トヨタリコールとアメリカ

 技術士 横井和夫


  今VW車の環境基準データ捏造疑惑が顕かになって、VW自身の存立まで影響を及ぼしています。問題はデイーゼルエンジンの排ガス濃度がアメリカの規制値を上回っていたにも拘わらず、基準をクリアーしていると北米市場で,車を売りまくったことです。そういえば数年前、なにかの記事で「今ヨーロッパではデイーゼル車が主流だ、ガソリン車主流の日本業界は遅れている」てな評論を読んだことがある。今考えると、これを書いた評論家はVWから金品を受け取っていた疑いがある。このように産業界を巡る評論では、結構裏で金が動いているのだ。
 さてVWがこの件でエンジンを取り替えるとすると、必要なのは排ガスフィルター。これの製造技術は日本が一歩先んじている。排ガスフィルターの製造に必要な物質は、銅・鉛・亜鉛等の重金属やバナジウム等のレアアースである。つまり危機はチャンスなのだ今後これら重金属およびレアアース価格の高騰が予想される。多分、既にこの市場に目をつけているビジネスマンはいるはずだ。但しこれらの物質はいずれも有害物質であり、先進国では環境への拡散は厳しく制限される。
 エンジン排ガスは高温だから、フィルターに含まれる重金属類はイオン化し、空中に拡散する。重金属イオンは重いから広範囲には広がらないが、道路周辺に濃集する。例えば近畿地方の某ダムでは、湖底の泥からバナジウムを含む重金属類が高濃度で検出されている(マル秘)。このダム湖の傍には結構交通量の多い道路があり、デイーゼル搭載の大型車が多い。排ガスが吸収した重金属イオンが湖に沈殿したのである。
 これをヨーロッパに置き換えれば、スイスやドイツ・オーストリア等中部ヨーロッパ方面に広がる湖沼が、将来重金属汚染にさらされることになる。と言うことは結局は、将来全てガソリンカーに交換しなくてはならないということか!そうなれば当然ガソリン価格は高くなるから、石油精製企業株が狙い目だ。
(15/09/24)

 例のハンプ容疑者オキシトドン騒ぎでとうとうトヨタ本社までが家宅捜索を受ける始末。おそらくこの女、今回だけでなく、これまでも密輸してきたことを吐いたのだろう。その裏づけ捜査だ。この期に及んで、未だトヨタはこのアバズレを庇うのでしょうか?。
(15/06/24)

トヨタのアメリカ人女役員の麻薬密輸事件で、トヨタ副社長が「身辺調査をしていなかったのか」という報道陣の質問に対し、個人のプライバシーにはタッチしないと回答。前日のトヨタ社長の庇い発言といい、涙あふるる物語りだ。アホとしか言いようが無い。こんなことでこの会社、けじめがつけられるのでしょうか?所詮三河の田舎会社だ。
 昔ワタクシがダイヤコンサルタントという中小企業に移ったとき、暫くすると探偵社のあるものがやってきて、あれこれ筆者の前歴を喋りだす。なにが云いたいのかと言うと、人事録に載せるのでお金を出してくれというお話。会社がこの探偵社にワタクシの身辺調査をさせていたのだ。原発問題も抱えていたから、大阪市立大学というアカ大学出身が気に障ったのだろう。
 たかが中間管理職でさえこれだ。グローバル企業の執行役員ならもっと厳密な身辺調査が必要だろう。その中でも薬物は特に重要なポイントだ。何故なら健康状態のチェックに必要だからだ。
 もしトヨタがこの女に甘い処分をすれば、その結果はトヨタに跳ね返ってくる。例えばトヨタ社員が麻薬密売とかその他の犯罪行為に手を染めたとしよう。トヨタはその人物を解雇することが出来なくなる。執行役員が無処分で、従業員が何故処分されなければならないか、ということで問題は訴訟の場にさらされる。そういう場面を避けたければ、トヨタはさっさとこの女を解任すべきである。代わりは幾らでもいる。
 それにしても不思議なのはマーケットの動き。こんな騒ぎがあっても、マーケットにはめだった動きは無い。と言うことは、この女、マーケット的には全く期待されていなかったということだ。
 ソフトバンクが次期トップとして、アローラというインド人を165億円の報酬で採用。インドという地域はイラン・中東・北アフリカと並ぶ薬物セクハラ天国。ソフトバンクにセクハラ嵐が吹き荒れるだろう。孫も身辺調査を十分やっておいたほうが良い。
(15/06/20)

知らない間に日経平均は一時的に2万円割れ。年内2.5万円は行くといっていたあの元気は何処へいったのか?折悪しくトヨタ新常務役員のアメリカ人女性が麻薬密輸疑惑で逮捕。これでトヨタ株は一気に売りに出され、下手すると株主代表訴訟だ。そのお陰で日経平均は更に下落する。状況から見てあのアメリカ女は救いようが無い。これまでのキャリアから見て、アメリカグローバル企業のトップ・・・あの女だけではないだろう・・・はヤクに染まっていたということだ。
 さてヤクに染まっているのはビジネス界だけでしょうか?我国トップのアベ晋三首相のステロイド・・・これは抗ウツ効果がある・・・疑惑は消えていない。ところがトヨタ社長は事実を直視せず、「仲間を守るとか社長が親なら社員は子供だ」などとお涙頂戴談話。事態を全然判っていないのではないか?
(15/06/19)

 むしろ売国的なのは現在のアベ政権;アメリカでのタカタ製エアバッグ故障騒ぎ。今の所出てきたのは負傷者が5名だけ。これかつてBSE騒ぎのときのアメリカ産牛肉BSE感染確率より低い。このときアメリカは日本の全頭検査を批判し、統計上問題ないとした。このときアメリカの肩を持って提灯記事を書いた東大馬鹿教授がいた。 ところが日本からの輸入品となると、がらり態度が変わって全頭検査を要求。こんな身勝手な国にアベ政権は集団的自衛権を行使しようとするのです。これが愛国的といえるでしょうか?むしろ売国的なのは現在のアベ政権です。
 そもそもタカタだって、全製品を一箇所で作っているわけではない。工場は国内だけでなく全世界にまたがっているる。問題が起こった場合、まずやらなくてはならないのは、問題製品がどの工場のどのラインで製造されたかを確認することである。それをやらずに何でもかんでも一緒くたにするのは、ユダヤ人のスリが捕まったとしてユダヤ人はみんなスリだ、というのと同じでヘイトスピーチ人種差別につながる。
 08年のトヨタ車事故のときもそうだったが、今回もTPP潰しのためGMら自動車メーカーと労組、それに議会の共和党系議員がタッグを組んで日本製品潰しに動いているのは顕か。こんなことではTPPなど夢の又夢。太平洋諸国は原点に戻って、アメリカ抜きのTPPを進めたほうが早いだろう。
(14/11/29)

アメリカでタカタ製エアバッグの欠陥について、大規模なリコール運動が起こっています。この点について、一昨日ロイターが興味ある報道を行っています。これによれば、タカタ製欠陥エアバッグの全てはメキシコ工場で生産されたもので、しかもあるときアメリカ人が工場支配人に任命されたときから始まったという。彼はあくまで生産・効率優先主義で、従業員とのコミュニケーションやイノベーションには興味を示さず、従ってみんなやる気をなくしてしまったということだ。つまりアングロサクソンの強欲にタカタもメキシコ人も騙されたのである。
 4年前の北米トヨタリコール騒動も、騒動の原因になったのはアメリカの下請けメーカー。おまけに事故はトヨタの責任ではないということで決着がついた。その間、莫大な金がアメリカにむしりとられた。今回もその二の舞ではないか?
(14/11/25)

 オクラホマの竜巻騒ぎで小学校にシェルターが無かったことが判明。理由は予算が無いと言うことだ。オクラホマは中西部で元々共和党保守派の強いところ。大方州か郡の保守派、特にテイーパーテイー辺りが、公共予算に反対したのだろう。さぞ満足でしょう。
 オバマがこの災害を特Aクラスに認定。連邦予算を注ぎ込みますよという姿勢。その内、アメリカでこの件を巡って民主党vs共和党の非難合戦(泥仕合)が始まるでしょう。
(13/05/22
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 ボーイングがB787の再飛行に向けて新型バッテリー搭載機での試験飛行というので、果て何処製のバッテリーかひょっとしてフランス製か、と思っていたら、何のことはないGSユアサ製。と言うことは、世界でこのような大容量リチウム電池を作れるのは日本だけ、ということだ。但し、何処かから邪魔が入ってバッテリーがボーイングに届かないらしい。アメリカかヨーロッパメーカーが陰でごそごそしているのか。更にその陰に何処かの議員がいたりして。
(13/03/09)

 B787トラブルはどうやらバッテリーに問題あり、と云うことになりそう。このバッテリーは日本製。しかし、バッテリーだけが問題なのではない。製造元のユアサは、これを周辺機器を製造していたフランスメーカーに納入していたらしい。つまりユアサは孫請けだったわけだ。この周辺機器にも問題あり、となりそうなのだ。ところでここに疑問が一つある。ユアサバッテリーの採用をボーイングが指定したのか、或いはフランスメーカーが独自リサーチで採用したのか?これで責任の所在が変わってくる。ISO9400によると、設計の最終段階でデザインレビューというものを行わなくてはならない。これは個々のステップでの設計が、全体設計に対し適合しているか否かの総合チェックである*。この面で云うと、最終納入者であるボーイングの責任は免れないが、バッテリーを含めた電源系を納入したフランスメーカーも無罪ではない。 何故ならISOはTQCと違ってトップダウンだから、上流にある企業が支配領域については責任を持たなくてはならないからである。さて全体設計でのデザインレビューが行われたのか?ISOではトレーサビリテイの確保も要求されている。「資料は残っていません」というのは言い訳にならないのである。そういう意味で、世界で一番遅れている、というより殆ど犯罪的なのが、日本の役所である。中国は日本以上かも知れないが。
*大型工業製品は通常、単純なユニットと、それらを繋ぐ連結系で成り立っている。これらは一つの複雑なシステムを作る。かつては1企業(又は工場)でそれらを全て生産していたのだが、現代ではそれが次第に複雑化し、ユニットそのものを外注するようになった。更に経済のグローバル化とともに、ユニットも海外で生産するようになった。特にこれは90年代以降のアメリカで著しい。しかし、仮にユニットが設計仕様を満たしていても、連結系に不具合があれば、全体システムが機能しなくなる。例えば東電福島第一原発事故では、汚染水濾過のため、フランス・アメリカから濾過装置を導入し、それに日本製を加えて濾過作業を行おうとした。筆者はこれはまず上手く行かないと予測したが、実際濾過システムはトラブル続きで効果なく、結局全部が東芝製に切り替わった。何故筆者が「上手く行かない」と予測したかというと、連結配管のネジが合わないためである。日・米・仏それぞれでネジの規格(ゲージ)がバラバラだから、そんなものを寄せ集めたところで、木に竹を継ぐ例え。上手く行くわけがない。これを避けるためにISOはデザインレビューを要求しているのである。
(13/01/18)

 相次ぐボーイングB787トラブル。部品の35%は日本メーカー提供というが、これは主に機体・主翼部分。発生トラブルは主に油圧系統等の動力系。さて、B787は相次ぐトラブルで、日本では当分運航停止になる。しかし、あれほど危ない危ないといわれたオスプレイには、一向に事故報道がない。一体これはどうした事じゃ?オスプレイ反対派の説明を求めたい。
 そしてこれをチャンスと伺うのが、三菱MRJ。この辺り、民主党VS自民党、三菱VSボーイング(とその代理店。おそらくイオトチュー辺りか)などの戦いがあって、本当のところは判らない。実態が暴露されるのは、おそらく20年先だろう。その間ミナサンは危ない飛行機に付き合わされるのです。
(13/01/16)

 実は、トヨタ事故の大部分は、操作ミスか自分の思いこみと言うことが判明。事件はこれで終わり。そこで面白いのは、トヨタ問題での下院公聴会。出てきた議員は一方的にトヨタ非難の演説をブツと、さっさと帰ってしまう。これは問題を自分の選挙に利用しようとするパフォーマンス。何故こんなパフォーマンスが流行るかというと、アメリカ下院選挙も、日本と同じ小選挙区制だからです。日本にも小選挙区制の弊害が露わて来つつあります。それはエネルギー政策に於いてです。脱原発などと、技術的裏付けもなく、思いつき感情論だけの与太話しが政策として定着しつつある。これが日本を破滅させるだろう。
(11/07/11)

 ソニーのPS3情報ジャックで、情報公開が遅いと、海外で俄に高まる日本企業バッシング。しかし、ソニーは日本企業でしょうか?ソニーの株主の6割は外人投資家、役員の過半数も外人。社員のおそらく8以上は外国人。ソニーは既に日本企業ではなく国際企業なのだ。実際、今から10年ほど前、ソニーの誰かが、「最早我が社は日本を相手にしていない」と言い放った。では世代の問題か?よく云われるのは、日本企業の意志決定が遅れるのは、経営者が高齢化し、保身に奔るからだ、と。しかし、バブル崩壊後その会社も・・・特に輸出関連業界を中心に・・・世代交代が図られ、今では役員の平均年齢は40〜50代が普通。この世代が無能なのか・・・その可能性はある。
 この事件のバックに中国ハッカー集団があったとすれば、問題はもっと複雑になる。
 では国際企業が情報公開に積極だったでしょうか?例えば、メキシコ湾でのBPとか、チリの鉱山会社とか。最も不熱心なのは、ウオール街の投資銀行。その他、中韓企業など公開する気もない。
(11/04/30)

トヨタがアメリカのイラン制裁を受けて、イラン向け輸出を停止したにも拘わらず、アメリカがイラン原発稼働開始を容認。一体全体トヨタの努力は何だったのか?アメリカのイラン制裁とは、イランから日本車を追い出し、後をGMで独占する計略だったのか?
(10/08/14)


 やっぱり出てきたトヨタ車事故のヤラセ報道疑惑。アメリカ運輸省事故調査委員会は、一連のトヨタ車事故をフロアマットの引っかかり等のトラブルを除けば、ブレーキの踏み忘れなどの人為的事故と断定。電子系統などの構造的欠陥には結びつかないという結論だ。この点は筆者が早い時点で指摘している。つまり、トヨタトラブルは自動車メーカーと労働組合のタッグによるヤラセではないか、と。それにマスコミや行政までが乗っかったわけだ。要するに、アメリカには金がない。いいところにトヨタというカモが引っかかってくれた。これにたかれば金になる。かつてアメリカ自動車労連を牛耳っていたのはシカゴのギャング達。いまだにDNAは変わっていない。
(10/08/12)

なんとか黒字決算のトヨタが、役員報酬の全額辞退など経営責任にケジメをつけているが、海の向こうでは、政府(つまり税金)から巨額支援を貰って赤字を一掃したギャンブル銀行や、GM、フォードなどボンクラ会社の悪党・アホ経営陣が巨額ボーナスを取りたい放題。日米文化の差と言うか、情け無くなりますねえ。資本主義の堕落、これに極まれり。トロツキーなら、どう評価するでしょう?
(10/05/13)
 
 トヨタが今期1500〜2100億円の営業黒字を見込んでいる。それはおめでたいことですが、実態は売り上げ減のコストダウン。下請け叩きと下請け潰しの結果。製造業としては自慢にはならない。むしろ恥ずべき黒字。アメリカからは更に厳しい突っ込みがあるでしょう。
(10/05/11)

 先月のアメリカ自動車統計では、自動車メーカーは軒並み前年比二桁の売り上げ増。あのトヨタでさえ22%増。但し、前年が酷かったから完全回復とは云えない。それでも筆者が平成22年大胆予測でぶち挙げた「本年後半、アメリカ経済本格回復」に近づいてきました。但し、ルイジアナ沖原油流出事故が、今後アメリカ経済回復の足をどれだけ引っ張るのか不透明なのが懸念材料。
 なお、ルイジアナ事故の原因は、ガス爆発に伴うライザーパイプの破損。ライザーパイプには暴噴防止装置が付きますが、これが機能出来る状態ではなっかたのでしょう。
(10/05/04)

 トヨタ米社のレンツ社長が、三月期トヨタ車の30%売り上げ増を発表。原因は、GMと同じ低金利ローン販売のおかげ。両社が同じ土俵に乗れば、勝負は最終的には燃費の善し悪しで決まるだろう。その隙を狙うのが、韓国の現代。性能争いは日米両社に任せ、自分はひたすら低価格で売り込みか?
(10/03/31)

トヨタが中国せっ江省で、一部車種についてリコールだけでなく、補償もすると地方政府が発表。政府発表だからホントか嘘か、トヨタが呑んだかどうかも判らない。しかし、リコールは部品の無償取り替えまでで、補償はしないのが原則。 トヨタがこんなことをすれば、影響はたちまち外国企業にも及ぶし、第一アメリカでのリコールをどうするんだ。トヨタが呑んだとすれば、何か背後に政治的圧力を感じます。例えば中国にすり寄る小沢一郎とか直嶋の影。
 アメリカじゃGM、フォードのV字回復が取りざたされていますが、何のことはない、政府がトヨタの頭を叩き、GMが後ろ足で引っかけただけの話。中身は何にもない。その内馬脚を表すでしょう。
(10/03/30)


 昨日、NY州警察が、プリウス事故を運転ミスと発表しました。その他のプリウス急発進事故、特に中国での事故は殆ど便乗ねつ造事故でしょう。民度が疑われます。
(10/03/23)

その後、NYでのプリウス事故も、ねつ造の疑いが出てきました。
(10/03/20)'

 国内初の新型プリウス事故が、自作自演の可能性が出てきました。アメリカの事故だって、その殆どは本当かどうか判らない。GMと保険会社、法律事務所が組んでやったヤラセかもしれませんよ。アメリカの弁護士は、事件を作ってナンボという話しらしいから。
 そういえば、アメリカの医者は聞いたこともない病気を作る。T.ウッヅのセックス依存症なんて聞いたこともなかった。こういう新しい病気が現れるたびに、治療薬が開発されて、製薬会社と医者と保険会社は大儲け。
(10/03/19)


 
ハートロックというイラク派遣米工兵を描いた映画がアカデミー賞を採った。なんでこんなのが賞に値するのか?アメリカは勝手にイラクに行っただけ。不法侵入者のやった事が、そんなに素晴らしいことでしょうか?アメリカギャングの所為で殺されたイラク人はアメリカ兵戦死者の数10倍に及ぶ。
 同じくドキュメント賞を採った”ザ・カーブ”というキワモノ映画。これこそアメリカギャングの賞と金取り作戦。最早アカデミー賞はバカデミー賞になってしまった。昔は「西部戦線異状無し」とか「戦艦バウンテイ号の叛乱」のような優れた作品を作ったアメリカ映画界が、今や金儲け(キワモノもその一部)しか考えなくなってしまったのだ。”ザ・カーブ”など、口では環境保護などと云っているが、本音は金儲け。ハートロックも似たようなものだ。今やアメリカ映画界はみんなギャング化してしまったのだ。芸術の資本主義的堕落である。
(10/03/17)


  ・・・・さて、本当の原因はなかなか判らない・・・それどころかトヨタ車のブレーキ不具合だって、本当にあったのかどうかも判らない・・・・と03/09に書きましたが、何となくそれが本当のようになってきました。それどころかアメリカ議会でも風が変わりつつ模様。特にテキサスやケンッタキーと云ったトヨタ工場地帯で、民主党の強い・・・と言うことはアンチトヨタ・・・東部やカリフォリニアに対抗してトヨタ援護射撃が始まりつつある。これ背景にあるのはアメリカの経済・雇用情勢。相変わらず10%強の高い失業率を改善出来ないオバマ政権を叩いて、秋の中間選挙の布石を打っておこうというわけか?
(10/03/16)

 カリフォルニアオレンジ郡検察が、トヨタ車事故を巡ってトヨタを提訴する。もうピーンと来ると思いますが、よっぽど金が欲しいのだな。カリフォルニアの財政危機は最早限界を過ぎ、金になるものなら何でも金にしようという算段だろう。殆どヤクザのインネンと変わらない。公開実験やABC報道にインチキがあったことが発覚し、今や事態はトヨタ有利に傾きつつある。
 捕鯨問題でも、オーストラリアは国際法廷への提訴を匂わせているが、やりたければやらせりゃ良い。少なくとも裁判をやっている間は捕鯨を続けられる。法律上、オーストラリアやNZが勝てるわけがない。
(10/03/13)

 トヨタに続いて、新幹線「のぞみ」白煙事故で、ベアリング破損が発覚。ベアリングは真球加工されるが、その精度は機械系全体の精度・安全性を左右する。特に新幹線などの高速走行体では、極めて高い精度が要求される。無論この技術は、プルトニウム型原爆の起爆材製造にそのまま利用されますがね。
 ベアリング加工技術は、これまで日本が世界一のレベルを保持していた。それがこんな事故を起こすと、これからの新幹線ビジネスを始め、原発やその他民政ビジネスに影響を与えかねない。この原因は、これまでの過度のリストラで、技術の伝承が不連続になってきたためだ。日本の経済学者や経済評論家は、何かあると「日本には世界に誇る技術がある」と、製造業の実態を無視し、生産現場のリストラを奨めてきた。そのツケが今のトヨタを始めとする、技術の信頼性低下に繋がっている。その始まりは、企業の中身より外面(つまり企業収支)を重視する竹中・コイズミ・トヨタ奥田・張市場経済主義路線にあり、極みが、民主・財務省主導の事業仕分けである。「コンクリートから人へ」の果てにあるのが、日本の破滅だ。管や鳩山をコンクリート詰めにした方がよっぽどましだ。

 トヨタ問題は次の三点に集約されると云われる。
  (1)フロアマットの引っかかり
  (2)ブレーキペダルの不具合
  (3)電子制御装置の問題
 ここで(1)(2)は大した問題ではない。部品を取り替えればそれで済む話しだからだ。問題は(3)である。アメリカはこれの全面公開を要求している。この結果は次のようになる。
@もし、欠陥が見つかると、それ見たことか、とトヨタ叩き・・・ひいては日本叩き・・・が勢いを増す。議会民主党勢力はこれを望んでいるだろう。
A問題が見つからない場合でも、トヨタのノウハウはアメリカに筒抜けだ。それが潰れかけのGMやフォードの起死回生治療薬になるかもしれない。
 いずれにせよ、アメリカは損をしない。始めから、ホワイトハウス・議会とGM、自動車労連で出来上がっていたストーリーではないか、と疑われるのだ。
(10/03/09)

何となく、米議会公聴会のトヨタ糾弾(糾弾という言葉を知っていますか?これは昔・・今でもか・・部落解放同盟が行政やアンチ解同を狙って使った大衆団交のこと)も、思った通り有耶無耶決着の模様。始めからのヤラセでしょう。章夫がなかなか公聴会に出なかったのは、そのための根回しに手間取ったのか?ここで出てきたラストレラという被害証人、おそらく糾弾側のGMとか被告のトヨタから、天文学的裏金が動いている筈。
 さて、本当の原因はなかなか判らない・・・それどころかトヨタ車のブレーキ不具合だって、本当にあったのかどうかも判らない。しかし、与謝野ではないが、言霊で覆水盆に返らず。トヨタ側が認めた原因の中に、「事業の急拡大に対し、それをフォローする体制を整えられなかった」というのがある。これ実は、尼崎脱線事故の後、JR西日本という会社が出した結論とそっくりなのである。その原因として民営化後の井出元会長独裁体制が指摘されている。トヨタの場合、アメリカで最初にブレーキ不調が訴えられたのが03年と云われる。その前からの竹中ビジネスモデルに載って、北米展開が本格化した頃。トヨタトップは奥田・チョウライン。その頃、奥田・チョウはタイムの表紙にも載り、世界で最も注目されるビジネスマンともてはやされていた。これから見ても、経済学者や経済評論家の云うことが、如何に当てにならないかがよく判る。彼等はその時点で光りが当たっている部分しか見ないのである。そういう人間は、要するに頭が悪いのだ。尼崎脱線事故の前までは、JR西日本再生の鍵は井出イズムとされていた。それが今やどうだ。JR西日本に付いては井出イズムからの脱却が急務とされている。それなら、トヨタでも奥田・チョウイズムからの脱却が急務になる。それが出来れば、トヨタの業績は劇的に回復するだろう。さて、この状況、竹中平蔵氏はどう見るか?彼は相変わらず、責任をトヨタに押しつけて知らぬ顔をするでしょう。本当の原因は、彼がアメリカから持ち込んできた成果主義とかコストパフォーマンス最大化論にある筈なのだが。
(10/02/25)

 19世紀の中頃、アメリカで「アンクルトムスケビン」という品の無い通俗小説をきっかけに起こったのが、奴隷解放運動と南北戦争。黒人奴隷は正直で哀れな被害者、それに対し悪玉扱いされたのが南部の農園主と先住民。特に後者は残酷で野蛮な殺し屋。獣みたいな存在だ、やっつけろ!という雰囲気が読者の中で産まれた。そして、これがマスコミを通じて増幅・扇動され、戦後反インデイアン主義を巻き起こし、政治問題となって19世紀末での、スー、シャイアン、アパッチらへの迫害と弾圧を産んだのである。このように、アメリカ社会では、しばしばマスコミによる非アメリカ的存在への憎悪の扇動が行われ、それによって、政府・大衆一丸となっての国民運動が盛り上がる。一種の集団ヒステリーである。その原因は、単なる人種差別主義だけによるものか?そんなことはなくて、実は利権を巡る東部実業界と議会との闇取引があって、彼等がマスコミを利用しているのだ。無論、マスコミも承知の上で、キャンペーンを張るわけで、お互い裏で繋がっていると考えた方がよい。前述の対先住民問題では、スー、シャイアンは大陸横断鉄道建設に関する用地確保、アパッチ、コマンチに対しては、南北戦争後急速に進んだ東部での工業化で生じた、失業者対策としての西部植民政策が背景にあります。いずれも背後には企業利権や選挙対策があります。
 さて、アメリカトヨタ騒動。面白い統計が最近発表されました。10年1月のトヨタ車の販売実績は、北米では前年度比で15.8%減。しかしその他の国で増加しているので、トヨタ全体では殆ど変わっていない、というものです。如何にアメリカの対応が異様なものかが判ります。つまり、現在の反トヨタキャンペーンは、北米でのトヨタ販売を阻止し、GMの売り上げを伸ばそうというという意図、そしてその目的は秋の中間選挙対策に他ならない。現在オバマ支持率は50%を割っている。このまま行くと中間選挙で敗北、少数与党に転落しかねない。ここで、どうしてもつなぎ止めて置かねばならないのが労働組合。特に自動車労連、就中GM労組は重要である。そして忘れてならないのが、OB年金生活者。彼等は投票率が高い。又、アメリカの年金は企業業績連動型が主流だから、GMの業績が下がれば支給額は減るが、上がるとその逆。GM年金受給者の票を当て込めば、なりふり構っていられない。そこでイイカモにされたのがトヨタと言うわけ。
 しかし、トヨタの対応だって誉められたものではない。もっと上手くやれば被害を最小限にとどめられたかもしれない。そこでこの事態を固唾を呑んで見守っているのが、韓国の現代自動車だろう。トヨタの失墜で一躍北米販売NO1となったが、明日は我が身。喜んでいるだけでは能がない。今から早速、議会に韓国派サポーターを作っておかなくっちゃならない。
 なお、トヨタ問題を議会で主導している二人の議員。顔だけ見ると、とにかく人相が悪い。民主党も共和党も殆どシカゴのギャングだな。そもそも、30年代から50年代にかけてのアメリカ自動車労連はギャングに牛耳られていたのだから仕方がない。DNAは続くのだ。
 なお、このOB年金生活者が問題で、これがGM経営の足を引っ張り、破綻の原因の一つとなった。破綻後、幾つかの欧州系企業に、再建引き受けの話しがあったがどれも破談。経費の6割を年金が占めるような会社の再建を引き受けるお人好しはいない。結局は政府が尻拭いせざるを得なくなったが、こんなことを続けていたら、それこそアメリカ経済はおかしくなる。アメリカ経済を立て直そうと思えば、何処かでGMを切り捨てなければならない。その最後のチャンスが秋の中間選挙。日本でもJAL処理がこれに相当する。
 アメリカ人は文明国の割には、よく集団ヒステリーを発症する。最近では9.11以後の異常な反イスラム盛り上がり、その前は50年代の赤刈り、戦前の反日キャンペーン、前述の反インデイアン運動。古くは18世紀始めのサレムの魔女裁判。何故アメリカ人が集団ヒステリーにかかりやすいのか、心理学的な研究課題だが、筆者が思うに、要するにあの国は移民の国だからではなかろうか?移民というものは、故国を捨てて見知らぬ他国にやってきたもの。旧大陸の住民や新大陸でも先住民は、ユング流に云うと、いざとなれば大地母神の支えがあるから、それに頼って生きられる。しかし、ルーツを失った移民達は、本質的に孤独で不安に駆られている。その移民達の安全を脅かすようなことが起き、誰かが恐怖に駆られてヒステリー状態になれば、それが周囲に伝染して集団ヒステリー状態になる。これが進むと、過剰防衛本能が働いて、外敵に攻撃的になる。脳内物質で云えば、アドレナリン過剰状態である。アドレナリンの分泌が適度に抑制されるとドーパミンの効果が出てきて、アメリカ人特有の陽気さ、人の良さが出てくる。常に新しいものに挑戦したがるのもドーパミン効果だろう。つまり、あの国は常ににドーパミンとアドレナリンの微妙なバランスの上にある。しかも、このバランスはしばしば政治的駆け引きの材料として、政治家や資本家の思惑で左右されるのである。あの国と付き合わうなら、その程度のことは知って置かなくてはならないのだろう。
(10/02/24)

 トヨタ社長が社内改革の方が優先と、アメリカ議会公聴会出席拒否。それも良いだろう。そもそも、米議会公聴会などクソッタレの馬鹿騒ぎに付き合う必要もない。08年リーマンショック後の銀行相手の公聴会、09年のGM相手の公聴会、どれも経営者側からオチョクラレただけで何の結果も残せていない。只のガス抜き。あんなものに付き合う位なら、日本で何かやってた方がよっぽどマシかもしれない。アメリカだって、トヨタ「出て行け」と云えないのだから。トヨタが出ていけば、アメリカに17万人の失業者が産まれる。これはアメリカだけでなくオバマ政権への脅しになる。こんなことをすれば、今年の中間選挙での民主党敗北は決まり。そもそも、オバマなど、もう駄目なんだよ。
 トヨタや章夫が何処まで突っ張れるか?突っ張り通せたら、少しは見直してやってもよい。
(10/02/18)

トヨタ社長がやっと訪米を決意。いかにも遅すぎる。何かことが起こったとき、いきなり80%、90%の対応は無理である。仮に20〜30%程度のレベルでも早い方がよい。足らない部分は後から継ぎ足せば良いからだ。早い対応は火の拡大を防ぐが、遅れは被害を拡大する。三菱自工ハブ事故のトラブルがその好例。これはクレーム処理のイロハのイ。トヨタには、既にそういうことも解る人間がいなくなったしまったのか?あの常務の口振りからは、そう感じられますが。
 特に中小企業の経営者・管理職の方々は気を付けて下さい。
(10/02/10)

 米議会運輸委員会はトヨタブレーキ問題で、社長の豊田章男を公聴会に出せと要求するが、副社長が「どうぞワタシでご勘弁を」と平謝り。何か社長を表に出せない理由でもあるのでしょうか?例えば、鳩山と同じで、後先考えず思いつきで、とんでもないことを口走る癖があるとか。ひたすら逃げまくっているとか。イイトコのボンボンによくあるタイプ。そういうボンボンに育てたのも、あんた達の責任だよ。首相も首相なら、社長も社長か!どっちも人の上に立つ器ではない。日本のお先は真っ暗だ。
 朝青龍が闇示談なら、小沢と民主は検察と闇取引。鳩山闇献金は闇のまま。そうだ、高速無料化という闇実験もあった。
(10/02/04)

 トヨタ奥田の愚かな「選択と集中」例をもう一つ。奥田は経団連会長時代、「金も出すが、口も出す」といって、企業政治献金を経団連に集約し、それまでの「広く薄く」方針から180゜転換して、自民党への「選択と集中」を行った。ところが、昨年の政権交替。経団連は与党小沢に袖にされ、まともにコネも作れず、昨年の小沢訪中団にも呼ばれなかった。逆に自民党とは距離を置いていた(一種の「分散と機動」)同友会のウエイトが大きくなっている。これも行き過ぎた「選択と集中」が失敗した例である。
 一方民主(小沢)は、党幹部を自分の子分で固めたり、地方陳情を幹事長室に集約したり、各種業界団体に民主支持か否かの踏み絵を突きつけたり、事業仕分けで官僚の忠誠度を試したり、金と権力の「選択と集中」に余念がない。これまで述べてきたことから、過度の「選択と集中」は周り廻って、必ず自己破滅に繋がる。小沢の命運はこれによって尽きるだろう。それが試されるのが今夏の参院選である。
(10/02/02)

 トヨタが下請け部品メーカーにリコール対策費用の一部請求の動き。CTSとどういう契約になっていたか判らないが、別におかしいとも云えない。海外では下請けも元売りの設計に対し、クレームを付ける義務がある。これが海外事業での常識。日本でも、国交省や先進的自治体発注公共事業ではそうなっている。それが出来ない業者はリストラされるか、大手の下請けだ。岩手県ではそうはならなかったのだろう。これを怠っていたのなら、CTSも応分の責任がある。一方、CTSがクレームを出していたにも拘わらず、トヨタが無視しておれば、全面的にトヨタの責任になる。
 昔「もんじゅ」の製造で、温度センサーの形状に末端下請けのオッチャンがクレームをつけたが、上位下請けの石播が無視した。その結果が爆発火災事故。その後10数年の改修と1000億円からの追加費用。全改修費用を石播に請求してもよかったんだよ。
(10/02/01)

愚かな「選択と集中」
 トヨタが北米事業拡大を進めたのが、02年頃。丁度竹中ーコイズミ改革路線に沿ってのことだ。当時のトヨタは、会長が奥田碩、社長が張不二夫。その頃からビジネス界に流行りだした言葉が「選択と集中」。その内、どの会社も意味も判らずに、みんな「選択と集中」々とやりだした。この言葉の意味するところは、持っている経営資源(人的資源、財的資源)を、最も効果的なフィールドに集中する事によって、コストとリスクの分散を防ぎ、最大効果を挙げようとするものだろう。この言葉通りに事が進めば問題はないが、他の会社も同じフィールドに資源を集中してくれば、当然過当競争が発生する。競争に勝とうとすれば、価格を下げるため、更なる資源と資本の投下が必要になるから、少しもコストダウンにはならない。その内値崩れを起こして共倒れだ。即ち、これは早い者勝ちの論理で、後追いしても意味はない、ことを意味する。
 二昔ほど前にキーパーソンという言葉が流行った。役所や企業の中に、誰からも一目置かれ、あらゆる情報が集中する人物がいる。そういう人間がキーパーソンである。何かを交渉しようと思えば、まず彼をターゲットにしなければならない。というわけで、アホな会社はキーパーソンとやらに入れあげた。これも一つの「選択と集中」である。しかし、これは非常にヤバイ橋である。そういう人物には必ずライバルがいる。まず第一にキーパーソンが何時までもいるとは限らない。役人とかサラリーマンには転勤がある。政治家には選挙がある。特にマスコミから注目されるような大物役人・政治家(これぐらいでないと、キーパーソンとは云えない)には、警察の監視が付いていると思った方がよい。何かの拍子に、彼が今のポストを去り、そこにライバルが座れば、後は目も当てられないことになる。当時日本のキーパーソンと言われたのが、竹下登や野中広務である。彼等のその後を見れば、下手な「選択と集中」はやらない方がマシだということが判る。
 そもそも、この言葉は軍事用語である。近世以後での、「選択と集中」の天才はナポレオンだった。彼はこの戦術により、短期間で全ヨーロッパを征服した。ナポレオンに対抗するため、クラウゼヴィッツらプロイセン軍参謀が採った戦法が「分散と機動」である。1813年、ドレスデンの戦い。ナポレオン率いるフランス軍は要衝ドレスデンに陣取り、三方から迫る欧州同盟軍に、睨みを利かせる陣形をとった。戦線をコンパクトにまとめ、敵の動きに応じて縦横に対応出来る陣形である。このため、戦線は一時降着状態に陥った。この時、同盟軍はスウェーデン皇太子ベルナドットの進言により、一方から攻めて、ナポレオンが出てくれば退き、他方面から出撃する。その方面にナポレオンが出撃してくれば、やはり退いて多方面から仕掛ける。これを繰り返すことによって、ナポレオンとフランス軍を奔命に疲れさせ、その時を狙って一気に反撃に出る、という作戦を採った。作戦は功を奏して、ナポレオンは遂にフランスに退却した。これが「分散と機動」である。しかし、ナポレオンの成功は深くヨーロッパ軍人の感性に染みつき、その後も「選択と集中」は永く戦法の基本として受け継がれたのである。これを否定したのが20世紀半ば、毛沢東の人民戦争理論である。これは、人民の海の中に戦線を作り、人民の海に乗って敵を包囲殲滅するというものである。人民は常に流動的だから、戦線も一定しない。一定しない戦線に沿って動くのが機動である。これによって敵勢力を分散させ、敵に弱点を作ってそこに集中攻撃を加えるというものである。これは1946年からの国共内戦、更に後のベトナム戦争で実践された。現在のイラク、アフガン戦争も見かけで言えば、毛沢東人民戦争の延長、即ち「分散と機動」戦法と、欧米流「選択と集中」戦法の戦いと云えなくもない。
 さて「選択と集中」戦法は、未だにナポレオンの名声が衰えないことが示すように、華やかな勝利をもたらす。しかし、失敗による破綻も又大きいのである。逆に「分散と機動」戦法は、そもそも負ける戦はやらない、敵が強いと逃げる、小さい勝利を積み重ね、最期にドカンとやる戦法だから華やかさがない。但し、大勝はないが、負けない戦法である。ナポレオンは誰でも知っているが、ドレスデンで彼を破った将軍達の名前を知っているのは極希である。と言うわけで常にマイナーな存在だった。
 筆者が「選択と集中」よりは「分散と機動」が有利と考えたのは、昭和50年始め、丁度仙台支店に転勤し、地方から中央を眺めていた時期。地方業者も力を付けてきているので、大手だからといって油断は出来ない。むしろ中央大手こそ地方に力を入れなければならないと考えた。更にベトナム戦争が終わり、一つの区切りを迎えた時期にも重なる。その頃の経済状勢は、第二次オイルショックによる深刻な不況が到来していた。これを日本は「分散と機動」型経済で乗り切ったのである。それから25年後、日本経済はかつての「分散と機動」という知恵を忘れ、「選択と集中」という愚かな導きに我を忘れてしまった。その結果が今回のトヨタリコールである。
 最近に於ける「選択と集中」の最大の失敗例は、神戸である。神戸という街は、六甲山と大阪湾の間の狭い土地に、あらゆる資本と資源、人口を集中して出来た街である。平成7年、この街を突然地震(大した地震ではない)が襲い、その後数ヶ月に渡って殆ど都市機能が麻痺してしまった。これを回復するための投資により、神戸市の財政は殆ど破綻寸前である。都市機能を分散しておけば、神戸市の負債はもっと少なくて済んだ筈である。但し、神戸空港は地震とは全く別で、如何に神戸の人間がアホかという象徴。
 「選択と集中」には別の一面もある。これまで述べてきた例は、固定された閉鎖環境で、自分がアグレッシブに出来るフィールドの話しである。一方、昨今のグローバリズム環境下では、別の「選択と集中」が現れた。それはアウトソーシングと称する下請け生産の「選択と集中」である。昔は各元売り企業毎に下請け企業が異なり、仕様毎に下請けもバラバラにに存在していた。これでは少量発注になるから下請け単価も高くなるし、納期や品質もバラバラになる。そこで特定分野は特定企業に集約した方が、コストダウンになると言う発想が出てくる。実際、下請け企業も大量発注であれば、単価を下げても利益は確保出来る。そこでみんなこれに飛びついたのだろう。更にこれはグローバリズムの名の下に、世界的規模で拡大した。しかし、ここにとんでもない落とし穴がひそんでいた。三年前の新潟中越沖地震で、富山にあったスピンドル工場が被害を受け、操業が停止してしまった。この工場はトヨタを始め、日本の主要自動車メーカーのエンジン部品を、殆ど一手に生産していたのである。このお陰で日本国内自動車生産は、数ヶ月に渉ってストップしたのである。
 そして、今回のトヨタリコール騒動である。問題はアクセルペダルの不具合であるが、これの生産をトヨタはアメリカのCTSという会社に一括発注していた。対象が北米向け限定ならまだしも、その後ロシア・中国・ヨーロッパでの生産車にも使用していたことが判って、空前のリコールに発展したのである。上で挙げたスピンドルの例と合わせると、うっかりした「選択と集中」はとんでもないマイナスの拡大再生産を産むというお話。現実の生産や流通現場を知らない、愚かな経済学者や経営コンサルタント(こういう連中は本質的に愚かなのである)の言うことを真に受けると、とんでもない被害に逢うという教訓でもある。
(10/02/01)

 GMの対トヨタ戦略はトヨタ車からの買い換えに対し、1000ドルのボーナスと5年間無利子ローン。これは、5年間は米政府のゼロ金利政策が変わらないとか、トヨタの競争力が回復しない、と言うのが前提。この間金利が1%でも上がれば、このビジネスモデルは破綻する。その時は、GMは2度目の破綻だ。ライバル企業のミスでしか取り返せないようでは、アメリカ企業はもう終わり。GMなど砂漠に消えた方がまし。
 それとこの問題、日本政府がもっとアグレッシブに動かなくてはならない。鳩山は他人事としか思っていないのではないか?アホに付ける薬はない昨日、北朝鮮がアメリカ人二人を拘束と発表。昨年も同じ事件が生じたが、クリントンが訪朝して解決した。このアメリカ人と言い、ウオール街の銀行と言い、GMと言い、今のアメリカ人には困ったら政府に泣きつけばナントカしてくれる、という思いこみが流行っているのか?
(10/01/30)

 トヨタのリコールに便乗して、GMやフォードがトヨタからの買い換え割り引きセールを始める。なんだかこの騒ぎ、政府と自動車メーカー(と言うより、自動車労連)が仕組んだ陰謀ではないか?という気がしました。GMが破綻したときにトヨタが買収してしまえば良かったのだ。
 しかし、こんな事をして一時的に売り上げが伸びたところで、ガソリンガブ呑みアメ車の売り上げが何時までも続くとは思えませんが。
(10/01/29)

 トヨタ北米大量リコールの原因となったアクセルペダルを作ったのは、やっぱりアメリカの部品メーカーCTS。本日、問題は解決したと発表。そんな事じゃなかったと思っていたが、やっぱりそうだった。日本メーカーなら社長が出てきて平謝りなのだが、アメリカ人はそんなことはしない。反対に威張っている。
 問題がこれで済めば良いが、ことの始まりは今のトヨタ社長が北米事業を統括していたときにある。更に彼は最近、「単価を三割下げるから、品質も三割下げろ」と下請けメーカーに要求した。トヨタの凋落はここから始まるだろう。北朝鮮と同じで、馬鹿の三代目はさっさとクビにしたほうがよい。
(10/01/28)


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