元駐中国外務職員の自殺・・・・・新総裁候補者のお披露目事件

 この事件は、云ったとおり有耶無耶になりました。アベは総理になり、中国に行って、胡錦濤とにこやかに握手。半年前の大騒ぎなど、当の本人が忘れてしまっている。自殺外務省職員は、アベに良いように利用されただけ。
(06/11/24)

 この事件、今はわあわあ騒いでいますが、その内、何となく有耶無耶で終わりそうな気がする。何故なら、これまでの日中関係で問題が生じた時は、常にそうだったから。いやコイズミ内閣は違う、と云いたいだろうが、コイズミだから余計に、そういう気がするのである。性格的に飽きっぽいから、こういう目立たない案件は、直ぐに興味が無くなるのだろう。
(06/01/08)



昨日(06/03/30)になって、読売新聞がいきなり外務省自殺職員の遺書を全文公開。それに悪のりして、バカ安部が早速、中国に抗議。何故、バカかというと、この遺書の内容が真実かどうかを、検証していないからである。これは当に永田偽メール事件と同じ構図。ワタクシは、この遺書がでっち上げとまでは云いません(但しその可能性も、無いとは云えない)。しかし、中身については、幾つかの疑問点が感じられる。電信官(外交官ではない)に接近してきた人物が本当に中国公安当局者なのか?仮にそうであっても、どのレベルなのか?接近意図が中国政府の指示によるものか?という重要な点については、全く判っていない。
1)まず、週刊文春記事では、接近人物は「董」という具体的な名前を名乗っていたが、遺書では「公安の隊長」という、曖昧な表現しか使っていない。
2)中国の政府組織では、通常「隊長」という言葉は使わない。もし使うとすれば、それは民間組織である。組織のトップに「長」という称号を使うのは、日本独特の慣習なのだ。
3)接近してきたのが、本当に中国公安当局なのか?誰かに騙されていただけではないのか?
4)外交コードなど幾らでも作り替えられるから、外交機密としての重要性など大したことはない。今時、政府が面立って騒ぐ程の価値があるとは思えない。まして、地方総領事館の電信官が、接近出来るレベルのコードである。逆に、たかが地方電信官が・・・安部の云うような・・・重要機密に接近出来るとしたら、それこそ日本の外務省の機密保持能力に問題がある、ということになる。
 仮に接近してきた人物が、中国公安当局者としても、それは外務職員なら当たり前のことで、海外・・・それも仮想敵国・・・に赴任するなら、当然それを予測しておかなければならない。最初に関係を持ったキャバレーの女も、実は公安の手先ではなかったのか?要するに、はめられたということ。外務職員の資質に問題がある、と同時に外務省の職員教育が問題なのだ。
 安部も外務省も、こういうことをやっている暇があれば、ウイニー対策でもやっておればどうか?中国にウイーン条約違反だ!とねじ込んでいる隙に、ウイニーから外交機密が漏れていたりしたら、トンだ世界の恥さらしだ。なお、ウイーン条約など、只の紳士協定で、実効性など何もない。中国よりも膝元をもっと見直したらどうかね。バカ安部君。ウイニー公務員や上海買春役人を作ったのも、今の政府がまともでは無いからだ。
(注)中国は日本にとって仮想敵国のはずだ。もしそういう評価をしていないなら、そのナイーブさに驚く。日本がそうでなくても、中国はとっくの昔に、日本を仮想敵国として扱っているよ。
(06/03/31)

一昨年5月(2004/5)に生じた、ある日本人外務職員の自殺事件が、波紋を広げています。既にネットでは広がっているし、中国大使館hpを見れば、中国側の公式態度も表明されている。事件発表のタイミング、及び日本側ニュースソースからみて、これは国内政局がらみのプロパガンダの可能性が強い。この事件の概要は、既にマスコミ等で報道されていますが、改めて纏めて見ます。
 (1)ある時期、日本の上海総領事館に勤務する外務職員(1)が、キャバレーの女を買春した。
  (1)電信官という職務。国家機密を扱う重要職責という右翼のアホがいるようだが、実態はノンキャリのぺーぺー(と某掲示板に書き込みをしたら、早速「貴様はノンキャリを差別するサイテーの野郎だ!」というカキコミをされました。書き込んだ人はどういう人でしょう。官公労のアクテイブか、さて又共産党の一部か?国家公務員でありながら、赴任地で国法違反の買春行為をやるような、タワケモノと、真面目な納税者とどちらがサイテーなのか?)。本当のキャリアなら、キャバレーの女なんかに引っ掛からないよ。
 (2)それを董という男にかぎつけられ、日本の外交暗号コードを渡すよう、脅迫されるようになった。董は中国公安関係者だった。
 (3)職員は他地への転勤(ロシア領サハリンと云われる)を願い出て了承された。
 (4)しかし、董は「ロシアへ逃げても追いかけてやる」と脅した。
 (5)進退窮まった職員は04年5月、自殺した。・・・報道によると「国を売ることは出来ない」かららしい。

 ここで、確実に事実と考えられるのは、上記の内、(3)と(5)だけで、あとは全て憶測に基づくものです。この事件を、日本の某週刊誌がかぎつけ、報道したものだから、話題になり、とうとう安部が「中国で遺憾な事態があった」と、記者発表してしまったのである。さて、このお話の中で、最も重要で、且つ安部が「遺憾な事態」としたのは、明らかに(2)です。日本政府は、(2)を事実として、問題の提起を行っている。そうなら、その前提になる、(1)も事実でなければならない。そこで直ぐに、次のような疑問点が湧いてきます。以下、上記(1)〜(5)を事実と仮定して、疑問点を検討して行きます。
1)中国では、買春行為は犯罪です。数年前、大阪のある悪質リフォーム会社が、中国で集団買春をやったのがばれて、大騒ぎになり、それを契機に日中関係が、一気に冷え込んだ事件があった。外務職員なら、当然、@自分の買春行為がばれたらどうなるか、A自分自身が中国公安の監視対象になっている(中国が日本の外務職員を監視するのは当たり前。日本だって、中国・北朝鮮大使館員は、日本の公安が見張っている。お互い様だ)、B相手の女だって、公安の手先かも判らない、位のことは判りそうなものだ。職員は「国を売ることは出来ない」と言って自殺した、と云われるが、実際は、この時点で売国行為を行っているのだ。日本の外務省の職員教育はどうなっているのか?
2)中国が、日本の外交情報 を欲しがる理由が判らない。逆なら判る。当時の日本なら、ざっと挙げただけでも、@シベリアパイプラインの行方(対駐露大使館)、A中国新幹線の発注先(対ドイツ大使館)、B国連安保理改革に対する中国の態度(対国連代表部)、C六カ国協議に対する中国・北朝鮮の対応(対北朝鮮大使館)、と言った面に関する、中国情報を、喉から手が出るほど欲しかった筈だ。では、中国は日本の外交情報について、どれだけ興味を持っていただろうか?殆ど思い付かないのである。日本の外交姿勢など、アメリカ外交にくっついているだけだから、アメリカの外交方針さえ読み切れば、何の問題もない。中国外交はとっくの昔に、日本なんか相手にしていないよ。
3)というわけで、中国が日本の暗号コードを欲しがる理由も判らない。第二次大戦中のスパイ小説じゃあるまいし、今時暗号コードでもないだろう。今は暗号の組み替え・解読は、全てコンピューターでやるから、人間が介在する余地などない。第一、暗号コードというものは、同じものを何時までも使っていると、必ず解読される(傍受を重ねていると、必ず特徴が出てくる。一種のスタッキングですな)から、常に変更していなければならない(2)。もし、日本の外務省が、同じコードを長期間使っていれば、通信を傍受すれば、簡単に解読出来る(今は解読にコンピューターを使うから、昔のように時間は掛からない)ので、脅迫などと云う、ハードな手段を使う必要はない。又常時、コードを変更しておれば、一時的なコードを入手したところで、直ぐに変更されてしまうので、これも意味はない。ということで、まともなスパイなら、こんな漫画のようなことはしない、と考えるのが常識。
(2);太平洋戦争の発端となった真珠湾攻撃で、アメリカは「日米交渉を打ち切る」という外務省公電は解読したが、連合艦隊から機動部隊宛の攻撃発進命令電は解読出来なかった、と言うのが、現在の定説である。この理由は、日本外務省は暗号の基本コード変更を怠っていたから。一方、日本海軍の暗号は、そもそも構造が極めて複雑な上に、暗号構造をコントロールする基本コードを、定期的に変更していたからで、これには、さすがのアメリカ数学界の秀才達も音を上げたらしい。これでも、現代のコンピューター解読技術に掛かれば、あっという間。

4)董という人物が、どうして職員のロシア転勤を知ったのか?普通、逃亡者が逃亡先を脅迫者に漏らすなんてこと、考えられますか?通常の人事移動なら、秘密でもなんでもない。しかし、事が事だけに、本人の安全を考えれば、当然秘密にするべきだろう。だとすれば、領事館内に、別に内部通報者がいたことになる。外務省にとって、大スキャンダルだ。逆に、秘密にする必要がなかったのなら、脅迫も無かったことになるので、事件そのものが成立しなくなる。
5)更に、事件後1年7ヶ月も経って、いきなり週刊誌記事として、現れ、しかも十分な吟味もなしに、官房長官が、記者会見で公表した。しかも、それは外務大臣が留守中にである。
 
 通常、こういう事件の場合は、@事務レベルで、事実関係の確認を行う。A事実が確認された段階で、相手国に抗議するなり、善処を要請する。B相手国が要求に応じない場合に、始めて政治論議に挙げる。と云った段階を踏むものである。ところが、今回はその段階を無視して、いきなり政府の記者発表になったのである。この場合、相手国が、「はい、そうです」と、素直に認めると思いますか?幾ら、ウイーン条約を出したところで、事実が確認されていないのだから、「そういう事実はない」と、拒否されたら終わりだ。事は、二国間の外交問題である。この場合、第三国がどう考えるか、を読んだ上で、作戦を練らなくてはならない。本件の場合、次に述べるように、日本の立場は極めて悪い。
1)事件後1年7ヶ月も経っての発表である。これだけで、何か他に意図があるのではないか、と疑われてしまう。政府は、外務省のラインが、情報を上に伝えなかったからだ、と云っているが、それは日本政府の問題であって、他には関係はない。逆に、日本の外務省の意志伝達機構が、如何に非能率で、無力化しているか、を海外に宣伝しているだけだ。こんな国と付き合っていて、大丈夫か?という不安感を、周辺にまき散らすだけである。
2)ニュースソースが、週刊誌記事(この週刊誌が「週間文春」という独特の価値観を持つ週刊誌)だというのが、問題である。記事を信頼しないのではなく、こういう手段でしか、情報を入手出来ないことが、問題なのである。つまり、日本政府の情報収集能力は、極めて低劣であり、従って、そこからの情報は信頼に値しない、と見なされ得る。つまり、日本政府の主張を、国際的に認めて貰おうと思えば、独自で、更に綿密な裏付け証拠を採らなければならない、ということだ。
3)日本政府がウイーン条約を持ち出すなら、中国は事件の発端となった、外務職員の買春行為を持ち出すだろう。国家公務員による買春という、国辱的行為は、極めて重要な外交問題になる。これに、数年前の、大阪のアホ会社の集団買春事件を絡めて、如何に日本人が不道徳な民族であるか、を宣伝する。これは効くぞー!
4)日本政府は外交暗号コードを、鬼の首のように大げさに扱うが、たかが地方領事館のノンキャリがタッチ出来るコードなど、大した物ではない。盗まれたら、作り直せばそれで済む程度のものだろう。その程度のことで、大騒ぎすればするほど、外国から足下を見られてしまう。逆に、この程度の人間が、重要機密に接近出来るとすれば、それこそ外交機密のセキュリテに問題があることになるので、又々国際的信用をなくしてしまうことになる。なお、中国はとっくの昔に、日本の外交暗号を解読してしまっている可能性はありますよ。知らぬは亭主ばかりなり。
 
 というわけで、この問題を今の時期に、いきなり持ち出したところで、外交的にプラスになるものは、何にもない。ということは、これは国内向けプロパガンダということだ。年の初めで、政局に目立った動きははない。安部はせっかく官房長官になったものの、TVの出番がない。これではイカン。秋の総裁選に向け、予備選が行われる。安部の最大のライバルは麻生。ことは外務省問題。麻生は首相と一緒に外遊中。これ幸いと、誰かが麻生の足を引っ張るために考え出したのが、これというわけ。上手くいけば、これで安部は頭一つ抜け出せるだろう。安部も、話題が反中国だから嫌いじゃない。一つ乗っかってみるか、と言うところじゃないの。誰が考え出したのか?判りませんが、武部・中川(秀)・与謝野・飯島のどれか。意外にコイズミが、後ろで糸を引いていたりして。要するに、安部にこの問題を、一つ片づけて見ろ、ということ。安部の新総裁候補としてのお披露目公演に、この事件を利用しただけ。コイズミというのは、本質的にマキャベリアン(本人が自認している)。コイズミマキャベリズムが政府・党内に浸透してきている。これに官僚・民主党・公明党が太刀打ち出来ますかね。但し、コイズミマキャベリズムも、通用するのは国内だけ。昨年のAPECでは、コイズミ一人蚊帳の外。外交では、中国の方が、役者は一枚も二枚も上だ、ということをお忘れなく。

 この事件は今後、更に情報が明らかになれば、別の展開もあるかもしれませんが、筆者の現時点での見解を述べておきます。事件の本質には次の3ケースがあり得ます。
1)全て、週刊誌記者の憶測。つまりねつ造。この場合、職員の買春疑惑は晴らされます。
2)董という人物がいたとしても、公安でも何でもなく、マフィア関係か街のチンピラ。但し、日本の暴力団と関係があって、その線で逃げられなくしているケースも考えられなくはない。
3)董は公安関係かもしれないが、たいしたレベルではない。公安の末端組織或いは個人が、功名心に駆られて暴走した。これも今、中国を覆っている成果主義の所為。とても国家がらみとは思えない。

 なお私なら、董が脅迫してきたら、偽の暗号コードを渡し、ついでに現金も渡し、ついでに偽のパスポートも渡し、その写真を撮って、逆に董を脅して二重スパイに仕立て、中国公安の情報を手に入れることを考えるが。日本の外務省も、これぐらいのことをやってみてはどうかね。
(06/01/07)


RETURN        一覧へ        TOP へ