レアアースは夢の新資源か?・・・・・・日本近海レアアースの夢

昨今、小笠原近海で発見された高純度のレアアースで、あたかもこの問題が解決されたかのような報道が行われているが、これはとんでもない間違いである。30年程前にレアメタルブームというのがあった。これを高純度に含むのが海底マンガン団塊。当時これを採取するのに、ドレッジングとかバキュームとかいろんな迷案・珍案が飛び交ったが、モノになったのは一つもない。今回もその二の舞になるだろう。最大の関門は5000〜6000mという深海底で作動出来る回収機が開発出来るか、である。また、レアアースは採掘だけでなく、海洋環境対策・大量の残土処理など周辺・二次対策が必要になる。
 だからといってやるだけ無駄といっているのではない。海洋資源権益を守るためには、実際のサンプルを採り、採掘技術の道筋を示すことは重要である。それをやっておかなければ、余所の何処かの国に権利を奪われることになる。
(12/07/02)


 地学的話題をもう一つ。最近東大チームが、太平洋の海底で大規模レアアース鉱床の存在を確認したという報道があった。早速マスコミは大はしゃぎ。資源というのは、そこにあるというのと、それを採掘出来るというのは別問題。何だか80年代に話題になった、レアメタル資源(マンガン団塊)を思い出してしまった。あれも採掘技術がついていけなくなったため、その後沙汰止み。今回もそうなる可能性はある。
 しかし、日本が独自技術でレアアース資源を確認したことは、国際政治的には大いに意味がある。70〜80年代に欧米先進国で海底資源の山分け協定が結ばれた。日本はかろうじてこの海賊同盟の末端に入ることができた(米ソ英仏伊独日)。この同盟に入るためには、独自で海底資源を発見したとか、採掘に成功したとかの実績が必要である。今回は日本が最初に鉱床の存在を確認したから、日本に採掘の先行実施権が与えられるのである。さて、管や民主党がその重要性を認識しているかどうか、が問題なのだ。気を付けなくてはならないのは、日本が大金を投じてやっと採掘方法を確立したと思ったら、中国がいきなりダンピングに走ることだ。
(11/07/07)


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