平成21年静岡地震あれこれ

中電浜岡原発の地盤沈下
東名高速盛土の崩壊


中電浜岡原発の地盤沈下

 左の図は今回の静岡地震で中電浜岡原発に生じた地盤沈下を中日新聞の画像からパクッタものです。中日新聞は何を云いたいのか?それは述べられていない。一方中電も原発の安全性は問題ないと紋切り回答を繰り返すばかり。沈下の原因を明確に説明していない(出来ない)からです。こういうことをやっているから原発反対派から、地盤の強度不足などという言いがかりを付けられるのです。
 沈下の原因はズバリ、構造物裏込め土の転圧不足です。構造物設置に当たり、周囲に何らかの掘削が伴ったのでしょう。言い換えれば、地震による動圧密。なお、本件のような地下壁の場合、裏込め土の締め固め程度は、壁体の安定にはあまり関係しません。壁体の構造を一般土(例えばC=0、φ=30゜)として設計しておけば、十分安全だからです。但し壁体断面が大きくなるので、事業主にとっては嬉しくはありませんが。
 こういうようなことは施工図を示し、設計・施工経緯を説明すれば解決する事柄です。柏崎も時もそうでしたが、こういう地盤のような基礎的な問題になると、電力会社は全く受け答えが出来ない。そういう専門家を社内で育てていないか、リストラしてしまったからでしょう。何処かの鉄道会社や高速道路会社と同じ体質。
(09./08/25)


 東名高速盛土の崩壊

(東名崩壊についてもう一言)
 とにかくやることが遅くてとろい。地すべりの場合、まず把握しなければならないのは(1)滑落崖背面(2)斜面末端(3)(1)(2)の中間の土質と地下水状況である。(1)は本線閉鎖期間中、(2)(3)は応急対策工としての抑え盛土施工前である。ところが本件ではいずれも行われていない。応急対策工施工後にあれこれやったところで、崩壊直後のホットな情報は失われる。出てくるのは、委員会向けの後付データのみである。現地調査とは云うものの、会社の責任逃れのための儀式にすぎない。これというのも。民営化で技術屋がみんなリストラされ、残ったのは事務屋と営業屋だけになったからである。何処かのJRと同じ体質。
(09/08/21)
(東名崩壊対策について一言)
 昨日現地に調査団が入ったよし。全面をモルタルや土嚢で固められた上を幾ら見ても仕方がないと思うが、その中で調査団長と思われる人物が「この道路が出来たのは数10年前だから、強度不足ということは考えられない。何かもっと複雑な要因が考えられる」と語っていた。土木の世界では「切り土は弱くなり盛土は強くなる」のが常識とされる。先述の団長(とおぼしき人物)は、この常識にとらわれた人である。ところが世の中には、時間が経つと強度が下がる土がある。代表的なものは第三紀泥岩(特に海成)のようなスレーキングを起こす土である。その他、土の中に空洞がある場合とかも挙げられる。場所は地質学的には南部フォッサマグナの真ん中であり、盛土材がスレーキング性だった可能性は大きい。しかし、出来て50年近く経って今頃スレーキングを起こすのも解せない。
 筆者が可能性を考えているのは過積載です。普通の土は含水比を一定に保って締め固めを行えば、強度は増加する。しかし、ある種の土は過度に締め固めを行えば、土の構造骨格が破壊され、返って強度が低下する。これがオーバーコンパクションです。コイズミ改革で、流通業界の規制が緩和され、中小零細業者が盛んに参入し始め、その結果各地で横行したのが過積載です。同時にこれが原因と見られる道路事故が頻繁に発生するようになる。重量オーバーでも静的荷重は荷重幅の2〜3倍までの深さまでしか到達しないが、動的荷重は別問題。重量オーバーの大型車が頻繁に高速で走行すると、低周波の振動が発生する。これは盛土の相当深く迄到達する。しかも繰り返し荷重である。これにより、従来保たれていた土の構造骨格が変形したり破壊したりすれば、強度低下が生じる。又、その中に水が浸透してくれば、地震時に動的過剰間隙水圧を発生し、崩壊するというケースは考えられる。規制緩和→市場経済主義が土木構造物に与える影響は無視してはならないのです。そういえば、山陽新幹線トンネル崩落事故も民営化で、列車運行本数を激増させて後の話し。
(09/08/20)

 本日復旧工事映像が流されていましたが、対策は表面だけのもの。地質調査をやっていないのだから当たり前です。河川の堤防補強案と言い、今の土木は表面ヅラを覆って満足するばかり。中国がオカラ工事なら、日本は「張りぼて土木」だ。
(00/08/17)

 その後、復旧工事の映像がTVに出ますが、全くボーリングをやっている様子がない。地質調査もしないで、どうやって復旧工設計をするのでしょうか?勘と経験だけでやるのでしょうか?殆どオカルトの世界。こんな事では又同じ失敗を繰り返します。
(09/08/14) 

 8/11静岡地震での東名の斜面崩壊。崩壊規模としては大したものではなく、この程度は幾らでも起こっている。不思議なのは何故、こんな尾根のてっぺんを通るのに盛土にしたかです。昔の人は度胸があったんですねえ。(09/08/13)
(注)画面左下のこんもりした藪の中に見られる黒っぽい部分は、本線横断用のC-BXです。この点から盛土と地山との境界はこの辺りの高さにあることが判ります。元々の地形は起伏に富んだ丘陵地、崩壊部分はその中の谷を盛土したものと思われます。

 今朝払暁、何となくゆらゆらするのでひょっとして地震かと思った。初期微動と本震との間隔が大きいこと、周波数は非常に低い・・・いわゆる長周期振動かもしれん・・・ことから震源はかなり遠い、ひょっとすると関東方面か?規模はそこそこ大きい、関西には無関係と判断。起きてみると静岡での地震でした。それ以外特に感想なし。
(09/08/11)
 これが、筆者の今のところの対策工イメージ。問題点がかなりありますが、地山の地質・地下水、盛土の土質等、不明な情報が多いので八無 を得ません。
(09/08/13)
 

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