ギリシアの混迷・・・・明日は我が身か?

横井技術士事務所  技術士  横井和夫


 日本製鐵が2兆円を掛けてアメリカUSX(USステイール)を買収に掛かった。経営者同士では同意したものの、労働組合(USW)が反対。アイデンは合併条件を精査すると日鐵ーUSV側を牽制。トランプも「おれがF大統領になったら即日ひっくり返してやる」と息まく。お互い大統領選挙がらみだから言うことが政治的になる。
 それは別として、日鐵はUSXのことを十分調べたのか?むしろUSX側が売り磯雄いんじゃないかと疑わしい点もある。USXは23年度業績をかつてない好業績だと誇る。それだったら何も東洋の一浙江会社に売りつける必要もない。東芝崩壊の引き金になったのは、提携先のWHの粉飾決算に東芝が気が付かなかったからだ。
 USXはWHより手強い。まず労働組合が日本の鉄鋼労連のような御用組合ではない。民主・共和両党が票田として狙っているから、政府はどっちに転んでも労組寄りになる。けっかとして提携条件は元々の日鐵ーUSX間で取り交わされたものより厳しく、様々な付帯条件が突いてくることが予想される。つまり買収コストは当初予定より跳ね上がる可能性がある。最悪のケースはトランプが大統領になったときだ。散々積み上げてきたものが、ある日突然ひっくり返される可能性がある。
 他にも老朽化した設備の更新や下請け企業との話し合い、何よりも巨大で強力な労働組合をどう手名付けるかだ。アメリカの鉄鋼労連や自動車労連など基幹産業組合は、今はそんなことはないと思うがかつては組合幹部とマフィアが深く結び付いていた歴史がある。又末端は極端に左傾化する傾向がある。上手くやっていけますかねえ?
(24/02/05)

 アルゼンチン新大統領に過激自由主義者のミレイ候補が選出。彼の主張は突っ込みどころ満載だが、中でも中央銀行廃止、ペソを廃止してドルを導入するというのが興味深々。中央銀行を廃止すれば通貨は何処が発行するのでしょうか?通常、硬貨は国家が、紙幣は中央銀行が発行する。紙幣の価値は中央銀行、その後ろ盾になっている国家の信用で決まる。中央銀行を潰せば他の民間銀行が独自の紙幣を発行することになる。但しその銀行に信用がなければ只の紙切れだ。
 ペソを廃止してドルを導入するというが、自国通貨を辞めて他国通貨にするとは、それだけで前代未聞。独自通貨とは国家主権の主張でもある。それを放棄するのだから無条件降伏と同じ意味。イギリスがEUを離脱したのもポンドを守るため。しかし今となっては、しまったと思っている。第一アルゼンチンにそれを実施出来るだけのドルを持っているのか?又ドルを市場から調達するとしても、そのための外貨準備が出来ているのか?ペソに変わるだけの外貨があれば、今のようなインフレは起こらなかったし、ドルに頼る必要もない。ということで、新大統領のいうことは矛盾だらけ。
 果たしてこういう政策が成功するのか?アベノミクスも新自由主義経済をベースにした実験だったが見事に失敗。アルゼンチンの新しい経済政策は、それを上回る実験だ。アベノミクスで超低金利政策をとってもハイパーインフレは起こらなかったが、それは国債発行高を上回る1200兆円もの個人資産・・・要するに貯蓄・・・と、680兆円の企業内部留保。これが重しとなって構造改革は遅れ、幾ら政策を小出しに出しても経済は動かなかった。しかしインフレも起こらなった。日本に比べ個人資産の少ないアルゼンチンで、それこそ異次元の自由主義経済政策を執れば、ハイパーインフレどころか社会の混乱・崩壊が待っているだけ。はたして新大統領はそれをどう切り抜けていくのか、見もの。
(23/11/21)

 ATI投資というのが今注目されている。といってもこれがこれから延びるというのではなく、これから何時逃げ出すかという話だ。きっかけはクレデスイスの破綻。その前のアメリカSVBの破綻とか、地方銀行の破綻もこれに拘わっているらしい。これは投資会社が発行する特殊な債券で、高利回りを謳うがリスクも高い。折からの低金利で地方銀行がこれを大量に買った。ところがFRBが利上げに踏み切ったため、債券価値が急落し、欧米で銀行が破綻においこまれたのである。
 これは日本も無関係ではない。現在最大のATI債券保有国は日本といわれる。アベノミクスの低金利・ゼロ金利で、日銀は国債を大量買いした。更にそれを低金利で地方銀行に貸し付ける。そこで地方銀行は高利回りのATI債に飛びつく。更にそれに一部の富裕層が飛びつく。既に被害が発生している。今懸念されているアメリカの債務停止(デフォルト)が現実になれば、被害は更に大拡大する。これもアベノミクスと日銀黒田ゼロ金利政策の負の遺産だ。
(23/05/11)

 ノーベル経済学賞が元FRB議長のバーナンキと他二人、内一人はシカゴ大学の三名に決まった。なんでバーナンキ如きにとか、何を今更シカゴ学派になんて、と思った人は筆者一人ではないだろう。竹中平蔵は手を叩いたかもしれないが、森永卓郎は「何を馬鹿げた」と悪態を付くかもしれない。
 そもそもノーベル経済学賞は自然科学系や平和賞と違って、ノーベルの遺言にはない。戦後1968年にスウェーデン経済界の要望で作られたもの。又審査も自然科学系のカロリンスカ大学ではなく、新自由主義経済研究が中心のストックホルム大学。賞金も自然科学系に比べ数分の一。利潤追及第一の新自由主義経済研究者にとって余り美味しい賞ではない。又、受賞者もフリードマンのような新自由主義経済学者に偏る傾向があり、必ずしも権威が認められているわけではない。
 リーマンショックの折、経済学賞受賞者を顧問に置いた投資ファンドがバタバタ潰れた。このとき英国ではエリザベス女王がロンドン大学を訪問した。ロンドン大学はイギリスにおける親自由主義経済研究のメッカ。女王はロンドン大学学長に「こんなにノーベル賞学者がいて、何故倒産するんですか?」と質問したところ、学長は何も答えられなかった、という話がある。
 このように近代経済学というのは、経済のパラダイムが急変する時には、まるで役に立たないのである。何故か?それは理論の体系が過去の経済統計に頼りすぎるからだろう。現在の新自由主義経済学はフォン・ノイマンの「ゲームの理論」に拠っている。ゲームというのは、参加者がゲームのルールを熟知し、それを守るということが前提となる。その前提が菅や竹中のの好きな「自己責任論」である。又「ゼロサム理論」というのも重要である。ゼロサムというのは言い換えれば、賭場で負けた客の損と、勝った客の儲けが常に釣りあっているということである。もし釣り合ってなければ、何処かで八百長があるということで、ゲームそのものが成り立たない。
 こういう状態は実はかつての米ソ冷戦時代で存在出来た。又この時代は温暖化もそう目立たず、地球環境も安定していた。非常に恵まれた時代だったのである。ところが90年代以降、中国やソ連という新しいがゲームのルールを十分に理解できていないプレーヤーがゲームに参加してきた。彼らは莫大なマネーと資源を持ってるから、賭場のブローカーも無下に断るわけにはいかない。そこで参加を許したところ、ルールを無視してやりたい放題。又温暖化に伴う地球環境変化は、ゲームの場そのものを破壊しつつある。その結果が現状のような経済的混乱である。それに対し近代経済学は何の手も打てていない。
 社会が学問に期待することは、現状の理解だけではなく、それに基づく未来への予測である。筆者はバーナンキやシカゴ学派という、固定観念に捉われた時代遅れの新自由主義経済屋が、今のような経済的混乱を予測できたとは、とても思えない。
(22/10/11)

 イタリアのベルルスコ−ニは「アメリカとG7各国はロシアを包囲したと思っているが、自分達が途上国に包囲されていることに気が付いていない」といったが、その途上国の中で、超大国の中国とインドが今やロシアと距離を置き始めている。途上国はこれまでは経済的問題で中国・ロシアのマネーと資源に依存してきたが、次第に豊かになると技術やノウハウを必要とする。近い将来、途上国にも量より質、質より機能、即ち中ロからG7先進国へのパラダイム転換が必ず起こる。日本はそれに備えて、教育を含めた技術立国を目指さなければならない。黒田日銀のやっている円安・資金拡大のような60年前の高度成長期経済、アベノミクスの慣れの果て経済では、世界に取り残されるだけだ。
(22/10/01)

 イタリアで右派政党が成立しました。しかし4党連立というサーカスのような体制。政策も中道右派から極右まで幅が広く細かい点で政策が一致していくのか、甚だ不安だ。彼らはなにもイデオロギーや価値観で結びついているわけではない。もしあるとすれば右のポピュリスト、反米、反EU、反移民、イタリアファーストぐらいで、それも各党で濃淡がある。それよりも共通しているのが、各党党首が程度の差はあれ、どれも親ロ派でプーチンのお友達ということだ。それと右派ポピュリストというのは、基本的に機会主義者だ。常に勝ち馬に乗ろうとする。
 彼らとプーチンを結びつけるものは金と利権である。利権は主にロシアからの石油・天然ガス利権。金はミラノの株式市場でロンダリングされた秘密資金。これが各党の政治活動費や有権者の買収資金に化ける。ベルルスコーニやサルジーニ或いはメローニらがプーチンに近づいたのは2000年代に入ってから。折からの原油高に乗ってロシア経済は右肩上がり。これに伴って莫大なロシアマネーが西欧市場に雪崩れ込んだ。プーチンも莫大な隠し財産を作った。イタリア右派四人組が狙ったのはこれのおこぼれである。この親ロ派四人組が政権を取ったから、イタリアはロシアに近づきウクライナ支援から手を引くのではないか、という憶測です。果たしてそうでしょうか?
 つまりこの時は、プーチンは勝ち馬だったのである。だからプーチンに近づいた。しかし今はどうか。ハルキウの敗戦でお先真っ暗。インド・中国からも支援を断られ孤立無援。挙句の果てが核を使うだの、部分動員令など中途半端な脅迫だけ。落ち目の三度笠だ。こんなのに義理立てするのは、よっぽどのアホだ。負け犬に賭ける馬鹿はいない。日本の鈴木宗男は分からないが。だからこの四人組はそのうち、私たちは昔からロシアとは無関係だった、プーチンは間違っている、と云っていた、などと下手な言い訳をするでしょう。これで黙っていないのがプーチン。この野郎とばかり報復に乗り出す。ある時ナポリ湾にベルルスコーニの死体が浮かんでいたりして。
 仮に連立内で極右派が勝って、ロシア支援にのりだした・・・それにはEU離脱が前提・・・としたらどうなるか。下手すればイタリアはアメリカに経済制裁を受けるかもしれない。そうなったとき、ロシアや中国が当てになりますか?アメリカ抜きではイタリア・・・だけでなくドイツもフランスもスペインも・・・やっていけないのである。これが現実だ。だからイタリアで右派政権が出来たとしても大したことはない。元々吹けば飛ぶ葉っぱのようなものだ。
(22/09/27)

 日銀黒田が「急激な円安は好ましくない」と発言。日本橋のプーチンもやっと円安政策の問題に気が付いたのか?しかしいうだけでは駄目で、具体的に何らかの手を打たねば、市場は「ああやっぱり」ということで、更なる円売りに奔る。
 ここで漸く日本にとって有利な兆しが出始めた。それはNY-WTI原油価格最安値が半年ぶりに81ドル台をつけ、ロシアのウクライナ侵攻前の水準に戻したこと。原油価格が下がれば、物価高の根本原因である流通コストも下がり、食品コストも下がる。それは他の様々な分野に影響を及ぼす。
 どの程度までの原油安が予測されるかというと、とりあえずはバーレル70ドル前後、さらに進めばバーレル50〜60ドル。これはアメリカのシェールオイル採算価格の最低限。さすがにこれ以下にはならないだろう。それでもロシアは中国、インドにはバーレル45ドルで長期時契約を結んでいるから、未だ余裕はあるといえる。
 更にロシアは途上国向けに、実勢価格の30%オフでの長期契約を結ぶといっている。そこで困るのはOPECだ。今減産でなんとか価格を維持しようとしているが、アメリカ、ロシアの双方から原油安圧力を受けている。すると始まるのがシェアー争い。かくて、原油の投げ売りが始まる。
 その効果が出てくるのが今年の冬か来年の春と考えると。そのころには、諸悪の根源、日銀の黒田が退任。もっとまともな人物が日銀総裁に収まれば、日本経済の復興も夢ではない。
(22/09/10)

 異常な円安、世界最低レベルの賃金上昇率、意固地なまでのゼロ金利政策と財政出動の維持、12カ月連続の貿易赤字、それにも関わらず500兆円超の企業内部留保。現在日本経済の現状です。
 昨日TBS-BS某報道番組。ゲストスピーカーは元日銀政策委員とか、民間シンクタンク研究員、どちらかといえば保守派。それにもかかわらず、皆さんの日本経済の将来に対する見方は厳しい。
1、このまま円安が続けば、直ぐにハイパーインフレは考えにくいが、いずれ日本は貧しくなる。
2、円安で利益を出せる企業と、そうでない企業の差が顕になる。
3、貿易赤字が進めば円の信用がなくなり、物価はますます高くなりそれが円安を加速させる。
4、官製談合の結果、大企業の賃金は上昇したが。中小企業は生産性が悪いため賃金が上昇しない(これは間違いで、中小企業の生産性が悪いとされるのは、大企業が挙げた賃金の分だけ下請け単価を削るためである。この結果、中小企業は賃金を削ったり、人員を減らさざるウィ得なくなる。それと派遣社員の増加である。もっとも建設業や流通業の末端は個人請負になるケースが多い。彼らは単価契約だから、彼らの所得は賃金では測れない)。
5、そして積みあがった企業内部留保だが、これは欧米の基準で言えば、経営者が永年何にも投資しなかった、つまり投資先の開拓・・・言い換えれば技術的なイノベーション・・・を怠った結果である。経営者に開発意欲がなく、無能であることの証拠と受け止められる。
 5の最期は厳しい言葉だが、これがどちらかといえば保守派の経済人から出た点が重要。実際アベ政権とその後の10年間、日本の輸出企業は円安と輸出奨励金のダブル保護政策で、ぬるま湯どころか温泉気分で”いー湯だな”でやってきたのだ。そんな連中に何かあたらしいことをやれと云っても、やったことがないからビビってしまって何もできない。半導体産業が潰れたのがその典型だ。経営者の無能、或いは無能経営者の跋扈。これが何時頃から始まったのか?コイズミ改革あたりからではないか?それを大きく拡大したのがアベノミクスだ。
(22/09/06)

 イギリスのボリス・ジョンソンがサプライズ辞職を表明。彼については毀誉褒貶様々だ。新自由主義経済主義者でアンチEU。トランプと馬が合って、イギリスのトランプなんて批判された。人間として余り誉められる要素はないが、筆者は彼について、次の2点について評価する。
 一つは新型コロナ対策で、彼は科学的根拠・データに基づいて情報を公開し続けた。又、全国に膨大な数の疫学的調査を行った。これは感染状況の把握だけでなくウイルスの特性を知る上で重要な貢献をした。それに比べ当時の日本アベ内閣は何もせず、日本モデルだといって、迷惑を国民に丸投げし、やったのは無駄の骨頂アベのマスクと、怪しいアビガンの早期認可だけ。アビガンを開発した富士フィルム会長の古森は、人も知るアベファミリーの一員。
 もう一つはウクライナ戦争で、一貫して対ロ強硬政策を取った。何故これができたかというと、14年ロシアのクリミア併合後も、EU諸国はロシア産原油・ガス輸入を止めず、むしろ拡大した。しかしイギリスはロシアからの輸入をゼロに抑えたままだった。キリギリスと蟻の違いである。
 ボリス辞任について、ロシアは勿論歓迎、中国もそうだろう。何故彼らが歓迎するかというと、イギリスも自分達と同じ政治システムで動くと勘違いしているからである。中ロのような専制独裁体制で、権力トップが任期内にいきなり辞任すれば、それはクーデターということである。政治は一気に流動化し、内部で権力闘争が激化する。最終権力者が誰になるかによって、外交方針もすべて大きく変化する。つまりジョンソンの辞職によって、イギリスの対中ロ強硬政策が変化し、宥和主義に傾くと期待しているからである。
 一方民主主義国では、極端に言えば政治トップが誰であろうが大してかわりはない。何故なら民主主義国では政治トップイコール権力トップではないからだ。無論、日本のアベ晋三のように、政治トップの地位を手に入れ更に権力トップを狙ったケースもあるが、最期は哀れなものだった。
 つまりボリスが辞任しても、イギリスの外交方針には、多少の修正はあっても根本的な変更はない、と考えるべきである。
(22/07/08)

 参院選の争点に浮上してきたのが、年金と物価対策。これに対し、主に野党は消費税減税を打ち出している。一方与党は茂木が「消費税を減税すれば、年金は三割減だ」などと不用意な発言をしたため、与党絶対優位がどうなるか、分からなくなってきた。過去の例から見ても、事前のマスコミ報道で与党優位と伝えられると、与党が惨敗した例は少なくない。一つは与党優位で安心してしまい、選挙運動が雑になること。もう一つは茂木のような不用意発言が出てくることである。
 さて、今の物価高の原因は何か?一般には、ウクライナ戦争に勝つため、プーチンが食料や原油等資源を人質に取ったためとされる。この結果、今の物価高をプーチンインフレと呼ぶ人もいる。無論物価高の原因にはこれもあるが、これだけではない。
 元々昨年秋ころから来年には物価高が予想されていた。理由は新型コロナのため、港湾や空港の検査が厳しくなり、物流が停滞してしまったことである。特に影響が大きいのが中国で、習近平の愚かなゼロコロナ政策で、上海他の物流拠点がストップしたり、中国国内企業の生産ラインが混乱してしまった。これにロシアの無分別で愚かなウクライナ侵攻が、混乱に輪をかけたのである。つまり今の物価高は正しくはシューチーピンープーチンインフレというべきである。
 但し西側先進国側にも愚かな点が数多く見られる。それは特にヨーロッパEU諸国で顕著である。その第一が91年ソ連崩壊で、もう怖いものはなくなった、後はやりたい放題だと勘違いして、永年の間、キリギリスを決め込んだこと。その結果、原油・天然ガス等エネルギー資源や食料資源の備蓄や代替源の開発も怠り、全てをロシアに握られる始末。それだけではない、誤った「選択と集中」で、税金と労務費の安い国に工業製品生産拠点を移したため、新型コロナで鉄道や空路・海路が閉鎖されると、途端に者がなくなり極端な物価高。これは誤った経済理論である、新自由主義にたぶらかされたからである。
 新自由主義経済とは、フォンノイマンが開発した「ゲームの理論」に則る経済である。ゲームの理論は、そのゲームに参加するプレーヤーに共通するルールがあり、プレーヤーはそれを守る。そのルールは誰にでもわかるよう明文化されている。ゲームには最終到達点があり、プレーヤーの誰かがそこに到達した段階でゲームオーバーとなる、等の原則からなりたつものである。
 ソ連が崩壊したとき、新自由主義者は、これでソ連始め旧共産圏もゲームに引き込めると勘違いした。ところが入ってきたのは、ルールを知らない、それどころか学ぶ気もなく守る気もなく、さらにはルールを自分の都合にあわせようというとんでもない連中ばっかり。そういう連中でもゲームを続けておれば、いずれこちらのルールに慣れるだろうと甘い気持ちでいたがとんでもない。新自由主義の悪い処だけ真似されたわけだ。それが今の物価高の原因の本質である。
 ではそれは修正できるのか?出来ないとは言えないが、簡単ではなく、何時までかかるかわからない。
(22/06/29)

イギリスジョンソン首相の最高顧問とされるカミングスという人物が突如辞任。今回のアメリカ大統領選の副作用でしょう。この人物元々アンチEU、ジョンソン内閣誕生前からブレグジットを主導してきた。17年アンチEUトランプ政権誕生で我が世の春のはずだった。
 しかしバイデン政権が誕生すれば、当然アメリカは対EU関係改善に乗り出す。場合によってはイギリスそっちのけで、アメリカの対EU投資が増大するかもしれない。ところがブレグジットは既定方針なので、最早後戻りはできない。一旦EUから離脱すれば、再加盟したければ現在順番待ちの最後尾に並ばなくてはならない。そしてEU委員会の厳しい審査をパスしなければならない。
 つまりアメリカの対EU投資で活発化するEUの景気を、指をくわえてみていなければならないのだ。そうなって責任を追及される前に、さっさと逃げ出そうという算段だろう。そういえばこのところジョンソンも足元がふらついている。例えば新型コロナが流行りだした今年春あたりから、対EUへの態度を自由に変えられる法案を出そうとして、内外から総批判を受けている。
 さてバイデン政権誕生でイタリアやハンガリーなどEU離脱派が強い国々はどう動くでしょうか?4年後トランプ復活という馬鹿な夢を追いかけて、相変わらず反EU路線を取り続けるのでしょうか?それはそれで立派だが、肝心の国民がそれで納得するとは限らない。又、革命だ。
(20/11/14)

 中国発新型肺炎騒動。問題は最早感染拡大のような疫学的話題より、世界経済に与える影響の様に変わってきている。確かに原油価格(NY-WTI)推移を見ると、本年当初はトランプの対イラン攻撃で一時的に上昇したがその後低下し、バーレル60ドル前後。このあたりはホワイトハウスとウオール街の出来レース。しかし新型コロナウイルスが明らかになった先月中旬・・・中国政府が公式に認めた20日より1週間ほど早い点に注目・・・に急落、先月末にはバーレル50ドル前後をウロウロ。
 そしてもう一つ世界経済の足を引っ張りそうなのがブレグジット。先月イギリスはEU離脱を宣言し、更に国内10箇所の自由港を設けると発表。この目的がEUを経済的孤立に導こうというのは明らか。では誰がこういうシナリオを描いたのか?筆者はそれが習近平と睨んでいる。ジョンソンはそれに騙されただけだ。
 そもそもイギリス保守党がブレグジットを言い出したのは何故か?一般には関税その他でEUの規制を受けるのは嫌だ、英国のプライド、自主性を取り戻したいなどと綺麗ごとが伝わっているが、本当でしょうか?本音は中国マネーを引き寄せたい、という処にあったのではあるまいか?
 08年リーマンショックを驚異的なパワーで乗り越えた中国の経済的存在感は他を圧倒した。この余勢をかって習政権はアジア開発投資資金(ADF)や「一帯一路」構想を発表した。これは日米欧(EU)にとっては不評で、みんな無視していた。ところがイギリスがいきなり、ADF投資や一帯一路に対する協力を発表した。
 そもそも中国とEUとは人権問題を巡って対立があった。しかしイギリスは別で、目の前に中国という金の塊がある。これを頂戴したいのにそれを邪魔しているのがEUだ、EUから出ていって中国とお友達になろう、そのための人権問題には目をつぶろう、どっちみちウイグル人なんかイギリス人とは無関係。これがブレグジットである。つまり今回のブレグジット成功のポイントは、中国経済の発展・成長にあったのである。
 ところがそのシナリオが今回の新型肺炎で怪しくなった。新型肺炎問題が発覚して以来のNYダウやWTIの値下がりがその証拠だ。今回の新型肺炎対策に、中国政府はI兆円規模の資金を投じるという。すると、イギリスに回ってくる金がなくなる。それどころか、ヨーロッパ各地では中国ボイコットが起こっている。これではいくらイギリス政府が自由港を作っても、入ってこれる中国船がなくなる。目先の金に目がくらんでとんでもない過ちを起こす。バクチ好きのアングロサクソンが良くやる失敗だ。
(20/02/11)

 英国総選挙保守党圧勝で確実になったのがブレグジット。そしてもう一つ重要な課題として浮かび上がりそうなのがスコットランド独立問題。 総選挙結果を見ると、スコットランドは民族党が圧勝。イングランドでも労働党と保守党勝利地域の分布は斑で均質とは言えない。労働党勝利地域は西部」のウエールズとか南西のコンウオール地方と北部のスコットランド隣接地帯。これらはどれもゲール語を話すケルト地帯だ。それとロンドンを中心とする新興発展地域とか、それに連なる地域。多分輸出産業拠点だろう。それらの空隙を産めているのが保守党地域。つまり保守党地域は広がりはあるが中心はない、という状況なのである。なんとなくこの宇宙で、銀河とその間に広がる空虚なブラック地域のようだ。
 さて問題は今後のスコットランドの行動。3年前の国民投票、本年のEU議会選挙、そのどれもスコットランドではEU残留派が勝利している。そして今回の総選挙でも民族派が議席を延ばし圧勝。スタージョンはスコットランド独立に向けて気勢を上げる。元々スコットランドは映画ブレイブハートの様に反イングランド気質が強く、イングランドよりは大陸派だ。中世の100年戦争ではスコットランドはフランスと同盟して、フランスに支援を行ったぐらいだ。
 スコットランドがUKを離脱して独立するのは簡単ではないが不可能でもない。ウオーレス卿はイングランドに対し戦いで臨んだが、アイルランドは100年もの独立闘争の末に独立を勝ち取っている。これに比べれば、スコットランド独立はもっと簡単にできるだろう。今回の総選挙で来年7月までの交渉期間を勝ち取った。これと同時にスコットランドが独立を宣言する可能性は否定できない。
(19/12/16)

 イギリス総選挙で保守党が大勝したが、これは今の先進国では珍しいことではない。どの国もみんな保守化右傾化がトレンドなので、それに乗っかっただけの話である。むしろ左翼リベラルが新しいテーゼを打ち出せないことが問題なのだ。右翼保守はその間隙を突いているだけ。
 これでブレグジットが前進などいう向きもあるが、そう思う方が面妖。三年前からの経緯から見てブレグジットが避けられると考える方が可笑しい。むしろ世間の関心は、それが何時でどうやってだけだ。EUにとってみれば、さっさと出て行ってくれということだろう。
 既に外資系や製造業・金融業を始めグローバル展開をやっている主要企業は、ブレグジットをやっているか済ませている。多分ブレグジット反対派、特に若者層も離脱をしている。遅れているのは政府、政府べったりの既得権企業、そして保守的な年寄りだけだ。つまりみんなイギリスを逃げ出しているのだ。一時的にはポンドは上がるが、持続はしない。今やポンドなど元以下の価値しかない。
 なおブレグジットでイタリアなど他の反EU国の離脱が加速するだろう。そうなればヨーロッパはスカスカだ。その隙をロシアとか中国が埋めてくる。イギリス国王に中国人が座るということは、マンガではない。
(19/12/13)

 ブレグジット延期法案がイギリス議会で可決されました。この所為かこのところ世界の相場はやや落ち着きを取り戻しているようです。例えば日経平均も久しぶりに21000円台を回復。原油はNYでバーレル56台、為替も106円台に戻る。
 しかしこれで喜んではいけません。ジョンソンはなお下院解散をちらつかせたり、法案を握る潰す奇策も考えているようだ。これに似ているのが2004年日本の郵政民営化法案。これは衆参両院で否決されたが首相のコイズミは衆院解散という奇策に打って出た。多分飯島勲や竹中平蔵あたりの入れ知恵だろう。
 この結果日本の郵政はどうなったか。行き場のなくなった郵便貯金目当てにオレオレ詐欺やらペテン投資が流行り、その大部分は暴力団とか中国マフィアの食い物、果ては自民党細田派の資金源になってしまった。その挙句が今問題の郵貯簡保事件。表には職員のノルマの話しか出ていないが、裏でどう金が動いたか分からない。これというのも、声だけはでかいが中身の無いコイズミ純一郎のクソ演説にたぶらかされた有権者の責任。それを煽ったのが当時のマスコミ、特にテレビだ。コイズミに騙されて郵便貯金を簡保やインチキ投資に差し出して、すってんてんになった人はさぞ満足だろう。
 ところで日本とイギリスとの違いは、日本は首相の一存で衆院を解散出来るが、イギリス下院は2/3以上の賛成が必要なこと。今のところ下院で2./3以上の賛同を得られる見込みはないから、法案を女王に送らず握りつぶすというのがジョンソンの作戦らしい。日本でも重要法案の施行には天皇の署名が必要だが、衆参両院で決定された法案を天皇の下に送らないなんてことをすると、それこそ「天皇の政治利用だ!」てなことになる。
 さて今のところ行き場を失ったブレグジット。これに賛成か反対かは全国で均一ではなく、地域によって物凄く偏っている。例えばスコットランドは圧倒的に残留派。北アイルランドとウェールズは離脱派優位。イングランドはやや離脱派優位という色分け。思い切ってこれによって国を分割してはどうかと思う。元々イギリスなんて国はイングランド、ウェールズ、スコットランドなどの複数国家や地域が合併してできたもの。今更バラバラに分かれても不思議ではない。そういえば日本も四つか五つの民族が何となく一緒になって出来ただけなんだから、分裂してもおかしくはない。薩長や武蔵を日本から追い出しても構わないのだ。
(19/09/08)

 昨日この欄で、ジョンソンがイギリス新首相になっても、10/31のブレグジットまで政権が保つかどうか分からない・・・そもそも無事に組閣出来るかどうかも分からない・・・と書いたら、昨晩のBS-TBS某番組で、早速イギリス議会それも保守党の中にジョンソン降ろしの陰謀があるという噂が報じられる。
 噂のそのまた、また聞きだからどこまで本当か分からないが、既に保守党内に造反派がいるということだ。誰の思いも一緒だね、とは思うが本人は一向に意に介さずそのまま続行するだろう。我が国の総理大臣もそうだが、現実に改憲議席数に達さないことが分かったのに「改憲に大いなる賛同を得た」と言い張る。
 何故こういう嘘つき鉄面皮が世界各国で増えたかというと、ソ連・東欧崩壊という西側世界に対するカウンターがなくなったことである。かうてのようなカウンターがあれば政治の価値は自由と民主主義を守るということになるのだが、それがなくなったため、政治家は自分の周りの既得権を守る事だけが目的になる。それがポピュリズムに奔る原因だ。
 なお、本日英国野党はジョンソン内閣不信任案を出す可能性という報道。これに保守党の一部が加われば不信任案が通る可能性がある。その場合ジョンソンの取るべき道は解散総選挙しかない。しかしこれまでの世論調査などから見ると、保守党の大敗は避けられない。離脱党その他と連立を組んでも早晩にレイムダック化する。そうするとEU離脱は再度国民投票ということになるだろう。
(19/07/25)

イギリス保守党党首選でブレグジット強硬派のジョンソンが当選。元々そう読まれていたから別に驚くことはない。とりあえず慣例上(イギリスには憲法がないから全て慣例である)、彼が首相の職責を継ぐことになる。しかし彼の政権は安定したものでしょうか?まず保守党では圧倒的強さを示したが、これが彼個人の信任といえるかどうかは疑問。何故なら今回の党首選は党首の資格・能力というより、合意なきブレグジットを認めるかどうかのワンシュー選挙だったからだ。投票結果では全体の約1/3が慎重派のハントに回った。ジョンソンの地盤も盤石ではない。
 又保守党自身以前のような力はない。今のイギリスはかつてのような二大政党制ではなく、保守党も日本の自民党と同様三割政党だ。日本では憲法の隙間を狙って、時の与党党首が自分の好きな時に解散を打てるがイギリスははそうはなってない。無論解散は打てるが制約も多く、結果によっては早々にレイムダック化するおそれもある。それよりブレグジット期限の10/31まで政権が保つのかどうかの方が不安だ。
 ブレグジットがこれほど遅れるのは、EUが引き留めているからではない。EUとしてはイギリスにさっさと出て行ってくれ、というのが本音だろう。ジョンソンはイギリス貴族階級の出身だから何かにつけて上から目線。しかし今回EU委員長になったフォンデアライアン女史は、その名前からみて古いドイツ貴族の出身と思われる。ドイツの何処からは知らないが、名前から見て旧プロイセン貴族かもしれない。すると相当のコワモテと思っていた方が良い。19世紀以来、イギリスはドイツに対し単独で戦争に勝てたことはない。外交交渉は一種の戦争だ。舐めてかかると酷い目に合わされるだろう。
(19/07/24)

 EU議会選挙ではとりあえず親EU派が多数を占めす。しかし注目のイギリスではブレグジット(離脱)党が圧勝。これで一件落着かのように見えるがそうでもない。離脱党勝利区の分布をみると、イングランドでは殆どの選挙区を離脱党占めるが、スコットランドではさっぱりで、非離脱派が圧勝。この傾向は三年前の国民投票でも同じ。多分6月に総選挙をしても同じ結果になるでしょう
 元々スコットランドとイングランドは全く別の国だったのを、18世紀にイングランドが強引に合邦したもの。中世では国境沿いの領土を巡って両国は対立し、戦争を重ねてきた。マクベス将軍が出征したのもそういう戦の一つ。イングランドは反ローマ=反ヨーロッパ、スコットランドは親ヨーロッパ。100年戦争の時は、スコットランドはフランスと同盟し援兵まで送っている。この違いが今回のEU議会選挙での結果に表れたのではないだろうか?
 資本主義への考え方も異なる。イングランドは税率は我々が決めるというが、実態は国家主義的でイングランド(=アングロサクソン)有利のシステムを目指す。一方スコットランドは一々アングロサクソンに縛られたくない。EUのルールさえ守ればEU内では自由な取引が出来る今の方が良い。移民問題も遠く離れたスコットランドではあまり影響はない。実際イングランドでも移民の影響はドイツやフランスほど大きくはなっていない。離脱党が勝手に大げさに騒いでいるだけだ。そもそも移民問題は、19世紀に野放図に植民地を拡大したアングロサクソンの所為ではないか。
 アングロサクソンの海賊ドレークはイングランド国家権力と結びついて自分の利権を拡大したが、スコットランド人ロビンソンクルーソーは誰の助けも借りず、自分の”知恵と工夫”で成功した。これがスコットランド魂だ。
 てなわけでイギリス議会(アングロサクソン優位)がブレグジットを実行すれば、スコットランドの分離独立運動に再び火をつけることになりかねない。更に民族(同じケルト人)、言語(ゲール語)、文化を共有するウェールズやコンウオール地方が同調すれば、英国はバラバラだ。かくて歴史は古代に逆転する。
(19/05/28)

 イギリスのメイが遂に退陣。次期保守党党首の最右翼とされるのが離脱強硬派のジョンソン。しかしこの男、ブレグジットを煽るだけ煽っていざとなると逃げだす卑怯者。つまりブレグジットについては何の計画も戦略もなく、大衆に迎合するだけのポピュリストだ。その点を見越して海外企業は既に拠点を英国外に移している。ブレグジットは経済段階で既に始まっており、その影響は既に出始めているはずだ。しかし離脱派はそれを認めようとしていない。
 ブレグジットの結果イギリスはEUという巨大市場を失うことになる。それに代わる市場が直ちに見つかるかどうか分からない。いまのところアジア太平洋に目を着けているみたいだが、ここには既にTPPや一帯一路という巨大経済圏が出来ている。これに加わろうとすれば、そのルールに従わなければならない。EUルールにすら従えなかったイギリスを、みんな快く迎えるでしょうか?
 そこで残されたのは中国。中国は一帯一路とは違うルールを持ちかける可能性もある。しかしそこには巧妙な罠が仕掛けられていることを忘れてはならない。外交経験のないジョンソンが中国の相手になるでしょうか?アヘン戦争から180年。今度はイギリスが中国の植民地になる番か。
(19/05/26)

 わあわあ世界を大騒ぎさせて結局は何も決まらなかったブレグジット。私個人はノルウェー方式が落としどころと思っていた(18/12/13)が、多分そうなるのではあるまいか。とにかく肝心のイギリス人が本当にどうしたのか分からないのが混乱の基。さて我が日本人も他人のことを言えた義理でしょうか?
(19/03/30)

おおよそ40日後に迫ったブレグジット。ここにきて加速するのが英国に進出した外国企業の英国逃避である。日本では自動車産業に焦点が当てられやすいが、多分金融その他でも英国離れが進んでいるだろう。
 その結果起こったのが、ブレグジットの見直し。ニッサン工場のあるサンダーランドは最もEU離脱支持が多かったらしいいが、ニッサンが工場を閉鎖すると聞いて、たちまち風向きが変わったらしい。
 EUを離脱すれば外国企業のヨーロッパ移転が進み、イギリスは取り残されるというのは、2年前の国民投票時に言われていたのに、イギリス人はそれに耳を貸さなかったらしい。
 但しイギリス人でもいろいろあって、2年前はイングランドつまりアングロサクソンはあくまで離脱支持。一方ケルト系のスコットランドはEU残留派が圧倒的多数。但しアングロサクソンとケルト人との人口差で離脱が決っただけだ。ということはイギリスはもう一回、アングロサクソンのイングランドとケルト系のスコットランド+ウェールズに分かれた方が良いのではないか。
 それはともかく何故あの時イギリス人は離脱支持に動いたのか?実はよく分からないのだ。政府がきちんと説明しなかったのは大きな理由の一つだ。キャメロン自身、よく分かっていなかったのかもしれない。又パブでビールを飲んで、その勢いで離脱だあーと行ったのかもしれない。これは我が日本民族でもよくある現象である。多分、誰かがEUを離脱すればみんなよくなる、てなたわいもない話をまき散らしたのだろう。3年前のトランプ選挙のようなものだ。
(19/02/20)

 EUとの離脱合意案を議会で大差で否決され、イギリスは今後海図なき航海に旅だたなくてはならなった。それでも頑張る、それこそジョンブル魂だ、というのは19世紀か20世紀前半のお話。経済にしろ何にしろ、あらゆるものがここまでグローバル化した時代に、単独行動主義でやっていけるのは、アメリカだけだ。あの中国でさえアメリカと摩擦を起こすと、途端に弱腰になってしまった。
 イギリスの将来はあまりハッピーなものとはならないでしょう。EUと取引したい外国企業は本拠をEU国内に移し、ポンドは下落してインフレが進む。関税自主性を利用して、EUより安い関税で取引したくても、相手国と一一2国間協定を結ばなくてはならない。当然それはコストアップに繋がる。EUの義務はなくなってもNATOの義務は残る。
 半年か一年後にイギリス人はこんなはずではなかったと、臍をかむことになるでしょう。ブリグジットでイタリアやドイツなどに増えている分離派は勢いづくでしょうが、その結果がどうなるかなど考えたこともない。これをポピュリズムというのです。
(19/01/17)

 イギリス保守党メイ党首の不信任案が否決されたので、とりあえずメイの任期は1年間は延長される。しかしイギリスのEU離脱交渉は待ってくれない。来年三月29日までには態度を決めなくてはならない。
 わたくし個人の予想としては、ノルウエーモデルで、形だけEUを離脱するが、実態は関税同盟に残り、EUへの義務も果たすという、いわば曖昧な形でとりあえずは収束するのではないかと思う。何故なら、EU残留ケースと合意なき離脱ケースとでは経済駅損失があまりにも違いすぎるからである。多分、この先時間を欠ければ、元々現実主義者のイギリス人ならわかるはずだ。日本にとっても、その方がベターなのは当たり前。
 但しこれに不満を抱く国・勢力もある。その最大勢力はアメリカのトランプ政権。トランプは常々EUの弱体化を放言していたから、ブレグレッジこそ大チャンスと思っていたはずだ。それが名前は変わっても、中身が何にも変わらないのでは面白くない。ロシアのプーチンだって、EUが弱体化すれば、かつての東欧諸国を再び支配下に納められると踏んでいたはず。
 微妙なのは中国。一帯一路政策が実効性を持つには、広域的な自由貿易市場があったほうが良いのに決まっちる。更に習にとって、アメリカやロシアが喜ぶ顔など見たくもないはずだ。
(18/12/13)

 トルコの大統領エルドアンが今月に入って1万8千人の公務員を解雇した。これで昨年のクーデター未遂以来解雇された公務員(軍人・教員を含む)は17万人に及ぶ。更に自分の娘婿を財務省に据える縁故主義。
 一般に革命政権は前政権の官僚を首にしたがる。その結果行政は混乱し失敗する。日本でも明治維新後、新政府は旧幕府官僚をみなクビにしたから、たちまち起こったのは行政の混乱。その結果各地で一揆や反乱がおこり、なんとか落ち着いたのは20年後。それも旧幕臣の再雇用を経てからだ。
 明治維新で起こり、エルドアン改革で起こるのは、側近と縁故政治で、これは確実に政権の堕落と腐敗を招く。日本で西郷が下野した理由は、長州閥の権力独占と腐敗である。今のアベ政権を見ればよい。
 こういう例は世界史中にいくらでも転がっている。たちまち起こるのが、インフレと反政府暴動。既にトルコリラはドルに対し20%以上下げている。エルドアンは今やルーマニアのチャウシェスクや先のウクライナ大統領への道をまっしぐら。問題は日本の現政権が、今のエルドアン政権にいち早くエールを送ったことである。どううつもりかね?気象庁が特別警報を出している最中に、赤坂で宴会を開き、それをネットで公開するようなノーテンキで堕落した政権と与党だから、当然か。
(18/07/11)

 イタリア新首相が最初の施政方針演説で、ユーロ圏からは離脱しない、但し移民制限やバラマキなどのポピュリズム政策を実施する、EUとの関係も見直し、ロシアとの関係改善に取り組むと表明。早速リラ売りが始まった。
 筆者が言ったとおり、都合の言い分(ユーロ)はつまみ食いし、悪い分(EUの義務)は無視するという、虫の良い話。これがポーランドやハンガリーのような小国ならいざ知らず、イタリアはG7にも名を連ねる大国だ。今度のサミットで、各国にこの矛盾を説明しなくてはならない。出来るでしょうか?特にロシアとの関係を。
 なおEUが報復のため、ユーロとリラとの交換を停止したらどうなるでしょうか?日本ではフェラリやグッチは安くなる。一歩イタリ国内アでは石油天然ガスや食品価格が高騰し、生活が苦しくなる。従ってポピュリズム政権は紙幣を刷って市場に供給。リラは増々下がり猛インフレになる。昔ならアフリカの何処かに戦争を仕掛けて、国民の不満をそらす手もあったが、今はそうはいかない。従って、今の政権は永続きしない。しかし次の政権も、似たようなものだから、同じことの繰り返しになる。ローマ帝国末期もそうだった。
(18/06/06)

 とりあえず大統領の拒否権発動で、イタリアのEU離脱は避けられたものの、まだまだ火種は残っている。それはヨーロッパ各国右翼による自国中心主義=EU離脱主義である。彼らは何かにつけて注文を付けてくるEU本部に対し嫌悪感をもち、EUの干渉を逃れたいと思っている。その典型が人種問題、特にアラブ=イスラム移民問題である。彼らは中東・アフリカからの移民の受け入れを拒否したい。それを邪魔するのがEUである。その束縛から逃れるが民主主義と主張する。この民主主義が民主主義のはき違え、デマゴギーということは簡単に分かる。ヒトラーだって最初は民主主義を唱えていた。レーニンやスターリンもそうだった。彼らの云う民主主義とは、彼らの意に沿う一部の集団の権利を守る手段に過ぎなかったのである。
 EU離脱主義者は、政治的独立は声高に叫ぶが、ユーロ離脱は知らん顔である。つまり、移民問題については自国主義だが、経済的(通貨)にはユーロ圏にくっつこうと云う都合の良いはなし。これにドイツ、フランスらEU先進国、特にECBがすんなりウンというはずはない。
 もしECBがEU離脱国からユーロを引き上げたらどうなるのか。先進国でイタリアリラなど相手にする国はない。ましてハンガリーやポーランドなど、鼻から相手にされない。たちまち起こるのが通貨の下落と猛インフレ。無論富裕層はとっくに資産を海外に移転しているからなんでもない。一番痛手を受けるのは庶民である。そこに手を突っ込んでくるのはロシア。一方中国も黙っていない。インフレ分を肩代わりしましょうとすり寄ってくる。その結果はイタリアや東欧諸国の中国への身売りである。これによって、中国は一帯一路構想実現に大きく踏み込むことが出来る。
 無論、アメリカやイギリスも黙っていられない。そこで発生するのが、第一次大戦前のような、複雑且つ不安定な国際情勢。この先、ヨーロッパが世界の不安定要素になる可能性がある。無論日本は蚊帳の外。但し円高が急激に進むので、無関係ではない。もっと欧州情勢に注目すべきである。
(18/05/31)

 さて国内ではオフィス北野問題と大相撲土俵女人禁制問題でもっぱら。それに森友ゴミ問題の口裏合わせが割り込んできた。これらの問題は、、今では直ぐに海外メデイアで世界中に伝わることに関係者はもっと注意すべきである。
 海外で注目されているのは、やはり米中貿易戦争。これが本格化すれば、国際経済がパニックに陥るのではないか、という懸念が広がっている。しかしワタクシは、ぎりぎりまで行くが、最後まで行かず適当なところで手打ちになるのではないか、と思っている。
 理由はトランプはデイーラーであり、習もそうだからだ。共通しているのはどちらも、オバマやブッシュのような原理主義者ではない。だから例えば習がトランプ大統領就任後約束したボーイング機300機を、中国がキャンセルすれば、アメリカの雇用は大きく失われる。その変わり、中国航空業界は旧式機ばかりになるので、国際競争力を失う。航空業界からの反発が大きくなる。
 主な係争品目」は鉄・アルミニウムだが、これに25%の関税を上乗せすれば、アメリカの航空機製造業・自動車産業それと銃器メーカーの競争力が低下することになるから、業界からの反発が大きくなる。特にトランプの強い支持団体であるNRAの反発は大きくなるだろう。。知的財産権などはトータルの貿易量に比べれば、大したことはない。
 というわけで筆者は、トランプは内心関税強化はやりたくないのではないか疑っている。ただ問題はかれのコア支持者であるラストベルトの労働者達である。ここでうっかり弱気を見せれば、彼らの支持を失うことになる。だから来年の中間選挙までは、このままやるぞやるぞの綱引きが続くだろう。ヨーロッパ勢やロシアは、その点を見切っているだろうが、問題は我が国アベ政権で、これまでのトランプ追随外交が祟って、ここで貿易に独自性が出せるかどうかが課題。
(18/04/06)

 トランプの貿易政策転換で、下がったのがドルレートと株価、反対に上がったのが原油と金。みんな考えることはおんなじだ。安い輸入品が減って物価が上がるから株とドルを売って、安定資産に乗り換えようという算段。ということでドルが売られ、円が買われる。アベノミクスも盟友アメリカのエゴイズム(トランプのアメリカファースト主義)で風前の灯。こんなこと、始めから分かっていたんじゃないか、という気がする。
(18/03/27)

 コインチェックから更に1363億円が流出してたことが判明。しかもこれは、会社側が記者会見を開く直前という。随分と大胆だが、その間コインチェックがほったらかしにしていたことが面妖不可解。コインチェック側に顧客の資産を守る気が全くなかったとしか考えられない。、何故守ろうとしなかったのか?これはひょっとして平成の末尾を飾る一大経済事件に発展する可能性がある。
(18/02/02)

 コインチェックのNEM大量流出騒ぎ。ネット社会じゃ社長が陰で糸を引いているんじゃないか、という説が広まっている。まさかとは思うが、気にかかる部分はいくつかある。
1、コインチェックが扱っている仮想通貨は沢山あるが、何故nEMだけが狙われたのか?
2、他の通貨のウオレットはネットから隔離されていたのに、なぜNEMだけが繋がっていたのか?
3、犯行は当日の午前2時過ぎ、僅か5分で行われていたのに、気づくまで数時間を要している。この間セキュリテイは何をしていたのか?
4、発表から記者会見まで時間がかかりすぎている。
 無論これらの疑問に対する反論もあるはずだ。例えば事件の数か月前から不審な大量アクセスがあった。これはNEM にアクセスできるかどうかの実験考えられる。経営者が黒幕なら、そんな手間暇をかける必要はないはずだ。しかしそれが分っていたなら、NEMのセキュリテイを強化すべきだったのじゃないか、という新たな疑問も沸いてくる。
 別にネット世論に悪乗りするわけではないが、少なくとも経営者は、上に挙げた疑問に対しては、セキュリテイが甘かったとか、技術が追い付いていけなかったといった通り一遍の説明でなく、素人でも分かる説明が必要だろう。
 なお、この件で損をした人は、自己責任だということをお忘れなく。それと被害者には460円分補償すると云ったり、別に自己資金が600億あるとか、この会社幾ら稼いでいるのでしょうか?金融庁だけでなく、国税や検察も興味をもって見ているんではあるまいか
(18/02/01)

 仮想通貨NEM580億円相当が何者かによって拉致された。いずれこんなことが起きるとは思っていた。取り扱っていたのはコインチェックという会社。名前はチェックだが全然チェックしていなかったのである。
 中には2億円返せー!と怒鳴る客もいたらしいから、ン千万ン億単位で運用していたのも少なからずいたはずだ。若者がゲーム感覚でン万円程度を預けるのは可愛気があるが、こんな単位を動かすのはどっちみち腹に一物脛に傷持つ連中。そうなると裏に何かあるのではないか疑ってしまう。おまけにこの会社、金融庁も登録もしないでこれだけの金を集めていた。登録すると何か具合の悪いことでもあったのか。つまり世の中には、税金逃れで隠れているブラックマネーが、うようよしてるということだ。
 どんな連中が利用していたかというと、多分中小企業の経営者、右翼暴力団関係、タレントそして政治家だ。週刊文春も落ち目のタレントの不倫を追いかける暇があれば、こういうネタを追いかければよい。
 なお当たり前ですがこういう仮想通貨市場取引は全て自己責任です。だからヤバイ筋の高額顧客は、被害届を出さない出せない。だから事件は闇から闇へ。その内東京湾の何処かに経営者の死体が浮かんで有耶無耶。
 銀行業界は、その内預金者から口座維持費を取ろうという算段だから、やっぱりタンス預金が一番安全だ。
 なお問題は拉致された580億円が4何処に消えたか?だ。多分何処かの島の架空口座に振り込まれ、その後転々ろして最後はピョンヤンだったりして。核より怖い仮想通貨。
(18/01/27)

 イギリス総選挙は大方の予想に反して与党の敗北に終わった。だからメデイアの予想はあてにならない、とも云えるが、イギリス人は天邪鬼が多いから、予想の反対行動をとったとも考えられる。だったら去年の国民投票も同じだ。天邪鬼相手に世論調査をしても無駄なのだ。
 それはともかく、これでイギリスのEU離脱交渉はややこしくなる。ずばりイギリスに不利になる。そのかわり、スコットランド独立はしばらく遠のくだろう。ポンドは下落するが、ユーロは上昇する。その結果、イギリスに倣ってEU離脱を狙っていた国々も、考え直すかもしれない。
 この結果に歯噛みしているのが、ロシアのプーチンとアメリカのトランプ。プーチンはスノーデンのIT技術を使って、イギリスにネット攻勢を仕掛けたが、その甲斐もなかった。
 先月のフランス大統領選といい、今回のイギリス総選挙といい、これまでヨーロッパを覆っていた右旋回にブレーキが掛かってきたようだ。
(17/06/09)

 東芝危機、つまり倒産危機の原因は、WH買収資金とか経営者の無責任と云われています。確かにその面もあるが、アベノミクスによる円安誘導が、傷を大きく広げてしまった点は無視してはならない。
 東芝の今期経常赤字は1兆円に上ると言われる。例えば、この内WH関係が6〜7000億円として、為替レートをアベノミクス前が80円、今が115円前後とすると、40%前後の為替差損が出ている。つまり、アベノミクス以前であればWH損失は3600〜4200億円前後となり、その他の赤字を含めても7000〜8000億円の赤字で済む。筆者は白物家電その他の部品輸入の値上がりがなければ、1000億ぐらいの損失は消せたと思っている。つまり時価1兆円とも言われる半導体部門を切り売りしなくても済んだのだ。要するに東芝は、アベ官邸と日銀黒田の生贄になったのである。アベノミクスが本当に日本経済の再生を果たしたのか、十分再検討が必要な時期にきている。
(17/04/02)

 本日WH連邦破産法申請。最近の話題が東芝事件。連結だから東芝本体も危ない。多分駄目だろうという気はする。ことの原因は東芝経営者の判断ミスということになっている。確かにその面もあるが、筆者は旧ブッシュ政権を中心とするアメリカエネルギーマフィアによる陰謀(巨大詐欺計画)に、東芝が引っかかっただけではないか、という疑念をもっている。
 発端は2006年の東芝による6000数100億円に上るWH買収。筆者はこれを聞いてびっくりした。日本もここまできたのか、という錯覚。これが国際詐欺の始まりだ。このような巨大事業に、時の政府が無関心であるはずはない。当時の日本は第一次アベ内閣。アベはジジイの岸以来経産族。何せ大学じゃろくに勉強もせずに、神戸製鋼に入社出来たのは通産省のおかげ。本当なら新日鉄とか住金というところだろうが、ここらは東大閥。成蹊裏口では到底無理。そこで無理やり押し込まれたのが、神戸製鋼という関西ローカル企業。これはどうでもよいが、経産省がエネルギー確保の大義名分を振りかざせば、ウンと云った可能性は大。日本側最大の犯人は、経済産業省の木っ端役人なのだ。
 しかしそれだけでこんな巨大プロジェクトが動くだろうか?誰かが後押しをしたのだ。そこには役人の忖度が働く。一体だれが、東芝の後押しをしたのか?
(17/03/29)

 イギリスのメイがとうとうイギリスのEU離脱を表明。要するに経済成長(EU残留)か移民制限(EU離脱)かを問うた、昨年6月の馬鹿馬鹿しい国民投票の結果に目がくらんで、離脱に賽を振ったのだ。この決定は今後のイギリスにとって、戦後最悪の愚判断になるだろう。メイもイギリス人も、なにか甘い前提に立っているようだ。
 まずEU単一市場から離脱するには、最低でも10年懸ると言われる。離脱すれば、各国と二国間自由貿易協定を結ぶというが、EU加盟国は17か国に及ぶ。これらと個別に協定を結ぼうとすれば、それだけで20年ぐらいかかる。その間、世の中が今のままとは限らない。今のところ、イギリスのEU離脱を支持しているのは、ロシアのプーチンとアメリカのトランプぐらいだが、二人とも後何年政権の座にいられるか分からない。
 また複数の二国間協定と云うのも、意味を持たない。例えばA国と通商協定を結んだとしよう。次にB国と結ぼうとしたとき、その内容がA国よりB国に不利なら、当然B国は協定に応じない。そこでB国にも有利になる内容にすれば、今度はA国が不利になるからA国は前の協定を破棄を要求する。てなことを延々と繰り返していけば、最後はどの国とも協定を結べず孤立してしまうか、全体共通の統一協定になってしまう。なんんてことはない、EUに逆戻りだ。こんな馬鹿げたことを、今後20年間延々続けていかねばならないのだ。
 次に移民問題。離脱派はポーランド系や中東移民が安い人件費で仕事を奪うため我々の仕事がなくなった、と主張する。これはアメリカのトランプ支持派やヨーロッパ極右と全く同じ主張である。しかしこれがどの程度事実か不明である。仮に事実だとすれば、責任は仕事を奪われたイギリス人にある。そもそもイギリス人こそ、かつてアジアやアフリカに様々な産業を輸出し、その国の仕事を奪ってきたのだから、その報いに過ぎない。朝から酒飲んで酔っ払っている怠け者のイギリス人など、まともな経営者ならだれも雇わない。これはラストベルトアメリカ人にも言えることだ。
 仮に移民労働者の受け入れを拒否したり追放したりすれば、イギリスは深刻な労働力不足に遭遇する。これに経済の孤立化が加われば、GDPは低下し、ポンドは大幅に下落し、イギリス経済は破滅的状態に陥る。そうなれば、昨年国民投票で残留派が上回ったスコットランドやウエールズの独立運動が強まり、イギリスは分裂し、500年前の中世に戻るだろう。
 昨年国民選挙と今回のメイの決定は、政治家が自分がなすべき義務を放棄し、大衆の言いなりになって馬鹿げた遊びを始めた結果である。これをポピュリズム政治と呼ぶ。
(17/01/19) 

 保守党のジョンソンに続いて、独立党のファルージャまで党首選を辞退。これでイギリスEU離脱を主導してきた二人のイカサマ師がいなくなった。それも戦わずしての敵前逃亡だ。司令官が戦う前から逃げ出すなど、大英帝国の歴史でも前代未聞。こんなことで大英帝国の栄光復活などをほざくとは片腹痛い。
 このように、今世界中で政治家の劣化現象が起こっているのである。これは伝統的エスタブリッシュメントより、これを批判し世間にアピールする新興政治家に特に顕著である。彼らは目先の票をあてにして、無責任な言動を繰り返し、いざ政策実現が目前に迫ると、責任を他に転嫁して逃げ出す。こういうのをポピュリズムという。
 さて目前に迫った東京都知事選、誰がポピュリストかそうでないか、それを見極める能力を東京都民がもっているかどうか、が試される。
(16/07/05)

 投票後にわかに高まってきたのが、EU離脱派の後悔と、再国民投票の要求。私は国民投票は、あっさりとやり直した方がよいと思う。何故なら、イギリス人は世界に冠たるギャンブル国民である。イギリス人の多くは、今回の国民投票を半分ギャンブル気分でやったはずだ。
 ところがこのギャンブルに、いかさまがあったことが分かった。それがEU分担金表示のインチキとか、移民対策のインチキである。いかさまがあった場合、勝負は没収、いかさまをやった連中は、よくて指詰め下手すると簀の子巻きで川に放り込むのが常道。
 2回目でも離脱派が勝てば離脱。残留派が勝っても離脱派の要求が強ければもう一回やる。三回の内、2勝を挙げたものを勝者とする。なんだかプロ野球クライマックスシリーズ前半戦の様ですが、これならどちらからも文句は出ない。
 今度のイギリス国民投票騒ぎで一番驚いたのは、日本自民党でしょう。今度の参院選で勝利して、衆参2/3を確保して改憲まで持っていきたいが、出来るのは発議まで。その先に国民投票がある。これは現憲法で規定されているから、嫌でもクリアーしなくてはならない。
 一方今度のイギリス騒動で、日本人も国民投票の問題点・・・・国民投票は最終解決策でなく、新たな混乱・対立を作る火種になる・・・ことを学習してしまった。中でも問題は勝敗基準を何処に置くかだ。これをイギリスのように50%にすると、その後国民分裂のような混乱を招きかねない。さりとて65%のようにハードルを高くすると、改憲は無理。それだけでなく、一気に政権崩壊の危機になりかねない。それが怖ければ、何時までたっても改憲は出来ないということだ。他人ごとではない。
(16/06/28)

 イギリスのEU離脱の意味をよく理解していない人が、未だ大勢いるようだ。その代表がアメリカのトランプ氏。国民投票でイギリスのEU離脱が決まると、さっそくこれこそ”独立”歓迎発言。ところがその舌の根も乾かぬ昨日、スコットランドに飛んで、スコットランドトランプゴルフ場完成式に出席し、スコットランド人の歓迎を受けるや、「スコットランド独立支持」発言。今回の国民投票を見ても、スコットランドは残留派が多い。要するにEUからの独立に反対なのである。つまりトランプの発言は矛盾だらけ。
 トランプの言うEUからの独立は、イングランドなら受け入れられる。従って独立支持発言はイングランドで行うべきなのである。ところが、トランプが赴いたスコットランドは全域一致して独立反対なのである。
 また、以前英国議会はトランプの英国入国を禁止する法案を可決した。ヒースロー空港のあるロンドン市は、市民も市長も強硬な残留派。トランプは空港で入国を拒否され、即刻本国送還の憂き目に遭う。ということでこの騒ぎ、何が何だか訳が分からなくなってきた。要するに、離脱派も残留派もトランプも、イギリスのEU離脱が具体的にどういうことか分らずに、勝手に”独立”という言葉を解釈し、それに踊ってしまったのである。云ってみれば”独立”教という宗教があって、みんなその信者になってしまったようなものだ。こういうのは一種の心理的熱病のようなもので、そのうち冷めるのだが、そのときにはもう遅いというのが、よくあるパターンである。
 なお、今回のイギリス離脱騒動が他のEU諸国に及ぼす影響予測は、現在進行中のスペイン総選挙がポイントになるでしょう。今のところ、残留派優位と伝えられているので、この通りになれば、イギリスの孤立はますます深まる。
(16/06/27)

 さてイギリスのEU離脱問題。昨夜某民放BS番組。ゲストは経済の専門家で、どちらかというとアベノミクス批判派。彼らが一致して述べているのは「EU脱退まで未だ2年も余裕がある。今の株安や為替変動は一時的パニックで、いずれ落ち着く。それまでゆっくり模様眺めしておればよい」というものだ。それはそうだ、ここで慌てると、却って足元をすくわれ傷口を広げてしまう。
 イギリスのEU離脱で、最後に馬鹿を見るのは一体誰だ?筆者の見方では、イギリス人特に離脱に賛成した保守派や若者が、甚大な被害を蒙るだろう。金持ちや大企業は、祖国を見捨てて外国に逃げ出す。イギリスのギリシア化だ。傍でニタニタとほくそ笑んでいる、プーチンの顔が目に浮かぶ。
 今回の国民投票で面白いと思ったのが、賛否の際立った地域性。スコットランドや北アイルランドは殆ど青(残留派)一色。逆に南のイングランドやウエールズは殆どが赤(離脱派)。この差は何に起因するのでしょうか?
1、スコットランド・アイルランドは民族的にはケルト人で、元の言語はゲール語。一方イングランドはゲルマン系のサクソン族とノルマン系のアングル族が7〜8世紀以降に混血して出来たアングロサクソン。言語のイングリッシュも双方の言語をごちゃまぜにして出来た、不可解な合成語。
 スコットランドがイングランドに併合されたのは18世紀の始め。それまでは別国だった。よく100年戦争はイギリスとフランスとの闘いと言われるが、実際はイングランドとフランスとの闘いで、このときスコットランドはフランスと同盟してフランスへ軍事援助などをやっていたのである。
 1707年のイングランドによるスコットランド併合以来、スコット族の主権はずっと制限されてきた。それから300年近く、20世紀も終わりに近づくころ、イギリスがEUに加盟した。人権問題では国家法よりEU法が優先される。この結果、スコットランドは大幅な自治権を獲得した。
 しかしイギリスがEUを離脱すると、EUの規制は弱まるが、逆にイングランド=アングロサクソンによる規制が強まる。特にEU離脱派のリーダーは民族主義的で、スコットランドに対し強圧的に出る恐れがある。あんなものは支持できない。
2、イングランドに支配されたスコット族は何処へ行ったか?それは海だ。ロビンソン・クルーソーはスコットランド人である。アングロサクソンの規制に拘わらず、自由に動き回れる場所が海、即ち外国だ。外国でビジネスを展開しようとすれば、一番邪魔になるのは国毎に異なる様々な規制である。第一イングランド自体規制をやりたがる国である。その点、なんでも自由に動けるEUは、スコット族の感性に一致していたのである。イギリスがEUから離脱すれば、又元に戻って古い規制に縛られることになる。スコット族にとって、EU離脱はあらゆる点で規制強化に繋がるのである。断固反対だ。
 そしてこの結果がスコットランドの分離独立運動の再燃・激化だ。イングランドにとって得になるものはなにもない、というのが筆者の今回のEU離脱騒動に対する結論である。
(16/06/25)

 イギリスEU離脱。世の中しばしば、こうなってほしいというのと逆方向に動くものだ。イギリスEU離脱で、日本関連で何が起こるかというと、急激な円高と株安だ。そして実際その通りのことが起こっている。アベノミクスの崩壊だ。
 さてこの騒ぎを一番喜んでいるのはプーチンだ。これで西側諸国の同盟関係に楔を打ち込める。あわよくばワルシャワ条約機構の再建だ。しかしそんなことをすれば、経済的に脆弱な東欧諸国をロシアが抱え込むことになる。そんなことは真っ平だ。ヨーロッパ経済の再建はドイツと日本に押し付けて、ロシアはその美味しい果実だけをいただこう、ウンこれが正解、てなもんだろう。
 さてよく分らないのがイギリスの今後の政局。キャメロンは内閣総辞職か議会の解散総選挙を選べる。そもそも、この問題は保守党vs労働党の対立テーマではない。既成政党はどっちも残留派が強かった。英国独立党というグループはあるが、議会に議席を持っていたわけではない。仮に総選挙で、残留派議員が多数をとれば事態はどうなうのでしょうか?こういう時こそ女王の出番なのか?
(16/06/24)

 シャープの新社長が台湾人に決定して、これで名実ともにシャープは台湾企業になった。郭会長は当初数人の日本人経営者に接触したが、どれもお眼鏡にかなうものはおらず、結局台湾人に決定したと述べている。これ本当でしょうか?数人の日本人経営者に接触したのは事実だろう。しかしそのどれにも断られたため、仕方なく台湾人を起用せざるを得なくなった、というのが実態ではあるまいか?
 これは当たり前といえば当たり前なのである。まず、本当のところシャープの負債が、今後何処まで膨れ上がるかわからない。次にシャープの主力商品である液晶パネルは、中国企業との熾烈な競争にさらされており、更にこのところの円高傾向で、急速に採算性が悪化している。第三に会長の郭が信頼できるボスかどうか分からない。現に合併交渉ではリストラはやらないと言っていたのに、合併が決まるといきなりの7000人リストラだ。始めから予定していたのだろう。スピード第一というが、これが暴走すると、経営陣を飛び越して勝手に動き回るおそれがある。つまり郭は信用出来る人間かどうかに疑問符がつく。このようなリスクを覚悟して、最早日本企業ではなくなったシャープ救済に尽力しようというお人好しは、さすがの日本人の中にもいなかったわけだ。
 現在のITー情報産業を見ると、鴻海ーシャープの前途は甘いものではない。ここでシャープが量子コンピューターの開発にでも打って出れば話は別だが。シャープと量子コンピューターといえば、こんな話を思い出した。今から25年ほど昔。そのころ正月の三日に千里のあるところで、大阪市大地学教室の教員・OB・それらの知り合いなどが集まって、フリーの新年会をやっていた。ある年、シャープの営業というのと少し話をしたことがある。彼曰く「今では電子一つ一つをコントロール出来ます」。そこで筆者「電子ではもう遅い。これからは量子だ」と言ったら、ポカンとしていた。
 私の話を只の法螺・ハッタリと受け止めず、そのころから量子コンピューターの開発に乗り出していれば、こんなことにならなかったかもしれない。
(16/05/13)

 パナマ文書事件で世界中の金持ちが脱税を疑われている。租税回避地はパナマだけではない。この中でOECDなどは回避地の査察を強化するよう求めているが、英国は海外領については査察を拒否している。何故なら租税回避地で有名なケイマン諸島は英国領だからだ。歴代の英国国王や貴族、政治家・資本家がここを使った、或いはそのためにこの島の税制をつくったからかもしれない。
 租税回避地の査察が強化されれば、隠し資産の逃げ場所はタンス貯金か地下銀行しかない。ゴルゴ13だったらどうするんでしょうか?意外にプーチンが引き受け手になるかもしれない。
(16/04/12)

 かつて00年代、コイズミ政権時代、キャノンは日本のトップ企業として大きな顔をしていた・・・経営者の御手洗トイレ社長はフォーブスの表紙にもなった・・・それが今や日本のお荷物会社と名指しされる始末。まるで東芝やシャープの電子版だ。
 当時キャノン業績向上の代名詞は非正規雇用強化によるコストカット。つまりブラックだったのだ。ところが今や世間はアンチブラックになっている。ブラックキャノンは退場せざるを得なくなった。
(16/04/04
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 ホンファイのシャープ買収が出資額1000億円減で決着したようです。しかしこれまでの経緯から見ると、この買収劇一体何を目的としていたのか、よく判らなくなる。1000億円もの減額は、当初予定していた4890億円のおおよそ20%にあたる。小さな額ではない。
 まずシャープを再建して、より大きな優良会社に育てるのが目的なら、1000億円の出資減額がそれに適うかどうかが問題だ。この決定でシャープ社員ががっかりして、技術系社員の退職が増え、ライバル会社に引き抜かれたりしては何にもならない。出資金3890億円はドブに捨てたようなものだ。
 逆にシャープ再建はそこそこで、ホンファイの系列会社として利益をちびちび出してくれればよい、というのであれば、結果は上と同じになる。つまり1000億値切って安い買い物をしたと思っても、返って高い買い物にあるケースもあるということだ。
 ここから伺えるのは、台湾企業は既にリスクより配当を求める中進国シンドローム段階に入っているのではないかという疑いである。と言うわけで、この提携はそれほど長続きしないだろう。シャープは今から次のスポンサーを探しておいたほうが良いかもしれない。それどころか、ある日突然何処かの外国企業に売り飛ばされるかもしれないのだ。
(16/03/26)

 ホンファイのシャープ提携が思った他、もつれています。もっとすんなり行くと思ったが中々一筋縄では行かないのが漢民族。誰でも思うのが、背景にあるのは中国経済の減速で、それにホンファイも付き合わされたからだろう説。しかしホンファイのシャープ提携が本格化したのは、中国経済減速が顕かになってからのこと。今頃何故こうなったのか、理解し辛い面がある。ホンファイ内部に派閥抗争があってそれが影響している可能性が考えられる。例えばシャープ提携派(親日派)vs反対派(親中派)の意見対立である。
 そういえば昨年の台湾総統選で、民進党蔡候補が当選してしまった。これに驚いたのが大陸の共産党習政権。この傾向が広がってはならじと、ホンファイへの締め付けを諮ったのではあるまいか?このためホンファイ内部に上に挙げた派閥対立がうまれたのだ。、シャープこそいい迷惑だ。いっそソニーかアップルへと思うが、負債が大きすぎて誰も二の足を踏むのである。東芝もその類。
 なお本日ホンファイは、シャープ出資額を2000億円減額と表明。これはもはやホンファイにはシャープを救済する意欲はないということだ。
(16/03/22)

 シャープのホンファイ買収が決定しましたが、こんなことは初めてではない。国際航業という航空測量会社がある。この業界での談合チャンピオン。測量だけでなく、地質調査もやるが、地質調査能力はワタクシに比べれば話にならず、下の下。そもそも岩石が判る人間がいない。この会社が自社株の不当取引がバレて、役員は全員撤退。国交省始め官庁から指名停止という事態になった。そこへ乗り込んできたのが台湾資本。そのお陰で無能日本人経営者は追い出され、業績は回復した・・・どんな手を使ったかは知らないが。シャープもそれと同じで、無能日本人経営者を追い出せば、再生の道は残る。
(16/02/25)

 昨日参院予算委員会で、民主党議員の質問に対し、アベは「日本は裕福だ」と回答。1200兆円の借金を抱えて裕福も何もないものだ。下関に行って、フグを食って、それでみんな儲かっているんだろうと思い込んだのだろう。小原庄助とか紀伊国屋文左衛門のレベル。かつてロシア皇帝もフランス皇帝も、清国皇帝もルイ14世やマリーアントワネットもI帝国は裕福と勘違いしていた。事実そうだったのだが、その陰で腐食が進行していたのである。そのあげくが革命だ。革命に無頓着なトップを抱える会社ほど、社員にとって迷惑なものはない。東芝やシャープも似たようなものだ。
(16/01/21)

 16年度予算案ができましたが総額96.7兆円。三年連続の高値更新。しかし担保できる税収は57兆円。不足は借金=国債だ。こういうことを続けているため、国債発行残高はとっくに1200兆円を突破。民主党政権時代から5割りも増えた。それだけではない、先日日銀が企業債権購入を発表したが、この基準が曖昧だったため、日経平均は乱高下。市場は正直だ。その間にIMFが中国元のSDR参加を承認。注意しておかなければならないのは、IMFにおける円のポジションは永久不滅ではない、ということだ。
 もし日本の財政再建が遅れ、円安がこれ以上進行すれば円の信任は薄れ、円のポジションが元にとって替わられかねないことだ。そういう警告は既に複数のエコノミストから出されているが、今の政府・与党・日銀が全く無視している。この状態がこのまま続けば、日本のギリシア化だ。「売り家と書く三代目」という言葉があるが、アベ晋三は、岸・佐藤家ー安部家に続く当に三代目だ。
(15/12/24)

 とうとうFRBが連邦金利0.25%上げを決定。今年に入ってから、何時利上げに踏み切るかだけが問題視されてきた。何時か来るべきものが来ただけで、これで慌てているようでは金融のプロではない・・・はずだ。しかしWSJによれば、この効果が世界経済に及ぼす影響は、やって見なければ判らない、と言う。
 アメリカが利上げすれば新興国資金はアメリカに向かうから、当然アメリカ株価は上がる。それにつれて日経平均も上がるだろうが、これは一時的なもの。これによってドルが上がれば、当然日本に円高圧力を掛けてくる。そうなればアベノミクスのストーリーが根底から崩れることになる。さてどうなるか?ここ数ヶ月の動きが見もの。
(15/12/17)

 村上世影による黒田電気乗っ取りが失敗に終わりましたが、この間黒田電気株は3割近く上昇し、更にプレミアを付けて売り抜ければ村上ファンドはぼろ儲け。元々村上は経営陣に参加す気などさらさらない。株主総会の否決は計算の上。逆に村上提案が通ったら大慌てだろう。このところ村上の日本回帰が進んでいます。ターゲットは黒田電気やEXCELLなどの中堅ハイテク・ITメーカー。
 中国株安で儲けシロをなくした村上が、手堅い日本株を狙ってきたのでしょうか?おりしもニューヨークダウは17000ドル割れ、日経平均も20000円割れ。更に今年秋にはFRBの利上げが確実視されている。おまけに原油や金も下落続き。そうなると、マネーは株やオイルから国債市場に流れる。この結果ドルは売られ、円買い局面となるでしょう。おそらくここ当分はドル安円高状態になると思います。
 そうなるとドル高円安状態の安定というアベノミクスの前提が崩れる。さてここで日銀は為替介入に踏み切るのか、それとも又も資金供給に奔るのか?いくらそんなことをしても、中国が元安政策を続ければ何にもならない。そんな状態で消費税増税をすれば、政権の命をちじめるだけだ。
(15/08/21)

 ギリシアはなんとかEUに留まることになった。その代償が財政再建策の法制化。しかし法律でどう書こうと、ギリシアがその法律を守るとも思えない。これを最も強硬に主張したのがドイツ。ドイツはたった97億円の賠償で4年に渉る軍事占領の責任をチャラにし、EU後はギリシアに大枚の投資をしてしこたま儲けた。今それが焦げ付きかけているので慌てているだけ。ではどれだけの焦げ付きかと言うと、ギリシアの対外債務はせいぜい100数10兆円。ドイツの分はその約30%だから、たったの30〜40兆円だ。これぐらいの焦げ付きで大慌てするのだから、如何にドイツ人というのは肝っ玉が小さく、こすっからいかがよく判る。
 東アジアで一番ギリシア人に似ているのは韓国人である。だから何度も経済危機に陥った。その都度日韓スワップなどを通して救済に奔ったのは日本である。よくドイツ人と日本人とはよく似ていると云われるが、それは時間を守るとか清潔好きという外見だけで、隣人を助けるという点では雲泥の差があるのだ。
 またよく世間で言われるのは、日本は戦争責任についてドイツに学べというプロパガンダである。戦後ドイツは戦争責任を全てナチに押し付け、自分達は白い手の被害者だったというポーズをとった・・・当時ドイツ人の2/3はナチだった。そして戦後あちこち、特にイスラエルとユダヤ人団体に卑屈に頭を下げ、戦時補償費を値切った。
 戦時慰安婦の問題を考えてみよう。これは今や日本特有のことと云う宣伝がされ、そうだと錯覚している日本人も多いだろう。さてドイツは1941年春から45年春まで、ギリシアを軍事占領した。その間ドイツ人がギリシア人慰安婦を求めなかったなんて考えられるでしょうか?無論中には金と力を持っているドイツ人に自ら接触した女性も少なからずいたはずだ。同じことは、フランスでもオランダでもイタリアでも、ポーランドやロシアでも行なわれたはずだ。
 さて彼女らドイツ人と接触した女性は戦後どうなったでしょうか?誰も判らない。ナチ野郎と寝た淫売だ、祖国・民族に対する裏切り者だ、というわけで社会から追放されたり、中には処刑されたものもいる。この方式なら、韓国人慰安婦は祖国の裏切り者になるはずだ。しかし現実はそうではなく、日帝犠牲者になってしまった。
 それに引き換え我が日本はン億円の基金を作って救済に勤めようとしている。それに対し韓国人は基金のピンハネまでやる連中がでてくる。
 さて、果たして日本はドイツに学ぶべきでしょうか?別な意味で学ぶべきだという意見もあるだろう。しかし、そのとき日本人はドイツ人ほど傲慢にあつかましく振舞えるかという問題が残る。
(15/07/14)

 なんだか段々と訳が判らなくなってきたギリシア問題。ここにきてEU各国から出てきたのがドイツ責任論。これは始めからあったのだが、誰も問題にしなかった。ところがこのところ俄かにそれが浮上。昨日のEU首脳会議で、チプラスはニタニタ笑い、メリケルは苦虫噛み潰したようなしかめっ面、これはその所為か。
 これをばら撒いたのが、ピケットのような左派経済学者。確かにドイツにも問題はあるが、やはり最大の問題児はギリシア。しかし一旦ギリシアは潰したほうがよい。何故なら、ここで甘い顔を見せると、真似をする国が出てくる。そうなればEU全体の信用不信に繋がる。世界同時不況だ。
 しかしドイツも責任を負担すべきである。チプラスは債務の30%オフを要求している。ギリシア債務額の内、ドイツが占める割合は約30%強。チプラスの要求は対EU債務の30%オフ。つまり対ドイツ債務を全部棒引き白と言うのと「同じである。これが冒頭のEU首脳会議で認められたとすれば、チプラスのニタニタ笑いもメリケルのしかめっ面も納得できる。
 それとフランスやイギリスはかつて十字軍時代や帝国主義時代にギリシアから簒奪した美術品を返還すべきである。日本だって過去の植民地時代に韓国から伝わったとされる美術品?の返還に応じているのだから。
(15/07/09)

 ギリシア人はIMFやECBが要求する緊縮策策拒否を選択。ただしEUを離脱する気もないみたい。本当に破綻するのか、それともこのままEU離脱を人質に、ロシア・中国を隠し玉に使って、国際社会を手玉にとって瀬戸際政策を取っていくかの分かれ目だ。欧州版北朝鮮のようなもの。当然、国民生活は北朝鮮並みの貧困を覚悟しなくてはならない。
 さてここで不思議なのは、オナシス財閥始めこれまで海外に逃避したギリシア資産について、誰も何も言わないことだ。この逃亡資産に課税すれば莫大な税収がギリシアに入るはずで、それを担保にすれば国債償還の繰り延べも可能になる。無論今のギリシア政府に、こんなややこしい資産に対する徴税能力がないのは判っている。だからこそEU始め国際的枠組みが必要なのである。
 何故誰もこれを言わないのでしょうか?ロンドンやニューヨーク、ルクセンブルグやチューリッヒの紳士や子鬼達が邪魔するからでしょうか?
(15/07/06)

 ギリシア危機にも拘わらず、ユーロは大して動かない。これはギリシアのEU離脱を見込んで国際投機筋がユーロ買いに動いたという説があります(本日ロイター)。つまりギリシアという重荷がなくなればユーロは上がるという思惑です。同じように国債相場を考えて見ましょう。これは少しややこしいのだが、今のギリシア国債は紙くずみたいなものです。だから今の内にこれを買っておく。一方ギリシアの金融危機は今に始まったことではなく、20年来のこと。その間莫大なギリシア資産がタックスヘヴンを通じて海外に流れています。
 さて、ここでギリシアが破綻すればこれはこれまでの借金をリセットする効果がある。日独伊三国の無条件降伏*と同じ意味だ。すると再びギリシア経済が復活し、国債価格が上昇します。この手でぼろもうけしたのがロシアオルガルヒと呼ばれる新興財閥。プーチンに接近して安泰もいるが、中にはポロニウムを飲まされて消されたのもいる。人の運命はいろいろだ。やってみますかあ!
 ただしこれはあくまでもギリシアがユーロ圏に留まったケースの話。ユーロを離脱すれば、ホンモノの紙くずになってしまうから御用心。
*世の中判っていない人が多い。一番判っていないのが、日本国総理大臣のアベ晋三だろう。戦後旧枢軸三国はどれも奇跡的経済成長を遂げた。その原因はどれも連合国に対し無条件降伏をしたからだ。
(15/07/04)

 さていよいよカウントダウンに入ったギリシア破綻。ずばり言って、ギリシアもEU・・・特にドイツ・・・もどっちもどっちだ。そもそもギリシアをトルコから独立させたのが間違いの元。しかしトルコにも都合があって、ギリシアなんて道楽息子を何時までも抱えておれば帝国が持たないから、独立という名で勘当したのかもしれない。
 ギリシアが破綻すればどうなるのでしょうか?当たり前だが、ギリシアに貸し込んでいたECB始めドイツ銀行や北欧系銀行、ギリシア国債を買い込んでいたヘッジファンドは皆元本を取りはぐれることになる。だからと云ってこれ以上の貸し込みも出来ない。結局はEU側はギリシア貸し込み分を特別損失で処理するしかないのではないか?ただしそれを出来るだけの体力を持っている国や金融機関は耐えられるだろうが、そうではないのもいる。つまり連鎖倒産だ。これが銀行だけなら良いが、国レベルに及ぶ可能性もある。そうなればEUの解体に繋がりかねない。先ほどのイギリス総選挙で、EU離脱を主張する保守党が勝ったのはそういう理由だ。
 今回の騒動で顕かになったのはギリシアとドイツとの価値観の相違。これが全てを作っている。まずギリシアは宗教はギリシア正教。正教はこの世界はキリストの恩恵が全てに及ぶと説く。つまりキリストの恩寵に授かるために金持ちは貧乏人に施しをしなければならない。それが続くと、貧乏人は金持ちから施しを受けるのが当然と思うようになる。そして皇帝は地上に於けるキリストの代理人だ。だから皇帝は貧乏人=庶民に常にバラマキをやらなくてはならない。しなければ、ギリシア名物のデモだ。それだけでなく死んで天国にいけなくなるぞ、と聖職者から脅される。それが怖くて皇帝(トルコのスルタンも)バラマキを止められなくなる。そのあげくが帝国の分裂と崩壊だ。そして現在の皇帝がEUなのである。
 一方でドイツはプロテスタントの本場。神は自ら助くるものを助く。働かざるものは食うべからず、だ。こんな両国間にまともな話し合いが出きるわけが無い。
(15/07/03) 

 ギリシア破綻は目前というのに、市場ではEUとの交渉が上手くいくという憶測が流れ、NY市場は続伸、日経平均も上向いている。誰がこんな情報を流したのでしょうか?株は憶測で上下するが、石油はもっとリアルである。NYWTIは、昨日いきなりバーレル3ドル安の57ドル弱。ギリシア発世界同時不況を見込んでいるのでしょうか?
 ロイターに拠れば、少し現金を持っているギリシア国民の海外逃亡が加速しているらしい。こんな国に経済支援を行なうお人好しがいるとは思えない。もしいるとすれば、それこそ腹に一物だ。
(1/07/02)

 ギリシアショックで世界同時株安。同時にドルもユーロも値下がりしているから、円だけが突出高。大迷惑だ。しかし不思議なことがある。それは先週突然出てきたギリシア救済策への思惑である。この所為でNYも東京も先週は株高。日経平均は22000円は行く勢いだった。
 しかし先週の時点でも普通なら、もうギリシアは駄目だというのが大方の見方。何故EUがギリシア救済に動くという噂が出てきたのでしょうか?根拠は何一つありません。只の噂を誰かが流し、EU首脳が4それを否定しなかったことが事の本質です。
 今度のギリシアショックで、誰とは云いませんが大もうけした国際仕手筋と云われる紳士達が必ずいます。彼等はまずギリシア危機で株価が下がっているときに買いに入り、EU救済という噂を流して株価を吊り上げ、頃合を見計らって売り抜ける。莫大な利益が転がり込む。馬鹿を見るのは、そういう噂に踊らされる一般投資家です。
(15/06/30)

ギリシアが本日IMFに対し、6月に支払う現金は国庫に存在しないと通告。事実上のデフォルト予告。さてギリシアにこれまで貸し込んできた各国はどうするか?金を借りて返さなければ昔なら戦争だ。債権国が軍隊を出してギリシアを占領し、土地を各国に競売に掛ける。住民は奴隷に叩き売る。ギリシア人は美男美女が多いから結構高値で売れる。最大の債権国はドイツだ。もしドイツがこれをやったら、過去75年で2度のギリシア侵略だ。
 そんなことは出来るわけがないから、結局大型債権国は泣き寝入りするしかない。つまり新興国とか途上国と言われる中小債務国の逃げ得だ。これじゃイギリスがEUを脱退したくなる理由も判る。筆者がAIIBに不信感を抱くのはこの点である(この点については又後日)。皆さん、ギリシアを他山の石にすべきです。
 なお債務者に対し大甘の日本人は、東洋版ギリシアの韓国がかつて債務不履行に陥りかけたとき、日中韓スワップ協定を作って韓国を救済した。しかし韓国はそんなことすっかり忘れている。こういう無責任な国は一度潰せばよいのである。
(15/05/25)

 イギリスのEU離脱が段々と現実味を帯びてきています。何故EUを離脱したいのか?EU圏内での移動自由規定により、イギリス国内にも不法移民が増え、それがISに同調するオウンテロリストを産み社会不安の原因を作る。というのは表向き、実際は通貨の自由を取り戻したいだけ。
 EUに留まっておれば、経済活動はユーロ規模(発行高×ユーロ価格)で決められる。ユーロ規模を決めるのは、事実上あの保守的なドイツ銀行だ。なんで戦勝国であるイギリスが、敗戦国ドイツの言うことを聞かなけりゃならないんだ*。ギリシアやスペインの所為でEUの景気が低迷しているからこっちも迷惑だ。この際EUを離脱し自由なポンドを取り戻そう、と言うのが本音。
 イギリスがEUを離脱してポンドを上場すれば、おそらくポンドは大化けし、巨額のドルや円やその他マネーがロンドン市場に流入する。問題はイギリス政府やイギリス金融機関は流入するマネーをキチンと管理し、長期的運用政策を持っているかどうかである。そもそも自由放任経済の元祖であるアングロサクソンだから、そんなこと考えるわけが無い。従ってまたもや金融バブルの発生である。云ってみれば濡れ手で粟の大もうけチャンス。皆さんやりますか?**
 その後どうなるか?そんなこと知ったことではありません。
*確かに物理的にはイギリスは戦勝国だったが、それもアメリカのお陰。戦後の経済戦争では完全にドイツに負けた。
**今のところ表立ってポンドを買うことは出来ませんが、ビットコインを使えば通貨単位が変わっても取引が可能と考えられます。その仕組みは複雑なようで、ワタクシには無理です。IS辺りがすでにビットコインを使ったポンド買いをやっているかもしれない。つまりポンドの解放は、過激派に莫大な利益をもたらすでしょう。マネーとモラルを秤にかけりゃ、マネーが重たいイギリス人、なのだ。
(15/05/24)

 ギリシアの対独賠償請求額が釣りあがって、なんと38兆円までなってしまった。当然ドイツは無視。もし認めるとポーランドやハンガリーやデンマークまで請求書の山だ。さてギリシアはどう出るか?ワタクシならギリシア駐在ドイツ公館やドイツ系企業の周囲にナチの旗とポスターを張り巡らし、大使館の正面に・・・韓国を真似て・・・ヒトラーの胸像を置き、ギリシアに来たドイツ人にはカギ十字バッジの着用を義務付け、上に挙げたドイツに占領された東欧諸国に、朴クネ張りの告げ口外交を展開する。「嘘も百回つけば真実になる」と云ったのは、当のドイツ人(A・ヒトラー)だ。プーチンを利用するのも手だ。
 ドイツ人の欠点は何事も自己中心の理詰めで考え、相手や他人がどう思うかを意に介さないことである。例えばヘーゲルの弁証法でも、解答は唯一なのである。様々な解答があり得ることは無視される。その基準は、ヒトラーの「我が闘争」に典型的に見られる。彼はここで独特の人種論を展開するに当たって、人種の優劣を北欧文明にとって役に立つか立たないかで分類した。つまり創造型人種・改良型人種・破壊型人種である。彼は日本人を改良型人種に分類した。舐めた話である。しかしその感覚は今のドイツ人にだって残っているだろう1937年ナチスドイツは世界最初の動物保護法を制定した。しかしここでは保護されるべき動物と、しなくて良い動物が峻別され。その基準は北欧文明にとって役に立つかどうかで決められた。その他科学技術でもナチにとって有益かどうかで奨励の対象とするかどうかが決められた。
 「我が闘争」は駄文・似非文学の典型とされている。その通りだが、実態はドイツ人の本音をあらわしている。本音というのはウイルスのようなもので、いくら表を繕ってもなにかの拍子にいつかは出てくるものだ。
 先日偶々BS8のプライムニュースを見たところ、ゲストは駐日ドイツ大使。ワタクシが彼に感じたのはナチの影だ。形は謝っても本心からは謝っていないのである。これでは幾らメルケルが説教したところで意味はない。ドイツ人始め北欧民族には、ナチのDNAがあると思うべきだ。
(15/04/08)

 ギリシア新政権がEU残留の引き換えにドイツに対し22兆円の戦時賠償を要求。これに対しドイツは既にこの問題は解決済みだと拒否。なんだか日本と韓国との関係に似ていますが、根本的に違っている点があります。ドイツは既に賠償金を払っているというが、その額はたったの97億円。ドイツは一方的にギリシアに戦争を仕掛け、その後5年間に渉って軍事占領を続けており、ギリシアに対しては何の投資も行っていない。22兆円の請求もあつかましいが、それを100億円以下に値切るドイツも相当のものだ。
 一方の日本は軍事力で旧政権は追い出したが、韓国に戦争を仕掛けたわけではない。植民地時代でも教育・医療を初め様々なインフラ投資をやっている。それにも拘わらず650億円もの賠償と、その後の経済投資を加えれば、大方ドイツより一桁以上多い賠償をやっているのである。
 ドイツと日本との何処がどうちがうのか?ドイツは金は出さないが、卑屈にぺこぺこと頭を下げてまわる。日本は頭は下げないが、金を相手が言うがままにばら撒く。ところが一般的にはドイツの卑屈路線の方が評価が高く、日本は低い。要するにドイツ人には裏表がある。そしてそれは白人・・・だけではないが・・・に共通する特性である。日本人にはその点のDNAが不足している。だから国際的には損をするのだ。
 ワタクシが云いたいのは、損得ではなく、こんな裏表のあるドイツ人始め白人を信用してよいのか?むしろ頭も下げず金も払わない路線を貫いたほうが良い。ところが日本一正直なアベ晋三首相は、どうしても白人社会を信用したいらしい。これは日本人の利益に合致するでしょうか?
(15/02/13)

 ドイツがギリシアのユーロ圏離脱を容認したことによって大きな変動が予想されます。まず中国マネーの欧州への流入増加。その中継点がギリシアですが、そのうちギリシアは中国領になるでしょう。
 2年前のギリシアショック時点でも、中国はギリシア国債買取をほのめかしていた。それが顕在化するのが今年です。そしてそのきっかけを作ったのがドイツ。昨日のWSJによる今年の世界10大ニュース予測では、2月にベネズエラが中国領になっている、というのがあった。ギリシアがロシア領か中国領にならないという保証はない。何故ギリシアがこんなに何度も経済危機におちいるのか?ローマ帝国時代以来、あの国民は「アリとキリギリス」のキリギリスをやってきたからだ。
(15/01/05
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 アメリカの投資ファンドの要求に押されてアルゼンチンがとうとうデフォルトに追い込まれた。こんなことをして誰が得をするのでしょう?デフォルトに追い込まれると、借金も出来なければ、返済もしなくて済む。国債費をどうやって回収するのでしょうか?むしろファンド側が倒産に追い込まれる公算の方が大*。幾ら何でもアメリカが軍隊を出してアルゼンチンの財産を差し押さえるわけにはいかない。問題はアメリカの一田舎裁判所が、強欲ファンドの言い分を安易に認めたことにある。
*アルゼンチン側は利息5億ドルを払うが後は繰り延べを申し出た。ところがファンド側は利息15億ドルの即時支払いを求めて米連邦地裁に提訴したのである。この点から見るとファンド側の方が経営に逼迫しているのは明らかだ。このファンドに投資したのが誰か、というのは興味のある話しだ。
(14/07/31)

 イタリアパレルモ地検が野村HDを詐欺の疑いで起訴、135億円の資産没収に踏み切った。他にもあれこれあるらしい。発端は地元自治体がデリバテイヴ取引に手を出して大穴を開けた、その仲介をやったのが野村というわけだ。ヨーロッパやアメリカでは地方自治体がこういう金融取引に手を出すのは当たり前。日本では昔神戸市がマルク債を運用してボロ儲けした時期もあった。
 デリバテイブというのは自己責任と言うのが暗黙のルール。その中で何故野村が目を付けられたのか?パレルモと言えばマフィアの本場。野村もマフィアの一味と見なされたのか?野村は海外進出を急ぐあまり、怪しい人材を無批判に取り入れた可能性もある。
(14/07/29)

 BRICS各国が米欧主導の世銀・IMFに対向して独自の融資銀行設立に合意した。果たして上手く行くでしょうか?確かに従来世銀・IMFは途上国の財政危機に対し冷淡だった。これで疲弊した国もあるだろうが、多くはその後回復しているのである。
 さてBRICS銀行の場合、途上国債務に対し、世銀・UMF程冷淡ではなく、身内に甘くなるだろう。その結果は途上国の経済破綻を促進するのみである。第二第三のギリシアを作るだろう。中国の派遣拡大に貢献するだけだ。
(14/07/18)

 アルゼンチンが再びデフォルトの危機に陥っている。理由は前回のデフォルト騒ぎ当時、アルゼンチン政府は国債を大幅減額した上で回収に努めた。ところが政府への売却を拒否した投資家が幾らかいた。それが所有する国債をアメリカの投資ファンドが安値で買収し、それを額面で買い取れとアルゼンチン政府に要求した。当然アルゼンチン政府はこれを拒否する。しかるにアメリカ連邦地裁が、ファンド側の言い分を認めてしまった。その結果、アメリカvsアルゼンチンの関係が険悪になってきた。
 さて問題は二つある。一つはここに中国が介入し、アルゼンチン政府の負債を肩代わりしましょう、と云ってきたらアメリカはどうするのか?現にギリシアショックの時も、中国が同じ様なことを言い出した。このときはEUが緊急融資を行って何とかなったが、今回はアメリカのファンドが主役で、おまけにアメリカの裁判所がファンドの言い分を認めてしまったから、どうにもならない。元々アルゼンチンは反米国家だった。しかし東西冷戦終結後、親米路線に転換した。それが再び反米に転じれば、中南米の反米国家が更に力を増す事になる。そこに中国が介入してくれば、中南米の安定が失われることになる。TPPどころではないのだ。その責任はアメリカ政府が負うべきである。
 二つ目は我が日本に対する影響である。この問題は日本だって他人事ではないからだ。民主党政権下ではなんとか700兆円台に抑えていた日本の国債残高は、アベ政権発足後鰻登りに増加し、今や1000 兆円台を突破。これを深く憂うるのは与謝野馨ただ一人。最悪の悪党は日銀黒田とその一味。野放図な財政赤字を前提とするアベノミクスを放置しておけば、いずれ日本もギリシアやアルゼンチンと同じ憂き目を見ることになる。よく言われるのは、日本の借金は国内だけで負担されており、海外の影響を受けないという言い訳である。これは嘘である。確かに国債の一次引き受け手は国内金融機関かも知れないが、それは直ちに海外投資家に転売される。日本国債の1/2〜1/3は海外投資家が引き受けていると考えるべきである。
 ここにアベノミクスの最大の危険性がある。
(14/06/28)

 イギリスやフランス・イタリアに麻薬や売春など、闇経済売り上げをGDPに加算する計画があるらしい。つまりこれらを損益計算書の資産の部に入れようと云うわけだ。これによって、見かけ上利益は上がるから、海外からの投資が増え、国債価格も上がるだろう、という目論見だろう。
 無論、闇経済が間違いなく回収出来、課税できる保証があれば別に構わない。しかしその保証が無く、単に見通しだけでGDPに加えるなら、それは只の粉飾に過ぎない。オランダやノルウェーがやっているから公平性を期すためと言い訳するが、こんな国のGDPなど元々が大したことが無いのだから、粉飾しようが何をしようが構わないが、英仏の様な先進国がこんなことをすれば、資本主義の信用に関わる。その内日本やアメリカまで追随すればとんでもないことになる。
 はっきり言えば、英仏ともに中国型経済に移行するということだ。中国経済はとっくに闇経済を国家経済に組み込んでいる。中国GDPの2割くらいは闇経済だろう。これが先進国まで広がると、世界経済は闇世界、つまり中国共産党とかイタリアマフィアとか日本山口組に支配されるということなのだ。
(14/06/10)


 最近又ヨーロッパ、特に南欧圏の国債値上がりが激しいらしい。理由はアメリカの金融緩和縮小気配を受けて、新興国マネーが利回りの良い南欧圏国債に集中していることだ。南欧圏とはギリシア・イタリア・スペインという、これまで金融パニックを繰り返して世界経済にショックを与えてきた札付き不良国家だ。
 未だリストラも十分ではない彼等に、いわば不労所得と言って良い国債買いをやれば、またまた金融バブルが起こって大騒ぎ。その内バブルが崩壊してギリシアショックの二の舞。こうなれば、マネーは円に集まり、またもや天文学的円高。アベノミクスなど吹き飛んでしまう。そうなるのにあまり時間は懸からない。2〜3年もあれば十分。ギリシア支援を拒み続けたメリケルの気持ちもよく判る。
(14/01/14)


 100億ユーロのカタに25%の預金課税でEUのキプロス支援が決着。260億ユーロとされるキプロス預金の大半は、ロシア人預金と云われる。と言うことは50億ユーロほどがEUに持っていかれる訳だ(EUが要求したキプロスの単独補償額が58億ユーロだから、大体金額は釣り合う)。しかしこれに対しロシアは何も云わない。一説によると、100億ユーロのEU支援でキプロス財政が維持出来たなら、ロシアにとってその方が得だ。何故なら、財政再建のリスクをロシアが負わなくて済む。キプロスがEUを離脱してもしなくても、タックスヘヴンとしてのキプロスは維持出来るから、ロシアのオフショアバンクとして今後も利用できる。どっちに転んでもロシアは損をしない、と言うのがメドベージェフの読み、というお話。
 しかし、そんな虫の良い話しが何時までも続くでしょうか?今後キプロス経済はEUの管理下におかれる。その結果ロシア始め、怪しい国や個人のギャングマネーの実態が明らかになる。又預金課税は今回一回限りとされるが、そんなもの判らない。キプロスが改心しなければ何度でもやる可能性もある。そうなればキプロスは破綻国家となり、EUを離脱してロシアの属国になるしかない(それがロシアの狙いだ、という説もある)。それをキプロス人(つまりギリシア人)が受容するかどうかだ。キプロスに隣接する北キプロスはトルコ系。トルコとロシアは中世以来宿敵の関係。キプロスがロシア領になれば、トルコだって黙っていられない。東地中海は一挙に緊張を増す。
(13/03/25)

 プーチンの政敵ベロゾフスキーの突然の死。誰が見たってプーチンの仕業と思うでしょう。あの国はイワン雷帝の時代から少しも進歩していない。
 一方のイギリスも諜報能力が低下しているのか?007の国は何処へ行った?
(13/03/24)


本日東証日経平均はいきなり12500円近くを付けて前日終値から260円超のアップ。これでボロも受けしたのが大勢いる。自民筋はもとより、アベや石破もその一人か?

 キプロス危機でEUが預金課税を要求。外国が一独立国の金融政策に口出しするなど前代未聞(IMFは別)だ。キプロスは所謂タックスヘブン。EUは、キプロスに本来本国で納税しなくてはならないマネーが逃げ込んでいると踏んでいるのではあるまいか?これを掴まえられたらキプロスも大変。只今国家・国民挙げて猛反対の最中。ロシアがキプロス支援を表明しているから、プーチン資金も隠れているかもしれない。他にジョンウン資金とか、習資金なんかがぞろぞろ出てくると面白いですねえ。
(13/03/19)


 ギリシア支援へのEU会議に、ギリシア首相がいきなり欠席。眼の手術が理由というが、こんな見え透いたウソ何処にも通用しない。せっかくみんなで助けてやろうといっているのに、それを自分でぶち壊しているのだから世話ない。理由は緊縮策の与野党合意案。なんのことはない、緊縮案全部を元に戻すだけ。改革はやらず、EUからの支援だけを求める。こんな甘い考えでは、とてもEUの納得は得られない。要するにEUに合わす顔もなくて、会議をサボっただけなのである。サマラスというのは、単に家柄と人が良いだけの能なしだね。ヤバイ場面になると、頭を隠して穴に潜り込んで、騒ぎが収まるのを待つタイプだ。ギリシア人全体がそうなのかもしれないが。やっぱりこの国は、何処か大国の領地になって、国民はその奴隷になるのが適しているのである。何のための再選挙だったのだ?
(12/06/25)

 ギリシアの次はキプロス。際限はありません。次は何処でしょう。Bricsの内、sが消えた。今もっぱらの噂は次はB(ブラジル)とi(インド)。その次はおそらく韓国でしょう。韓国はイーミョンバクの突撃営業路線で自転車操業のまっただ中。新興国バブルが何処か一カ所でもこけたら、皆こける。日本でもバブル崩壊時によく見られた光景。
 ここでヤバイのは、昨年野田がやった、中韓日700億ドルSWAP協定。日本はこれを韓国に持ち逃げされないよう、厳重監視する必要がある。
(12/06/24)


 今私が一番嫌なオンナといえば、塩野七生だね(以前は曾野綾子だった。中身は大したこと無いくせに、あの説教臭さが鼻につく)。昔は塩野本はよく読んだのだが、この頃になるとあのヨーロッパ崇拝主義、イタリア憧憬趣味が鼻について、読むに耐えなくなった。
 その典型が文春今月号の対談「日本は何故改革できないか」。本屋でパラパラ斜め読みしただけで、この馬鹿オンナの知的レベルが判って読む気がしなくなった。所詮十字軍オタク。もっとも対談相手のオトコや、こんな低レベル対談を載せる文春という会社のレベルも相当のものである。
 対談のポイントは概ね次の通りではなかったか。
・市場の開放
・消費税率、宗教法人への課税
・年金支給年齢の引き上げ
・公務員給与の引き下げ
・労働市場の開放
・教会財産への課税
 他にもあったかもしれないが、忘れてしまった。七生はモンテイ首相の改革を挙げて、対談者も含め日本はこれらの改革が出来ていないと糾弾するのである。しかし、これらの改革は日本ではとっくの昔にやっている。宗教法人への課税でも、ヨーロッパ特に地中海地域のカトリック圏がデタラメなだけで、プロテスタント諸国や日本ではずっと厳しい。いい加減な国の基準で物事を判断してはならない。しかし、ここでは最も重要な課題がすっぽ抜けている。それは
・マフィアへの課税
である。マフィアの年間売り上げはイタリアGDPの7%約14兆円とも云われる。これを見過ごして置いて何が改革だ。IMFも見放す筈だ。
 それより、イタリアでモンテイ改革が進んでいれば、ユーロも値上がりし、イタリア国債の格付けも向上し、EUも危機を脱しているはずだ。モンテイ改革が始まって約3ヶ月になるが、相変わらず聞こえるのは、ユーロ危機。これを回避するため、安全パイとしての円や日本国債への資金逃避。この対談の主旨は、日本は駄目だが、ヨーロッパ(特にイタリア)は改善しつつある。だから大丈夫ということだろう。そうでなければ、何故七生を引きずりだすのか?では、アメリカ、EU、日本、この中で、どの政府が一番まともでしょうか?
 まずアメリカ。現在のアメリカ経済の苦境の原因は08年のリーマンショックだが、その原因になったのはサブプライムローンの破綻と云われる。しかし前年の07年春頃には、既にこれが顕在化していた。一方07〜08年に掛けて顕在化してきたのは、食糧及び石油の投機的値上がりである。これをブッシュ政権は見逃してきた、というより煽っていた疑いもある。リーマンの破綻で、日本は三菱UFJがモルガンスタンレーの救済に動いたり、野村がリーマンの不採算部門を引き受けたり(結局、高い給料を取る割に役立たずということが判って切り捨てられた)、さらに翌年には、GM救済のための見え透いたトヨタ叩きにも耐えて、アメリカ救済に協力してきたのである。この間、一貫して進んできたのは円高である。しかし、リーマンショックから3年半にも経つのに、未だにアメリカは経済不況から脱しきれていない。一体全体、今まで何をしてきたのだ。無能の極みである。
 次ぎにEU。アメリカの苦境、日本の円高を後目に、バブルの恩恵を受けたのがEUである。ところが、それもここ2年でメッキが剥げてきた。EUの好景気はメッキだったのである。スペインでは一民間銀行救済に、当事国だけでなく外国からの支援が必要と云う始末。イタリアもギリシアもポルトガルも、実は自力更正は不可能なのである。つまり国家の破綻である。だから、みんなユーロを見捨てて円に逃避するのだ。これも又無能の極みである。
 さて、日本。国家予算の7倍以上に登る財政赤字を抱え、世界史上稀な少子高齢化を控え、更なる円高に脅され、これなら誰が考えても国家破綻ではないか?今、世界で一番景気が良いのは、中国・ロシア・韓国である。ところが、アメリカやヨーロッパ市場を脱出した投機資金は、これら3国を素通りして皆日本にやってくる。何故か?それを七生や文春は考えなくてはならないのだが、知的レベルが低いから無理なのだろう。
 以上から云えることは、今の世界政府の中で一番まともなのは日本だということだ。特に現在の野田の粘りは、日本政治史上で特筆されるだろう。
(12/06/23)

 
 ギリシアはとりあえず一安堵だが、なお続くユーロ不安。ここでよく聞こえるのは、ユーロが暴落すれば、その影響は世界経済に影響する、というヨーロッパ系経済学者や銀行経営者の、世界への脅しとも採れる発言。これに脅されて、日本まで対ユーロ支援を打ち出した。自分が強い時は周囲に自分の価値観を押しつけ、都合が悪くなると、金を出せと脅すのが騎馬民族の習性。なお、今の中国人や朝鮮族が皆騎馬民族であったことを、お忘れなく。
 ユーロなどほったらかせば良いのだ。そうすれば、現れるのが第三のローマ帝国の滅亡。ローマ人はフン族とゲルマン人と、トルコ人の奴隷になった。
(12/06/20)


 ギリシア再選挙で保守派(緊縮財政派)が勝利し、とりあえずEUや市場は安堵。我が国でも、民主野田や自民谷垣ら増税派は一安心。逆に小沢ら反増税派はショック。彼等の云う民意の逆方向に針は振れた。
 今日からユーロ/円レートが上昇。同じ日、フランス下院選では左派社会党が勝利。一見ギリシアと逆じゃないかと思うでしょうが、実はこれは同じトレンドを向いている。フランスで敗れた保守派は元々、経済成長派。経済刺激で成長率重視。その結果が経済格差拡大とか、犯罪増加。逆に経済成長を抑えて調和のある社会を、というのが左派の主張。フランスと同じく経済成長に伴う過剰投資とバラマキで、巨額の不良債権を作ってしまったのがスペイン・イタリア。これらの国に共通するのが、外国からの支援要請と緊縮財政。つまり、これからしばらくは、ヨーロッパの経済成長は期待出来ないということ。これでショックを受けるのが、これまでヨーロッパの無駄使いでボロもうけしてきた中国と韓国。ヨーロッパが全体として緊縮に入れば、ヨーロッパ向け輸出で経済成長を続けてきたアジア経済も、収縮の懸念が深まる。中国人件費が、以前に比べ倍以上に跳ね上がっているから、アメリカに生産拠点を回帰するアメリカ企業も出てきている。中国市場も安泰ではない。
(12/06/18)


 ギリシアで連立工作が失敗し、更に混迷が深まる。ギリシアのことなんてどうでも良いじゃないか、と思うでしょうが、これは明日の日本の問題です。次の総選挙で過半数を採る政党はない、というのが大方の見方。選挙後活発になるのが連立工作。果たしてどういう組み合わせになるのか。ギリシアの政局が、日本の次の政局を占うヒントになるかもしれない。
 
なお、話し合い解散になれば、民・自大連立の公算大。しかし、その条件として小沢グループの処遇問題が立ちはだかる。
(12/05/12)

 ギリシアの混迷はどこまで行くのか?個人的には行くまで行って、潰れてしまうのが一番良いと思う。あんな国、無くても誰も困らないし、あったところで迷惑なだけだ。但し、巡り巡って廻りは大迷惑。日本が迷惑しなければ、どうでも良いのである。というわけにもいかず、早速起こったのが、円高と株安。はた迷惑をまき散らすのが、グローバル経済の特徴と結果。
(12/05/10)


 ギリシアで反緊縮派の急進左派が第二党に躍進。与党はこれと連立を組むわけにもいかず、仮に左派勢力の主張を取り入れて、外国らの支援を拒否したり、緊縮策を採用しなければ、ギリシア経済はどうなるでしょう?EUから追放され、第二次大戦後以来の途方もない猛インフレに見舞われる。金持ちは皆国外に脱出し、国内には文句ばかり多いが、働きたくない貧乏人ばっかりが残る。必然的に考えられるのは、軍部クーデターかファッショ政権の誕生。そこに中国が手を出してくる。ギリシア債務を全部肩代わりしましょう。その結果、ギリシア人は今の物乞い生活から、中国人の奴隷に身をおとすのです。
(12/05/07


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