環境、エネルギー・原子力問題の嘘・ホント

横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫


当社は再生紙を一切使っておりません。何故ならあんなものは、一部の政治家・官僚・環境オタク(いわゆる環境マフィア)による馬鹿馬鹿しいパフォーマンスだからです。再生紙なんか、何の意味があるのか?そもそも世界の森林資源の中で、日本の製紙産業が使用する割合はいくらでしょうか?ほんの数%です。日本人が使用する紙の全てを再生紙に切り替えたところで、地球環境保護への寄与率は取るに足りないものです。それよりもっと問題は中国・インド等途上国の経済発展、バイオエタノールというペテンによる森林資源消費なのです。紙は文化です。しかしガソリンは消費に過ぎない。ガソリンに回す木があれば、それを紙に回した方がずっと人類文化の役に立つ。現在の再生紙混入率を政府方針通りにすれば、日本の製紙産業は全て中国にい取られ、滅びるでしょう。一刻も早く法律(グリーン購入法)を改正か廃止して日本の紙を守るべきです。食品衛生法やJAS法と同じで、守れもしない基準を安直につくるからこういうことになるのです。以下は環境問題の本音の部分です。


 今年は世界中で異常気象が発生している。フランス西海岸やイギリス北部海岸では、季節外れのハリケーンに伴う高波や洪水が派生。南米ではイグアスの滝では異常な水量が発生しているのに対し、アマゾンでは少雨で記録的な旱魃が発生している。わが国でも、今年は東北裏日本では大雨だったが、西日本では降雨が少なく、ダムが干上がったケースも発生している。
 ある専門家によると、「今年はエルニーニョが発生したと考えられる。世界中の異常気象はその所為だろう」、と。エルニーニョ発生原因として挙げられるのが、偏西風の蛇行。ヨーロッパは偏西風が北上して北海寒気団うを押し上げ、地中海やメキシコ湾流などの暖気が北上し、これがハリケーンなどの異常気象を作る。
 エルニーニョの年はアメリカでは、西海岸が暖冬乾燥気候で山火事が発生しやすい。逆に中西部から東海岸は厳冬で豪雪。これが春先に解けると、広域的な大洪水を起こす。では東欧やウクライナ、ロシアではどうか?ヨーロッパの影響を請け、この地域は比較的暖冬。原油・天然ガス需要は低下する。つまり政府がパニックを起こさない限り、原油・ガス価格は低く抑えられる。
 一方シベリアや中央アジアでは偏西風が南下するので、シベリア寒気団が広がり、厳しい冬になるだろう。果たしてこれがロシアにとって吉と出るか凶とでるか注目。
(23/11/05)

 山口県上関町が中電・関電共同の中間貯蔵施設受け入れを表明すると、今度は長崎県対馬町が最終処分場のための調査に同意する。一気に国民の中に核廃棄物処分への関心が高まったかというとそうではない。どっちも共通しているのは、財政不足と人口減。町の将来が見通せないからだ。
 中間貯蔵施設も最終処分場も、調査対象に選ばれると、最初の文献調査で20億、次の精密調査で70億の交付金が、地元自治体にNUMOを通じて支払われる。更に施設が稼働すると、処理量に応じて交付金が支払われるが、精密調査後に施設建設を断ることもできる。つまり事前調査に応じたからといって、別に施設建設が義務付けられるわけではない。これを盾にとって、北海道の町や対馬町の町長は、精密調査までやって、後は断ると広言している。体の良い交付金詐欺のようなものだ。この間支払われる交付金の原資は、皆さんの払う電力料金なのだ。
 昔から常々思っていたが、文献調査如きになんで20億もの交付金を出さねばならないのか?文献調査はオシント情報・・・既に公開されている論文、報告書。空中写真や衛星情報。これらは今はみんなインターネット空間にあるから、誰でも入手できる・・・によるから、地元の協力は不要だ。結局はこの事業、経産省や電力会社OBの高給と退職金を支払うための隠れ蓑だろう。
 仮に調査交付金90億を頂いたとして、たちまち都会から怪しいイベント会社や投資会社がやってきて、ここへこういう投資をすればもっと資産を増やせますよ、とかなんとかいってくる。その口車に乗って、気が付いた時には貰った交付金はどこかへ消えてしまった、てなことになりかねない。もし本気で誘致に乗り出すなら、交付金を如何に有効に使うかを、予め十分計画しておかな刈ればならない。これがかつてのバブル倒産の教訓だ。
(23/08/21)

 今のウクライナーロシア問題をややこしくさせている原因の一つに資源・エネルギー問題、特に天然ガス供給問題がある。中でも対ロシア依存度の高いドイツでは深刻で、この点がドイツがウクライナ支援を躊躇させた原因である。ロシアはこの弱点を利用して、様々な揺さぶりをかけている。何故こんなことになったかというと、従来ドイツ・・・だけではなく西ヨーロパ全体に云える・・・が資源・エネルギー問題に鈍感で、有効な手を打ってこなかったからである。ところが最近、オーストリアで、大規模な天然ガス田が見つかったという報道があった。オーストリアはアルプス山脈に連なる内陸国。そんなところで天然ガスなどと不思議だが、実はこの近くに古い炭鉱があるのだ。つまり炭田地帯である。
 従来天然ガスは石油と起源を一にするオイルガスが中心だった。しかし20世紀に入って、急速に開発が進んだのが、泥岩中に含まれる有機物を起源とするシェールガスである。それぞれは産出地に特徴がある。例えば先進国であるアメリカでは、オイルガスは主にテキサス等のメキシコ湾岸に多く、石油との相性が良い。逆にシェールガスは、アパラチアやペンシルバニア等の中西部に多い。この地域はむかしから炭鉱が栄えてきた。
 この伝で行くと、イギリス、ヨーロッパでも、イギリスはウエールズ、スペイン北部、フランス北部、ドイツ、ポーランドなどは古くからの産炭地。従ってシェールガスの可能性は十分ある。つまり、自分自身でロシアに対抗できるだけのガス資源をもっているのだ。それを無視して、これまで他国にばかり依存するキリギリスをやってきたツケが廻ってきたに過ぎない。これからは自分の足元をみつめなおして、悔い改めることだ。今世界で最もシェールガス開発に熱心なのは中国。現在タクラマカン砂漠中のタリム盆地で10000m級のガス調査井を掘削している。ドイツもフランスもこれを見習うべきだ。
(23/08/03)

 現在「地下水素」或いは「地中水素」なる言葉がネットで飛び交っている。ネット世界では、世界中の地質学者が関心をよせているとか、ビル・ゲイツも投資を考えている、といった記事が見られる。筆者は現在の地質学の世界で、「地下水素」なるものが話題になったという話は効いたことがない。ずばりこれは偽科学或いはペテン・詐欺の類と考える。
 水素はビッグバンで最初に作られた物質である。だから宇宙のどこにでもある。只単独では存在できないので、大概イオン化するか、他の物質と結合して水素化合物を作る。代表的なものは酸素と結合した水酸化化合物である。単独の水素は水の電気分解とか、天然ガスから得られるが、沸点が低いので-260゜Cという極低温で冷やさなければならない。
 「地下水素」に関する記事を見てみると、水素を含む何らかの物質と水が接すると、何らかの化学反応を起こして「水素」が出来るらしい。その過程は不明だ。この水素を含む岩石は世界中に分布しており、その量はなんと1兆トンにも及ぶらしい。地下物質のなかでは、有機物は全て水素を含む。金属物質としては硫黄と結合した硫化水素や硫化鉄などがあげられるが、別に珍しいものではない。
 これまでも国際環境が緊張して、資源問題が出てくると、この種の新手の資源詐欺がよく現れる。20年ほど前、北朝鮮は実は資源大国だという話に乗って、北朝鮮で天然ガス層が見つかったという報道があった。それを某テレビ局が取材した。画面を見ていると若者が数人、PCの画面に映る赤い線を天然ガス層だという。見ただけでインチキだとわかる。おそらくベンチャーと称して、ガセネタを流し、株を売って資金を集めドロンというのが通り相場。
 それでなくてもこの世界、石油企業がどこそこで油田が見つかったなどというニュースを市場に流す、実はそれは株価を釣り上げるためのフェイクニュースというのは当たり前。「地下水素」もその手の詐欺の可能性があるから、気を付けたほうが良い。特にビル・ゲイツの名前を出してくることこそ、フェイク詐欺の可能性大。
(23/07/24)

 ノヴォカホフカダム下流域は今回の決壊事故で水浸しになった。これを各地・各国の環境主義者は、重大な環境破壊だ、環境テロだ、エコサイドだと騒ぎ立てる。ではその環境が何時出来たかというと、1956年ノヴォカホフカダム完成後のことだ。たった67年しか経っていない。ダム破壊後の浸水地帯こそが、ダム完成前のドニプロ河下流域の姿である。意地悪な見方をすれば、元に戻っただけの話である。
 現代の環境主義者の主張に従えば、ノヴォカホフカダムの建設こそがドニプロ河下流の環境破壊だった(筈だ)。しかし建設後僅か数10年でダムは新しい環境を作り出した。日本でも、今や立山黒部アルペンルートの立役者として、外交人観光客の呼び声高い黒四ダムも、建設当時は大変な環境破壊だったが、今や新しい環境を作り出して地域経済に貢献している。
 このように環境とは、その時代、その時代に生きる人によってその価値が変化するものである。原発や高速道路やリニア新幹線が新しい環境作りに貢献するとは思えないが、不思議にダムや堤が貢献している例は多い。それは水や土が、生物と一体化しやすい特性を持っているからだろう。
 なお、台風2号に伴う線状降水帯で、静岡県では多大な被害が出ている。中には一昨年の豪雨で破堤した同じ個所で又破堤したケースがある。これは復旧を堤体を元に戻しただけで基礎対策を怠ったためだろう。つまり破堤で基礎地盤が洗堀されたが、その部分を改良せずに只土を盛っただけで済ました。そのため弱点が堤体基礎に残ってしまった。何故、こういうことが起きるかというと、国交省河川局の頭の中に、復旧とは姿形を元に戻すだけというバイアスが掛かっていて、それ以上のことをやってはならないと思い込んでいるからである。これが悪しき官僚病で、なかなかなくならない。そのため、新しい環境がなかなか出来上がらないのである。
(23/06/12)

 黄砂の季節です。黄砂の素は中国北西部、モンゴルから新疆ウイグル地区にかけての乾燥地帯です。この地帯の砂漠化が進むことが黄砂発生の原因です。一般には温暖化が進むと、大陸内部の乾燥ー砂漠化が進みます。アジア大陸も例外ではありません。今から約1万年程前から、地球の気温は急上昇に転じ、5~6千年程前にピークに達します。その結果、アジア大陸内部の乾燥ー砂漠化が進みます。そのためパミール高原にいた騎馬民族が、黄河に沿って移動し、黄河が大きく曲流する所謂「中原」に定住し農耕生活に入ります。彼らが作った文明が「黄河文明」です。同じ現象はチベット高原でも起こりました。チベット高原にいた騎馬民族が長江に沿って移動し、四川盆地に定住します。これが四川(或いは長江)文明です。
 では中国南部の沿岸地帯はどうだったでしょうか。1万年前には、南シナ海の多くは陸地で、中国南部沿岸地帯ももっと広かった。ところがその後の温暖化で海面が上昇するとともに、南シナ海の魚種にも変化が起こった。これまでいた南方種が北上する。それを追いかけて南方の漁民も北上し、今の浙江省の沿岸に定住した。浙江文明の始まりである。なおこの漁民はついでに稲作文明も連れてきた。この稲作文明がその後戦国時代を「通じて、朝鮮半島から日本列島にやってきた。これが日本の弥生文明である。このように約1万年前から始まった地球規模の気候変動が結果として現在の人類文明を作った。
 今年の黄砂は、例年になく勢いが大きいと云われる。それはとりもなおさず地球規模の温暖化が進んでいると同時に、中国北西部の砂漠化が進んでいるということだ。中国では70年代頃から日本のODAで、砂漠緑化事業をやっていた。ところが90年代のある時、突然このプロジェクトが打ち切られた。その後中国政府が引き継いでいるはずだが、黄砂被害は減るどころか増える一方。後20年で北京は砂に埋もれるという説もある。そうなれば大変だ。今の内、北京から南京に遷都を考えておいたほうが良いかもしれない。
(23/04/13)

 太陽光発電詐欺の渦中にあるのが、国際政治学者と称する三浦瑠麗。誰がこんな称号を奉ったのか?マスコミにかかれば、漫才師でも小説が一本売れれば「作家」。一番馬鹿馬鹿しかったのが、小池百合子の父親の友達だった竹村健一という英語教師。石油にもアラブにもイスラムにも全く素人だったのが、イラン・イラク戦争に絡んで英語のニュースペ-パーを斜め読みして、パイプ咥えて「それはやねえー」と週刊誌で素人談義。それにマスコミが飛びついて、只の英語使いが知らぬ間に「国際政治評論家」になってしまった。
 三浦も似たようなもので、そもそもが東大農学部出身。それが法学部に出入りして、研究員に採用された。研究員の採用は教授の判断で済む。但し身分は非常に不安定で、契約は大体4年か5年。その間にまとまった7論文を書かねばクビだ。その時話題になったのが、何の根拠もない北朝鮮スリーパーセル日本潜入論。大阪にも随分いますよとか、ありもしないコミンテルン(こんなもの70年前なくなっている)陰謀論のような愚にもつかないアナクロ反共論を、ネットやメデイアで喋ったものだから忽ちネットで拡散。これらの根拠なきネトウヨ的発言が、折からのアベ第二次政権で注目され、ちゃっかりアベ政権の中にコネを作った。
 それはどうでもよいが、忘れてはならないのは、彼女の学問的ルーツは農学だということだ。農学というのは非常に幅広く、農業経済から農業政策、さらには農芸化学や農業土木まで何でもありだ。その中で東大農学部なら、やっぱり主流は農業政策になるだろう。その中で森林工学というのも農学の一分野だから、学生は必ずこのイロハ程度は学んでいるはずだ。
 森林工学の中には森林開発も含まれる。これは国土保全に非常に重要で、保安林指定・解除もその基本は森林工学だ。又、山地メガソーラー基地開発では、保安林解除申請はウエイトが大きい。一般の宅地造成や道路拡張でも、計画地に保安林があれば、まずこれを解除しなくては先に進めない。技術的には大したことはないが、地権者との交渉では、結構金が動くこともある。実際の申請は開発コンサルタントが請け負うが、三浦亭主の会社がそういうことを引き受けていたのだろう。開発申請の過程で三浦亭主の会社に莫大なバックマージが転げ込み、それを2人で山分けしていたと考えても不思議ではない。その利益がキチンと納税されていたかどうか、これは国税の仕事。或いは何処かわからない政界ルートへ流れたか?東京地検の本当の狙いはここだろう。 
(23/01/28)

 これは何処かの、メガソーラー基地建設地の住民説明会の様子。住民は防災上不安定だといって事業者に説明を要求したが、肝心の事業者はトンずらして出てこない。この開発、一見するとソーラー末端雨水流末処理が未完成。というより処理方法が分からない。写真のままだと、雨水はパネルの上を流下し、末端宅地に直接流出する恐れがある。要するに防災工事も未了のまま施設工事を先行させた。一般家屋なら、下水工事をほったらかして家を建てたようなものだ。
 この件にかかわらず、再エネ業界には、防災というより土地開発のノウハウすら知らない素人が参入してきている。その中には詐欺師まがいどころか詐欺師そのものも紛れ込んでいる。
(23/01/21)

 まず何をするにも、大事なことを抑えておかねばならない。それはメリットより「デメリットになりそうなことである。それを無視してメリットばかり強調すると、あとでとんでもないほぞを噛むことになる。SDGsの掛け声のもと、ここ10年余り列島を揺るがして来たのが再エネビジネスだ。再生エネルギーといえば太陽光、風力、地熱が代表的な者だ。日本はどの資源もある。あるが、どれも中途半端なのである。作って得られる電力価値とそのトータル投資(建設、設備製造、解体・処分、運用中、廃止後の環境負荷)を考えると、トータルで採算が合うかどうか分からない。というより、間違いなく赤字になるのは分かっている。
 トータルでどうだろうと、ある局面で短期利益を追及するのが新自由主義経済。不採算事業に新自由主義経済がカップリングすれば、そこに不正・腐敗・詐欺ビジネスが生じるのは当たり前。口絵写真に挙げたガソーラーなど、どのみち素人まがいの再エネ屋と、いかがわしい開発コンサルタントが組んで、でっち上げた事業だろう。何故こういう開発が可能なのかは後で取り上げる。
 国際政治学者というふれこみで、毎度マスコミを似ぎ合わす三浦瑠麗の亭主が経営する再エネ投資会社が詐欺で告発され、東京地検の捜査を受けた。国際政治学者とはなにものか?舛添如きでも、ふれ込みは国際政治学者だからその程度と思えばよい。
 事件は、ある再エネ事業者が、兵庫県福崎町でメガソーラー開発を計画し、三浦の亭主が経営する再エネ専門の投資コンサルタントに10億円出資したところ、なんら事業を進めている様子もなく、さては10億円ネコババされたと、東京地検に提訴してあきらかになったもの。このような事件の捜査は難しく、現金の流れもなかなk掴み掴みにくい。
 それは口絵写真のメガソーラー基地も同様だが、再エネ基地は法規制の抜け穴が狙われるケースが多いからである。日本の国土には様々な法規制がかかり、それにより乱開発が抑止されるはずだ、と一般の人は思っているだろう。とんでもない、街から少し離れた山地では、法規制の枠から外れ所有者の任意に任されている土地が結構ある。25年ほど前、筆者が訴訟鑑定を手がけた滋賀県の某工場造成工事もそれで、都市計画法どころか、河川法、砂防法、森林法他何の法規制も掛かっていないから、行政との設計協議ができない。それをいいことに、地元のいい加減な設計屋がいい加減な設計をしたもので、結局施工後地すべりを起こして裁判になった。本来はそういう場合こそ技術士による指導を受けるべきなのである。
 日本の再エネ基地にはそういう、いわば開発の無法地帯とでも云うべき土地が多い。口絵写真のメガソーラー基地もその類だろう。そういう怪しい物件に限って、三浦亭主のような怪しいコンサルタントがくっついて来て、如何わしいビジネスを展開するのである。さて興味を惹くのは、三浦亭主がネコババした10億円の行方だ。特捜が狙っているのもその線だろう。ひょっとすると久々の大型案件になりそうだ。
(23/01/21)

 先日来大阪は淀川河口に漂着し、死亡か確認されたクジラの遺体処分について、大阪市は「海に戻す」と発表。どうやって戻すかろ云うと、船に積んで海に降ろすらしい。あんなでかいものをどうやって、船に積み、どうやって下すのか?そしてどうやって確実に着底し海底に固定するのか、それがイマイチよくわからない。
 クジラの死体の海中処分は仕方ないとしても、死体の曳航などは、太地のクジラ業者に任せばよい。遠洋捕鯨では、キャッチャーボートで仕留めたクジラはそのまま母船まで曳航し、その後母船に引き上げられ解体される。その技術を利用すればよいだけだ。
 死骸の着底固定のほうが厄介だ。死体をワイヤーで拘束し、アンカーで固定するのだろうか?ワイヤーやアンカーが切れると、死体は再び浮遊をj始める。但しそのうちサメやシャチなどの捕食性生物が集まってその餌となる。残りは小魚やバクテリアの餌となる。骨や歯は海底に沈んで、その上を泥が覆って地殻に固定されれば、化石になる。
 そんなややこしいことをしなくても、太地に持って行って解体し、近大マグロの餌にすればよい。残酷に見えるだろうが、自然の営みというものはそういうものだ。人間がやるか、シャチがやるかの違いだけである。「海に返す」なんて綺麗な言葉で誤魔化すより、自然の残酷さを明らかにしたほうが、よっぽど教育的だ。
(23/01/18)

 ウクライナは今過去にない暖冬で、首都キーウにはサクラの花が咲き、バフムトでは昼間は16゛C、夜でも10゛C台という。一方北米ではアメリカ東部やカナダ南西部ではかつてない寒波で氷漬け状態。これらの異常気象はいずれも地球温暖化の現れです。
 まず昨年夏の暑さで、北米ではハドソン湾、ウクライナでは黒海の水温が上がり上空の気温も上昇します。冬になるとそこに北極から寒気が雪崩れ込んできます。ところがこの北極寒気団、所謂北極振動という現象で、何処でも一様ではない。寒気の塊ができてそれが振動を起こす。
 北米ーカナダは丁度北極寒気の塊の中に入ったため、上空寒気と暖かいハドソン湾の水温差で上昇気流が発生し水分を含んだ寒気が南下し、更に暖かい大西洋のメキシコ湾流からの暖気とぶつかってカナダ東南部からアメリカ東部にお豪雪をもたらす。
 ウクライナでも通常は北方からの北極寒気が黒海の暖気とぶつかって大雪をもたらすはずが、温暖化の「ため黒海高気圧の強くなり、北極寒気が南下仕切れず温暖な気候がそのまま残ってしまった。同じ地球温暖化でもその影響は場所地域によって様々に異なるということである。
 さてこの暖冬の影響で昨年から予想されていたウクライナでの年明け大攻勢は、とりあえずはなさそう。暫くは東部及び南部での局地戦の繰り返し。キーウ攻勢もない。本格的な攻勢は地面が落ち着く4月から5月頃。ポイントはその間に、どちらが早く、戦備・兵備の「「損耗を回復させ、整えられるかである。
 それと地球温暖化というグローバルな現象が、戦争の行方そのものを左右してしまうというのは、過去の歴史を見ても珍しい。地球環境変化の予測が如何に重要かということの証拠でもある。
(23/01/06) 

 これは現在フィンランドで建設中の核廃棄物最終処分場「オンカロ」の切羽付近の映像。断面形状は、わが国でも地下石油備蓄基地とか大型地下発電所でよく用いられる弾頭型。壁面をよく見ると、ロックボルトかアンカーのヘッドのようなものが多数見えます。


 地山地質は先カンブリア紀の花崗岩か片麻岩。地震がないから非常に安定している筈だが、地下400~500mともなると、壁面の変形が発生するのでしょう。トンネルの先にはなにか重機のようなものが見えるので、更に大断面に切り広げていると思われます。手前中央の円形の蓋のようなものは、ズリ搬出用ダンプを方向転換させるためのターンテーブルでしょう。
 トンネル周囲は最終的に、ベントナイトによるグラウトを行うようです。ベントナイトはガンマー線を吸収するので、放射能遮蔽にも有効です。なお日本最大のベントナイト消費会社はなんと「資生堂」。女性が顔を化粧するのは、単に肌を白く見せるだけでなく、太陽からの紫外線などの電磁波の影響を和らげる効果もあります。
(22/11/15)



 南鳥島近海6000mの深海に賦存するレアアース層試掘に乗り出した深海掘削船「地球」。昔からこのあたりの海底にレアアースの存在は分かっていた。漸くその確認が始まったわけだ。但し、試掘と採掘とは訳が違う。試掘は採算度外視だが、採掘は経済合理性が伴う。仮にレアアース層があっても、それを如何に採掘するか、技術的に確立されたわけではない。アイデアは幾つも出ているが、未だアイデア段階が大半。現実は厳しい。
(22/11.02)

 

中国の地下水採掘用掘削ドリル。石油掘削と同じシステム。アメリカは湧出量を増やすため、これに水圧破砕を加えて岩盤に人工的に割れ目を作る。だからしばしば地震が起こる。さて中国はどうでしょうか?
 昔、有馬温泉の調査をやったとき、湧出量増加のためのアイデアとして水圧破砕を考えたことがあった。しかしあんな狭い場所に井戸が密集し、断層が錯綜しているところでそんなことをやると、何が起こるか分からない。何か起こって原因者責任を追及されると大変だから止めた。
(22/08/01)



 これは中国の援助でサハラ砂漠にできた緑地。直径は数100mぐらいあります。実はこれアメリカアグリメジャーが80年代からネバダ、アリゾナ、ニューメキシコあたりでやってきた、砂漠農地開発のパクり。中央に2000mくらいの井戸を掘り、地下水を汲み上げて、回転式スプリンクラーで散布するというもの。ただやりすぎて20年ほど前から帯水層の水位が下がり塩水化が進行して大問題。
 アメリカの場合はバックがロッキーとかシエラネバダ山脈という巨大供給源があるが、サハラはそれに乏しい。果たしてこれが何時まで持続するか?疑問。
(22/07/27)

 石原慎太郎とバナジウム、といっても普通の人は何のことやらさっぱり分からないでしょう。当の慎太郎本人も知らないはずです。実はこの二つは密接な関係があるのです。今から25年ほど前、京都府と滋賀県の境界にある天ケ瀬ダム再開発事業全体実施設計に関係したことがある。
 ある時、筆者も関係する某学会(日本応用地質学会関西支部)役員会の帰りの飲み会で、同業の人間から「天ケ瀬ダムの環境調査でダムの底質分析をやった処、銅、鉛、亜鉛・・・に加えてバナジウムが出てきた。これはなんででしょう」という話が出た。天ケ瀬ダムの周りには鉱山はないし、重金属が高濃度で蓄積される環境ではない。ましてバナジウムなんて希土類元素が検出されるとは誰も思わない。さてなんででしょう?でその場は終わり。
 その後暫くして思い出したのが、以前我々の学会で、京都府警科警研の研究者が発表した土壌汚染の研究結果。各地の道路下の土を分析したもの。資料をもう一度見てみると、その中にバナジウムが入っていた。彼曰く、「これはデイーゼル排ガス規制以降、デイーゼルに設置が義務づけられた防塵フィルター由来のもの」。
 慎太郎は68年参院選に出馬、73年田中内閣で環境庁長官。彼の音頭取りで80年代に上記の排ガス規制が行われた。メカニズムは次の通り。デイーゼル車の排気部にNOxやPM0.5を除去するフィルターを設置する。このフィルターは各種の合金からなり、その中にバナジウムが含まれる。フィルターを通る排気は高温だから表面の金属はイオン化し、排気とともに外部に放出される。
 さて天ケ瀬ダムだが、ダム湖の左岸に瀬田から宇治に抜ける県道が走っている。これは大津方面から奈良方面に向かう車の抜け道となっていて、大型車が結構多い。大型車は大抵デイーゼルである。この排気に含まれる重金属イオンがダム湖に降下し湖底に沈積する。この中にバナジウムが含まれていて可笑しくない。逆にデイーゼル排ガス規制がなければ、ダム湖の低質の中にバナジウムが見つかるはずがない。バナジウムの大気内放出と、湖底の汚染を結果的に後押ししたのが石原慎太郎というわけだ。
 なおこのバナジウム沈着層は地質学的にいうと、日本国内では1980年代を示す鍵層になる。つまりバナジウムを含まない地層・土壌は1980年代以前に形成され、優位に含むものはそれ以降に形成又は汚染されたものということになります。これを利用すると、サスペンス小説が作れます。ジャジャジャジャーン。
'22/02/03)

 中国四川省で始まったシェールガスの採掘現場。筆者は元々中国にはシェールガスが豊富に存在すると考えていたから別に驚きはしない。その理由は中国大陸を構成する地質構造「陸向斜」にあります。これは先カンブリア紀の安定地塊・・・主に花崗岩、片麻岩からなる・・・に挟まれた地溝のようなもので、砂岩・泥岩などの堆積岩が数1000mに渉って堆積する。この中には石炭もあれば頁岩(=シェール)もある。この中にガスが賦存している。
 理由はよく分からないが、シェールガスは石炭と相性がよく、石油とは悪い。逆に天然ガスは石炭と相性が悪く石油と良い。この伝で行くと、日本では北海道道央地区、北九州などの旧炭鉱地帯にシェールガスの可能性がある。ヨーロッパではイギリスやドイツなどかつての石炭地帯が有望だ。特にウクライナ東部のドネツ炭田地帯など狙い目。プーチンはそれを狙っているのか?
 なおシェールガス採掘で必須なのが、塩酸注入用パイプ。これは少なくともアメリカ向けは殆どが日本製(東レ)。皆さんこれを知っているでしょうか?果たして中国は何処製を使うのでしょうか?
(21/12/28)

 本日は真珠湾攻撃80周年の日ですが、昨日7日にはアメリカで21年度ノーベル物理学賞授与式が行われました。対象は気候変動に関するシミュレーション技術の確立です。三名の共同受賞者の中に、日系の真鍋博士がいたことは周知の事実です。
 さて今から30年前、筆者らがやっている「日本応用地質学会関西支部」が創立20周年記念事業としてやったのが「地球環境と応用地質学」をテーマとするシンポジウム。事業会長として担ぎ挙げた藤田和夫先生から「なんや国連がやるようなテーマやな」と笑われたが、やってしまった。
 事の始まりは前年の役員会で、「来年は20周年だからなんかやらなけりゃいかん何ががいいか」となったとこ、筆者が「これからは環境や」というと、誰かがそれだそれだ、となってきまったのである。当初は五里霧中で始まったが、1年たつとなんと空前の盛況。とうじから人々のは環境問題に関心を持っていたのである。
 それと同時に刊行したのが同名の論文集。今読み返してみると、内容は少しも古くない。筆頭が山元龍三郎氏(日本気象協会)による、気候変動に関する予測モデル。この時代に既に二酸化炭素濃度と気候変動、海水面変動がコンピューターシミュレーションによって議論されているのである。そして氏は今後コンピューターの性能強化で予測結果は更に正確になるだろうと強調している。その結果がその後の地球シミュレーターや今の「富岳」というスーパーコンピューターに結びついている。なお日本政府は真鍋博士の研究の足は引っ張ったが、貢献はしていないことも忘れてはならない。
 
(21/12/08)

 「石炭火力の段階的削減」などと、なんとも中途半端な結論で終わったCOP26。これでほっとした連中も多い。日本で一番ほっとしたのはアベ晋三その人だろう環境問題がかまびすくなった1970年代以降、日本の石炭火力は殆ど消滅し、北海道電力が政府や道の補助金を貰って細々とやっているだけだった。
 関西では60年代末、尼崎公害訴訟を受けて、関電が尼崎火力を廃止、これで一旦消滅。阪神淡路大震災の後、神戸製鋼が灘浜製鉄所を加古川に移転しその跡に石炭火力発電所を建設した。20世紀に入ると、東北震災後の2010年代に関電が舞鶴に石炭火力を建設。その後あれよあれよという間に全国に石炭火力が広まった。
 この石炭火力拡大を推進したのがアベ政権。彼は元々神戸製鋼社員だったし、ジジイの岸以来の通産族。麻生も元は炭鉱屋出身だが、麻生グループはとっくに石炭から撤退しているから、あまり関係はないと思う。又三菱マテリアルにしろ、住友鉱山にしろ、かつての石炭大手の多くは最早石炭から手を引いてほかの分野に主軸を移しているのが現状。日本が石炭火力廃止に反対したのは、石炭そのものより背後に日立や川重、神戸製鋼などの経団連主流派プラントメーカーによる圧力。これはドイツもアメリカも変わりはない。
 それにつけても資源エネルギー問題になると駄目なのはヨーロッパ。ベラルーシがポーランドに移民を送り込もうとし、EUがそれに反対すると、ベラルーシのルカシェンコがEU向け天然ガス供給ラインを止める、と脅す。するとEUは途端にビビッてしまってベラルーシ制裁に腰砕け。ベラルーシがパイプラインを止められるわけがない。そんなことをすれば、たちまちプーチンからぶん殴られる。ヨーロッパ向け天然ガスはロシアにとって貴重な外貨獲得手段。ロシアからガス供給を受ける国はEU以外にも多いが、その中で国際決済通貨で代金を支払っているのはEUだけ。中国元などいくらもらってもありがたくもなんともない。
 中間にあるベラルーシにも通過料が入る。もしベラルーシがパイプラインを止めれば、その間ロシアにもベラルーシにも貴重な外貨が入らなくなる。そこで発生するのはインフレと通貨不安。更に社会的暴動が起こってまたまた革命だ。その時ルカシェンコは断頭台の上だ。だからパイプラインは絶対に止められない。むしろヨーロッパはこれを逆手に取って、国内備蓄を拡大し、半年か一年天然ガス輸入を辞めればよい。ところがそれができない。何故ならヨーロッパも長年の平和ボケで、すっかりキリギリス状態になっているからである。
(21/11/16)

 小池百合子がいきなり変なことを言い出した。今後新築一戸建てには、屋根に太陽光パネル設置を義務付けるというのだ。これで喜ぶのは太陽光業界。世界最大の太陽光パネル製造国は中国。小池の政策は回りまわって中国経済を潤すだけ。さて岸田新政権肝いりの経済安保政策は、どう反応するのか。
 そもそも小池は太陽の光は、何時でも何処でも真上からやってくると思っているのではあるまいか?太陽光は南斜めから、それも季節によって角度が変わるというのは、小学生でも分かる理屈。太陽光を効率よく受けるためには、太陽光に対し直行する角度でパネルを設置することが肝要。このため日本特に東京辺りの緯度では、南向きで水平に対し約30゜±5゜ぐらいの角度で設置するのが一番効率が良い。これに対し著しく違う角度や、まして北向きや西向きの屋根にパネル設置を奨めてくる業者は、まず詐欺師と思って間違いない。
 小池方式では、新築一戸建てにはその家の屋根の方向角度に拘わらず・・・電気が起ころうが起こらまいが・・・、太陽光パネル設置費用がローンに組み込まれることになる。ということはその家の発電効率が如何に悪くてもパネル代を払わなくてはならないわけだ。
 それだけではない。せっかく苦労して南向き一戸建てを購入しても、真向かいに高層マンションでも建てば、みんなおじゃんだ。こんな街に誰が住みますか?小池はそんな不利不便を強要しても、東京には人が寄ってくると踏んでいるのだろう。小池にとって東京都民は只の働き蟻。それは石原慎太郎も同じだが。
(21/10/04)


 ロシアシベリアからドイツまで天然ガスを輸送するパイプラインノルドストリーム用の鋼管。何処製か分かりません。ドイツ製か?だとすれば、バイデンがなんと言おうと、ドイツがプーチンに甘くなる理由が分かります。意外に日本製かも?
 昔々ある用事で大阪市大にいったところ、市川浩一郎先生から、今度竹中準之助(土質力学)の卒業生が東亜燃料に就職が決まった、と聞いた。彼は卒論で土の熱伝導をやっていたらしい。そこで筆者が思わずいったのが「さすが竹準、目の付け所が違う」といった。理由は当時、アメリカでアラスカの天然ガスパイプライン輸送計画があって、それがカナダ政府の反対でストップという件があった。要するにパイプラインが発生する熱で環境が破壊される、というのだ。それが1970年代後半、ほぼ半世紀近く前の時代だ。それから殆ど何も進歩していないことがわかる。
 ノルドストリームも例外ではない。今後このパイプラインの所為で、シベリアの永久凍土融解・・・未知のウイルス復活・・・とか、いろいろ環境問題の発生が予測されます。甘い話ばかりじゃない。なお日本で温泉水の輸送に使われている保温材を使えば、殆ど環境に影響なくガスを輸送出来ます。
(21/09/13)

 これはこのほど中国政府が発表した、プラマプトラ河上流の巨大ダム計画。随分デリケートな場所に計画しています。ここに巨大ダムを作り、その水を中国側に引っ張れば、インド北東部を干ぼしに出来る。
 筆者は日本史に於ける戦国時代とは、近世小氷期で発生した水争いと考えている。それを代表する武田vs上杉の川中島合戦は、信濃川水利権争いだ。武田が善光寺平を支配し、千曲川が越後に入る処に甲州流土木技術を使ってダムを作ってその水を水に乏しい甲州や松本盆地に流せば、越後の軍事力を支える信濃川流域の農業は大打撃を受ける。中国の発想は未だに戦国時代を脱していないようだ。
 おおよそ25年ほど昔、仕事がないので家でテレビの海外ニュースを見ていたら、アメリカのABCテレビで、「最近CIAが今後20年以内に、世界各地で国際水紛争が起きるだろう、アメリカ政府はそれに備えるべきだ」というレポートをホワイトハウスに提出したと報道。
 偶々その時、世界水会議が大阪であって、その国連主催プレシンポジウムが京都の同志社でやるので来いというので行ってみた。そこで上記のCIAレポートについて国連はどう対応するのか、と質問したところ、国連代表は「それぞれ話し合いで解決してください」と情けない回答。25年前からこの問題を国連も各国政府もほったらかししてきたから、こんなことが起きるのである。
(21/04/14)

昨日のネット報道によれば、過去にカナダから日本に対し、使用済み核燃料を受け入れる、という打診があった、と云われる。これには元カナダ首相も関わっていた。筆者はこれは国際詐欺事件と感じた。今もその疑いは晴れていない。国際詐欺とは、なにか国際プロジェクトがあると偽って、それに対し融資や参加を呼びかけ、金だけ巻き上げてトンずらするというもの。共通するのは、(1)プロジェクトはそれらしい名前がついているが、実態は分からない。(2)間にブローカーがいて、それらしい政府機関やある時は政治家の名前もちらつかせて信用させる。(3)全ては秘密と云って内容は知らされない。騙される方も秘密を守らされる、あるいは守らなればならない心理状態に置かれる。結果として、保証金なんかと云って金をむしり取られて、後は泣き寝入りというパターン。
 今回の事業が単なる詐欺グループによるものなのか、何らかのカナダ政府ルートを通してのものなのか分からないが、仮に後者としても、調査費やなんやらで日本から金うを巻き上げ、あとは住民の理解が得られなかったとかなんとか言い訳して有耶無耶。関係者はドローンというのは目に見えている。つまり日本側は、金だけ巻き上げられるカモに過ぎない、というわけだ
 さて問題は日本側だ。日本側窓口は原子力産業協会の誰か、ということで氏名は明らかにされていない。この件に経産省特に資源エネルギー庁が、どこまで関与していたかも分からない。しかし何らかの形で資金がカナダ側に流れていたとすれば、これは国際スキャンダルである。本当ならこれは、日本では特捜案件、国際的にはFBI案件になる。日本からのウランや核燃料の国際越境は、日米原子力協定からアメリカ政府の許可がなくては出来ないからだ。
(21/04/05)

 今朝(21/03/30)の高槻芥川堤防。いつもははっきり見える生駒山地が霞んで何も見えません。これは黄砂の影響です。北方の北摂山地も全く見えませんでした。黄砂は昨年の大洪水に並んで、今中国政府が最も早急に取り組まなければならない環境対策です。このほかにバッタ(イナゴ)の襲来も予想されます。いずれも地球温暖化と無関係ではありません。そして中国史に見られる2~300年毎に繰り返される王朝交替も、原因はこれら環境変化~自然災害によるものが多い。今の習政権が再生エネルギーやEVに躍起になる理由もそこにあります。
 中国王朝交代原因には次の4Kがあります。
 1、洪水(KOZU)
 2、黄砂(KOSA)
 3、こう(イナゴ  KOU)
 4、権力抗争(KENRYOKU)
 そのどれも克服されていません。

 昨日新潟県で発生した地すべり。撮影者(あるいは投稿者)は、中央の蛇行する黒い帯を地すべりと思っているのでしょう。実際の地すべりは、多分画面中央奥にある斜面で発生した。その末端が泥流化したのが、この黒い帯です。
 原因は昨年末から2月にかけての豪雪と、この処の気温の急上昇です。これも日本海の水温上昇が原因ですから、全体としては、地球温暖化が背景にあると考えて良いでしょう。
 なおこの地すべり、新潟は糸魚川で発生したらしい。昔北陸道のある業務で道路公団の糸魚川工事事務所に出張した帰り、駅前の食堂で昼飯を食っていたら、突然テレビで「神戸で地すべりが発生しました」というニュース」。すると側にいたオッサンが「あんなもん、こっちも負けてない」と妙な自慢。
(21/03/04)

 インド北部ヒマラヤ山中で起こった、河川の突発出水。原因は上流での氷河の崩壊とされる。氷河の崩壊を誘ったのが地球温暖化ということは、誰でも想像できる。ではヒマラヤの向こうの中国、つまりチベットではどういうことが起きるでしょうか?チベットは平均標高4~5000m級の高地だから、表面は当然永久凍土化している。温暖化によって子の凍土が融解し、その結果長江の水量が増加し、三峡ダム始め下流河川に影響を及ぼすでしょう。これはアラスカやシベリアも同様です。なお右岸山腹にある道路は何でしょう。アジアハイウエーでしょうか?
(21/02/09)

 新型コロナ感染第三波と並んで、今日本列島を襲っているのが豪雪災害。これも筆者が昨年から予見していたことで」別に驚きはしない。予想があたったか、だ。三年前の2018年もそうだった。夏が猛暑の年は、冬は厳寒・豪雪。これは何も只の経験則ではない。つまり夏がラニーニャの年はそうなり、エルニーニョの年は逆で冷夏・暖冬になる。
 ラニーニャになると西太平洋水温が高くなり、太平洋高気圧の勢力が強くなる。そうなると日本列島を含む極東地域は猛暑となり日本海の水温も高くなる。ここで注意しなくてはならないのは、水の比熱は結構大きいことである。つまり熱しにくいが冷め難い、一旦つかんだ熱はなかなか離さないということだ。
 冬になると、北極寒気団が南下してくる。それが未だ暖かい太平洋高気圧とぶつかって、朝鮮半島の辺りで前線を伴う低気圧を作る。これが偏西風に乗って日本海を進むと、日本海の水温は未だ暖かいから、大気と水温との温度差で上昇気流が発生し、暖かく湿った空気が前線に流れ込む。この結果、低気圧はますます発達し、日本列島に達する頃には台風並みの勢力になる。これが日本列島の脊梁山脈にぶつかり、日本海側の山陰、北陸、東北日本海側に大雪をもたらすのである。その結果、道路などのインフラが機能不全に陥り、ついには自衛隊出動人力作戦となる。
 こういうことは前年夏の気温のレベル・推移を見ておれば容易に予測できる。つまり夏の間に翌年の積雪対策を取っておればよい。それは例えば除雪車の確保とか、出入りの建設業者に準備を指示しておけばよい。道路会社などは道路停滞に備え、非常食や燃料を備蓄することも重要だ。慌てて自衛隊に出動以来する前にやっておくべきことは多々あるのである。
 なおラニーニャの翌年がエルニーニョになるとは限らず数年続く」こともある。そしてこの寒暖の差は今後もっと大きくなるだろう。その原因は地球温暖化である。
(21/01/11)

 30年後の2050年、日本は化石燃料実質セロを目指す、というのが菅政権環境政策の目玉。その前に中国が40年後実質ゼロという方針をだしているからその向こうを張ってかと思ったら、実はEUやカナダ・オーストラリアなどが既に30年後実質ゼロを出しているのでそれに倣っただけ。但し30年後、菅や与党幹部の大部分は、とっくにあの世の行っているし関係役人も大概はいなくなっている。そして国民の大微分は三年も経てば忘れてしまう。第一どういう方法で化石燃料を減らすかという具体的方策が示されていないから、誰もなにもしない。
 そして実質ゼロの”実質”というのがよく分からない。”実質”に対し”名目”というものがある。例えばGDPだが実質GDPは名目GDPから物価上昇率とか付加価値税などの見かけの要素を差し引いたネットの値である。一般の景気判断では名目GDPが優先される。何故なら一般庶民にとってこれの方が実感できるからである。
 化石燃料消費量もこれと同じで、その効果の判断は複雑なプロセスを踏んだ後のものでなく、具体的且つ実感できる指標が必要である。例えば気温上昇率が下がったとか、化石燃料輸入料がゼロになったとか、である。
(20/10/28)

 福島原発汚染水海上投棄について、大阪の吉村が改めて大阪湾への投棄を立候補。以前松井が同じことを言ったが無視された。内閣がお友達の菅だから言い出したのだろう。しかし現実にあり得ないことを何故言い出すのか?
1、福島で発生した汚染水を大阪湾まで運ぶとすれば、その費用は当然東電持ち。福島沖に比べれば大幅なコスト増。果たして東電がウンというか?運搬はどうするのか?タンカーとしてもリースしなければならない。リースできても船員が確保できるかどうか分からない。
2、大阪湾は大阪府のものではない。沿岸には兵庫県、近隣に徳島、和歌山、岡山、香川県がある。大阪湾投棄となればこれら関連自治体の了解が必要だ。当たり前だが大阪湾の水は外洋と繋がっている。この中で一番の強面は大阪府漁連。それとか上述の関連自治体がどういうか?例の泉佐野市長の千代松は維新だが、彼だってどう動くか分からない。
3、てなことを考えれば、こんな話が実現するわけがない。それを見越してこういうアドバルーンを上げ、菅を擁護し見返りを貰おうという算段だろう。
 出来もしないことをあたかも出来るように見せて、観衆の喝采を浴びようとする行為をスタンドプレーという。要するに北海道の廃棄物処理場文献調査で、何もしないで20億を国民から巻き上げようという、北海道の二ケ町と同じ、世間受けを狙ったスタンドプレーに過ぎない。
(20/10/17)

 北海道寿津町に次いでもう一町が核廃棄物最終処分場調査地候補に名乗りを上げた。但しどっちも第一段階の文献調査だけでその先には進まない、といっている。これだけで電力会社(NUMO)から20億円が支払われる。つまりり何もしないで20億円だけ頂いて後は知らん顔というわけだ。寿津町長はぬけぬけと「これは新しいビジネスだ」と云っている。これに続いて別の町も名乗りを上げた。動機は同じだ。
 もしこんなことがまかり通るなら、NUMOから金がばらまかれるだけで、何時まで経っても処分場は決まらないことになる。しかもその金は我々が払っている電力料金から出ている。
 文献調査など既に出版されている文献(論文、報告書)をまとめてあれこれ言うだけの作業。かかる費用はコピー代ぐらいだ。現在論文は殆ど全て電子化されており、ウエブサイトで誰でも閲覧できる。金も手間も殆どかからない。一か所あたりの費用は1千万もあれば十分だ。そんな仕事のためになんで20億も地元にばらまかなくてはならないのか?20億欲しけりゃ最終段階調査まで行くことを了承することを条件にすべきである。
 なお寿津町も新たに手を挙げた町も北海道東部雄島半島の海岸。この海岸はかつての日本海拡大の中心地で、概ね中新世の火山岩(玄武岩溶岩及び同質ハイアロクラスタイト)が広く分布する。地熱はかなり高いものと考えられる*。玄武岩やハイアロだから結構空隙があり、透水性に問題が感じられる。それをクリアーしても地熱が高ければ施工そのものが困難になるので、筆者なら文献調査以前にアウトと判定するかもしれない。
*現在の国の指針では廃棄物処理場は地下300m以下。この程度でも、この地区では坑内温度は50゜Cぐらいにはなるだろう。透水性が満足できなければもっと深くなるので地温はさらに高くなる。人間は入れなくなるのでロボット施工だな。
(20/09/12)


20/06/12)

 永久凍土が融けだしてタンクが破損,、その結果軽油が流れ出したシベリア。永久凍土は物凄く硬くてコンクリート顔負けの強度を持っている。だからシベリアでは建物だけでなく、石油・ガスパイプラインや橋梁などの重要インフラはみんな永久凍土を支持層にしている。
 凍土が融けると当然支持力は低下し、タンク基礎は不等沈下を生じる。するとタンク底盤に亀裂が入りそこからオイルが流れ出すというわけだ。東電福島汚染水タンクでの汚染水漏れ事故も、基礎をいい加減に処理したから不等沈下をおこしたのである。
 この現象が続けばシベリア中のインフラが重大打撃を受ける。それどころか凍土中に眠っている未知の病原体(バクテリアやウイルス)が目を覚まし、新たな感染症を作る。covid19どころではなくなる。この点について、トランプもプーチンも全く無理解かわざと無視だ。どっちも次の選挙の方ばっかり目をむいているからだ。
(20/06/12)

 昨年来、話題になっていた北東アフリカのアフリカトビバッタ。とうとうインドまでやってきました。インドを食い尽くすと何処へ行くのでしょうか?東南アジアか、それともヒマラヤを超えて中国へか?コロナに続く大災厄になるでしょう。
(20/05/31)

これはこのほどシベリアで発掘された氷河時代の遺跡。マンモスの骨を円形に並べているので、ボーンヘンジと呼ばれているらしい。何らかの祭祀遺跡と見られているが実態は分からない。発想を変えて、これは遊牧民のオルドのような居住施設の基礎というのはどうでしょうか?多分今の考古学では受け入れられないでしょう。
 では何故こういう遺跡が見つかったのでしょうか?それは地球温暖化でシベリアの永久凍土が融けだしたからです。ボーンヘンジだけでなく80年代から、シベリアやアラスカではマンモスの遺跡が多数見つかって、これが世界中の金持ちや博物館に売れて貴重な外貨収入源、今やロシアの一産業になっています。ロシアにとって温暖化は一大ビジネスチャンスなのです。グレタのいうことをプーチンが無視するのはその所為です。
(20/04/12)

 今朝は今冬一番の冷え込みで、我が家の近くでも雪がちらついていましたが積雪には至っていない。10年ほど前までは、2月には積雪もあったが、このところその気配もない。その理由は深海魚が揚がらないことにある。
 昨日テレビの某人気バラエテイー番組を見ていたら、深海魚博士の小学生が出ていた。ここでは深海魚と気候変動との関係について説明しましょう。この小学生が住むのは静岡県沼津市。沼津は深海魚の名産地らしい。なぜなら沼津が面する駿河湾は駿河トラフに続く深い海底谷で富士川断層という大断層が走っている。谷の両岸は切り立った崖で、それに海流が当たって渦が出来、深海魚が巻き上げられるらしい。深海魚の生息もプレートテクトニクスに支配されているわけだ。
 深海魚に限らず海棲生物は生息環境・・・水圧、水温、塩分濃度などの水質等・・・に応じて棲み分けている。これらを大きく規制しているのが水深である。大雑把に言えば、水深が大きくなると水圧はたかくなり、水温は低下し、塩分濃度は高くなる。
 さてここ10~20年頃、特に日本海沿岸で深海魚の水揚げが増えていることが話題になる。三年前の冬は大量の深海魚が揚がった。その前の年は猛暑で、冬は記録的寒波と豪雪が来た。しかしここ2年は冷夏が続き、冬も暖冬だ。そして深海魚の揚がりも少ない。つまり深海魚と気候には関係があると予想される。
 日本海を例に挙げる。夏が猛暑だと、日本海の海水温は上昇する。この熱は次第に深海に伝達し、清海水温も上昇するが水の比熱は大きいので時間が掛かる。数カ月かけて深海魚生息域の水温が上昇してくると、深海魚はより冷たい水温を求めて更に深海に潜る。当然水圧は高くなる。それに耐えらればよいが、耐えられない深海魚は気絶して海面に浮きあがってしまう。この結果、猛暑の後の冬は深海魚の水揚げが増えるのである。
 では猛暑の夏の後の冬は豪雪になるのか。11月頃になるとシベリア寒気団の南下に伴って朝鮮半島に低気圧が発生する。これが偏西風に乗って日本海上を西に移動する。このころでは未だ日本海の海水面温度は高い。この上を低気圧が通過すると、両者の温度差で上昇気流が発生し、暖かい湿った空気が上空の冷たい空気と接触し前線を作り、さらに発達しながら日本列島に達する。それが列島の脊梁山脈に衝突すると、日本側に豪雪をもたらすのである。逆に言うと、夏が短い年は日本海の海水温も上昇せず、雪は少ない。今年が当にそれだ。これから云えることは
1)夏が猛暑・・・これは単にピーク気温のことではない。全体の熱量のことだ・・・の時は、冬は豪雪。
2)冷夏では雪は少ない。
 両者の差は真夏日が9月、夏日が10月で終わるかどうかが目安。
3)12月中旬まで深海魚が揚がらない年は暖冬。
今年は明らかに暖冬です。
(20/02/09)

 悪評芬々の対ベトナム石炭火力輸出。これに対し進次郎がクレームをつけた。しかしこれなんとなく出来レースの感がある。「さくら」問題始め今のところ内閣支持率は下がる一方。このあたりでアレになんか言わせて支持率回復を狙ったのだろう。陰謀にも当たらない紙芝居。
 さて問題の石炭火力輸出だが、これ90年代の対中ODAと構図がよく似ている。この時代日本の政権は親中経世会独裁。対中ODA を繰り返す。これに最も強く批判したのが、マスコミではサンケイ、読売、新潮他の保守派。自民党ないではアンチ経世会の清和会。云わずと知れたアベ・小泉らを擁する最保守派閥。
 経世会ODAはダムや道路などインフラ整備が目的。勿論バックにいるのは建設省。つまりODAで日本ゼネコンが受注し、その一部が政権にバックというのが全体の流れ。しかしそれでも最終的には日本企業の利益に繋がった。
 ではこんどの対ベトナム石炭火力輸出だが、出資者は三井物産や中国電力など日本企業だ..。しかも受注企業は、タービン・ボイラーはアメリカGE、インフラは中国企業。日本は金を出すだけだ。無論利益が出れば日本企業は配当を受け取られるが、赤字を出せば負担を知られる。10年ほど前のメキシコ湾BP原油流出事故では、単に出資していただけの日本企業も損害賠償請求をされている。
 このベトナム石炭火力輸出問題、関係者・企業はみんな経産省系。今の官邸を裏で仕切っているのが経産省だということはみんな知っている。そしてジジイの岸信介以来、アベ晋三が頼っているのが電力・鉄鋼・重機等経産省系企業なのだ。
 かつての中国ODAでは投資資金は回りまわって、日本国内に還流してきた。しかし今のアベ官邸流輸出では、資金還流はおそらくアベ晋三とその側近(例えば麻生太郎)にとどまり、国民には巡ってはこない。そういえば麻生財閥というのは、元はと云えば筑豊の炭鉱屋。麻生セメントは三菱の下請けをやっていた。筑豊の四大アウトローというのは、まず炭鉱の抗夫、次が遠賀川を石炭積んで小倉まで運ぶ船乗り」。俗に彼らを川筋モン(又は筋モン)と呼ぶ。次に若松港で石炭を荷揚げする人足。かれらをゴンゾーと呼ぶ。少しおっかない。そして彼らを食い物にする九州のやくざ。但し所詮九州の田舎者。関東・関西ヤクザとは遥かに格下。更に彼らの上を行くのが、麻生のような地域財閥だ。時々見せる麻生のやくざ顔を見れば、奴の出自が分かる。これとペアを組む長州の岸・アベ家も似たようなもので、要するに平成ー令和の日本は二流のやくざに乗っ取られたようなものだ。
(20/02/03)

 例のグレタがダボス会議で会議所前に座り込みをしたところ、アメリカのミニューチンが「もっと経済学を勉強してから来なさい」と云ったとか。もっと経済学を勉強しなくてはならないのはミニューチン自身ではあるまい。
 そもそも現代の経済学は学問と云えるか?経済学ほど、なんとか理論とか、カンとか学説というのが多い分野はない。しかもその理論や学説の予言はみんな外れている。昔から当たらないものの代表に天気予報と占いと宝くじがあった。このうち天気予報は元々70%ぐらいだったのだが、現在ではそれが90%近いレベルまで達している。現代経済学はこれ以下の占いレベルでしか過ぎない。天気予報の的中率向上には、スーパーコンピューターなどののテクノロジーの進歩があるが、近代経済学も負けずにAIやビッグデータを駆使して将来予測をやっている。しかし当たらない。それは何故か?人間の思考・行動様式を、相変わらず20世紀的受動性格生物と捉えているからではないか?つまり人間の行動を決定論的に捉える。
 物理的に言えば、原子の挙動は周囲の電圧・温度を変えれば自由に動かせる。つまり原子の動きは決定論で説明できる。人間を原子と考えれば、その行動は全て既存の理論で説明できるはずであるAIもビッグデータも意味を持つ。しかし量子の世界ではそうはならない。量子の挙動は古典力学では説明できず、時と場合でいくらでも変化する。例えば光はあるときは粒子として、ある時は波動として振る舞う。その違いは観測者の立ち位置で異なる。そのため量子の挙動は確率論的にしか予測できない。
 現代社会の人間もそうで、かつての20世紀型人間は行動様式が定式化してた。しかし現代の・・・特に若者層中心・・・人間は、個人意思で飛び回る。実態がわからない。ある時は真面目な会社員、ある時は・・・、つまり観測者によって様々にパターンを変える。当に量子である。彼らの挙動は決定論ではなく確率論的に把握しなくてはならない。何故こうなったかというと、それはネットを使った情報化である。このパラダイム転換について、現代経済学は全く追いついていない。
 その例を挙げると、毎度取り上げられるのが中東問題。ホルムズ海峡でなにか起こると石油価格が暴騰し、それは世界経済に悪影響を及ぼすという、20世紀の神話・伝説が未だにまかり通っていることである。池上彰のような良識人・・・良識過ぎるからか・・・までこんなバカ話を信じている。今後もホルムズ海峡ではなにも起こりません。仮に起こっても石油暴騰はないし、あっても直ぐに収まる。無論その間で、ぼろ儲けするのがいるのは間違いない。反対に大損するのもいるのが資本主義の論理。
 話は大分それましたが、グレタが云いたいのは、古臭い経済学・・・物理でいえばニュートン・コペルニクスの世界・・・ではなく、今直面している問題に対する近未来理論の構築である。その点でミニューチンとグレタとでは論点がずれているのは明らか。しかしミニューチンの態度はガリレオに対するバチカンの態度と大して変わりはない。
 量子にはトンネル効果というものがあって、面倒な手続きはスルーしていきなりエネルギーが異なるレベルに到達する。ミニューチンや古い古典論信奉者・・・日本の麻生やアベも当然含まれる・・・は低レベルの原子で、目前のエネルギー障壁で止まってしまうが、グレタのような量子人間はそれを簡単にスルーしてしまうのである。
(20/01/26)

オーストラリアの山火事が終わりそうにありません。原因は例年にない干ばつと乾燥・高温化と云われる。地球の温暖化は大陸内部の乾燥をもたらすとよく云われる。何故そうなるか、実はワタクシも細かいメカニズムはよく分からないのだが、一般には温暖化は大陸内部の乾燥化をもたらすということである。
 例えば1万年程前はサハラやアラビア地方は一面の森林帯だった。ところがその後の急速な温暖化で乾燥化が進み、6千年程前には今のような砂漠に変身してしまった。
 アジアでも同じで、筆者が考えるに、おそらく1万年程昔にパミール高原にいた遊牧民がその後の急速な温暖化で草がなくなり、6千年ほど前から黄河に沿って南下し、中流の中原に留まって定住農耕生活に入った。これが黄河文明の始まりである。同じことはチベット高原でも起こり、チベットにいた遊牧民が長江に沿って南下し四川盆地で定住生活に入った。これが長江文明の始まりである。
 それはともかく、過去の例から見ると、温暖化の進行は大陸内部の乾燥化をもたらすようだ。その証拠がオーストラリアやカリフォルニアの山火事である。この理屈を広げると、次の乾燥化ー砂漠化の候補地は、南米アマゾン地域とか赤道アフリカということになる。又、現在草原ステップ地帯であるロシア南部からザバイカル地方も、将来の砂漠化候補地になる。中国大陸だって例外ではない。アメリカもトランプの票田である中西部のコーンベルトや石炭地帯も、みんな砂漠になるかもしれないのだ。
 トランプやボルサリオなど経済至上主義者はグレタの警告をガキの言いぐさとけなしているが、本心はどうだかわからない。それこそ「ガキの使いやあらへんで」とならぬよう気を付けておいた方が良い。
(20.01/23)

 コイズミ進次郎がCOP25の演説とその後の記者会見でのトンチンカン発言で大恥をかいた。これで日本は二日続けて化石賞受賞。日本国内での化石大賞は言うまでもなく総理大臣のアベ晋三。麻生・菅あたりがそれに続く金賞。それに比べれば進次郎など銅賞のレベル。これに負けない小物化石一等賞が大阪の橋下徹。
 一昨日のBS-TBS某番組。テーマの一つが炭素問題。これに日本化石賞が加わると、このアホ何を言い出すかと思ったら「・・・石炭や原子力をなくしたら日本の電気はどうなるんですか!再生エネルギーなんてあんなもの・・・、日本の環境政策は世界一だ、少々の石炭排出など殆ど影響しない・・・」。ワタクシはこの気炎を聞いて、この男若いくせに頭は昭和、それも昭和15、6年のレベルと感じたのである。
 昭和とはどういう時代だったかというと、実は資源・エネルギーに振り回された時代だった。初期の昭和一桁、つまり満州事変当時までは食料資源確保が至上命題だった。次の昭和10年代から60年代までは石油資源確保が最優先課題。その結果が先の大戦だったり、日米安保体制に表される対米従属国家だ。橋本の云う化石燃料(原子力もその一つ)至上主義は、当に古臭い昭和の延長に過ぎない。 昭和16年日独伊三国同盟締結に対し、アメリカは対日経済制裁を発動。屑鉄並びに石油禁輸に踏みきった。これに驚いた日本軍部は石油が無ければ国はもたないと、一気に反英米に傾き、日米開戦になったのである。橋下の見方も、既存のエネルギー源が無ければやっていけないと勘違いする点で、当時の日本軍部と変わりない。
 石炭火力など現代の戦艦ヤマト、白亜紀の恐竜のようなもので、燃料・食糧は食うが何の役にも立たない絶滅種である。橋下やその上に位置する経産省、更にそれを支配するアベ政権が信奉する既存エネルギー源維持政策では、いずれ将来押し寄せるエネルギー不足時代・・・インド・アフリカなどの途上国による大量エネルギー消費時代・・・に対応できないだろう。
 脱炭素とは単に地球温暖化対策だけでなく、将来予想されるエネルギー不足時代に対し、新しいエネルギー源を確保することである。筆者はそれを”水素”と考えている。海水から電気分解で水素を得られる技術を完成できれば、四方を海に囲まれている日本は、極めて有利な条件になる。
 橋下やアベのような古臭い石炭・石油・原子力依存指向では、将来やってくるエネルギーパラダイム転換に後れをとるだけである。日本がオタオタしている間に、ヨーロッパは脱炭素を実現しているかもしれない。それどころか、今化石資源を保持しているアメリカや中国・ロシアまで、さっさと脱炭素に踏み切るかもしれないのである。下手すれば日本は半導体の時と同様、1・2周遅れだ。こういう点に日本の政治家や官僚かナイーヴすぎる。
(19/12/15)

 国際環境保護団体がCOP25で日本政府に対し「化石賞」を授与。理由は世界の先進国の中で、アメリカを除けば唯一日本だけが石炭火力を推進しているからである。では何故日本が石炭火力を残しているのか?現在世界で石炭火力を残している大国と云えば、ロシア、中国、アメリカぐらいである。ウクライナやポーランドもなくはないが、大国とは言えない。
 これら大国が石炭火力を残す理由はロシア、中国はこれら産業が政権と政権支持層の利権になっていること。アメリカの場合は石炭産業が残っている中西部のいわゆるラストベルトが産炭地域で、これが共和党並びに今のトランプの岩盤支持層になっているからである。つまりどの国でも政権は石炭産業を無視出来ず、政治的にそれなりの存在感がある。
 では我が国ではどうか?現在我が国で稼働している炭鉱は北海道根室の一か所である。これが何故稼働しているかというと、北海道電力苫小牧火力(石炭)に原料炭を供給するためである。では北炭苫小牧がなぜ火力かというと、北海道産石炭を買うためである。
 これだけ言うともうわかると思うが、まず政府(経産省)に石炭保護ありきという発想があって、それを北炭に押し付けた。その結果、北炭は高い国内炭を買わなければならなくなった。当然赤字になるがその分は国が補填する。その補填分が経産省OBの利権になるという図式である。
 一方90年代から我が国でも石炭火力が、ゾンビのように息を吹き返した。それは90年湾岸戦争の結果、それまでバーレル10ドル台だった原油価格がいきなり20ドル台にはねあがったからである。といっても全く大したことはないのだが、これに慌てたのが当時通産省の木っ端役人。エネルギーの多様化を錦の御旗に、石炭火力を復活させたのである。
 とはいってもみんな賛成するわけでもない。ここで手を挙げたのが神戸製鋼という会社。折からのバブルと円高の所為で神戸市灘浜製鉄所設備をみんな加古川に移転した。更に95年阪神淡路大震災で残る設備も被害を受けたので、これを再生するために打ち出したのが石炭火力誘致。それから10年程経って関電も舞鶴で石炭火力構想を始めた。これもブッシュ政権下で石油価格が暴騰したからである。
 そして13年以降のアベ政権下で打ち出されたエネルギー基本政策の中に石炭火力が正式に組み込まれた。それは何故か?アベ晋三の最初の就職先は何あろう神戸製鋼だった。これはジジイの岸信介が通産族のドンだったから、神戸製鋼もむげに断れなかったためだろう。
 上で述べたように、神戸製鋼は自社で石炭発電もやっているが、一方で発電プラントも手掛けている。鉄鋼メーカーとしては電気を作るよりプラントを作った方が儲かる。日本の石炭火力政策は、実は神戸製鋼ーアベ晋三という裏のつながりで出来ているのである。これに比べれば、観桜会疑惑など取るに足らない。その取るに足らない疑惑でもあの慌てようだから・・・国会答弁でも声が上ずっていた・・・石炭火力発電、ひょっとすると関電疑惑が出てくれば、果たしてどうなるやら。
(19/11/06)

 二流国家の三流内閣などどうでもいいが、問題閣僚の数だけは従来内閣に引けを取らない。一々例を出さないが、スマホ操作が分からないIT担当大臣とか、暴力団との関係が取りざたされる国家公安委員長、他にも怪しげな献金を受け取った奈良選出の女総務大臣とか。
 そんなことはお構いなしにメデイアに搭乗するのは進次郎の国連デビューネタばかり。日本のマスコミにかかれば国連環境フォーラムも、芸能イベントだこの芸能イベントで彼が発したセリフについて舛添他の三流役者が早速噛みつく」。やれ中身がないとか、「セクシーとはどうう意味か」とか表面尻だけだ。
 そもそもコイズミ家というのはオヤジの純一郎自身が「郵政民営化」だけであとは何もなかった。何もない空っぽというのがあの家系の特徴なのである。オヤジが空っぽのままで総理大臣になれたのだからオレだってと考えるのは当たり前。
 かくて彼は何も考えず何も学ばず、ひたすら政治芸人の道を歩むだろう。それを指南・支持したのは、マスコミであり、周囲の一般人特にミーハー達だ。ミーハーあるところ政治・社会の空洞化はさけられない。その行く末はポピュリズム社会。その先はというと?
(19/09/25)

 本日神戸地裁でアスベスト被害賠償金の起算日に関する判決で、国が主張する労災認定日からではなく肺がんと認定された時とする判決が出た。この判決が定着すると、ずばり役人の逃げ得を防げる。
 建設工事被害訴訟などでは被害認定を工事が始まった時から起算し、住民が訴訟をおこしても時効で逃げられてしまう筆者が以前タッチした山口県岩国市中津ポンプ場訴訟では、原告は筆者の鑑定書が出た時点を訴訟開始時点としたが、判決では工事開始時点を訴訟起点としたため結局敗訴となった。おかげで地元ゼネコンと岩国市との癒着は有耶無耶だ。防衛施設庁(当時)と会計検査院の無能の象徴でもある。
(19/09/17)

 前の環境相が「福島汚染水は海洋投棄しかない」と云ったかと思えば、今度の経産相は「日本の原発規制は世界一厳しい」と云って涼しい顔。東京五輪誘致でアベは「福島の汚染水は一滴も漏らさない」と大見得を切ったために凍結工法などというナンセンス工事をやらなくてはならなくなった。つまり凍結でも汚染水発生はおさえられなかったのである。こんなことは当たり前で、筆者は初めからあんなものダメだ、と云っている。
 原発規制が世界一厳しいということと、絶対安全とは何の関係もない。世界一かどうかは相対的なもの。スパコン「京」は世界一を目指したが、王座に輝いたのもたったの2年。今度の「富嶽」はそんなもの目指さないと云っている。日本の科学者もやっとまともになったようだ。
 このような全く異なる概念を無理やりくっつけてそれらしくするのが、アベ官邸お得意の「御飯論法」なのである。これは漫才や落語では大衆受けするが責任ある政治家が使うべきものではない。
 間違ってならないのは、いくら規制が世界一厳しくとも、事故が起こらないということではないということだ。規制や基準は最終上界値への達成度を示す指針に過ぎない。
(19/09/13)

今年のサミットG7は南フランスのある島で行われるらしい。早速トランプvsマクロンの舌戦が始まっていますが我が日本国首相アベ晋三の影は薄い。当たり前で、アベの言い分などトランプのいうことを聞いておけばみんな判るから、聞いたところで時間の無駄というところだろう。
 ところで今年のヨーロッパはこれまでにない猛暑で、パリ(緯度でいうと日本の仙台と同じ)で、40゜Cという気温。フランスでは他に50゜Cというのもある。これは大西洋から温暖化した風がサハラに吹付け、更にそこで加熱されて地中海を超えてヨーロッパに到達した結果。その原因は北極高気圧の勢力低下が挙げられる。
 わが国でもここ数年8月という早い時期に大型の台風が襲来する傾向が強い。昨年の台風21号、今年の台風10号などである。この理由は太平洋高気圧の発達とシベリア寒気団の勢力低下だが、その原因は太平洋の水温上昇である。これが地球温暖化の証なのだが、トランプはそれをフェイクとして認めない。従ってG7会場のエアコンを一旦切って、トランプに温暖化の実態を教えてやるのが良いだろう。何事も彼には幼稚園レベルから教えなくてはならないからだ。
(19/08/21) 

 何も決まりそうもないG20大阪サミットで、唯一決まりそうなのが海洋プラごみ排出規制。日本政府は来年度からのレジ袋有料化を目指すらしいが、今なお反対する向きがあるらしい。我が家近くのスーパーではとっくの昔から有料化をやっている。スーパー「ライフ」では「行政の指導により」とやっていたから、多分高槻中のスーパーがそうなのだろう。尤も市長が旧民主党系だからそうなんで、維新や自民党系市長の自治体ではどうか分からない。
 レジ袋有料化に反対する団体とは何処か?多分コンビニ業界でしょう。経団連が反対する理由は何でしょうか?傘下の化学工業界・・・例えば旭化成とか、三菱油化とか・・・が考えられます。ここでも見られるのは、現代日本企業経営者の鈍感さ、感覚の劣化です。だから生産性が落ちるのだ。
(19/06/28)

 天皇の意思に背く可能性のある今回の森林法改正。背後にあったのはやっぱりあの売国政商竹中平蔵だった。これはただの経済学者、それも新自由主義という最早化石のような分野だ。なんでも金に換算し、民営化すればOKとナイーブに信じている。森林のことも環境保全も全く関心はない。そういう点ではアメリカのトランプと同レベル。こんなのを審議会に忍び込ませたのもアベの意図だろう。
(19/06/06)

 全国植樹祭のあいさつで、天皇が「森は全国民の財産」と発言。云っておきますが天皇が公式行事で発言する「お言葉」にうっかりはあり得ない。事前に事務方が慎重に言葉を選び、天皇自らがチェックして文章にする。つまり現天皇は日本の森林は現状のままが望ましいと間接的に言っているのだ。
 さてここで問題は現在政府が進めている森林法改正案。これの骨子は現在の国有林の民有化の他、森林規制を緩めて民間参入を進めようとするもの。
 筆者自身は国有林の管理運営は林野庁という能無し官庁より民営化の方がマシと思う。日本の国有林は明治維新で、旧幕府・大名所有の山林所有権を新政府に移換したことに始まる。その後、明治政府はその一部を民間に払い下げた。それで生じた民有林には、ビジネスでも環境保存でも成功した例が少なくない。一例を挙げると北海道の王子製紙や四国の住友林業である。
 しかし今回何故国有林民営化が具体化してしまったのか。それは林野庁という役所の無能・無責任が原因である。筆者は日本の林野行政の最大の欠陥は、流域環境を無視した計画伐採と、密植である。どっちも森林を収益事業と捉え、生態を無視しむしろ投機的にすらなっている。
 つまり木材価格が上がるとみれば、広域的に伐採を進め後は知らん顔。その結果土砂流出が増えて砂防ダムやその他防災工事に金がかかる。密植をやると、樹が育たなくなるので付加価値が付かない。結局は間伐材にもならず捨てられてしまう。
 こうなる原因は林野庁が農水省の天下り先で、管理職クラスもみんな短期任務。何事もなく本省に帰るのが目的。これでは末端はやってられないから無責任になる。これでは林野行政が破綻するのは当たり前だ。
 これを避ける方法として民営化は一法だが、リスクも多い。最大のリスクは森林運営会社が短期利益に奔れば今以上の弊害をもたらす。もう一つが外国籍企業の場合だ。
 これを避けるにはまず応札企業に対しては、天皇n云う「国民の財産である森林を守る気概・信念・理念を有するかどうかを審査し、(1)森林運営の入札に当たって、40年以上に渉る森林維持計画書の提出を義務付ける。(2)逮捕権を有する森林保安官のような警察制度を設け、違法伐採等を取り締まる。
(19/06/03)

 やっと朝日も太陽光発電のC/Pと環境問題に気が付いたようだ。毎日はどうでしょうか?筆者はズーット以前から太陽光発電・・・だけでなく再生エネルギー全般・・・について疑問を投げかけていました。その理由は、日本列島の地理学的・地質学的位置が再生エネルギーに向いていないからです。だからと云って原発というわけではない。原発こそ日本列島の地質環境にとって最悪の選択です。
 では何が最も適切か?難しい問題ですが、とりあえずの答えは水力(特に中小水力)の活用と水素エネルギーの開発です。
(19/03/23)

 昨日北陸のある漁港に、深海魚である「リュウグウノツカイ」が水揚げされました。昨年より一月近く遅いような気がする。それはともかく、ここ数年日本、特に日本海沿岸に北朝鮮漁船と並んで増えているのが、深海魚の漂着です。
 これはどういうわけか?ずばり温暖化の影響です。魚類を始め海棲生物は生存環境によってすみわけをしています。その主な物理的指標は、水圧、水温、塩分濃度、溶存酸素量などです。特に水圧、水温は大きく効いてくる。当たり前だが、水圧は水深と共に増加し、水温は低下します。また水深増加にともない、塩分濃度は増加し、酸素量は低下する。それぞれの生物種はこれらの変化に応じてすみわけしているのだ。
 温暖化によって日本海の海面水温は、夏季には高くなる。熱はエネルギーだから高いほうから低いほうへ流れる。つまり海水面を温めている熱は次第に深いほうへ流れ低r句。ところが媒体となる水は比熱が大きい。逆に言えば熱伝導率が低い。つまり温め難く冷め難いため、夏に受け取った熱が深海に達するのに時間が掛かる。これがポイントである。
 この結果、秋から冬にかけて深海魚の生息域の水温がたかくなる。すると高い水温ではすめなくなるから、より低い水温を求めて更に深海に潜る。当然水圧は大きくなる。それに耐えられた魚は春、水温が低下するまで我慢できるが、耐えられなかったのが気絶して海面上にうかんでくる。
 大部分は鮫やシャチなどの肉食海棲生物の餌になるが、免れたものが海流に乗って日本海沿岸に打ち上げられる。ということで、地球温暖化の影響は、単に地球表面だけでなく、地球表面の3/4を占める海の深部でも起こっていることをお忘れなく。トランプにこんなことを言っても、馬の耳に念仏だろうが。
(19/01/15)

 太陽光電気の買取価格が今後更に値下げされる見通しだ。諸外国の例はよく知らないが、日本の買取価格は高すぎる、それが電力会社」の不満となり、それに政治的圧力が加わって、今回の答申につながったのだろう。この結果どうなるでしょうか?個人で太陽光パネルを買い込んで、さあこれから儲けるぞ、と思っていた人にとっては詐欺にかかったようなものだ。
 またこの業界に金儲け目当てに乗り込んできた、〇〇エナジーとかいうような会社にとっては大ショック。特に高利回りをうたって、ファンドを作って資金集めをしたような会社は大変だ。下手すると倒産である経産省は企業側に更なる企業努力をと気楽なことをいっているが、太陽光発電で出来る企業努力など、どんなものがあるのか?人間の力で太陽活動を活発化させることはできない。出来ることは設備のメンテナンスの省略ぐらいしかない。
 先に挙げた個人の発電なら、リスクは個人で負担すればそれでよいが、法人発電、特に山間地を利用したメガソーラーは、その影響は地域全体に及ぶ。特に問題は地域防災である。最悪のケースは、事業者が採算悪化を理由に途中でほっぽらかして逃げ出すケースである。この場合、用地は荒れ放題、部分的に太陽光設備が残っているが誰も引き取らない。誰が後始末をするのか?こういうケースを現在の法律では何も規定していない。結局は、地元自治体負担になる。無論自治体にもそういう事業を誘致したのだから一半の責任はある。しかしその恩恵に浴さない一般住民にとって、迷惑以外の何物でもない。
 これにつけても、太陽光発電事業を始めるときの、管直人と孫正義のお手て繋いでのサル踊りが思い出される。所詮サルにはサル知恵しかないのである。
(19/01/10)

 巨大太陽光発電基地が計画されてる静岡県伊豆地方の山地。筆者はいずれこんなことになるのじゃないかとおもっていた。原因は自然エネルギー強制買い取り制度という、元禄時代の「生類憐みの制」に匹敵する愚策・悪法である。これをたくらんだのが、管直人と孫正義。それに図に乗った経産省の悪党達。とにかく基地建設に当たって、環境アセスも地元抗議も何にもないのだから、マサに無法地帯だ。
(18/11/09)

 口絵で紹介したような、太陽光発電を目的とした大規模開発計画は各地でトラブルを起こしています。トラブルの内容は、口絵のように計画時の不法開発とか、そもそも開発計画に問題があるとか、造成工事や運転に伴う周辺環境破壊などがあります。この開発は、リニューアルナジーという東京の外資系企業が、太陽光発電基地造成のために取得し、不法伐採した岐阜県の国定公園。土地所有者はタックスヘイブンで有名な英領バージン諸島に本社を置く企業。いずれこんなことが起きると思っていた。


 この根本原因は現行の電力強制買い取り制度にあります。この制度のため、エネルギーや土地開発の素人がこの業界に参入してきた。更に素人の中には、結構怪しいブラック紳士もいるわけで、こういうのは日本の法規制を無視して利益追求に奔る。それが本来環境に優しいはずの再生エネルギー基地が逆に環境破壊という皮肉を作るのです。
 そして問題はそれだけでは済みません。これは電力会社の採算を著しく損ないます。強制買い取り制度は電力会社が発電者から自社より割高の価格で買い取る制度です。その差額は誰が払うかというと、一般消費者です。
 以前九州電力が強制買い取りを拒否したのはこれが原因です。問題はこれだけではない。再生エネルギーが課題になると、その分既存施設を停止するなり、破棄しなくてはならなくなる。ところが再生エネルギー電力は不安定だからバックアップ設備が必要だ。結構手間がかかるのである。
 更に上の岐阜県の例でみるように、外資系企業の利益のために日本の一般消費者が高い電気料金を払わなくてはならないのである。これというのも、福島事故の後、管直人と孫正義の手を組んでのサル踊りから始まったのだ。
 筆者は別に再生エネルギーを全面否定するつもりはないが、少なくとも現在の電力強制買い取り制度は廃止し、もっとまともな制度にすべきだ。強制買い取りなど、形を変えた統制経済・共産主義経済だ。
(18/09/30)

伊方原発差し止め訴訟は大分地裁でも原告敗訴。ここでも政府の圧力が加わったのだろう。筆者は伊方はそもそも立地地点の選定が間違っている、と考えている。あんな「中央構造線」の目の前に原発を作る神経が分からない。
 2年前の熊本地震は明らかに「中央構造線」である。又’11東北太平洋沖地震以後、関東地方で「中央構造線」を起因とすると考えられる地震が結構発生している。同一地震帯での地震は、右から左へと振り子のように移動する傾向がある。とすると、今後数10年以内に四国の何処かでM7級の地震が発生するおそれはある。
 佐田岬の北に「中央構造線」という、日本でも第一級の活断層があるというぐらい誰でも知っている。ではなぜ四電はこんなやばい場所に原発を計画したのでしょうか?一つは旧通産省が各電力会社に対し、原発建設を義務付けたことが引き金である。この時、サービス面積が本土で最も小さい四電としては、あの場所しかなかったのだ。原発立地制度をもっと融通の利くようにしておけば、わざわざあんなところに原発を作らなくて済んだろう。無論訴訟リスクも少なくて済む。
18/09/28)

 四国電力伊方原発再稼働差し止め訴訟判決が一昨日広島高裁であり、原告敗訴つまり再稼働容認という判決がでた。判決理由は1)10年以内に破局的噴火が生じるという予測を前提とした、現安全審査基準は不合理である(つまり、予測は出来ないから、心配しても無駄ということ)。2)阿蘇山の噴火は9000年前の噴火を最後に生じていない。今後原発稼働期間中に再噴火するとは考えられない。仮に噴火が生じても、火砕流は阿蘇カルデラ内に留まる。*3)原発政策は政府が関与している。3)原発の停止は世間一般の風潮とかけ離れている。
 というものであるが、これは被告(四国電力=その背景には国がいる)の言い分そのままということは直ぐにわかる。筆者はここでこの判決のバカバカしさ、非論理性を批判しようとは思わない。むしろこういう馬鹿判決を書かなければならなくなった、三木裁判長に同情したいぐらいだ。
 まずこの判決の背後にある力を吟味してみよう。理由は大きく二つある。
  1)四国電力の経営基盤
  2)プルトニウム処理
1)四国電力の経営基盤
 四国電力という会社の規模は、電力会社としては沖縄、北海道に次ぐ、したから数えて三番目程度である。特に近年の人口減少や管内企業の移転・廃止で電力売り上げは低下している。更に今年7月豪雨や台風21号の影響などで、保有設備がダメージを受けた。そのため採算性は著しく悪化した。そのため伊方原発再稼働は、四電再生の切り札となった。このことは電力事業会でも無視できない。現在のアベ政権支持団体の一つに電力事業会がある。
2)プルトニウム処理
 原発から発生する使用済み核燃料を再処理すると、プルトニウムができる。再処理してプルトニウムを除去しなければ、高レベル貯蔵施設が作れなくなるのである。本来はこれを高速増殖炉「もんじゅ」で処理すえうはずだったが、「もんじゅ」が度重なるトラブルで廃炉となった現在、とりあえず受け入れ先は伊方で予定されているプルサーマルしかない。だから経産省原子力政策局、それを権力基盤の一つとする現在のアベ政権にとって、片再稼働は必須の命題なのである。
 かくて、電力事業会と経産省の両者から圧力を受けたアベ官邸は、伊方再稼働を実現すべく法務省を通じて最高裁に圧力をかける。法務大臣はアベチルドレンの上川陽子。分かりましたえお最高裁の誰かに電話する。官邸の意向を忖度した最高裁は、現場n裁判官にそれとなくにおわせる。
 本訴訟については、既に広島高裁で再稼働不可の判決がある。一般に判決は原判決を重視する。それをひっくり返すのだから、裁判官も大変だ。しかし裁判官といえども、役人であることには変わりない。色々悩んだ結果、被告の言い分丸のみ判決にしたのだろう。従って、この判決には殆ど・・というより全く・・・法律的意味はない。木っ端役人が自分可愛さにひねり出した、言い訳にすぎないのである。論理的には様々な問題があり、説得力に欠ける乱暴な判決と言わざるをえない。
*筆者も個人的には、阿蘇山再噴火による火砕流が伊方に到達するとは考えていない。仮に巨大噴火による大規模火砕流が生じても中間の伊予灘、で火砕流は固結してしまう。しかし火山灰の降下はありうる。地震と異なり、火山噴火は入念な観測を行えば予測は可能である。
(18/09/27)

 台風12号が去っても、連日の猛暑。ところでこの暑さ、過去1万年の間で最も暑かったといわれる、縄文早期(6000~4000年前)に匹敵するものです。つまり日本人は、未だこれ以上の暑さを経験したことがない。未知との遭遇です。
 この暑さが5000年も続いたから、地球の海水面は1万年前から平均で40mも上昇した。この間の海水面の上昇率は平均で、1.0㎝/年です。最近の研究では、過去10年間での海水面上昇率は0.3㎝/年とされる。未だ余裕があるじゃないかと思う馬鹿もいるでしょうが、統計的に有意と認められる値なら馬鹿にしてはならない。断熱環境下では放射熱は蓄積する。温度上昇率は時間のべき乗でぞうかする。気温が今のままなら、海水面上昇率が縄文海進期のそれに近づくのは時間の問題。
 だからと言って海水面が40mも上昇するわけはない。南極・北極・グリーンランドの氷床を全部集めても、1万年前の数分の一だから、みんな溶けても、海水面上昇は数mから10mぐらいでしょう。
(18/08/02)

 コイズミ純一郎がいきなり原発即時停止を求める議員連盟を立ち上げ、その法案を作ろうといいだした。なんでまた、という気がするが本人は至って本気なのだ。彼は元自民党総裁で、政策的には原発推進か少なくとも容認派だったはずだ。ところが一転してころりとテーゼを変えた。似たような例はイギリスのサッチャーだ。彼女は保守党員でしかもイギリス経済の立て直しを公約に掲げて首相になった。そのためには環境問題は二の次になるはずだ。ところが首相を辞めた途端始めたのが環境保護活動。世間は「鉄に女」が「緑の女」に変わった、と皮肉った。
 この点では両者は変節漢で、河野太郎と同じように見える。しかし根本的に違うのは、河野太郎は権力に近づくための変節だが、コイズミ・サッチャーは権力を批判するための変節で,、方向性は180度異なるのある。このトンデモ提案、与党は無論絶対反対、野党はというと共産・社民は賛成、立憲もその気になっている。しかし希望・維新はおそらく反対。何故なら希望支持団体に電力労連があり、それが原発再稼働派なのである。
 では既に原発がある自治体ではどうか?住民は別にして議会レベルでは反対多数になるだろう。その理由は、福井・青森・島根など原発が立地する自治体は原発による電力交付金や国からの補助金が既に一般財源化しており、これがなくなれば県財政が成立しなくなるおそれがあるからだ。
 しかしこれはおかしな話だ。原発立地自治体には通常の電力交付金に原発分が上乗せされる。これは迷惑料でもあるが、本来は原発事故があった時の避難所整備や補遺車線モニター施設、原発に頼らない地域経済の創出の原資に充てるのが主旨だったはずだ。ところが地方の田舎者は、それを無駄な鉾もの作りや議員とその周辺の飲み食いに費消してしまって、気が付いたら何にもない。みんなそろってキリギリスをやっていたのである。
 筆者は別に原発推進論者でもなければ、積極的反対論者でもない。ただ原発は最早時代遅れの厄介ものだというのだけは間違いない。本来核エネルギーの最終段階は熱核融合炉で、原発はその間の繫ぎという位置づけだったはずだ。ところが熱核融合炉の開発は遅々として進まず更にアメリカがブッシュ時代に原発優先にシフトしたため一気に原発が息を吹き返しただけである。東芝の破綻も、このアメリカの方針転換に乗せられたようなものだ。
 また、資源エネルギー政策は国家の安全保障と密接に関係する。日本にはウランが産出しない。従って原発燃料となる酸化ウランは全量アメリカから購入し、それを日本原燃が東海工場で精製して各電力事業者に販売するのである。ここでアメリカが心変わりしてウラン供給をストップすれば、日本の核燃事業は終わりだ、それを避けるために考え出されたのがプルトニウムを使った高速増殖炉である。
 ところが文殊事故の後、これの再稼働が全く見通せない。つまり現在の原発政策は国家安全保障と矛盾したものになっている。従って今後、原発を除いたエネルギー供給源の多様化が必要となる。これにはいろいろあるが、筆者が今一番奨めるのが水素エネルギーである。
 原料である水素の取り方にもいろいろあるが、最もポピュラーなのが水の電気分解である。日本の周りは海で、水はいくらでもある。但し海水だからこれを一旦濾過した方が消費電力が少なくて済む。濾過の過程でスラッジ(残さ)が発生する。これは見かけ上産業廃棄物だが、これが実は宝の山なのだ。
 海水中には地球上の殆どあらゆる鉱物が溶けている。その中に金・銀・プラチナなどの貴金属もふくまれる。これが結構馬鹿にならない量になるのだ。水素エネルギー開発は単に水素だけでなく、他にいろいろ恩恵を与えてくれる。
(18/01/13)

 「もんじゅ」の廃炉が決まったのはよいが、新しい高速増殖炉を作るという。作るのはよいが、一体どこに作るのでしょうか?今更手を挙げる自治体がそんじょそこらに居るとも思えない。
 それは別として、今更何故「もんじゅⅡ」を作るのか?これについて原子力委員会は声を濁して多くを語らない。ずばり、これは官邸の意向である。その心は東芝救済にある。東芝はここ数年粉飾決算がばれて、海外投資家から株を売り浴びせられ、おまけに海外受注も思うようにならない完全死に体状態。このままでは経営破たんお陀仏だ。無論東芝には、過去現在を通じて通産OBが大勢いる。彼らが集まって、てアベに救済をお願いしたのだろう。それでなくては、核燃開発サイクルを、従来の文部科学省から経産省主導に移せ、という話が出てくるはずがない。果たして、経産省の腕が、文科省より上なのでしょうか?
 ワタクシが思うに、今日本で潰したほうが良い会社は3社ある。東京電力・東芝・三菱自動車である、ついでにカジマもか。どれも経産省管轄で、経産OBの天下り先。だから経産べったりで競争が働かず、イノベーションが働かない。その挙句が自分のチョンボを他人・・・つまり政府を通して国民へ・・・転嫁すればよいという文化が生まれる。東電福島汚染水問題も、そもそも言えば東芝のチョンボである。こういうノーナシ厚顔無恥の連中が、エリート面して日本にのさばっているのだ。というわけで、何年か先に、ン千億だかを無駄使いして「やっぱりできませんでした」という物理やがでてくるだろう。
 原子力屋の悪い癖は、エネルギーを電気でしか換算できないことである。核エネルギーの欠点は、莫大なエネルギーを生み出すにも拘わらず、それが熱にしか転嫁できず、その熱も電気にしか置換できないという、エネルギー供給の単線性にある。原子力エネルギーは直接家庭暖房や、自動車・飛行機には使えない。これに比べ水素ガスエネルギーはより多様性に富む。
 仮に新高速増殖炉が出来て、それが日本全土のエネルギーを賄えるようになったしよう。そこに北朝鮮のミサイルが命中すれば、日本のエネルギーはお陀仏だ。だからエネルギーの特定源への集中は安全保障上も危険なのである。
(16/09/24)

 最近報道を見て気が付くのが、熊被害。これは北海道だけでなく秋田や山形など本州各県でもよく見られる。今年が特に多いのか、例年こうなのかよくわからないが、短い期間中にこれだけ集中するのは珍しい。一般に本州の月の輪熊は人を襲わないといわれるが、そんなことはない。筆者が昔住んでいた仙台のアパートの2階の佐藤さんの奥さんが秋田出身で、父親がやっぱり熊に襲われたらしい。
 特に危険なのは冬眠明けの5月頃で、本州でも毎年この時期には、何件かはある。危ないのはクマザサの生えた疎林。八幡平など、この時期には登山道から絶対に外に出てはならない。そういえば、佐藤さんのお父さんが襲われたのも八幡平だった。なぜこんなに人間と熊が遭遇する機会が多くなったのでしょうか?温暖化の所為か?去年がエルニーニョで餌が減ったので、腹を空かせて人間に近寄ってきたのか?
 なお、北海道での小学生行方不明事件。最初熊におそわれたか、と思ったが、テレビ映像を見ると現場は密植林で熊は出そうにない。また、結構車も通るようだから、熊は恐れて出てこない。だから、原因は熊ではないように思われる。ただ熊よりこわいのは今の父親のアホさだ。
(16/05/30)

 関電高浜2・3号機の再稼働差し止め訴訟で、大津地裁は原告主張を認め、被告(関電)に対し、一日だけの審理で6/10までに反論書提出を命じた。約一か月もあるから筆者には十分と思うが、関電はそうはいかないらしい。能力が不足しているのだろうこれに対し関電だけでなく経済団体の反発は大きく、彼らはたかが一地方裁判所の裁判官が国家事業を左右するとは何事か、今後このような判決が出ないように法整備を行うべきだ、などとお門違いの八つ当たり。
 大津地裁」が一地方裁判所なら、関電だって地方の一企業に過ぎない。裁判所は三権分立の建前で消えることはないが、関電は電力自由化のお陰で、何時倒産してもおかしくないのだ。経済団体の言い分をそのまま受け取れば、たかが一企業の採算性のために法律を変えることになる。例えば東芝の粉飾決算もパナマ文書も、法律を変えてしまえばなかったことにできる。こんなのを認めれば日本は法治国家ではなく、野蛮なハゲタカ資本家国家になってしまい、国際的に相手にされなくなる。
 何故このような裁定がなされたかだが、一審における関電の対応に問題があったのではないか?例えば原告が要求する資料を出さなかったり、裁判官の質問に対し、曖昧な答えで返したり。そういうことの積み重ねで裁判官の心象を害したのだろう。そうでなければ、たった一日で審理が終わるはずがない。
 そもそもバブル時代以来、日本の経済界の質的低下は著しい。特にひどいのが関西経済界である。例えば北陸新幹線やリニア問題である。両方とも半世紀以上前から話題に上っていた。関西財界は最初は結構動いていたのだが、ある時期から両方ともほったらかしていた。それが北陸が金沢に延伸し、リニアが名古屋まで具体的になると、途端にしりに火が付いたようなドタバタ騒ぎ。何を騒いでいるかというと、ルート計画をまとめるわけではなく、ただ政府に予算化を陳情するばかり。ルートでは各自治体が足の引っ張り合いをするだけだ。地方分権が聞いてあきれる。こんなことだから一地方裁判所の決定に大慌てするのである。
 昔、松下幸之助や日向方斎のいた頃の関西財界はこうではなかった。バブル崩壊後、関西系大企業の多くはみんな本社機構を東京に移し、残ったのは二流三流の関西ローカル企業とお上の顔色ばかり窺う体制へつらい経営者ばかり。だから発想もローカル限定になり、グローバルになれず、村上ファンドごときにもてあそばれるのだ。
 高浜がダメということは、原発は今後ダメということに他ならない。原発なしでのエネルギー政策は、政府から与えられるのではなく、自ら開拓していかなければならないのである。
(16/05/11)

水俣条約の所為で地球上から水銀が消えようとしています。別に水銀のかたを持つわけではないが、様々な計測(気圧、血圧、体温、電導度等)の基準物質として、最も信頼できるのは水銀である。
 最近は電子計測が主流だが、これが実にあてにならない。昨年医者の奨めで、血圧計を買った(シチズン製・電子式)。これが最高200幾らというとんでもない数字を出すので、測るのを止めた。電子式というのは操作は便利だが、それが示す数値がホンモノかどうかわからない自然科学の専門家から見ると、あんないい加減なものはない。
 こういうことが起こる理由は、メーカーが出荷するときにキチンと較正試験をしないからである。その基準物質が水銀なのである。それとメーカー側に計測の専門家が居なくなり、計測はおろか数値そのものにも弱い文系営業サイドで全てが決められるようになったことが大きい。東洋ゴム免震ダンパーデータ捏造や、横浜ララ沈下問題も、みんなそういうことだ。
 水銀を追放すると、上に挙げたいい加減な数値が社会に蔓延し、とんでもない事態になるだろう。だから基準数値を確保しておくためにも一定量の水銀は確保すべきである。
(16/02/03)

 ブラジル発ジカ熱シンドローム。蚊を媒介する感染症と言うことだから、エイズやエボラと同様のウイルス性疾患90年代化石燃料に対抗してバイオ燃料が流行った。その代表がブラジル発の森林バイオ燃料。この結果ブラジルでは、毎年九州と同じだけの面積の森林が伐採された。
 ジカ熱ウイルス媒介蚊もこの段階で、周囲に拡散し、ウイルス自身もその過程で進化を遂げたのだろう。何事も限度をわきまえなくてはならない。ワタクシが聞きたいのは、あの当時バイオ燃料をもてはやした、左派系ジャーナリストや政治家、バイオ企業にパイプを持つ評論家達の言い訳である。
(16/01/27)

 ここ暫くの暖冬で東北・北海道に雪が降らず、スキー場はあがったりだそうだ。しかし今年は初めからエルニーニョといわれてきた。この場合冷夏暖冬になる。そのとおりになっただけだ。
 何故雪が降らないかというと、冷夏のため日本海の水温が上がらず、低気圧が通っても水蒸気が上昇しないからである。エルニーニョの場合、暖冬になるが、深海魚も現れない。皆さん何故か判りますか?
(15/12/17
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 政府・・・というより経産省・・・の後押しで宮城県知事の村井が進めてきた、宮城県内での指定処分場立地調査対象3町の反対で頓挫。一方政府は千葉県にも色目を使ったところ、千葉市長が話し合い拒否。千葉市が反対なら千葉県も身動きできない。
 千葉市の言い分は「ゴミはそれが出来たところで処分すべきだ」と言うことらしい。しかしこれはいささか虫の良い言い分だろう。福島始め地方だって、別に自ら原発を進んで誘致したわけでもなく、国策だということで政府と電力会社に云いくるめられただけだ、と言うだろう。筋論で言えば、ゴミは受益地即ち電力消費地の責任で処分すべきである。即ち、東電管内なら、東京・千葉・埼玉・神奈川4都県、東北電力なら宮城県特に仙台周辺、関電なら大阪・京都・神戸周辺で引き受けるべきなのである。
 技術的にこういった人口稠密部に処分場を作ることが可能かという疑問はあるだろうが、十分可能です。人口稠密といっても、それは地表面付近だけのこと。指定処分場を地下数100mとすれば、そこは誰も住んでいない無人の荒野。技術的には何の問題も無い、あとは建設コストだけだ。
 ワタクシが関西で狙っているのは、宝塚北部山地。ここは白亜紀後期の流紋岩質火砕岩で出来ている。これは化学的にはガラス質岩石。ハイレベルペレットはガラス固化体で固定化されるが、この山は全体がガラス固化体のようなものだ。長期間での風化に対する安定性は保障できる。問題はここまでペレットを搬入する手段である。陸上からでも構わないが、もう一つは地下ルートを使う手がある。
 あの役立たずの神戸空港を廃止して、そこに縦抗を掘り、宝塚までトンネルを掘ってしまう案である。やりますか?
(15/12/14)

福島県富岡町の指定処分場建設を巡り、環境大臣が富岡町の要望を国費でまかなうと発言。この富岡町の要望とは、やれ道路を作れ、何とか会館を作れ、殆ど人の乗降もない、聞いたことのない駅の駅前整備等々。これ幸い、この際なんでもふんだくってやろうという山賊根性。昔ながらのバラマキ要求だ。だから昔から訴えとおねだりしかない東北人は駄目なのだ・・・お笑いしかない大阪人も駄目だが・・・。むのたけじなら、「東北は堂々と要求しよう」とヤクザの後押しをするだろう。これが元共産党員なのだからあきれる。
 元々が過疎地域で、しかも人口減少化の影響を一番受けやすい地域。そんな所にこんなもの幾ら作っても、10年も経てばぺんぺん草だ。富岡町もこんな短期効果策ではなく、もっと長い目で見た地域振興策を出さなくてはならない。
 そもそも日本の環境法では、公害対策は原因者責任が原則である。従って、富岡町の要望は東京電力の負担で行なうべきである。その費用は受益者負担原則で、東電の電気料金を少し上げればそれで済む。この件の問題は、こういうことを一々認めておれば、企業の犯した失敗をみんな国が面倒見ていかなければならなくなる前例を作るKOTO
だ。これを敷衍すると、日本は民主党もビックリの、とんでもない「大きな政府」になってしまう。これは「小さな政府」「行政効率化」を謳うアベ自民党政策と大きく矛盾する。しかしそんな矛盾は、自民・長州巨大利権にとっては小さい話だ。
 当のバカ環境大臣の丸川珠代とは、元日テレ女子アナで、「タケシのテレビタックル」で顔を売った。しかし番組中は何も喋らず、物言わぬアナウンサーで有名だった。大臣になった途端、云ったのが町の要求への「ウン」だけ。この大臣言語障害ではあるまいか?もう少しましな返事をしろ。
 何でこんなバカ女を大臣にしたのか?これはアベ晋三の好みとしか思えない。このボッチャンの好みは、目鼻パッチリ派手顔、頭はどうでも良い。女房のアキヨタイプ。女房との間に子供が出来ないから、どうしても外に目が行くのだ。アベとヤッタか?アベもステロイドホルモンの影響でヤル気十分、機能回復。とっくにアベ家は仮面夫婦状態。その程度は誰でも知っているが。
(15/11/19)

 宮城県加美町田代岳にある砕石場跡が核最終処分場候補になって、二人の学者が視察した。それはともかく一体何処の誰が、こんな町を候補に挙げたのでしょうか。
 加美町は奥羽脊梁山脈の一つ、栗駒山の南東に広がる火山山麓斜面中にある。この斜面下には第四紀火山活動にともなう新しい火山倣出物(溶岩、火山砕屑岩、火山泥流など)が厚く堆積する。こんなのは到底貯蔵層には成りえない。透水性が大きいだけでなく、地山強度が低く且つ地山土質の変化が激しい。例えばロームのような火砕流堆積物の中に、いきなり安山岩の溶岩が出てきたり、或いは祖粒の火山砂があって水が噴出したりする。そのため切り羽前方予測が困難なので、そもそもトンネルが無事に掘れるかどうかも判らない。おまけに田代岳の北方数10㎞には鳴子温泉があり、加美町内にも多数の温泉がある。つまりこの地域は地熱地帯なのである。
 ではその下はどうかと言うと、所謂グリーンタフという中新世の火山岩や堆積岩。トンネルは地山はなんとか自立しても、地熱が高く大量湧水もあって大変な難工事になるだろう。それより地山の透水性が高い。国際指針では、最終処分場の地山透水係数は1×10-7~8㎝/sec以下とされるが、グリーンタフのそれは、これから3~4桁大きい。これだけでアウト。
 今回彼らが調査に入った田代岳というのは、安山岩のネックではないか?第四紀火砕流の中には時々安山岩岩頚(ネック)がある。宮城県栗駒ダムや仙台市釜房ダムなどは、ダムサイトをこれらネック上に設置したものである。ネックは平面的な広がりに限界があり・・・せいぜい直径数10m程度・・・、到底最終処分場が必要とする空間を満たすことは出来ない。従ってアウト。
 そもそも最終処分場は高温の核廃棄物の温度を、長期間に渉って下げることが役割。それをよりによって何故地熱地帯に設けようとする神経がわからない。付き合わされた大槻憲四郎も大迷惑だったろう?なお、もう一人の谷と言うのは、地盤工学専門というから、こうう問題には全くのシロート。シロートに何を任せようとしているのか?
 ワタシなら、最終処分場は地熱が高く、おまけに太平洋プレートからの巨大地震の脅威にさらされる東北日本より、西南日本に持ってくる。具体的には兵庫県宝塚北部山地、同じく家島、香川県小豆島の砕石場だ。宝塚北部の地山は白亜紀後期の有馬層群という火山岩。核廃棄物はガラス固化体という形で保管されるが、この地域は全山がガラス固化体のようなものだ。つまり風化に強いのである。それは周囲の花崗岩やジュラ系地域との風化深を比べれば一目瞭然。だから化学的安定性は絶対に保証できる。
 家島・小豆島の地山は花崗岩。瀬戸内海国立公園の一部だが、砕石場は公園地域から外されている。何より地温が低い。何故なら、この辺りで温泉を掘ると必ず失敗する。何処を掘っても温泉が出る加美町とは大違いなのである。例えば処分場レベルを地下500mとすると、地温は瀬戸内地方なら25~28゜C位、これが加美町になると40~50゜C或いはそれ以上になってしまう。国道158号平湯調査抗では坑内温度が50゜Cを越えると、熱射病で抗夫がバタバタ倒れたという記録がある。つまり貯蔵以前にトンネル自身がまともに掘れるかどうか判らない。
 こんな場所に調査など無駄であるが、もしやるなら今回のような、表面をチョコチョコさわるのではなく、思い切って1000m位のボーリングをやって、キチンと温度や透水係数も測り、ボ-リングコアを使って強度も測るなどの手順を踏んだ上で、やるかどうかを決めるべきである。このためのコストはせいぜい1億だ。数箇所の候補地があったとして数億か10数億で済む。会険で掴まった数100億の馬鹿支出を少し減らせば簡単に出る。
(15/11/16)

 九電川内原発が再稼動しましたが、ここで問題に残るのは核廃棄物(ハイレベル)最終処分問題。フランスで核最終処分地選定に関する法律を、政府が全然別の経済関係法案にこっそり潜り込ませていたことが」ばれて大騒動。フランスの最終処分場深さは500mだ。これは北フランスからイギリス南部に分布する白亜系の透水性が高いので、その下のジュラ系や二畳系を考慮したものか?
 それに引き換え我が日本ではどうだ。元々ハイレベル処分場は地下1000mだった。それがいつの間にか600mになり、更に何時の間にか300mになってしまった。地震のないフランスやフィンランドより浅いのである。
 何故こんなに浅くなったのでしょうか?それは電力業界が目先の短期利益確保に奔ったからでしょう。元々電力業界は金持ち喧嘩せずで短期利益には無関心。もっぱら政治活動を重視。だから殿様商売と誹られる。風向きが変わったのは80年代から。海の向こうのアメリカではレーガノミクスがもてはやされ、イギリスではサッチャリズムが吹き荒れる時代。
 これらの傾向に影響された経済学者や経営コンサルタントという悪党が、電力会社経営陣の洗脳にかかった。その結果が東電の生産性向上運動や関電のTQC。お陰で社内は大混乱。誰も会社批判をしなくなった。中間管理職の中には鬱病患者や自殺者まで出ている。その旗振りを努めたのが竹中平蔵。あの”英雄”となった東電福島第一原発の吉田元所長も、東電生産性向上運動旗振り役だったのだろう。
(16/08/11)

 関電が美浜原発耐震設計で、震源位置を4㎞から3㎞に修正することで原子力規制庁と決着。なんだこりゃ?バナナの叩き売りじゃあるまいし、震源位置を客との交渉で決めるのだから、学問でもなんでもない、ただの山勘バザール商法だ。
 そもそも不思議なのが規制庁側の言い分。大飯・高浜が深さ3㎞なのに美浜だけが4㎞と言うのはおかしい。何故おかしいのかがよく判らない。これ、木っ端役人がよく使う横並び主義。理論的根拠など何にもない。ただ政府や市民団体に説明しやすいというだけの言い逃れ論法。
 そもそも震源が3㎞だろうが4㎞だろうが結果には殆ど影響はない。おまけにこんな浅い深度で起こる地震の規模などせいぜいM3~4位で大したことではない。テレビの地震速報でこういう地震がありましたというレベル。この程度のことで、大の大人が時間を浪費していることが問題なのである。
(15/08/01)

突如シベリアに現れたクレーター(朝日新聞デイジタル)。これは陥没です。温暖化で地下の凍土が溶けガスが膨張して地盤を押し上げマウンドを作る。更にガス圧が高くなり噴出すると、地下に空洞が出来て陥没が生じる。陥没孔周囲の盛り上がりは、このときのマウンドの跡でしょう。


 凍土溶解でメタンガスの放出が増え、更に温暖化が加速することが懸念されますが、それより数万年間に渡って凍土に閉じ込められていたバクテリアやウイルスが目覚め吹き散らかせると、新たな風土病が発生することが懸念されます。特にロシア人は熱帯性バクテリアへの耐性を持っていないから、被害は悲劇的なものになるでしょう。
(15/07/23)

 フランスの原子力企業アレバが経営危機に陥り、フランス政府が救済に乗り出す。アレバといえば、福島第一原発事故の後、放射性物質除去装置の売り込みに日本にやってきた雌狐社長の、他人の不幸を商売にしようと言う嬉しそうな顔を思い出す。ところがこのアレバ製装置が全く役立たずで、半年後に日本製に入れ替わってしまった。あんなのは当たり前である。
 それはどうでも良いが、フランスと言えばキュリー夫人以来の核技術先進国。原発比率が70%を占める原発大国。政府の保護も手厚いはず。そんな国のトップ企業が何故経営不振に陥ったのでしょうか?彼の国も反原発運動が盛んになり、既成電力会社が原発離れを起こしたのでしょうか?いやフランス人は合理的でケチだから、容易に高い再生エネルギーに転換するとも思えない。
 するとなにかヤバイ分野に投資をしたのか?例えばエネルギー源を原子力頼りでは先行き危ないので、天然ガスに転換しようと思って、ロシアガス産業に投資したところ、ウクライナ問題でのロシア制裁の煽りを食って、天然ガスが入ってこなくなったとか。
(15/06/04)

  この程将来のエネルギー政策に関する政策会合で、30年時点で原発が最も割安という経産省試算が承認されました。つまり後15年は原発中心でいくという”決意表明”だ。さてこんな試算を頭から信ずる人がおれば、その人間の頭は空っぽだこういう場合の試算は、官邸とか役所のトップからこうせよという指令が出る。下僚はそれに従って、辻褄合わせのために数字をいじる。上手くできた役人は「ウイヤツだ」と出世コースに乗る。つまり出来レース、ヤラセなのである。この政官共同ヤラセに比べれば、NHKのやらせ騒ぎなど、幼稚園児の遊びだ。
 ワタクシ自身現役当時は公共事業で、一杯ヤラセ協力をさせられたから、裏はみんな見える。そもそも秋田高卒で集団就職で東京にやってきて、苦学の末今の地位にたどり着いた菅義偉自身が、官製ヤラセに立ち向かなくてはならないはずだが、ところが元々権力へつらい性格。アベイタチに擦り寄って、とうとう今の地位を得た。この地位をのがしてなるものか!後はひたすらイタチにへつらうにみ。これが秋田県人の性格か。山口県人も権力執着心は強い。それはいまも変わらない。ハゲネズミは常に権力者にペコペコ。すっかり官業甘い水を「吸ってウハウハだ。だから官業ヤラセはなくならないのである。
(15/05/11)

 アメリカのニューヨーク州で原発火災が起こった。場所はマンハッタンから60㎞と云われるから、大阪からなら京都とか神戸の距離。アメリカではこんなところに原発があるのだ。それどころではない、以前ある新聞で見たが、ドイツでは普通の住宅地の真ん中に原発がある。如何にかつての欧米人が原発に対し鈍感であったか、がよく判る。
 福島事故の後、メリケルが原発全廃を打ち出した気持ちはわからないではない。そのメリケルが何故か日米欧を後ろ足にモスクワに出かけ、プーチンと会談。何を話ししたのでしょうか?メリケルは東ドイツ出身、ロシア語はぺらぺら。内心ロシアシンパかもしれない。
(15/05/11)

先週茨城県海岸にイルカが150頭余り打ち上げられたのを見て、これは大地震の前触れだと語った専門家という人種がいるらし。彼等曰く、「茨城県沖には海岸に直交する磁場があって、この磁場が変化すると、磁場で自分の位置方位を確認しているイルカは方向感覚をなくして、誤動作する、そして大きな地震の前にはこのような磁場が変化するから、これは大地震の前触れである。しかもこういう現象は過去に数例見られている」だそうだ。
 海岸に直交する磁場とはなにものか?俄かには理解出来ない。地球は一つの磁石である。だから地球上では何処でも磁場を観測できる。磁場を表す尺度には強度と方位がある。茨城県沖に海岸に直交する磁性体があったとしよう。大地震の前触れとして磁性体近くの電位が変化することは・・・未だに確認されていないし、東大地震研から無視されている・・・期待される。その結果磁場も変化する。しかし変化するのは強度であって方位ではない。イルカは磁場の何を感じて行動するのか?自分の位置方位確認が目的なら、方位を感じているはずで、強度ではない。だからこの説は妄論である。そもそも茨城県海岸に直交する磁場をつくる磁性体とは一体全体何者か?その説明と証明がなければ、後の話はただのメルヘンだ。 
 筆者が推測するに、このところ長期にわたって太平洋岸に前線が停滞している。そこに向かって南方から湿った空気が流れ込み、北方から寒気が流れ込む。そこに低気圧が発生して、前線にそって降雨が継続する。その結果、太平洋岸海面の塩分濃度が低下し、更に水温分布が不安定になったので、イルカが自己コントロールできなくなったのだろう。数年前オーストラリア北部で、海亀が突如大量死するという事件があった。この年、この地域では稀に見る豪雨で、海水の塩分濃度が低下し、生態バランスを失ったのが原因だった。この遠因はやはり地球温暖化である。未だ他にもこの妄説を打破する根拠はあるが、今日はこの辺で。
(15/04/13)

東芝傘下のWH(ウェステイングハウス)がインドへの進出を発表した。WHといえばGEと並ぶアメリカの伝統ある重電メーカー。さてここで面白いこと判った。インドは従来原子力産業に関しては、もし事故が起こったら責任は事業者ではなく、機材納入業者に求めるという法律があった。例えば、チェルノブイリのように事故原因が事業者側の違法運転であっても、責任は電力会社ではなく原子炉納入業者にあるというわけだ。極端な国内産業保護政策である。それが今回アメリカとの交渉で、事業者にもコスト負担を求めるという風に変わったらしい。しかし、コスト負担と責任とは全く次元の違う話である。後者には未だ刑事訴追の可能性が残っている。よくこんな怖い契約にウンと言うものだ、と感心してしまう。やっぱり相手は騎馬民族か。ユダヤ商人も舌を巻くインド商人らしい。そういえば村上ヨシアキも父方の祖父はインド人。堀江などこれに比べれば可愛いものだ。
(15/01/28)

今年は「水素元年」
 現在注目されている新エネルギーに「水素」があります。水素エネルギーの活用は随分昔から言われてきましたが、なかなか前進しない。その理由は水素が取り扱いの難しい危険物資だからです。平成11年東京電力福島原発2号機の爆発も水素爆発です。しかし莫大なエネルギーも生みます。その最終段階は熱核融合炉ですが、その前にも様々に使われています。例えばH2Aロケットの主燃料は液化水素です。筆者は別に水素産業の回し者でもなんでもありませんが、様々な理由から、今後日本のエネルギー政策は「水素」を基本に考えるべきと考えられます。
 ある論理を実現化するために必要なことは「必要条件」と「十分条件」を同時に満足させることです。筆者がアベノミクスに不信感を抱く理由は、これはデフレ脱却という必要条件は満たしているが、これに国民経済が耐えられるという十分条件が不確かだからです。これは毎日新聞による年末日銀黒田へのインタビューにも現れている。
1、何故水素エネルギー開発が必要なのか(必要条件);
 これには化石燃料資源の限界、地球温暖化、原発の危険性とか既存エネルギーへの依存率を低下させる必要性があることは、おそらく全国民のコンセンサスを得られると思われることです。無論これに反対する守旧派もいます。その典型が経済産業省資源エネルギー庁原子力政策局に棲む原子力官僚と、その取り巻きである経団連傘下企業内での原子力村住人、それとこれらにたぶらかされた今のアベ政権始め自民党原子力族です。
 原子力エネルギーの利用については、大きく次の3勢力があります。
 1),上記原子力族に代表される推進派           ・・・・・・・経団連および自民党保守派・次世代党、経産省
 2)今は原子力は必要だから一時的に使用するが、将来的にはゼロに持っていく現実派。   ・・・・・・民主党主流派および穏健野党
 3)直ちに原発は廃止すべきという急進派            ・・・・・・・・共産党、社民党、民主党急進派(管派)
 筆者のスタンスは2)です。理由は将来の少子高齢化です。少子高齢化が進めば人口が減り、エネルギー消費も低下し、電力消費も低下する。敢えて原発など作って環境リスクを抱える必要性はない。無論これに反対するのが今の経団連と経済産業省、それに操られているアベはじめ自民党保守派である。彼らは人口減を食い止めるために移民政策を採ろうとしているが、それがプラスになった例はない。ISに代表されるホームグロウンテロリストの発生は、安易な移民政策の結果である。当に愚かな発想である。自民党も経団連も愚者の楽園なのだから仕方がない。水素エネルギーは2)による原子力エネルギーの経過的不足を補って、更にこれに取って代わるものです。
 次に筆者が注目したのは、昨年中国海軍が発表した海上軍事ドクトリンです。これは現在の共産党中央に承認されているから、今の習政権の基本方針と考えてよいでしょう。この中に日本を海上封鎖して経済的に孤立化させれば、日本はギブアップするだろうというのがあった。こんなことが現実に行われるとは思えないが、日本に対するブラフにはなる。これに対し日本はどう対処すればよいか。筆者が考えたのが水素エネルギーの開発です。水素の素は後に述べますが水です。日本は周囲を海に囲まれている。従来の資源政策は、これを日本の資源的弱点と考えてきた。しかし今は逆で海こそが日本の安全保障および資源政策の要になってきています。
水素エネルギーの源は水です。日本の周囲は全て水。これを活用すればエネルギー問題どころか、中国ブラフも気にかける必要はない。資源・エネルギーの自給は国家独立の最低必要条件です。水素エネルギーの活用はこれを実現し得ると思われます。原子力は所詮ウランの供給をアメリカに頼っているから、自給エネルギーにはならないのです。
2;水素エネルギーは現実的か(十分条件);
 実はこれは結構難しい。理屈の上では簡単だが、現実問題特に原子力に傾倒している経団連企業を説得するのが一仕事。一方昨年トヨタは、数年後水素エネルギー車の実用化を発表した。水素で自動車が動かせるのなら、発電用タービンだって動かせるはずだ。つまり技術的には殆ど完成しているのです。だからこれを議論することはもはやナンセンス。あとは採算が取れるかどうかだけです。
 一般の資源の採算性を決定するのは量的変化が大きい。例えば今世界が踊っているシェールガスやオイルは筆者が学生だった、半世紀以上前にその存在は判っていた。問題はシェールから、どうやってオイルやガスを分離精製するかという技術的課題とそのコストの解決だったのだ。その当時原油はバーレル当たりドルとか2ドル。こんな時代にバーレルン10ドルもするシェールオイルやガスをやるお人よしはいない。ところがどういうわけが、石油がバーレル数10ドルもするようになった。そうなれば高くつくシェールも採算に載るようになったのである。それが現在の原油価格低下を招いているのである。
 水素も同じで水素を作るには化石燃料から作るのと、水の電気分解で作る二つの方法があります。どちらも安い方法ではない。特に日本にとって有利な電気分解法は、電気料金が高ければ採算割れの可能性もある。しかし、原油価格は一定ではない。そのため大量生産すれば価格的に対抗できると思われます。その理由は原油価格は変動は激しいが、水素の素になる水は元々ただだし、価格は変動しないからです。
(15/01/03)

 この程山形県沖の日本海でメタンハイドレートの存在が確認された。存在は前から判っていたが、それを実証出来た成果は大きい。これで日本も資源外交で優位に立てることになる。尖閣沖の安物天然ガスなど、どうでも良くなると云うことだ。
 さてそこにガスがあるということと、それを採取するという事とは、技術的には天地ほどの差がある。今後の課題は、日本近海におけるメタンハイドレートを合理的に大量採取する技術開発である。筆者はこのテーマについてズーット以前から考えていたのだが、土木の技術を応用したほうが良い。それは連続地中壁工法の応用である。
 連壁工法とは大深度地下掘削に伴う土止め壁の築造に使われる工法で、地中に溝状のトレンチを機械で掘削し、そこに鉄筋コンクリート壁を作るものである。この地下掘削工法技術を使えば・・無論そのままは使えないが・・・・、メタンハイドレートの採掘は簡単である。何故そういう実験工事をしないのでしょうか?それが不思議千万。
(14/12/26)

 昨日のBSフジプライムニュースは結構重要な課題を取り上げている。それは原発使用済み核燃料処理方法である。ゲストスピーカーはNUMO理事長ともう一人は多摩大教授の学者。いずれも東大工学部卒の原子力屋。その経歴から見ても、両方とも原子力政策推進派であることは間違いない。しかし話が進むにつれて、両者の考えに若干のずれが感じられた。
1、再処理の必要性
 これは両者とも必要だと云う。但し理由は若干違う。NUMO理事長はここまでやってきたのだから今更引き返せないと言うばかり。多摩大教授は使用済み核燃料には金やプラチナなどが高品位で含まれているから、再処理でそれを得ることが出来る。こう云われるとワタクシも弱い。これは実際そうなんだから仕方がない。再処理によって日本の金プラチナ等貴金属保有量が増えれば、円に対する信頼性が回復し、そこで初めてアメリカに言いたいことが言えるようになる。それがないから、結局はアベのように、アメリカの言いなりにならなければならないのだ。
2、最終処分場立地地点の選定
 NUMO理事長はあくまで集中立地、つまり核廃棄物を一箇所に定め、そこに全ての核廃棄物を集めるその方が経済合理性にかなっているという主張である。では何処かと言うと全く具体性がない。私個人ではこれは全くナンセンスな発想である。何故なら最終処分構想が出て既に半世紀が経っている。ところが立地に同意する自治体は一つもない。つまりNUMO構想は既に破綻しているのである。
 これに対し多摩大教授は今年9月の学術会議提案を踏まえ、多元的立地を紹介。つまり電力会社の配電地域で処理せよということだ。無論NUMO理事長は猛反発、こんなものは非現実的だ!。
 しかしそうでしょうか?ワタクシは以前から、廃棄物処理は発生源で処理すべきと考えています。発生源とは現在の原発に他なりません。現在の原発の地下に中間処分場や最終処分場を作ればよいのである。これは技術的には大したことはない。トンネルが深くなったからとして、掘削単価が大幅に変わるということは無いのです。
 筆者の印象では、NUMO 理事長はあまりにも既得権益保守によりすぎている。あれでは地域の同意は得られない。これが東大工学部の限界だろう。一番の問題は電力業界やそれを後押しする経産省が、原発を作るだけ作って、その後始末を何も考えてこなかった、何処かへ押し付ければ良いと安易に考えてきたことだろう。そしてそれを吹き込んできたのが東大原子力なのである。
3、次世代エネルギーについて
 両者の意見を聞いて感じたのは次世代エネルギーについての言及がなかったことである。NUMO 理事長は仕方がないにしても、多摩大教授は世代が違うのだから、もう少しこのテーマについて発言があっても良いはずだ。それが無かったのは彼も又原子力村の一員だからか。
(4/12/11)

 シェールガス・オイルビジネスでアメリカに進出した日本企業が早くも撤退騒ぎ。撤退したのは今のところ住商・大阪ガスの2社だが、今後もっと増えるでしょう。撤退原因は掘った場所を間違えたことです。どちらもテキサスで掘っている。
 なんであんなところでシェールガスを掘ろうとしたのか?理解に苦しむ。住商の場合は近くでオイルが出ていると聞いたので、ここなら間違いないだろうと思ったのが間違いの素。これまでのシェールガス開発の経緯を見てみると、これは石炭とは相性は良いが、石油・天然ガスとは悪いということが判る。石炭と石油・天然ガスとはこれも相性が悪い。何故相性が悪くなるのかよく判らないが、堆積環境とかその後の熱・圧力環境の違いでしょう。
 テキサスはみんな知っているようにオイル・ガスビジネスの中心地。と言うことはシェールガスとは縁遠い場所ということだ。シェールガスビジネスをやりたければ、北部のイリノイ・オクラホマ・アイオア方面をターゲットにすべきだったのだ。
 要するに、ビジネスの仲介をやったブローカーやコンサルタントに騙されたということ。こういう馬鹿げた失敗をしたのは、日本企業に本物の資源地質の専門家がいなくなったからである。その原因を作ったのが、コイズミ政権時代に・・・アメリカブッシュ政権に騙されたか、脅されたかで・・・行われた石油公団の解体・廃止。あれで一番喜んだのが、ハリバートンのようなアメリカメジャー系資源ブローカーだ。ハリバートンのCEOはチェイニーブッシュ政権の副大統領、テキサス石油資本のボスだ。
 皆さん判るでしょう。なんか誰かに騙されている気がします。
(14/09/30

「浮体式原子炉のナンセンス」
 世の中には浮体式原子炉などというまがい物を信用して、世間を惑わす連中がいる。「浮体式原子炉」は以前、石原慎太郎が都知事時代に言い出したことだ。誰がこんな物を慎太郎に売り込んだのか?それは別にして過日、地域地盤研究センターの岩崎好則、大阪市大名誉教授の中川康一、それと筆者が、この件について意見を戦わせた。岩崎・中川は賛成派、筆者は反対派である。その時は賛成派二人の言い分があまりに幼稚だったため、どう反論して好いの
とまどってしまったが、ここで彼等の主張を全て論破する。 
1、何故浮体式か?
 水はS波を通さない、だから地震に安全だ、ぐらいが賛成派の立場だろう。しかし同じ水でも海は少し勝手が違う。その点を賛成派は理解していない。
2、某国の攻撃に対しては?
 これは北朝鮮、中国或いはロシア潜水艦による攻撃である。これに対し中川は「そんなもの鉄板で覆っておけばよい」とご託宣。あきれてものが云えなくなってしまった。彼はピストルと現代の魚雷の違いが判っていないのだ。鉄板みたいなもの何枚重ねたところで、魚雷の破壊力には無力である。太平洋戦争初頭マレー沖海空戦でイギリス戦艦プリンスオブウェールズ、レパルスを撃沈したのは、日本海軍の93式酸素(航空)魚雷である。何10
発という魚雷を発射しているが、実質命中したのは1艦あたり2~3発。それでも当時世界最強と云われた戦艦を撃沈している。浮体式原発はいわば固定目標である。外す訳がない。一発でも当たればイチコロだ。それどころかミサイルや航空爆撃に対しても、浮体式は脆弱である。
3、津波に対しては?
 東北太平洋沖地震だけでなく、今後予想される南海トラフ地震に対しても、浮体式は極めて脆弱である。これに対して中川は「あんなモノ、上下に動くだけだから問題無い」と意に介しない。筆者はこれにも吃驚して二の句が継げなかった。彼は高波と津波の区別が付いていないのである。台風や低気圧で発生する高波は、確かに表面が上下に動くだけだが、津波は水の塊が高速で移動する現象である。洋上の物体もこれに載って移動するのである。アンカーで固定すればと言う説があるかも知れないが、あんなもの巨大津波に対しては何の役にも立たない。
 スマトラ地震では2万tもある貨物船が海岸から数㎞先に打ち上げられたり、東北太平洋沖地震でも、大船渡で貨物船が内陸に打ち上げられている。これらの現象は、中川説では説明出来ない。津波が来れば、浮体式原子炉が内陸に打ち上げられるのは間違いない。そうなったら、皆さんどうしますか?福島どころの話しでは無くなってしまう。
4、原発の地下立地方式について
 これは筆者が以前から主張している次世代型原発である。海上か地下かで見解が対立した。筆者は地下立地の利点について、安定な山地内に原発本体を、取放水路はトンネル方式で築造すれば問題はない。某国のミサイル攻撃に対しても対抗出来る。しかし、中川は地震がどこで起こるか判らないからと言って反対する。その例として挙げたのが、ガラス板を割るとき、何処から割れるか割れるかは予測出来ない、というのである。これもあきれた話しである。確かに工場で出来たばっかりのガラス板を割ろうとすると、何処から割れるかは判らない。しかし、ガラス板にダイヤモンドカッターで傷を入れて力を加えると、傷の入ったところから割れるのである。地球ができてから45億年、プレートが出来てからも20億年ぐらいは経っている。プレートはズタズタなのだ。グーグルアースを一目見ても判るのが、プレートは傷だらけ、特に変動帯ではそれが著しい。と言うことは、地球表面にある力が加わった場合、何処から割れるかは自ずから決まると言うことだ。もしこれを否定するなら、現代地震学に於けるアスペリテイ理論そのものが根拠を失うのではないか?。なお時々予想外の地震が突然発生することがある。これを説明出来ない既存の地震屋がその言い訳のためにしばしば使われるのが「未知の活断層」という言葉。実は未知でも何でもない。こんな処にそんな活断層がある筈がない、或いはあってはならないという”我が思い”が、こういうナンセンスを作るのである。「未知の活断層」でも何でもない、実態は何らかの都合で消されたか、無視された「無知の活断層」なのである。その原因として挙げられるのが、官僚・学者間の学閥・派閥争いである。
5、その他の問題点
 浮体式原子炉を設置するとして果たして何処の海域か?固定式海上構造物の管理で最も問題なのは、それが転倒するとか沈没するとか自発性現象ではなく、内外航船に衝突されることである。実際このリスクは結構高い。例えば我々地質調査業の場合、海上ボーリング工事に於ける衝突事故は頻発する。関空海上ボーリングでもそういう事故が起こっている。それを防ぐために周囲に警戒船を配置する。これは近隣漁業組合(と称する海賊ども)の利権と化している(人の弱みを握って吃驚するような単価を請求してくる)。関空や本四事業の場合は工事期間中だけだから我慢もできるが、原発の場合それが運転している期間から廃炉終了まで、何百年も奴らに金を支払わなければならないのだ。僅かばかりの電力のために、何故こういうヤクザを食わせて行かねばならないのか。それが国民の理解を得られるだろうか?。
 最大の問題は、浮体式原子炉が設置されるとして、それは日本の内湾とか領海内に限られる。日本国内だけでなくその周辺も殆どが国際海域である。仮に東京湾の真ん中に浮体式原子炉を設置したとしよう。東京湾に入る浦賀水道は国際海峡だから、どんな国のどんな船でも入ってこれる。もしこれが浮体式原子炉に衝突すればどうなるか?その程度は誰でも考えられる。これをあり得ない話しと笑ってはならない。世界中で船同士の衝突事故はしょっちゅう起こっている。また韓国セウオル後事件やイタリア大型観光船座礁事故を見ても、最近の船長や船員は何をしでかすか判らないのである。これは教育で解決出来るとかナンとか云うのは、世間知らずのアホ学者の”我が思い”に過ぎない。つまり、海岸近くとか、一般船が通行する航路上に危険物は設置してはならないのだ。そして日本周辺でそうではない海域など殆どない。従って、世界中の船主は東京ルートを敬遠する。これは大阪でも同じであり。第一そんな危険物を航路上に設置するなど、海上保安庁が許可するわけがない。要するに、日本近海に浮体式原子炉が設置されれば、それは世界経済から日本が見放される事に繋がる。つまり、浮体式原子炉とは日本亡国の妄論である。

 なお他にも色々ある。地すべりで電位が(+)(-)に分極するのは、地すべりの移動や地下水流動に伴うイオンの移動を誤認している可能性もある。それより、人じゃなく猿しかいない四国の地すべりで、そんな呑気なことをやっても意味はなく、国土強靱化の役には立たない。国土強靱化は待ってはいられない。直ちに対策工に入らねばならない段階である。

 
追記1)地下式原子炉の利点は、原子炉が水素爆発を起こしても山体がバリアーを作るから、福島のように広範囲に放射性物質をばらまくことはない。又現在開発中の親世代原子炉、或いはトリウム型原子炉なら炉体をうんと小さくできるから、トンネル規模も小さくできる。又、原子炉基礎を免震構造にすれば、耐震性は大きく向上する。
追記2)使用済み核燃料処分場がデッドロックに乗り上げているが、これは日本全国から発生する各廃棄物を一カ所で処分しようとするからこういう事になる。筆者は各原発立地地域毎、にそれぞれ処分場を作ればよいと考える。例えば関電は福井地区に三カ所の原発を持っているが、その内の一カ所の地下を処分場(足りなければ2箇所でも構わない)にしてしまえばよいのである。これなら新たに用地買収の必要もなく、福井県に入る核燃税も取りはぐれがない。今の原発地下100m位に中間処分場、400~500m位に最終処分場を設ければよい。
(14/07/01)

 政府は原子力規制委員に石渡明を指名したが、ワタクシの感覚では、何であんなアナクロを、という感じである。彼は前の日本地質学会会長・・・云っておきますがワタクシも地質学会正会員・・・だが、専門は岩石。今原子力規制委員に求められる資質は構造である。しかも、彼のこれまでの発言は体制寄り。正直云って務まるのか、という疑問がある。もっとましな人間はおらんのか、と思ったのだが、みんな逃げてしまって、嫌なことを石渡に押しつけた、と言うのが本音だろう。
(14/05/27)

 マンガ「美味しんぼ」問題は、実は統計学における平均値と特異値の問題に拘わります。専門家と称するタコツボ学者は平均値に、サンプルである個人は特異値に拘る。現実を直視する応用科学者は、何故特異値が生じるかに着目すべきである。これについては、後ほどもう少し詳しく検討しましょう。
(14/05/26)

 PM2.5がとうとう日本にもやってきました。この原因には無論偏西風の蛇行が挙げられますが、もう一つ見逃せないのが「京都議定書」。これにより新興国は炭素取引という形で、先進国から経済援助を無限に受けられるようになった。無論炭素取引で得た金は、環境対策に投資しなければならないが、そんなことする国は一つもない。つまり先進国が買った炭素取引料は、環境改善に使われるどころか、新たな炭素発生投資に使われるのだ。それだけではない、一部は権力者の利権に横流しされた可能性は大きい。今度のウクライナ政変で、ヤヌコヴィッチら政権中枢の腐敗の一部が明らかにされたが、これにも日本との炭素取引が流用されていないわけがない*。だから、「京都議定書」などは、一刻も早くゴミ箱に捨て、炭素取引などというインチキは止めるべきなのである。
*以前、日本がウクライナに対し支払った炭素取引金が、行方不明になったという噂があった。
(14/02/27)

 日大の高橋という火山屋(名前は聞いたことはある)が、政府の資源エネルギー調査会(と云っても、経団連か電力事業会のダミー)で、「核廃棄物最終処分施設候補地は日本各地にあり、なかでも北海道東部は地層が安定している」主旨の講演を行った。
 ワタクシは前半部分には異論はない。ワタクシ個人の意見としては、兵庫県東南部に広がる有馬層群地帯など最適ではないかと思う。
 しかし後半でオッサンが何故いきなり北海道を出したのかが面妖。そもそも火山屋が地層が安定かどうか、どうやって判断したのか?この分野はむしろ構造屋の分野である。別に分野毎の縄張り意識を強調する気はないが、日本のこの種の審議会には、しばしばその分野の専門家を排除する傾向がある。つまり結論ありきで、役所に都合の良い学者を引っ張って来る癖だ。関電大飯原発活断層問題でも、座長の嶋崎が元々再稼働反対派だったから、それに近い渡辺のような断層のシロウトを引っ張ってきたため、あのようなブザマな事になったのである。
(14/01/29) 

イルカの問題3)
 この問題、とうとうアベまでが乗り出してきて、これは日本古来の漁法だと言い出す始末。誰がそんなことをアベに吹き込んだのでしょうか?アベはアホだから、云われたことをそのままオウム返しに喋っているだけ。太地でやっているイルカ追い込み漁の起源は、いくら遡っても江戸時代中期が限界。何故これが産まれたかというと、この時期、日本人の生活慣習や農法に大きな変化があり、その結果魚油・鯨油価格が高騰したからである。それまでは日が暮れると寝ていた日本人が、夜更かしするようになった。夜更かしに必要なのは明かりである。つまり灯油の原料として魚油・鯨油が使われた。最大消費地は無論江戸で、なかでも吉原・品川といった遊郭が最大のお得意さん。更にそれまで稗・粟を食っていた農村でも米を食べるようになり、米需要が急増した。米の大敵は虫である。米生産量を増やすために、鯨油が防虫剤として用いられた。無論油を絞った滓は、食用だけでなく肥料として用いられ、これも米増産に寄与することになった。
 しかしそれも明治の始めまでで、文明開化とともに生物資源に変わって、化石燃料や化学肥料・化学防虫剤が主役となり、クジラ需要は減少した。クジラ需要が復活したのは戦後の食糧軟時代である。しかしこれも70年代後半の円高で、肉は自分で採るより外国から買った方が安くなったので、これも衰退。では何故イルカ捕獲が今頃注目されるようになったのか?原因はバブルです。80年代後半からのバブル経済下で、増えた施設が動物園と水族館です。中でも水族館の目玉はイルカショー。この結果、国内イルカ需要が高まった。更に今世紀に入ってからの新興国バブルで、同じようにイルカ需要が高まった。その結果一時低下したイルカ捕獲漁が、再び復活した。つまり、太地のイルカ捕獲は古来伝統漁法の継続というより、現代ビジネスの産物と言うのが真実ではないでしょうか?需要あるところ供給ありです。これは資本主義の原則であり、自由主義経済の基本でもある。
 ところがここで一つ疑問があります。何故殺してまで捕獲しなければならないのか?水族館に売るだけなら、生きたままのほうが都合がよい。これなら反捕鯨団体もクレームを付けないでしょう。おそらくイルカ漁復活に当たって、江戸時代の漁法を、そのまま踏襲した可能性が考えられます。江戸時代ではクジラ・イルカは油を採るのが目的だから、殺してしまうのが当然です。しかし現代ではその必要はない。少し頭を使えば、この問題はクリアー出来たはずです。食用など、現代ではナンセンスです。第一、イルカ肉市場など存在しない。市場のない商品は絶滅するのみです。
(14/01/26)

イルカの問題2)
 太地町のイルカ追い込み漁について、キャロラインに続いてアメリカ国務省が懸念を表明。理由はオバマは秋の中間選挙で、反捕鯨団体を敵に回したくないからだ。
 元々反捕鯨団体はこれを政治問題にしたかった・・・アベはそんなことも判らなかったのかねえ。こういう場合、政府は無視してウヤムヤにしてしまうのが常識。ところがアベ政権は、これをまともに採り上げ、官房長官談話で政治問題化してしまった。子供の喧嘩に大人が乗り出す類である。まんまと敵の作戦に引っ掛かってしまった。愚かと言うべきである。
 前の安重根記念館問題でも、官房長官談話でテロリスト発言をしたものだから、対中韓対話の窓口を自ら閉ざしてしまった。これも敵の手の内。子供の喧嘩と大人の区別がついていないのである。中韓はしめたと思って、対日誹謗中傷作戦を展開するだろう。
 アメリカは表向きこれには不干渉とするが、アメリカ国内世論は、必ずしも日本支持とは云えない。特にアベの靖国パフォーマンス、ひいては日本国内で力を増している極東裁判否定論・太平洋戦争肯定論(例えば「永遠のゼロ」などというアナクロナンセンス映画)は、共和党支持者の反発も買うだろう。要するに、アベ政権は廻りに敵を作り、味方を失う政策ばかり採っている。戦前の軍部内閣と同じだ。日本は更に孤立化を深めるだろう。これを愚策と云わずして、なんというのか?
(14/01/23)

イルカの問題1)
伝統には、守るべき伝統、守っても守らなくてもどうでも良い伝統、もはやアナクロだったり、こんなのをやっていると人様から何を云われるか判らないから止めた方が良い伝統、の3種類がある。
 和歌山県太地町のイルカ追い込み漁が始まって、動物保護団体による非難が殺到。これにキャロラインまで加わって大騒ぎ。これは間違なくホワイトハウスに伝わって、4月オバマ訪日に微妙な影響を与えるでしょう。
 これに対し、菅や一部の国会議員、それにサンケイまでが加わって、これは昔からの日本の伝統だ、横から口出しするなと猛反発。実は、数年前クジラ保護団体が「ザ・コーブ」という映画*を世に出すまで、日本人の殆どは、イルカ漁が行われていて、それが伝統だと言うこと、それが一部地域で食用になっていることを知らなかった。
 伝統だから守れというなら、切腹は立派な日本の伝統だった。しかし今頃切腹などするのは、よっぽど頭がおかしい特殊な人間だけだ。戦後暫く迄、日本の霊山の殆どは女人禁制だった。今女人禁制は大和大峰山だけで、他は皆止めちゃった。それで困ったことがあっただろうか?反対に観光客が増えてみんな喜んでおるよ。特に近年増えた山ガールは、山起こしに大いに貢献している。
 そもそもイルカ追い込み漁は神事ですらない。今イルカ捕獲を禁止して誰が困るのか?それは太地漁協だけで、他は誰も困らない。第一太地町民だって、イルカやクジラばっかり食っているわけじゃない。だからこれを止めたところで誰も困らないのである。
 何故太地漁協がこれを止めないのか?それはこれが伝統ではなく、現代的ビジネスになっているからである。それは日本を含め、世界各地の水族館へのイルカ販売。これは遙かに儲かる。生きのいいのは水族館用へ、他はみんな食用へ、てなところだろう。この金儲けをとやかく言われたくないので、「伝統」で誤魔化しているのだろう。もしあくまで「伝統」と云うなら、夜中にこそこそやるのではなく、白昼堂々、子供やマスコミも見ているところで追い込みショーをやればよい。そうすると、「なんて和歌山県は野蛮な**」と、みんな引いてしまうよ。その時和歌山県や太地町の評判がどうなるか、だ。
 要するにそういうことも含めて、冒頭に挙げた基準で、追い込み漁を残すべき伝統かどうか、自主性を持って考え直せばよい。
*実はこの映画の作者や、背景にいるSSには、人種差別主義やナチの臭いが芬々とし、筆者は非常に不愉快な映画と思っている。SSは間違いなくナチの後継者と考えて良い。
**和歌山県は兵庫県に比べ野蛮だろう。兵庫県には、イルカ追い込み漁はないが、タカラヅカがある。
(14/01/22)

 いよいよ冬も厳しくなり、PM2.5などの大気汚染物質の影響が気に懸かる季節です。ところでPM2.5と言えば中国という先入観がありますが、実は一番酷いのはインド北部、経済成長著しいヒンドスタン平原地帯。そこからミャンマー・タイ・マレーシア・ベトナムと、広東・江南省など東南アジア・中国南部地域が濃密だ。日本でも、影響は、本土より、九州・沖縄が著しい。
 この原因は筆者の専門外なのでよく分かりませんが、温暖化で太平洋やインド洋・ベンガル湾の水温上昇が原因とも考えられます。水温上昇は冬季にはこの辺りの気圧を上昇させる。その結果南下してきた空気を北に押し上げる。押し上げられた大気はヒマラヤ山脈に遮られ、一部はミャンマー他に流出する。インドで生産された大気汚染物質が、東南アジアに濃集する、てな話しか?多分そうでしょう
(14/01/05)

 政府・自民党が原発の新規立地を諦め、今の原発跡地再利用検討開始。それならついでに、廃棄物処分場も、現原発地下建設を盛り込めばよい。どっちみち今の計画でも、最終処分場は地下数100mになるのは決まっているのだから、何処に作っても同じだ。筆者の計画では、地下数10~100数10mに中間処分場。地下数100m以下に最終処分場を設ける。事業は国の保障を取り付ける。そうすると公共性が担保されるので、大深度法の適用が可能になる。
(13/10/24)

【フランス人の発想】

これはフランス ストラスブール地方で掘削中の核廃棄物最終処分場トンネル。日本とは随分発想が違うようです。地山はおそらく白亜紀の石灰岩。工法は在来です。

 まずトンネル断面はほぼ円形で、1~1.2mピッチで支保工が入っている。日本のトンネル地山区分ではDⅠか、良くてCⅡ程度。トンネル上半が褐色化しているが、これは地下水の浸透によるもの。下の白色部に水平に筋が入っているが、これは石灰質部が沈積する過程を示すもので、それぞれは水温の変化を表している。それはどうでも良いのだが、この地山は結構透水性が高い、と想像される。逆に透水性が高いと、外部から地下水が浸透しやすいことでもある。石灰岩は水に溶けやすい。外部から浸透してきた地下水が、地山の石灰分を溶かし、それがガラス固化体の廻りに沈積し、最期はトンネルそのものを埋め尽くし、周辺岩盤と一体化してしまう。それには10万年も必要ではない。1万年もあれば十分だ。フランスの地質学者はそのようなストーリーを描いているのでしょうか?これは理論的にはあり得る事です。
 ただしこのストーリーが成り立つには幾つかの条件が必要です。
(1)まず今後数万年に渉って、このトンネルが外部(地表面)に到達する空洞が出来ないこと。もし僅かでもそのような隙間があれば、石灰岩地山なら簡単に鍾乳洞やドリーネを作ってしまうので、貯蔵施設が地上に暴露される可能性がある。
(2)10万年の間には何度か気候変動があるはずで、その中には寒冷化に伴う氷河期もある。この辺りに氷河が押し寄せてきたら、その荷重で空洞が破壊されないかどうか?
 無論キュリー夫人以来の優秀な物理学者、更には世界に冠たる優れた地質学者、それにソレタンシュ社やルイメナール研究所のような、世界に冠たる地盤技術企業を抱えるフランスだから、この程度の初歩的疑問など、カンラカラカラ気にもしていないでしょう。

 なお、反対派の言い分に、10万年後の人類にこの施設の危険性をどう伝えればよいのか、というのがある。これ結構あちこちで叫ばれているプロパガンダである。ご心配無く、10万年後には、核廃棄物はもはや無害になっている。よく持ち出されるのは半減期の長いプルトニウム(Pu)だが、これはアルファ崩壊で、放射線のエネルギーは小さく、簡単に遮蔽出来る。しかも体内に取り込んでも、みんな尿と一緒に排出される。食べても呑んでも大丈夫なのである。ただガス化したのを肺に取り込めば、肺癌リスクが高くなるだけである。
 更に10万年先まで人類が生きていると思う、その厚かましさに驚く。人類など1万年先だってどうなっているか判らない。10万年後の地球を支配しているのは、おそらく昆虫でしょう。ただし今のような昆虫ではない。高い知能と体力を有し、おまけに放射能にも強い。云ってみれば、映画「エイリアン」のモンスターのような者だ。仮に人類が生きていたとしても、昆虫の餌になって、細々と生きているだけだろう。「猿の惑星」ではなく、「蟻の惑星」だ。
(13/09/22)

 埼玉県越谷や野田で竜巻が発生。筆者は竜巻が発生するには、気象条件は勿論だが、地形も大いに関連するのではないか、と思っている。北半球では南方に大きな海を控えた、障害物の無い広い平野で竜巻が発生しやすい。世界最大の竜巻発生地、アメリカ中西部の平原はその典型だ。日本では関東平野や北海道で良く発生する。他の地域でも発生しているが、平野の規模が小さいので、なかなか竜巻まで成長出来ず、しばしば突風として片づけられている。気圧配置や前線位置など気象条件は同じでも、何故竜巻は大きな平野で発生し、山地で発生しないのか?多分上昇気流の発生条件が、平野と山地で異なるのだろう。
 関東平野は日本の中でも、際だって竜巻が発生する条件に恵まれている。それだけでなく、関東平野は地震・竜巻・ゲリラ豪雨という災害が多発し、そしてしばしば渇水に悩まされている。その中核にあるのが東京。そんな処に、更に人・モノ・資本を集中しようとするアベノミクスは、常人には理解し難いものがある。鳩山由起夫の頭が理解出来なかったのと、同レベルの難解さである。
(13/09/02)

 人工降雨実験もやらないのに、大阪じゃ突如の大雨。筆者は何年も前から、大阪も高層化が進めば、いずれゲリラ豪雨がやってくると予言している。やっと予言が当たったみたいだ。それと昨日から今朝に掛けて、急な気温低下。これが続けば、猛暑は今月いっぱい続くと云う気象庁に対し、猛暑は24日までと主張した4chの気象予報士の勝利となる。
(13/08/26)

 大阪始め西日本では、人工降雨などやらないのに、昨日から大雨。だからあんな人工降雨などインチキなのです。一昨日の関東降雨は、人工降雨などとは何の関係もなく、ただ降るべくして降っただけに過ぎないのは顕か。
 あんなインチキに騙されたシンタローやイノセなど、2代続けてアホ知事を選んだ東京都民の頭の中はどうなっているのかね?それともあのナントカ気象研究所に東京都から支払われた金が、廻り廻って誰かさんの選挙資金に化けているのでしょうか?
(13/08/23)

 成功したと云われる東京都の人工降雨。本当でしょうか?何となくヤラセのペテンの様な気がします。
1、これまでの人工降雨では70%以上の成功率と云われますが、どれも雨が降りそうな天気を狙っている。今回も東北に停滞していた梅雨前線が、関東山地まで南下してきたタイミングだ。成功率の有意性が疑わしい*。
*つまりこんなことならなくても、雨が降ったのじゃないか、という疑いである。
2、人工降雨ではヨウ化銀を5~6000m迄打ち上げないとダメと云われる。あんな玩具のような射出装置で、そこまでの打ち上げが出来るのか。この高度なら、ロケットか高射砲でも使わなくてはならないのではないか?2~3000mしか打ち上げない花火でさえ、もっと強力な射出装置を使う。
3、本当に打ち上げたのか?ヨウ化銀は透明と云われるが、幾ら透明でも空気中を高速で飛翔すると、その跡に水蒸気の霧が出来る。それが見えないのは何故か?そして降雨後の水には銀かヨウ素が、有意なレベルで検出されなくてはならないが、そういう事実はあったのか?
4、ヨウ化銀はどう考えても劇毒物の可能性大。そんなものを上水源にばらまいてよいのか? 
 そもそもこの事業を東京都に持ち込んだ、ナントカ気象研究所の所長こそ、とんだ食わせ物の天一坊ではあるまいか?それに元々三文文士でオカルト好きの、シンタローやイノセが引っ掛かっただけの話しにしか見えないのである。気象学会や物理学会が明確な評価を下す必要がある。それをやらないと、今の活断層の様に、インチキ占い師がのさばることになる。

(13/08/23)

 経済産業省の調査によれば、太陽光発電認可申請の内、家庭用はほぼ100%が設置済みだが、事業用発電では設置済みは僅か15%、残り85%は申請だけして、後はほったらかしらしい。何故こんなことになるかと云うと、今申請して固定価格買い取り制度の権利を取得しておくと、電力会社は後20年間は、その価格で買い取らなければならない。その間に発電パネルが値崩れすれば、その間の差益が得られる。だから何もしないのらしい。つまり、皆さん鳴り物入りの自然エネルギーは、最早投機の対象になっているのである。その内、発電権に値が付いて、転売が始まるかも知れない。これというのも、管と孫二人、お手手繋いでの猿ダンスの所為だ。孫はハナからそんな儲け劇を腹に描いていたのだろう。
 さて世の中、孫が描いていたほど上手くいくでしょうか?一つは電力自由化の流れ。その延長に電力分割の動きがある。つまり電力事業法で規定されている9電力会社を解体し、発送電を分離するやり方である。そうなると電力料金は競争化されるから、固定買い取り価格制度自身が崩壊する。自由競争の下では、アンナ高い料金で電気を買うアホはいない。そもそも自然エネルギー電力の強制買い取り制度は、私有財産制度を定めた憲法違反の疑いがある。何故あのような馬鹿げた制度を作ったのかと言うと、民主党内左派勢力の要求が強く、管自身もアナクロ社会主義雰囲気(思想と云える程レベルの高いものではない)に囚われていたからだ。
 そこで問題は未だある。事業者は発電パネルの値崩れを期待しているようだが、果たしてそうなるか?そうなったらどうなるか、の吟味が足りていない。現在太陽光パネルの主な輸入先は中国だが、ここでは既に設備過剰と云われ、業界再編成は待ったなし。そうなると、アベノミクスの円安政策もあって、パネル価格は高止まり。それだけではなく、中国メーカーは利益確保を狙って、粗悪品を売り込んで来る可能性が高い。謳い文句は「20年発電出来ます」だが、本当にどうだか判らない。事実10年経つか経たない内に、発電効率が急速低下したり、発火する例がある。20年という数字そのものが怪しいのである。電池や半導体など電気製品を扱っていると判るが、これらは最初はカタログ通りに動くのだが、その内、段々と落ちてきて、瞬間的にダウンする。20年がどの部分を指しているのか、メーカーは説明しない。そして10年か20年経って、発電出来なくなったパネルの行く先は何処なのか?これも、メーカーは勿論、経産省も環境省も、環境団体も、勿論管直人も辻元キヨミも福島も、共産党も説明しないのである。
(13/08/21)
 

 一昨日東京江東の花火大会が突然のゲリラ豪雨で中止。これだけではなく過去に何回も突然の豪雨で中止になったことがあったらしい*。この原因は東京の高層化が第一。しかし花火が引き金になっている疑いもある。つまり昼間地上から高層ビルに沿って上昇してきた暖気が、夕方の寒気に触れる。それだけでも大気が不安定になるのに、花火が高空で爆発すれば、一気に気圧が変化する。つまり爆発の瞬間に周辺大気は圧縮され気圧が上がるが、その後大気は急激に収縮し気圧は急降下する。これは一種の断熱膨張である。その結果周囲の気温は低下し、大気中水蒸気が液化する。これがゲリラ豪雨を引き起こしている可能性が考えられる。当に花火が火付け役。
 アベは景気対策の一環として、容積率を見直し都市高層化を進める方針だが、その結果は絶え間ないゲリラ豪雨や竜巻の襲来で、東京・大阪などの大都市では花火大会など過去の遺物になるだろう。
*花火大会の15分前から始まったゲリラ豪雨もあるが、通常花火大会は開始の1時間ぐらい前からテスト打ちをやる。だから、これは花火大会原因説を否定する根拠にはならない。
(13/07/29) 

 アメリカ中西部、特にシェールガス採掘地域で頻発する地震について、アメリカの地質学者が遠方で起きる大規模地震の影響と発表。この中には東北太平洋沖地震も含まれる。こういう地震の後に、廃水を注水すると地震がよく起きるというのだ。
 こんなこと信じられますかあ?廃水を注水すると地震が起きるというのはよく判る。しかし、それが太平洋や南米沖の地震の影響によるとする、物理的蓋然性がよく分からない。何となく自分の責任を他に転嫁するご都合主義の臭いがするのである。なおこの論文、サイエンスに掲載されたと云うが、今時サイエンスなど、金さえ出せば何でも載せるGoogleみたいな広告雑誌だ。
 但し日本で、政府・与党・マスコミこぞってご推奨の地熱発電は、場合によっては地震を引き起こすおそれがあるのでご注意。
(13/07/16)

 電力5社の原発再稼働申請が出揃いましたが、原発一基につき審査期間が半年近く懸かると云うことで、みんな吃驚。そこで早速出てきたのが、財界(経団連・同友会ともに)や与党・マスコミからの審査要員を増やせ、という大合唱。こういうアホの勢揃いが日本をダメにしているのである。
 まず原発と言う、複雑にして巨大、且つ怪奇なシステムを理解出来る人材を、そう簡単に育成出来るでしょうか?ゼロから始めれば、まず20年は懸かる。そこまで待ってはおれないから、とりあえず既存の役所、メーカー、ゼネコン、コンサル辺りから人材を引き抜いて、促成の講習をやって間に合わせるという手が、よく使われる。しかし彼等は臨時雇いのパートタイマーである。契約期限が切れればいなくなってしまう。つまり、審査技術が継承されなくなる。又元々が赤の他人の集まりだから、情報が共有化されず、審査作業の効率が悪くなる。
 それでも人が集めれば良いが、集まらない可能性の方が高い。第一に規制委員会自身のメンバーが原子力ムラに無関係の人間を集めた。従って、審査作業技術者も原子力関連に無関係な人材を集めなくてはならない。しかし普通の会社なら、原子力関連と一般部門とで、ラインを厳密に区別する。つまり、人材確保にい限界があるのだ。おまけに、規制委員会は審査の過程を公開すると云った。具体的にどういうことをイメージしているのか、していないのかよく判らないが、審査報告書は原則公開と言うことになるだろう。審査報告書はパートパートで執筆者が異なる。例えば市民やマスコミから、ある部分について質問があった場合、誰が回答するのか、決まっているのだろうか?それと審査結果に対し訴訟が発生したとき、誰が訴状に対し反論するのか、はっきりしているのだろうか?てなことを考えると、審査技術者は簡単に確保出来ないことは、容易に判る。それに対する財界やマスコミの要求はあまりにも安易であり、こういういい加減さが福島事故を招いたのである。
 パチンコをやりたい人間が大勢おれば、パチンコの台数を増やせばそれで済むが、人間、特に高度な技術を要する人間は簡単には作れない。これまでの財界・マスコミはパチンコの機械と人間の区別が出来ていなかったのである。
(13/07/16)

 さて電力5社が本日原発再稼働申請書を提出しましたが、この申請書誰が作ったのでしょうか?申請書そのものは紙切れ一枚の大したものではないが、莫大な添付資料が必要である。今の電力会社に、こんなのを作る能力はないので、外注だ。プライムでやっている日立や東芝などのメーカーが中心だろうが、構造はカジマや大林などのゼネコンが肩代わりしているだろう。
 何故電力会社に技術がなくなったか?それは1980年代後半に始まった生産性向上運動(TQC)。これで内部の技術者は退職するか、系列会社に移動。その系列会社もTQCをやるから、移動してきた技術者が又、外に出ていく。但しだ、電力の技術者など、そもそも技術力など大したことはないのだから、いてもいなくても同じだがね。
 このため、電力会社の中身はスッカラカンの空白状態。しかし、それを追求する下原子力規制委員会も、空白度では似たようなものだ。斯くして、日本の原子力政策は、鶴田浩二じゃないが、馬鹿と阿呆の絡み合い。何処に男の意地がある?
(13/07/08)

 フランスで環境団体が日本向け処理済み核燃料移送反対でも。良いじゃないか、大いにやって貰いたい。そもそも使用済み核燃料には金やプラチナなどの貴金属が高濃度で含まれている。これまで日本はそういう貴重品を英仏に巻き上げられ、邪魔なだけのプルトニウムを押しつけられてきた。おまけに高い金を払ってまでだ。
 この際環境団体の反対を理由に英仏との契約を破棄し、国内で再処理し、本来我が国が得るべき利益を得よう。そのためには六ヶ所村核燃処理施設再稼働が絶対必要条件である。問題は核燃処理施設の技術力が大丈夫かあ?だけだ。
(13/04/16)

 アホの原子力規制委員会がまたまたトンデモ規制案。全原発について活火山安全対策を要求。その活動規模は9万年前の阿蘇火山を想定するとある。地震と火山を一緒にしていけない。日本の火山は既に老境に入っており、9万年前の噴火など起こり得ない。いや数万年後には、てなことを云う奴はいるかもしれないが、原発など後200年が良いところ。そもそもウラン資源がそこまで持たない。それと火山活動は地震と違って、前兆が明確。活動が始まってから対応するには十分余裕がある。
 こういう馬鹿なことを云う規制委員会は、福島原発が一旦緊急停止に成功した、という事実を知らないか、故意に無視しているか、だ。
 こういう偏った委員会は国家国民のためにならない。一刻も早く解体し、関係者は刑務所に放り込むべきだ。
(13/03/29)

 本日は朝から猛烈な風。春一番かと思ったが又寒くなるようなのでそうではないらしい。この風の原因は大陸の高気圧。だからPM2.5が話題になるが、実際は高気圧のため中国東部のPM2.5は閉じこめられるので、そう心配はいらない。むしろこれから暖かくなり、大陸高気圧が緩むと、PM2.5の周辺への拡散が始まる。その結果中国東部の大気汚染濃度が低下するから、安心してもっと使えと云うわけで、却って汚染物質生産が増大する危険性がある。しかし、中国人はそんなこと全く気が付かない。台風の中心にいる人間は、台風が何処まで吹いているのか理解出来ないのである。
(13/03/10)

アメリカの連邦高裁がシーシェパードを海賊認定。片目の眼帯をかけていなくても、片足が義足でなくても、やっていることが公海上の権利を犯しておれば海賊と認定出来るということだ。
(13/03/06)

 今中国の大気汚染が大変話題になっています。下の図は九州大学による13/02/05時点に於けるアジア東部~南部に於けるPM2.5の分布予測図です。大きなピークは2カ所あります。一つは中国東部、もう一つはインド北部です。小さいピークが中国東南部に2カ所(おそらく上海と広州*)、東南アジアに2箇所(ベトナムとマレー半島南部・・・シンガポールか)見られます。いずれも近年のアジア新興国の経済的発展を表しています。


 特に酷いのが中国で、日本メデイアにも北京のスモッグが連日のように報道されている。処でこの状況を某大手新聞が、日本のかつてと同じだと報道。書いた記者には半世紀前の四日市喘息とか尼崎公害訴訟などが頭にあったのでしょう。しかし、汚染規模で云えば、かつての日本とは桁が違う。かつての日本の大気汚染は東京・横浜や中部・阪神などの工業地帯に集中し、他地域は無関係だった。まして国境を越えて他国に迷惑を懸けたこともなかった(日本は周囲を海に囲まれているから当たり前と云えば当たり前)。しかし中国・インドの今は比べものにならない。大気汚染度は概ねGDPに比例すると考えられる。現在の中国のGDPは当時の日本の10数倍ぐらいに登る。つまり汚染物質の排出量は日本の半世紀前の10数倍になる。これは馬鹿にならない数字である。粒子が高層大気圏まで上がれば、海を越えてアメリカまで達しかねない。
 では何故こんなに大気汚染が酷くなったのか?中国・インドの内政問題に根本原因があるのは間違いないが、それを助長したのが「京都議定書」である。京都議定書では新興国・途上国の排出権を認めてしまった。その変わり先進国の排出権買い取りも認めた。但し新興国・途上国はその金で設備改造を行うという約束で、でだ。そこで先進国は一所懸命、新興国排出権を買い取った。しかし、新興国・途上国がその後設備改造を行ったという例は殆どない、少なくともそういう効果があったという報告はない。先進国からの排出権マネーは何処かへ消えてしまっているのだ。このマネーに食いつくハゲタカは他にもいる。例えばゴールドマンサックスとかアラブのSWFなどもそうだ。いずれにせよ、京都議定書が環境改善になんの寄与もせず、逆に環境悪化に環をかけているという事実が、上の図から読みとれるのである。

*台湾海峡から日本南方海上にかけて伸びる高濃度域は、ここが発生源というより中国東南部を起源とする粒子が気流に乗って移動してきたものと考えられる。
(13/02/10)

 筆者は見ていなかったのだが、先日の報道ステーション(6ch)で某信用金庫理事長・・・・この人物脱原発派で有名らしい・・・が、「経団連加盟の会社が原発を作る、と云ったらどうするのか?今の原発反対ムードの中では申請してもはねつけられるだけだ、経費的にも耐えられないし非現実的である」旨の発言をした。それを毎日新聞論説委員の山田孝夫・・・・この人物も脱原発派だが、筆者の見立てでは、古い70年代新左翼のミイラのようなもの。赤いシーラカンスと云ってよいだろう・・・と言うのが取り上げて、本日朝刊で「久しぶりの正論だ」と持ち上げる。筆者に云わせれば二人とも、ものを知らない知的薄弱児。世の中のことを、なーんにも判っていないのだ。一般企業が自分で原発を造ろうと思えば、作れるのである。二人の間違いは、原発とは福島級の数100MW~1GW級の巨大原子炉と思いこんでいることである。こんな巨大な施設を一私企業で建設出来るわけがない。国策によるのはそのためである。しかし、世の中には出力が数MW級の小さい原子炉もある。研究用或いは実験用原子炉と呼ばれるもので、国内には半世紀ぐらい前から数基が稼働している。世界的には100基以上になるだろう。何に使っているかというと、医療や民生用放射性アイソトープの生産・・・・スーパーで買った卵や牛乳が腐らないのはこれのお陰・・・、実験用粒子の生産(陽子・反陽子と云えば判るだろう)、放射年代測定のようなもの。この程度の原子炉なら、工場や一地域の電源を十分供給出来るし、申請手続きも簡単。昔は大きな工場はみんな工場内に自前の発電所を持ち、それで電気を作って設備を動かしていた。その延長で小型原子炉を認可の対象にしていけば、一企業が原子力発電に参入出来る可能性は十分にあった。研究用原子炉がその例である。
 例えば、公園の地下にサイトを建設し、小型原子炉を設置する方法が考えられる。燃料をプルトニウムにすれば、炉体はもっと小さく出来る。例えば、超高層ビルやマンション、ショッピングモールなどには最適。プルトニウムなんて、とビックリしてはいけない。人工衛星や宇宙探査ロケットの電源には、数10年前からプルトニウム原子炉を使っているのである。
 ところが、段々と手続きを難しくしていった。誰がしていったかというと、通産省に決まっている。日本の原子力行政の最大の問題は、規制が厳しすぎるということである。規制を強化すれば何が発生するか、というと、その分野に属する人間の特権意識と利権である。これが「原子力ムラ」の発生原因である。ムラが出来ると、ムラの住人は外の社会と拘わりを持たなくなる。自分達だけの自己完結的社会に満足し、逆に外の社会の住民を排除するようになる(ワタクシが昔いたダイヤコンサルタントという会社にも原子力ムラの分家があって、ワタクシなど彼等から完全に排除されていましたなあ。まああんな連中とは関わり合いを持たない方が身のため。彼等を隔離しておいた方が会社のためだ)。その結果、他の世界からの批判を受けつけなくなる。要するに、原子力事業の規制を緩和し、他産業からの流入を促進した方が良かったと思う。何故なら、経済原理原則で考えれば、福島第一など古すぎて発電効率が悪く、とっくに廃炉にした方が得だ、という結論になるのが決まっているからだ。規制を厳しくしたから、あんな非効率で時代遅れの原発が何時までも残ってしまったのである。
(12/08/13)

 橋したは(多分滋賀や京都の知事も同じだが)、大飯原発を夏限定で1ヶ月2ヶ月、3ヶ月稼働などというたわけた案を関電に要求するという。そんなことをすれば、却って原発は傷んで危険性が増大する。橋したや嘉田は、わざと近畿圏を危険にさらそうというのでしょうか?
 原発、100%フル出力で長期運転するのが、一番安全なのだ。
(12/06/18)

 大騒ぎのあげくが結局大飯原発再稼働。これの影響は次々と飛び火し、今後休止中原発の再開が続くだろう。この騒動、始めからいかがわしい部分がある。原発停止で、各電力会社には国から節電要請があったが、他の電力会社への節電率が5%程度だったのに対し、関電だけが15%という、飛び抜けて高い数字を押しつけられたことである。関電の原発比率が40%と高いのも理由の一つだろうが、何か意図的なものを感じる。当時首都圏は東電の国有化がほぼ決まりだったので、ここで問題を起こしても意味はない。一方、首都圏に次ぐ経済圏である関西圏をターゲットにし、ここで原発再開世論を作れば、それの全国への影響は大きい。中でも定期点検明けが近い大飯原発の再稼働は重要である。つまり、大飯原発再稼働は、全原発再稼働に向けての試金石になるし、逆に反原発派にとっては、大飯再稼働が認められれば、次の運動への足がかりを失うことになる。というわけで、大飯再稼働問題は、単なるエネルギー問題、技術問題を越えて、原発を認めるか否かを巡るイデオロギー問題、政治問題に化してしまったのである。筆者はこの現象を、かつての三井三池闘争そっくりの、イデオロギー闘争の蒸し返しのように感じるのである。歴史は繰り返す、のではなく誰かによって繰り返させられるのである。
 1959年8月、三井鉱山は第二次石炭合理化を発表した。これがその後足かけ2年に渉る、三井三池争議の発端である。この問題は前段があって、一つは北陸本線北陸トンネル列車火災事故、播但線生野トンネル事故があって、国鉄が動力源をSL(石炭)からDL(石油)、EL(電気)への転換を進めた。これがきっかけとなって、日本中の産業に石炭離れが進んだ。もう一つはアメリカから、日本市場への石油需要拡大要請があったことである。この結果が50年代後半の石炭不況を産み、石炭合理化政策の基を作ったのである。しかし日本中には、大手だけで何10という炭坑がある。その中で何故三井三池鉱業所が選ばれたのか?実は、この年の翌年が日米安保改訂年だったのである。政府・自民党はその前から改訂作業の準備に着手している。一方、社会・共産両党を中心とした反政府派も、改訂阻止作業準備に取りかかっている。
 さて、当時最大の反安保勢力は左翼労働組合、中でも炭労は最も戦闘的な組合である。三井三池労組は炭労の中でも、鉄の結束を誇る最強戦闘部隊。政府としては、まずこれを潰しておかねば安保改訂は無事では済まない。そこで政府筋は三井鉱山を脅して、組合側がとても呑める条件ではない合理化案を示めさせた。この点、政府が関電に15%電力不足を呑ませたのとそっくりなのである。そして始まった三池争議。組合側は全国の支援組織を動員し、会社側は第二組合など相手の分断工作、並びに右翼・暴力団を使ってのピケ破り等、当に総労働vs総資本の対決となったのである。この辺りも、反原発派がマスコミを動員して、大飯危険キャンペーンを張るのと、政府側が閣僚を動員しての福井県説得に動いたのとそっくりである。結局三池争議は、政府調停案に沿って終結した。それは産炭地振興事業法による炭坑地域への優先政府投資、雇用促進事業団設立による失業対策。そして、その後高度成長政策が、産炭地失業者を土木・建築事業に吸収していったのである。そして、今回の福井県西川知事と政府との合意の中身は何か?野田を表にに引きずり出したことによる、原子力事業への政府保障を取り付けたことだろう。巷間、電力会社分割という話しも流れている。国も東電なんて破産会社を吸収してしまったから、何時までもこれを持って置くわけにはいかない。いずれ処分のタイミングが来るだろう。東電でこれだから他の電力会社などアブナイものだ。原発事業は、これまでは電力会社の信用でやってこれたが、これからはそうはいかない。国の保障が必要である。あれこれわあーわあー騒いでいたが、結局は西川の勝ちである。
 一体全体、現在の反原発運動の本質は何か?それは、古くは60年安保のDNAであり、70年安保の後遺症である。では我が日本民族は、このような負のDNA を克服出来るでしょうか?なかなか難しいとしか、云いようがない。
(12/06/17)

 大飯原発再開に関する野田の記者会見。あれじゃ駄目だな。問題を「大飯」だけに限定し、なおかつ暫定措置を強調し過ぎている。つまり、エネルギー問題に関する一貫した理念・信念がない。何か周りから云われたから仕方なくやるんだ、という言い訳的発言。「大飯」は絶対大丈夫だ!と言い切らなければならない。フランス大統領なら必ずそうする。
 松下政経塾は一体全体、何を教えてきたのかね?それは他の政治塾にも、云い得る。
 なお、これが福井県西川知事のアリバイ工作で、それに野田が乗ったのは顕か。何故なら、あの中身の無い会見内容に対し、西川は「・・・大変重い発言だ」と大満足。これで県議会にも大手を振って臨めるし、地元の大飯町にも恩を売れる。なにせ責任の半分を政府におっ被せられたのが大きい。
(12/06/08)


 ロイター日本語版、北電泊原発再稼働に関するネット投票サイト。以前は再稼働容認派:反対派=30:70位だったのが、本日では43:53と拮抗しています。又、本日毎日新聞世論調査では、一時は9割だった再稼働反対派が7割に下落。ジリジリと原発再稼働容認派が増えてきています。
 何故でしょう。日本にも、ギリシアやヨーロッパの経済危機の影響が出てきているからでしょう。それに気が付かないノーテンキは、国際競争と無縁のマスコミとか、弁護士、政治家だけ。この分野にもTPPを広げる必要があります。
(12/06/04)

 関西広域連合が一転して大飯原発再稼働容認。細野の説得が功を奏したか?まさか、世の中そんな甘い物ではない。裏がある。実はこの前日、和歌山県の仁坂が15%節電となると、和歌山県の県内GDPは21%強低下し、県内産業は壊滅的打撃を受けるという声明を発表している。和歌山県は近畿2府4県(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀)の中で、発電量が兵庫県に次いで2番目に多い。県民一人当たりだったらトップかもしれない。逆に発電量の少ないのが大阪・滋賀。京都・奈良はその中間ぐらいか。つまり近畿圏電力生産に最も寄与している和歌山県が最大の被害を受け、寄与しない大阪・滋賀が再稼働に最も強く反対するという、矛盾した状態が産まれてきたのである。
 これでは和歌山県も面白くない。「滋賀や大阪みたいに電気を作らんと、使うばっかりの県が、偉そうなことばっかり云うて、いっこも埒あかん。和歌山で出来た電気は他の県にもっていくな?」なんて声が、議会や地元から出てきたのかもしれない。地産地消である。これが先に挙げた仁坂知事発言に繋がったのではあるまいか?この声明の裏には、電力問題を解決しなければ、和歌山県も関西広域連合から出ていくぞ、という脅しも含まれていると見るべきである。又、近畿圏知事の内、純粋民間出身は大阪・滋賀だけ。あとは皆官僚出身だ。官僚包囲網がしかれているのだ。広域連合には、既に奈良県が不参加である。これに和歌山県が加われば、広域連合は空中分解。更に和歌山県の協力が無ければ、関空問題も立ち往生。そこで橋したは大飯再稼働容認に舵を切る、てなところだろう。大飯再稼働容認後、和歌山県知事は「大いに満足」、京都府や滋賀県知事は「なお再稼働反対姿勢を継続」と不満げ。大阪市長は支離滅裂。一つの問題でこんなに混乱するようでは、関西州どころの話しではなくなる。しかしこうなることは、始めから判っていたのではないか?今頃何をやっておるんだ、というのが印象。兵庫や京都には、嘉田や橋したに振り回されていい迷惑だった、という思いしか残らないだろう。それでも道州制をやりますか?
 それは別にして、大飯再稼働となると、この余波は大飯だけに留まらず、例えば関電管内なら美浜・高浜原発や原電敦賀、更に他電力で停止中の原発にも及んでくる。なし崩し的に全原発再稼働だ。今回の大飯騒動はいわば原発容認派vs反原発派戦争のシンボル・・・天王山・・・のようなもの。第一ラウンドは容認派が制したが、反原発派だって黙っていない。おそらく何処かにポイントを作って反撃してくるだろう。第二の成田三里塚闘争だ。しかし、三里塚の闘士も今や高齢化が進み、若い世代は口先ばかりで実行力が伴わない。これは体制側も同じで、なんとなく有耶無耶で終わりそうな気がするのです。
(12/05/31)

 関電節電対策に異議あり。関電案によれば、一番電力消費が多い13~16時の電気料金を倍にし、深夜料金を半分にするなど、現実を見ない経理屋の発想に過ぎない。こんなものナンセンスである。まず、電気料金が安くなるならと、訳の判らない深夜営業が増える。昼間料金が高くなるなら、まともな会社は大阪から逃げ出す。この関電発想は、上に挙げたとおり、経理屋の発想なのである。経理屋という人種は自分で金を稼がない。金はどこから入ってくると思っている。つまり、自分の廻りに見えない垣根を作り、その中での金の出入りだけを考えるのである。その前提には、金やエネルギーが何時でも任意に、誰かが稼いで来るという思いこみがある。その目的は数字合わせなのである。
 今必要なことは、如何にエネルギー消費を減らすか?ということである。昼に高料金で節電を促しても、夜間にその逆をやっていれば、結果は同じ資源の無駄使いである。関電節電計画は、全くその逆をやっている。これを数字合わせだけを考える経理屋経営という。なお大阪市は、この非常時に於いて、地下鉄最終便を遅らせるという。一方で大飯再稼働反対を云いつつ、電力消費増大に進む。この矛盾を誰も気が付かない。
(12/05/17)

 今年夏の関電管内電力不足に対し、4電力が電力を融通すると発表した。関電+4電力は、東電福島事故には何にも関係はない。それどころか、4電力は関電の電力不足にも関係はない。それにも拘わらず、何故こんな理不尽というか、不条理な眼に合わなくてはならないのでしょうか?それというのも、ある時期から日本にまともなエネルギー政策がなく、行き当たりばったりを繰り返してきたからです。政府や反原発政治家のいうことは、その場限りの場当たり対策だけ。その結果、長期的展望に立ったエネルギー政策を述べる政治家は誰もいなくなった。
 一体いつ頃からこうなったのでしょうか?橋本龍太郎か宮沢喜一辺りからではないでしょうか?両方とも大蔵族。宮沢はチャキチャキの大蔵だが、橋本も実は大蔵族。彼等の時期から、時の円高もあって、政策は従来の製造・資源・エネルギーから金融にシフトした。特に橋龍の私的諮問委員を務めた竹中平蔵の影響は大きい。そしてこの傾向は、後のコイズミ内閣で更に拡大強化された。コイズミ時代、石油公団を廃止したため、日本は自前で資源探査をする能力を自ら放棄した*。つまり、資源という点でアメリカの属国になったのである。イラク戦争ではイラク原油の分け前を、という甘言に載って資金は提供したものの、なんのリカバリーはない。ブッシュとライスとチェイニー(この三人はいずれも石油資本と関連がある)に騙されただけだ。この結果、日本のエネルギー政策はデタラメになったのである。コイズミは厚生族という一面を持っているが、実は大蔵族。大蔵の不倶戴天の敵は通産省。その中でも最大利権を持っているのが資源エネルギー庁。大蔵による資源エネルギー退治が、現在の電力問題の混乱を招いているのです。これに完全に乗せられたアホが管直人。大蔵にとって、こんなに自分の云うことをよく聞く、人形というかペットを持ったのは始めてかもしれない。裏で含み笑いをしていたでしょう。
*最初の北朝鮮ミサイル実験。これに脅えた当時の自民党政権は、監視衛星を打ち上げた。ところがこの衛星、積んでいるのが光学センサーだけ。こんなもの何の役にも立たない。これをやったのが、阿部シンゾー。度胸が無いにも程がある。少なくとも、赤外線・電波・ガンマー線などマルチチャンネルスキャナーを持っていなくてはならない。当時の日本にそんな技術が無かった?とんでもない、アメリカのスパイ衛星に製品を供給していたのは、日本だったのだ。何故、それが出来なくなったのか?日本がそういう技術を持つと、アメリカのランドサットの独占権を脅かす。だからNASAや石油メジャーがこぞって反対したのである。
(12/05/15)

 本日NHKウェブサイト「太陽光発電の不都合な真実」。メーカーに「20年間はメンテナンスは要らない」と云われて買ったが、10年も経たない内に発電量がガクッと落ちて、結局パネルを買い換える羽目に。NHKの調べによると、この種の被害が全国20%に達すると。原因はパネルの発熱で回路が切れて、電気が流れなくなること。回路が切れると更に熱が蓄積されるので、場合によっては火事になる危険もある。韓国や中国の安物パネルを使っている所為も考えられる。ソーラー発電で山火事でも起こしたら大変だ。
(この件について一言)
 現在のソーラーパネルの主流は半導体パネルである。半導体を作るには莫大な電気を消費するが・・・この点を環境主義者は判っていない・・・特に最終段階での仕上げには、上等の電気が必要である。上等の電気とは周波数が常に一定で、電圧のドリフトを起こさないことである。この電気を作るには、やはりコストが懸かる。日本の電気代は世界一高いが、逆に言えば世界最高級の電気であり、この最高級電気が日本のハイテク産業を支えてきたのである。又、我々日本人が、世界でも飛び抜けた便利生活を送れるのも、電気の質が最高級だからである。こういうと、またまた一番でなくてはならないんですか、2番じゃ駄目なんですか、というアホが出てくる。2番じゃ駄目なんだよ。
 一方中国・韓国は電気の質を落としている。だから製品を安く出来る。その結果がどうなるかというと、例えばソーラーパネルでは、半導体の材料不均質を起こし、発熱・断線の原因を作っている。電気の質の悪さの影響はこれだけでは留まらない。例えば中国・韓国は、今も新幹線の車軸やブレーキを国産化出来ない。この理由は中国・韓国の電気の質が悪いからである。つまり、切削器の回転数が一定しないのだ。昨年だか、ロシアの火星探査船が行方不明になった。これに対しロシア当局は、某国から輸入した安物の半導体が原因と発表した。某国とは何処か?間違いなく中国でしょう。韓国がいつまで経ってもロケットを打ち上げられないのも、北朝鮮テポドン3が2分で墜落したのも、安物半導体の所為かもしれない。北朝鮮は日本の経済制裁で、日本製半導体を導入できない。韓国はイーミョンバクにくっついたサムスン製バッタモン半導体を、使わなくてはならない。それに引き替え日本のH2Aは打ち上げ成功率が世界最高位に達している。何故ハヤブサがミッションを成功させられたのか?世界最高級微細加工技術を実現するために必要なのは、まず最高級の電気である。幾ら形だけ真似しても、中身が伴わなければ無意味なのである。外面だけ整形で美人にしても、性格が悪ければ、只のブスだ。
(12/04/25)

 アメリカ地質調査所(USGS)によれば、アメリカ中西部で21世紀に入ってからの地震発生率は、20世紀の6倍に登るという。USGSはこの原因を明言していないが、人為的なものであることは間違いないとし(当たり前だが、アメリカ中西部で自然地震など起こるわけがない)、シエールガスや地下水採取の影響、特に水圧破砕で生じる廃液の循環の影響を示唆している(04/19ロイター)。
 日本の地熱発電で、今後主流とされるバイリニアー発電も、水圧破砕法を採用する。上手く行くかどうか、やってみなければ判らない。少なくとも地震が発生する事だけは覚悟して置いた方がよい。なお、日本の地熱熱源は、元々割れ目が多いから、地震は発生しにくいという説もある。それなら逆に熱回収効率が悪くなって、採算に合わないことになる。
(12/04/19)

昔、あるテレビのワイドショーを見ていたら、各国別2酸化炭素排出量比較というのをやっていた。詳しい数字は忘れたが、確かトップはアメリカで2位が中国。日本は8番目くらい。ところが番組司会者が比較するのは、オランダやデンマークにといったヨーロッパ中小国家。これらの諸国に比べ日本の排出量2酸化炭素は遙かに多い。つまり、日本の環境対策は、ヨーロッパに比べ遅れていると番組プロデユーサーは云いたかったのだろう。しかし、当時日本のGDPは世界二位。EU全体のそれに匹敵する。一般に2酸化炭素排出量はGDPに比例すると考えてよい。EU全体の排出量は日本の2~3倍に登る。つまり日本の環境対策は世界の優等生であったのである。
 これと同じ様な誤りを先日毎日新聞がやっていた。ドイツではメリケルが何をとち狂ったのか、福島原発事故の後、国内原発全廃を宣言した。そこで電力の中心になったのが風力。今や、ドイツは風力発電の電気を売るまでになった。日本でもできるじゃないか、というのがその記事を書いた記者の言い分だろう。しかし、ここでも比較の基準を何処に置くかと言う点に誤りを犯している。エネルギー消費量、GDP、人口には概ね比例関係がある。ドイツの人口は7000~8000万人、日本のおおよそ2/3。ということはエネルギー消費量もおよそ2/3で済む。対GDP比で見ればもっと少なくて済むだろう。原発が日本の全電力生産量に占める割合は30%である。数字はピッタリ一致している。これの意味することは、日本の人口がドイツ並みに減少すれば、原発を全廃し自然エネルギーに転換することも可能だということに過ぎない。但し、それまでに100年近く懸かるかもしれない。それまでの間はとりあえず原発で凌いで行かなくてはならない、というのが論理的結論である。
 以上述べたことは、物事を比較するときには、上辺だけの数字や現象にとらわれるのではなく、その本質に遡って考えなくてはならないということだ。分数の引き算や足し算で、何故通分しなくてはならないか。今のゆとり学生を嗤うのは簡単だが、実はマスコミやそれに踊らされる政治家・市民自身も、分数の計算が出来なくなっているのである。一億算数をやり直すべきだ。
(12/03/05)


 何気なく住宅ネット相談というのを見てみると、そこに東京在住者から「隣家のソーラーパネルからの落雪が心配だ」という相談があった。回答者曰く、「ソーラーパネルは滑り易い。滑り止めか融雪装置の設置があります」。融雪装置を付ければ余計に電気代が懸かる(電力消費が増える)。その電気は何処から持ってくるのでしょうか?何のためのソーラー発電だか判らない。このように自然エネルギー利用というのは、矛盾だらけなのです。
(12/01/25)

17、平成23年の大雪
 平成10~11年冬に掛けての話題は記録的な豪雪です。気象庁は昨年11月長期予報で、来年の降雪は日本海側では平年より少なく、内陸では平年並みと予測していたらしい。今度の大雪でとんでもない大恥をかいた・・・あの役所が恥をかくのはこれが始めてではなく、これまでも何度でもあった。筆者は昨年夏か秋に、来年冬は厳寒で、日本海側は豪雪と予測している。何故こういう予測ができたか、気象庁が何故出来なかったか、が問題なのです。筆者が来年冬厳冬・大雪と予測した根拠は次の二つです。
1)ラニーニャ現象
 ラニーニャが起こると夏の猛暑、冬の厳寒がパターンになることが経験的に判っている。しかしその理由は判らない。それが上で述べた気象庁・・・というより東大物理のトンカチ頭・・・の予測ミスに繋がるのです。しかし、理由は判らないまでも、そいうことが経験的事実なら、それを認めるのも必要なことだ。
2)日本海の高温
 ラニーニャで西太平洋の海水温が高くなると、それに連れて、日本海や日本近海の海水温も高くなる。昨年は当にその通りになった。水の比熱は大きいので、一旦暖まるとなかなか冷めない。秋になって、そこにチベットやシベリア辺りから冷たい空気が流れ込むとどうなるかというと、海面と大気の温度差から上昇気流が発生し、低気圧が生まれる。これが日本海を通過する過程で発達し、最後は台風並みの低気圧になる。この空気は日本海からの水分を吸収するので、冷たい湿った空気になる。これは日本列島の脊梁山脈に衝突すると、大量の雪を降らせる。一方、その先の太平洋側ではカラカラの乾燥空気帯になる。
3)この先
 東北・北海道・山陰で大雪が降ると、その先の春には大量の雪解け水が河川に供給される。河川がこれを飲み込めればよいが、出来なければ各地で、季節はずれの洪水や土砂崩れなどの災害が発生する。更に、財務省のトンカチ頭の所為で、公共事業費が削られたから、あちこちで除雪作業が手つかずのままだ。これらの雪が積み上がる。つまり、今年連休明け頃にはあちこちで災害が発生するでしょう。その金は本来は政府予備費で補填されていたが、民主政権がこれまでも子供手当などのバラマキに費消してしまっている可能性があるので、どうなるか判らない。いよいよ列島崩壊の序曲か?

16、「日本の水が危ない」の嘘
 
月刊「新潮」に松井樹なるジャーナリストが「日本の水が危ない」なる論文を寄稿している。これがしばしばテレビなどメデイアに取り上げられることがある(最近では10/09/09NHK「クロ現」で取り上げられている)。筆者も一読してみたが、酷い誤認識と無知・独断、粗雑な論理に満ち満ちた駄文に過ぎない。まず著者は大台ヶ原を例に挙げ
1)中国人と見られる外国人がしばしば現地を訪れ、木材取引の商談を始めている。
2)木材ではなく水取引ではないか?
 と推論し、次に日本の森林行政の弱点として
3)日本は諸外国に比べ私権が強すぎる。日本では山林の地籍確定が全体の5割に満たない。
4)その結果、日本の山林=自然環境は護られなくなる
と、結論づける。さて、この推論は妥当なものでしょうか?

1)について。
 松井論文を読んでいると、中国人が現地に来て木材取引の話しをしたのは事実らしいが、商談が成立した例が一つもない。要するに、地域の噂の域を出ないのである。木材取引が成立しない例として
材木の積み出しの困難さや、木材価格の低迷などが挙げられている。しかし、こんなもの始めから判っていたはずだ。なかなか上手く行かない理由に、日本の森林行政の規制の厳しさが挙げられる。まず国立公園や国定公園、県指定の自然保護区域はまず駄目。砂防指定地、保安林もほぼ駄目。保安林の場合は、伐採が公共目的であったり、都市計画法に基づく開発協議が済んでおれば、代替施設で防災能力を担保することにより、伐採が許可されることがある。但し地域の共有林だったりすると、売買には所有者全員の同意が必要なので簡単には行かない。
 
又、伐採に当たっても伐採面積が一定規模以上(その都度林野庁通達で決められるから一定しない)であれば、地元の森林事務所に届け出て許可を受けなくてはならない。場合によっては、やれ砂防ダムを作れ、だとか山腹工や渓流工をやれとか、五月蠅い注文を出してくる。現在では(少なくとも関西では)、山林伐採後は苗木を植えるのが義務付けられている。勝手には出来ないのだ。
 さて、いざ伐採となっても、森林伐採は2㎞も3㎞もケーブルを張ったり、20mも30mもある木を倒す等、特殊技術が必要で、誰でも出来る訳ではない。大概は地元の森林組合を通じて、経験のある森林業者を使う。従って、中国人が山を買って、それを伐採しようにも、彼等日本人業者に伐採を委託しなくてはならないつまり、所有者だからといって勝手なことは出来ないのである。これは業界利権を保護するだけの規制であるから、緩和すべきだという意見は勿論ある。その通りだ。但し、従来規制を緩和すると、そのための副作用が必ず発生する。それが乱開発であり、環境破壊だ。つまり、業界利権の撤廃は松井論文の第4点と矛盾する。この問題に対しては、環境破壊を防止するための社会システムを別に作れば良いだけの話しである。
2)について。
 木の売買が噂だけだと知ると、著者は今度は論点を水問題にすり替える。さて、現代の環境主義者の最大の過ちは、水は木に貯えられていると錯覚していることである。松井が木材売買を水売買と混同するのも、これが原因だろう。水は木に貯えられるのではない(全く無いとは云わないが、量としては微々たるもの)。では何処に貯えられるかと言うと、それは土である。土の中に水は貯えられるのである。大台ヶ原の様な山地斜面を考えてみる。一般の山地斜面の地山土質構成は、一番上に腐葉土(表土)があり、その下に風化土、風化岩、岩盤というようになっている(富士山や岩手山の様な火山山麓斜面はかなり異なる)。水の供給源は雨である。降ってきた雨の大部分(大台ヶ原辺りでは7~8割)は斜面に沿って流出してしまう。残りが表土中に一旦貯えられる。その後ジワジワと風化土やその下の地山に浸透する。木は土中に浸透してきた水を、毛管作用で吸収して生育する。つまり、木は水の貯留源ではなく、消費者に過ぎない。又、風化土や風化岩も恒久的な駐留源とは云えない。何故ならこの種の地山は未だ空隙が多く、浸透してきた水を短期間の内に放出してしまうからだ。真の貯留源は更にその下の岩盤中の割れ目である。雨水はこの領域に至って、始めて地殻中に固定され、地下水位を形成する。こういうところで水を得ようとすれば、地下深部に貯留されている地下水を狙うしかない。そのためには、一基ン千万円もする集水井を掘ったり、一本100万円ぐらいの集水ボーリングを何本も掘らなくてはならない。そしてどれだけの水が出てくるか、僅かなものだ。全く採算は合わない。
 
上で述べたメカニズムで云えば、山林を伐採したところで、直ちに地下水がどうこうなるものではない。しかし木が無い場合を考えて見よう。雨は降ってくる時には運動エネルギーを持っている。木がなければ、雨が直接地面と衝突するから、斜面に沿って流下するときでも、流速はそれほど衰えない。その結果、表土浸食、更には風化土や風化岩に対するガリー浸食が生じて、山地が荒廃する。こうなると、雨は荒廃地から流出してしまうから、永年の間には肝心の地下水位が低下する。一方、木があればそこから枝が伸び葉が茂る。雨水はこれに衝突することにより、運動エネルギーを失い、地表に落下したときに生じる流速は低下する。つまり表土浸食を起こす可能性は少なくなり、地下水環境は維持されることになる。水を買うために山林を買い、それを伐採すれば、逆に地下水位の低下を招き、取水量は低下し、資本投下の目的を失うことになる。
 一方、大きな河川の扇状地や広い沖積平野では、事情は全く異なる。こういう地形では地表面の勾配が小さいから、雨水はすぐには逃げ出さない。河川への流出量は降雨量 2~3割、大部分が地下に浸透していくのである(この点が大台ヶ原との違い)。そして、そういう場所では新しい礫質土のような、貯留係数の大きい堆積物が厚く堆積しているから、そこに大量の地下水が貯留される。こういう場所では、木を幾ら切っても大勢に影響はない。こういう場所での大規模地下水開発は、昔から行われていて、例えば愛媛県松山市では、重信川の扇状地に大規模なピットを掘削し、おおよそ松山市需要の1/3に当たる、一日数10万tの地下水を採水している。こんなところに新規参入したところで、その影響は大したことではない。
 もし、日本で水を採りたければ、大台ヶ原のような山地ではなく、こういう扇状地や沖積平野での地下水開発を考えるべきである。
3)について。
 松井は日本と諸外国(おそらくヨーロッパをイメージ)の違いが理解出来ていないのだろう。日本の山林は元々全て私有林、と言うより”山の神様”のものだった。それがヤマト政権の伸張とともに没落し、山林の私有化が始まった。と言っても、持ち主は貴族・寺社が主だが。彼等が中世・戦国を通じて没落すると、近世戦国大名の所有になる。戦国が終わり社会が安定すると、大名は領地のインフラ整備に乗り出す。このときの主材料は木だったのである。つまり突然木材需要が増える。更に江戸時代の日本の中心都市は江戸。ここではしょっちゅう火事が起こっていた。その度に木材需要が発生する。この需要を満たすには、木材を幕府や大名の直轄より、民営化した方が効率が良い。その結果材木商による山林経営という新ビジネスが生まれた。そして、明治維新。この結果、大名・幕府の所有林は、一旦みんな国有になった。しかし、金に困った新政府は山林を民間に入札で売却した。売れ残った部分が国有林として残ったのである。山林の私有林制は、むしろ最も合理的な山林経営法だったのだ。
 一方、ヨーロッパでは、ローマ以来山林は皇帝や国王・貴族・教会の所有物(これも私有地)だった。庶民は山林所有者にはなれなかった。と言うより、庶民は土地そのものを所有出来なかった。19世紀の革命後、これらの山林は全て国有化された。近世・近代以後のヨーロッパの都市建築は、石材・煉瓦造が主で木材が入る余地はなくなった。つまり、ヨーロッパでは木材取引はビジネスにはなれなかたのである。理由の一つとして、ヨーロッパには地震がなかったこと、日本と違って石材採取の規制が少なかった・・・フリーメーソンと称する石工組合が、教会権威をバックに国王・皇帝をしのぐ権力を行使した・・・ことが挙げられる。革命後、国王や貴族の所有地は全て国有化された。元々、庶民(ブルジョワジーも含まれる)が土地を所有する習慣がなかったのだから、山林取引などというビジネスが発達するわけがない。特にドイツでは19世紀以後、古ゲルマン社会への自然回帰主義が大いに流行し、山林をビジネスとして利用するなんて事はあり得ないのである。
 山林の地籍確定が5割に満たない、というのは何にも知らない文系アホジャーナリストの思いこみに過ぎない。実は地籍は100%完成されている。ただその地籍図が、現代人間では容易に判読出来ない様式で描かれているから、こういうものは無いという錯覚に陥るのである。ところがその地籍図もしつこく見ていると、大体判るのだ。筆者は昔サラリーマン時代、こんなことをしょっちゅうやっていた。著者はその努力もやらずに、地籍図はないと勝手に思いこんでいるに過ぎない。現在では法務局や林野庁が山林の地籍確定測量をやっている。山林地籍測量は簡単には出来ない。今ではGPSを使って随分早くなったが、地権者が死んだり何処かに行ったりすれば、境界が確定できないのが問題になっているに過ぎない。しかし、所有者が死んだり行方不明になっても、何年か経てば、職権で境界を確定できるから、大した話しではない。
4)について
 山林取引が自由に行えるから、環境は破壊されるか?逆に公有・国有だったら環境は護れるか?事実は逆である。山林伐採で生じる環境破壊の典型的具体例は、境界を越えての違法伐採(乱開発)である。ところが日本では私権が強いから、他人地への伐採はたちまち係争の種になる。伐採を請け負うのがまともな森林業者なら、そんなトラブルに巻き込まれたくないから、境界を越えての伐採などしない。しかし国・公有地だったらどうでしょうか?業者に関わりのある議員が役所に圧力を加えれば、簡単に指定解除で後はやりたい放題。誰もチェック出来ないのである。従って、山林は私有地とするのが、環境保護と言う点では最も合理的な方法である。しかし、中には行儀の悪い連中もいる。彼等の無法を取り締まるには、森林管理のルールを強化し、厳正に執行すればよい。そのために警察並みの強制捜査権を持った森林管理官制度を作るような制度改正で十分対応出来る。無論このルールさえ護れば、外国人が森林ビジネスに参入してもなんの問題もない。
(注)冒頭に挙げたNHKクロ現で気になった点を2点。
1、4i)に関連して乱開発の例がクローズアップされていた。しかし、その映像は単に伐採が終わった後の様子。何を持って乱開発と言うのか説明がない。乱開発ではない伐採とはどういうものか、その映像も同時に示すべきだ。
2、3)に関連して、中部地方のある林道工事で、一部の所有者が外国人で用地買収の交渉が出来ず、工事がストップしたままになっている。仮に、所有者が外国在住であっても、所定の手続きを採って強制収用を掛ければそれで問題は解決する。土地収用法という法律はそのためにある。問題はここ数10年、行政がこの法律の執行について臆病になっていることである。

15、政治家に対する環境教育の重要性
 ズーット以前から、高校で土木教育を行うべきではないか、と考えていた。ここで云う土木教育とは、土を掘ったりコンクリートを打つと言うような技術ではない。生活環境システムとでも云った方が良いだろう。現在の日本では、100%自然のままで生きている人間などいない。何らかの形で、人工空間に生きている。ホームレスでさえ、この寒空で生きていけるのは、都市という人工空間機能に依存しているからである。このシステムには様々なものがある。人が移動しようと思えば、道路・鉄道といった土木構造物を利用しなければならない。昔のサンカならケモノ道を利用したかもしれないが、今の日本人にそんな能力は残っていないからである。この種の土木施設の中で、特に重要なものは上下水道である。上下水道というものはどういうふうに作られ、どう機能しているかを理解していなけりゃ、とても現代社会に生きる資格はない。

 
先日、偶々、テレビのTBSニュースを見ていると、群馬県議会の民主党議員が「吾妻川の水を決して呑んではいけませーん!」と絶叫。何故かと云うと、吾妻川で環境基準を越える砒素が検出された、しかもその事実を国土交通省が公表していなかった、ということが判ったのである。
1)番組は冒頭で砒素中毒患者の映像を流す(無論、吾妻川とは無関係)。しかし、視聴者には砒素=吾妻川という情報が刷り込まれる。
2)次に吾妻川での国交省調査結果が映し出され、利根川合流点まで環境基準をオーバーしているという情報が流され。
3)更に上流での廃坑の映像が流される。
4)最期のとどめが、上に挙げた民主党県会議員の絶叫なのである。
 以上の情報に八ツ場ダム計画を重ね合わせると、上流の廃坑から出た砒素が八ツ場ダムに貯まり、それが下流の首都圏の水道を汚染する、というイメージが出来上がってしまう。この議員の云いたいことは、砒素を根拠に八ツ場ダムを消し去ろうということにほかならない。そして、それにワルノリしているのがTBSという一民間放送会社・・・この会社の知的レベルの低さは最早救いがたい。ところがここに、とんでもないデマゴギーがひそんでいる。それは中間にある、上水道という都市システムを、意図的に無視していることである。
1)吾妻川は渋川で利根川に合流する。上流の廃坑から吾妻川に流入した砒素は当然利根川も汚染する。従って、民主党議員は吾妻川だけでなく、「利根川の水も呑んではいけない」と叫ばなくてはならない。しかし、彼の想像力は利根川合流点で終わっているようである。
2)上流の鉱山はいつ頃稼工していたかよく判らないが、映像から推すと30年以上前に廃坑したのではないか?廃坑前から砒素を排出していた可能性がある。しかし、この流域で砒素中毒の話しは聞いたことがない。
3)そもそも、日本の上水道システムでは、河川水が直接家庭水道に到達することはあり得ない。河川から取水された水は、上水道用水路をを通って一旦浄水場に導かれ、そこで濾過滅菌された後に家庭に配水される。浄水場から出た水の水質は、水道法により厳しく規制されているので、環境基準をオーバーするような水が一般家庭に供給されることはあり得ない。本流の河川水をそのまま呑む日本人など、昔のサンカじゃあるまいし、あり得ない。無論、過激環境主義者で水道水を拒否する人は別だが、その場合は砒素中毒になるかどうかは、本人のリスクだ。
4)かといって、放って置くわけには行かない。風評被害やなんやらで、地元にはマイナスイメージがつきまとう。そのため、今国交省がやっているのが上流の副ダムだ。つまり、鉱山の排水を一時貯留し、凝集剤を撒いて砒素を沈殿させ、砒素を含む泥土を掘削除去する方法である。これは、何十年も前から鉱山廃水対策で行われた技術であり、なんの問題もない。

 
以上の検討から、吾妻川の砒素騒ぎは八ツ場ダムの建設にとって、何ら障害にならないことが判る。では、国交省は、何故データ公表をためらったのか?一つは役人の臆病である。この原因に文官優位原則がある。まともな技官なら、筆者が上に挙げた諸点をすぐに理解出来る。だから、データを公表してもなんの問題もない。どんな質問が跳んできても、彼は答えられるからである。しかし、彼の上位に上記諸点を理解できない想像力貧困人間がいれば、話しは別だ。その結果、上司はマスコミや環境団体の追求を恐れ、データを握りつぶしてしまうのである。その上司とは、文官或いは文官化したアナクロ無能技官なのである。今、国土交通省がやらなくてはならないのは、こういう文官或いは似非技官の追放である。群馬県議会で絶叫した民主党議員は、世の中のことをまるで知らない、只の不勉強のアホ。それをチェックも出来ない民主党も同罪である。
 この件で露呈したのは、民主党という政党の底の浅さ。何か自分に有利になるネタがあると見れば、前後も考えずそれに飛びつき、大騒ぎする。かつての永田偽メール事件もそうで、誰が見ても偽物と思うメールに飛びついて、国会から社会まで混乱させたのである。あの時の党首は前原、そして今の担当大臣も前原。何か同じ轍を踏みそうな気がします。

14、あきれた代替エネルギー楽観論

 6/14毎日新聞に米シンクタンク(アースポリシー研究所)のレスター・ブラウン氏へのインタビュー記事が載っていた。一読して未だこんな馬鹿げたことを云う学者と、それを有り難がる無知マスコミがいるのに驚かされる。ブラウン氏発言の要点 は次のとおり。
1)先進国の中で日本ほど最も地熱開発が突出した国はない。地熱を利用すれば、(2酸化炭素削減量)を25%から75%に増やすことも可能だ。
2)古いエネルギー経済は化石燃料に偏っていた。アメリカも再生可能エネルギーへ転換する方針を示した。
3)過去1万年の間、気候システムと生態系はバランスを保っていた。最近の二酸化炭素増加や生態系への人為的影響が生物多様性破壊に大きく寄与している。
 果たして本当でしょうか?我々現実(場)主義的地質技術者には、なかなか納得出来ない部分がある。
 そこで、下に示す意見を毎日新聞に送ることにしました。

(環境主義者はもっと現実を見るべき)
 毎日新聞6/14米シンクタンク(アースポリシー研究所)のレスター・ブラウン氏へのインタビューで、氏は代替エネルギーについて所論を述べている。ざっと読んだところ、根拠も何もない甚だ粗雑な議論としか云えない。ここでは次の3点について、意見を述べたい。
1、日本は地熱大国である。
 ブラウン氏は日本は地熱が豊富でこれを利用すれば、CO2削減を25%から75%まで増やせる、と主張するが、そのためにはどの程度のエネルギー量が必要で、それをどうすれば日本で自給出来るかどうかの説明がない。日本が火山国で地熱も豊富だということは間違いはない。しかし、それを利用出来るかどうかは別問題だ。一般に地熱評価に使うのは地温勾配という尺度である。日本の平均値は0.03゜C/mぐらいで、世界平均のおおよそ3倍になる。この点がブラウン氏が日本の地熱資源に注目する理由であろう。しかし、日本の地熱開発には次のような制約がある。
1)日本でも地温勾配の分布は地域によって大きなばらつきがある。つまり地熱分布は斑なのである。地熱発電に必要な地温は熱水を採水する深度で300~400゜C以上はないと採算に合わないが、そういう場所は日本でも限られており、しかも大抵は観光地か国立公園地域になっている。つまり、地熱発電は限られた高温地熱地帯の内、更に限られた場所でしか行えない。
2)現在の日本の地熱発電は地下深部まで井戸を掘削し、高温熱水を回収し、熱交換機に送ってタービンを廻すという方式を採る(単独井)。温排水は河川に放流する。日本の高温地熱地帯の多くは、第四紀火山地帯とラップする事が多い。ところで日本の火山は老朽化が進み(活動のピークから数1000~数万年経過している)、地下水に不純物質を多く含む。これは温泉としての効果をもたらすが、地熱発電の場合は逆になる。地下水中に有害成分(例えば砒素とか)を含むため、地熱井はしばしば排水対策が必要になり、発電コストを押し上げる結果になる。又、地下水を汲み上げるから、周辺に温泉があると、それへの影響が懸念される。世間では、地熱発電は環境に優しい無公害と宣伝されるが、決してそんなことはない。
3)2)の単独井方式に対し、バイリニアー方式というものがある(日本では実験は行われているが、未だ実施例はないと思う)。これは地熱地帯に井戸を2本掘削し、水圧破砕という方法で、両者の間に人工的に空隙を作る。一方の井戸から高圧で水を注入する。水は人工空隙を伝う間に加熱され、高温熱水に変化する。それをもう一方の井戸から回収し熱交換機に送る。この方法だと、2)のケースのように周辺環境に影響を与える事はない。しかし、日本は火山国であると同時に地震国でもある。一見シッカリした岩盤に見えても、目に見えない割れ目が入っている。そこへ高圧水を注入すると、割れ目から漏水を起こし、思ったほど熱水を回収出来ない。それどころか、場合によっては地震を起こすことだってある(数10年前、アメリカ政府は放射性廃棄物処理研究のために、デンバーで1000mほどのボーリングを行い高圧水を注入したところ、地震が起こって実験を中止してしまった・・・デンバー実験)。
 と言うわけで、日本列島での地熱発電は、ブラウン氏が思っているほど容易ではない。関係者だって別にサボっているわけではない。それぞれの立場で努力している。その結果が0.2%という発電シアーなのだ。なお、ブラウン氏は、先進国の中で日本ほど地熱発電が進んでいる国はないと云っているが、それは偶々先進国の中で日本が数少ない火山国だからに過ぎない。潜在地熱資源の最大保有国はアメリカ。しかしその地熱地帯は概ねイエローストン国立公園とラップするから、ここでも地熱開発は思うように出来ないということをお忘れなく。
 なお、別の地熱発電法がある。それは、今後地下300~1000mの地下空間*に貯蔵されることになっているハイレベル放射性廃棄物を利用する方法である。放射性廃棄物は放射能レベルが一定値に下がるまで熱を放出し続ける。これを利用して発電を行うもので、日本が原子力発電を行っている間、原料の供給がある。プルトニウムを使えば殆ど半永久的に発電出来る。周辺環境に与える影響は無い。
2、代替エネルギーの副作用について
 ブラウン氏は風力や太陽光などの代替エネルギー効果を述べているが、その副作用について言及していない。氏はサハラでの大規模太陽光発電を例に挙げている。サハラで太陽光発電をしようとすれば、平原地帯になるが、平原地帯でも僅かながら生物多様性はある。又、僅かな牧草を求めて移動する遊牧民がいる。そこへ大規模太陽光発電施設のような無機物質を持ち込めば、生物多様性は失われ、遊牧民は移動ルートを遮断されて餓えるのみだ。そもそも、半導体のような純粋無機物質と、有機生命体が共存出来るはずがない。そこに発生するのは、欧米白人電力資本+それに手を貸す現地政治家対遊牧民の抗争である。ブラウン氏や欧米人はサハラは何もない、何も住んでいない無機空間と思いこんでいるのではないか?
3、生物多様性破壊の原因について
 ブラウン氏はこれの最大原因は気候変動だという。それは確かにそうだ。しかし、温暖化がこの原因になるわけではない。地球の歴史から云えるのは、生物多様性破壊は寒冷期に生じ、温暖期には生物多様性が活発化するということである。しかし、今別の生物多様性破壊が進んでいる。その最大の原因は農業と市場原理主義経済が結びついたアグリビジネスである。そもそも農学が専門であるブラウン氏が、何故アグリビジネスの危険性に言及しないのか?甚だ疑問である。アグリビジネスが進めば、将来人類はかつて経験したことのない餓えに見舞われるだろう。

 ざっと記事を読んだところ、レスター ブラウン氏のエネルギー・環境に対する認識には新味はなく、浅薄でせいぜい高校生程度のレベル。環境を創る要因は、その国の地形・地質・気候等の自然条件だけでなく歴史・文化も含まれる。当然エネルギー政策もその国の歴史・風土を踏まえなくてはならない。最近の欧米発信の環境・エネルギー関連議論はそれを無視し、欧米の価値観の押しつけに過ぎないようなものが少なからず見受けられる。そういう技術は必ず失敗するだろう。

技術士(応用理学)  横井和夫
*当初は確か600m以深だったと思ったが、知らない間に300m以深になってしまったようだ。

 さて、上記の意見が採り上げられる可能性はあるでしょうか?全くないと云っていいでしょう。何故なら、今の世界、マスコミも役人も政府も、全て温暖化論に洗脳されているからです。


チョンコの孫正義が、経団連理事会で原発再開反対を主張して熱弁を振るう。ココロは、ここで原発を再開されたら、これまで投資してきたソーラービジネスがパーになるからだ。
 しかし、民主党だろうが自民党だろうが、いずれ原発再開容認は目に見えている。維新系だって危ないものだ。世の中の形勢が変われば、あっという間に態度を翻すだろう。
 それはそうとして、孫は東北援助の100億は振り込んだのでしょうか?
(11/11/16)


 鹿児島県で中小水力開発がはじまる。コンサルは日本工営。又も、工営にアイデアをパクラれたか!
(11/11/11)

タイで大洪水。まさかあの巨大メガソーラーの所為ではないでしょうねえ。
(11/10/08)


 日本が京都議定書を脱退する動き。あんなものはゴミ箱に捨てて、脱退すればよい。そもそも、地球温暖化を二酸化炭素の排出によるものだとすれば、京都議定書の枠組みは二酸化炭素排出を増やすことはあっても、減らすことはない。その最大の理由は、ここ10年あまりの途上国・新興国の急速な経済発展にある。京都会議の時と、今とでは、世界の経済構造が全く異なっている。従って、本気で二酸化炭素削減に取り組むなら、全く新しい枠組みを作るべきである。この点で日本の主張は全く正しい。
 京都議定書の問題点は次ぎの4点にある。
 1)排出義務を先進国だけに押しつけたこと。
 2)先進国には排出権取引という逃げ道を作ったこと。
 3)先進国と途上国との境界が曖昧であること。
 4)アメリカ、中国という最大排出国を枠組みの外に解放したこと。
 
1)排出義務を先進国だけに押しつけたこと。
 さて、これまでの二酸化炭素排出量が先進国だけの責任か?これも実に曖昧なのである。明らかに背景に、思想的・政治的意図がある。誰がこういう意図をもたらしたか?ベネズエレとか、南アフリカとか反米左翼政権であることは顕かである。この結果、途上国には幾らでも二酸化炭素排出が出来る、という錯覚を与えた。要するに、江戸の敵を長崎で、というレベルのくだらない恨み節。
2)先進国には排出権取引という逃げ道を作ったこと。
 排出権取引とは何でしょう?これについては、政府もマスコミもキチンとした説明をしていない。簡単に云えば、先進国の企業が途上国の企業に金を出して・・・但し、途上国企業はこれにより、生産設備の近代化を計る・・・その分二酸化炭素排出権を買うというものである。こんなもの、まともに通用すると思いますか?

OECDという、いい加減な機関が作った、年間所得(ドル建て)レベルで線引きしたこと。OECDは他に無意味で有害な事業(例えば国際学力テストとか)をやっているので、さっさと廃止した方がよい。

 管の脱原発発言以来、俄に高まったのが、民主党を含めた化石燃料への依存度アップ論。その代表がシェールガス。こんなの、アメリカ石油メジャーの陰謀そのものだよ。福島事故以来の脱原発運動を陰で操っているのは、実はメジャー。大江健三郎や管直人など、メジャーのスパイか工作員。あり得ますねえ。
 無論、これに乗りかかるのが自民党。これも又メジャーお抱え芸者だったのは周知の事実。与野党揃って、メジャー向けケツ振りダンスをやっているのが、今の日本の政治実態だ。
(11/09/25)

 以前、日米企業がモンゴルで核廃棄物処分ビジネスを始めると云って話題になった。この度、モンゴル政府が正式にこれを禁止する法律を作ることになった。最初この話しを新聞で読んで、此奴等馬鹿じゃなかろか、と思ったのである。
 核廃棄物処分方に付いては1950年代から国際物理学会で検討が行われ、当初(1)星間処分、(2)海底処分、(3)地層処分の3案が検討され、最終的には(3)地層処分によることが勧告された。即ち、核廃棄物は産出国が、その国内で地下に埋設することが原則である。当然、外部への影響も他国の領土を侵してはならない。これは国際協約でもある。
1、第三国がモンゴル領内に核廃棄物を持ち込んだり、処分を行うことは、国際協約違反である。
2、海のないモンゴルに、どうやって核廃棄物を持ち込むのか?ロシアか中国を通過しなくてはならない。これらの国が、すんなり他国産核廃棄物国内移動を認めるとは考えられない。法外なな対価を要求してくるでしょう。
 つまり、全く実現性のない法螺話しなのである。裏で金が動いていれば・・・勿論動いているでしょう・・・、国際詐欺事件だ。これに引っかかったアホもいるでしょう。
(11/09/15)

 岡山の旧塩田跡地でメガソーラー案浮上。出来れば250MW(原発1基の1/4)の太陽光発電所になるらしい。面積は550ha。当地は所有会社が倒産した後、ほったらかしで、今では野鳥の天国らしい。さて、ここにソーラー基地を作れば、環境保護団体との軋轢が始まるのではないでしょうか?どちらも環境/環境と息巻いている。エネルギーと生物多様性とのせめぎ合いである。これがどういう結末を迎えるのか?興味深々。
(11/08/25)

三井化学始め三井系企業が愛知県にメガソーラー基地建設を計画。愛知県だから東海筋か渥美・知多半島地域だろう。この地域は東海・東南海地震の強震地域。海岸沿いは液状化の危険性が高く、丘陵地でも地すべりの多発地帯でもある。それを覚悟した上なら、何処に何を作ろうが構わない。但し発想の始まりが再生エネルギーの固定価格買い取り制にあるのなら、情けない話し。如何にも常に他人のふんどしで相撲を取りたがる三井的発想。
(11/08/21)

間違えた温暖化対策
 
産総研は、打ち水とか、サマータイムは、みんな効果がないどころか逆作用が発生する、却って、植物による被覆の方が温暖化対策に効果があると発表した。
 打ち水やサマータイムは政府肝いり政策。マスコミも散々持ち上げた。筆者は間違えていないが、みんな間違えていたのだ。何故間違えたか?極く簡単な物理法則(中学校レベル)を無視したか、理解出来なかったからである。
 なお、産総研は経産省認可の独法である。経産省内エネルギー関連系列は、大きく資源エネルギー庁系(例の保安院はこの系列)と、産総研系に分かれるが、どちらか云うと産総研は出世コースから外れた冷や飯グイ。原発安全審査で電力会社が一番困るのが産総研(旧地質調査所)。今回の福島事故でも1000年前の地震を持ち出したのが産総研。その点から見ると、今回の発表も政権に対する嫌みは感じるが、何かと自然エネルギーと言えば、救世主のように持ち上げるマスコミ、アホ左翼に対するカウンターとしては有効である。
(11/07/13)


本日新聞を見ると、シャープがタイに売り込む190haのメガソーラーの一面広告。一瞬キチガイ沙汰かと思いました。その下流では、今後洪水が増えて農民は飢餓に苦しむでしょう。別によその国だからどうでも良いが、シャープは結果に対し、責任を持たなくてはならないだろう。
(11/08/01)

 
ここ、数年の傾向だが、夏の気温・降雨量で東京と大阪に逆転現象が起こっている。以前は東京の夏の気温は大阪に比べ2~3゜Cほど低め、雨もゲリラ豪雨など殆どなかった。それが全く違った傾向になっている。
 その理由は果たしてなんでしょうか?景気と異常気象に何か関係があるのでしょうか?そういえば、ヤクザも大阪から東京に移動し、犯罪発生数も逆転。

 11年度から自然エネルギーの強制買い取りで、電力料金が平均200~300円/月アップ。これの理由は、鳩山のアホと民主党のマヌケが言い出した2酸化炭素25%低減馬鹿政策。地球温暖化等、なんの根拠もないペテン。そのペテンに対し我々は年に数1000円の負担をしいられるのです。これこそSS以上の環境ファッショ。断固この民主党馬鹿政府を潰しましょう。
(10/07/23)


 
旭ガラスが自社基金で例のハンセンともう一人に5000万円の賞金を贈るとか。別に私企業がなにをしようと構わないが、ワタクシなら、この二人には縛り首か火あぶりの刑を賞金として与えたい。
(10/06/19)

ローマ法王が、最近欧米で力を持ってきている動物権運動に対し懸念を表明。動物権運動とは人間外の動物も、人間と同等であると主張する原理主義的動物保護思想。しかし、これはキリスト以外にも神があるという思想にも繋がる。バチカンがこれに反キリスト思想を嗅ぎつけたかもしれない。
 「緑の党」を始めとする、ヨーロッパの環境主義のベースをなすものは何でしょうか?キリスト教の博愛か?科学技術への反省か?むしろ、古ゲルマンやケルト、スラブの精霊/呪術信仰が、形を変えて現代に復活してきたのでは無かろうか?シーシェパードのテロ行為など、当に古ゲルマンの呪術信仰そのもの。そうだとすると、バチカンがこの問題に神経質になるのは判る。この問題は別に検討します。
 この際、クジラ・マグロに関しては、一神教カソリックの大本山と、東洋の多神教偶像教徒がタッグを組む手もある。
(10/03/27)


 COP15で明らかになったのが途上国間の経済格差。成長著しい中印など排出国は,、排出した温室効果ガス量に見合って先進国からの援助を受けられるが、排出も出来ない最貧国は、返って経済成長から置いてけぼり。ますます格差が広がる。だから、途上国に対し排出削減を要求し、足を引っ張ろうと言う動き。これも皆「京都議定書」が作った罪。
(09/12/19)


 鳴り物入りで始まったCOP15が、何も決められずパンク寸前。こんなこと始めから判っていた。コペンに集まった各国首脳、特に先進国側は大恥さらしだ。何故こうなったかというと、要するに”金”だ。つまり、京都議定書が全ての問題の始まりなのだ。まず最大の問題は排出権取引というシステム。これのために温室効果ガス規制が科学から、経済問題へ、継いで先進国対途上国の対立という政治問題へ、更には炭素取引市場という経済・金融問題に化けてしまったのである。こ結果問題が拡散してしまって収拾がつかなくなってしまった。
1、途上国にとって排出権取引というのは大変魅力的な言葉である。何もしなくても先進国から金が入ってくる。設備改善が必要だ、と言ってもそれは途上国が自分で投資しなくても良い。いくらかのマージンを払えば先進国企業がやってくれる。そうなら、先進国削減目標は高ければ高い程良い。数%程度の削減目標なら、先進国は技術革新でクリアーしてしまう。それなら途上国にうま味はない。先進国に思い切り高い目標を押しつけた方が得だ。貰った金で環境対策?そんなもの始めからやる気もないし、第一チェックのしようもない。
2、炭素取引が二国間取引なら、時間は懸かるし、第一妥当な価格がどの辺か判らない。そこで登場したのが炭素取引市場。温室効果ガスの証券化です。これに乗り込んできたのがニューヨークやロンドンのハゲタカ達。取引の仲介をしましょう、その代わり取引額のン%を手数料で戴きます。ハゲタカにとって、炭素市場は新しい絶好のエサ場だ。だからエサを増やさなくてはならない。エサを増やすためには?当たり前だが先進国の削減目標が高ければ高いほど良い。
 ここで引っかかったのが一羽の鳩。とんでもない削減目標を掲げて自らエサになろうとした。途上国やヨーロッパ勢が歓迎するのは当たり前である。しかし、排出権取引をやったからと言って、温室効果ガスは減りません。先進国から途上国へ渡った購入料は、いつの間にか、その国の大統領とか議員とか国営企業総裁の懐にに入ってしまって、環境投資には振り向けられない。だから、先進国が幾ら途上国に金を積んでも温室効果ガスは一向に減らないのです。
(09/12/18)

今度は、淡路島で風力発電による低周波災害が訴訟になりました。低周波振動が起こる原因は幾つかあり、風力発電の場合①プロペラの低速回転が起こす空気の回転振動、②プロペラの回転に同調する基礎の振動=地盤振動の二つが考えらます。他にもあるかもしれませんが、設計上のミスが問われる可能性があります。低周波の波はエネルギーがなかなか減衰しないので、発生源からとんでもない距離で振動被害をだすことがある。この辺のところは京大防災研の得意分野。JH香芝高架橋の低周波振動を解明したのも防災研だからねえ。
 環境に優しいはずの再生可能エネルギーも、必ずしも優しいことは無いという実例。今万能と考えられている太陽光だって、増えてくると返って温暖化を促進する可能性だってある。
(09/11/19)

 何時の時代にも、それさえ唱えておれば先進的・愛国的ともてはやされるが、逆らうとやれアナクロ非国民扱いされる呪文のような言葉がある。それは三年前までは「民営化」や「カイカク」であり、今では「地方分権」や「地球環境=エコ」である。日本中が「分権」と「エコ(特定業界や政治家のエゴにも聞こえる)」の神に乗っ取られたようなものだ。しかし呪いは所詮呪い。三年もすればみんな忘れ、「分権」や「エコ」の神も神去ります。そして又新しい神がやってくる。日本人はズーット昔からそうしてきたし、これからもそうするでしょう。
(09/06/27)

13、科学異端審問
 白亜紀末の恐竜絶滅に、41人の学者の検討で小惑星衝突説が正論として決着?41人が多いか少ないか、たった41人でえ?という皮肉な見方も出来る。この41人は、ガリレオの地動説を葬った現代のバチカン枢機卿。その下に、学会・官庁を支配する大勢の異端審問官が出来るだろう。地球温暖化問題もそうだ。温暖化論者は、反論を食らうとすぐに”IPCCは200数10人の学者の議論を経て”と数の論理を持ち出すが、カラッポは幾ら集まってもカラッポ。
 そもそも科学に多数決や民主主義はなじまない。ここに数に頼る民主主義論理を持ち込むと、それは民主主義に名を借りたファシズムになる。
 今後恐竜絶滅について小惑星衝突説以外の説は異端として、提唱者は学問的焚刑に会うだろう。戦後日本のある大学では、井尻・舟橋・藤田らが主宰する地団研に反対する研究者が皆、赤色迫害にあったのと似たようなものだ。
(10/03/07)

12、誤った理科教育
 環境問題を考える上で重要なことは、正しい自然科学の知識を、関係者だけでなく、一般市民も共有することである。環境問題のような身近な問題では、一般ピープルが大きな役割を果たす。昔の様に自然科学が一部のエリートの独占物であった時代ならいざ知らず、今では特にその傾向が強い。ここで重要な役割を果たすのは、初等中等レベルでの理科教育と考えられる。しかし、テレビや新聞マスコミに登場してくる意見・評論を見ていると、自然科学の示すところを誤解・曲解しているのではないか、と思われることが多い。その理由は、上に挙げた初等中等レベルの理科教育に問題があるのではないか。その幾つかを挙げてみよう。
1、森林の温室効果ガス吸収効果
 随分昔だが、リオデジャネイロ会議の時、ブラジルはアマゾン熱帯雨林によるCO2吸収とO2生産効果を強調した。ココロは、先進国はもっとブラジルを援助せよと云うことだ。全ては金だ。
 中学生になると「光合成」を学ぶ。昼間、植物はCO2を吸収し、光合成で酸素を作って吐き出す。ここまでは正しい。しかし、その先を現在の理科教育は教えていない。教えていないから、植物を増やすとCO2が減ると勘違いする人間が増える。
 光合成で植物はCO2を吸収するが、吸収されたCO2は何処に行くのか?これは植物の幹や枝・葉っぱなど植物中に固定される。こうして植物は成長する。CO2が豊富な環境では、植物はドンドン成長し、巨大化する。成長している限り、植物はC02を吸収し続ける。しかし植物も何時までも成長出来るわけではない。裸子植物には寿命は無いが、落雷や暴雨風雨による倒壊、小動物による蚕食等による枯死は避けられない。被子植物には寿命がある。それが辿る運命は前者と同じである。枯死した植物はバクテリアで分解され、バクテリアの死骸から、その植物が吸収したのと、そっくり同じだけのCO2が排出される。この現象は地球上で、常に繰り返されているので、トータルとしてのCO2生産量は変わらないのである。逆に言うと植物はCO2製造機のようなもので、植物を増やせば増やすほどCO2を増やすという矛盾に遭遇せざるを得ない。
 無論森林は周辺の気温を下げたり、雨水を貯留し斜面災害を防ぐなど、環境保全に対し大きな効果を持っている。だから森林育成はやって悪いことではないが、CO2吸収効果などと関連付けるからややこしくなるのである。

さて今月から、太陽光発電購入価格を一挙に倍にするという、とんでもない制度が始まりました。これでメーカーはほくほくだろうが、10年20年後に消費者がとんでもない眼に会わされるという試算をやってみましょう。データは雑誌ニュートンの「太陽光特集」によります。

 メーカー   タイプ        A(㎡)   発電量(W)   価格(円)   面積当たり発電量(W/㎡)  面積当たり価格(円/㎡ )
シャープ   SUN-VISTA      1.153    160       7937      138.8               6883
        ND-160V
京セラ    SD-64X GOSB    0.35     46        2898     131.4               8280
        SD-62X QPSB    0.467    62        3908      132.7              8368
三洋     HIP-200BK5     1.179     200        -       169.6                -
三菱(電)  PV-MX185M     1.422     185       11466     130.1                8063
カネカ    SolfileX         0.363     19.5        -       53.7                -
昭和シェル Solacls         0.792     85         -       107.3                -
ホンダソルテック HEM125PA   1.121     125       6735      111.5               6008
三菱(重) MT130           1.575    130         -       82.5                -

 太陽光主義者・・・例えば民主党細野・・・は太陽光発電は初期コストは高いが、それが償却された後は、経費は只で後は電気の売り上げ料金が入ってくるだけ、だから儲かるのだ、と主張する。これには償却期間後も発電機能は衰えず、運転コストは掛からず、永久に発電し続けるということが前提になっている。これには更に、太陽光発電は発電素子だけで出来るという思いこみがある。太陽光発電システムは発電素子だけでなく、整流・送電系やパネルの保持装置などの各種機械系からなる。発電素子だけにかぎれば、確かに半導体型の場合、数10~100数10年のオーダーではパネルの経年劣化は考えがたい(それから先は判らない。宇宙線や紫外線の影響が考えられるからである。自然界に永久不変はあり得ない)。これは別にしても、本当にコストはかからなくなるのでしょうか?
 一般家庭での太陽光発電初期コストは200万円程度とされる。しかし200万円の内訳は顕かではない。1家庭当たりパネル面積を多めに見積もって40㎡としましょう。上記のデータでは、パネル代は概ね7000~8000円/㎡(これ自身メーカー利益が加算されているので、実質価格はこれの半額程度だろう)。即ち30万円前後になる。200万円の内、メーカーや代理店やらの利益を4割として設置原価は120万円程度。するとパネル料30万円との差額90万円は、設置料とか設備費(パネル支持材とか整流・送電器のような電気設備)になる。ここで設備は決して永久品ではない。経年劣化とか故障を必ず起こし、その度に機器の取り替えや修理が必要になる。それが現れるのは大体10~20年ぐらい後なのである。つまり、初期投資をやっと償却してやれやれ、これから儲けるぞ、と思っていた矢先にメーカーの営業が現れ、「オタクの設備はもう使えません。今の内なら買い換えにウチの方でローンが組めます」とかなんとか云って、またまた100万とか200万円とかをむしり取られるのである。太陽光電気買い取り制度は国家的詐欺です。この程度のことは、中学生程度の知的レベルで判ります。しかし、それを誰も言い出すことが出来ない。これこそがファシズム以外の何者でもないでしょう。将来の人類から、21世紀の人類はこれほど愚かであったかと、ののしられるだろう。
(09/11/04)

今月から太陽発電電力の2倍買い取り10年保障制度が始まります。とんでもない制度です。恩恵を被るのは太平洋岸の表日本だけ。北陸・東北・北海道などの積雪地帯の家庭は、太陽発電をしようにも出来ないからです。それでも負担は平等に掛かってきます*。
 この制度はドイツをサルマネしただけ。大分前にNHKでやっていましたが、出てきたブローカーは大儲けだと喜んでいました。
*太陽発電装置の購入には国から補助金が出ます。これは税金です。従って、そもそも太陽発電が不可能な積雪地帯や都市集合住宅住民にも、平等に負担が掛かってくるのです。
(09/11/02)


本日毎日新聞朝刊に「ソーラーシステム販売急増」と題して、経産省が08年度から復活させた補助金制度や、今年11月の余剰電力買い取り価格引き上げを誇大に説明されている例が多く、国民生活センターが消費者に注意を呼びかけた。又岡山県男性が訪問販売業者に「毎月のローン返済に充てられる」と230万円で設備を購入したが、実際の電力買い取り額は月400~1000円止まりだった」と報道。やっと、馬鹿マスコミも眼を覚ましたか?いや、もっとソーラー詐欺被害が出なくては本当に覚めないだろう。
(09/10/09)

11、いかがわしい自然エネルギー利用論
 散々自然エネルギーの悪口を言って居ますが、何も自然エネルギーを全否定する訳ではない。今の社会が、自然科学が示している限界を無視して、自然エネルギーが全てを解決すると錯覚している(特にNHK)ことを懸念している次第です。エネルギー保存の法則から、新しくエネルギーを創造することは出来ない。出来るのはエネルギーの形態を変えることだけです。この場合問題になるのは、エネルギー変換効率です。自然営力を利用する方法(今様で云う自然エネルギー利用法)は残念ながらこの効率がもの凄く悪い。これはコストが高くなると同時に、下の計算で示すように、環境負荷が大きくなるということを意味します。と言うことは、理論的にも、自然エネルギーは基幹エネルギーにはなり得ない、と結論せざるを得ません。いや自然エネルギーは環境に影響を与えていないではないか?と云う人もいるでしょうが、それはテレビの映像で騙されているだけです。マスコミによるプロパガンダを脱却しなくてはなりません。
 
 風力や太陽光等自然エネルギーの欠点は、①エネルギー供給が不安定であること、②基本エレメント当たりエネルギー出力が小さい為、大エネルギーを生産する場合膨大な設備・空間を要することです。特に②はこれ自身が環境破壊要因に繋がりかねません。
 現在の電力生産には、大きく①水力、②火力(原子力を含む)、③自然力(風力、太陽光)の三者があると考えられますが、この中で一番環境親和性が高いのは①水力です。世の中にはダムを自然破壊の元凶のように云うアホも居ますが、ダムが出来て水が貯まると、それ自身一つの生態系を作ります。水が貯まると周辺の気温が低下し、更に雨も増え、自然環境は以前に比べマイルドになる。更に観光収入は増えて、自然環境は別次元に移行します。
  
ダムを作ると、周囲の気温は低下します。低温の水と高温の空気が接触していると、エントロピー増大の法則に従って、空気から水に向かって熱が流れる・・・初歩的な熱力学・・・から、空気の温度は低下する。空気より水の方が比熱が大きいから、水が一旦獲得した熱はなかなか発散しない。だから、ダムの周りでは気温が低下するのです。地球温暖化を防ごうと思うなら、もっと沢山のダムを作って、水を貯めましょう。
(09/09/18)

 出力に比べ最も環境負荷が低いのは②火力(原子力を含む)で、最も高いのは③自然力です。例えば100万KWの原発を建設しようとすれば、必要面積はせいぜい数haに過ぎません*。では風力や太陽光で100万KWを生産しようとすれば、どれぐらいの施設が必要でしょうか?太陽光の場合、夜間や雨天・曇天を考慮して出力の効率を0.4*07=0.28とすると、大体30平方㎞が必要です。原発1基の数100倍の面積です。風力の場合、1基当たり発電量は平均400KW、25000基。但しこれはプロペラがフル稼働の場合で、日本の場合良くて効率は0.3ぐらい。すると、75000基が必要です。日本にそんな土地に余裕はありません。それどころか、これらの施設は周囲の環境に大きな負荷を与えます。例えば太陽光発電パネルは100%無機質だから、周辺生態系と調和する事はない。上記のように数平方㎞もこれで覆えば、途方もない生態系破壊をもたらすでしょう。他にも色々ありますが、太陽光発電は素材が物理的に純粋であるだけに、他と調和し難いのです。
 従って、今やっているように、家の屋根とかそういう空き地を利用する以外に使い道が無いでしょう。つまり自然エネルギーは基幹エネルギーの補完以外の何者でもない、と考えます。そういう使い方をすれば良いのに、あたかも将来の問題解決の切り札ともてはやす、現在の風潮に胡散臭さを感じざるを得ません。メーカーも、官僚も、投資銀行も、自民系政治家も狙っているのは、エコバブルを煽ってそれで一儲け。あとは知らぬ、問題が起これば消費税を上げればそれでよい、ぐらいのことしか考えていないのです。アホな環境主義者とか市民団体、民主党とか社民党が、ハンセン等(IPCC)のまやかしに乗って、その風潮に乗せられているだけ。アホの二乗だよ。但し、日本がエネルギー政策を自然エネルギーにシフトして、産油国を牽制するとか、他の技術(眉唾でも何でも良い)を産油国に売りつけて一儲け、という戦略に立つなら、敢えて反対はしない。果たして、この国にそんな戦略があるのでしょうか?
 では基幹エネルギーとは何かという問題があります。筆者は今のところ原子力以外にないと考えています。原子力は廃棄物の問題がありますが、廃棄物はそれ自身熱エネルギーの供給源になります。施設の耐震安全性については、現状の耐震構造オンリーではなく、免震構造を取り入れれば、安全性は数倍に高まる。新しい技術を採用すれば幾らでも問題は解決出来る。それと日本の気候条件を考えれば、水力特に中小水力を見直すべきだと考えているのだが、なかなか賛同者がいない。
  
* ところが、実際はその数倍の土地を買っています。漁業補償に代表される各種補償も半端な額ではありません。例えば東電柏崎原発の場合、実際に必要な面積は、実態の1/3ぐらいです。残りは地元に無理矢理買わされているのです。山賊や海賊の利権あさりです。無論、これらヤクザ連中の儲けは、電気料金として消費者に転嫁されています。そしてこれら山賊・海賊の後ろ盾になっているのが、NHKを始めとするテレビマスコミ、環境主義者達です。NHK!何か言ってみろ。
(09/09/11)

次は電気自動車。太陽光発電と並んで、次の産業主流となろうとしているのがこれです。電気自動車の問題点は何でしょう。①値段が高い、②充電に時間が懸かる、と言ったところでしょうか。
 ①については次の様な問題が考えられます。HV、EVの普及を促進するため、アメリカだけでなく、日本でもHVやEVに対する税制優遇やメーカーへの補助金が支給されています。しかも民主新政権もこれを踏襲する勢い。これはまるっきりの公共事業です。特定業種の特定品目に対する公的優遇措置は、資本主義に対する侮辱、社会主義を通り越して、共産主義・統制ファッショ経済です。トロツキー曰く、統制経済は独占資本主義の最も堕落した形態である。こんな侮辱を唯々諾々と飲み込み、且つそれにおもねる日本経団連という団体は、一体全体何者なのでしょうか?かつての産業報国会のようなファッショ団体でしょう。
 一体全体誰がこんなに資本主義を堕落させたのでしょうか?かつての建設産業でもこのようなことはあり得なかった。ところが経産省(旧通産省)は、よくこの手を使っている。これがかつての造船疑獄とか、撚糸工連事件とか様々な通産スキャンダルを産んだのだ。阿部晋三の祖父筋に当たる、岸信介とか、佐藤栄作などが疑惑の核心。と言うことは、数年後、電気自動車疑獄が発覚すると言うことか?十分あり得ますねえ。誰が捕まるでしょうか?
 ②について。携帯の電源が減圧してイライラするのは誰でも経験する事です。当然、電気自動車でも同じ現象が発生します。現在では、充電に数時間を要すると云われます。自動車には、大きく①業務用自動車、②私用自動車の2種類があります。①も公的自動車と、営利用自動車に分けられます。公的自動車とは、パトカー、救急車、消防車の類です。これらの自動車に義務付けられているのは、要請があればいつでも出動出来るよう、体制を採っておくことです。一回出動したら、何時間も充電している余裕は許されないのです。例えば「隣の家が火事です!」と消防署に電話したところ、「ただいま消防車は充電中です」なんて返事が返ってきたらしゃれにもならない。
 現在のメーカーやNHKは、100㎞走って8時間の充電で済むと宣伝している。しかし、100㎞走って8時間充電OKでやってられる人間など、タレントか大企業のサラリーマンぐらい。タクシーや長距離トラックの運ちゃんなどたちまち飯の食い上げ。病院周りをやっている製薬メーカーの営業でも、一日何100㎞と走っている。社会システムの変更は、様々な矛盾を生じる。そしてその矛盾のしわ寄せを最も強く蒙るのは、常に社会の末端にいる弱者である。弱者救済を掲げる新政権が、弱者を痛めつける政策を採るとは矛盾も甚だしい。
 そもそも、充電式電気自動車の原理は、携帯と同じである。物理化学的にはエネルギー・物質保存の原則に従う。充電時には、外部電源から与えられた電気エネルギーが蓄電池内の化学反応を通じて、化学エネルギーとして蓄積され、出力時にはその逆作用で電気エネルギーに変換される。充電時間や稼働時間は、この化学反応時間のことである。化学反応を促進しようとすると、通常は熱や電気などのエネルギーを外部から与えるとか、何らかの反応促進剤を添加するなどの措置が執られる。しかしこれを間違えると、反応が制御出来なくなり暴走する。爆発とか炎上とか臨界だ。従って、現在の技術では、最も安全な充電時間が100㎞あたり8時間ぐらいが限界なのだろう。無論、この数字は将来改善される余地はあるが、過程が化学反応である限り、そこには限界がある。数時間のオーダーが限界か?。又、当たり前だが、電気ー化学エネルギー変換の過程で化学物質は消費される。だから蓄電池の寿命は有限なのである。化学物質が消費された段階で蓄電池の寿命が尽きるのだが、その先どうなるかを環境主義者も環境メーカーも環境政治家も何も云わない。
 そして、その行く先は当たり前だが、蓄電池のゴミの山だ。これを費消するのはバクテリアで、これからC02とか他の有毒ガスが発生する可能性がある。バクテリアを馬鹿にしてはいけませんよ。彼等は自分で進化し、環境に適応する能力を持っている。地球生命体の進化とは、殆どウイルスやバクテリアの進化の歴史と云って良い位なのだ。
 太陽光発電もそうだが、電気自動車もクーラーの効いた研究室で、毎月決まった給料を貰い、自動車など自分のレジャーにしか使わないような、世間から隔離された生活を送っている研究者が考え出した、バーチャル産業なのである。両方とも作り出した後、役に立たなくなればどうなるかを全く考えていない。莫大な環境破壊と外部不経済を発生するでしょう。つまり、ビジネスとして”起承転結”が取れていない。そのくせ、ヨーロッパでは早くも炭素取引市場が開設されている。これは市場に日本の資金を呼び寄せようと云う陰謀。ビジネスとして完結していない産業に市場が開設されればどうなるか?当たり前だが、バブルが生じ、その後市場は破綻する。大体10年後ぐらいでしょう。アホのニッサン、マヌケの三菱、とんまのホンダ、文句があるなら何かいってみろ!
 総じて云えば、現在、ヨーロッパ各国が世界に強制しようとする炭素減少策は、日本で云うと将軍綱吉による「生類哀れみの令」に匹敵する愚策・悪法である。ついでに云うと、鯨・マグロ捕獲禁止もその類。つまり今の欧米人は350年前の日本の、一独裁者の真似をしているだけなのだ。
(09/09/12)

10、太陽光発電の胡散臭さ
 ワタシが今稀代の愚策と考えているのが太陽光発電です。
1、シャープの例
この前新聞を見ると、シャープの宣伝で里山の山腹をぐるっと太陽光パネルで囲む画が載っていた。この会社、一体何を考えているのだろうか?とんでもない馬鹿である。
 太陽光発電パネル単位面積当たり年間発電量Q0を求めてみよう。これは次式で与えられる。
    Q0=q・He
       q;発電パネルの単位面積当たり発電量(W)
       He;年間有効発電時間(h)
 qは製品によって異なるが、雑誌「ニュートン(太陽光特集)」より、平均値としてシャープ、京セラ製品を代表とし130W/=0.13KW/㎡を用いる。Heは次式で求める
      He=a1・a2・365*24=a1・a2・8760h
        a1;1日当たり受光時間による補正係数(夜間、薄暮、早朝を除き0.4と仮定)
        a2;年間受光日数による補正係数(梅雨、雨天を考慮し0.7と仮定)
      He=0.4*0.7*8760=2450h
 従ってQ0=0.13*2450=3.19*10^2 KWh/㎡
必要発電量は、(財)エネルギー総合工学研究所による2015年度予測を用いる。これによると総発電量は1.06*10^12KWh。その内太陽光発電が代替すべき資源は主に化石資源でその内訳は石油6%、石炭19%、天然ガス22%計47%となっている。
 これにQ0と同じ受光時間の補正を加えると、必要代替発電量Q1は次のようになる。
     Q1=0.4*0.7*0.47*1.06*10^12=0.14*10^12KWh
 従って、必要発電パネル面積Aは
     A=Q1/Q0=4.39*10^8㎡=4.39*10^2㎞^2
 ざっと440平方㎞である。
一方、総発電量に対する代替寄与率は0.14/1.06=0.13 13%に過ぎない。

 さて、現在の日本の自然環境が持っているキャパシテイーに比べ440平方㎞という数字は決して小さい数字ではない。シャープ宣伝型面開発によるとする。まず国定・国立公園、鳥獣保護区域、自然保護区域、砂防指定地は絶対にダメ、保安林、宅地造成規制区域もまずダメ。地すべり防止区域や急傾斜地崩壊防止区域は、何が起こっても事業者負担。幾らも残っていない。仮に見つかったとしても、環境団体の抵抗がある。又、流域の流出係数がそれまでの0.6~0.7から一気に0.9ぐらいまで上がるから、河川流出量が増えて、下流は河川改修をしなくてはならないは、ダムを幾ら作っても間に合わなくなる。それにパネルの下には光が入らなくなるから、嫌気性バクテリアが繁殖し、返って二酸化炭素が増えるのではあるまいか?
 要するに、シャープ型の山腹設置方式は百害あって一利なし。従って、都市の一般家屋設置型が考えられる。仮に一戸当たり20㎡のパネルを設置するとすると、全部で2200万戸が必要になる。今でもこんなに家屋はないし、今後の少子化を考えると、もっと減る筈だ。1000万戸ぐらいが適当か。そうだとすると、太陽光で代替出来るエネルギーは半分になってしまう。それでもこんな多数がパネルを設置すると、その電気料金を今の倍の値段で買わなければならない。電力会社の経営を直撃するのではないでしょうか?
 一方 、京セラ宣伝は家屋屋根の四囲に発電パネルを貼り付ける画を示している。これこそ一般消費者を騙すペテン・インチキである。屋根の四囲にパネルを貼り付けたところで、発電効率は半分以下。メーカーが儲かるだけで消費者は騙されているのだ。本来、国=経済産業省が消費者の立場に立ってメーカーを規制しなくてはならないのだが、経産省自身がメーカーの下請けと化しているから、全く当てにならない。そういう意味では消費者庁(省)の設置は必須の要件だろう。
それより、せっかくン百万円出して太陽発電パネルを作っても、家の前にいきなり高層マンションが出来たらどうするのでしょう。この問題については、現在の都市計画法は何も回答を出していません。全国の都市地域を一種住専区域にするか?しかし、一種住専でも4Fまでは許容出来る。つまり、日本では今の法律下では、恒久的に太陽光発電を出来る場所はないのである。
 そもそも、他人が作った電気を電力会社に強制的に購入させるるなど、資本主義の冒涜も甚だしい。社会主義を通り越して、共産主義か統制ファッショ経済だ。これに経団連や電力業界が何も云わないのが、不思議、面妖。
 更に、日本でこれだけだから、これに中国やインドが参入してくると、パネル需要は莫大なモノになる。メーカーはパネルの供給に自信があるのか?石英資源を巡って、国際紛争や乱掘による大規模環境破壊が予測される。
 要するに、環境やエネルギーのような地球環境にとってデリケートな問題に、シャープ宣伝に見られるような雑駁な頭脳の持ち主が、鬼のクビでもとったように浮かれ騒いで乗り込んでくること ことが問題なのだ。
(09/08/27)
2、サハラの太陽光発電
 ヨーロッパのある業界団体がぶち挙げた構想である。サハラ砂漠に巨大太陽光発電施設を作り、そこで出来た電気をヨーロッパに送ろうというものである。計画の詳細が判らないので、当てずっぽうで推測する他はない。おそらく何兆KWとかの計画だろうから、上に挙げた0.13KW/㎡で計算すると、数万平方㎞が必要である。サハラだから、そんなもの大したことではないと思うだろうが、意外にそうでもない。
 何故サハラなのか?これには古代・中世から、ヨーロッパ人に巣くう、アジア・アフリカに対する偏見が作用していると思われるが、それは別にしても次のような思いこみがあると思われる。
(1)サハラは赤道近くに広がっており、年中雨が降らず、太陽光を集めるには絶好の場所である。
(2)サハラは茫漠たる砂の海であってそこには人は住んでおらず、住んでいても野蛮人で問題にする必要はない
(3)だから何処でも好きなところに太陽発電パネルを設置出来る。
 そうでしょうか?そもそも太陽光パネルを設置するのに、サハラが適切かどうかを検討しなくてはならない。その点でヨーロッパ人は、非現実的な思いこみの世界に浸っているとしか思えないのである。つまり中世十字軍の世界から何一つ進歩していない。
この問題を考える場合、1)サハラの自然地理学的特性、2)北アフリカの地政学的位置づけと、サハラの民族的対立、等の諸要素を考慮しなくてはならない。しかもこれらは根っこの部分で結びついているのである。
1)サハラの自然地理学的特性
 グーグルアースでざっとサハラを見ただけで、サハラと云っても幾つかの種類があって、それには(1)砂砂漠、(2)平原、(3)沃野の3種類があることが判る。
(1)砂砂漠は我々日本人他が、一番サハラに抱いているイメージである(実はこれはハリウッド映画が作った幻想)。その特徴は延々と続く砂丘の連続。では砂丘とは何者か、というと、堆積学的にはリップルと呼ばれる構造で、洪水とか、或いは定常的に水や空気が流れている場では、何処でも出来る。この砂丘は何時までも安定か、というととんでもない。砂丘は常に移動しているのです。こんなところに太陽光パネルを設置したところで、数年を経ずしてパネルは砂の海に呑み込まれてしまう。それが嫌なら、毎日毎日砂掃除をしなくてはならない。それも数万平方㎞にわたってだ。そんなことが出来ると思いますか?従って、これは却下。
(2)サハラの中にも、砂とはあまり関係の無い地域があります。その多くが平原です。砂漠と平原の成立過程は地質学的は結構難しく、筆者もグーグルアース映像だけでこうだと結論しづらい部分が多い。それはともかく、平原は砂漠と違って、砂の攻撃は乏しく、地盤は安定しているので、太陽光発電パネルを設置するには都合がよい。しかし、水は乏しく農業には適せず、一般には放牧地として利用されている。放牧民は僅かな草や水場を求め、牛や駱駝などの牧蓄を逐って、毎年定期的に移動する。その移動経路は大昔から概ね決まっている。これが何らかに形で遮断されれば、その結果はたちまち彼等放牧民の餓えに直結する。現在のスーダンダルフール紛争でも、その根本原因は、マリでの内戦である。内戦がマリ農民のスーダンへの移動を強制し、それがスーダン放牧民の放牧地を侵す。農民は定住し、農地を確保するために、柵をを作って外からの侵入を阻止しようとする。しかし、放牧民にとっては、牧畜の移動路を農民に遮断されたようなものだ。移動の自由を制限されれば、彼等が直面するのは餓えである。当然農民対放牧民の対立が生じる。それに民族や宗教対立が加わるから、今のような混乱を招いた訳です。
 移動は平原に住むは放牧民にとって生きる術です。彼等はみんなギリギリのところで生活しているのだ。こんなところに数万平方㎞もの、太陽光発電施設を作ればどうなるでしょうか?たちまち放牧民は飢餓に襲われ、その結果は太陽光発電に対する抵抗運動を作るでしょう。発電パネルはズタズタにされ、インドや中国へ密輸され、アルカイダの良いカモになるだけだ。
(3)例えば北や西アフリカ海岸地方とか、内陸でもチンブクツからニジェール川地帯にかけての低平地や内陸オアシスのように、水が豊富で人が定住生活を送っている地域がある。こういう場所も土地は安定しているから、太陽光発電施設を建設するに適している。しかし、昔から農業が行われ、土地は部族によって細分されている。こういう場所に強引に大規模発電施設を作ると、たちまち農民に飢餓が発生する。これも2)と同様、現地人の抵抗を産むだけ。
2)北アフリカの地政学的位置づけと、サハラの民族的対立
 自然条件からだけ見るとサハラでも平原・沃野地域が建設に適していると言える。現地政府を買収すれば必要な土地は手に入れられるかもしれない。又、放牧民や農民の抵抗・反対はあっても、地元有力者に金をばらまけば何とかなる。抵抗する者は軍隊を使って押さえつければそれで済む。
 しかし、北アフリカと言っても一様ではない。大きくは北・東部のアラブイスラム世界と、西・南部のヨーロッパ・アフリカキリスト教世界に分かれる。これらは放牧文化地域と農業文化地域の違いに概ねオーバーラップする。そして今、イスラム世界が拡大し、しかもイスラム原理主義の影響が強くなって来つつある。局地的な抵抗は鉄砲で脅せば済むかもしれないが、これが面的・民族宗教的抵抗になるとそれでは済まない。大量の軍隊で太陽光発電施設を防衛しなくてはならないようになる。まるでハリウッド映画の様だが、満更空想でもないのだ。それでも良ければ、サハラで太陽光発電をやりなさい。
(09/09/16)

9、ハイレベル廃棄物処理場について
 この間、6chの朝のワイドショーを見ていたら、日本のエネルギー自給率はこれだけあるという特集をやっていた。彼等が挙げた自前エネルギー要素は概ね次のようなものである。
1)風力
2)水力
3)太陽光
4)地熱
・・・他・・・
 番組ではこれらの持つポテンシャルを全てプラスで勘定していましたが、本当でしょうか?例えば、2)水力については、これを生かすためには今後ダムの増設が必要なのだが、今のところ世間一般ダム建設反対で、それどころかダム撤去なんて話しまで出てきている。これをそのままやれば、2)はマイナスに作用する。又、4)地熱も甚だ怪しい話しで、日本列島の地熱ポテンシャルをそのまま計上しているに過ぎない。ポテンシャルが幾らあっても、それをそのままエネルギーに転換できるわけではない。エネルギー転換効率と言う点では、日本列島はそれほど有利ではない。例えば、20年ほど前、秋田県でバイリニアー発電基礎実験をやったところ失敗に終わった。原因は日本の地質構造にある。岩盤に目に見えない細かい割れ目が入り、その結果水圧破砕に必要な圧力が得られなかったためである。  3)太陽光発電はこのところ、政府の肝いりとアホマスコミの軽薄報道の所為で時代の脚光を浴びている。しかし、これの最大の弱点は出力の不安定さにある。夜は無論発電出来ないし、日中でも雨天・曇天では発電効率は著しく低下する。そのために従来型発電所を常に待機させて置かなくてはならない。それが電力会社にとってコストアップの原因になっている。そして、誰も指摘しない最大の矛盾がある。何故なら、太陽光発電の最大効率を得ようとすれば、地球全体を熱帯化しなければならないということだ。つまり、温暖化を更に進めなくては、太陽光発電は事業として成り立たないのである。
 例えば、ドイツのある企業が、最近サハラ砂漠での太陽光発電事業を計画した。サハラ砂漠は地球上で最も高温化・乾燥化の進んだところである。要するに国際資源資本はこういう場所でなくては、太陽光発電の採算が採れないと判断したのだ。と言うことは、太陽光発電を恒久的採算ベースにに乗せようとすれば、全地球をサハラ化しなくてはならないことになる。これは資本主義的思考の当然の帰結である。
 他に太陽光発電のいかがわしい部分として挙げられるのは、資源の争奪である。太陽光発電の主流になっているのは半導体方式だが、これの材料は金属シリコン。これの原料は石英である。石英は地球表面では一番ありふれた鉱物だが、金属シリコン原料になる石英脈は、それなりの規模を持っていなくてはならない(少なくとも幅数~数10m、延長数㎞以上) 。こういう石英脈は何処にでもあるというものではない。少なくとも、日本では無理なのである。地球上でもそう多くはない。と言うことで、原材料供給の点から安定資源とは云えない。
 仮に地球の低炭素が実現されたとしよう。それは地球の寒冷化と同義である。寒冷化が進めば地球気候は不安定となり、太陽光は不足し発電の用に立たなくなるだろう。
 しかしここではカウントされていないが、将来確実に日本のエネルギー資源になるものがある。それが「ハイレベル核物質処分場」である。原発からでる使用済み核燃料は、一旦六ヶ所村の核燃施設で再処理され、プルトニウムとその他に分けられる。プルトニウムはプルサーマルに使われるので、処分場にはその他の廃棄物だけになる。この廃棄物は数10年に渉って核分裂を続けるが、当然その間に熱を放出する。この熱を利用して発電を行う。これは筆者のアイデアでも何でもない。ハイレベル処理が問題となった数10年以上前からの構想なのである。
 毎年ハイレベル廃棄物が発生する。これを再処理して処分場に送れば、原材料が絶える事はない。つまり、核廃棄物地層処分場は将来の地下資源なのである。


温暖化対策で90年基準15%減という政府目標に対し、色々批判が高まっています。ワタクシもその一人です。但しワタクシは15%増を主張します。京都議定書などペテンに満ちたプロパガンダはこの際ゴミ箱に捨て、IPCCは解体し、ハンセンを絞首台(いやギロチンの方がいいか)に送りましょう。発展途上国など馬鹿と強突張りのいうことを聞いてどうするというのだ!
(09/06/11)

地球温暖化問題の混乱
 地球温暖化問題は今、混乱の極みにあると思います。その原因は、温暖化の原因を温室効果ガスに求めるか否かに懸かっているでしょう。これには大きく次の極端な2派があります。
    1、積極肯定論者
    2、懐疑論者。
 今は1の勢力が圧倒的に強い。マスコミが完全にこれに取り込まれているから、世論も政策も全てこれに振り回されている感がある。しかし、その中身には相当のいかがわしさがある。一方の2は、今のところマスコミに無視されているが、このところじわじわと勢力を伸ばし、いずれ侮りがたい存在になるだろう。しかし、この派の弱点は、バックに石油メジャーやネオコンの存在がかいま見られることである。
 つまり、いずれの派も内部に事情を抱えている。そのために、地球温暖化問題が混乱するのだろう。筆者が一番懸念しているのは、 1、積極肯定論者の暴走である。

1、積極肯定論者
 ハンセンやゴアのように、地球温暖化を既定の事実とし、その主犯人を温室効果ガス、特にCO2とする一派です。 これにも幾つか流れがあって、1)真面目なものもいれば(只いささかナイーブなだけ)、2)腹に一物人間もいる。彼らは単なる仮説であるIPCC第四次報告を金科玉条とし、殆どあり得ない地球異変を既定のものとする。
 肯定論者の最大の難点は、僅かな気象データを基にコンピューターで強引に計算し、その結果を我々の未来と決めつけることです。純粋かもしれないが、只のアホ。問題はこういうアホが、この世界の最大勢力を占めていることである。
1)はいわゆる環境派市民団体で、かつて70年代、日本に公害の嵐が吹き荒れたとき、反公害運動を主導した組織の系譜に属する団体である。環境教条主義者と呼んでも良いでしょう。これには(1)旧ベ平連系ノンポリもいれば、(2)それとは無関係な連中もいる。しかし、その陰に見え隠れするのは、中核やカクマルのような新左翼系団体。もう一つは(3)代々木系環境団体である。これは、日本のあちこちにある「・・・・の緑を守る会」などが代表的なもの。これについては説明する必要はない。どの団体も左翼反政府系に属するのである。
 これまでの日本の環境問題に対しては、これら左翼反政府系団体が主導権を握っていた。従って、日本政府と自民党・就中経団連は環境問題、特にCO2削減には常に冷淡だった。それどころか、ついこの間迄は、日本の温室効果ガス削減案を実行不能とか、経済成長のマイナス要因になるとか云って反対していたのである。ところが、ある時期、それはアベ馬鹿内閣以来からだが、いきなり日本政府と日本経団連が温室効果ガス削減に積極的になった。これが2)腹に一物人間なのである。
 何故、彼らがいきなり環境派になったのでしょうか?07年サミットは別名「環境サミット」と呼ばれ、日本のアベが強力に環境対策(温暖化対策、即ちCO2削減)を訴えた。この所為かどうか知らないが、08年、アメリカのブッシュがいきなりCO2削減政策を打ち出した。それがバイオエタノール騒ぎである。途端にトウモロコシや大豆価格が急上昇し、世界中に食糧危機が発生した。背景に穀物メジャーの動きと、穀物市場に投資するファンドの存在があるのは顕かである。これにつれて、08年前半は原油価格が急上昇し、我が国でも大問題になった。穀物と原油が連動しているのも顕かである。ここで明らかになったのは、「環境は金になる」という欲望の発生である。そして、この欲望は途方もない穀物・原油バブルを産み、そして破綻した。
 08年後半、リーマンブラザースの破綻で始まった金融危機は、日本にも深刻な影響を及ぼした。そこで出てきたのが、経済政策の転換。つまり、これまでの輸出一遍道から内需拡大、その目玉が温暖化対策と云うわけ。そこで出てきたのが2)腹に一物人間。彼らは口ではきれい事を云うが、腹の中はどうか判らない。彼らを「温暖化利用派」と呼びましょう。彼らの言い分で、今のところ、どういうモノがあるか、ザット挙げて見ましょう。
(1)排出権取引
 リーマンBが破綻して、野村HDがリーマンクズレ8000人の雇用を発表した。その内半分の4000人は既にクビを斬られたらしいが、一番最初に切らなければならないのは、この馬鹿げた計画をやった野村HD/CEOのクビである。
 野村が何を狙っていたか?それは日本が遅れていた排出権取引のノウハウの取得だろう。排出権取引、これこそ亡国の源である。当たり前だが、排出権を買う事によって、技術を途上国に移転するわけだから、自分の金で競争相手の競争力強化に手を貸しているのだ。こんな馬鹿な話しが何処にあるか!しかし、グローバル資本主義の下では、自国企業の売国行動を認めなくてはならないのである。そして、その根拠になっている「京都議定書」こそ諸悪の根元。あんなモノ、さっさとゴミ箱に放り込むべきである。
(2)電気エネルギーの利用
 電気はガソリンや石油に比べ、CO2は発生しない。だから誰でも飛びつく。その代表が電気自動車である。では、肝心の電気をどうして作ればよいのか?化石燃料を使わずに電気を作る方法には、大きく(1)原子力と(2)自然エネルギーの2者がある。(1)原子力については、その問題点も含め改めて議論するまでもないだろう。
(3)自然エネルギーの利用拡大
 これには今のところ
①太陽光
②風力、波力
③地熱
④水力
 が挙げられている。この中で今一番もてはやされているのが、 ①太陽光、②風力、波力である。これらの普及には政府が補助金を出すなど、応援が一杯。そしてその中心にあるのが、日本経団連です。経団連が主導して、政府がまとめた行動計画がある。これによると、今後20年間で52兆円(国民一人当たり12万円)の負担で、温室効果ガスを32%削減出来るとした。日本が排出している温室効果ガスは、全世界の4%に過ぎない。52兆円使って温室効果ガス削減への貢献は、たったの1.2%、しかもエネルギー効率はもの凄く悪い。全く意味はないのである。それでも政府は強引に押し通しようとする。何故でしょうか?
 ①太陽光はこれからの成長産業と言うことで、世界同時不況以降、海外輸出に活路を見いだしたい経団連としては、積極支援は当然。②風力も経団連の主力企業である電気業界としては、これは離したくない。一方 ③地熱④水力は内需オンリー。これも経団連の一方の雄である輸出関連業としては、これに力を入れて貰っては困る。
 昨年の世界同時不況で、電気消費が落ち込んでしまった。今や電気は余っている。更に今後少子高齢化が進めば、確実に電気消費量は減り、電力業界の不況産業化は必至。何とか電気を使う産業を作らなくては。てなところで、全体の話しが決まっていったのではないか、と考えておる次第です。
(4)その他環境ビジネス
 それどころか、今世の中には環境対策・温暖化対策と称する、いろんなビジネスがひしめいています。それらをひっくるめて環境ビジネスと呼ぼう。これらのバックには、全て2)腹に一物人間・・・例えばウオール街。日本での代理人が日本経団連・・・がいるのは顕かです。では、彼らの狙いは何でしょう?考えるまでもありません。それは環境対策に名を借りたバブル経済、即ちエコバブルの創出です(これを彼らの言葉で需要創出と云う)。そして、そのバブルの中で売り上げを上げ、経済成長を実現する。しかし、この経済成長は、彼らの企業努力に依るものではない。政治と結びつき、需要を自分の側に引き寄せた結果に過ぎない。経済的に筋が悪い。政治との癒着という点で一種の統制経済である。トロツキー曰く、「統制経済は独占資本主義の最も堕落した形態である。資本家は消費者を無視し、役人の顔色ばかり伺う」。エコバブルは当にこれに相当する。
 バブルは必ず崩壊する。エコバブルが崩壊した後、何が残るか?途方もないゴミの山です。一番の問題は太陽光発電施設。これの主力はシリコン半導体系である。シリコン半導体は半永久的に性質は変わらない。用事がなくなったと言って廃棄しようとしても、シリコンはなくならない。又、砒素ーガリウム系の場合は、それ自身有害物質だから、捨てるに捨てられない。地球汚染の元凶になりかねない。
 ところで、この環境ビジネスが成功したとき、どうなるのでしょうか?その時は地球温暖化は過去のものとなり、温室効果ガスの排出もなくなる。と言うことはこのビジネスの対象もなくなるから、この世から消えてなくならなくてはならない。しかしその時には、環境産業界の既得利権は莫大な者になっているはずだ。従って、この業界を潰すわけにはいかない。リオデジャネイロ宣言の「持続性ある発展」、それを受けた京都議定書が縛りになるでしょう。従って、人類は何時まで経っても、温室効果ガスを排出し続けなくてはならない、という矛盾に遭遇するだろう。
 この矛盾は、そもそも名もない市民グループから発生した環境問題が、政治・資本の論理に乗っ取られたのが原因です。誰が主導したのでしょうか?時流(ズバリ云えばマスコミ)に乗った一部の物理学者です。特にハンセンなどは積極的に政府に売り込んだ。科学が科学でなくなってしまったのです。その点でハンセンやそれに追随する科学者は、同じ十字架を背負うべきです。

2、懐疑論者。
 これは、人為的温暖化を否定し、気象変化を自然現象 によるものとする一派です。彼らの主張は、既に多くの本が出版されているので、詳しくは述べませんが(例;伊東他、丸山、赤祖父ら)、その主張は概ね次の諸点に要約される。
(1)気象データそのものに疑わしい部分がある。
(2)IPCCのシミュレーションは、解析モデルも解析パラメーターもいい加減で、その結果は信用出来ない。
(3)IPCCが挙げた、歴史時代の温暖化支持データは、中にねつ造・拡張が多く信用出来ない。歴史的には、むしろそれを否定するデータの方が多い。これは、IPCCが中世温暖化期や近世小氷期を無視している事への批判である。
(4)仮に現在が温暖化傾向にあっても、その原因はCO2ではなく、太陽活動のような自然現象である。又、それらの変化は、地球史を通して見られる寒冷ー温暖化サイクルの一つに過ぎない。IPCCはこの点を無視している。
(5)更に一部(例えば日本の丸山など)は、現在の温暖化は将来の寒冷化の前段階に過ぎない。2020年以降地球は寒冷化する、と主張する。
 この派の主張は根拠資料として、様々な過去の気象データを駆使しており、肯定論者のようないい加減さ・決めつけがないのが特徴である。 只、問題は冒頭に述べたように、著者のバックに石油メジャーやネオコンのような新自由主義経済派の影響が感じられることである。経験的に云って、石油メジャーの言い分は信用出来ないし、新自由主義経済派の主張は楽観的過ぎてこれも容易に受け入れる訳にはいかない。特に丸山の主張は、ネオコン伝道師のようで、歴史認識や資源経済に対する認識が不足している。
 筆者自身は、IPCCの予測は地球の歴史に見られる環境変化の周期性を無視し、狭い部屋で自分が作ったモデルで、ひたすら計算を繰り返すオタク理論にしか見えない。こんないい加減なもので世界の経済社会政策が決定されようとし、それは我々庶民の生活に無関係ではないのである。


 これまでの気候変動議論は(1)環境保護主義者(IPCC派)と、(2)懐疑論者(アンチIPCC派)の2項対立図式だけで説明できた。ところが、ここ1~2年の間に(3)温暖化利用派(腹に一物グリーンニューデール派)が議論に割り込んできたため、話しが混乱しだしたのである。ここで一番の問題は(3)温暖化利用論者である。彼らは基本的に機会主義者である。現在は(1)(3)連合が政界・マスコミを取り込んでいるので圧倒的に有利である。しかし(2)懐疑論者が主張するように、20年前後を境に地球が寒冷化に突入すると、(3)は簡単に(1)を裏切り、始めから地球温暖化などなかったような態度を採るだろう。そして、その結果、地球上に残されるのは、途方もない混乱とゴミの山である。
(09/05/05)

8、原子力発電所は危険か?
環境問題に対しては、何も決められなかった08年サミットで唯一決められたのが、原発建設の推進である。温室効果ガス削減に原子力を持ってくるのは、如何にも安直。今世界で計画されている原発は合計で100基以上に上る。計画するのは勝手だが、その過程で何が起こるか判っているのでしょうか?
1、それだけの原発を維持するだけのウラン資源が確保されているのか?一般に地下資源は偏在性が強いものだが、その中でもウランは特にその傾向が強い。ウラン鉱山の開発は、含有量や開発方式によってはとんでもない環境破壊を作る(日本では人形峠程度のウラン残土で大騒ぎしているが、オーストラリアやカナダやナイジェリアなんかのレベルでは桁がが違うのである)。日本や北朝鮮のウラン開発が大きな環境問題に発展しなかったのは、そもそもウラン含有量が乏しく商用ベースに乗らなかっただけの話である。今、日本は南アフリカに手を出している。南アフリカはウラン産出国だから、それなりに目の付け所は良い(但し投資が回収出来るかどうかは別だが)。もし世界中でのウラン資源量が需要に対し十分で無ければ、下手すれば戦争だ。
2、日本製の原子炉の安全性は、おそらく世界で一番高いだろう。そのかわり値段も一番高い。その隙を狙って、フランスとかロシアとかが、安い原子炉を売り込んでくる可能性がある。これらの国の製品は、特に耐震性に於いて問題がある。このような原子炉が、世界中に広がればどうなるか?日本製原子炉はM6.8の直下型地震には耐えられたが、欧州型はどうか判らない。何故なら欧州型原子炉は地震を経験したことがないからである。もし欧州型原子炉が同じ様な地震に遭遇しておれば、とんでもない環境破壊が発生した可能性がある。
3、今後の原発開発は新興国を中心に回転する。経済発展途上にある新興国の長所は、政策決定が早いことである。しかしものを見る視野が狭く、長期的展望にたたないという欠点がある。新興国は果たして放射性廃棄物処理にどれほど関心をもっているか、疑問なしとしない。金にならない放射性廃棄物をゴミ同様に扱ったり、最悪海洋投棄を行う可能性だってある。インドなど危ないものだ。08年サミットは環境サミットという歌声とは全く逆に、とんでもない環境破壊サミットになった。
(08/07/10、08/10/05)


 当たり前の話ですが原子力発電所は危険です。危険だからこそ何重にもセーフテ
ーネットを張っている。しかし、そのネットは未だ十分強固とは云えない。だから原発は危険だ、という世間の厳しい眼は和らぐことはない。原発という施設は互いに関連しあうシステムからなる一つの複雑型を形成する。問題はそのシステムの何処までが安全で、どこから先が危険か?その点の区別が曖昧で、しかもその基準が一般社会に明らかにされないまま、やれ安全だ、やれ危険だ、という互いに噛み合うことのない不毛の議論が延々と続くことである。原発の安全性で今一番問題になっているのは地震だろう。地震被害というものは①地下深部の岩盤が破壊し、②それで発生した弾性波が地盤を通じて地上に到達し、③その波が地上の建物や表層を揺らして様々な被害をもたらす、という経緯を辿る。ところが、世間に流布している地震情報では、①地下深部での地震動と、③地上地震動とが直結してしまって、中間の②地盤の問題が無視され、それが様々な誤解を産んでいるのである。
8.1東電柏崎原発の例
 中越沖地震での東京電力柏崎原発の例で見てみよう。東電HPを見れば判るが、原子炉建家は概ね建家の半分ぐらいが地下に埋め込まれている。特に1~4号炉は建物ベースが地下40m位になる。地山は鮮新統西山層。西山層が堅固な岩盤とは思えないが、東京、大阪中心部の超高層ビルや、永田町霞ヶ関の国会官庁街を支えている地盤よりはましである。まして、建物の半分が地下に埋め込まれているのだから、どんな地震が来てもひっくり返りようがない。地震後、マスコミが発電所に入り様々な映像を流していた。特に衝撃的に写されたのが1号炉脇の変圧器の火災である。ところが筆者はこの映像を暫く見ている内に、こんなものは大丈夫だ、問題は無い、と判定した。そのほか、波打つ道路、地面の亀裂、コンクリート擁壁の破壊、その下の陥没、おまけに傾いた消火器(これはご愛敬)等様々な地変がこれでもかこれでもか写し出され、如何に柏崎原発の地盤が脆弱であるかを強調していたのである。
 さて、柏崎原発が建設されたのは昭和40年代末から50年代にかけて。その頃は40mの高さを垂直に掘削する技術は無く(今ならNATMを使ってやってしまうが)、上半部をオープン掘削、下半部を連壁か親グイで山止めして掘削し、建家本体を構築するのが一般的だろう。オープン掘削部分と建家との間には隙間が出来るが、そこは掘削土で埋め戻すのである。1号炉脇変圧器もそういう埋め戻し部にあった。又、造成前の原発敷地は起伏のある丘陵地で、このままでは施設建設は出来ないから、山を削り谷を埋める事によって平坦地に仕上げる。原発敷地は外から見ると一見一様な地盤に見えるが、その中身は元々の地山(切土地盤)と、谷を埋め立てた盛土地盤とからなる複合地盤になっているのが普通である。そして、一般には切土地盤に原子炉建家とか発電器室などの重要構造物を、その他管理棟とか重要度の低いものは盛土地盤に建設する。中越沖地震で発生した地変はみんな盛土地盤で発生した液状化とか動圧密のような地表面現象。1号炉脇変圧器の炎上も、地盤沈下が原因がで、そこが建家脇の埋め戻し地盤と思えば十分理解出来るでしょう。筆者が「大丈夫、問題はない」と判定した理由はそこにある。問題は東電が地震後、原発敷地の地盤状況を一般に発表しなかったことである。その結果、原発敷地は全て危険という誤解が広まった。おまけに国際原子力委員長が「原子炉だけでなく付属施設も1000galで設計しなければいけない」などというたわけ発言をしたものだから、騒ぎを余計大きくした(その後この発言を撤回)。これもこの委員長が地盤の性質を無視して、目に見える現象面だけに心を奪われたからである(この傾向は物理屋に多い)。 柏崎原発でも発電所全体の造成後の地質平面図とか、発電所全体の地質断面図を作っているはずである。それを公開し、地震被害と地盤との関係を示せば、騒ぎを最小限にくい止められた(非常識なマスコミは別として常識ある市民の理解は得られた)はずである。それすらも作っていないとすれば(作っていない可能性はありますがね)、最早なにをかいわんやである。

 地震後、TVによって繰り返し報道された被害映像(例えば1号炉脇変圧器の火災や擁壁地盤の陥没、6号炉の使用済み冷却水漏れなど)は、現実には原発の安全性には何の関係もない現象である。しかし、一般市民に「原発は危険だ」という印象を与えるには十分な役割を果たした。実はこれはかつてヒトラーにより考案され、ベッベルスにより芸術的にまで高められたナチ流世論操作法である。まず、真実とは全くかけ離れているが、操作を行おうとする側にとって都合の良い部分だけを切り取り、それを反復報道する。すると読者或いは視聴者の脳はこれを真実と錯覚するようになる。その内、これが一人歩きし、逆に全体を支配するようになる。ヒトラー曰く「嘘も百回繰り返せば真実になる」。これの実態はニュルンベルグ裁判で明らかにされ、それをそっくり踏襲したのが、アメリカ政府とアメリカの広告産業である。
 最近これとそっくりの現象が起こった。それはイタリアフィレンツエ大聖堂での落書き騒ぎである。最初あるTVメデイアが日本人の落書きがあると報道した。おそらくイタリアに旅行したお節介焼きの日本人旅行者(多分定年退職した年寄り)が、何処かの放送局にたれ込んだのだろう。その後、他のTV局やら新聞が報道し、大学が謝罪会見を開く大騒ぎ。その当時の報道姿勢を振り返って見ると、新聞は「日本人学生が世界遺産に落書き!」と大見出し。又TVでは日本語の落書き部分だけ大写しでその周りにぼかしを入れる丁寧さ。あたかも世界遺産に落書きするような大馬鹿ものは日本人だけと云わんばかり。ところが画面が出た瞬間には、日本語落書きの横にハングルやアルファベットの落書きが写っていたのである。しかし、そのことは一切報道しない。こういうのをヤラセ、世論操作というのである。(08/07/09)

8.2何が危険か
 
さて、一般に工業施設という物はその中に何らかの危険性を含んでいる。その危険の始末を施設の中だけでつけられれば、中で何をやっていようが構わない。つまり、工場施設が地震でひっくり返ろうが、爆発を起こして火事になろうが、それが場内で収まれば一般市民には何の関係もない。ところが原発はそうは行かない。何故なら、原子炉が暴走を始めたとき、その影響が発電所敷地内で収まるわけがないからである。
 原発施設は大きく(1)原子炉ータービンー発電器を結ぶ中核施設、(2)管理棟、送電系、燃料タンク等の周辺施設からなる。これらは構造的に分離されているので、(1)の影響が直接(2)に及ぶこともなく、その逆もその通りである。つまり送電鉄塔が倒れたところで、それが(1)の安全性に及ぼす影響は無い。従って、原発の安全性は(1)中核系の安全性を確保すればよい。柏崎の例では、とりあえず中核施設の安全性は護られたと判断出来る。
 では何故1年以上も柏崎原発が停止させられたのか?様々な理由(多くは政治的理由)が考えられるが、一つは建家内部での損傷(といっても窓ガラスが割れたというのも含まれる)が2000箇所以上にのぼっていたからである。但しどの損傷も、原発運転の支障になるような、致命的ダメージではない(少なくともそのような報道はされていない)。何故こんなに沢山の損傷が生じたのか?それは建家が(思った以上に)揺れたからである。このような損傷の発生を防ぐには・・・ゼロでなくても1/3でも1/4でも構わない・・・、当たり前だが建家の揺れを少なくすればよい。処が、現状では建家の揺れを少なくすることが出来ないのである。それは技術的に出来ないのではなく、原子力安全・保安院による「原子力発電所に係わる耐震設計の概要」という指針が原因になっている。これによると建家基礎の設計は、概ね次のような流れになる。
 1)岩盤上に建設すること
 2)原子炉建家は岩盤上に直接支持させる。
 3)建物は剛構造とし、安全上重要な機器・配管系は剛構造の建物に固定する。
 この考えは正しいかどうか(技術的に合理的であるかどうか)は別にして、間違いではないだろう。但し、次のような問題がある。
1)建物を剛構造とする限り、建家の揺れを個々のセグメントで受け止めなくてはならない。
 剛構造は基礎に入って来た地震力をそのまま建家に伝える構造である。原子炉建家の様にスパンの大きい建物では、例えは設計を剛構造としても、実際には揺れの増幅が行われる。この大きくなった(増幅した)揺れが、様々な建家内損傷を起こしたのである。例えば、4号炉排水プールのスロッシングとか、天井照明の落下などである。これなどは剛構造の建家が、柔構造とたいして変わらない挙動を示したと考えられる。又、剛構造では、発生した変位に比例した応力が発生するから、変位が規定値より大きくなれば、応力も規定値を超えるので部材の降伏が生じる。この結果、建物各部に損壊が生じる。これらの現象を防ごうとすれば、(1)部材を剛性の大きい材料に交換するか、(2)断面を大きくするしかない。建築材料の物性には自ずから限界があるので(1)はメインにはなり得ず、(2)による対応となる。処が、この方法では、断面を大きくすれば質量増加となり、返って地震時慣性力が大きく なる。従って変位(各部応力)も同じように増えることになる。結局は変位と応力の追いかけとなって、何時まで経っても結論は得られないことになる。
2)問題は基礎を直接基礎とすることにある。
 直接基礎は最も安定した基礎工法である。しかし、これは基礎地盤に入力してきた地震動を、そのまま建家に伝えてしまう。その結果、1)で述べたような様々な余計な揺れが発生するのである。これを避けるには、要するに建物への入力地震動を小さくすればよい。そのためには、基礎構造を免震構造とすれば、建家入力地震動を大幅に低減することが出来る。免震構造そのものは歴史も古く、実績も多い。工法的に別に目新しいものでも何でもない。むしろ原発がこれを採用してこなかったことに驚かされる。免震を取り入れれば、入力地震動はざっと1/3位になるので、耐震設計はもの凄く楽になる。無論、壁厚や柱の断面も小さく出来るので、電力会社にとってはコスト削減効果が大きい。しかし目的はそんなことより、より高い安全性を確保することにある。建家構造を旧基準のままとし、基礎を免震構造とすれば、安全性は数倍向上する。
 なお、免震工法は剛構造に対応するから、剛構造を前提とする原発建家には相性がよい。
 そこで疑問なのは、何故免震工法を採用してこなかったか、だが、これはやはり保安院指針の「原子炉建家は岩盤上に直接支持させる。」という一文が呪縛となって効いているのではなかろうか?こんな物はさっさと書き直せばそれでよい。
3)今後の新設原発には適用可能かもしれないが、既設原発基礎を免震に改築可能か?
 既設構造物基礎を免震で取り替えるという例はあまり聞いたことはないが、近々行われる東京駅改築工事では、免震工法を取り入れると云うことだから、工法的に目処が立っているということでしょう。

7、マイ箸、マイバッグのインチキ
 一部のマスコミ報道により昨年、「マイ箸」とか、「マイバッグ」というキャンペーンが行われ、それに類する商品が売り出された。これらは二酸化炭素吸収及び二酸化炭素発生を抑える目的で行われたはずである。果たしてそのとおりになるだろうか?
1)「マイ箸」
 これは森林資源を保護し森林の二酸化炭素吸収能力維持を目的としたキャンペーンだろう。これにも箸の消費という現象の傍らで、主にNHK画面で流された、東南アジア熱帯雨林伐採という映像が大きなプロパガンダの役割を果たしたことは云う迄もない。これ以後、民放報道でも「マイ箸」や「マイバッグ」報道が続いたのである。果たして日本での箸の消費が、熱帯雨林の二酸化炭素能力に影響を及ぼすレベルのものだろうか?
 そもそも、日本では箸はメインの材料ではない。主に間伐材又は端材(幹から主要部を切り取ったあとの残り)から生産されてきた物である。もし、日本で箸の生産が行われなくなったら、間伐が行われず、端材は投棄される。端材は廃棄されるとバクテリアに分解されるが、そのバクテリアの死骸から端材の成長に要したのと同じ二酸化炭素が排出される。つまり、箸の生産は木材生産の二次生産に過ぎないのであって、これの消費を抑えたところで、二酸化炭素排出量には全く関与しない。まして、TV映像に出てくる熱帯雨林の伐採は、箸の生産とは全く関係がない。東南アジア産木材の消費先は、主に紙パルプ・建材・合板用チップで箸などには使われない。第一、日本の箸のために森林伐採などする暇人は居ない。
2)「マイバッグ」
 
スーパーのレジ袋をもらう代わりに、マイバッグを使おうというキャンペーンが、TVメデイアを中心に始まって、それに乗るアホ女が首都圏・関西を中心に増えた。レジ袋の原料は石油二次製品であるエチレンである。エチレンの消費を抑えることが出来れば、石油消費が減り、結果として二酸化炭素排出量を低減出来るというのが建前だろう。しかし、これは石油高騰が顕著になった一昨年辺りから始まったので、この裏には石油消費を抑えようと云う意図が裏に働いていたのは顕かである。ではレジ袋を減らしただけで石油消費量や二酸化炭素排出量が減るでしょうか?全く関係はありません。それどころか新たにマイバッグを作るために、返って二酸化炭素排出量が増えかねないのです。
 そもそも現在の石油精製の最終目標はガソリンです。エチレンは石油精製過程で産出する副産物の一部です。エチレンを原材料にして様々な石油化学工業製品が作られるわけです。では石油精製過程でエチレンを作らなくなるとどうなるでしょうか?石油の地表における原物質は原油ですが、これには硫黄を始めとする様々な不純物が含まれる。これらの不純物が再利用されずに、そのまま投棄されると大変なゴミ問題になる。しかしこれは一部の産油国の問題に過ぎない。それから遙かに離れたヨーロッパや日本では、知らぬ顔の半兵衛で済まされると思っているかもしれないが、それだけでは済まされない。投棄された廃油はいずれバクテリアで分解されるが、バクテリアの死骸から、分解したと同じだけの温室効果ガスが排出されるのである。第一、エチレンまして「マイバッグ」などを作るために石油を掘る暇人などいない。
 従って、「マイバッグ」などやったところで、二酸化炭素減少にも、石油価格高騰防止にも何の役にも立たない。そんなことをやっていると、返って二酸化炭素を増やすことになりかねない。

6、環境省が温暖化対策具体案を発表
 06/17に環境省が温暖化に対する具体策を発表した。この中には4、で紹介した「あきれた対策案」と、質的にはあんまり変わりが無い。
1)首都圏で今後おおよそ2億トンの水不足が生じるから、そのためのダムを整備する必要がある。
2)海面上昇による浸水地区の住民を強制移住させる。
3)雪の蒸発散によるロスを減少させるために、ダイナマイトで雪を暗い谷間に落とす。
 国土交通省がこういうことを考え出すのなら判らないでもないが、環境省が言い出すことに、この役所は何を考えているのか?と思ってしまうのである。
1)について
 首都圏で水不足が生じる大きな原因は首都圏での人口増である。この前の国勢調査速報では、人口が増加しているのは首都圏・愛知県と沖縄だけ。他は概ね減少か現状維持。近畿圏では大阪府と滋賀県だけが微増という程度。首都圏・愛知県の人口増はコイズミカイカク以来の一極集中と輸出政策による政策増、沖縄県は高齢者の移住結果である。ということは、こういう人口動態は、政権・政策が変われば変化する可能性があるということだ。今は将来水不足になると云っているが、人口動態が変化すれば(人口が減少に転ずれば)、せっかく作ったダムが無駄になるケースは十分にあり得る。ダム整備に要する費用と将来の需要との関係を十分に吟味する必要がある。環境省にそれに対応出来るノウハウがあるとは思えない。大丈夫ですか?なお貯水量2億トンというのは大したダムではない。今、国交省は北関東での既設ダムの集約を計っている。なにかそれに合わせた数字のような気がしないでもない。
2)について
 いわゆる海抜0m地帯を対象に、の話だろう。強制移住といって、何処へ移住させるのか?日本にはそんなに土地は余っていない。東京なら、千葉当たりにつぶれかけのゴルフ場が一杯余っているから、そこへ移住させるのか?それならゴルフ場経営者は大助かりである。
 下の図は様々なモデルによる気候変動の予測である。変動モデルによって予測値は大違いだが、比較的穏当なところで、2100年(おおよそ100年後)時点で2~3゜Cの上昇となる。ではこの気温上昇でどれぐらい海面上昇があるかというと、実はまともな計算結果はない。せいぜい数10㎝という説もある(よくテレビに出てくる太平洋ツバル島の潮位上昇映像は、完全なマスコミによるヤラセ。あんなものに引っかかるのだから、今の東京都知事の知能指数がおおよそ推し量れる)。それどころか温暖化が叫ばれる様になって50年ぐらいになる。その間で0.7゜C位の気温上昇になるが、具体的な(科学的根拠を持った)海水面上昇は、未だに報告されていないのである。

ツバルの潮位上昇現象は海水面上昇だけに起因するものでしょうか?ツバル島はマーシャル諸島の南に連なる島嶼列の一つです。殆ど起伏のない弓形の島嶼とコーラルリーフ。それらに囲まれる浅いラグーンからなります。ラグーンの水深は7~8mに過ぎませんが、その外側は急斜面になって6000m下の大洋底に続きます。これを海山と云う。この島嶼列は太平洋プレートに乗って西北西に移動しいずれはマリアナ海溝でプレートの下に沈み込んでしまう。その間にいろいろな事があるわけで、プレートが局所的に少し歪んだだけでその上の海山も僅かに傾く(と思う)。それだけで見かけの潮位上昇に繋がる。ツバルの潮位上昇が本当に海水面上昇に繋がるかどうか、ツバルの標高をGPSで精密観測するか何かで検証しなければならないでしょう。


 過去から遡るのも一法である。今から約1万年前には気温は今から約5~6゜C低く、海面は25~30m下にあった。6000年前には気温は今から約1.5~2゜C高くなり、海面は5~6m上昇した。つまり、6.5~8゜Cの気温上昇に対し、30~35mの海面上昇で反応したわけである。気温上昇と海面上昇が仮にリニアーに変化するとすると、気温1゜Cの上昇に対する海面上昇率は平均4.5m/゜Cとなる。ではこの値が常にそうかというとそうではない。今から2500年ほど前の弥生小氷期では、今から約2.5゜Cの気温低下に対し、海水面は約2.5mほど低下した。このケースでは、海水面上昇率は約1m/゜Cである。先の例と大きな差がある。この理由は海水面上昇の主たる原因である氷河、氷山、氷床の縮小が挙げられる。2500年前にはこれら氷資源は1万年前の数分の一以下になっていたからだろう。今では氷資源は2500年前の半分ぐらいになってしまった。ということは今後の海水面上昇率は、これまでの1/2~1/3以下と考えて差し支えない。今後100年間での気温上昇を2~3゜Cと見積もると、海水面上昇は1~1.5mかそれ以下ということになる。上に挙げた数10㎝という数字はあながち嘘とはいえない。 
 この程度ではとても住民の強制移住という話にはならない。実際東京でも大阪でも、オーダーではこれに近い地盤沈下(現象としては海面上昇)を経験している。1~1.5m程度の海面上昇なら、高層~超高層ビルならジャッキアップ、一般市街地なら区画整理で高層化を計り盛り土するか、ベニスのような水上都市を計画するなど、幾らでも対策は考えられる。環境変化に応じた都市計画コンセプトの構築が必要である。日本にまともな建築屋はいないのか?昔、黒川紀章が環東京運河案というものを出したことがあった。筆者は黒川というのはキザで大嫌いなのだが、この案は面白いと思った。環東京運河は東京の都市問題だけでなく、環境、防災に大きく寄与し得ると考えられるからである。
 無論温暖化に伴い低気圧の勢力が強くなるから、高潮被害の増大というケースはあるが、日本列島では高潮は過去
何千回と経験している。しかしそれで住民が移住したケースは少なくとも歴史時代にはない。高潮など、二重防潮堤とか地下貯水槽など現在の土木技術で十分対応できる。住民の強制移住など、技術の進歩を全く無視した文系的発想。環境省は最早不動産業(地上げ屋)の下請けに堕した感がある。
 日本では確かにそうだが、南太平洋の島国や、バングラデシュなどの低地帯では、水没してしまうので人は住めなくなるのではないか?という疑問があるでしょう。南太平洋の島国では確かにそういうこともあるかもしれない。一方、オランダは営々と堤防を築いて国土を拡張してきた。国土の殆どは海抜以下である。しかし、国土を放棄して逃げ出そうなんてオランダ人はいない。バングラデシュなんかはこれを見習って海岸防潮に力をそそぐべきである。サイクロンの勢力増大を考えれば、これも二重堤防とし、中間を遊水池にした方がよいかもしれない。
3、について
 一番判らないのがこれである。何のためにこんなことを環境省が言い出したのか、真意が掴めない。多分発想の原点は、温暖化で雪が減り、春先の融雪が減って農業用水が不足するため、山に積もっている雪を先に戴こうという算段から出たのだろう。或いは北アルプスなんかでは夏でも雪渓が残っている。これと似たようなものを作れば残雪の有効利用が計れる位のことか。さてよく判らないのが、全体の水収支をどう計算をしているか?だ。冬、山に降った雪の行き先は(1)地表水、(2)蒸発散、(3)地下浸透の三者である。通常、降水観測をして水収支を計算すると、収支は合わない。降った量に対し出てくる量(地表湧出量+蒸発散量)が少ないのである。不足分が地下浸透量である。環境省の計算は、この地下浸透量を無視しているか過小評価している疑いがある。
 まず、この対策の難点は北陸、東北、北海道など豪雪地帯でしか意味を持たないことだ。関東、東海近畿、山陽地方など、もともと雪の少ない地方には全くピンと来ない。つまり、手法として一般性を持たない。ということは政策として成り立たない。
 次に具体的に手法を吟味してみよう。
1)まずダイナマイトで雪を落とすというのは、冬季に降った雪をそのままにしないで、谷に落としてしまおうということだろう。一番雪の多いのは標高で2000m位から下の森林帯である。ここでは雪の下は森林で、雪はその上を薄く覆っているだけ。例えば積雪量が仮に20mあったとしても、その下の10数mは森林帯だから爆破の対象にはならない。その下の雪も爆破しようとすれば、森林そのものを爆破しなければならなくなる。とんでもない環境破壊になる。2000mから上はハイマツ帯から岩石帯になり、3000m級になれば氷と岩だらけ。雪は風で吹き飛ばされて、積雪量は激減するからこの方法は全く意味を持たない。環境省の人は一度でもそういう状況を見たことがあるでしょうか?
2)尾根で落とされた雪は一時暗い谷に貯蔵される。その結果、蒸発散が妨げられ、春先での雪解けが遅れ、農業用水が確保出来る、というのが目玉だろう。尾根にあっても谷にあっても雪に変わりはないし、谷の方が融けにくいから残雪は長持ちする。だから水の利用効率が図れる。ウーン!何となくそんな気はするが、それで大丈夫でしょうか?一般に、風化の加減で地山の貯留係数は尾根の方が谷より大きいと考えられる。尾根の残雪量が減るということは、全体の降水量から地下に廻る分が減る・・・地下の貯留量が減少する・・・ということである。この状態が長く続けば尾根の地下水位は次第に低下し、樹木が立ち枯れを起こしかねない。その結果は大変な環境破壊に繋がる。
 大阪の古典大衆芸能に「人形振り」というのがある。一人が文楽の人形にふして客に向き合い、一人が背後で人形を操るのである。横で太夫が浄瑠璃を語る。この環境対策案を見たとき、なんとなく経済産業省が太夫で筋をかたり、国土交通省が背後の人形遣い、環境省がそれに操られて芝居をする「人形振り」を思い出してしまった。「人形振り」でも今は無き「三人奴」の様な名人なら、当に文楽を思い出させる名人芸だったが、どうも今回の三人芸は、下手な寄席芸人が余興でやるレベル。もっと勉強しろ、だ。
(08/06/25)

5、京都議定書は切り札になるか?
 環境問題となると直ぐに出てくるのが京都議定書。人によってはこれを環境問題の切り札のように云うが、本当にそうでしょうか?むしろ、これすら守れないようでは環境問題の解決など遠い夢物語。しかし、これも現実性があるでしょうか?京都議定書には大きく次の二点が問題と筆者は考えている。
1)その前のブラジル会議の決定を受け、持続ある成長を認めた。その結果、先進国には厳しい温室効果ガス排出規制を、逆に発展途上国に排出権を認めた。
2)先進国との妥協として排出権取引を認めた。

1)発展途上国の排出権
 温室効果ガス排出権は発展途上国の方に有利に働くことは誰でも判る。だから、京都会議時点での発展途上国は・・・その後の経済発展を無視して・・・、何処も発展途上国であることを辞めようとしない。みんな敢えて先進国になるより、発展途上国でいることの方が得だ、ということを知ってしまったのである。従って、いつまで経ってもこの問題は解決しない。問題は先進国と発展途上国の定義の仕方にある。京都議定書の発展途上国の定義はOECDの定義に従って、国民の年間平均所得が1000ドル未満ということである。ところで発展途上国の通貨は大抵がドルにリンクしている。ドルは機軸通貨の中では最も弱い通貨であり、しばしばアメリカ政府によりドル安方向に誘導される。ドルが下がれば発展途上国通貨も下がるから、先進国であるかどうかの定義をドル立てでやっていれば、この問題はいつまで経っても解決しない。従って必要なことは、先進国か発展途上国かの定義を思い切って変えることである。例えば次のようなものが考えられる。
 (1)債務国か債権国か。但し、これは債務と債権の差がプラスかマイナスか、という話ではない。債権が少しでもあれば債権国と見なす。
 (2)軍事費が国家予算或いは国内GDPの一定割合を超えた場合。
 (3)核兵器を保有しているか、又は保有する能力もしくは意図を持っている場合。
 上記の何れか一つに該当すれば先進国と見なし、温室効果ガス排出規制の義務を負わせる。
 これで行くと、中国・インド・パキスタンは明らかに先進国である。ベネズエラは豊富なオイルマネーを元に近隣に経済援助を行っているから先進国である。北朝鮮も核兵器の問題から先進国である。この様に筆者案で行けば、現在の京都議定書のような現実と建前との乖離はなくなる。
2)排出権取引
 一番わかりにくいのがこの排出権取引というヤツ。これで本当に温室効果ガスの排出が抑えられるでしょうか?バイオエタノールと同じで、経済屋が現実を無視し頭の中だけでモデルを作り、出来る出来ると騒いでいるだけではないでしょうか?例えば、先進国のA社が途上国のB社から排出権を取得したとする。B社の設備が改善目標に達するまで、A社は温室効果ガスを排出続ける。もし、目標に達した時、A社はどうするのか?又何処かの国から排出権を買って、温室効果ガスを排出し続けるのだ。又、B社が先進国から金だけ取って、途中で倒産したらどうなるのか?と言うようなことは単なる言いがかりで大した話ではない。一番の問題は先進国企業も、途上国企業も、温室効果ガス排出規制に真剣にならなくなることである。先進国側にとっては、云ってみれば金を出しているから責任は逃れているという安心感が得られる。途上国側にとっては、金が天から降って来るようなものである。例えば、先進国側の資金で設備改善を行うが、それで浮いた資金を新たな設備増強に使える。そこから又温室効果ガスが排出される。そのため、トータルとしての温室効果ガスは一向に減らないというケースだってあり得るのである。
 地球温暖化は純粋に物理的な問題である。温暖化対策は目標に向かって直線的に進められなければならない。ところが取引というのは市場経済システム上の概念である。市場経済と言うものは、取引される対象が恒久的に供給されるという前提(或いは幻想)に基づいている。ところが温暖化対策は、最終的には温室効果ガスの排出をゼロにしてしまうことが目標になる。いずれ無くなってしまうものに投資する馬鹿がこの世にいるでしょうか?このように排出権取引には、そもそも目的と手段が矛盾している。筆者がこの方法が多分うまくいかなくなるだろうと予測するのは、その所為である。
 しかし、素性の怪しいこの市場に投資する人は馬鹿ではありません。これをチャンスに一儲けを企てている秀才達です。ものを作らない市場に過大な資金が流入したとき、発生するのはバブルである。今の原油バブルが弾けた時、次に発生するのは炭素バブルだろう。つまり、排出権取引とはそもそもの温暖化防止の目的を外れ、単なる投機手段に変身してしまうおそれが非常に強いと考えられるのです。

 経産省が今後20年間でCO2を32%削減するのに、52兆円、1世帯当たり50万円の負担と試算。日本のCO2排出量は世界全体のたった4%。52兆円かけて減るのはたったの1.2%。殆ど貢献しないと云って良い。経産省のねらいは環境ブームに乗ってエコバブルを作ること。気が付いたら返ってCO2が増えていたりして。十分あり得ることです。あの役所の考えることなど底が割れている。(08/03/21)
 この風潮に乗って、今度は経団連のトイレ会長が、エコ商品への買い換えを提言。 見かけは経団連もCO2排出削減に協力しているように見えるが、実態は買い換え需要を作り出して(業界ではこれを需要創出という)、売り上げを増やそうという魂胆。では買い換えで出てきた中古商品はどうなるのか?再利用とかきれい事を並べるが、実際に再利用されるのは極一部。大部分は産廃(それも闇産廃)として投棄され、環境を破壊するのである。経済界はこれによって景気が良くなると主張するだろう。確かに見かけのGDPは上昇するかもしれない。しかし、実態はどうか?エコ商品の生産は中国やベトナムで行われる。儲けるのはメーカーや中間の商社・ブローカー、中国ベトナム企業だけ。かつての小渕・宮沢の経済刺激策も、肝心の日本メーカーが鉄鋼の生産を止めて自動車用薄板に転換しているのに、相変わらず80年代のやり方を踏襲したから失敗したのである。あれで儲けたの韓国と中国だけ。日本メーカーには何の恩恵も無かった。エコ消費も、結局は雇用拡大や給与の増加など、一般市民への恩恵は一切なく、経済格差はますます広がる。蟹工船状態は変わらないのだ。従って、エコ生活を送ろうとすれば、経産省や経団連の口車に乗らず
   ①テレビはなるべく見ない。
   ②エアコンも必要最小限しかつけない。
   ③冬は窓を閉め切り、夏は開けっ放しにしておく。この方が硫化水素に対しても安全。
 というように生活態度から改めなければならない。又、そうした方がトータルとしての省エネ効果が上がるのだ。なお、たかが経団連会長如きが、国民に対し居丈高にああしろこうしろと云うべきではない。下郎下がりおれだ。商売人という物は、カタギの国民に対しては頭を下げてお願いするのである。
(08/06/19)

4、あきれたトンデモ温暖化対策
 以前テレビを見ていると、NASAが募集している地球温暖化対策に対する技術提案が放送されていた。それらの概要を紹介しましょう
1)地球と太陽との中間軌道に鏡付き衛星を多数打ち上げ、それにより太陽からの放射熱を反射する。
2)大気圏高層に二酸化硫黄の微粒子を拡散し、それにより太陽熱を吸収する。いつぞやのピナツボ火山噴火後の一時的寒冷化にヒントを得たらしい。
3)大洋から海水を噴水状に巻き上げ、大気圏内に人工的に雲を作り、太陽熱をそれに吸収する。
 笑ってはいけません。これらはどれも、アメリカでは名のある物理学者が、真面目に考えて作ったプロポーザルなのです。これらに共通しているのは、驚くべき単純な線形思考である。地球はそもそも複雑系であり、何かインパクトが加わった場合、その影響は非線形的に伝播していくのである。
 まず、上記プロポーザルには、地球温暖化の元凶は太陽からの放射熱である、という前提があることだ。これ自身は正しいのだが、この熱は赤外線で伝達されると云うことを忘れている。赤外線は電磁波の一種である。上記のプロポーザルには、その赤外線を反射或いはカットするというアイデアしかない。太陽からは常時大量の電磁波が放出されているが、赤外線はその中の一つに過ぎない。地球の生命活動にとって、より重要な電磁波は光である。上記プロポーザルでは、赤外線と同時に光もカットされてしまう。光が減少したり、到達しなくなったりすればどうなるか?全体として薄暗い、夕方か夜のような状態になる。植物による光合成は弱化し、酸素の供給は少なくなる。地球は全体として酸素欠乏状態になる。むしろ二酸化炭素が増えるのだ。結果として、酸素を燃料として活発に動く生物(その代表が我々人類)は絶滅し、バクテリアや苔、菌糸のような微生物だけが生き延びる・・・ダンテが描く・・・地獄のような世界が生まれるのである。
 皆さん、このような世界を望みますか?そこで問題です。このような世界はかつて地球上に無かったのでしょうか?実は何度もそういう目にあっているのです。それどころか、数10万年後には地球は確実にそういう世界に突入します。それは、我々太陽系が属する銀河の中心から発生しているガス放出帯に、数10万年後には太陽系が突入するからです。こういうことを考えると、現在の地球温暖化問題など、コップの中の嵐。馬鹿馬鹿しくてやっていられなくなります。

3、自然エネルギー
 これに似たようなのが、風力発電を始めとする自然エネルギー利用理論である。これも又、まやかしの多い分野である。ある時、毎日新聞に「この間ヨーロッパに行ったら、風力発電の風車が立っていて、8年で採算が採れるそうだ。素晴らしい・・・」とノーテンキな感想。殆どの環境主義者はこのような楽観主義に汚染されているのではないでしょうか?
 そもそも、北海に面するドイツと、温帯モンスーン地帯にある日本を同列に論ずることが間違っている。自然エネルギー利用法には、風車文明と水車文明の2種類がある。ヨーロッパで風車が発達したことで有名なのは、スペイン、オランダである。スペインは元々乾燥地帯で雨が少ない。だから水車は発達しなかった。しかし太西洋からの季節風が吹き寄せるのでこれを利用した風車が発達した。オランダはライン河口に発達した農業地帯である。水は豊富だが、地形に起伏が無いため、水に落差が生じない。だから水エネルギーは利用したくても出来ない。一方北海からは強い季節風が吹き込んでくる。これを利用した風車が発達した。もう一つ、近世以後、オランダはスペインの植民地になったため、スペインから風車が持ち込まれた可能性もある。逆に水車が発達したのはイギリスとスイス、オーストリアである。イギリスは西及び北側をメキシコ湾流が流れるため、気候は温暖で強い季節風が吹かない。又、雨が多く水は豊富である。一方、そこそこ地形に起伏があるため、風車よりは水車が発達した。イギリスの風景で水車はあっても、風車を見たことがありますか?ヨーロッパアルプスを控えるスイス、オーストリアで、水車が発達した理由は言うまでもない。
 では日本はどうか?日本では古来より風車は発達せず、水車が発達してきた。これは日本が、ユーラシア大陸と太平洋との境界にある温帯モンスーン地帯にあるため雨が多いことと、険しい地形により水の落差を利用しやすい歴史的、自然環境的必然である。風車発電など、日本の自然環境、歴史民俗・文化を無視したケトウ猿まね行為の1典型に過ぎない。一度、日本でにょきにょきと出来た風力発電施設の中で、単独で採算を確保しているモノがどれだけあるのか、聞いてみたいものだ。殆どは事業単独では赤字、国や自治体の補助を受けてやっととんとんなのだ。これも太陽光発電と同じで、やっと採算が採れそうになったと思うと、設備が故障して作り替え、再び赤字転落が関の山。つまりメーカーを儲けさせているだけ。第一、風力発電設備を作るのに、どれだけ二酸化炭素を排出したり、森林を荒廃させているか、上に挙げたオバアサンは勘定したことがあるのでしょうか?
 日本で風力発電をやって採算が合うと考えられるのは、北海道から東北・北陸にかけての日本海沿岸、やはり北海道から東北、北関東、中部山岳地帯の標高1000m以上の山稜部しかない。このうち後者の大部分は国立公園地帯であり、事実上立地不能。強引に隙間を見つけて開発しようとしても、結果は莫大な環境破壊である。これら以外の地域での風力発電開発の多くは、経産省補助金を狙った怪しい事業。メーカー主導で、そこに議員や地元有力者が介在したペテン事業と云ってよい。補助金あるところ、疑惑あり。そしてその結果は何の利益ももたらさない環境破壊なのである。
 別に風力をやっていけないと言うのではない。風力で採算が合うところならやっても構わない。しかし、到底採算が合わない神戸や淡路島に風力施設を作ることが問題なのである。むしろ、日本なら水力を中心に考えるべきである。以前は山間部に行けば、渓流を利用した水車小屋に毛の生えたような、小規模水力発電所が幾らでも見られた。それがコイズミ構造カイカクですっかり姿を消してしまった。むしろこういう小規模水力発電施設を復活すべきである。1000~2000Kwhレベルとすれば、1箇所で村一つ位の電力は十分まかなえる。建設費はせいぜい1~2億。風力なら、ン億かかるタワー一基で、発電量はせいぜい400Kwh・・・・こんないい加減な風力発電に入れあげる風力オタクの頭の中は、スカスカカラッポで風が通っているのだろう。最近、関電と大阪ガスが共同で南港に太陽光発電所(面積20ha)を作る計画を発表したが、出力はたったの2500Kwh。 建設費にン100億はかかる。これに比べれば、小規模水力が如何に安上がりか、よく判るだろう。風力タワーのような巨大な構造物は不要だから環境負荷も低い。又、電力会社の負担は施設整備までとし、維持管理を地元の村に委託すれば新たな雇用を産み、限界集落対策にもなる。小規模水力開発で最も重要な点は、後背山地の保水力を如何に高めるかにある。従来の森林行政を見直すきっかけにもなるだろう。

最近、関西電力という関西ローカル電力会社が、南太平洋のツバルに太陽光発電施設を寄付しているというテレビコマーシャルを盛んに流している。関電という会社はただの電気屋で馬鹿の集まりだから、まあこういうことやらかす可能性も無いとは云えないが、読者は関電のやっていることが、如何に本末転倒でナンセンスの塊ということは判っていると思います。当たり前ですが、ツバルに太陽光発電装置を設置したところで、温室効果ガスは減らないし、仮に温暖化で海水面が上昇するとしても、これを防ぐには何の役にも立ちません。ツバルに寄付するなら海水の淡水化装置とか、家屋の嵩上げとか実戦的なものにすべきでしょう。又、太陽光発電装置の寄付は、当たり前ですが温室効果ガス大量発生地域を対象にすべきです。その程度のことが判らない連中が温暖化防止、防止と叫んでいるのです。しかも、その陰でこの会社は舞鶴で石炭火力を運転しているのです。おまけに神戸製鋼の灘浜石炭火力から買電している。云うことと、やることが全く一致しない。動機は自己の売名とアリバイ造りだけです。これでは、温暖化防止など出来るはずがないでしょう。

2、バイオ燃料は地球温暖化の救い手になるか?
 ブッシュがいきなり地球温暖化防止とバイオ燃料の採用を言い出して、世界中の農産物市場が大混乱。ブッシュの本音が温暖化対策ではないのは顕か。イラク戦争が泥沼化し、その間にロシア・ベネズエラなどの新興産油国が力を持ち出した。OPEC主導の石油市場を牽制し、世界エネルギー市場の主導権をアメリカに取り戻すことが狙い。アメリカもなめられたものだが、原油価格が低下すれば、又元に戻るのは当たり前。そのために、世界中の農産物が値上がりし、飢餓が世界中に広がろうと、アメリカはしったことじゃないというのが本音なのだ。
 さて、このバイオ燃料理論には、そもそも始めから怪しい前提がある。それはバイオ燃料が排出した二酸化炭素を、再生した植物がそっくり吸収するというまやかしである。そんな上手い話があると思いますか?あるエネルギーE0が別のエネルギーE1に転換するときには、必ずロスが発生する。E1/E0が効率である。効率が1.0という機械は理論上も実際上も存在し得ない。ところが、このバイオ燃料理論は、エネルギー転換効率が1.0になるというまか不思議な前提(という決めつけ)から出発しているのである。まずバイオ原料をエタノールに転換するには、発酵という過程を通らなければならない。この過程で熱と二酸化炭素が発生する。酒やビールを醸造しているところを見ればよく判る。原料野菜を採取しても、その全てが燃料原料になるわけではない。この過程で又ロス(廃棄物)が生じる。廃棄物は焼却するか、肥料として土に戻す必要が生じる。焼却すれば勿論のこと、肥料になるためにもバクテリアによる分解が必要である。ここでも二酸化炭素が発生する。植物による炭酸同化作用では、物質不滅の原理により、その前後で二酸化炭素量は変化しない。つまり、ある植物が二酸化炭素を吸収したところで、その植物が死滅(バイオ燃料化による人工的死滅もあれば、枯死のような自然死もある)すれば、吸収した二酸化炭素は・・・形を変えて・・・そっくり排出される。一方バイオ燃料は植物エネルギーの一部しかエネルギーに転換出来ない(エネルギー転換効率<1.0故)から、ガソリンへの添加率を一定にすれば、燃料を確保するためには原料をどんどん増やしていかなければならない。従って、バイオ燃料化によって二酸化炭素は蓄積されることになる。逆にバイオ燃料製造過程での二酸化炭素排出量を植物による吸収量以下に抑えようとすれば、ガソリンへの添加量を下げて行かなければならないから、バイオ燃料理論はいずれ破綻するのである。
 更に問題は、バイオ燃料化による森林伐採、特に熱帯雨林の伐採である。後者は既にアマゾンで始まっており、現在はインドネシア、さらには他の東南アジアやアフリカに及ぶだろう。熱帯雨林を伐採すれば、その環境回復には数10年を要する。一方燃料としての消費はあっと言うまである。この間のバイオ燃料補給を確保しようとすれば、次々と伐採・開発を継続しなければならない。その間にも二酸化炭素は蓄積されるのである。
 更に続く問題は、森林が回復するまでの環境破壊である。森林が伐採され草地やトウモロコシ畑になったとき、豪雨がくれば、これらの植物は森林に比べ保水能力が低いから、表土浸食が生じ、数年から10数年後には荒れ地となって、いずれ砂漠化するだろう。砂漠化した大地をもとに戻すには、莫大なエネルギーの集中が必要になる。これが又、二酸化炭素の増大・蓄積をもたらすのである。ドイツのシュワルツヴァルト森は三十年戦争による荒廃と、産業革命による木炭需要のため19世紀初頭には殆ど禿げ山状態になっていた。これが現在のような森林に復元されたのは、ドイツ第二帝国と第三帝国による森林回復事業によるものである。ナチは環境事業で大変な貢献をしていたわけだ。六甲山は港町神戸のシンボルで、みんな六甲山は昔からの森林地帯と思っているに違いない。とんでもない、六甲は一時禿げ山状態になったのである。幕末、オランダより堆肥農法という農法が輸入された。その原料は森林に蓄積された腐葉土である。そこで農民はみんな山中に入って腐葉土を持ち去った。その結果、土地の養分が減少し、木が立ち枯れを起こし、それは更に落ち葉を減らして土地の保水能力を減らしてしまった。明治37年当時には六甲山は殆ど禿げ山となり、明治末に大災害を起こし、それ以降数10 年に及ぶ植林治山事業が始まったのである。ドイツも神戸もみんな人工造林なのだ。それに費やすエネルギーを考えると、バイオ燃料が二酸化炭素の軽減に寄与することはあり得ない。これもブッシュとカーギルなどの食料資本との野合の産物に過ぎない。

 この問題について、小池百合子がバイオ燃料反対論を展開。筆者はこのオンナは大嫌いなのだが、妙なところで意見が一致してしまった。迷惑千万。(08/03/11)

1、地球温暖化で生物は死滅するか?
 昨年ゴアが「不都合な真実」という著作でノーベル賞を取って以来、世の中は地球温暖化と、その果てにあるこの世の破滅というイメージが定着しつつあります。本当でしょうか?これは現象のある一面を、無責任に拡大して作り上げられた一つのおとぎ話である。かといって地球温暖化がないと云うのではない。
 かつて京都議定書を無視したブッシュが、昨年になって急に環境派になって、云うことやることが変わって来ている。尤もあの猿並みに頭の悪いブッシュのことだから、やることがピント外れで方向違い。バイオエタノールなんて環境破壊の元凶を始めるのだから全く話しが判っていない。そもそも、環境問題に冷淡だった米議会を動かしたのは、NASAにいたハンセンという物理学者の議会証言である。彼はこの議会証言で①温室効果ガスが濃密になると、金星のように地球表面はドロドロに溶ける、②海水面が上昇し、地球の大部分は海面下に没する、③多くの生物が絶滅する、などの自説を述べた。これを受けたのかどうか知らないが、「地球は破滅する」、「地球は病んでいる、苦しんでいる」、「地球を救わなくては」、等々連日マスコミ特にテレビメデイアで発せられるのは、この手の感情的かつ安直なフレーズである。このようなフレーズを作った人たちがどれだけ地球を理解しているのか、はなはだ疑わしい。地球史を見ると明らかなのだが、地球は過去に何度も遙かに過酷な状態を経験している。ある時は全球凍結という極寒だったり、ある時は夏冬の区別もない位猛暑の時代もあった。数10億年前までの地球大気は当に温室効果ガスの塊だった。それで地球は破滅したり壊れたりしただろうか?今考えられている100年で数度や10数度の温暖化など、地球全史における環境変化に比べれば取るに足らないものである。問題はこの変化に対し、人類が理性的に対応出来るかどうかなのである。つまり、地球温暖化とは地球の問題ではなく、人類特に先進国と称する消費文明国の問題に過ぎない。

1、ハンセンの主張1・・・・・温室効果ガスの蓄積が継続すれば、地球もいずれ金星と同じような灼熱惑星になる。
 DrハンセンはNASAが送り込んだ金星探査船マゼランによる映像を見て、灼熱の金星表面が濃密な温室効果ガス(二酸化炭素、メタン等)によるものと考えた。地球でも温室効果ガスが蓄積すれば、いずれ金星と同じようになるだろう、と。惑星表面が高温化するためは、温室効果ガスも必要だが、それ以上に熱源が必要である。熱源として考えられるものは太陽輻射熱と惑星内部からの熱放射である。
1)太陽輻射熱
 金星の太陽輻射熱量は地球の約1.91倍である。これでは地球より暑くなって当たり前。
2)内部放射
 金星は同じ岩石惑星である火星と違って、今も活発な火山活動が続いている。地震(金震というべきか?)も観測されている。つまり内部の熱量は十分あり、これが表面に伝達されていると考えられる。
 金星の現状は温暖化の結果ではなく、そもそもそういう環境下にあったというべきである。従って、Drハンセンは原因と結果を取り違えていると思われる。現在の地球の熱環境を見ると、幾ら温室効果ガスが蓄積しても金星のようになるとは考えられない。何故なら、地球には金星にない水や植物があるからである。又、主な温室効果ガス排出源である人類の生産活動にも限界がある。石油を始めとする化石資源の埋蔵量に限界があるなら、生産活動にも限界があり、必然的に温室効果ガスの排出も頭打ちになるのだ。尤も、それまで人類がまともに生きていられるかどうかは別問題だが。
 
2、ハンセンの主張2・・・・温暖化で地球の大部分は水没するか?
 これはノアの箱船の話に似ていて、キリスト教原理主義者であるブッシュなど、これにコロリと騙されたのだろう。無論、ハンセンもその効果を狙っていたフシはあるが現実にはあり得ない。水面が数m程度は上昇して、その結果太平洋地域のある国や海岸沿いの低地帯が広く広がる国には大きな影響を与えるだろうが、地球全体で影響を受けるのは全陸地面積の数%に過ぎない。

 しばしばテレビで繰り返し放映されるのは、氷河の末端が崩壊し、氷が海になだれ落ちるシーンである。何も知らない人は、これを温暖化の所為と思うかもしれない。しかし、そんな事はない。このような氷河末端での崩壊は、何100万年以上も昔から繰り返し行われてきたことなのである。


 この問題を考えるには、まず何故氷河が出来るかを理解する必要がある。氷河の素は雪である。何故雪がふるか?それは大気と海水との温度差が原因である。熱は高い方から低い方へ移動する。例えば冬の日本海を例に取ると、氷河期で気温が低下すると、大陸からやってくるシベリア寒気団などは十分冷えているが、海はそれほど冷えていない。寒気団が上空を通過すると、暖かい海面から冷たい上空寒気団へ熱が移動する。それにつれて、海水面付近の湿った空気が上空に移動する。この空気は海の水分を十分に含んでいる。これが東北や北関東の脊梁山脈(これをハイリョウサンミャクと読んだ国土交通大臣がいましたが、皆さんはそんなことはないでしょうねえ)に衝突し、大量の雪を降らす。気候が温暖化になって降雪量と融雪量のバランスがとれておれば何の問題もありません。しかし氷河期ではそんなことは起こらない。雪が融けない、従って雪が幾らでも溜まる。これが自重で圧密し固結し、個体になったものが氷河なのだ。これが4万年前から2万年間続いて、とうとう海水面は現在から200mほど下がってしまった。それがその後の2万年間で、大体今の水準に戻ったのである。と言うことは、2万年前の氷河の量がどれほどすさまじかったか、よく判ると思う。
 では温暖化するとどうなるかというと、これとそっくり逆の現象が起こる。大気と海水温との温度差が少なくなるから、寒気団に持って行かれる水分量が減り、降雪量がすくなくなる。又、夏期の融雪量が増えるので、氷河は後退し、海水面は上昇する。2万年間の温暖化で、大陸を覆っていた氷河の大部分は融解し、200mも水位が回復してしまった。今地球表面に残っているのは、2 万年前の氷河の極一部分に過ぎないのである。

3、ハンセンの主張3・・・・気候変動は生物の死をもたらす
 これは、言葉通りなら正しいが、気候変動を温暖化に結びつけた場合誤りである。生物が自律的に活発に活動を始めたカンブリア紀(約6.5億年前)以降、大きな生物絶滅事件は5回あった。その内特に規模の大きかったものが、古生代ペルム紀末から中生代トリアス紀に起こった生物絶滅(いわゆるP/T事件)、中生代白亜紀末から古代三紀にかけて起こった生物絶滅(いわゆるC/T事件)である。ところでこれらの大規模生物絶滅が起こったのは、みんな急速な寒冷化期である。その後、気候が温暖化に向かえば、生物は爆発的に勢力を回復し、様々な新しい生物種が生まれ新しい時代を作っていった。我々人類の例で云えば、今から約4万年前に始まったウルム氷河期で、それまで棲んでいた旧人はあらかた絶滅した。この氷河期は2万年前当たりから急速に温暖化し、1万年前に我々現代人の直接の祖先である新人が現れ、最も気温が高くなった6000年前には4大文明を始めとする人類文明が現れたのである。その後、人類個体数は爆発的に増加した。現代の気候はこの延長であり、温度もこの当時から少し低下したに過ぎない。
 これまでの地球史から言えることは、温暖化は生物の活動を活発化させ、多様化を増進させる、ということだ。但し、人類にとって活発化してほしくない生物もいる。それは極北地方や高山地方の永久凍土中で眠っているバクテリアなどの細菌類、或いは未知のウイルスである。しかし彼らだって生物には違いない。従って、Drハンセンの云う「気候変動が生物の死をもたらす」というのは正しくない。よくメデイアでは、ある場所での生き物がいなくなり、新しい生き物が増えてきたという事件が報道される。これこそ温暖化による生物絶滅の証拠と云わんばかりである。しかし、これは気候変動により生物種が、その生存コロニーを移動させているに過ぎない。現在の日本近海での珊瑚の自生は、沖縄本島当たりが北限であるが、1500万年前の中新世には東京湾の当たりまでコロニーがあった。それがその後の寒冷化で、沖縄まで移動したに過ぎないのである。現在日本近海での天然河豚の北限は東シナ海だが、縄文時代には津軽海峡まで河豚が捕れた。それは三内丸山遺跡から大量の河豚の骨が出土していることから証明される。このまま温暖化が続けば、河豚は今のような高級魚ではなくて、サンマ並みの大衆魚になるかもしれません。無論珊瑚のコロニーが伊豆や紀伊半島に出現するかもしれない。しかしそれで吃驚してはならない。こんなこと地球数10億年の歴史の中では、ほんの誤差の範囲に過ぎないのである。


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