会社の経営は出来ない。とりあえずは云うことを聞く振りをするが、実際は何もしない。つまり、埋蔵電力論はなんら根拠もない底の浅い妄想にすぎない。
 では解決策はないか?無論ある。それは停止中の原発を幾らかでも再稼働させれば解決する。停止中原発こそ最大の埋蔵電力なのだ。埋蔵電力論は前大戦末期の鍋釜供出に匹敵した愚論。鍋釜を供出して、戦争に勝てたでしょうか?最も不足していたのは科学的思考である。
(11/07/24)


政府が関電管内事業者や個人に10%節電要請。ワタクシは要請を受け入れるつもりは全くありません。管や辻元が頭を下げて来てもダメ。そもそも、今回の節電要請は学問的・技術的正当な理由に基づいたものではなく、管直人という頭のオカシイ権力亡者の思いつきによるもの。こんなもの真面目に聞く必要はない。それと我が家は、人に云われるズーット前から節電している。人にあれこれ云う前から、官邸自身が50%節減をやれ!
(11/07/21)


 前に(07/12)、何故ストレステストを2回に分けなければならないのか判らないと書いたら、最近、核工学の専門家からも同じような批判がでてきた。誰も考えることは同じだ。今の民主党政権のやり方は、通常同時に行われる英語の試験をわざわざ2回に分けるようなものだ。目的は自己の延命。
(11/07/16)


 福島産汚染牛肉について疑問を一言。これまでの報道では、汚染牛を出荷した農家は浅川町、藁を売った農家は白河市。どちらも汚染地帯ではない。しかし、汚染源とされた藁の放射能強度は数万ベクレルで決して低い値ではない。もしこの値が白河ー浅川町地域で一般的でないならば、この藁は白河起源ではなく、相馬地域から何らかのルートを経て白河に到達したことになる。問題は、原発施設崩壊による放射能拡散に対する、官側の対応能力の低さである。放射能拡散が始まれば、汚染の拡大を防ぐために、直ちに汚染物質の流通禁止措置を採らなければならない。ではどの範囲に汚染物質が存在するかを予測するかが重要である。それには、SPEEDIのような拡散予測計算も大事だが、ヘリボーン・カーボーンを利用した現地調査も重要である。そして、何よりも重要なことは結果の公表である。この点を今の民主党政権は完全に誤った。数10年前の東条内閣レベルである。両者に共通するのは、一般国民は無知な動物であって、自分達が指導しなければならないとう、根拠のない思い上がりである。これは、細野豪志の「本当のことを発表すれば、国民がパニックを起こす」という思い上がり発言に象徴される。たかが、40そこそこのチンピラ大臣が何を云っておるか!管もそうだ。たかが総理大臣の分際で、自分を一体どれだけエライと思っているのか!
(11/07/15)

原発再開の条件として出てきたストレステスト。これはEU方式を踏襲すると云うが、実際は福島事故の後、これを踏まえた急ごしらえのもの。事実、アメリカは独自検査を実施しているからとEU方式を拒否。それはともかく、なんでテストを1次2次に分けなければならないのか、その理由が判らない。普通は、一次テストに不合格なら、次のテストに合格するまで受験勉強をやり直さなくてはならない。ところが、今回の方針では、一次テストの合格・不合格に拘わらず、全原発に2次テストを課すという。電力会社にとっては大変な負担だ。受け取りようでは、管による電力へのイジメとなる。この恨みは後々までひびく。
 ストレスレストなど原発運転と平行して行えるのだ。現にアメリカやEUではそうやっている。管のやり方は、非科学的と国内外から批判を受けている、BSE全頭検査と同じレベル。これがTPPを言い出すのだから笑ってしまう。
(11/07/12)


 福島原発後処理で、炉内燃料処理に10年、原子炉解体に数10年という数字が出ている。この数字を途方もない話しと思うか、意外に大したことないなあと思うかはそれぞれのスタンスの違い。ワタクシなどどっちかというと後者の立場。地質屋の時間感覚は一般人と違う。この時間を有効に使えば、日本独自の新しい放射能処理技術を作ることが出来る。例えば原子レベルまで凍結出来れば、原子が振動しなくなるので、放射線が発生しなくなる。これを利用すれば、原子炉解体スピードは飛躍的に速くなる。
(11/07/10)

山口県上関原発の埋め立て申請延長を県知事が拒否。一旦承認した埋め立て計画を、勝手に拒否出来るかどうか疑問の点もある。中電が行政訴訟を起こした場合、どうなるか判らない。
 それはそうとこういう問題が起こるのも、原発立地計画が古い海岸立地思想に基づいているからである。筆者が云う、新世代型内陸地下立地でやれば、こんな言いがかりは一蹴出来るのだ。
(11/06/26)

 本日東北地方で余震、「津波注意報」が出される。それを聞いていると、なにかのんびりしているというか、ワンテンポ遅れている。もっと緊張感を持たなくてはならない。この緊張感の無さが東北人の欠点で、関西人と気が合わなくなる原因になる。
(11/06/23)

 関西電力が今夏大口電力需要者に対し15%の節電を要望したところ、猛ブーイング。そこで10%まで値を下げることにした。この背景に経済産業省が色々動いているのは顕か。福島原発事故で俄に高まった反原発運動(民だけでなく地方自治体も含まれる)に危機を感じた経産省原子力政策局の小役人が、裏であれこれ画策したと考えられる。多分他の電力会社にも今夏の電力需要について打診した筈。しかし何処からも思うような返事が返ってこなかった。唯一例外が関電で、経産の意図にはまった答えを出したのだろう。経産的にはうい奴だ。つまり、関電は経産省のモルモットにされた訳だ。
 そもそも関西電力という会社には、お上ペコペコ体質がある。筆者も関電と業務で付き合ったことはあるが、その印象は図体は大きいが中身は田舎・村会社。東電もそうだったのだろう。
(11/06/16)

 本日新宿で起こった脱原発デモ。テレビで見ていると、その中に全共闘シンボルが見られた。判ると思うが、今の世界(日本に限らず)も環境運動・反原発運動を裏で操っているのは、かつての極左過激派集団である。この方向はアルカイダや北朝鮮過激主義に結びつくのである。
 さて、肝心の東北三県の復興が遅々として進まないのか?みんなは政権の所為だ!と云う。その部分もあるが、見逃していけないのは東北の孤立主義・排他主義にもある。では、東北の排他主義が何時から始まったというと、意外に新しい。明治維新で、東北に進駐した薩長軍の横暴に恐れを抱いたのがはじまりではないか?外部からの働きかけに容易に心を開かない。東北に移り住むと、あの仙台ですら地域に受け入れて貰えるのに1年懸かる(筆者の経験)。まして岩手三陸じゃ何年懸かるか判らない。と言うことは、自分達の世界に閉じこもって余所との競争から逃げると言うことなのだ。これでは環境の変化に追随出来ない。 だから、東北など滅びて当然なのである。
(11/06/11)


 
孫正義の100億円義捐金は未だ振り込まれていないよし。800億電田構想も、自分は金は出さず800億を自治体に肩代わりさせる腹ではないか?
(11/06/01)

 今回の地震で、仙台城青葉山石垣が崩れたよし。実はこの石垣、30年以上前から揉めていた物件で、仙台市は元々地すべりだったと云い、東北大は戦時中の亜炭採掘が原因だと行政責任を追及。さてどちらが本当かは知りませんが、今度の災害を契機に根本的対策をやれば、市民にとっては有り難い。
(11/05/16)


 今回の地震で起こった液状化災害について認定基準を見直す政府方針。半壊でも補償対象となる?神戸の時は何もしなかった。首都圏だけは特別待遇か?天保大飢饉の時の幕府の対応と同じだ。それより、現在の各省庁、事業者毎にバラバラの液状化判定基準を一本化する事の方が重要。
(11/05/04)



 これは、テレビでよく報道される福島第一原発の津波の状況です。想定の4〜5mに対し、実際は14〜15mの津波が襲ったと言われる。写真からは、外洋から押し寄せる津波(波A)と、それが岸壁かなにかにぶつかって発生したしぶき(波B)の二つが見える。一体どちらが14〜15mの津波に相当するのでしょうか?誰もこの件について明確に語っていません。もし波Bに相当するのなら、それは只のしぶきに過ぎないので、14〜15mの津波が福島原発を襲ったというのは真っ赤な嘘になる。この場合、波高はせいぜい波Aから推定される5〜6m。つまり想定値と大差はないことになる。但し14〜15mのしぶきでも、これが何度も繰り返せば、敷地内は水浸しになるし、沿岸5〜6mの波高でも少々の護岸なら乗り越えてくる。どちらにしても助からない。この原因は、日本の原発立地地点があまりにも海に近すぎることにある。今後はもっと内陸寄りに、且つ地下立地を考えるべきである。又、ハイレベル処理施設の建設は、既設原発地下とすべきである。今のようなやり方では、何時まで経っても無駄金使うばっかりで、一向に埒が開かない。
(11/04/20)


 福島事故で今なお、なりを潜めているのが警察。この事故では既に数人の死者、数10人の負傷者が出ている。負傷者の数は、今のところ東電が抑えているので、はっきりとは判らない。事故がある程度落ち着いた段階で、警察捜査が入る。容疑は業務上過失致死傷害。この場合、現会長・社長ら東電幹部が逮捕起訴される可能性大。現場で作業員に線量計を渡していなかったとか、被爆量管理がいい加減だったとか、想定外が妥当か等が容疑事実として争われるだろう。
 さてこれに似た事件が、かつてのJR西福知山線脱線事故。現在神戸地裁で審理中ですが、これの行方が注目されます。
(11/04/22)


 東北復興事業を一元的に統括する復興庁構想。後藤新平の復興院に倣ったものだろうが、この役所に20兆とか30兆とかの予算が集中する。考えようによってはとんでもない利権官庁の誕生だ。問題はトップを誰にするか?何処の所管にするか?だ。単に復興だけなら、今の行政組織を使うだけでも出来る。何故、復興庁などという別組織を作らなければならないのか?
 東京の場合は東京という街を、復興に名を借りて再開発する意味があった。しかし、東北ではどうでしょうか?三陸やいわきと言った、そもそも過疎地帯に幾ら予算をつぎ込んでもマイナスの乗数効果しかない。
 製造業は中通りや仙台・北上等内陸地方に移し、思い切った集約化を図る。三陸・いわきの水産業や農業もこのチャンスに思い切った集約化を図ってTPPに対応出来る体質に改造する、というのなら判る。
(11/04/27)

 本日6ch、Sフロントライン。ここで竹中平蔵は復興税構想に真っ向から反対。ワタクシはこの男が大嫌いなのだが、この点だけは竹平に全面的に賛成する。復興税の問題は、本HPで既に書いてあるが、こんな時期に増税すれば、景気は後退するばかり。それは却って被災地の復興を遅らせることになる。百害あって一利なし。何故なら、国債発行なら一時的コストだが、税金は恒久化する可能性が大きい。税金は役人利権の源である。だから、用事が終わっても無くなることはない。昔地価税というのがあった。バブル期の地価高騰を防ぐものだったが、バブルが崩壊し、地価は下落し、用事が無くなっても、大蔵省が反対したから無くならない。結局廃止まで10年懸かった。その間日本の景気は下がり続け。復興税も同じ運命を辿るだろう。だから絶対反対!

 仙谷が早くも復興財源として所得税増税を挙げているが、これこそナンセンス。仙谷など政治家でも何でもない、只の木っ端役人にすり寄る目明かしのようなもの。
(11/04/24)


 各地(特に関東圏か)で広がる、福島県民への放射能差別。何故こういうことが起こるかというと、第一に従来の理科教育・・・特に小中課程・・・の欠陥、次にこういうことが起こった時、行政が怒らないからだ。何故なら、いつの間にか、お客様(市民)は神様でございます思想が蔓延した。これこそ戦後民主主義の最大の欠陥。幾ら神様でも、間違ったことをすれば、断固怒らなくてはならない。無知にして鈍なる市民には、本気で怒ることも必要である。これはお釈迦さんもそう云っている。
(11/04/19)

福島原発レベル7への引き上げについて、日本のマスコミや国内外の環境団体は、引き上げ時期が遅かったとする意見が多い。しかし、筆者はチェルノブイリ事故と比較しても、レベル7はやりすぎではないかと思う。せいぜい5か6。第一に放射線放出量のオーダーが違う。次にチェは炉心そのものが爆発してしまったが、福島は今のところ圧力容器は機能を保っている。放射性物質の拡散範囲にしても、比べものにならない。炉心封鎖の段階で、チェは直接被爆による多数の死者を出したが、福島ではそれはない。今後も発生しないだろう。
 しかし、原子力安全委員会は先月末にレベル7と判断していたと述べた。又枝野もそのようなことを云っている。原子力の素人の枝野が何故判断出来るのか不思議だが、安全委員会の言い分も信用出来ない。何故なら委員長があの斑目だからだ。あんないい加減な人間が委員長を務める委員会のいうことを信用できますか?
 チェルノブイリもTMIも事故は極めて短時間、極端には一瞬の内に起こってしまった。だから、事故の最終局面が短時間の間に現れた。従って事故レベルを早期に判定出来る。しかし、福島の場合、事故は時間と伴にジワジワと拡大している。従って、事故レベルも時間と伴に変化するのが当然。それを始めから判っていた、などと云うのはマスコミ受け狙いの何者でもない。無責任の極みである。
 原子力安全委員の経歴を見ると、ほぼ全員が東大の工学系学者。この系統の学者の特徴は、絶対に自分の非を認めないこと。今回の件でも、今になってレベル7でしたなんて事を言うと、これまで自分がやってきたことが間違っていたと、自ら証明するようなもの。それは学者として自殺行為である。だから、あんなモノは始めから判っていたのだ、それを発表しなかったのは官僚(保安院)が聞きに来なかったからだ、で責任を他者に負い被せられる。要するに典型的保身型後出しジャンケン。それにたぶらかされるマスコミがよっぽどアホなのだ。これを防ぐには原子力安全委員会の廃止・解体しかない。
(11/04/16)


 管肝いりの復興構想会議に早速出てきたブーイング。そもそもこの会議、何をする機関なのか?選ばれたメンバーは五百旗頭や梅原猛など、復興事業のハードには全く素人の役立たず文系三文学者センセーばかり。「痛みを国民みんなで分け合おう」などと、例の70年安保もどきの扇動哀願メッセージ。早速出てきたのが復興税だ。こんなのは小学生レベル。
 こういうアホ会議はさっさ
 と潰して・・・というか直ぐ潰れる・・・もっとまともな復興計画を立てよう。
(11/04/15)

^
 1
0年20年住めないと云われた、福島原発周辺を住めるようにするポイントは土壌改良。筆者はこれに生物浄化を取り入れるべきと考えている。例えばミミズとか、特定の元素を吸着する草類とか。これに成功すれば、当然国際特許。中韓に負けないように、そして中韓には決してノウハウは渡さないように。

 汚染水海洋投棄についての東電・経産省(保安院を含む)・外務省の対応、特に近隣諸国への通知の遅れは、今後大きな外交上の障害になるだろう。例えば、中国や韓国の原発で事故が起こった場合(起こらなくても具合が悪くなったとき)、福島の例を挙げて汚染水を垂れ流す恐れがある。このとき最大の被害を受けるのは、日本水産業。中韓は自分の行為を正当化するが、日本は反論出来ない。こういう点がケンカ慣れしてない日本官僚や、官僚化した会社員の脇の甘さなのである。何故こんな脇の甘い人間ばかりになったのか?その最大原因は「共通一次試験」である。
(11/04/15)

 昨日政府は福島原発事故をレベル7に引き上げたが、これに対し色々異論が出ている。まず第一は、グリーンピースや日本社民党のような狂信的環境団体及び無知・無責任マスコミの主張する「レベル引き上げは遅すぎた」説。これに対し、IAEAやロシア・フランスなどの原子力専門家による「チェルノブイリとは比較にならない、レベル7は大げさだ」説。特にロシアは「被害の実態から見て、レベル4程度、4にもならない」とコメントしている。さて、何故、政府はこの期に及んでレベル7に引き上げたのでしょうか?私は選挙対策だと思う。統一地方選で民主党は大敗した。解散総選挙は目前。レベル7に引き上げると、原子力災害特別措置法で、ほぼ無制限の財政措置を被害地域に適用出来る。これを狙ったのだろう。但し、作戦としては遅すぎる。
(11/04/13)


 本日17:16M7.1地震は、震源位置・深さから見て、明らかに「双葉断層」の活動によるものです。だから云ったとおり、福島原発はヤバイ場所にあったのです。海溝形地震が直下型地震に影響を及ぼす例。プレート沈み込みと内陸活断層とは無関係ではない、という例証になるでしょう。
(11/04/11)

 神戸大震災で、兵庫県がたった8日で立ち上げた総合対策会議が東北で未だ出来ず、1000数100億円に及ぶ義捐金が宙に浮いたまま。何故こういう事になるかというと、被害が広域で多県に渉ると云われるが、実態は各県が統一歩調をとれないからだ。筆者の短い東北体験でも、東北というのは実はバラバラ。まず言葉が違う。仙台弁は秋田・青森・山形では通じない。その逆も真。福島県一つでも、相馬・福島・会津は言葉も慣習も違う。そんな中での広域長期避難生活など続けられない。いっそ関西に逃げてきた方がましなくらいだ。東北というのは一見広いが、実は狭い盆地の集合なのだ。盆地毎に言葉も違えば生活慣習も異なる。いざとなれば地域エゴが優先する。何故小沢一郎が岩手で隠然たる力を持ち続けられるか、その理由はここにある。かつての頼朝の奥州征討、秀吉の奥州惣無事、明治維新の戊申戦争といった危機に対し、東北は統合する事が出来ず、西日本の勢力に屈服した。果たして今回はどうか?
(11/04/08)

  本当にイライラするのが、政府の放射線対策。やる気があるのか無いのか、やる知恵があるのかないのか、それがさっぱり見えない。放射性核種の内、ヨウ素などは半減期が短いから大して問題はないが、セシウムは半減期も長く水溶性なので、放って置くわけには行かない。一旦は表土に吸着するが、雨が続くと地下に浸透する。当座は不飽和浸透だから土壌に吸着する。しかしこれが長く続き地下水位に達すると、地下水に溶けて広域拡散に発展する。そうなるまでに汚染土壌を掘削回収し、低レベル汚染物として環境から隔離しなければならない。それにどれぐらいの時間が要するか、どれぐらい広がるかの予測にはANSAFというソフトを使う。これは日本製で、国際的にも廃棄物処理の基本技術として認められている。そのためには詳細な放射線観測が必要なのだが、それが出来ていない。この度、フランスから観測ヘリを導入するらしいが、こんなもの日本技術で十分対応出来る。今の政府と東電と東大はそれすらも判っていないのだ。要するにアホの連合、馬鹿の連鎖としか云えないのである。
(11/04/08)

 「斑目」をネットで検索したらまあ、その悪口の多いこと。処が彼についての詳細なデータは何もない。みんな新聞で出ていることのパクリだけ。事ほど左様に日本のネット民度は劣悪なのである。処で斑目が原子力安全委員長に就任したのは昨年四月。安全委員人事は国会承認を得てから総理大臣が任命、と言っても、誰にするかは、所管の経済産業省が裏で決める(当たり前で、経産がウンと云わなければ、国会に上程することも出来ない)。国会承認など只のヤラセ儀式。昨年四月と言えば、鳩山が辞める辞めないで揉めていた頃。と言うことは、既に次期安全委員長は斑目で決まっていたわけだ。斑目も鳩山も同じ東大工学部。ひょっとしたら、この線でフムフムで決まっていたいた可能性が大。何のことはない、鳩山(沖縄)ー斑目(福島)という東大工学部人脈で日本を滅茶苦茶にしたわけだ。
 インドが日本産食料品の輸入禁止。笑ってしまう。同じ事は中国・韓国・EUにも云える。そもそも日本産農産物輸出量など輸入量に比べれば僅かなモノ。それも高級食材に限られる。インドや中国などの下層庶民が手に入れられる商品ではないのだ。だから、輸入禁止だ!などと叫んでも、只の政治パフォーマンス。いっそ日本から輸出禁止にしてやればよい。

 日本政府がモタモタしている間に、ドイツは独自のやり方で放射能の拡散シミュレーション結果を公表。アメリカも放射能強度推定値を発表。みんながみんな勝手なことをやり出す。その結果残るのは、混乱と日本への不信感だけ。この最大の責任者は、責任を原子力安全委員会に押しつけて、自分は逃げまくる経済産業省、自分の縄張り固守に徹する安全委員会と安全・保安院。官僚的責任回避主義と、アナクロアカデミズムが合体した醜態である。
 安全委員会は廃止、保安院は解体。これしかない。ノーナシは追放しよう。何故、こんなノーナシが生まれたか?その原因は共通一次試験である。要するに、大学が駄目になったのだ。大学人が学生選抜という最低且つ最重要義務を放棄したから、こんなアホばっかり生まれたのである。
(11/04/07)


 一番酷いアホは原子力安全委員長の斑目だろう。福島第一原発のトラブルの原因は、まず安全委員会の甘い判断から始まり、その後のトラブルは彼等の無知・無能・無策に起因している。その全てに、あの愚図ノロマノーナシ斑目が責任を負っている。なんでこんなアホに月108万もの給料を払わなけりゃいけないんだ。
 斑目の最大の罪は、放射線強度測定や予測データを隠し持っていることだ。これが国内だけではなく、海外各国
の不信を生み、結果として日本の国益を失うことになる。これが東大国策教授の最大の欠点なのだ。彼等は、自分を雇ってくれている政府の利益擁護を、自分の最大義務と思っている。その他の一般ピープルなどどうでも良い。まして外国政府がどう思うおうが、為替レートや日経平均がどうなろうとか、関係はないという発想になる。処が原子力発電は既に日本の総発電量の30%を占めており、日本の経済(どころか世界経済)に極めて大きな影響を持っている。まして、斑目は東芝を辞めた後、東大で原子力行政学を講義してきた。その結果がデータ隠しになったとすれば、彼は一体大学と企業で何を学んできたのでしょうか?昔と違って、現代では、行政と経済は1対1の関係をもっている。どうもそこのところがよく判っていないみたいだ。いや!彼を裏で動かしているのは、経産官僚。原子力安全委員会とか、原子力・保安院など、経産省の隠れ蓑ということは誰でも知っている。と言うことは、原子力行政を経産省から切り離さなければならないということだ。
 この問題の遠因はかつての橋本行革に遡る。あの当時、「文殊」の度重なるトラブルに関し、橋龍が頭に来て、動燃解体に踏み出した。折からの省庁再編で、原子力行政を担任していた科学技術庁は文部省に吸収され、文部科学省になってしまった。これが間違いの始まり。あんな文部省如き文系官僚に、宇宙開発や原子力行政など出来る訳がない。文部省を解体し、科学技術省を作り、そこに科学技術分野や科学教育政策を集中し、従来文部行政部門は教育庁かなんかにして、総理府の外局にしてしまえば良い、と言うのが当時のワタクシの意見。処が、橋龍は・・・その後を継いだ森やコイズミも・・・頭が悪いから、将来の世界を見通す能力がなかった。その結果が今のザマだ。原子力安全・保安院などと云うノーナシ役所の設立・運営に一番利益を得たのは誰でしょう。当たり前だが、新たな天下り先を得た霞ヶ関官僚であり、そこから迂回資金が得られる自民党でしょう。

 
地下からの漏水と言っていたら、接続ボックスの基礎採石からの漏水と判明。採石基礎と言うことは、この部分は盛土ということか?地山なら均しコンクリートで済むはず。ということは汚染水は地下に浸透している可能性が大。昨日のLW注入で採石からの漏水は止まったようだが、止められた水は必ず何処かへ行く。ピットから溢れ出すか、地下或いは側面に回り込むだけだ。地下水浸透が却って広範囲に広がるだろう。なお、LWだけでは止水効果の持続性に限度があるので、通常はこれにCB(セメント+ベントナイト)注入を併用する。そうしないと永続的な止水性は保障できない。但し汚染水のγ線強度が強いので、それが止水材の品質にどう影響するかの検討は必要。これはハイレベル処分で研究しているはず。確か、ベントナイトに遮蔽効果があるのではなかったか?
(11/04/06)

これは本日朝刊に載った、福島第一原発汚染水流出経路の模式図。確か、昨日までは、立て坑の脇のピットにクラックが入り、そこから漏水している画が、テレビやインターネットにはでていた。しかし、これは全く違う。ピットの下の地下から漏水している。東京電力は、外部への漏水個所すら把握していなかったのだ。 ピット脇に入ったクラック。これは津波ではなく、地震によるもの。地震時水平土圧で海側(写真左側)の土塊が海側に移動して、そこにクラックが入ったもの。これによって、ピット底面にクラックが入り、そこから汚染水が漏洩していると考えるの普通。但しこのピットが左の図の、どれに当たるか判らない。このピットが切り土と盛土の境界に懸かっている可能性が考えられる。
 事ほど左様に、東電の情報公開は中途半端だけでなく、発電施設設置に関し、各構造物についてきちんとした地盤調査をやっているのか?当てずっぽうで設計や施工をやっているのではないか、という疑念が残る。これはコンサルタントである東電設計の責任でもある。
 なお、昨日上流から着色剤を投入したところ検出されなかったとされるが、どんな着色剤をどのように投入したかが判らない。流量が多いと普通の着色剤では拡散してしまって肉眼では判らなくなることがある。普通は紫外線で発光する蛍光着色剤を使う。これなら、相当微量に拡散していても検出出来る。これは地すべり屋の領分。
 (11/04/05)



 この写真は福島原発の例のピット。相当の圧力で流出していることが判ります。東電はこれをポリマー材で止水しようというのですが、上手く行くでしょうか?仮に一時的に止水に成功しても、ポリマー材は強度を持たないから、今後何か衝撃が加われば再びクラックが開口する可能性がある。こういう場合は、通常前面を大型土嚢で補強し、背後に水中ポンプを放り込んで、背後の水位を下げ、それからコンクリートなりなんなりで構造体を作るのが常道。うっかりクラックだけの閉塞をやると、そこに水圧が集中し、却ってクラックを拡大する危険がある。ポンプからの排水は、パイプでメガフロートに移す。
 なおこのクラック、周囲に酸化鉄が付着しているので、かなり以前から出来ていた疑いもある。また、敷地境界付近の地下水からも放射能が検出されている。放射能汚染水の拡散はかなり広範囲に及んでいる可能性がある。問題はどのルートでどの範囲までが汚染されているかであるが、これは発電所敷地の地質平面図(東電は作成しているはず)から容易に推測出来る。これで検討を付けて詳細調査をやればよい。対策は、詳細調査で汚染ルートを確定した後、敷地境界に止水壁を作って、汚染水の敷地外拡散を防ぐことです。工法としては、コストはかかるがウレタン注入が手っ取り早くて良いでしょう。こういう話しはボーリング屋が一番得意。
 なお、この伝でいくと、今後原発調査もダムと同じように、ルジオンテストをやり、施工では敷地外周にカーテングラウトをやらねばならないようになるかもしれません。この手の話しも地質屋の領分。

(11/04/03)


 福島第1、1〜4号機廃炉。これは海水注入時点からの当然の帰結。ついでに東電国有化。まあ、こんなこと、事故が起こってから三日目ぐらいで判っていました。今回の事故、満更悪いことばかりではありません。
1)各電力会社トップにも多少、危機感・緊張感がでてきたでしょう。元々末端社員は緊張感を持っていたのです。なかったのは経営トップと霞ヶ関だけ。
2)経産省から東電への天下りがストップ出来る。地震直前に東電に天下りした元資源エネルギー庁長官はどうするんでしょう?原子力国策を隠れ蓑にした産官複合体の解体が期待できます。毎度テレビに登場する、眼鏡とカツラ見え見え西山審議官なんてノーナシを追放できるのだ。
3)東電実質国有化で今後電力再編成が始まるでしょう。こんな狭い日本で九つも地域独占電力会社は要らない。三つか四つに統合再編した方がよい。或いは地域独占制を廃止し電力自由化を促進する方法もある。なお、電力再編や電力自由化に、最も強硬に反対したのが東京電力。これが潰れるのだから、電力改革は今がチャンス。東電が潰れたら、電力の風通しは随分と良くなるでしょう。但し一番のOB受け皿が無くなるから、経産官僚は真っ青。
(11/04/01)

 福島支援で中国が60mのポンプ車、タイが発電器を寄附。なんだ日本にはそんなものもなかったのか、とアホマスコミは錯覚するだろう。しかし、両方とも実態は日本製。設計と重要部分は全部日本製。モノは中国やタイで組み立てただけ。コイズミ以前はあんな機械、国内に幾らでもあった。純一郎と平蔵が、みんな日本から追い出したのである。これを産業空洞化という。自民党の罪は重い。
(11/03/31)

 放射能対策支援と称して、フランスアレバの女CEOとサルコジが来日。アレバの方は、これから日本で一稼ぎ(荒稼ぎ)と云わんばかり満面に笑みを湛え、嬉しくて仕方が無い様子。サルコジ(これは前任のシラクと違って、元々反日・侮日派)はそこまで露骨ではないが、満更でもない表情。それはそうでしょう。なにせ、福島事故が起こった直後、「これはビジネスチャンスだ!」と叫んだ大臣がいた国だから。どっちみちろくでもない道具を売り込んで、後でしっかり請求書を廻す算段だろう。それに対する管の対応は感謝・感謝のアホ発言。ホントにスッカラカンだ。これほど酷いとは思わなかった。これじゃ悪意の外国から舐められても仕方がない。これというのも、管を始めとする政治家が核問題の勉強を怠っていただけでなく、原発事故対策技術の開発と整備を怠ってきた、通産ー経産省・原子力委員会、それらをとりまく電力業界コンプレックスの傲慢と怠慢の所為だ。
(11/03/31)

 
 
今度は汚染排水の行き場がなくなるというお粗末。こんなこと始めから判らなかったのかと思うが、多分、安全委員会や保安院、東電上層部に発電所施設の状況、特に土木関係(一般に給排水は土木の仕事)の詳細が判る人材がいなかったのだろう。それと事故発生後、東電は職員の大部分を避難させてしまった。残るは保安や発電関係ばかりでここにも施設が判るものがいなかった。いや、いても社内序列から彼等には、発言権が与えられていなかったかもしれない。こんな事をやっているから、常に対策は後手に回る。なお、タンク容量不足に備えて、陸上に新たにタンクを作る計画らしいが、間に合うのでしょうか?私なら、何処かから中古のタンカーを買って、それを中継タンクにして当座をしのぐことにしますが*。
 それから2号機タービン建家の漏水について何処か判らないというが、第一に配管が損傷していると考えるのは当たり前。特に配管と壁との境界とか、配管の断面・曲率が大きく変化している箇所は怪しいと疑うべき。無論壁にクラックが入っている可能性もある。私ならとりあえずラジコンヘリを使って建家内を捜索します。配管内は状況によって違うが、何処か入れる場所があれば、そこからファイバースコープ探査をする方法もある。
 発電所外の広域汚染調査については、元原子力安全委員のナントカという婆さんが、SPEEDIというソフトで予測解析出来ると主張していたが、別にこれをやってはイカンとは云わないが、これだけで全部判ると言うモノではない。国民や世界が望んでいるのは、実際の汚染の広がりとそのレベル、そしてその変化の可視化である。これには実測で対応するしかない。処がこの測定が全くお粗末で、避難地域外の僅かな測点(文科省HP)でチョコチョコット測っているだけ。私ならこれに、温泉探査に使うヘリボーン探査(空中γ線探査)を使う。これなら短時間で一気に広域詳細データが取れる。これは国内では3社ほどがやっている。 放射能強度云々なら、それこそラジコンヘリを使えばよい。空中が気に入らなければ、日本ではあまりやらないが、カーボーン探査というのもある。これも広域データを短時間で取得できるメリットがある。他にも民間で使っている技術(例えばラジコンブルドーザーとか、RIを使った土壌放射能強度測定とか、γ線スペクトルメーターで短時間に放射線核種を決めるとか)で使えそうなものは幾らでもある。何故それを使わないのでしょうか?東電はいわば国策会社。民間のいい加減な道具は使えないとか、原子力安全委員会はみな東大で固めた超エリート集団。我々が知らないモノは使えない、と言うような自意識が邪魔するのでしょうか?あんまりつまらないプライドに拘っていると、恥を上塗りするだけになりますよ。
 本当は人工衛星で常時監視するのが最も望ましい。以前、北朝鮮がテポドンを打ち上げたとき、日本政府も軍事偵察衛星を打ち上げるという話しがあったが、あれはどうなったのでしょうか?それとあの衛星搭載カメラは可視光領域だけだった。あんなもの今時軍事偵察の役には立たない。何であんな中途半端なものを、とその当時は思ったものだ。少なくとも赤外線とγ線スキャナーを搭載していなければならない。それがあれば、今回の放射能汚染でも、もっと具体的で有力なデータが得られたはずだ。何故、それが出来なかったのか?赤外線とγ線スキャナーはそのまま資源探査に使える。日本が独自の資源探査能力を持つことを恐れたアメリカ石油メジャーが、USTRを通じて日本政府に圧力を掛けた為では無かろうか?そのつけが今来ている。
 なお、更に私なら、今回の原発事故 を今年の技術士試験問題(応用理学か総合技術管理)に出す。例えば「原子力発電所が事故を起こしたときの対策について、あなたの専門とする事項との関連において論ぜよ」という具合だ。
*プルトニウムなら水に溶けないから、船底に沈着する。半減期の短い元素は係留中に安定化する。問題は水溶性の元素だが、これは何か凝集剤を使って沈着させる。どんな材料があるかまでは承知しない。原子力安全委員会には化学の専門家がいるのだから、その線で考えて貰わなくてはならない。こうやって水と放射性物質を分離して、水は海中投棄、物質は何らかの形で固定して、六ヶ所村に運んでハイレベル廃棄物に再処理する。てなところか。
(11/03/30)

(証明された事)

 連日報道される被害地の惨状、福島原発対策のチョンボの連続。それに悪乗りするタレント評論家シロート発言・反科学妄言のオンパレード。あたかも日本のマスコミがこぞって日本ネガテイブキャンペーンを張っているようだ。物事は客観的に見つめ直すことが重要である。今回の震災で少なくとも次の2点が証明された。
1、地震早期検知システムの成功
 地震が発生したのは平日午後である。無論新幹線は営業運転中。しかし、新幹線では事故は一つも起こっていない。これは在来線でも同じである。三陸鉄道で行方不明になった列車があったが、これは津波の所為と考えられる。つまり、YUREDASは東北地方の全列車を緊急停止させることに成功した。原発も全て緊急停止に成功している。福島事故は津波が原因とされている。ということは津波さえクリーされておれば、原発はなんの問題もなく、平常運転に復帰でき、日本の原子力技術はM9.0の地震に耐えられたとして、世界の賞賛を浴びたことだろう。事実、女川は地震も津波もクリアーしている。
2、耐震設計
 阪神淡路震災の被害の大部分は、建物や家屋の倒壊である。しかし、その内容をよくみると、倒壊家屋・建造物の多くは昭和51年の新耐震設計指針(案)以前の作品。今回の地震での家屋被害は殆どが津波。津波で流されていく家屋を見ても、地震でダメージを受けているものはない。仙台も昔に比べ、高層・超高層建築が多くなったが、その中で被害を受けたものはない。首都圏でも同様で、東京下町で一部火災が発生した件もあったが、家屋被害はそれぐらいである。昭和56年の建築基準法改正で一般家屋での耐震設計の義務化されたこと、更に阪神大震災後更に建築基準法が改正され、耐震設計が強化されたことの影響と考えられる。つまり、日本の耐震技術はここ30年の間に着実に進歩しているのである。

 但し、良いことばかりではない。東北新幹線は未だに運行を再開出来ていない。在来線でも不通区間が多い。原因は不明だが、おそらく高架部や電気系統の損傷が大きかったのではなかろうか?阪神大震災で耐震設計法が見直され、一斉に耐震補強工事が行われたはずだが、東北は未だだったのでしょうか?仮に西日本と同じレベルで耐震補強を行ったとしても、損傷が大きかったとすれば大問題。全国一斉に耐震補強をやり直さなくてはならない。道路では人身事故に繋がるような崩壊は報道されていないので、まだましだったのだろうか?それとも、元々通行量の少ない道路ばっかりだったからでしょうか?

 問題は津波対策である。津波予知は進歩したが、それを地域防災計画に生かされていない。 何故生かされないかというと、津波に対し防備で行くか、避難で行くか、その方針が明確でないからである。それはとりもなおさず、津波対策に対する理念が無いということにほかならない。つまり、日本の津波学は未だに工学のレベルに達していない。だから、いつまで経っても防災インフラは整備されず、自治体は、せいぜい年に何回か避難訓練を繰り返すのみ。これでは同じ失敗を何度でも繰り返す。この原因には別に行政の縦割り・予算のぶんどり合戦がある。例えば、国交省内でも、防災と港湾の縄張り争い、漁港だとそれに農水が割り込んで来るから何時までたっても何にも決まらない。いっそ海上保安庁に海岸防災も全部任せた方がよいかもしれない。

 福島原発2号機高濃度排水処理について、斑目が国会で「・・・安全委員会はその方面の知識を持ち合わせていない」と発言。こんなことを云うと、日本にはそんな技術がないのかと思われてしまう。委員会は持っていないかもしれないが、世の中には専門家が幾らでもいる。例えば、ジェットセメントという数分で固まってしまうセメントがある。これを使えば汚染水の建家外への漏出を一時的にくい止めることが出来る。又、発電所内の安全な場所にピットを掘って、そこへ汚染水を導く手もある。その間に次の手だてを考えればよいだけの話し。問題は原子力安全委員会のメンバー構成なのである。メンバーの大部分は機械屋、物理・化学屋で、燃料や設備方面に偏っており、土木・建築・地質・地震等施設・防災の専門家が入っていない。
 このような専門が偏っている上に純粋培養型人間の集まりでは、今回のような不意打ちには対応出来ないのは当然。原子力安全委員会は一旦解体し、出直さなくてはならないだろう。
(11/03/29)

 昨日午後7時からの管直人の首相メッセージ。結論は”頑張ろう!団結しよう!”。聞いていて、なんとなくメッセージというより、70年当時学生運動のアジ演説のノリを感じてしまった。そもそも学生というものは無責任なものである。自分のアホさ加減を棚に上げ、今こういう状況にあるのは、大学当局理事者側の責任だ。それを打破するためには、学生の要求を突きつけるべきだ。そのためには”団結だ!”。しかし今の彼はそういう立場ではない。既に震災から2週間経っている。具体的に復興目標をたて、それを実現するための方針を示さなくてはならない。この目標を達成するための”頑張ろう!団結しよう!”なら、判る。しかし、前提となる目標・方針がないから、しらけてしまうのである。
(11/03/26)

(馬鹿の証明・・・・羮に懲りてなますを吹く類1)
 馬鹿の定義は難しいが、所謂知能指数の高低だけでなく、ものを見る能力の高低も評価の基準になる。ここで馬鹿というのは、第一にマスコミである。これには日本だけでなく諸外国も含まれる。又、マスコミに操られる役人や消費者もその片割れである。これも日本だけでなく、中国・韓国・台湾など周辺諸国や欧州各国も含まれる。「操られる」と言うことは、周辺からのあやふやな情報に迎合し、進退を誤ることである。何故操られるかというと、本人が事態に関する正確な知識・識見(スタンス)を持たないため、他人が云うことをその通りと信じてしまうからである。古来、英雄と云われる人は、明確な情報分析能力をもっており、決して人任せにしてはいない。残念ながら、今回の福島原発事故で云えば、国の内外を問わず、権力を持っている人が、明確な情報分析能力を持っていないということが証明された。
1)放射能汚染の問題(1)
 まず簡単な数式を出しましょう
    t=3.32Tlog(C0/Ce)
 これはある放射性元素が壊変して、元々の放射能強度から、ある強度(例えば許容値)に達するための時間を求める式です。実に簡単な式です。答えは安い関数電卓であっという間に求められる。
 ここで   t;現在から許容値に達する為の時間(day)
        T;放射性元素の半減期(day)
       C0;現在の放射能強度
       Ce;目的とする値(例;許容値)
 或いは
    C1=C0*2(-t/T)
        C1;放射性核種発生後t(day)での放射能強度

 よく、新聞やテレビマスコミは、単に測定値をそのまま流してしまって、世間の不安を煽る。その理由は放射性核種のエネルギー減衰を理解していないからである。極端な場合、ある核種が放出されたとして、それが1年間吸い続けた場合の数字を報道する。これでは一般市民が不安になるのは当たり前である。政府がある数値を発表したからと云って、それがズーット続く訳ではない。上の式で許容値に達する時間も同時に報道すれば、世間の反応は随分違うのである。
 但し、こんな簡単な事さえ出来ない、政府や原子力安全委員会、原子力安全・保安院の能力はもっと批判されるべきである。
2)放射能汚染の問題(2)
 1を聞いて100と勘違いする馬鹿。つまり過剰反応である。これは外国人特に欧米人に多い。日本の一部である福島県の、その又一部が汚染されただけで、日本全体が汚染されていると勘違いする馬鹿である。現段階で放射能で汚染された地域の面積を特定することは難しい。そもそも汚染をどう定義するかも曖昧なのである。とりあえず半径30qと仮定すると概ね700q2。福島原発は海に面しているから、陸上部は約350q2。実際はその1/3程度と見積もられるから、実質120q2。日本の陸上面積は38万q2。従って、汚染域は日本の0.03%に過ぎないのである。これが仮に半径100qに広がった処で、0.3%に過ぎない。
 この結果が、外人の日本脱出や、来日取りやめというジャパンパッシングを加速する。これというのも、政府やマスコミが福島県の一部の映像のみを強調して流すからである。日本のことに知識がないアジア人や欧米人が、これを日本全体のことと錯覚しても仕方がない。同じ事は、津波被災地区の映像が、新聞やテレビで繰り返し報道される事にも云える。あれでは、日本全体が崩壊してしまったような誤解を海外に与えてしまうのである。
 何故過剰反応が発生するか、というとそれは基本的知識がないからである。そもそも放射能と、放射線・放射性物質(核種)は全く別の意味だが、一般の人間は、これを全部混同してしまう。これは日本人だけかと思ったら、外人も皆同じ。チョット計測値が基準値を上回っただけで、それこそ悪魔が来たかのような大騒ぎ。ヨーロッパも中国も台湾も皆同レベルだ。まだ、日本、特に関西の方が落ち着いている。特にマスコミ人が過剰反応する。この原因は小中学校理科でキチンとした核教育をしていないからである。しているとすれば、短絡的左翼反核教育だけ。マスコミの過剰反応は、当人の無知もさることながら、マスコミの本性である扇動競争が表に出ただけだろう。これは日本も海外も変わらないようである。  
3)放射能汚染の問題(3)
 情報発信の仕方がお粗末過ぎる。これは1)、2)にも関連するが、例えば枝野は保安院から出された数字を、そのまま記者会見で喋ってしまう。しかも、その数字が点のデータで、背景の広がりが見えない。しかも、これに対する説明が無いから、数字だけが一人歩きして混乱や不安を増幅する(世の中には、火のない処に煙りを立てたり、小火を大火事にしたがる人種がいる)。例えば、記者会見で「・・・・で、基準値を越えた放射線量が検出された」と発表すると、新聞・テレビはその数字をそのまま発信してしまう。ではどの程度の数字かというと、せいぜい数100ベクレル程度。この程度では、中国製毒入り粉ミルクや廃油入り食用油、韓国の口蹄疫まみれ牛肉の方が遙かに危険。そういう事をテレビで喋ってやればよい。中国や韓国はカンカンになって国際問題になるだろうが、外国ではこれが当たり前。政府の責任は自国の利益と自国民の安全を護ることである。世界で、これらの責任を放棄しているのは、日本政府だけだ。
 ある情報が出来るには、膨大な背景が存在する。その背景を説明し、更に将来の見通しを説明すれば、世の中の常識ある人は納得し、混乱を回避できる。枝野のようなやり方は、例えて云うと小学校か中学校の夏休みの宿題発表のようなものだ。高校・大学ではより突っ込んだ説明が求められる。何故そういうことをしないのか?何処かに情報の背景説明を止める力が働いているのか?おそらくそうでしょう。何処かと云えば、原子力安全委員会、原子力安全・保安院に決まっているでしょう。彼等は事態をどう収束させるかより、どう責任逃れが出来るかを優先し、その道筋が出来るまで、情報隠しに専念しているはず。 しかし、管や枝野がその気になれば、彼等霞ヶ関官僚の干渉を排除出来る。
4)根本は基本技術の不足
 1980年代、電力各社は、どこかのアメリカ帰りインチキ経営コンサルタントの口車に乗って、生産性向上運動(所謂TQC)というのをやった。特にこれを推進したのが、東京電力(当時の会長は、確か木川田とか云う長期政権者ではなかったか)。これが悲劇或いは喜劇の始まり。筆者はその当時、電力関係と若干関係があったものだから、TQCの内情を幾らか判ったつもりである。実態は殆ど中国文化大革命人民集会の電力版。TGCの下にQCサークルというのがあって、そこでメンバーが自己批判をさせられる。一般に中間管理職が槍玉に挙がる。QCサークルを取り仕切るのは、本社のTQC本部から派遣されている、サークルリーダーと称するエージェント。社員が喋ったことが、全て逐一本部に報告される。この結果が後の人事に反映される。その結果何が起こったかというと、社内の分断だ。筆者の聞くところによると、当時結構社員の自殺が多かったらしい(特に東電i
。実態は資本主義の仮面を被った共産主義・文化大革命。その内、これが他の電力にも伝染してみんなやりだした。あのいい加減な関電でもやり出したのだから笑ってしまう。
 
それはともかく、筆者が感じたのは計測のお粗末である。何か事故が起こったとき、一番先にやらなくてはならないのは、現況の把握だが、放射能のような目に見えない現象を相手にするには、計測で対応するしか方法はない。処がこれが全然なっていない。まず、測定点が決定的に不足。当初発表された測定点は正門前とか、事務所前とか発電所内だけ。1週間ほどしてから、福島やら茨城やら遠隔地のデータがやっとNHKで報道されるようになったが、肝心の原発域周辺はさっぱりない。その測定頻度もどの程度か判らない。23日から文部科学省が周辺の測定を始めた。それを文科省HPで見てみたが、30q圏の外側をチョコチョコっと測っているだけで、あれでは計測になっていない。東電も経産省も文科省も、計測の基本が判っていないのではないか?今では、ゼネコンの方がもっとまともな計測をやるよ。計測が判らないと言うことは、自分達が目指すターゲットが見えていないと云うことである。ターゲットが見えていないと言うことは、今やっていることの意味が判っていないということで、これは単に儀式に過ぎないと云うことだ。こんなことは、まともな技術屋のやることではない。無意味な儀式に付き合わされる国民こそ大迷惑。これこそ、技術劣化の象徴。
(11/03/25〜27)

(恥を知れ!・・・・消防隊員を罵倒し、身内〔原子力保安院〕の敵前逃亡を許した海江田万里)

 東電福島第一原発には、原子力保安院から常時7名の職員が、交替で派遣されていたらしい。地震があった当日には2名の職員がいたが、その後放射能漏れの事故があって、保安院はこの2名を、さっさと引き上げてしまった。その後、東電や下請け業者の社員が大勢残っていたにも拘わらずである(本日毎日新聞)。筆者はこの記事を読んで、前大戦中での日本軍、就中海軍の体質を感じてしまった。旧海軍は極端エリート意識集団であって、戦勢が悪くなると、下士官兵をほったらかし、彼等を犠牲にして、士官を救出したのである。これが陸軍との大違い。陸軍の方が、兵・将校一体感が強かった。しかし、中央に直結するエリートは異なる。昭和19年米軍がフィリピンに迫ると、マニラの南方軍総司令部や、第4航空軍は前線部隊をほったらかして、さっさとサイゴンに逃亡した。しかし、陸軍中央は何も咎めなかった。それは、南方軍総司令官の寺内や参謀長の黒田、第4航空軍の富永らが、みんな東条の子分・腰巾着だったからである。軍統帥の退廃、ここに極まれりだ。今回の保安院の敵前逃亡も、これに似たようなものだ。東電福島の場合、保安院が職員を引き上げた結果、政府と現場との意志疎通が不確かになった、とされる。保安院の責任は重大である。そこに、保安院の民間に対する・・・旧海軍的・・・差別意識があったのではないか?という疑問が生じるのである。
 つまり保安院は業者や住民などどうでも良い、自分さえ良ければそれでよいという体質なのである。ワタクシは、こういう体質に”恥を知れ”と云いたい。”恥を知る”とはどういうことか、と言うと、詰まるところノーブレスオブレッジなのである。ノーブレスオブレッジとはなにか?自分を犠牲にしても、弱者・貧者・部下を護る意識のことである。そもそも、公務員が、様々な点で民間人より特典を与えられているのは何故か?というとノーブレスオブレッジのためなのである。それを自ら捨ててさっさと逃げ出すとは、要するに敵前逃亡。敵前逃亡は軍法会議なしで銃殺である。公務員の風上にもおけぬ恥知らず。逃げた奴も酷いが、それを指示した奴はもっと酷い。指示したのは西山とか云う審議官。こんな奴は即刻、銃殺である。聞くところによると、東電を所管する経産相の海江田は、現場で働く消防隊員に「職務を実行しなければ処分する」と脅したらしい(後に謝罪)。東条も又、前線で退却を進言する部隊長を次々と処罰した(ガダルカナルやインパール作戦の失敗を見よ)。その結果増えたのが玉砕である。石原シンタローや渡部昇一とか勝谷とか云うモノ知らずテーノー右翼は、玉砕を崇高な死と勘違いしているようだが、実態は東条の責任逃れで自殺させられたのである・・・この結果、、日本は世界最強と云われる優秀な兵士・下士官を失う事になった・・・。当に今福島原発で起こっている事態は、当に東条的恥知らず状況である。
 なお、今回の失態で、原子力保安院は解体・廃止の議論が出てくるだろう。筆者個人としては、あんな役立たずのノーナシ役所など、廃止が当然。職員はクビで、これまで払ってきた給料を全部返せ。いずれ、福島原発は廃炉されるだろう。このとき、海江田及び西山他保安院幹部をコンクリート詰めにし、死体を原子炉中央に安置し、その後、原子炉をコンクリート詰めにすればよい。本人達もさぞかし本望だろう。
(11/03/23)

 今度は汚染排水の行き場がなくなるというお粗末。こんなこと始めから判らなかったのかと思うが、多分、安全委員会や保安院、東電上層部に発電所施設の状況、特に土木関係(一般に給排水は土木の仕事)の詳細が判る人材がいなかったのだろう。それと事故発生後、東電は職員の大部分を避難させてしまった。残るは保安や発電関係ばかりでここにも施設が判るものがいなかった。いや、いても社内序列から彼等には、発言権が与えられていなかったかもしれない。こんな事をやっているから、常に対策は後手に回る。なお、タンク容量不足に備えて、陸上に新たにタンクを作る計画らしいが、間に合うのでしょうか?私なら、何処かから中古のタンカーを買って、それを中継タンクにして当座をしのぐことにしますが。*
 それから2号機タービン建家の漏水について何処か判らないというが、第一に配管が損傷していると考えるのは当たり前。特に配管と壁との境界とか、配管の断面・曲率が大きく変化している箇所は怪しいと疑うべき。無論壁にクラックが入っている可能性もある。私ならとりあえずラジコンヘリを使って建家内を捜索します。配管内は状況によって違うが、何処か入れる場所があれば、そこからファイバースコープ探査をする方法もある。
 発電所外の広域汚染調査については、元原子力安全委員のナントカという婆さんが、SPEEDIというソフトで予測解析出来ると主張していたが、別にこれをやってはイカンとは云わないが、これだけで全部判ると言うモノではない。国民や世界が望んでいるのは、実際の汚染の広がりとそのレベル、そしてその変化の可視化である。これには実測で対応するしかない。処がこの測定が全くお粗末で、避難地域外の僅かな測点(文科省HP)でチョコチョコット測っているだけ。私ならこれに、温泉探査に使うヘリボーン探査(空中γ線探査)を使う。これなら短時間で一気に広域詳細データが取れる。これは国内では3社ほどがやっている。 放射能強度云々なら、それこそラジコンヘリを使えばよい。空中が気に入らなければ、日本ではあまりやらないが、カーボーン探査というのもある。これも広域データを短時間で取得できるメリットがある。他にも民間で使っている技術(例えばラジコンブルドーザーとか、RIを使った土壌放射能強度測定とか、γ線スペクトルメーターで短時間に放射線核種を決めるとか)で使えそうなものは幾らでもある。何故それを使わないのでしょうか?東電はいわば国策会社。民間のいい加減な道具は使えないとか、原子力安全委員会はみな東大で固めた超エリート集団、我々が知らないモノは使えない、と言うような自意識が邪魔するのでしょうか?あんまりつまらないプライドに拘っていると、恥を上塗りするだけになりますよ。
 本当は人工衛星で常時監視するのが最も望ましい。以前、北朝鮮がテポドンを打ち上げたとき、日本政府も軍事偵察衛星を打ち上げるという話しがあったが、あれはどうなったのでしょうか?それとあの衛星搭載カメラは可視光領域だけだった。あんなもの今時軍事偵察の役には立たない。何であんな中途半端なものを、とその当時は思ったものだ。少なくとも赤外線とγ線スキャナーを搭載していなければならない。それがあれば、今回の放射能汚染でも、もっと具体的で有力なデータが得られたはずだ。何故、それが出来なかったのか?赤外線とγ線スキャナーはそのまま資源探査に使える。日本が独自の資源探査能力を持つことを恐れたアメリカ石油メジャーが、USTRを通じて日本政府に圧力を掛けた為では無かろうか?そのつけが今来ている。
 なお、更に私なら、今回の原発事故 を今年の技術士試験問題(応用理学か総合技術管理)に出す。例えば「原子力発電所が事故を起こしたときの対策について、あなたの専門とする事項との関連において論ぜよ」という具合だ。
*プルトニウムなら水に溶けないから、船底に沈着する。半減期の短い元素は係留中に安定化する。問題は水溶性の元素だが、これは何か凝集剤を使って沈着させる。どんな材料があるかまでは承知しない。原子力安全委員会には化学の専門家がいるのだから、その線で考えて貰わなくてはならない。こうやって水と放射性物質を分離して、水は海中投棄、物質は何らかの形で固定して、六ヶ所村に運んでハイレベル廃棄物に再処理する。てなところか。
(11/03/30)


(証明された事)

 連日報道される被害地の惨状、福島原発対策のチョンボの連続。それに悪乗りするタレント評論家シロート発言・反科学妄言のオンパレード。あたかも日本のマスコミがこぞって日本ネガテイブキャンペーンを張っているようだ。物事は客観的に見つめ直すことが重要である。今回の震災で少なくとも次の2点が証明された。
1、地震早期検知システムの成功
 地震が発生したのは平日午後である。無論新幹線は営業運転中。しかし、新幹線では事故は一つも起こっていない。これは在来線でも同じである。三陸鉄道で行方不明になった列車があったが、これは津波の所為と考えられる。つまり、YUREDASは東北地方の全列車を緊急停止させることに成功した。原発も全て緊急停止に成功している。福島事故は津波が原因とされている。ということは津波さえクリーされておれば、原発はなんの問題もなく、平常運転に復帰でき、日本の原子力技術はM9.0の地震に耐えられたとして、世界の賞賛を浴びたことだろう。事実、女川は地震も津波もクリアーしている。
2、耐震設計
 阪神淡路震災の被害の大部分は、建物や家屋の倒壊である。しかし、その内容をよくみると、倒壊家屋・建造物の多くは昭和51年の新耐震設計指針(案)以前の作品。今回の地震での家屋被害は殆どが津波。津波で流されていく家屋を見ても、地震でダメージを受けているものはない。仙台も昔に比べ、高層・超高層建築が多くなったが、その中で被害を受けたものはない。首都圏でも同様で、東京下町で一部火災が発生した件もあったが、家屋被害はそれぐらいである。昭和56年の建築基準法改正で一般家屋での耐震設計の義務化されたこと、更に阪神大震災後更に建築基準法が改正され、耐震設計が強化されたことの影響と考えられる。つまり、日本の耐震技術はここ30年の間に着実に進歩しているのである。

 但し、良いことばかりではない。東北新幹線は未だに運行を再開出来ていない。在来線でも不通区間が多い。原因は不明だが、おそらく高架部や電気系統の損傷が大きかったのではなかろうか?阪神大震災で耐震設計法が見直され、一斉に耐震補強工事が行われたはずだが、東北は未だだったのでしょうか?仮に西日本と同じレベルで耐震補強を行ったとしても、損傷が大きかったとすれば大問題。全国一斉に耐震補強をやり直さなくてはならない。道路では人身事故に繋がるような崩壊は報道されていないので、まだましだったのだろうか?それとも、元々通行量の少ない道路ばっかりだったからでしょうか?

 問題は津波対策である。津波予知は進歩したが、それを地域防災計画に生かされていない。 何故生かされないかというと、津波に対し防備で行くか、避難で行くか、その方針が明確でないからである。それはとりもなおさず、津波対策に対する理念が無いということにほかならない。つまり、日本の津波学は未だに工学のレベルに達していない。だから、いつまで経っても防災インフラは整備されず、自治体は、せいぜい年に何回か避難訓練を繰り返すのみ。これでは同じ失敗を何度でも繰り返す。この原因には別に行政の縦割り・予算のぶんどり合戦がある。例えば、国交省内でも、防災と港湾の縄張り争い、漁港だとそれに農水が割り込んで来るから何時までたっても何にも決まらない。いっそ海上保安庁に海岸防災も全部任せた方がよいかもしれない。

 福島原発2号機高濃度排水処理について、斑目が国会で「・・・安全委員会はその方面の知識を持ち合わせていない」と発言。こんなことを云うと、日本にはそんな技術がないのかと思われてしまう。委員会は持っていないかもしれないが、世の中には専門家が幾らでもいる。例えば、ジェットセメントという数分で固まってしまうセメントがある。これを使えば汚染水の建家外への漏出を一時的にくい止めることが出来る。又、発電所内の安全な場所にピットを掘って、そこへ汚染水を導く手もある。その間に次の手だてを考えればよいだけの話し。問題は原子力安全委員会のメンバー構成なのである。メンバーの大部分は機械屋、物理・化学屋で、燃料や設備方面に偏っており、土木・建築・地質・地震等施設・防災の専門家が入っていない。
 このような専門が偏っている上に純粋培養型人間の集まりでは、今回のような不意打ちには対応出来ないのは当然。原子力安全委員会は一旦解体し、出直さなくてはならないだろう。
(11/03/29)


 昨日午後7時からの管直人の首相メッセージ。結論は”頑張ろう!団結しよう!”。聞いていて、なんとなくメッセージというより、70年当時学生運動のアジ演説のノリを感じてしまった。そもそも学生というものは無責任なものである。自分のアホさ加減を棚に上げ、今こういう状況にあるのは、大学当局理事者側の責任だ。それを打破するためには、学生の要求を突きつけるべきだ。そのためには”団結だ!”。しかし今の彼はそういう立場ではない。既に震災から2週間経っている。具体的に復興目標をたて、それを実現するための方針を示さなくてはならない。この目標を達成するための”頑張ろう!団結しよう!”なら、判る。しかし、前提となる目標・方針がないから、しらけてしまうのである。
(11/03/26)

(馬鹿の証明・・・・羮に懲りてなますを吹く類1)
 馬鹿の定義は難しいが、所謂知能指数の高低だけでなく、ものを見る能力の高低も評価の基準になる。ここで馬鹿というのは、第一にマスコミである。これには日本だけでなく諸外国も含まれる。又、マスコミに操られる役人や消費者もその片割れである。これも日本だけでなく、中国・韓国・台湾など周辺諸国や欧州各国も含まれる。「操られる」と言うことは、周辺からのあやふやな情報に迎合し、進退を誤ることである。何故操られるかというと、本人が事態に関する正確な知識・識見(スタンス)を持たないため、他人が云うことをその通りと信じてしまうからである。古来、英雄と云われる人は、明確な情報分析能力をもっており、決して人任せにしてはいない。残念ながら、今回の福島原発事故で云えば、国の内外を問わず、権力を持っている人が、明確な情報分析能力を持っていないということが証明された。
1)放射能汚染の問題(1)
 まず簡単な数式を出しましょう
    t=3.32Tlog(C0/Ce)
 これはある放射性元素が壊変して、元々の放射能強度から、ある強度(例えば許容値)に達するための時間を求める式です。実に簡単な式です。答えは安い関数電卓であっという間に求められる。
 ここで   t;現在から許容値に達する為の時間(day)
        T;放射性元素の半減期(day)
       C0;現在の放射能強度
       Ce;目的とする値(例;許容値)
 或いは
    C1=C0*2(-t/T)
        C1;放射性核種発生後t(day)での放射能強度

 よく、新聞やテレビマスコミは、単に測定値をそのまま流してしまって、世間の不安を煽る。その理由は放射性核種のエネルギー減衰を理解していないからである。極端な場合、ある核種が放出されたとして、それが1年間吸い続けた場合の数字を報道する。これでは一般市民が不安になるのは当たり前である。政府がある数値を発表したからと云って、それがズーット続く訳ではない。上の式で許容値に達する時間も同時に報道すれば、世間の反応は随分違うのである。
 但し、こんな簡単な事さえ出来ない、政府や原子力安全委員会、原子力安全・保安院の能力はもっと批判されるべきである。
2)放射能汚染の問題(2)
 1を聞いて100と勘違いする馬鹿。つまり過剰反応である。これは外国人特に欧米人に多い。日本の一部である福島県の、その又一部が汚染されただけで、日本全体が汚染されていると勘違いする馬鹿である。現段階で放射能で汚染された地域の面積を特定することは難しい。そもそも汚染をどう定義するかも曖昧なのである。とりあえず半径30qと仮定すると概ね700q2。福島原発は海に面しているから、陸上部は約350q2。実際はその1/3程度と見積もられるから、実質120q2。日本の陸上面積は38万q2。従って、汚染域は日本の0.03%に過ぎないのである。これが仮に半径100qに広がった処で、0.3%に過ぎない。
 この結果が、外人の日本脱出や、来日取りやめというジャパンパッシングを加速する。これというのも、政府やマスコミが福島県の一部の映像のみを強調して流すからである。日本のことに知識がないアジア人や欧米人が、これを日本全体のことと錯覚しても仕方がない。同じ事は、津波被災地区の映像が、新聞やテレビで繰り返し報道される事にも云える。あれでは、日本全体が崩壊してしまったような誤解を海外に与えてしまうのである。
 何故過剰反応が発生するか、というとそれは基本的知識がないからである。そもそも放射能と、放射線・放射性物質(核種)は全く別の意味だが、一般の人間は、これを全部混同してしまう。これは日本人だけかと思ったら、外人も皆同じ。チョット計測値が基準値を上回っただけで、それこそ悪魔が来たかのような大騒ぎ。ヨーロッパも中国も台湾も皆同レベルだ。まだ、日本、特に関西の方が落ち着いている。特にマスコミ人が過剰反応する。この原因は小中学校理科でキチンとした核教育をしていないからである。しているとすれば、短絡的左翼反核教育だけ。マスコミの過剰反応は、当人の無知もさることながら、マスコミの本性である扇動競争が表に出ただけだろう。これは日本も海外も変わらないようである。  
3)放射能汚染の問題(3)
 情報発信の仕方がお粗末過ぎる。これは1)、2)にも関連するが、例えば枝野は保安院から出された数字を、そのまま記者会見で喋ってしまう。しかも、その数字が点のデータで、背景の広がりが見えない。しかも、これに対する説明が無いから、数字だけが一人歩きして混乱や不安を増幅する(世の中には、火のない処に煙りを立てたり、小火を大火事にしたがる人種がいる)。例えば、記者会見で「・・・・で、基準値を越えた放射線量が検出された」と発表すると、新聞・テレビはその数字をそのまま発信してしまう。ではどの程度の数字かというと、せいぜい数100ベクレル程度。この程度では、中国製毒入り粉ミルクや廃油入り食用油、韓国の口蹄疫まみれ牛肉の方が遙かに危険。ういう事をテレビで喋ってやればよい。中国や韓国はカンカンになって国際問題になるだろうが、外国ではこれが当たり前。政府の責任は自国の利益と自国民の安全を護ることである。世界で、これらの責任を放棄しているのは、日本政府だけだ。
 ある情報が出来るには、膨大な背景が存在する。その背景を説明し、更に将来の見通しを説明すれば、世の中の常識ある人は納得し、混乱を回避できる。枝野のようなやり方は、例えて云うと小学校か中学校の夏休みの宿題発表のようなものだ。高校・大学ではより突っ込んだ説明が求められる。何故そういうことをしないのか?何処かに情報の背景説明を止める力が働いているのか?おそらくそうでしょう。何処かと云えば、原子力安全委員会、原子力安全・保安院に決まっているでしょう。彼等は事態をどう収束させるかより、どう責任逃れが出来るかを優先し、その道筋が出来るまで、情報隠しに専念しているはず。 しかし、管や枝野がその気になれば、彼等霞ヶ関官僚の干渉を排除出来る。
4)根本は基本技術の不足
 1980年代、電力各社は、どこかのアメリカ帰りインチキ経営コンサルタントの口車に乗って、生産性向上運動(所謂TQC)というのをやった。特にこれを推進したのが、東京電力(当時の会長は、確か木川田とか云う長期政権者ではなかったか)。これが悲劇或いは喜劇の始まり。筆者はその当時、電力関係と若干関係があったものだから、TQCの内情を幾らか判ったつもりである。実態は殆ど中国文化大革命人民集会の電力版。TGCの下にQCサークルというのがあって、そこでメンバーが自己批判をさせられる。一般に中間管理職が槍玉に挙がる。QCサークルを取り仕切るのは、本社のTQC本部から派遣されている、サークルリーダーと称するエージェント。社員が喋ったことが、全て逐一本部に報告される。この結果が後の人事に反映される。その結果何が起こったかというと、社内の分断だ。筆者の聞くところによると、当時結構社員の自殺が多かったらしい(特に東電)。実態は資本主義の仮面を被った共産主義・文化大革命。その内、これが他の電力にも伝染してみんなやりだした。あのいい加減な関電でもやり出したのだから笑ってしまう。
 
それはともかく、筆者が感じたのは計測のお粗末である。何か事故が起こったとき、一番先にやらなくてはならないのは、現況の把握だが、放射能のような目に見えない現象を相手にするには、計測で対応するしか方法はない。処がこれが全然なっていない。まず、測定点が決定的に不足。当初発表された測定点は正門前とか、事務所前とか発電所内だけ。1週間ほどしてから、福島やら茨城やら遠隔地のデータがやっとNHKで報道されるようになったが、肝心の原発域周辺はさっぱりない。その測定頻度もどの程度か判らない。23日から文部科学省が周辺の測定を始めた。それを文科省HPで見てみたが、30q圏の外側をチョコチョコっと測っているだけで、あれでは計測になっていない。東電も経産省も文科省も、計測の基本が判っていないのではないか?今では、ゼネコンの方がもっとまともな計測をやるよ。計測が判らないと言うことは、自分達が目指すターゲットが見えていないと云うことである。ターゲットが見えていないと言うことは、今やっていることの意味が判っていないということで、これは単に儀式に過ぎないと云うことだ。こんなことは、まともな技術屋のやることではない。無意味な儀式に付き合わされる国民こそ大迷惑。これこそ、技術劣化の象徴。
(11/03/25〜27)

(恥を知れ!・・・・消防隊員を罵倒し、身内〔原子力保安院〕の敵前逃亡を許した海江田万里)

 東電福島第一原発には、原子力保安院から常時7名の職員が、交替で派遣されていたらしい。地震があった当日には2名の職員がいたが、その後放射能漏れの事故があって、保安院はこの2名を、さっさと引き上げてしまった。その後、東電や下請け業者の社員が大勢残っていたにも拘わらずである(本日毎日新聞)。筆者はこの記事を読んで、前大戦中での日本軍、就中海軍の体質を感じてしまった。旧海軍は極端エリート意識集団であって、戦勢が悪くなると、下士官兵をほったらかし、彼等を犠牲にして、士官を救出したのである。これが陸軍との大違い。陸軍の方が、兵・将校一体感が強かった。しかし、中央に直結するエリートは異なる。昭和19年米軍がフィリピンに迫ると、マニラの南方軍総司令部や、第4航空軍は前線部隊をほったらかして、さっさとサイゴンに逃亡した。しかし、陸軍中央は何も咎めなかった。それは、南方軍総司令官の寺内や参謀長の黒田、第4航空軍の富永らが、みんな東条の子分・腰巾着だったからである。軍統帥の退廃、ここに極まれりだ。今回の保安院の敵前逃亡も、これに似たようなものだ。東電福島の場合、保安院が職員を引き上げた結果、政府と現場との意志疎通が不確かになった、とされる。保安院の責任は重大である。そこに、保安院の民間に対する・・・旧海軍的・・・差別意識があったのではないか?という疑問が生じるのである。
 つまり保安院は業者や住民などどうでも良い、自分さえ良ければそれでよいという体質なのである。ワタクシは、こういう体質に”恥を知れ”と云いたい。”恥を知る”とはどういうことか、と言うと、詰まるところノーブレスオブレッジなのである。ノーブレスオブレッジとはなにか?自分を犠牲にしても、弱者・貧者・部下を護る意識のことである。そもそも、公務員が、様々な点で民間人より特典を与えられているのは何故か?というとノーブレスオブレッジのためなのである。それを自ら捨ててさっさと逃げ出すとは、要するに敵前逃亡。敵前逃亡は軍法会議なしで銃殺である。公務員の風上にもおけぬ恥知らず。逃げた奴も酷いが、それを指示した奴はもっと酷い。指示したのは西山とか云う審議官。こんな奴は即刻、銃殺である。聞くところによると、東電を所管する経産相の海江田は、現場で働く消防隊員に「職務を実行しなければ処分する」と脅したらしい(後に謝罪)。東条も又、前線で退却を進言する部隊長を次々と処罰した(ガダルカナルやインパール作戦の失敗を見よ)。その結果増えたのが玉砕である。石原シンタローや渡部昇一とか勝谷とか云うモノ知らずテーノー右翼は、玉砕を崇高な死と勘違いしているようだが、実態は東条の責任逃れで自殺させられたのである・・・この結果、、日本は世界最強と云われる優秀な兵士・下士官を失う事になった・・・。当に今福島原発で起こっている事態は、当に東条的恥知らず状況である。
 なお、今回の失態で、原子力保安院は解体・廃止の議論が出てくるだろう。筆者個人としては、あんな役立たずのノーナシ役所など、廃止が当然。職員はクビで、これまで払ってきた給料を全部返せ。いずれ、福島原発は廃炉されるだろう。このとき、海江田及び西山他保安院幹部をコンクリート詰めにし、死体を原子炉中央に安置し、その後、原子炉をコンクリート詰めにすればよい。本人達もさぞかし本望だろう。
(11/03/23)
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 地震と原発騒ぎで、首都圏では生活物資の品薄状況。実は、筆者の甥が地震の直前に東京(ダイエー)転勤。とんでもない事になってしまったろう。
 そこで、と言うわけでもないが、本日高槻駅前と近所の大型スーパーを見てみると、マスコミではやし立てる買いだめ・買い占めなど、何処の話しだといわんばかりの平常営業。確かに、一つのスーパーでは、即席麺とか水が品薄になっている感はあったが、客にも従業員にも焦った表情もなく、落ち着いて営業している。テレビで報道される買い占め騒動は、実はマスコミが作った虚像ではないのか?
 実はこの虚像、数10年前にもあった。それは第一次オイルショック時のトイレットペーパー騒動。何処かの評論家がこんな事をうっかり喋ってしまったばかりに、首都圏を中心にトイレ紙買い占め騒動に発展してしまった。しかし、関西圏ではこんな大騒動はなかったのである。関東人ほど、付和雷同に奔りやすい傾向がある。それはやたら行列を作りたがる性癖にも現れる。関西人は、たかがラーメン屋如きに行列は作らない。この差は何処からきたのでしょうか?
(11/03/22)


福島原発に関する外国情報を見ると、最も厳しい見方がアメリカ、次にEU。どれも実態を見ていない。何故か?円高を加速してドル・ユーロ安を解消しようとする動きか?アメリカもEUも、今後の日本の原子力事情を睨んでいるのだろう。所詮狐の目。

 今度は、福島から1100q離れている台湾が、微量のヨウ素を検出したと大騒ぎ。台湾にも原発はある。大方、そこから漏れた放射性物質。韓国にも原発はある。そこからの漏洩を、自分達の管理責任を誤魔化して、全部日本の責任にしてしまえば、政権は安泰。地震バンザイだ。
 実は今度の地震で、韓半島は北と南でねじれているらしいことが判った(GPS)。その場合、中間に必ず歪み帯があるはず。ここが将来の地震発生源になるだろう。

 国際原子力機構(IAEA)が日本政府発表は信用出来ないとばかり、事務局長を日本に送り、東京でパフォーマンス。チョコット来て、チョコット計って何が判るというのだ!国際的アホプレゼンス。時間と経費の無駄遣いだ。無論、この無駄遣いで儲けている奴も沢山いる。多分、経産省原子力保安院など焼け太りの典型だろう。
(11/03/21)


今回の東北地方太平洋地震。早速民主党政権批判が出ていますが、では自民党なら上手く出来たでしょうか?原子力のゲの字も知らない(少なくとも管はその程度の知識はあった)谷垣が総理を務る政権が、上手く事態をコントロール出来たとは思えない。今のところ福島はナントカ上手く行っているみたいだ。今の自民党にそういう判断ができますか?自民党の危機管理意識というより、知識を聞いてみたいものだ。
(11/03/21)

 今から10数年前、某コンサルの依頼で(要するに下請け)、近畿道紀勢線白浜ー周参見間実施設計区間のトンネル坑口、切り土部の調査をやったことがある。相棒は「今時こんな道路作って意味あるんですかあ?」というが、「この道路は今やっとかなきゃ駄目なんだ」と云って出発。理由は将来の第二南海地震で、その時既存の国道42号、JR紀勢本線は地震と津波で壊滅する。その時は紀勢高速道路が唯一の緊急救援・支援ルートになるからである。このとき、トンネル坑口が潰れては話しにならない。そこで、報告書の冒頭に、「・・・将来の第二南海地震対策として、本道路の早期整備が必要である」とやって、報告書には道路設計とはあまり関係のない、南海地震データを付け加えたりした。
 さてその後、橋本行財政改革やらコイズミ改革などで、道路予算は削られる一方。道路公団も民営化されたから、紀勢線のようなローカル金食い道路は、財政再建派の槍玉に挙がって当然。まあほったらかしでしょう。処が、それから10年位経ったある時、新聞を見ていると、和歌山県知事が国交省に対し、「第二南海地震対策として、本道路の早期整備が必要である」と陳情したという記事が載っていた。何となくアイデアをパクラれた感じはしたがね。しかし、ワタクシの報告書は元請けコンサルの報告書となり、それは道路公団の報告書の一部(地震対策は公団にとっても都合の良いはなしだから、飛びつくだろう)となり、和歌山県知事もそれを見ることになる。紀勢高速道路の整備が、その後どの程度進捗しているかは知らないが、後悔先に立たずという言葉は生きている。
(11/03/20)

 それにしても不思議なのは、福島第一原発の10q、20q、30q圏内の放射能強度分布が、一向に公表されていないこと。やっと昨日NHKが周辺地域のそれを報道したが、それも中通り地方とか北関東のような遠隔地のデータのみ。確か原発施設の外側10q以内には、法定でモニタリングポストの設置が義務付けられている筈。避難区域が拡張されたが、それに対しても東電や原子力保安院が計測しているはずなのだ。実際は高放射能域は、原発施設を含む狭い地域に集中し、少し離れば大した値に達していない。そういうことを把握しないまま、枝野が特殊なデータを記者会見でしゃべるものだから、国内的には30q圏内が、国際的には日本全体が汚染地帯と錯覚されてしまう。退避・避難区域内のデータを公表しないものだから、国内だけでなく国際的にも疑心暗鬼を生み、不必要な日本売り・円高が進むのである。
 ではどうすれば良いか?
 1)全国原発サイト半径50q圏内のモニタリングポストを増設する。費用は電力会社持ち。
 2)モニタリングポストデータを衛星回線を通じて情報センターに送る。ケータイでも良いが、中継局が破損しているおそれがある。
 3)放射能強度分布図を作成し、逐次メデイアに公表する。こんなものあっという間に出来る。
 実はこんな事は今でも十分出来ている。技術的には何にも難しいことはない。何故公表されないのか?誰かが公表の足をひっぱっているのか?あり得るなあー。それが問題なのだ。
(11/03/19)

 今日、本屋である本(PANZERというオタク雑誌)を立ち読みしていると、日本の海上自衛隊もホバークラフトを所有していることが載っていました。何故政府も自衛隊もこれを使わなかったのでしょうか?その存在を知らなかったのでしょうか?政府・与党が知らなくても、野党特に防衛族議員には知っている人もいたはず。こんなのもあるぞ、と言えばなんとかなったかのではないか?お互い仕事をサボりまくりだな。
 やっと消防車が到着。上からの注水が必要だとすれば、シュノーケル車の出動になるのは誰が考えても当たり前。何故こんな簡単なことにモタモタするのが不思議。道路事情が悪ければ、国交省の尻を叩いて治させればよい。放射線の影響が怖くて自治体が対応出来ないのなら、強度が高くなる前から始めておれば良かったのだ。それと、ロボット放水車と言うのがあったのではなかったか?もし無ければ、今後ロボット放水車の開発を進めれば良い。大して難しくはない。
 日本にはこういう事態に対応出来る様々なテクノロジーがあるのだが、いざというときそれが有効利用出来ない。その理由として挙げられるのは
@指揮系統が垂直方向に偏り、官庁・業界の横の繋がりに乏しい、或いは役所の縄張り意識が働くのか、民間業界の横の繋がりを生かしきれない。今回は特にその感が強い。
A指揮系統の上位にある政治家・官僚に文系が多いため、テクノロジーに対する知識・理解が乏しい。
てなところか。
(11/03/18)
 
 
では今問題の福島原発は何処製でしょうか?これがなかなか難しい。東電の場合、原発は概ねGE製。但しGEが全部を製造するわけではなく、炉体や周辺機器は概ね国産で日立ー東芝グループ、土木は鹿島で、建築は竹中工務店てなところではないでしょうか?そこで面白い情報がありました。今から40年ほど前に、アメリカ(GE)側から福島原発の使用を中止するよう要請があったことです・・・これはワタクシもうっすらとそんな話しがあったような記憶がある。理由は、出力に対し圧力容器の容積が足りないというものです。要するに欠陥商品だったということだ。では、その時の東電や日本政府の対応はどんなものだったか?ワタクシは知りませんが、想像するに、性能の不足は運用でカバーする、というものではなかったでしょうか?もしそうなら、これはかつての零戦開発経緯とそっくりです。
 零戦開発時での三菱重工堀越技師の意見は、海軍が要求する高速・長航続力・重武装に対し防御が不足するというものだった。これに対し海軍は、防御の不足は搭乗員の技量でカバーする、と回答した。日米パイロットの技量差が大きかった大戦初期ではこの理論も通用した。しかし、ミッドウエーでベテランパイロットを大量に失った後は、技量より性能、性能より物量がものをいうことになった。何となく、今の東電はかつての日本海軍を後追いしてきた感がある。特に1980年代に電力業界を席巻した、合理化運動(所謂TQC)騒ぎが、今の電力業界の質的劣化をもたらした疑いは消えない。
 なお、原発がGE製だったとして、それで東電の責任が消えるわけではありません。何故なら、GEは供用後クレームを付けている。クレームを付けるかどうか、それを受け入れるかどうかで責任の所在が変化する。おそらく東電はGEのクレームを拒否したのだろう。この場合、発生したリスクの責任は全て事業者側に移転する。これが国際ルールである。この件で、東電の経営者責任は免れないでしょう。それとも今の菅内閣などどうにでもなるから、このまま逃げ切ろうというのか?

 福島第一原発の注水が難航している。本日ではどうなっているか判らないが、1〜2日前では、2号機の注水が遅れているのは注水に消防車を使っているからだ、という見方があった。要するに格納容器内の内圧に消防車の注水圧が追いつかないからだ、というもの。これが本当かどうかは判らないが、テレビを見ている限り、消防車ではいささか頼りないという感は否めない。
 消防車が駄目なら土木工事用のポンプを使う手がある。特にグラウト用ピストンポンプは高圧が出せる。問題は必要吐出量である。おそらく毎分トンオーダーが必要だろう。どのようなポンプがあるかを、鉱研工業のカタログで当たってみました。吐出圧1MPa以上、吐出量1000l/min以上のポンプは次のようなものがあります。
            
タイプ    吐出圧(MPa) 吐出量(l/min)
MG-300B 7 1440
MG-75A 1.9 1470
MG-50B 1.8 1090
 2号機格納容器内で上がった圧力は0.4MPaだから、圧力は十分余裕がある。問題は吐出量だけだが、これが必要量をクリアー出来れば、問題はない。なお、この手の大容量ポンプを持っている会社はそう多くはない。しかし、メーカーに云えばリースだってある。
 それと東電という会社が、このようなポンプに知識が無かったとは思えないのである。この種のポンプは主にダムのグラウトに使う。東電自身、高瀬や蛇尾川などの水力ダムを持っている。だから東電や東電設計のスタッフも、このようなポンプが世の中にあることは知っていたはずだ。何故このような情報が伝わらないか?それは東電(だけでは無いが)という会社の体質によるものでしょう。そもそも、電力会社の発電部門には、水力・火力・原子力といった縦割り村社会があって、それぞれの間に見えない壁があるのが普通。特に原子力村の壁は高く強固。先に挙げたピストンポンプは水力村の縄張りだから、その情報が原子力に伝わらないのは、当たり前と云えば当たり前。
 何故原子力村の壁が他に比べ高いかというと、背後にある経産省があれこれと厳しい規制をかけ、場合によっては人事まで影響を及ぼすからである。その経産省の過干渉も、元を辿れば、日米原子力協定と日米安保条約まで遡ることが出来る。おそらく、アメリカが原子力技術を日本に供与するに当たって、情報管理に厳しい条件を付けたためと思われる。しかし、余所からの厳しい注文は、国内官僚にとって強い味方、無限の権力を与えてくれたようなもの。有り難くて仕方がないだろう。
(11/03/16)

それにしても不思議なのは、福島原発事件で、総理大臣までテレビに出ているのに、肝心の東電の経営責任者(社長・会長)が、一向に表に出てこないのが面妖。これが日本株価下落の原因の一つになっているのではないか?
 トヨタの場合でも社長がなかなか出てこないから、トヨタだけでなく、日本株価もさげたのだ。経団連も電力事業会も、もう少し国家的見地にたてないか?無理だろうなあ!あんな脳軟化症ボケ老人と、業界官僚の集まりに、なにか出来る筈がない。
(11/03/16)


 東電福島原発が大問題となっていますが、不思議なことは問題が第一原発1〜4号機に集中していること。第一原発には他に少し離れて、5〜6号機があり、更に第二原発もある。また、同じ東北地方太平洋岸には東北電力の女川原発や東通原発もある。これらが遭遇した地震動や津波被害は、福島第一原発1〜4号機と変わらない、どころか女川の方がより厳しい状況があったと推定される。処が、これらの原発については、なんら異常事態が報告されていない。ということは第一原発1〜4号機に共通する、何かがあったからに違いないと想像するのが普通。それは何かは今のところ判らないが、例えば通電系とか非常時冷却系とか、バックアップ系列を共通化していたとか。この場合、系列の主要部分が地震でダメージを受ければ、全系列がダウンしてしまう。所謂システム工学の盲点。グローバル経済がもたらした、「選択と集中」理論の弊害が最極点に達した例。今こそ日本は「分散と機動」**方針に切り替えるべきである。
(11/03/15)

(原発建家は爆発した方が良い?)
中越沖地震の後、東電のHPで柏崎刈谷原発での地震動を眺めていたが、原子炉建家でも結構大きな揺れが発生していた。原子力安全委員会の指針では、「建家は岩盤に達する直接基礎で、構造は剛構造とする」、となっている。北陸層群の能美層が岩盤と言えるかどうか疑問だが(今やあの地層は第四紀層になってしまった)、それは別として、建家内に設置された地震計の記録からでは、建家の揺れ型がどうも剛構造に見えない。何となくゆらゆらしているのである。その証拠が廃液貯留槽のスロッシングやクレーン・照明灯の落下。こんなの剛構造と云えるのか?と思っていたら、今回の福島原発の建家爆発事故で、長年の疑問が氷塊しました。何故、判らなかったかと言うと、東電が公開している資料が、建築一般図のみで、構造図とか、土質断面図とか、構造物の安全性を客観的に検討出来る材料が一切無かったからです。
 福島原発の外壁が吹っ飛んだら、中から現れたのは只の鉄骨。要するに、この原発建家は普通のアパートと同じ鉄骨造だったのです。つまり、外壁は単なる張りぼてで、おそらく鉄骨にボルトで留めているだけでしょう。剛構造なら、コンクリートを鉄骨(構造体)と一体にしなければならない。何と安普請と、当初は思ったのですが、怪我の功名で、意外にこれの方が良かったかもしれない。つまり、この場合は水素の爆発エネルギーの大部分は、建家壁体の破壊に消費されるので、原子炉周辺容器への影響が少なくなる。逆に建家を一体型のPCシェル(関電タイプ)にすると、建家強度は東電流鉄骨函形に比べ遙かに大きい。だから簡単には爆発しない。しかし、今回のような事故が起これば、逆に内部ガス圧が上がり過ぎて、圧力容器に損傷を与えるリスクが大きくなる。だから、適当なところで爆発した方が、返って安全なのかもしれない。どちらがどうか今のところ何とも云えませんが。
 なお、マスコミは外壁が吹っ飛んだだけで、原子炉そのものが危ないのではないか、といった報道を流すが、映像や写真を見るとおり、鉄骨そのものはキチンと立っている。もし格納容器まで破壊するような爆発なら、鉄骨そのものが熱と衝撃波でグニャグニャになっている。と言うことは、原子炉本体は今のところ、安定だと言うことだ。と言うことは、日本製の炉体や格納容器が、如何に頑丈に出来ているかの証拠でもある。また、今回の事故をTMIやチェルノブイリと比定する向きもあるが、これはとんでもない考え違い。TMIやチェルノブイリは操作ミスという人的要因。今回の事故原因はM9.0という巨大地震。比較する方がおかしい。
(11/03/14)


 今から20年ほど前。サラリーマンを辞めて仕事が無いものだから、家でぶらぶらテレビを見ていると、NHK教育テレビで、「津波シンポジウム」と言うのをやっていた。場所は確か陸前高田の公民館か何かだったと思う。終わりにパネラーの一言となって、確か科技庁の誰かだと思うのだが、「津波がくればとにかく高い処へ逃げて下さい」と述べる。これは当たり前で正論なのだが、パネルで示された空中写真を見ると、陸前高田など、リアス式海岸の典型で、狭い谷底平野に人家が密集し、廻りは山ばかり。一体、高い処の避難場所は何処か、そこへ行くまでのルートも判らない。これでは逃げたくても逃げられない。やりたくても出来ないのである。これが日本(だけではないと思うが)官僚主義の典型。必要条件は声高に叫ぶが、十分条件が出来ていない。無論、十分条件を満たす為には、それだけの財政措置が必要なのであるが、そのための具体的イメージを作ることも重要なのである。当然・・・誰でも考える事だが・・・山の高い処を切り開いてそこを避難所とし、そこへ行くまでのルート(道路)を確保することが重要である。処が、(このシンポジウムでだったかどうかは忘れた)が「避難には車を使わず歩いて下さい、理由は車を使うと道路が渋滞して避難が遅れるからです」なんて事を言うのが出てきて(何処かの大学か科技庁の誰かで、地域の実態を知らない観念論者)、それが大方のコンセンサスになってしまった。道路が無ければ作ればよい*、平場が無ければ作れば良いのである。その結果、津波危険地域の避難インフラ整備が大幅に遅れ、どころか実態に合わないものになってしまった。それを象徴したのが今回の三陸・東北地震津波である。
 では皆さん津波対策はやっていなかったのでしょうか?やっていたのですが皆ピント外れだったのです。例えば、三重県鳥羽市ではナントカ防災センターと言うモノを作り、そこを緊急避難場所とした。古くは岩手県田老では高さ10mの防潮堤を作り、これで防げると思っていた。さて上で挙げた山を切り開いて避難所をつくり、そこまでの避難経路を確保する、というのは土木の中でも道路や開発屋の発想、逆に防潮堤は土木でも港湾屋の縄張り、ナントカセンターは建築屋の発想。そこで業界同士の縄張り争いが始まる。折からのバブル崩壊と環境パワーの拡大で、山地を切り開く開発構想は悪の権化となり、筆者の構想などまるで出る幕もなくなった。何故、そうなったかというと、みんな津波というものを具体的に理解していなかったからです。巨大津波の実態がリアルタイムで映像に捉えられたのは、数年前のスマトラ地震津波が最初でしょう。そこではっきりしたのは、津波は波ではなく、水の塊だということ。そして少々の障害物があったところで、楽々と乗り越えて行く、はい上がっていくことです。今回の三陸津波でも、4F建ての建物の4Fまで津波が押し寄せたという報道がある。4Fと言えば大体高さ10mになる。そこで波高が10mというガセネタが始まる。これが、10mより高い防潮堤を作ればよい、10mより高いビルに逃げれば良い、という迷信を作る。処が実際の波高は3〜4m程度。これは水が建物外壁をはい上がっているのである。実際、田老の防潮堤を津波は乗り越えている。波高が1〜2m位の、所謂「津波」ならこれでも良いかもしれないが、今回のような「大津波」には、従来の港湾屋や建築屋の発想は全く役に立たないことが判ったのである。今後、西日本で直面するのは、南海・東南海地震に伴う「大津波」である。これに対する抜本的対策と、現実に即した思想の構築が必要である。

*前大戦で南方の日本軍が最も苦しんだのは補給の不足であった。では補給は本当に不足だったのか?実態は逆で、後方の補給基地には、内地から送られてきた物資がうなるほどあった(酒も肴も十分あった。それで、司令官や参謀達は、毎日宴会を開いていたのだ)。ところがそれを前線に送る手段を構築しなかったのである。シナや南方は道路がないから、物資は人力で運ぶ、と言うのが、当時の大日本テーコク陸軍中央のテーノー参謀の方針だったのだ。処が、アメリカは全く逆で、道路が無ければ作れば良い、というわけでブルドーザーでジャングルを切り開いて道路を造り、トラックで大量に物資を運び込んでくる。こっちは、人力運搬によるなけなしの食糧で、毎日を食いつないでいるのに、敵はビフテキだ。これでは戦争に勝てるわけがない。今の日本の防災対策や被災者救援など、これと殆ど変わりはない。
(11/03/14)
 
 今回の東北太平洋沖地震を、あれは他人事と思ったら大間違い。関西人にはしばしばそういうアホがおる。この地震で、来るべき南海・東南海地震の発生が早まる恐れがある。最悪数年後以内。このとき、西日本で、今回の東北地方での状況が、そっくり再現される可能性があるのだ。それに対する備えは出来ておるか?関西政治家(と称する俗物)の見解を問いたい(かつての阪神大震災の時、大阪は「あれは神戸の事や」と知らん顔を決め込んだのである)。
 なお、ワタクシの高槻市高西町自治会では、ワタクシが自治会長になってから、非常時対応の特別会計を貯めておるが、今の自治会役員がその意味を理解しているかどうか。


 昔(昭和56年か7年か) 「仙台ー石巻道路」というプロジェクトがあって(今では名前を変えて出来ていると思うが)、内陸案と海岸案の二つがあった。そこで設計屋に意見を求められたが、内陸案は軟弱地盤が多いから工事が難航するだろう、海岸案は仙台湾の砂州を通って行くからまだマシだろうと思って、海岸沿いに擁壁+盛土を構築し、道路を津波防止提(1978宮城県沖地震が念頭にあった)にするのはどうじゃと言ったら、設計屋は「そんな発想はないなあ」、「空自松島基地に抵触するから」と言って、敢えなくボツ。仕方がないから内陸案でルートを検討した。仙北平野は、全体として一つの大きな溺れ谷である。一見一様な低平地に見えるが、その中に小さな微高地がある(5万分の一地形図で、十分判読出来る、カンタン)。そういう処に集落が発達する。この微高地は主に第三紀の岩盤と段丘が、軟弱な沖積層の中にモナドトック(残丘)状に突出している。そういう処は地盤が良い。そこで、そういう残丘を連ねるようにルートを計画したが、果たしてその通りになったでしょうか?多分なってないでしょうねえ。地権者やら、地元有力者やらがあれこれ云って、計画はグジャグジャ。結局は、何が何か判らない道路になってしまうのです。
 ワタクシが云ったとおり、海岸沿いに防潮道路を造っておけば、もう少しマシだったかもしれない、少なくとも松島基地は。
(11/03/13)

 太平洋沖地震に継いで、新潟北部や秋田沖でも地震発生。場所から云うと、いずれも太平洋ー北米ーユーラシアプレートの縫合部。いよいよ、日本沈没ならぬ、列島分裂の始まりか?

 福島原発がかなりヤバイ状況。元々、この原発はヤバイとは思っていた。そもそもこの付近は原発を作る場所ではない。直ぐ後ろには「双葉断層」という活断層があり、前の福島沖ではしょっちゅう地震が起こる。今回の地震は想定外としても、原発立地に適したところではない。双葉断層の山側ならまだマシだったかもしれない。それにしても13台のデイーゼルエンジンが皆動かなくなるなんて、前代未聞というべきか、お粗末と言うべきか。


 津波に襲われると、被災地は瓦礫に覆われたり、おまけに冠水で救助が難航する。これを一気に解決するいい方法はないものか?と考えていると、ありました。それはホバークラフトです。これなら水上でも陸上でも行動出来る。少々の障害物なら乗り越えられる。おまけに積載能力や安全性はヘリコプターの比ではない。残念ながら日本の自衛隊には、本格的ホバークラフト部隊がない。しかし、護衛艦「ひゅうが」には確かホバークラフト積載能力があったはず。これを有効利用しない手はない。
(11/03/12)


 本日、午後から外出して2時半頃帰って椅子に座っていると、何故かゆらゆらするので、具合が悪いのか、もうトシか、と思って周りを見ると、カーテンは揺れているし、何か音を立てている。これは地震だわい、と思って隣室のカミサンに聞くと、そんな気はしない、そういわれれば先ほど目眩がしたような気がすると呑気な返事。間違いなく地震。しかし周期が長かった(体感で2秒くらいか)ので、震源はかなり遠い、ひょっとすると大きい地震かもしれぬと思っていると、これが03/11宮城県沖地震。大阪でも感じられたのです。
 高槻では震度0か1程度だが、大阪の埋め立て地では、結構大きな揺れが感じられたらしい。咲島のWTCビルではエレベーターが止まってしまった。この程度の揺れで止まるようでは話しにならない。来るべき南海・東南海地震で、大阪で発生する揺れは、今回とは比べものにならない。大阪府庁移転問題が白紙に戻る可能性が出てきた。

 しかし栗原町の震度7というのは、周辺の震度分布や実際の被害状況と照らし合わすと、やや眉唾。過大値の可能性がある。
(11/03/11)


**愚かな「選択と集中」
 トヨタが北米事業拡大を進めたのが、02年頃。丁度竹中ーコイズミ改革路線に沿ってのことだ。当時のトヨタは、会長が奥田碩、社長が張不二夫。その頃からビジネス界に流行りだした言葉が「選択と集中」。その内、どの会社も意味も判らずに、みんな「選択と集中」々とやりだした。この言葉の意味するところは、持っている経営資源(人的資源、財的資源)を、最も効果的なフィールドに集中する事によって、コストとリスクの分散を防ぎ、最大効果を挙げようとするものだろう。この言葉通りに事が進めば問題はないが、他の会社も同じフィールドに資源を集中してくれば、当然過当競争が発生する。競争に勝とうとすれば、価格を下げるため、更なる資源と資本の投下が必要になるから、少しもコストダウンにはならない。その内値崩れを起こして共倒れだ。即ち、これは早い者勝ちの論理で、後追いしても意味はない、ことを意味する。
 二昔ほど前にキーパーソンという言葉が流行った。役所や企業の中に、誰からも一目置かれ、あらゆる情報が集中する人物がいる。そういう人間がキーパーソンである。何かを交渉しようと思えば、まず彼をターゲットにしなければならない。というわけで、アホな会社はキーパーソンとやらに入れあげた。これも一つの「選択と集中」である。しかし、これは非常にヤバイ橋である。そういう人物には必ずライバルがいる。まず第一にキーパーソンが何時までもいるとは限らない。役人とかサラリーマンには転勤がある。政治家には選挙がある。特にマスコミから注目されるような大物役人・政治家(これぐらいでないと、キーパーソンとは云えない)には、警察の監視が付いていると思った方がよい。何かの拍子に、彼が今のポストを去り、そこにライバルが座れば、後は目も当てられないことになる。当時日本のキーパーソンと言われたのが、竹下登や野中広務である。彼等のその後を見れば、下手な「選択と集中」はやらない方がマシだということが判る。
 そもそも、この言葉は軍事用語である。近世以後での、「選択と集中」の天才はナポレオンだった。彼はこの戦術により、短期間で全ヨーロッパを征服した。ナポレオンに対抗するため、クラウゼヴィッツらプロイセン軍参謀が採った戦法が「分散と機動」である。1813年、ドレスデンの戦い。ナポレオン率いるフランス軍は要衝ドレスデンに陣取り、三方から迫る欧州同盟軍に、睨みを利かせる陣形をとった。戦線をコンパクトにまとめ、敵の動きに応じて縦横に対応出来る陣形である。このため、戦線は一時降着状態に陥った。この時、同盟軍はスウェーデン皇太子ベルナドットの進言により、一方から攻めて、ナポレオンが出てくれば退き、他方面から出撃する。その方面にナポレオンが出撃してくれば、やはり退いて多方面から仕掛ける。これを繰り返すことによって、ナポレオンとフランス軍を奔命に疲れさせ、その時を狙って一気に反撃に出る、という作戦を採った。作戦は功を奏して、ナポレオンは遂にフランスに退却した。これが「分散と機動」である。しかし、ナポレオンの成功は深くヨーロッパ軍人の感性に染みつき、その後も「選択と集中」は永く戦法の基本として受け継がれたのである。これを否定したのが20世紀半ば、毛沢東の人民戦争理論である。これは、人民の海の中に戦線を作り、人民の海に乗って敵を包囲殲滅するというものである。人民は常に流動的だから、戦線も一定しない。一定しない戦線に沿って動くのが機動である。これによって敵勢力を分散させ、敵に弱点を作ってそこに集中攻撃を加えるというものである。これは1946年からの国共内戦、更に後のベトナム戦争で実践された。現在のイラク、アフガン戦争も見かけで言えば、毛沢東人民戦争の延長、即ち「分散と機動」戦法と、欧米流「選択と集中」戦法の戦いと云えなくもない。
 さて「選択と集中」戦法は、未だにナポレオンの名声が衰えないことが示すように、華やかな勝利をもたらす。しかし、失敗による破綻も又大きいのである。逆に「分散と機動」戦法は、そもそも負ける戦はやらない、敵が強いと逃げる、小さい勝利を積み重ね、最期にドカンとやる戦法だから華やかさがない。但し、大勝はないが、負けない戦法である。ナポレオンは誰でも知っているが、ドレスデンで彼を破った将軍達の名前を知っているのは希有である。と言うわけで常にマイナーな存在だった。
 筆者が「選択と集中」よりは「分散と機動」が有利と考えたのは、昭和50年始め、丁度仙台支店に転勤し、地方から中央を眺めていた時期。地方業者も力を付けてきているので、大手だからといって油断は出来ない。むしろ中央大手こそ地方に力を入れなければならないと考えた。更にベトナム戦争が終わり、一つの区切りを迎えた時期にも重なる。その頃の経済状勢は、第二次オイルショックによる深刻な不況が到来していた。これを日本は「分散と機動」型経済で乗り切ったのである。それから25年後、日本経済はかつての「分散と機動」という知恵を忘れ、「選択と集中」という愚かな導きに我を忘れてしまった。その結果が今回のトヨタリコールである。
 最近に於ける「選択と集中」の最大の失敗例は、神戸である。神戸という街は、六甲山と大阪湾の間の狭い土地に、あらゆる資本と資源、人口を集中して出来た街である。平成7年、この街を突然地震(大した地震ではない)が襲い、その後数ヶ月に渡って殆ど都市機能が麻痺してしまった。これを回復するための投資により、神戸市の財政は殆ど破綻寸前である。都市機能を分散しておけば、神戸市の負債はもっと少なくて済んだ筈である。但し、神戸空港は地震とは全く別で、如何に神戸の人間がアホかという象徴。
 「選択と集中」には別の一面もある。これまで述べてきた例は、固定された閉鎖環境で、自分がアグレッシブに出来るフィールドの話しである。一方、昨今のグローバリズム環境下では、別の「選択と集中」が現れた。それはアウトソーシングと称する下請け生産の「選択と集中」である。昔は各元売り企業毎に下請け企業が異なり、仕様毎に下請けもバラバラにに存在していた。これでは少量発注になるから下請け単価も高くなるし、納期や品質もバラバラになる。そこで特定分野は特定企業に集約した方が、コストダウンになると言う発想が出てくる。実際、下請け企業も大量発注であれば、単価を下げても利益は確保出来る。そこでみんなこれに飛びついたのだろう。更にこれはグローバリズムの名の下に、世界的規模で拡大した。しかし、ここにとんでもない落とし穴がひそんでいた。三年前の新潟中越沖地震で、富山にあったスピンドル工場が被害を受け、操業が停止してしまった。この工場はトヨタを始め、日本の主要自動車メーカーのエンジン部品を、殆ど一手に生産していたのである。このお陰で日本国内自動車生産は、数ヶ月に渉ってストップしたのである。
 そして、今回のトヨタリコール騒動である。問題はアクセルペダルの不具合であるが、これの生産をトヨタはアメリカのCTSという会社に一括発注していた。対象が北米向け限定ならまだしも、その後ロシア・中国・ヨーロッパでの生産車にも使用していたことが判って、空前のリコールに発展したのである。上で挙げたスピンドルの例と合わせると、うっかりした「選択と集中」はとんでもないマイナスの拡大再生産を産むというお話。現実の生産や流通現場を知らない、愚かな経済学者や経営コンサルタント(こういう連中は本質的に愚かなのである)の言うことを真に受けると、とんでもない被害に逢うという教訓でもある。
(10/02/01)


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