大胆な推測・・・松岡事件について

今頃になって、昔の「緑のオーナー」投資の焦げ付きが発覚。そう言えば、何10年か前に、こんなものがあったのを思い出しました。林野庁の甘言に載せられて、ン百万か投資したところ、払い戻しが良くて60%、下手すりゃ20%。確か当時マスコミは、環境に優しい素晴らしい政策などと吹聴しまくっていたのではなかったか。それで集めた金を何に使ったか?が問題。林野工事、つまりかなりの部分が林野談合に消えたのは間違いはないだろう。まさか松岡は、これの発覚を予期して自殺したのではなかろう。しかし、仮に自殺していなくても、この問題が出てくるから国会対応は大変だ。果たして次のアベ内閣で農水相を引き受ける奇特な人はいるでしょうか?
(07/08/08)

 都知事選の前、石原慎太郎が妙な構想をブチ挙げています。杉花粉対策で「・・・政府が何もしないから、都が金を出して今の杉を伐採して、(DNA操作によって)花粉の出ない杉に植え替える」というものです。例によって政府を悪者に仕立て(実は安部との出来レース)、自分は正義の味方をするポーズ。一見かっこよく見えるこの構想ですが、実はこのような問題が隠されています。
1)新種の杉はDNA操作を伴うもので、周辺の植物相への影響が懸念される。植物生態環境への悪影響については安全性が立証されていない。永年の間に、この杉も花粉を発生する遺伝特質を獲得する可能性がある。その場合、更に新種の開発が必要になるので、問題は際限なく繰り返されることになる。
2)花粉対策としては、間伐とか温暖化対策とか、取られるべき中間対策があるのに拘わらず、いきなり種の交替のような最終解決に向かおうとしている。
3)新種の杉でも生育には20〜30年が必要である。その間斜面は植生が不十分になり、災害抵抗力が劣化する。しかも今後温暖化が進み、強雨が襲来するケースが多くなる。つまり、杉対策で新種杉が育つのを待っている間に、山地崩壊が進行し、災害が増えるのである。
4)これまで花粉症で死んだ人間はいない。マスクで十分防げるのである。しかも今後の日本人はDNA が進化し、いずれ対花粉能力を獲得するはずである。
 つまり、こんな大げさな花粉対策は必要ではない。ところが、これには莫大な利権が絡んで来るのである。
1)杉苗供給企業。日本にはDNA組み替え企業は未だ未成熟である。一番考えられるのはジェネンテックのような海外企業か、それと提携した商社。莫大なバックが期待出きる。ブッシュ政権への後押しにも有効だろう。
2)既存森林の伐採と植林を請け負う緑資源機構指定林業企業。地域ごとに談合組織を作っている。
3)森林伐採に伴って、当然防災工事が必要になる。これを請け負う土建企業。従来は地域の地場産業だが、最近は大手も黙っていない。
4)当初は東京都だけかもしれないが、直ぐに全国規模に拡大される。莫大な利権の誕生である。
5)これらを全て取り仕切るのが、緑資源機構(だったはずだ)。
 松岡が本当に隠したかったのは、この構想に関連するスキャンダルではなかったか?慎太郎は松岡死後、「潔い死だ」などと、偉く松岡を褒めちぎっているらしい。なにが潔かったのでしょうか?ほっとけば疑惑追及という花粉が飛んでくるのを防いでくれたんだから有り難いはずだ。そう言えば、最近安部はイヤに環境がお気に入りのようだ。
(07/06/03)

 松岡の前任者は中川昭一。昭一の父はかつての農水のドン中川一郎。そして一郎の親分が戦後日ソ漁業交渉をまとめた農水のゴッドファーザー河野一郎ではなかったかと記憶している。このうち中川一郎は謎の自殺?を遂げている。河野は児玉譽志夫なんかとの繋がり等ややこしい噂に事欠かない人物である。そもそも鳩山寄りの党人派で、保守合同で自民党に参加するが、岸内閣以降は概ね反主流派。若き中曽根が鞄持ちをやっていた。この河野一郎−中川一郎の線で、戦後農水関連闇社会(旧秩序)が形成されていった。以来戦後農水政は歴代河野派の縄張りとなった。
 平成11年農用地整備公団が森林開発公団に吸収され、平成15年(独法)緑資源機構に改組される。このように組織が矢継ぎ早に変わると、組織の糸が断ち切られ、利権が分散する。そこに松岡のような新興勢力が、利権に食い込む隙間が出きるのである。
 事件翌日の毎日新聞朝刊に面白い紹介記事が載っていた。平成13年、熊本県のある林道造成工事で、地元業界が押す地元業者が外され、県外の大手ゼネコンとそれに手を組んだ業者が工事を落札した。そしてこれを強引に主導したのが松岡利勝だ、というのである。これは公団合併の翌々年のことで、業界秩序も混乱していたから出来たことだろう。一見、旧秩序(伝統談合組織)に対する新興パワー(という名の新談合組織)の挑戦と受け取れる。実はこれは、昨年社会を騒がせた和歌山県談合事件構図とそっくりなのである。これも元もとあった伝統談合組織に挑戦する形で、前知事が大林組と組んで強引に県外業者を引き込んだから起こった新旧抗争事件。ここでも元和歌山県幹部が自殺?している。おそらく松岡のやり方は旧秩序を”ぶっつぶす”という形で、当時のコイズミ政権への受けはよかったのではなかったろうか。そして旧秩序への挑戦という姿勢は、安部政権下でも評価が高かっただろう。ここで勘違いしてはならないのは、松岡のやったことは談合構造そのものを壊すことではなく、業界利権を右のポケット(伝統談合組織)から左のポケット(新談合組織)に移し替えるだけのことである。ここに新旧両秩序の抗争が発生する。そこに農水利権周辺の闇社会が関与してくると、事態は急速に決定的状況に突き進む。
 新秩序の代表が松岡利勝というのは概ね正しいだろう。では旧秩序の代表は誰か?血筋・筋目から云って中川昭一がそれに該当するだろう。つまり、事件の背後に中川vs松岡の確執・抗争があったと云うことだ。中川は安部の次の次の、更に次ぎ位を狙っているだろう。彼の地盤は農水利権。ここに松岡が割り込んで来ることは許されない。中川昭一と右翼・暴力団との関係は色々取りざたされている。中川が直接手を下したとは云わないが、新旧の抗争が最早抜き差しならない段階に至っていたことは、十分推測できる。翌日の仮通夜で、某TVの夕方のニュースが中川にカメラとマイクを向けていた。本来なら親分の伊吹文明とか、副総理格の麻生あたりにインタビューするのが筋なのに、何で中川にと不思議に思ったのである。ひょっとすると中川vs松岡の抗争が、業界でも話題になっていたのかもしれない。だからといって、これが松岡本人の直接自殺原因にはならない。
 松岡疑惑は大きく、 1)例の事務所費、2)熊本緑資源機構談合疑惑、3)緑資源機構を使った更なる利権疑惑、の3者に分けられる。ここで1)は500ン10万の話しで、これこそ女がらみの金かもしれない。但しこの女が旧秩序に関連する闇社会からの刺客とすれば、2)と無関係ではなくなる。2)は何処にでもある話しである。無論問題としては小さくはないが、山崎が消えればそこで疑惑の線が消えるので、松岡まで自殺すべき理由はない。残るは3)のケースである。松岡は何を護ろうとしたのか?或いは護らざるを得なかったのか?
(07/05/29)

 32%(11%減)。これは5月28日毎日新聞朝刊に載った、アベ内閣支持率に関する衝撃的な数字である。その日の昼前、農林水産大臣松岡利勝が議員宿舎で縊死した。翌日旧森林開発公団理事山崎進一が自宅マンションで墜落死。その前には熊本で松岡の資金管理団体関係者が墜落死している。警察はこれらの死亡を全て自殺としている。これらの死亡事故が全て自殺かについては、筆者を含め今なお疑問視する向きもある。しかし、この一連の事故が、現在検察が捜査を進めている「緑資源機構」談合疑惑と関連がある、と言う点には疑問はないだろう。しかも、筆者はこの中で最大の衝撃だった松岡縊死は、冒頭に挙げた内閣支持率と無関係ではなかったのではないか、と考えている。
1、事件の発端
 まず松岡事件から検討してみる。死亡事由は事件以前の経緯からみて自殺と考えられる。自殺原因としては1)還元水問題に関して国会質問が厳しく、精神的ストレスが溜まった、2)「緑資源機構」談合問題で地検からの聴取が迫っていた、3)闇社会の女に引っ掛かってしまった、4)その他ややこしいプライベート問題、など色々取りざたされている。しかし、一つ一つは本当かもしれないがそれだけで自殺するほどの問題とは思えない。
 一方、自殺といっても自律的自殺と他律的自殺とがある。前者は従来型で、借金に困ったとか失恋したとか、自殺原因が自分とその周辺に限定されるタイプである。後者の代表はイジメ自殺である。原因は自分にはないが、周囲の不特定多数からのプレッシャーにより、心理的に自殺に追い込まれるタイプである。両者の境界は甚だ曖昧で、最近は後者は犯罪と見なされる傾向にある。松岡のケースで検討してみよう。
1)自殺1週間ほど前の国会衆院特別委員会TV中継画面では、今から考えると松岡はかなり強度の鬱状態にあったことが推測される。
 @表情に乏しく、目も焦点が合っていないように見受けられる。
 A答弁は例の「法規に則り適正に処理している」の繰り返しである。
 要するに表情・表現に起伏が見られず、精神活動が停滞状態にあるように見受けられる(筆者は精神科医ではないので判断は避けます)。
2)鬱状態の人間に絶対やってはならないことは、「頑張れ」とか「しっかりせよ」とかいう励ましである。励ますと、それがプレッシャーとなって鬱状態を加速し、最終的に自殺衝動に駆り立てる。これは精神医学の常識である。
3)それにも拘わらず、アベは国会でも何処でも、松岡の処置を合法的であるとして庇い続けた。これはアベにとっては善意の表現かもしれないが、鬱状態の人間にとっては「励まし」と映り、逆にプレッシャーとなって自殺へのイニシエーターとなったと考えられる。
4)以上のことから、アベが松岡を庇いすぎたためにかえって松岡の自殺を招いた、と云える。
 以上のこと位は誰でも考えられる。それでは面白くもなんともない。問題はアベとその周辺がこの程度のことを見逃していたと考えられるか、ということだ。ここでアベとその周辺とは、現在の内閣顧問である岡崎久彦、佐々淳行、森本ナントカ、中西輝正、それと番外の小池百合子らである。これらはどれも頭は悪いが狡賢いだけは一人前。但し全員集めても私一人にはかないませんが。この連中が、鬱病患者のこのような性情を知らなかったとは考えられない。つまりこの連中がアベを叱趨して松岡に見せかけの激励を与え、結果的に松岡を自殺に追い込んだ、というケースも考えられるのである。この場合は間接殺人になる。
 事件後、松岡の部屋から8通の遺書が発見されている。その内、自民党公表分には「・・・安部総理万歳。日本国万歳」と書かれてあった。松岡は1945年2月25日生まれ。筆者と全く同じ世代である。この世代は戦後民主主義教育を、そのまま受けた世代である。それが死に当たって、このような大時代なことを書くだろうか?まして「安部総理万歳」などとあることこそ怪しい。安部は長州。松岡は肥後。肥後は南北朝時代から右翼・皇国思想の強い地域である。維新後、肥後は長州主流の維新政府に対し反抗的で、神風蓮の乱を起こし、西南戦争では西郷党に組みした。だから肥後人が長州人の風下に立つことを快く思う筈がない。彼が真の右翼・民族主義者、肥後郷党なら、現世の総理大臣より、現人神である天皇への忠誠を披瀝するだろう。従って遺書は「天皇陛下万歳。大日本帝国万歳」と結ぶはずである。従って、この遺書はねつ造の疑いが濃厚である。プライバシーの問題があるとして、公表されなかった婦人宛の遺書にこそ、真実が隠されている可能性がある。
 山崎の墜落死については情報が乏しく、何とも云えない。この種の事件に付き物なのは、当局は自殺と発表するが、それがなかなか真実とは受け取って貰えないことである。典型的なのは、ライブドア事件の野口死亡事件である。今回も事件発覚直後から、松岡も山崎も、「消された」という憶測が飛び交い、今も消えていない。実は筆者自身、その疑いを持ち続けている(他殺を自殺に見せかけることは難しいことではない。しかも今回は政権中枢に警察OBがいるからなお簡単だ)。
 戦後、多くの疑獄事件が発生し、その捜査過程で多くの自殺者が出ている。その線で見れば、今回の事件は通常の疑獄事件の1パターンに過ぎない。ということは、今回の事件も、これまであった事件と同じ性格のはずである。一般にこの種事件の自殺者は、事件の周辺に位置し、中核に極めて近いが末端である。自殺の目的は、事件のそれ以上の拡大を防ぎ、中核を護ることである。自殺者は事業官庁の中堅ノンポリ、周辺の業者、議員秘書が多い。希に地方議員や国会議員のケースもある(長銀事件だったか忘れてしまったが、それの新井将孝とか)。今回松岡という現役国務大臣が自殺というのは異常で、これまでの自殺者の中では最高ポストである。従って、これが中核ではないか、と思うかもしれないが、これこそが事件黒幕の思うつぼ。松岡は国会議員と言っても、頭角を現したのは、せいぜいここ10年。昔なら未だ陣笠扱いだ。つまり彼も又、何者かを護らなければならない立場にあったのである。
2、事件当日
 緑資源機構談合疑惑が注目されだしたのは、事件の2〜3週間ぐらい前からでは無かったろうか?始めはその道のプロ以外、余り注目される事件ではなかったのだ。むしろ松岡に関しては、その前の事務所費(ナントカ還元水)問題の方が話題を集めていた。筆者はこの事務所費こそが、怪しい闇社会女問題ではないかと思っているのだが、これは本人が名乗って来ない限り、真相は分からないだろう。事務所費など金額は500ン十万程度だから、恥を覚悟で公にすれば問題はなかったかもしれない。但しカミサンが薩摩か肥後の女なら、家庭内はただでは済まないだろうが。地位と女を天秤に賭けたとき、松岡は地位を取った。女を取れば、女は惚れ直したかもしれないのに。これでは女はただでは済まさない。本間も地位と女で随分揉めた。アレじゃ女は逃げて行く。問題はやはり「緑資源機構」疑惑である。無論これの捜査情報は、刻々官邸並びに政権中枢に入ってくる。問題は、これの捜査が検察から始まったことである。警察からなら、政権中枢に警察OBがいるから握りつぶせる。しかし相手が検察ならどうにもならない。そこで彼らがやったのは、松岡に対し、あくまで「しらばっくれろ」という指示だ。それを松岡は忠実に実行した。その替わり発生したのが、松岡本人の内面へのストレス蓄積と鬱病である。自殺1週間前あたりから、松岡はかなりデスペレートな感情に落入っていたと考えられる。しかし、それでも自殺という最終行為に繋がるには、何らかのきっかけが必要である。自殺当日朝、毎日新聞は、安部内閣支持率32%という驚愕的な数字を報道した。これを見た政権中枢は狼狽し、その原因を考える。第一は年金ミス問題だが、松岡還元水問題、更に緑資源談合疑惑も無視できない。直ちにそれぞれの関係先に電話を入れ、対策を報告させる。その内の一つが松岡対策で、誰かが議員宿舎に電話する。「エライことになった!君もナントカ出来ないか?(或いはこれは君のせいだ!なんとかしろ)」。これが鬱病患者に対する死刑宣告になるのである。

一般ピープルの人は、キャリア官僚がどういう基準で出世するかご存じでしょうか?まず最初のハードルは会計検査です。会検を如何に上手くクリアー出きるかで、その人物の将来が決まります。会検に直接対峙するのは、出先の課長又は本省課長補佐レベルの中間管理職。上手く誤魔化せれば次の昇進は約束される。逆に会検に突っつかれて逃げ切れなければ、地方転勤で将来はなくなる。その辺りを上の連中は細かく見ている。松岡は大臣といっても安部政権成立の論功行賞大臣だから、自民党的には一人前には見られていない。只の中間管理職である。そこに事務所費問題が発生し、更に緑資源機構問題が発生した。政権中枢としては、松岡が如何にこの局面を乗り切るかを見ている。そして当日朝内閣支持率32%という数字に驚いて、松岡に状況管理能力なしと判断し、引導を渡した、というのが実相だろう。そうしないと、自分達が返り血を浴びるからである。

 しかし考えてみれば、松岡自殺は検察に対する強烈な牽制である。それだけでも彼らは目的を達成したと云えるだろう。
(07/05/28)


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