ワル浪人参上・・八ツ場ダムの真実

横井技術士事務所   技術士(応用理学)  横井和夫

今、日本で最大のワルはダムと高速道路と原発です。しかし、これを一番よく利用いたマスコミや一般ピープルが、今や手のひらを返したように反対派に廻り「正義の味方面」をしている。今後の気候変動(それが温暖化であれ、寒冷化であれ)を考えれば、水は絶対必要資源になります。それどころか国防資源にもなる。資源確保には貯蔵が必要です。ダムの必要性は、ヨヨギ主導の近視眼的地域環境とか、下手な経理屋がやるような中短期的経済性を越えた議論が必要です。

 八ツ場ダム本体工事1000億、工期は大体4〜5年。下流の河川改修2000億(では済まないでしょう)、何時まで懸かるか判らない。日航公的資金注入4500億、本当に立ち直れるかどうか不明。どれがまともか、誰でも判る。判らないのは宇宙人の頭の中身。


政府が八ツ場ダム再開を決定。まあ、こんなところでしょう。八ツ場建設中止のあの騒ぎは一体何だったのでしょう。前原は建設再開に抵抗意志を示しているが、これはポスト野田党首選に向けてのパフォーマンス。誰もそれが本気などと思ってはいない。常に馬鹿にされているのは、地元民だ。大阪府槇尾川ダムも同じ。
(11/12/23)

今度は国交大臣の大畠が八ツ場ダム再開の可能性に付いて言及。消費税やガソリン暫定税率に次いで、自民党が消したはずのオバケがまたぞろ復活。こんな筈じゃなかった、というわけで自民党は左派の環境・市民派からも見放されてしまう。
(11/02/05)

 10年度予算では、八ツ場ダムはゼロ査定かと思っていたら、なんと141億円も予算がついています。川辺川ダムも同じく10億円。ダム本体を中止する事による下流河川整備で、今よりもっと多くの予算がつくでしょう。そんなはずでは無かった、などと云ってはいけません。ダム整備より、下流整備の方が金が掛かるというのは前から判っていたこと。結局一番儲けたのは、群馬県の地場ゼネコン。福田も小渕も返ってしめしめか?
(10/03/29)

八ツ場ダムは事業中止で、胆沢ダムは何故工事続行なんだ?という自民の追求に対し、民主は本体工事がある程度完成している場合は別と釈明。民主のダム事業中止基準は、胆沢を念頭に置いて作ったのは顕かだろう。小沢がちょっかい出したのは云うまでもない。大滝は本体が既に完成しているのに、事業継続中止だ。
 ダムの本体工事とその周辺工事とは、実は殆ど区別出来ない、一連のものである。
(10/01/20)


 ズーット以前から、高校で土木教育を行うべきではないか、と考えていた。ここで云う土木教育とは、土を掘ったりコンクリートを打つと言うような技術ではない。生活環境システムとでも云った方が良いだろう。現在の日本では、100%自然のままで生きている人間などいない。何らかの形で、人工空間に生きている。ホームレスでさえ、この寒空で生きていけるのは、都市という人工空間機能に依存しているからである。このシステムには様々なものがある。人が移動しようと思えば、道路・鉄道といった土木構造物を利用しなければならない。昔のサンカならケモノ道を利用したかもしれないが、今の日本人にそんな能力は残っていないからである。この種の土木施設の中で、特に重要なものは上下水道である。上下水道というものはどういうふうに作られ、どう機能しているかを理解していなけりゃ、とても現代社会に生きる資格はない。
 先日、偶々、テレビのTBSニュースを見ていると、群馬県議会の民主党議員が「吾妻川の水を決して呑んではいけませーん!」と絶叫。何故かと云うと、吾妻川で環境基準を越える砒素が検出された、しかもその事実を国土交通省が公表していなかった、ということが判ったのである。
1)番組は冒頭で砒素中毒患者の映像を流す(無論、吾妻川とは無関係)。しかし、視聴者には砒素=吾妻川という情報が刷り込まれる。
2)次に吾妻川での国交省調査結果が映し出され、利根川合流点まで環境基準をオーバーしているという情報が流される。
3)更に上流での廃坑の映像が流される。
4)最期のとどめが、上に挙げた民主党県会議員の絶叫なのである。
 以上の情報に八ツ場ダム計画を重ね合わせると、上流の廃坑から出た砒素が八ツ場ダムに貯まり、それが下流の首都圏の水道を汚染する、というイメージが出来上がってしまう。この議員の云いたいことは、砒素を根拠に八ツ場ダムを消し去ろうということにほかならない。そして、それにワルノリしているのがTBSという一民間放送会社・・・この会社の知的レベルの低さは最早救いがたい。ところがここに、とんでもないデマゴギーがひそんでいる。それは中間にある、上水道という都市システムを、意図的に無視していることである。
1)吾妻川は渋川で利根川に合流する。上流の廃坑から吾妻川に流入した砒素は当然利根川も汚染する。従って、民主党議員は吾妻川だけでなく、「利根川の水も呑んではいけない」と叫ばなくてはならない。しかし、彼の想像力は利根川合流点で終わっているようである。
2)上流の鉱山はいつ頃稼工していたかよく判らないが、映像から推すと30年以上前に廃坑したのではないか?廃坑前から砒素を排出していた可能性もある。しかし、この流域で砒素中毒の話しは聞いたことがない。
3)そもそも、日本の上水道システムでは、河川水が直接家庭水道に到達することはあり得ない。河川から取水された水は、上水道用水路をを通って一旦浄水場に導かれ、そこで濾過滅菌された後に家庭に配水される。浄水場から出た水の水質は、水道法により規制されているので、環境基準をオーバーするような水が一般家庭に供給されることはあり得ない。本流の河川水をそのまま呑む日本人など、昔のサンカじゃあるまいし、あり得ない。無論、過激環境主義者で水道水を拒否する人は別だが、その場合は砒素中毒になるかどうかは、本人のリスクだ。
4)かといって、放って置くわけには行かない。風評被害やなんやらで、地元にはマイナスイメージがつきまとう。そのため、今国交省がやっているのが上流の副ダムだ。つまり、鉱山の排水を一時貯留し、凝集剤を撒いて砒素を沈殿させ、砒素を含む泥土を掘削除去する方法である。これは、何十年も前から鉱山廃水対策で行われた技術であり、なんの問題もない。
 以上の検討から、吾妻川の砒素騒ぎは八ツ場ダムの建設にとって、何ら障害にならないことが判る。では、国交省は、何故データ公表をためらったのか?一つは役人の臆病である。この原因に文官優位原則がある。まともな技官なら、筆者が上に挙げた諸点をすぐに理解出来る。だから、データを公表してもなんの問題もない。どんな質問が跳んできても、彼は答えられるからである。しかし、彼の上位に上記諸点を理解できない想像力貧困人間がいれば、話しは別だ。その結果、上司はマスコミや環境団体の追求を恐れ、データを握りつぶしてしまうのである。その上司とは、文官或いは文官化したアナクロ無能技官なのである。今、国土交通省がやらなくてはならないのは、こういう文官或いは似非技官の追放である。群馬県議会で絶叫した民主党議員は、世の中のことをまるで知らない、只の不勉強のアホ。それをチェックも出来ない民主党も同罪である。
 この件で露呈したのは、民主党という政党の底の浅さ。何か自分に有利になるネタがあると見れば、前後も考えずそれに飛びつき、大騒ぎする。かつての永田偽メール事件もそうで、誰が見ても偽物と思うメールに飛びついて、国会から社会まで混乱させたのである。あの時の党首は前原、そして今の担当大臣も前原。何か同じ轍を踏みそうな気がします。
(09/12/30)

何かこの頃増えてきたのがダム推進派。八ツ場だけでなく、今度は設楽ダムでもダム推進派が町長選に勝利。前原突出に対する反動だろう。民主党政権は4年だが、河は永遠だ。焦らず気長に待てばよい。ヨーロッパでは完成まで200年、300年懸かった建造物がざらにある。なんでそんなに時間が懸かるのか?当たり前だが、途中で金がなくなったり、戦争で破壊されたり、革命で国王のクビがとんだりしたからだ。今の日本のダムも同じ運命を辿っている。ということは、いずれ実現するということだ。今の反対派ジジ・ババがあの世へ云った暁には。
(09/10/19)


 ダム事業費が当初予算より拡大するのは、「地質調査不足による追加工事が主因」と毎日新聞(09/10/03)。マスコミもたまには良いこと云うじゃねえか。この原因は土木屋の地質知らず、地質屋の土木知らず。根底には、明治以来の権威主義的大学教育がある。地質との境界領域をやる土木屋は、土木では学位が取れない。逆も又真なり。土木をやる地質屋は、地質の世界では白い目で見られる。
 まあ、それだけではないがね。反対運動が長引けば長引くほど、関連事業が増え、補償費がつり上がること。実は公共事業(電力も含まれる)補償額は驚くほどの早さであちこちに伝達する。あそこでこれぐらいなら、うちはこれ以上貰わなくちゃとなる。結果として反対運動が事業費を拡大させたという皮肉。
(09/10/05)

ダムを作って町が繁栄した例はない!」
 そのとおり、当たり前です。これはダム反対論者が必ず持ち出すスローガンです。繁栄とは経済的繁栄の事でしょう。経済的繁栄とはヒト・モノ・金が集まって、それぞれが交流し、より大きな余剰利潤を生み出すことです。そのためには、少なくともヒト・モノが集まって交流できる空間が必要です。そういう空間とは、地形的には平坦で、少なくとも数1000人規模の人間が定住出来、そして水が豊富に得られることが条件です。こういう場所は地形学的には、洪積の台地か、河川の中下流に発達するする氾濫原又は河口デルタにしかない。こんなところにダムを作っても全く意味はない。地形が平坦だから水が貯まらないからである。貯水効率を考えれば、地形が急峻な上流が選ばれるのは当然です。そういう場所は平坦地が乏しく、そもそも経済的繁栄が出来る条件が備わっていない。ダムは元々、そういう場所を選んで作るのです。冒頭に挙げたダム反対論者の主張は、実は全く意味のないものだと判ります。ダム立地地点は、元々が過疎地で、放っておくと更に過疎化が進み、最終的には滅亡するような地区です(全部とは云わないが)。
 何故そうなったか、というとこれは戦後の国土総合開発計画が原因です。これは全国を先進工業化地域と農水産地域に分け、人口と経済の流動化を促す政策です。新幹線や高速道路も、基本的にはこれに沿って造られてきた。ダムも例外ではない。その結果として、東海ベルト地帯への人口集中と、山陰北陸東北地区の過疎化が生じた。更に中曽根行革で実施された、国鉄民営化がこの傾向を促進した。竹下内閣での「ふるさと創生論」で一時的に振り子がもとに戻りかけたが、アホマスコミの煽りと竹中ーコイズミカイカクにより、地方/先進地区の格差が広がった。今の民主党政権にも、本気で地方を再生させようとする気も知恵も能力もないだろう。あるのはバラマキマニフェストだけだ。ダムが計画されるような地区は、ダムがあろうが無かろうが繁栄するわけがない。出来るのは今の状態を持続させるだけ。但し、ダムのある町は繁栄はしていないが、ダムの無い町に比べ、豊かで余裕があるのは間違いない。高知県の大川村は、国交省と四電の二つのダムをもっており、住民税はなく役場の職員はみんな車を2台持っている。今から25年近く前、岡山県北部に温泉開発調査に出かけた。一つの村の村役場はハイカラで、村も何となく余裕があるように見えたが、隣の村は役場もオンボロで村もみすぼらしく見えた。何故か?ハイカラ村には中国電力のダムがあったのである。
 どちらを採るかの話しでしょう。
(09/09/30)

 本日TBS昼の某番組、脱ダム派の田中康夫が登場して、科学・学問を無視した暴言を吐く。田中発言要旨は@官僚の使う方程式が曖昧で、結論が明確ではない、A方程式の中に、貯留関数というものが出てくる。これを使うと必ずダムが必要という結果が出てくる(要するに信用出来ない、といいたい)、Bこの貯留関数はヨーロッパでもアジアでも使われていない。要するに、日本の官僚はダムを作るために、それに都合の良い方程式を使っているだけだ、というプロパガンダ。これををテレビマスコミを通じて流したのである。だから、文系は不勉強で頭が悪いと云われるのだ。
 田中康夫はよっぽどヨーロッパが好きで、国産品など二流品と思っているようだ。その通り、貯留関数は日本だけで、ヨーロッパなどでは用いられていないようだ。貯留関数とは土木で水理学、地質学では地下水に関心を持った人間なら、誰でも知っているタンクモデル法に現れる言葉である。非定常状態に於ける水の流入ー流出過程の、時系列解析手法である。そこに貯留関数というパラメーターを導入する事によって、コンピューターによって水の出入りを予測することが可能になった。古典的なダルシー則にだけ従うモデルならこれは必要ではない。ヨーロッパやアメリカなどの広大な(=人口密度の低い)地域を相手にする場合には、必ずしも必要では無いかもしれない。要は、そこに住む人が水の問題に対して、どれだけ真剣で関心を持っているかによって対応が異なるのである。
 タンクモデル法は日本で発生し、日本で独特の進化を遂げた解析手法である。そこには、日本列島が持つ自然の複雑さ、農民の要求など日本独特の要因が作用している。タンクモデル法が旧農林省分野で発達したのにはそれなりの理由がある。重要なことは、タンクモデルシミュレーションをやろうと思えば、その背後に膨大な計測データが必要だということだ。これが無ければタンクモデルシミュレーションなど只の計算の遊び。それが出来た国だけが可能である。例えば、日本では洪水で水位が高くなったとき、いつ頃水位が下がるか、ということを日・時間単位で要求される。これは農業では、河川からの取水計画を、防災では避難計画を立てるために必要だからである。
 一方、ヨーロッパなどの大陸地域では、最近発生する広域洪水を見れば判る様に、水の動きは月単位で変化する。日本の様に細かい話しは必要ではなく、タンクモデルなど利用する必要がないのだ。ヨーロッパやアジアがこれをやっていないのは、要するにこれらの国が日本のレベルに達していないだけである。但し今後どうなるか判らない。今後、温暖化が進み、欧米でも洪水が頻発するようになれば、その内ヨーロッパやアジア、アメリカから、日本にタンクモデル=貯留関数を学びに来る人が増えるかもしれない。おそらくそうなるだろう。その時、田中のアホはどういうのでしょうか?
 この程度のことが判っていないアホ人間が衆議院議員となり、なるだけなら別に構わないが、テレビに出て中途半端且つ独善意見を、何にも知らない一般ピープルに披瀝する事に、今後の日本の将来が危ぶまれる。下手すると、日本は北朝鮮並みの環境プロパガンダ、エコファッショ国家になりかねない。
(09/09/28)

 前原が東京に帰って平野と会談し、「(八ツ場で会見を拒否した)住民は悪くない。彼等も被害者だ」と発言。これではまるっきりダム推進者はワル、民主党に反対するものを、みんな悪党呼ばわりしているのも同じだ(定めし、筆者など、悪代官の手先のワル浪人のようなモノ)。今後、前原や民主党内の一部にある「民主党=正義の味方」意識が、民主党のアキレス腱になるだろう。
 八ツ場ダム反対運動を裏で操っているのは共産党と朝日新聞。民主党も共産党に操られているのだ。

 本日関西某ローカル放送で、面白い見解を聞きました。民主党が八ツ場ダム中止に拘るのは、自民政権下で決まった公共事業を、政権が変われば中止させられることを証明するための実験だ。なるほどそれならよく分かる。長野原町他の地元住民は、民主党のモルモットにされたわけだ。その逆も又真である。
(09/09/25)

 前原が東京に帰って平野と会談し、「(八ツ場で会見を拒否した)住民は悪くない。彼等も被害者だ」と発言。これではまるっきりダム推進者はワル、民主党に反対するものを、みんな悪党呼ばわりしているのも同じだ(定めし、筆者など、悪代官の手先のワル浪人のようなモノ)。今後、前原や民主党内の一部にある「民主党=正義の味方」意識が、民主党のアキレス腱になるだろう。
 八ツ場ダム反対運動を裏で操っているのは共産党と朝日新聞。民主党も共産党に操られているのだ。

 本日関西某ローカル放送で、面白い見解を聞きました。民主党が八ツ場ダム中止に拘るのは、自民政権下で決まった公共事業を、政権が変われば中止させられることを証明するための実験だ。なるほどそれならよく分かる。長野原町他の地元住民は、民主党のモルモットにされたわけだ。その逆も又真である。
(09/09/25)

1、前原誠司と八ツ場ダム
 八ツ場ダムが揉めています。事の発端は、前原が国交相就任直後に、八ツ場と川辺川ダムの廃止を明言したこと。川辺川は地元も廃止を認めているから構わないが(但し、今後何が起こっても県が責任を採らなくてはならない。仮にいきなり大洪水が起こって死者が出れば、今の県知事は業務上過失致死で提訴されるおそれもある)、八ツ場は地元も下流自治体も、事業継続を主張している。川辺川とは事情が異なる。それを混同して、いきなり結論を明言したことに地元が反発しているのだ。この問題が長引けば、来年参院選にも影響し(それまでに自民が復調していればの話しだが)、政権の命取りになりかねない。
1)民主マニフェストと角福戦争
 そもそも何故、前原が八ツ場廃止を明言したかというと、民主党マニフェストに書いてあるからだという。ところが、民主党はこれまで八ツ場(川辺川も)にはあまり興味はなかった。2年前の参院選マニフェストにも採り上げられていなかったし、その後の国会審議でも採り上げられたことはなかった。それが今回、いきなり衆院選直前にマニフェストに組み込まれたのは、総選挙対策以外の何者でもない。考えてみれば、長野原町とその周辺地域は昔から福田の地盤。八ツ場ダム反対運動が、福田康夫を追い落とすために利用出来ると、誰かが党政調に持ち込んできたのを、小沢がウンと云ったのが実態ではなかろうか?
 何となく昔の角福戦争を思い出します。戦国時代、北関東上州を支配していたのは管領上杉氏。ところが上杉氏が北条氏に追い出され、頼ったのが越後守護代長尾景虎。景虎は上杉氏の養子となり、関東管領を継いで、越山して(越後から関東に入ることを越山と云います。田中角栄ーマキコの後援会を越山会というのは、ここから来ています)上州(群馬県)を中心に北条氏と争う事になる。小沢の師匠は越後の角栄。福田を北条氏の末裔と考えると、今回の騒ぎは戦国争乱の続きを未だやっている、とも云えます。
2)手続きミスと後始末
 前原は、八ツ場ダム事業の中止を明言した後に、地元協議会を開くと述べた。これに地元自治体が強く反発して今回の騒ぎになったのである。”中止前提”の協議会に参加すると、「中止を認めた」と採られてしまう。実はこれは公共事業で、かつて官側が使った常套手段なのである。おそらく、本ダムの計画時点でも、地元はこの手に散々騙されてきたはずだ。それをわざわざ繰り出してくるとは、あきれてものが云えない。地元に対しては「誠意が感じられない」という印象しか与えない。
 何故これが問題になるかというと、仮に廃止の方向に法手続を進めるとき、事業遂行時と同じ手続きを踏まねばならないことである。つまり、地元同意が無ければ廃止手続きがとれない。今のところ、下流自治体は揃って事業継続を求めている。これを説得して同意を取り付けなければならないが、その入り口のところで躓いてしまった。前原が自分で入り口のドアを壊してしまったようなモノだ。
 もう一つの後始末問題には1)水利権と2)治水がある。下流には利根川に水利権をもち、且つ八ツ場ダムに水供給を期待している自治体がある。特に近年人口増が著しい東京・埼玉などは深刻である。本事業が中止されて水不足が生じた場合、これら各都県は別途水源を手当するか、人口の流入制限をしなくてはならなくなる。これは一自治体の手に余る問題であり、国が責任を持って解決しなくてはならない。単にこれまでの分担金を返せばそれで済む、というような単純なものではない。2)治水については、前原は堤防改修で対応出来るとするが、本当に下流域の状況を精査して判断しているのか極めて疑問である。河川は道路と違って、一カ所直せばそれで済むというものではない。影響は次から次へと下流に及ぶ。利根川のような大河川になると、その影響はちょっと計り知れないモノになる。
3)前原誠司の性格
 この件に関しては、前原誠司という人物の性格が災いしているように思われる。かつてライブドア事件に関連して、永田ニセメール事件というのがあった。自民党武部勤の弟からという、怪しいメールが民主党本部に届き、それにに永田衆院議員が引っかかった。このメールがインチキであることは、かなり早い段階で指摘されていた。民主党内でも偽物説が強まってきた。それにも拘わらず、永田と前原だけがホンモノ説を主張して突っ走った。しかし、偽物であることが明らかになって、永田は議員辞職(その後死亡)、前原は代表辞任に追い込まれた。
 この人物、何かこうと思うと、周りのことを無視して、一方向に突き進んでしまう癖があるのではないか?それも信念とかそういうものでなく、一種の功利主義、機会主義に基づくモノのように思える。白眉であるが、オポチュニストであり、馬謖になる可能性がある。早めに斬って、自民党にでも押しつけた方が良いかもしれないですぞ、オザワさん。

八ツ場ダムの湛水池全景。上流では何かごちゃごちゃやっています。写真が何時の頃か判らないので、正確なことは云えないが、現在はもっと進んでいるでしょう。
 新政権は本事業の廃止を明言したが、地元や下流自治体はこぞって反対。廃止手続きには、事業開始と同様の手続きが必要。つまり関係者全員の同意が必要で、一件でも反対者がいれば、例え大臣でも勝手に止めることは出来ない。建設同意を採るのに30年懸かっている。と言うことは、廃止同意を採るのに、10年位懸かりかねないということだ。無論金をぶち込み選挙で脅せば、案外早期解決も夢ではないが、それなら自民党のやり方と全く同じだ。下手すると前原=民主は、この問題で立ち往生。まだまだ、新政権は幼稚・未熟ということ。
ダムサイトの全景



兵庫県福知川の護岸流失・・・・これが洪水共生の実態


 麻生が佐用町を視察して激甚災害指定に前向きポーズ。激甚災害とは復旧費用の9割を国が、1割を地元が負担する制度である。生半可な災害ではなかなか指定は受けられない。死者が数10人規模、一つか二つの街が壊滅するぐらいのレベルが必要。無論北朝鮮核攻撃は無条件でOKです。佐用町の場合、死者が20人(以上?)、家屋被害の状況から見て、県が動けば激甚指定は十分クリアー。では誰が指定するのでしょうか?実際は国交省地整と地方財務との交渉、要するに官僚同士のアウンの呼吸で決まるのだ。佐用町の場合、とっくに話は付いている。それと復旧費用はせいぜいン10億。こんな小規模災害、総理大臣が口を出す迄もない。目的は災害の選挙利用以外の何者でもない。
 最早政権交替は目前である。ここで兵庫12区が突出すると後がややこしくなるのではありませんか?
(09/08/23)

今度の洪水で、兵庫県民は洪水との共生をやらされた。共生に必要なコストは今のところ死者20人、数100億の被害総額。近畿の知事!何か言って見ろ。


 これは平成21年台風9号により、兵庫県宍粟市一宮福知で生じた、福知川橋梁流失事故地点。橋梁流失と言っても、右岸の護岸(道路兼用)が先に流失し、それに引きずられて橋梁も流失したのが実態です。おそらく、現在の流路が旧河道で、道路拡幅時に道路(護岸)センターを川側に寄せ、旧河道の一を埋め立て、その上に護岸を築造したのでしょう。その拡幅部が今回の豪雨で流失してしまったという訳です。実はこれとそっくりの事故が2年前広島県安佐で起こっています。・・・・と思っていましたが、実は少し違う。写真上の家屋の左に、幅数mの湾曲した空き地があります。これを下に延長すると、道路に繋がります。元々これが道路だったのでしょう。この道路を川側に付け替えたのが現道というわけです。つまり、流出したのは、拡幅部では無く、新設部と云った方が良いでしょう。・・・・又、福知川沿いでは別の箇所で、やはり川側に拡幅した道路盛土が流失しています。そもそも兵庫県や広島・岡山など中国筋のやることはせこいから、何でも小手先で済まそうとするわけだ。
 話しに聞くと、中国では川は龍の通り道だから、河川改修の場合でも河道変更のようなことはやらないらしい。これが中国四千年の知恵なのだ。その点日本人はビンボーたれだから、ちょっとした土地を欲しがって川を触りまくる。その結果龍神様の怒りに触れて、同じ失敗を何度も繰り返すのでしょう。
 もう一つの問題は教育です。日本の土木工学科は道路や河川の新設・改築の方法は教えるが、川の由来や維持管理の方法は知らん顔。だから設計時に災害対策を怠るのである。
(09/08/11)


RETURN        一覧へ      TOPへ