砂漠を流れる川


 たまにサハラ砂漠の真ん中で溺死したという嘘のような話を聞くことがありますが、これは嘘ではありません。サハラやアラビアの砂漠では数10年に一回ぐらいで大雨が降り、砂漠の中に突然川が出来て、たまたまそこに居合わせた旅人が濁流に呑まれることがあります。
 下の図はアラビア半島の南東部アラブ首長国連邦アブダビ東南方の砂漠に見られる川の跡です。

 川は蛇行し、古い河道を斬って新しい河道が出来ているから、過去に少なくとも1回の河道の変遷があったことが判ります。このことは、砂漠の突発的な洪水は何回も起こり、それも出鱈目に起こるのではなく、特定の経路を辿ることを推測させます。河道幅は画面中央部でおおよそ0.5〜0.6q。画面右上部の白い部分は塩の塊。画面斜め右上から左下方向に縞模様が見えますが、これはペルシャ湾方向からの風による、風紋。
 さて下の図は上図の下流部分です。

 画面中央の太い筋が川の跡。ここでは河道幅は1〜1.5qに広がります。これも最期には扇状に枝分かれして砂漠に消えてしまいます。何となく、今のオイルマネーの行く末を暗示しているようです。その上流の河道跡の中にある黒い点はベドウインの集落です。この河道跡の下には今も水が流れているのでしょうか?もしそうだとすれば、砂漠の中で水を見つける良い手懸かりになります。しかし、洪水がこの経路を辿って起こるとすれば、この集落もいずれ洪水に呑み込まれる可能性が高いことになります。今繁栄を極めているアラブ首長国連邦も、いずれ自然の洪水に呑みこまれるでしょう。


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