急傾斜地崩壊対策の実例


   
09年10月30日、山梨県釜無川のり面工事で発生した土砂崩れ現場。施工は上からフリーフレームで逆巻きで降りてきている。施工としては標準パターン。地山はよく分からないが、フェルシックな火山岩のように見える。こういう現場では施工箇所の下には人を入れないのが常識。何かの理由で用事があったのでしょうか?
自力登攀タイプの急傾斜地専用ロックボルトマシン。ドリフターの動力は圧搾空気。斜面上部から安全索を連結して、資材や人員の落下を防ぐ。
 適用法面勾配は1:0.8までか?
 ヒマラヤ斜面対策工に最適。
急傾斜地崩壊対策のフリーフレーム工。斜面が不整なので、足場は組まず、マニュアルで吹き付けを行っている。作業員は斜面中央に垂れ下がっているロープにぶら下がって、作業をする。これならネパールでも出来る。
 但し、この設計は妥当とは云えない。斜面上部(大寸法のフリーフレームを使っている部分)は転石の可能性が大。その証拠に、斜面下段にも巨大転石がある。こういうのを表面だけ覆っても、将来大雨が来れば、再び大崩壊が来るのは、目に見えている。ヒマラヤ対策では、十分気を付けなくてはならない。
 斜面対策においては、表面ばかり見るのではなく、背後がどうなっているか?に注意を払い、背面への洞察力を養うことがプロへの要点。
奈良県領家帯の某のり面。地山は領家変成岩の泥質片状ホルンフェルス。しばしば片麻岩などと呼ばれるが、ワタクシはそういういい加減な呼び名は使わない。
 のり面の中に点々と見られる礫状の岩片は岩脈。
上記法面に対する、法面工。フリーフレーム+VSLアンカー工。これは、ネパールにはちょっと贅沢か?
重要度の高い法面には使っても良いだろう。
 この工事は、全体に過大設計の感がある。法枠工端部を張り出しバリにすれば、アンカー段数は、少なくとも1段は省略出来る。工事費では、ン百万円違ってくる。如何にも素人臭くって、プロのやる設計ではない。奈良県だから、こういう無駄設計でもまかり通るのだろう。兵庫県では無理でしょうねえ。別に兵庫県の役人が、奈良県より優秀だと云ってる訳ではありません。単にケチなだけです。
これは大台ヶ原の麓に見られる林野庁タイプの崩壊対策工。そもそも発想が、崩壊斜面を元に戻そうと云うだけの貧困なもの。補強にも何にもなっていない。だから、斜面左に早速、二次崩壊が起こっている。
この原因は、斜面中央の擁壁を斜面端部まで延ばさなかったため。
 従って、こういう愚かな工法は真似しないように。
 なお、崩壊直後の、現地調査の詰めが甘かった可能性はある。

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