大地に刻まれた傷・・・・・ブロック5

イエーメン南西部の山岳地帯には、幾つか特徴のある地形が見られます。
 一つは山岳地帯と砂漠との境界に見られる、謎の環状構造。もう一つは山岳地帯をNNE-SSW方向に走る、直線の断裂構造です。

a)











 謎の環状構造。環の中心から、尾根が蛸足のように放射状に延びています。環の外側にも、環に沿って尾根が延びています。
 これはこの辺りの地質構造を反映したものでしょうか?
b)








 環の中心から放射状に延びる尾根の近景です。尾根の斜面に細かい筋が見えますが、これがこの地域の基本的な地質構造です。この構造は尾根の方向とはずれています。概ねNW-SE方向で、川の対岸にもそれが表れているから、例の環状構造は、この地域の地質構造とは無関係な要因で産まれた事になります。
 なお、中央に川があります。普段水があるかどうかは判りませんが、周辺に集落や緑地があることから、この川の地下には地下水があることは顕かです。
 
c)








 山地を横切る直線の(1)断裂構造。方向はNNE-SSW方向。日本の中央構造線と云ってよいほどの構造です。
 左に褶曲の様な湾曲が見えますが、これは褶曲ではなく、殆ど水平かそれに近い傾斜で、地層が折り重なっているとき、地表面が緩く湾曲していると、地表面での投影ではこのようになることがあります。
 この地域でも、NE-SW方向、WNW-SES方向、それらに斜交するNNW-SSE方向の三種類の割れ目の発達が見られます。特に(1)の周辺には割れ目が集中しています。これは(1)の活動に伴って出来たリーデルシアータイプの割れ目と考えられます。」
 
d)











 上の南方延長。(1)主断裂にそっておおよそ15qの幅で、細かい皺が発達していることが判ります。日本で云えば、左側は中央構造線沿いのマイロナイト帯とか、右側は南アルプスの鹿塩片麻岩の感じですか。


TOPへ  ブロック1へ   ブロック2へ   ブロック3へ   ブロック4へ   ブロック6へ 

RETURN     一覧へ    TOP へ