外資導入の危険

 ダイムラーがとうとうクライスラーを売却。三菱自工を駄目にして、今度はクライスラーも滅茶苦茶にした。ダイムラーという会社には経営能力がないのいか?それともドイツ人が駄目になったのか?
(07/04/05)

 本日、スウェーデンボルボが日産デーゼルを100%子会社にするという発表があった。理由はボルボの大型車展開に当たって、日産Dの優れた技術が必要だかららしい。しかし、我々世代の認識では、ボルボこそが優れた技術(特に環境対策)の持ち主であったはずである。それが、東洋の半分潰れかけの会社を頼らなくてはならない(誰が潰したかって?ゴーンに決まっているではないか)。スウェーデンは何故こんなに落ちぶれたのか。グローバリズムの甘い誘いに乗って、自主技術の育成を怠ってきたに過ぎない。では、日本の優れた技術とは何か!それは自社技術ではない。下請けの技術である。ところがゴーンは、目先の利益を追いかけて、下請け企業の切り捨てばかりやってきた。自社技術にしても、今や自主開発技術など殆ど残っていない。日産Dもその影響を受けていないはずがない。ボルボはそういう環境の中に入ってきて、一体何をしようとするのでしょうか?日産Dを買収したわ良いが、中身はカラッポだったりして。只の馬鹿ではないでしょうか?ゴーンの真似をすれば、優秀な技術者は逃げだし、下請け企業は逃げ出すか、潰れるだけ。目先の利益だけ追いかけると、それは自分に返ってくる。
(07/02/20)

 先週のNHK/BSワールドニュースアメリカ版で次の二つの面白い報道があった。
   1)アメリカでトヨタプリウスの在庫が増えている。
   2)クライスラー社の業績不振は深刻で、破綻寸前。

1)アメリカでトヨタプリウスの在庫が増えている。
 原因は、(1)アメリカの暖冬でガソリン価格が低下し、燃費の低い日本製ハイブリッドカーよりも従来のアメリカ車に人気が戻ってきた。(2)従来型ガソリンカーとハイブリッドカーとの燃費比較基準が近々見直される。(3)ハイブリッドカーに対する優遇税制の期限が切れる。(1)(3)はともかく、(2)は露骨な日本車規制策で、アメリカ自動車メーカーの圧力を背後に感じざるを得ない。おそらく、日本製ハイブリッドカーとアメリカ製ガソリンカーとでは燃費に大差は無い、といった結論が出されるのではないか。一年後のアメリカ大統領選では、民主党も共和党も自動車産業(労使)の支援(圧力)を背景に選挙戦を戦わなければならない。現実の前にはフリードマンやハイエクなど無力である。
2)クライスラー社の業績不振は深刻で、破綻寸前。
 実はこれが本題。クライスラー社と言えばビッグスリーの一翼を担う名門である。それより、実は戦車を始めとするアメリカの軍用車の大部分を供給していたのがクライスラー社なのだ。普通なら、イラク戦争のおかげで在庫一掃、追加注文の嵐でクライスラーは儲かって仕方が無いだろう、と思うだろう。ところが実態は全くその逆らしいのだ。原因は民生部門の不振。クライスラーは普通乗用車よりも、大型の四駆とかトラックに力を入れてきたが、その部門で新型モデルの投入を怠っていたため、日本車や他社に押され、売り上げが伸びなかったらしいのである。そしてこの原因に外資導入が存在するのである。それはクライスラー社の一労働者に対するインタビューへの、「ダイムラーなんかに売り渡したのが間違いの元だ!」という返答に要約される。アメリカでも外資導入は評判が悪いようだ。
 80年代以降、アメリカヨーロッパ社会では資本の統合が活発化し、クライスラー社がダイムラーに買収されたのも、その流れの一環だろう。では、このような外資導入は果たして長期的効果があっただろうか。日本ではどうだったか。マツダはフォード資本を受け入れたが、その後泣かず飛ばず。広島圏外でマツダの車を見るのは珍しい。今どうしているのだろうか。中国とか海外輸出で食いつないでいるのだろう。海外市場は日本ほど甘くはない。薄利多売でその日暮らしか。三菱自動車はダイムラーの支援を受けたが、ハブ欠損事件でリコールコストがかさんで大赤字。破綻寸前まで行ったが、ダイムラーが逃げ出した後に奇跡的業績回復。ニッサンは最初こそゴーン効果で業績が回復したが、その後新型モデル投入を怠ったため、トヨタに大きく水を空けられ最早回復不能。自動車ではないが、例のシンドラーEV日本法人も、日本メーカーのままだったら、あんな事故を起こさなかったかもしれないのに、シンドラーなどという外資(名前から見るとユダヤ系か?)傘下に入ったばかりに、とんでもないことになってしまった。
 何故こういうことになるかと言うと、外資と言うのは善意でやってくるわけではない。要するに稼ぎにくるのだ。送り込まれるCEOの役割は親会社の株主、投資先にたいする利益還元、つまり配当の確保である。その場合、コストを削減し利益を確保しようとするのは当たり前。経営者ではなく経理屋の感覚で経営を始めるから、製品開発とか、製品のメンテナンスといった、目に見えない(数字ではマイナス効果しかない)分野への投資を削減する。ゴーンなど、所詮はフランスあたりの田舎中小企業の経理係長だよ。第一、うっかり新製品開発をやって、それが親会社のシェアーを食い込んだりすれば何にもならない。その結果製品開発やメンテナンス担当の技術者は、馬鹿らしくなって会社を辞めてしまう。一旦これが始まると、技術低下と売り上げ低下というマイナスの連鎖。遂に業績不振となってクライスラーのようなことになるのである。つまり、外資がやってくると、ろくなことはないのである。三角合併などという際どい政策が来月から解禁になる。政策担当者はこれによりどういう問題が起こるか、判っているのでしょうか?エネルギー保存の法則により、エネルギーは高いところから低い処へ流れる。技術レベルの高い日本と、レベルの低い外国企業が一体化すれば、高い日本の技術は海外に流出するが、日本にやってくるのは一時的な資金のみ。これは目的を達成すれば直ぐに逃げ出す。後には何にも残らない。
(07/02/18)


RETURN    一覧へ    TOPへ