ネバダ砂漠の中の緑地


ある時、グーグルアースでアメリカはネバダ州を見ていると、その北西部に、何か斑点のようなものを見つけました。図の中央部に見られる暗色の点々です。最初は写真のシミかと思ったのですが、衛星写真にシミなどある筈がありません。
 この当たりはシエラネバダ山脈の中の、不毛の砂漠地帯。図の左端とかあちこちに白い模様が見えますが、これは塩です。かつての海が干上がった証拠。


そこで図を拡大してみると、なんと丸い円(当たり前ですが)が規則正しく並んでいます。
 果たして、宇宙人基地か、それとも米軍のミサイル基地か?
そこで更に拡大してみます。



 これがその拡大図です。円の正体はいわゆるファームです。円はそれぞれが一つの農地(ファーム)です。直径がそれぞれ500〜800m位あります。円の中心に井戸があり、そこから地下水を汲み上げ、回転式スプリンクラーで散水し、作物を栽培するわけです。円の中心から細い腕が出ていますが、これが回転式スプリンクラーです。何を栽培しているのでしょうか?おそらく、トウモロコシではないか思われます。緑色の円は栽培中、白い円は刈り取りが終わった処でしょうか。
 これは1980年代以後のアメリカ中西部で流行った新農法です。これによって、これまで不毛だった砂漠地帯でも農業が可能になりました。しかし、地下水の過剰揚水は地下水位の低下を招き、更に温暖化の進行は、地下水の供給源であるシエラネバダ山脈に降る雪を減らし、この両者によってこの農法の将来が懸念視されています。
 しかし、不毛の砂漠にテクノロジーを投入して環境を変えてしまおうというアメリカ人の発想は、何処でも水がある環境に慣れてしまった我々日本人には、なかなか及びもつかない処があります。なにせ、ちょっとしたダムを作るだけで、天地がひっくり返らんばかりの大騒ぎをする国民ですから。
(08/09/27)

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