パタゴニアの玄武岩溶岩台地

これは南米大陸南部パタゴニアの一部です。画面中央の丁度アルゼンチンとチリの国境付近からアルゼンチン側に、褐色の台地が南北に広がっているのが見えます。
 幅は平均150q、長さは600q近くに及びます。日本では中国地方がすっぽり入る大きさです。この台地は一体何でしょう?
 真ん中に穴が空いて、ここは湖になっています。
台地の近景です。台地の表面は結構でこぼこしています。中央の穴を中心に、台地は西から東に向けて緩く傾斜しています。台地は何かごつごつした塊で出来ているようです。
 この塊は玄武岩の溶岩です。この台地は玄武岩で出来た溶岩台地で、中央の湖はその噴出口と考えられます。
 何故、玄武岩と云えるのか?地質屋なら一目見ただけで判ります。何故なら、この台地の表面は、いわゆる枕状溶岩の露頭にそっくりだからです。それよりも、ハワイのマウナロア、マウナケア火山にそっくりだとも付け加えておきましょう。
 なお、何故玄武岩といえるか、について厳密に論証しようとするとA4二〜三枚ぐらいのレポートになってしまうので、省略します。読者で考えて下さい。
中央の湖(噴出口)の拡大図です。この湖は直径が約30q位あります。琵琶湖位の大きさになります。崖に何層も平行に筋が入っていますが、これは玄武岩の噴出が何度も繰り返し行われたことを意味します。




 さて、この巨大な玄武岩台地はどうして出来たのでしょうか?マントルプリュームの地表への沸き出しの可能性が考えられます。地球の中心には核という高熱部があり、それと地殻との間をマントルと云います。最近(と言っても過去20年ぐらい)の研究では、マントルの中に核からの熱の沸き上がりと、沈み込みがあると考えられてきています。熱の沸き上がり部をマントルプリュームと云います。プリュームは地球上に何カ所か確認されています。プリュームが地表に沸き出した処に、玄武岩の溶岩台地が出来ます。その中には日本列島が幾つも入る巨大な者もあります。それに比べれば、このパタゴニアの溶岩台地はかわいらしい物かもしれません

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