北京オリンピックの真実



  

 これは上海で起こった13階建てマンションの倒壊現場写真です。建物底面から延びている棒のようなものは基礎クイです。この基礎はテレビの拡大映像では中空クイです。切断断面がきれいに切れていることから、既製RCと思われます・・・PCクイならPC鋼線による引っ張り抵抗がはたらくので、切断面はこんな綺麗にはならない)。建物基礎は連続基礎で、そこに柱1本につき、クイ1本が打ってあるようですが、普通日本の建築基礎では、このような雑な設計は行いません。設計の基本的な考え方がよく分からない工法です。
 では何故このような倒壊が起こったのでしょうか?地震もなく風も吹かない安定した状態での建物の倒壊で、まず考えられる原因は不同沈下です。連続梁のような構造物で不同沈下が発生すると、沈下した部分に荷重集中が生じ、それが更に沈下を加速するという悪循環が生じます。最終的には建物全体がバランスを崩し、全面倒壊に至ります。問題は不同沈下の原因ですが、日本のように地盤の変化が激しいところでは、地盤耐力の部分的な不足が最も多い原因で、そのため土木(道路橋示方書)でも建築(建築基準法)でも、「異種の支持層の禁止」を謳っているわけです。では本件ではどうでしょうか?上海の様な土地では、そんな極端な地盤の違質性はなかなか想像出来ない(証拠に背後には別のマンションが建っている・・・ちゃんとしているかどうかは別)。想像するに、施工の途中で柱や梁に傾斜が生じた。日本なら、こういう場合ジャッキアップか何かで傾斜を修正するのだが、そもそもオーナーもゼネコンも、金儲けしか頭に無いから、そのまま工事を続行する。すると何処かに、上に挙げた荷重の集中が発生し、不同沈下がますます進む。このときの荷重は一般には斜め方向に「作用するから、クイには曲げモーメントが作用する。ここで、基礎クイは既製RCクイと考えられるが、このタイプのクイは曲げモーメントには耐えられないから、簡単に折れてしまう。クイが折れている位置は、クイに作用する最大曲げモーメント深さと考えられる。
 通常日本では13階建ての建物なら、直径1.2〜1.5mぐらいの現場打ちRCクイを使います。これなら相当の曲げモーメントが懸かっても、ポッキリ折れるようなことはありません。要するにこの倒壊事故の原因は、施工の手抜き或いは設計の未熟と言うことになります。ではこのような杜撰且つ未熟な設計がまかり通る原因は何でしょうか?ワタクシは次の三点を挙げておきます。
  1、内実より表面に価値を置く中国の文化・伝統
  2、社会主義官僚制の持つ画一性
  3、行きすぎた規制緩和・改革開放による功利主義の蔓延
 では、我が日本国ではこのような危険に対し安全でしょうか?現在の建築業界を主導する品質保証制度は、肝心なところがブラックボックスになる。特に基礎に関しては、第三者がチェック出来ない仕組みになっている。実は日本の諸制度は、限りなく中国に近づいているのです。そして、これはアメリカの要求によるものだ、ということをどれだけの国民、就中政治家が知っているでしょうか?
(09/08/02)

 昨日、中国国営製鉄会社「通化鋼鉄集団」の、民営製鉄会社「建竜製鉄」への売却とリストラを巡って、建竜の社長が労働者に殴り殺される事件が起こりました。ウイグルだけでなく、本国でこんなことが起こったのだから、胡錦濤は吃驚でしょう。吃驚していなければそれこそ驚き。これが中国分裂の原因になるのです。何故、分裂するのでしょうか?それは制度と政策が矛盾しているからです。
(09/07/29)

 米中経済協議開催。これで中国の国際プレゼンスは一層高まり、21世紀は米中G2社会になる、と勘違いしているアホが多いでしょう。そんなことオバマもクリントンも思ってもいない。期待しているのは胡錦濤他北京・上海の利権階層だけ。中国は今世紀前半に共産党政権は崩壊し(今でも半壊状態だが)間違いなく分裂する。そうなれば、極東アジアは大混乱だ。そうならないように、そうなったらどうするかを慎重に見定めるのが肝要。徒に中国を敵視しても意味はない。日本の独立・安全保障にとって、大陸と半島に安定政権があることは絶対必要条件なのだから。
(09/07/28)

北京オリンピックといえば、日本のマスコミでは今だに、開会式セレモニーでの例の口パクとか、少数民族衣装を着ていたのが、実は漢民族だったとか、週刊紙裏ネタ情報が羽振りを利かせている。一方、中国の総合監督は、これらは全て演出である、と言い切った。これに対する見方には二つの流れがある。一つはマスコミジャーナリズムによるものである。これには1)例の農薬入りギョーザ事件や、鰻偽装事件(鰻偽装は中国ではなく台湾産。しかし、日本のマスコミは中国と台湾の区別が出来ない)と同じレベルの”偽装”疑惑説と、2)中国の中央集権的国家体制が原因である(セレモニーも全て政府や中国共産党の指導による)、とする説の二つがある。いずれにせよ開会式セレモニーを批判的に見るスタンスには変わりない。もう一つは演劇側による評価で、あれは演出なんだから当然だ、演出をを否定されたら演劇は成り立たない、という擁護派。
 筆者自身は、オリンピック自体今や商業イベントなんだから、開会式セレモニーなどなにがあっても不思議では無い、こんな物に一々目に角立てる方がおかしい、というスタンスである。そもそも政府や共産党中央の意向は、開会式を無事に済ませることが中心で、口パクや衣装偽装など枝葉末節、中身はどうでも良いのである。人民の喜ぶ方向に持っていけば良い。それより、開会式に出席した、海外要人がどう写っていたか?のチェックの方が重要。例えば、撮影順序、写っている時間、アングルなどである。これは具体的な中国政府の外交メッセージに当たる。従って、撮影計画での、この部分は党・政府の厳重なチェックを受ける、後はどうでも良い。筆者は聖火点灯まで見て面倒臭くなったので寝てしまったが、このシーンは放映されたのでしょうか?シーンが放映されて無かったとしても、それは「党・政府はスポーツ芸術には干渉しない」というメッセージでもある。しかし、開会式後、どのメデイアにもこの点に関するコメントを見たことがない。社会に関心のあるマスコミなら、この点にもっと関心を持って良いはずである。この点が現代における、日本だけではなく欧米も含めたメデイアの堕落の証拠なのである。堕落の先には没落しかない。
(08/08/23)

 北
京オリンピック開会式歌唱で口パクがばれたが、中国演出監督は、演出効果を高める為に「最高の顔と最高の声をドッキングさせただけだ」と居直る。ウーム!ナルホド!当にこれこそグローバリズム、新自由主義経済理論の拡大適用の極意である。それどころか、現在の最先端情報化理論の実現でもある。あのWINNYだってこの延長線上だ。これにまともに反論出来る人はいるのでしょうか?そういえば、マイフェアレデイのオードリー・ヘップバーン、ウェストサイドストーリーのナタリー・ウッドも口パクだった。だから両方ともアカデミー賞主演女優賞を取れなかった。口パクはアメリカ渡りだったのである。
(08/08/13)


 北島康介世界新で金メダル(100m平泳)。世界新というのが凄いですねえ。やっぱりLR効果でしょうか?LRの素材は何を使って「いるのでしょうか?おそらく企業秘密で明かさないでしょう。20年ほど昔、イギリスのネトロン社がポアソン比がマイナスという材料を開発したという記事が、日刊工業新聞にベタ記事で載っていたことがある。こういう材料を使うと、引っ張れば膨れる(ポアソン比がプラスの普通の材料では、引っ張れば縮む)のだから、拘束効果は大きくなる。補強土工法には最適の材料である。これは面白いと思って、その後色々注意してみたのだが、全く消息しれずになってしまった。
 もしLRにこの材料を使っているとすると、確かに普通の水着より拘束効果が大きくなる。全体をこれで作ると身動き出来なくなるが、全体の数%に使っただけでも効果は期待出来る。更に、水着や土木材料ではなく、自動車や飛行機で特に応力集中が発生するような場所に補強材として使えば、重量を殆ど変えることなく全体の強度を大きくすることが出来る。スピード社はイギリスの会社だから、意外にネトロンと関係が有るかもしれない。
(08/08/12)

 谷亮子銅メダルで終わる。マスコミはそれでもよくやったと、お涙頂戴おべんちゃら母物記事の連続。実は昨年の日本選手権で彼女は敗れている。それを柔道協会は実績とか経験とか、訳の分からない理屈を作って、勝利者を外して、谷を五輪選手にした。筆者はこの時点で谷の五輪敗北を予感した。同じ様な気持ちになった人間はもっと多いはずだ。全ては柔道協会幹部の想像力不足・・・現実とナニワ節世界の区別が出来ていない・・・が原因。
(08/08/10)


 カシュガルで爆弾テロがあって、日本人の記者とカメラマンが現地の武装警察にぶんなぐられたので、日本のマスコミではやれ「言論弾圧だあ!」と大騒ぎ。新聞記者やカメラマンなど、もっとぶん殴られれば良いのだ。大体、今の日本の政府や警察はマスコミにペコペコしすぎる。おまけに大人も若者(と称する馬鹿者)に媚びへつらい過ぎる。だからマスコミとか若(弱)齢者が、大きな顔をしてつけあがるのである。だから、今最も脆弱化している産業はマスコミなのだ。どんな産業でも、その産業が成立する基本資源という物がある。マスコミの場合、それは批判精神である。ところが今の日本マスコミは、周りからちやほやされるから批判精神もあったものではない。福田改造内閣発表時の記者会見など、どうでも良いおべんちゃら質問の連続で、町村など余裕綽々。ワタクシはあほらしくなって、途中でスイッチを切ってしまった。こんなことだから、あんまり言論の自由を放任すると、マスコミと権力が癒着して、返って言論が堕落するのである。これは国民にとって重大な損失だ。従って、我が国でも政府は中国に見習ってマスコミを徹底的に弾圧し、言論統制を強化すべきである。
 それはそうとして、カシュガル事件の後、某イスラム独立団体が中国政府に対し、宣戦布告を行った。これからもテロを続けるということだ。筆者はカシュガル事件の背後に、アルカイダの存在があると見ている。又、その前に昆明でチベット系と見られるバス爆破事件が起こっている。更に中国公安当局は、成都で爆破テロを計画したチベット人四人の指名手配を発表した。最期の報道はどの程度真実か判らないが、チベット人もテロに荷担している可能性があるということだ(無論ダライラマ14世とは無関係。亡命チベット人の跳ねっ返りが起こした愚挙)。これらの事件が今回の北京オリンピックを標的にしているのは疑いない。さて、今後興味があるのは、中国人権問題をあげつらう西欧言論の言い訳である。人権や自由を盾に取れば、過激独立派の思うつぼ。西欧諸国は過激派を支援することになる。 それならアルカイダやタリバン、イスラエルに対するパレスチナ人のテロの存在を認めなくてはならない。あらゆるテロに反対するなら、中国の国内治安政策を認めなくてはならない。人権問題など何処かへ飛んでしまうのだ。これまでは、東西とか南北といった単純な二極対立論で済んだが、これからはいよいよ西欧ーイスラムーアジアの三極鼎立構造になる。当に「三国志」の時代になる。果たして、我が日本国は何処に行こうとするのか?ふらふら漂っているだけではないか?
(08/08/08)

 今回の北京オリンピックは、やれ大気汚染がどうの、警備体制が厳重過ぎるの、報道管制が厳しいの、あれこれ不評だらけだが、北京に対抗してオリンピック開催を争った大阪が落選した理由は大気汚染だった。今時警備体制が厳重でないオリンピックなどあり得ない。もし、これがニューヨークオリンピックなら、アメリカ政府はもっと厳しい処置を執るだろう。アラブイスラム圏どころか、イラン、パキスタンからは応援団はおろか選手の入国も認めないかもしれない。警備をゆるめて何かあったら、誰が責任を取るのかね?
 そもそも北京オリンピックが決定されたのは今から8年前。中国共産党中央はその数年前からオリンピック招致を決定していた筈である。当時は江沢民時代。アメリカ大統領はクリントンで、経済外交的には日本外し中国寄り姿勢を明確にした時代である。江沢民は若手の官僚、学生をモスクワでなくアメリカ、特にプリンストンやエール、ハーバードに留学させた。そこで彼らが学んだのは、シカゴ流の新自由主義経済理論である。江沢民は彼らからアメリカ流資本主義を学び、社会主義市場経済という訳の分からない言葉を作り出して、中国に空前の経済バブルを作り出したのである。その結果、出てきたのが@空前の拝金主義、A沿海地方対内陸の地域経済格差、B一部富裕層対農工民に代表される低所得者との垂直方向所得格差、Cそれを助長する地方政府と政府機関の腐敗、D江沢民一族とその一派に対する利権の集中、そしてその総仕上げがE北京オリンピックだったのである。北京オリンピックが実現すれば、江沢民一族一派には莫大な利権が転げ込むこれは昔から囁かれたことだ)。「胡錦濤くん、宜しく頼むよ」というわけだ。
 さてあとを引き継いだ胡錦濤だが、早速眼にしたのは上に挙げた@からDの問題。江沢民が中国の小泉純一郎とすると、胡錦濤はさしずめアベシンゾーの役割。アベとの違いは、選挙をしなくて良いだけ。中国流社会主義というのは実に素晴らしいではないでしょうか?某国某政党など羨ましくてしかたが無いだろう。但し、あんまりやりすぎると、かつての四人組のようにクーデターで消されてしまうこともある。命がけだということを忘れないように。胡錦濤が江沢民から受け継がされた問題を解決するために早速やったのが、地域格差是正の為の西方大開発。ところが方法を江沢民譲りのハーバート流でやった物だから、チベット人あたりから猛反発。これではイカンと腐敗地方政府(これは大概江沢民派)の摘発をやって、大衆支持を得ようとする真っ盛り。しかし、何が何でもやらなくては成功させなくてはならないのがE北京オリンピック。これこそ江沢民の威信を賭けた大事業。もしこれにけちがつくことがあれば、「胡錦濤頼みにならず」と江沢民派の巻き返しが始まる。従って、胡錦濤としては、外国からなんと云われようと、一部の隙もなく周りを固め、、更に空前のメダル獲得数を狙わなくてはならないのである。そして、これに成功すれば、胡錦濤政権としては江の影響を排除して、完全に自前の政権を作ることが出来るのである。
 昨日になって、いきなりミタミドス入り餃子での中毒が中国でもあったと公表。中国当局は相当前から事態を把握していたようだ(実は事件発覚直後犯人は逮捕され、既に処刑されているという噂がある・・・当たり前ですが2ch情報)。それと、事件発覚後の中国当局・・・特に公安当局・・・のコワモテ振りは、従来親日的だった胡錦濤政権としては異常で、人が変わったのか思った位である。ところで、ミタミド餃子を製造していた天洋食品という会社は民間企業ではなく、某政治家に連なる国営企業らしい。某政治家とはだれか?日本企業が中国で合弁事業をやろうと思えば、政治家へのコネが必要なのは当たり前。これが江沢民系列だったり、公安が江派に握られていたとすれば、当時中国側が強硬に出た理由は判る。おまけに江は筋金入りの反日派。それが何らかの原因で江派の力が弱まったために、胡が対日関係改善に踏み込むために情報開示に踏み切ったと思えば事態は理解出来る。
 殆ど「三国志」の世界だ。だから中国の政治は面白いのである。これに比べれば西欧型単純民主主義政治など、子供のお遊び、田舎芝居に過ぎない。
(08/08/07)


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