円高と日中関係


 中国レアアース輸出規制を受けて、日本では代替品の開発や、中国外での資源調達の動きが活発化しています。しかし、アメリカは相変わらずやれWTO提訴だとかなんだとか、中国批判と経済政策一遍道。そんなことをしていれば時間が無駄に経過するだけで、その間レアアース価格は上がる一方。
 これで判るのは、アメリカも中国と同じ力で自国エゴを通そうとする強権国家だということ。アメリカは中国を国際ルールを守らないならず者呼ばわりするが、その国際ルールとは、アメリカによるアメリカのためのルールと言うのが実態。むしろ、中国がアメリカの真似をしているだけとも云える。このまま、中国の力が増大すれば、その人口と購買力にものを云わせて、今の国際ルールを中国による中国のためのものに書き換えさせるだろう。
(10/12/24)


久しぶりに電卓を買い換えました。これがなんと関数が128・・・・中には見たこともない、こんな関数何処で使うんだろうというのもある・・・・もついて、演算履歴付きプログラム計算も出来るスグレモノ。こんな電卓一生懸かっても使いこなせんわい、と云うのがなんとたったの1980円。10 数年前に同じシリーズの同じ様な電卓が4000か5000円した。半値以下に下がって機能は拡大されている。無論中国製、但しブランドは日本メーカー。そして周辺を見てみると、殆どの家電、OA機器は、こういったジャパンブランドのメイドインチャイナで占められている。つまり、日本メーカーが中国に生産拠点を移し、中国で作った自社ブランド製品を日本に輸出しているのです。これらの決済は円で行われ、又、中国人民元はドルにリンクしているから、円高になれば 円に対し弱くなる。従って、今回の円高で海外に生産拠点を移した日本メーカーは莫大な為替差益を得ているはずです。日本から海外(特にアメリカ)への輸出は落ち込み、対米貿易では赤字になるが、海外から日本への逆輸出で利益が出せるから、連結で決算すればトントンかひょっとすれば増益になっているかもしれない。経済は廻っているから、たった一つのことで大騒ぎする方がおかしいのである。なお、海外で幾ら利益を出しても、全く豊かになった気がしない。それは進出先国の法人税が安いとか、外貨の持ち出しが規制されているとか、他の要因で金が上空でぐるぐる周りしているからなのだ。
 以上云ったことから、中国製品は円高になればなるほど安くなる筈である。先の電卓の値下がりも安い中国人件費だけではなく、円高効果も大きいのです。今回の円高でIT、OA機器は更に値下がりします。だからパソコンやデジカメの類は買い急ぎしないほうが得。

 例の毒入り(正確には殺虫剤入りというべきだろうが、殺虫剤とは即ち希釈された毒だからこれでも間違いではない)ギョーザ事件で、中国製食品の安全性が大問題になり、果ては中国製品ボイコット騒ぎまでなる。ところが、上で述べたように、日本に来ている中国製品で純粋中国製品というのは殆どない。大部分は中国に渡った日本企業が技術指導して作った半中半日製品なのだ。あの天洋食品にしても日本資本が入り、全製品を日本向け輸出に特化しているから、半日系企業と言ってもよい。ここで日本が中国製品をボイコットすればどうなるか?最も被害を受けるのは、中国企業ではなく、日本での工場を畳んで中国に生産拠点を移した中小企業なのである。しかもそういう会社は関西に多い。日本向け輸出は滞り、逆に中国国内での反日気運にさらされる。日本での基盤を失っているから戻るに戻れず、これまでの中国での実績を捨ててベトナムとか新天地に移らなくてはならない。新天地と言えば格好良いが、実際は一からやり直し。しかし、中国での実績はそっくり中国が只でいただくのである。
 実はこれと同じ様な状況が80年ほど前にあった。そしてその結果が20年に及ぶ日中戦争だったことを忘れてはならない。1929年に始まったアメリカの金融大恐慌は日本にも大きな影響を与えた。最も被害を受けたのは、玩具や機械部品衣料など対米輸出に依存していた、中小企業中心の軽工業界。現代で云えばさしずめ自動車やデジカメ業界になるだろう。そこで始まったのは深刻なデフレ。おまけに経済政策の誤りもあって、中小企業は食っていけなくなった。竹中ーコイズミ改革で、日本の中小企業倒産が続出したのと同じと思えば良い。そこで政府が推進したのが中国への企業進出。日本企業の中国進出で猟場を失ったのがアメリカ。その代理人が逝江財閥とその総帥宋一族。その婿養子が蒋介石というわけ。アメリカの唆しでたちまち起こる反日運動。日本人はその背景も知らず、中国の反日運動に単純反応して、国内に反中空気が発生する。その風潮を煽ったのが朝日新聞を始めとするマスコミ。軍部も政府もその空気に抗しきれず(いわゆるKYの反対)、更に東条ら強硬派が煽るので、対中強硬策を取らざるを得なくなった。その延長に第二次上海事変や廬溝橋事件があったのである。ところで問題は、この時期中国に渡った日本人・・・主に中小企業主・・・を、当時のマスコミ・言論人、更に戦後左翼は、一旗組とあざけって、あたかも彼らの商行為が日中対立の原因になったかのような言い方をするのである。さて、皆さん、今中国で祖国の為に商品開発製造に励んでいる中小企業主を一旗組とあざけることが出来るでしょうか?
(08/03/26)


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