地下ガス(こういう地盤にガスが出る)
火山や温泉からのガスについては「火山性(温泉)ガスの危険性」を参照して下さい。

 ・八箇峠ガス爆発事故
東京渋谷(シェスパ)ガス爆発事故
南関東ガス田


八箇峠トンネルガス爆発事故

 八箇峠トンネルガス爆発事故について、警察は施工業者(佐藤工業)の責任者二名を逮捕したが、筆者はこの事故については疑問を持っている。果たして発注者の国土交通省に責任はないのか?背景には、最近流行の提案型入札制度があるのではないか?ゼネコン二名を起訴しただけで、問題の本質を解明出来るだろうか?などである。当に応用地質学の出番である。筆者が鑑定をすれば、真実を明らかに出来るだろう。
(14/01/16)


 ガス爆発事故から1ヶ月。それでも坑内ガス濃度が下がらない。そのため国交省は、地表からガス抜きボーリングをやることになったらしい。これは地下には、まだまだ相当量のガスが賦存していることを示す。最早、只のガス溜まりではなく、ガス田と云った方が良いかもしれない。折しも、新潟県沖で大規模ガス田発見のニュース。ということは新潟県のガス資源は、まだまだ捨てた物ではということだ。今回のガス突出は、土被りがせいぜい数100mのトンネル内で生じた。もっと深く地下1000〜数1000m級では、更に大規模なガス田が見つかるかもしれない。今後新潟では、とんだ天然ガスブームが起こるかもしれない。なお、この地域はトンネル工事が行われているから、鉱区権設定は無かったかもしれない。佐藤工業は鉱区権を設定しておけば、株価が上がったかもしれないのだ、残念。
(12/06/19)

 現在この事故は、新潟県警が業務上過失致死傷容疑で捜索を行っていますが、今までの客観的事実から見ると、刑事で立件するのは難しいような気がする。
1、国交省は「このトンネルはガスが出ることに注意」と、文書で警告していたと云うが、これがどれほどの拘束力を持っているか疑問である。本工事は所謂公募制で入札が行われたものと思われる。上記の一文は、入札参加通知書の中の注意書きではないか、と思われる。特記仕様であれば拘束力はあるが、「注意喚起」だけでは特記仕様には該当しない。
2、注意書きに対して落札者は、受注後それに対する回答を提出し、発注者の承認を得なければならない。どういう回答かは、受注者の任意である。例えば、観測施工で対応する、というのも一法だし、工事着工後改めて地質調査を行い、その結果で判断する、というのも一法である。佐藤工業は後者の方法を選んだのだろう。別にこれは間違いとは云えない。
3、そして佐藤工業は、ガスは出ないと判断した。事故後、佐藤工業が工事再開後、坑内のガス測定を行っていなかったことが判って、マスコミは鬼のクビを取ったかのような報道をするが、筆者はガス測定をやっていたところで、本件事故の発生は防ぎ得たかどうか、疑問と考えている。何故なら、工事再開後も当日も、ガス測定をやらなくても工事は無事に進捗している。これはガスの突発的噴出以外に、事故原因が考えられない証拠である。ガスの局所的突出の予測は果たして可能であるかどうか?過去の事例から見ると、幾ら計測を綿密に行っても可能であるとは云えない、と云うのが現実である*。地震予知が未だに出来ないのと同じである。
4、又、ガス測定は、ガス発生が事前に予測される場合に課せられる義務(労働衛生安全規則)であって、あらゆるトンネルに義務付けられるものではない。施工者がガスは出ない、と判断すれば、構わないのである。
5、ということは、本件事件を立件しようとすれば、佐藤工業の判断、就中その根拠となった地質調査が妥当であったかどうか、が検証されなければならない。但し、この種の調査の内容・数量には明確な規定があるわけではない(筆者は個人的には、背斜構造の有無**、それに着目した調査が行われていたか、がポイントのように思うが、それでも刑事立件の根拠としては迫力に欠ける。そういう法律が出来れば別だが)。
 以上から、本件事故は肝心の所にいくと、曖昧になってしまうので、新潟県警にはお気の毒だが、無駄な努力のような気がしてならない。
6、ではこんな事故は防げないのか?防げますよ。それは事前の地質調査を如何に綿密に、周到に行うか、がポイントです。この種の事故が起こると、早速国交省などは一般的な安全基準や地質調査要領を作りたがる。実はこれがクセモノで、この種の基準は役人の責任逃れのためだけが目的である。実際の事故防止には何の役にもたたない。ここで重要なのは「周到」という言葉です。周到に作戦を練れる技術者・地質家が必要なのです。
*昭和49か48年頃だと思ったが、農林水産省月山トンネルでは、ガス検知システムを作り、坑夫はカナリアまで持って入ったのに、ガス爆発を起こして死傷者を出している。その頃、三井三池三河坑とか、その前は北炭夕張坑でガス爆発や炭塵爆発を起こしている。これらの原因はいずれもメタンの突出である。
**当該地域に背斜構造があるかどうかは、別途地質図で確認して下さい。
(12/06/03)

 前の所見では、長期の切り羽停止で坑内に滞留したガスが、引火爆発したのではないか?という所見を述べましたが、その後の情報から見ると、そうではなく突発性ガス噴出の可能性が高いと思われます。情報を整理してみます。
1、爆発時トンネル切り羽は、坑口から1.4qだった。
2、4人の作業員の遺体が確認されたのは、1.3qの位置で、100mのズレがある。
3、工事中止前は毎日ガス検知を行っていたが、異常は検出されなかった。
4、事故前日も切り羽迄点検しているが異常はなかった。
5、事故が発生したのは5/24午後8時頃。通常トンネルは二方交替で作業するが、死亡した作業員は2番方と思われる。
6、番方交替が何時かは知らないが、一般には昼前後。ということは1番方は問題なく施工出来た。2番方も問題無く切り羽に入っている。
7、つまり番方交替から事故発生までの数時間の間に、切り羽に何らかの異常が発生し、作業員は慌てて退避し100mほど走った時点でガスが引火爆発した。何らかの異常とはガス突出に他ならない。
 では、ガス突出は何故発生したのか?地山が魚沼層群ということで、おそらく先受けボルトを入れた。通常のNATMなら精々4m程度だが、最近は施工効率を上げるために長尺ロックボルト(AGF)を使うことが多い。大体、10m位だが、中には20mというのもある。こういうロックボルトの場合、穿孔によって、奥にある地下水や天然ガス溜まりを貫くケースがある。無論これにより、水圧やガス圧を軽減出来るので、補助工法にも利用できる。今回のケースは、AGFの穿孔が坑奥部にある天然ガス埋蔵層を抜いてしまったのではないかと思われる。通常、天然ガスは背斜構造の周辺に貯留される。魚沼層群は向斜・背斜を繰り返す複背斜構造が特徴である。事故区間が背斜構造に掛かっていた可能性もある。又、事故直後の報道では、事故発生地点周辺の地形は、急に標高が高くなっている・・・トンネル土被りが大きくなる・・・という印象だった。こういう場所は、地質的には背斜構造の可能性が高く、ガス圧も高くなる。
 無論これは仮説であって、事実と違うかもしれないが、事故原因を明らかにするためには
1、当日の工事内容の詳細
2、事故発生区間の地質構造の詳細
 を顕にする必要がある。

 てなことぐらいは、アホな世間知らずの学者でも云えること。技術士はそれで満足してはならない。多分この事件は刑事・民事で争われる。原告は被害者家族と警察、被告は元請けの佐藤工業と国土交通省である。原告は被告の設計・施工計画・施行管理の瑕疵を立証しなくてはならない。上で挙げた情報から見ると、これは極めて困難と云わざるを得ない。筆者が被告側鑑定人なら、少々のことは論破してみせる。従って、被害者家族は出来るだけ有利な条件で、民事調停を目指した方が得ではないか。
(12/05/27)

 新潟県南魚沼郡八箇峠トンネルの爆発事故。当初の報道では、爆薬が爆発したような印象だった。今時暴発するような火薬を使う訳が無いし、魚沼層群で爆薬を使うこともまずない。大抵は機械掘削なので不思議だなあと思っていたら、どうもこの事件、メタンガス爆発の可能性が大。地山が魚沼層群だから十分可能性があります。(12/05/24)

 事故発生当初の映像ではトンネル坑口に換気ダクトが無いので、ダクト無しで2.8qも掘るのか?と思ったらそうじゃなくて、昨年10月から今年5月まで、約7ヶ月間工事を停止していて、事故発生日は工事再開初日だったらしい。切り羽は坑口から1.2q程入った位置なので、それまでは何の別状もなく掘削出来た訳だ。おそらくメタンの漏出もあったが、量が少ないので換気で排出出来たのだろう。
 今回の事故原因は7ヶ月間の鏡止めで、坑内にジワジワと漏出滞留したメタンが、何らかの原因で引火爆発したものと推定されている。冬季は積雪で坑口も閉ざされるから、坑内は密閉環境にある。それはそうだと思うが、ではガスはどういう経路で漏出したのでしょうか?切り羽からか?佐藤工業ともあろうものが、7ヶ月間の鏡止めを無普請でやるとは思えない。必ず切り羽吹きつけ+補強はやっているはずである。そうすると、灯台下暗しで、踏まえからか?通常踏まえは吹きつけの対象にしない。しかし、ダンプの走行で路面は泥土化するので、それ自身吹き付け効果もある。意外に、普段気が付かないようなところから、という可能性もあります。
(12/05/16)


東京渋谷ガス(シエスパ)爆発事故

いささか旧聞に属しますが、5年前渋谷シエスパで起こった天然ガス爆発事故。その後これはどうも、東京都による温泉掘削規制が遠因では無いか?という気がしてきました。

 平成5年に東京都北区板橋で温泉ボーリング掘削中に火災を生じ、同7年に渋谷シエスパでメタンガス爆発を起こした。どちらも施工業者、事業者の責任で、行政は知らぬ顔である。本当にそうだろうか?どちらのケースも掘削長は2000mクラスである。従来の都内温泉掘削長は、精々1000mクラスだった。ところがいきなり倍ぐらいに増えたのである。この原因には都の行政指導が考えられる。つまり1000mクラスの温泉は数が増えすぎて色々トラブルが発生した。そこで都は1000mクラスの掘削を制限した。そのため、事業者は勢いより深い掘削を行うようになった。
 ではどのような問題が発生するか?天然ガスが出来るのは、地層中の有機物が分解し、炭化水素CHが形成され、それが熟成することで、それには圧力・温度・熟成期間が三大パラメーターとなる。関東平野で、1000m迄の地層は第四紀成田層群が主体で、これの地質年代は精々100〜200万年程度に過ぎない。だからこの部分の天然ガスは熟成度も低いので、圧力も大きくはない。だから温泉を掘っても大した問題はなかっった。ところが、この部分の掘削が禁止されれば、より深い深度・・・つまり2000mクラス・・・を狙うようになった。この深度になると、中新世三浦層群が主体になる。又深度が大きくなると、圧力・温度も高くなりCHの熟成度も高くなる。天然ガスとしては質は良くなるが、高い圧力を持つようになる。この部分を掘削したため、上述のような事故を招いたのであろう。つまり、これら天然ガス事故の真の原因は、東京都による過剰規制だ、ということになる。
 さて、福島事故の後遺症である原発停止で、東京都はいきなり天然ガス発電を言い出した。この背景に南関東ガス田利用という腹づもりがあることは明白である。別に構わないのだが、東京のような人口密集地で天然ガス採取をやるというのは、アメリカテキサス州を除けば、例を知らない。一つには、天然ガス井というのは、しょっちゅう火災を起こすからである。又過剰採取を行えば地震を誘発する恐れもある。やるならヤルで、その点を十分調査し、安全範囲内で採掘をコントロールする工夫が必要である。それと南関東ガス田など、世界のガス田に比べれば、相撲取りと赤ん坊以上の差がある。いきなりやり出すと、数年で無くなってしまう可能性もある。その点をよく考えておかなければならない。
(2/04/26)

 その後の報道により、ビル管理会社(日立ビルメンテナンス)が、ユニマット側にメタンガス検知器の設置を要請したところ、ユニマットが換気窓があることを理由に経費増を避けるため、検知器設置を拒否した、と伝えられる*1。これだけ見ると、ユニマット側の一方的責任に見えるが、日立側に全く責任がなかったと云えるだろうか?本事故で死亡したのは全員がユニマット側社員だったが、もし日立側の社員(派遣・正社員を問わず)が犠牲になっておれば、日立も責任を免れないのである。
 この事故の性格をよく考えて見ると、JR西日本福知山線脱線事故と、極めて構図が似ている。福知山線事故では、ATSが設置されていれば事故が防げた、と云われる。ところが、JRはATSを設置する前にダイヤ改正をやった。シエスパでも、ガス検知器をつけていれば事故は防げた。どちらも安全対策をやる前か、やらないままにに事業を開始したのである。JR福知山線では事故区間では速度規制がかかっていること、シエスパでは換気窓が取り付けられていることを、事業者側は安全対策の根拠とするだろう。では、肝心の従業員はこの安全対策を熟知していたであろうか?聞くところによると、JRの運転士の大部分は速度規制のことを知らなかったと云うし、シエスパでも従業員がメタンガス(その危険性や湧出の可能性)について、十分知識を持っていたかどうか疑わしい。労働基準法並びに労働衛生安全規則では、何らかの危険が察知される場合には、労働者に対する定期的安全教育を義務付けている。従業員が何のために速度規制をするのか、この換気窓が何のためにあるのか、を理解していなければ、そんな安全対策など絵に描いた餅にすぎない。この点で、JR西日本もシエスパ・日立ビルメンテナンスも、単に業務上過失致死傷だけでなく、労働基準法・労働衛生安全規則に違反している疑いがある。
 なお、事件は刑事と民事で争われる。福知山線事故の経緯から見ると、刑事では末端の安全管理者が業務上過失致死傷で引っ張られるだけで、経営者まで及ぶ可能性は少ないと思われる。有罪となっても懲役3〜5年位。メタンガスに対する知識が乏しければ、執行猶予がつくかもしれない。だから、被害者はまず民事で闘う準備をして置いた方がよい。ここで注意しておかなければならないのは、ユニマットが計画倒産することである。既に施設の解体を始めているのは、その準備かもしれない。被害者は、経営者の個人財産を差し押さえるなど対抗措置を執っておかないと、まんまと逃げられるおそれがある。だから日立や大成も含めて訴訟を起こした方が良いかもしれない。この2社は逃げるに逃げられないからだ。
*1;メタンガス検知だけなら、メタンガスメーターを取り付けなくても、カナリアを飼っておればそれで済む。
(07/07/12)

 07/06/19、東京渋谷の温泉施設シエスパで爆発が生じ、死者を含む人身事故に発展した。筆者は当初これをガス爆発だろうと思ったが、都市ガスかメタンかについては、情報が不十分だったのでペンデング。その後の警察発表で、メタンガス爆発と断定された。別に東京なら珍しくはない話しなので、放っておいたら、翌日の朝電話があって、「関西テレビですが、この件についてお話を聞かせて下さい」。丁度暇だったから、相手になってやると、その後、「取材させて下さい」。「ああいいよ」と、結局電話で同じことを3回喋る羽目になりました。関西テレビからコメントを求められた事項は、概ね次の3点である。
      1、南関東ガス田とは何か?
     2、関西にも似たようなものはあるか?
     3、今後関西でも似た事故が起こる心配はあるか?

 ただ、当日は事故翌日でもあり、情報も十分ではなく、いきなりの取材なので、こちらも当てずっぽうで喋っていた(当日夕方5時の8chアンカー)こともある。その後、情報も整理されてきたので、ここで上記3点にその他の問題点、更に関テレに、いささか、いい加減なことを云ったことの修正・訂正を含め、改めて本件事故の原因と対策について論評してみたい。

1、南関東ガス田とは何か?
 南関東ガス田とは、昨年の東京都北区掘削火災事故で、急に有名になった言葉だが、これには大きく二つの誤解があるように思われる。
1)まず、この言葉は本来関東平野南部で、江戸時代から天然ガスを採掘していた地域を指す。それは千葉県北部から埼玉県南部、東京都東部と神奈川県東北部の一部に渉る。その範囲は、別に地質構造のような科学的根拠に基づいて決定された訳ではなく、昔から稼働していた天然ガス井の分布を、エイヤーッと一くくりにしたに過ぎない。だからその範囲は時代(と経済状態)によって変化する。ある時期、例えば数10年前の設定ガス田地帯は非常に狭いものだったろう。しかし、その後の温泉ブームで関東地方のあちこちで温泉が掘られ、そこからメタンが抽出されれば、経済産業省的には天然ガス井になってしまう。ということで、南関東ガス田は今後ドンドン拡大し、いずれは南関東地方全域を覆うだろう。昨年の板橋事故以来、TV映像に産総研(旧地質調査所)から、南関東ガス田の分布範囲が示された。しかし、それが微妙に変化しているように見える。つまり、書き直しているのだ。無論、学術研究の結果として結論が修正されるのは、何も問題ではない。しかし、一般ピープルにとっては、何らかの権威は重要な意味を持つ(筆者は殆ど無視するが)。ある時期に発表された南関東ガス田から、自分の土地が外れておれば、天然ガスなんか心配しなくって良いんだ、と思ってしまう。これが誤解の第1である。
2、翌日夕方のNHKのニュースで、何処かの田圃(これが重要)で、表面に石油の様なものが浮きだし、そこから天然ガス(メタン)が湧き出している映像が映し出されていた。これだけ見ると、人々は関東平野南部では、何処でも地表からガスが吹き出すと思ってしまう。これが誤解の第2である。ここで湧き出している天然ガスと、シエスパで漏出した天然ガスとは、全く起源が違うのである。
 今から約2万年ほど前のウルム最氷期には海水準が、現在の海面から平均約200m低下した。その結果、世界中の海岸地帯では深い谷が切り込み、関東平野では樹枝状の谷が発達するようになる。その最も長いものは、東京湾から埼玉県中部にまで達する。その後気温は上昇に転じ、海水面も上昇し、谷底には陸源の物質が堆積するようになる。約1万年ほど前には一旦気温の上昇は停止するが、その後再び上昇に転じ、海水面は急激に上昇する。この結果、谷の底には軟弱な泥土が堆積する。これを地質学では「更新統」、一般には「沖積層」と呼ぶ。又、これ以前の氷河時代堆積物を「最新統」、一般には「洪積層」と呼ぶ。約6000年ほど前に気温上昇のピークを迎え、海水面も今から約5〜6m上まで上昇した。これを縄文(アトランテク)海進と呼ぶ。この結果、ウルム最氷期に形成された海岸沿いの谷は全て海になった。約3000年ほど前から気温は次第に低下し、2500年ほど前には一つの小氷期(弥生小氷期)を迎える。現在はその延長上にある。ところで、氷期/間氷期の間隔には規則性があり、天文学的計算に基づく間隔と、地層や大陸氷床に記録されている気候イベントから得られる間隔とがほぼ一致していることが認められている。ところがここ30年ほど前から始まった、地球気温の上昇は、理論曲線から大きく外れていることが判った。これが現在問題になっている地球温暖化の実態である。それは別として、この氷期で海水面は再び低下し(弥生小海退)し、海岸線も後退して、1000〜2000年ほど前に、ほぼ今の状態に落ち着いた。この結果、2万年前に作られた深い谷は、軟弱な泥土で埋め立てられ、表面は周辺の台地とあまり高低差の無い、海岸沿いの低湿地帯に変化した。これを「溺れ谷」と呼ぶ(溺れ谷の形成メカニズムと関東平野に於ける分布は「地盤の種類」を参照)。関東地方の溺れ谷には、厚さ25〜30m程の沖積層が分布する。これは一般には、最上部に数m程の未分解の腐植土層が分布する。その下には10〜20mの海底の粘土層があり、最下層に谷底に溜まった古い河川堆積物(砂利、砂、粘土)が分布する。さて、最上部の腐植土層は、いわゆる超軟弱地盤を形成し、地盤沈下とか様々な地盤災害の原因になっているのだが、これは現在も分解を続けている。その結果、メタンガスを出し、田圃に湧出する。NHKが映し出した天然ガスとは、実はこの溺れ谷表層の腐植土が作ったものなのだ。
 又、東京湾の周辺地域では、沖積層の下により古い堆積物が、厚さ数10〜数100mに渉って分布する。いわゆる洪積層であるが。沖積層の下部や洪積層にもやや炭化の進んだ有機質土層があり、それから分離したメタンガスが周囲の砂礫や砂層に貯留されることがある。これは下水道のシールド工事などで突出することがあり、建設災害の原因になる。しかし、これもその上下に必ず不透水層があって、普段は遮断されているので、地上に湧き出すことはない。
 ではシエスパで漏出してきた天然ガスは、どういうところで生産されたものなのか?これはいわゆる「関東構造盆地」の地質構造を考えなければならない。関東構造盆地とは現在の関東平野を中心に、東は秩父・足柄山地、北は関東・上越・筑波山地、南は三浦半島・房総半島南部の鋸山山塊に限られた地域である。これは太平洋プレートの沈み込みに伴う基盤岩の沈降によって生じた堆積盆地で、第三紀以降の堆積物が厚さ1〜4qに渉って堆積している。堆積盆地とは、地殻の中に生じたお椀のようなもので、周囲の陸地から供給された土砂が堆積する場である。ここでの堆積物は大きくは次のように区分されている。

地質系統 地層 年代 備考
第四系 更新統(いわゆる沖積層、洪積層) 有楽町層 0.2〜1万年 いわゆる「溺れ谷」堆積物を含む
上部最新統〜下部最新統 下末吉層、相模層群 10〜30万年
下部最新統〜鮮新統  上総層群 100〜500万年 概ね千葉県側
新第三系 中新統 三浦層群 1000〜1500万年 概ね東京〜神奈川県側
 古第三系  嶺岡層群、葉山層群等 2500万年〜

 ここで、第四系とした地層の内、上の2系統は分布そのものが限られており、生産量も大したことはない。つまり天然ガス生産に対する寄与率は低い。また、古第三系の地層も分布は狭小で、これの天然ガス生産寄与率は低い。最も天然ガス生産に寄与するのは、第四系〜新第三系の上総層群と三浦層群である。これらの南関東に於ける分布は、後章「温泉ボーリングで天然ガス火災」の中の「南関東地方地質図」を参照。この図で三浦半島や房総半島南端の黄色から柿色に塗られた部分が、上総層群と三浦層群に相当。


左の写真は紀伊半島南部に分布する、中新統田辺層群。砂岩中の斜交葉理が特徴的。典型的な浅海性陸棚堆積物。時代、堆積環境ともに三浦層群に相当する。南関東ガス田の地下には、この様な地層が、数1000mに渉って堆積していると考えられます。この様な地層の中で熟成し、貯留されたメタンガスが、今回のガス爆発の原因になったわけです。


 これらの地層は、厚さも2〜3q、分布も南関東一帯に広がり、他の地層に比べ、圧倒的な量を有する。浅海性陸棚堆積物であり、主に砂岩、泥岩、礫岩とそれらの互層からなる。この堆積物中の有機物(陸上からの植物片、海中の有孔虫、プランクトンやバクテリアなどの微生物の死骸等)から発生したガスが炭化水素(CH)に変化し、時間をかけて熟成し、天然ガスに変化する。これが地層中に固定されたものが、南関東ガス田の天然ガスの素なのである。しかし、これらの地層の中には泥岩の様な不透水層があり、これが遮蔽層となる。従って、地下深部の天然ガスが直接湧出することなどあり得ない。
 以上のことから、南関東地方の天然ガスには、大きく次の3タイプがあることが判る。
(1)最も新しい天然ガス・・・・溺れ谷沖積層表層の腐植土の分解によるもの。溺れ谷の地下数mまでに滞留する。地表がオープンであれば、大気圧とガス圧の差で地表に湧出する。但し、溺れ谷以外には発生しない。
(2)新しい天然ガス・・・・・沖積層の下部や洪積層中の有機質土の分解によるもの。洪積層分布地帯の地下10数〜数10m付近に滞留する。沖積粘土層や関東ローム層などで遮断されているから、通常は地表に湧出しない。シールド等地下工事で突出することがある。
(3)古い天然ガス・・・・・・関東平野南部地下深部に広範囲に分布する古い地層(主に上総層群、三浦層群)から発生する天然ガス。これは地下数100〜数1000mに滞留する。地表の地形に拘わらず、上総層群・三浦層群分布地域なら何処でも生産されている。通常は不透水層により地下深部に閉じこめられているが、温泉などのボーリングを行えば、それを利用して地表に湧出することがある。これの地下に於ける分布域が「南関東ガス田」である。

 一方、シエスパは渋谷にあり、地形的には台地上である。だから溺れ谷とは無関係である。又、温泉井は深さ1500m、地下300m付近にポンプが設置されていたとされる。これ自身は通常の施工方式である。通常この区間には保孔管が設置され、その周囲はフルホールセメントで地山とは遮断される。従って、この区間からの天然ガス漏出はあり得ない。通常温泉掘削井には最終仕上げとして、鋼製ケーシングパイプを挿入し、その内、採水部分に採水孔(ストレーナー)を開ける。ストレーナー区間の上下にはパッカーを設置し、採水区間以外からの地下水流入を遮断するのが原則である。シエスパも同じ処置をしていたはずである。シエスパのストレーナー区間がどの深度かは不明であるが、種々の要素を考慮すると、1000〜1000数100m位の区間ではなかったかと思われる。つまり、シエスパ温泉井から漏出した天然ガスは、明らかに(3)古い天然ガスに由来するものである。だから、NHKが放映している田圃からの天然ガスとは、何の関係もない。NHK は全く異なる現象を、単に見かけだけで無理矢理くっつけているだけなのだ。ただのアホとしか云いようがない(06/24朝TBSも似たような映像を流していた。両方揃ってアホなのだ)。

2、関西にも似たようなものはあるか?
 関西でもかつて、滋賀県の一部で天然ガスを採取していたことがあった。対象地質は「古琵琶湖層群」と呼ばれる新しい堆積物で、関東ではほぼ上総層群に相当する。同様の地層が、大阪平野周辺の丘陵地帯に分布することは、戦前から判っていたが、詳しい調査は手つかずだった。戦後、復興のための国産エネルギー確保を目的として、大阪平野での天然ガス調査が、通産省(当時)地質調査所、京都大学、大阪市立大学によって実施された。この結果、天然ガス開発の可能性は少ないという結論になった。又、当時の岸内閣の下で、日本のエネルギー政策が、国内生産から海外輸入に転換したことから、大阪平野での天然ガス開発計画は中断されたのである。一方、この研究の結果、この地域の新しい地層は、新たに「大阪層群」と命名され、研究成果はその後の大阪市地盤沈下対策の基礎資料となり、更に世界の第四紀研究のスタンダードになった。その後の研究成果も踏まえると、大阪層群とは次のようなイメージとなる。
(1)大阪平野と周辺丘陵地だけでなく、大阪平野全域の地下に普遍に分布する。
(2)同様の地層は、京都盆地、琵琶湖周辺、奈良盆地、淡路島等周辺地域、更には関東・中国地方にも広く分布する。
(3)大阪湾や河内平野では、厚さは最大2000mに達する。地層の年代は概ね200万年程度である。
(4)概ね未固結の砂・砂礫・粘土の繰り返しからなり、上部は粘土層(特に海成粘土)が多く、下部は砂・砂礫層が多くなる。
それはともかく、滋賀県で細々と稼行されていた天然ガス井も、昭和30年代の終わりから40年代にかけて全て閉鎖され、現在全くその姿を見ることは出来ない。それどころか、関西で天然ガスを採っていたという事実すら知らない人の方が多くなっているのである。ガス田というものを、広域的経済採算性に見合うだけの生産量を、供給出来る規模のものと考えると、滋賀県の天然ガス井ですら、地場消費がせいぜいで、とてもガス田と云えるものではない。しかも、昭和40年代になると、完全に稼工を停止していたようである。関西では、関東のようにガス田と言える規模のものは、存在しなかったと云えよう。
 しかし、関西でも全く天然ガスの噴出が無かった訳ではない。昭和30年代後半〜40年代、いわゆる高度成長期の地下鉄や下水道等の地下工事で、メタンガス突出という事故がしばしば発生した。場所は概ね河内平野(今の東大阪)と琵琶湖周辺、特に湖北地方である。最終氷期(ウルム最氷期)から、縄文海進、更に現在までの海水面の変化と、地表環境の変化は、基本的には関東も関西も変わりはない。2万年前には大阪平野も河内平野も陸化し、そこには川や湖や沼が発生し、その堆積物が盆地を埋積していった。その後の海水準の上昇、更に1万年前からの急速な海進で、古い大阪平野や河内平野は海となり、海の泥土が厚く堆積した。続く弥生小氷期によって、陸化が進み、現在のような平野を作ったのである。琵琶湖周辺は海域にはならなかったが、似たような現象が起き、縄文海進期には琵琶湖水域は、今よりずっと拡大された。その後の気候寒冷化で、琵琶湖水域は狭まり、余呉湖は分離され、琵琶湖周辺に沖積平野が形成された。奈良盆地も海にはならなかったが、ずーっと沼沢地状態がつづいていた。この過程で、沖積層上部やその下部には、関東平野と同様、有機質土が形成され、そこから分離したメタンが上下の砂や砂礫層に貯留された。これが上に挙げた、高度成長期の地下工事で発生したメタンガスである。これらが1で挙げた(1)最も新しい天然ガス、(2)新しい天然ガスに相当する。ところが、発生したと云っても、規模は関東平野に比べ圧倒的に小さい。それは平野の規模が圧倒的に小さいためである。平野の規模が小さいと、河川の流速が大きくなり、軽い有機物は大部分流され、水底に堆積しなくなる。では、(3)古い天然ガスはどうなのか?これについては後章で解説するが、これも関東平野に比べ遙かに規模が小さいと云える。
 以上のことから、関西特に大阪平野の天然ガス生産条件は、基本的には関東平野に似ているが、規模が全く違うことから、ガス田などと云えるものではなく、関東と一律に議論すべきではない、と云える。

3、今後関西でも似た事故が起こる心配はあるか
 およそどんな事故でも、そこには素因と誘因とがある。シエスパ爆発事故のメカニズムについて、警察が考えているストーリーは次のようなものだろう。
1)地下からメタンを含む地下水が汲み上げられる。
2)地下水は分離槽内で、水とメタンガスに分離される。
3)メタンガスは”おそらく”逆流防止弁を介して、分離槽外に排出される。
4)通常の施設では、そのまま大気中に排出されるが、シエスパの分離施設は地下にあったため、室内に滞留する。
5)滞留したメタンガ換気ファンで屋外に排出される筈だったが、なんらかの理由で排気ファンが停止し、メタンが室内に貯留されることになった。
6)そこに何らかの誘因(おそらくは電気系統による)が作用して、引火爆発に至った。
 ポイントはメタンが施設内に滞留条件があったかどうかである。今回事故に於ける素因とは、温泉機構により地下から、爆発に足るだけのメタンガスが供給されたことである。
 東京でも関西でも、温泉開発に関する基本的な着目点が、@地下深くなると温度が高くなること、A十分な地下水を供給出来る豊富な滞水層があること、という点では何ら変わらない。東京では取水の対象が、上総層群であったり、三浦層群であったりする。これが同時に”古い天然ガス”の供給源になっている。関西特に大阪平野や琵琶湖周辺では、それに変わるものが大阪層群である。つまり、大阪層群が、大阪平野に於ける”古い天然ガス”の供給源になる。だったら条件は同じではないか、と思われるだろうが、天然ガスに関しては根本的な違いがある。有機物があって、それが天然ガスや石油に変化するには、炭化水素(CH)熟成という過程が必要である。CHの熟成度を左右するパラメーターには@温度、A圧力、B時間がある。更に当たり前の話しだが、生成されるCH量は堆積物の量にも左右される。ここで重要な要素がB時間である。関東で天然ガスを生産する上総層群や三浦層群は、概ね500〜1500万年の年齢を持っている。それに比べ大阪層群は、せいぜい100〜200万年に過ぎない。圧倒的に若いのである。従って、CHの熟成度が低い。大阪平野で南関東レベルの天然ガスが発生するには、後100〜200万年ぐらい懸かるだろう。又、堆積物の厚さも広がりも、関東のそれに比べれば圧倒的に小さい。この点が、かつて国が天然ガス開発を計画したが、諦めた原因の一つなのである。以上の点から大阪平野では、関東平野南部のような、圧力を持った引火性天然ガスが存在する可能性は非常に低く、東京で爆発事故があったとしても、それによって同じように慌てふためく必要はない、と云える。だからといって何もしなくて良い、という訳ではない。僅かと云っても、かつて採掘されていたし、現在も地下で天然ガスが生産されていることは間違いない。幾つかの温泉では、温泉成分の中にメタンが付いていたという情報もある。
 むしろ関西の温泉で注意しなければならないのは、メタンガスより炭酸ガス(CO2)である。大阪平野とその周辺に分布する温泉(特に最近掘削された新しい温泉)の泉質の大部分は、低温単純泉又は炭酸泉である。炭酸ガスの起源については不明な点が多いが、筆者は花崗岩と、第四紀に於ける活断層の影響が大きいと考えている。花崗岩は大阪平野を含め、近畿地方中央部地下に広く分布する。又、活断層も非常に多い。炭酸泉の分布を見ると、活断層に沿って湧出していることが多い(例;有馬温泉〜宝塚温泉)。炭酸ガスは不燃性で、メタンのように爆発火災を起こすことはないが、致死性の高い極めて危険なガスである。無色・無臭なので、炭酸ガスが湧出していても気が付かない。又、比重が空気より大きいので、密閉環境では下に滞留する。だから、立っているときは何ともなくとも、うっかり姿勢を低くすると、そのまま中毒死することがある。但し、苦痛はない。炭酸ガス濃度の高い温泉で、シエスパの様に、地下の密閉空間で炭酸ガス漏出が発生しておれば、ガス中毒事故が発生するおそれはある。
 以上の様に、ガスが災害を引き起こすのは、密閉空間で換気・排気が行われず、ガス濃度が一定値に達したときである。つまり蓄積が問題なのだ。例え僅かでも、長時間後に蓄積する可能性があれば、事故発生の可能性はゼロではない。しかし、僅かでもガスを動かす空気の流れさえあれば、ガスは拡散してしまう。通常の換気・排気設備で対応しておけば何ら問題はない。重要なことは、現況を正確に把握し、冷静に対応することである。

4、その他の問題点
 ここでは本件事故に付随して次の2点について、筆者なりの見解を述べておこう。
 4.1)事業者並びに関係者の責任
 4.2)法的規制の妥当性
 4.3)天然ガス処理施設の問題点と、温泉ガスの有効利用
 
4.1)事業者並びに関係者の責任
 本件事故の関係者は概ね次のとおりである。
 (1)事業者(事業主)              ・・・・・ユニマット
 (2)施設設計者(コンサルタント、事業申請代理人) ・・・?
 (3)施設施工者                 ・・・・・大成建設
 (4)温泉関係業者(調査、掘削)       ・・・・・鉱研工業
 (5)ビル管理会社                ・・・・・日立ビルメンテナンスとその下請け
 それぞれが一般的にどういう責任を持つか、を点検してみよう。
(1)事業者(事業主)
 これはズバリ素人である。社長も支配人も女性だった。女性だから理系に弱く、難しい技術的なことは判らないから、全て設計者や施工者に任せていた、というケースは考えられる。この場合でも、最近の傾向では、事業者が免罪になることはない。例えば、談合で摘発を受けた場合、実際に談合していたのは末端の営業である。昔は責任を営業に押しつけておれば良かったのだが、現在では経営者・会社まで責任を問われる様になっている。今回のような場合、昔の大阪の会社なら、「難しいことはようわからんから、あんじょうやってえなあ」で終わったが、最近の東京で、そのような甘い話しがあるとは思えない。しかも、オーナーは最近急速に延びてきた女性企業家である。技術的なことは判らなくても、「金のことなら任せてよ」というタイプかもしれない。例えば、施工者がガス分離施設を他と同様、屋外設置にしたいと云って来ても、「渋谷なんて地価の高いところで、そんな贅沢出来ないわよ。ナントカしなさいよ」てなことになっておれば、相応の責任は問われる。権力を持っている素人は、判らないことには口出ししない方が賢明なのである。
(2)施設設計者、(3)施設施工者(ゼネコン)
 この2者は兼業しているケースがあるのでまとめて考える。彼らも基本的には素人である。しかし、施設の安全性には一義的に責任を持つ立場でもある。従って、彼らはシエスパ地点での、天然ガス湧出の可能性に関する情報を入手し、それを施設設計と構築に反映させる義務がある。更にメタンガスの危険性を知悉していたはずである。その上で安全な施設を設計し、事業者の承認を採るべきである。一方、分離プラントそのものは、おそらく環境メーカーの製造だろう。プラント設計の妥当性で、メーカーとゼネコン間の責任のなすり合いが始まるだろうが、プラントを地下に設置し、おまけに漏出メタンを、換気ファンで屋外排出などという、安易な方法を採用した点で、ゼネコンの責任は大きい。
(4)温泉関係業者(調査、掘削)
 彼らはこの無責任の輪の中での、唯一の専門家である。しかし、おそらく彼らは、ゼネコンの下請けで入っているだけだから、施設設計・施工に関して、何ら関与する権限を与えられていない。先日のTVで、「メタンが湧出する可能性を指摘していた」と云っているから、おそらくそれは調査報告書や工事報告書に記載されているのだろう。ところが、後述の様に、管理会社はメタンガス測定を行っていない。つまり、彼らが持っている情報は、何処かで断ち切られていたのである。今後の裁判で、これらは重要な証拠になる。
(5)ビル管理会社
 これも建前は素人である。しかし、そうとばかり言い切れるだろうか?事故後「メタンガスの測定は管理項目に入っていない」、と言い訳して逃げまくり。それはそうなのだろうが、彼らも管理のプロなのだから、何処かから天然ガスの噂を聞いているはずである。永年東京に住んでいて、しかも温泉施設の管理を引き受けるんだから、何も「知りませんでした」などという、子供だましの言い訳は通用しないだろう。だったら、契約時にメタンガス測定の必要性を提案しても良かったはずだ。また、メタン漏出のおそれのある場所に、自社社員(パートだろうがなんだろうが、労基法上は関係ない)を派遣する訳だから、その安全確保義務は、一意的に雇用者であるビル管理会社に付属する。もし、派遣社員に何らかの災害が発生すれば、この会社は労働衛生安全規則違反に問われる。労働者の安全を確保するためにも、メタンガス測定を行うべきである、というのが筋なのだ。権力を持たない素人は、自分の身を護るために、判らないことに対しても、ドンドン発言すべきなのである。この会社はそれをしなかったために、今後とんでもない責任を負うことになるだろう。

なお、地下室のような密閉空間での、メタンガスの検知は難しくはありません。カナリアを飼っておけばそれでよい。今では、メタンガスメーターなどという文明の利器を使いますが、昔の炭坑やトンネルでは、切り羽にはカナリアを持って入って行ったのです。カナリアが鳴いておればOK。黙って死んでいると、ガスが出ているから逃げろ、ということになる。現代の動物愛護主義者にとっては、とんでもない許すべからざる行為ですが。
 ガスメーターというのは、その都度電圧とかキャリブレーションとかの性能チェックをしておかないと、偽データを与えることがある。素人の場合、それにも気付かないことがある。その点カナリアは餌さえ与えておけば、メタンが漏れていなければ生きているので、間違うことがない。


 全体を見渡した時、そこに見られるのは、恐るべき「無責任の輪」なのである。もともとあった(4)の情報が、上位に伝わるに連れて、何処かで断ち切られたか、拡散してしまったのが原因である。では何処で断ち切られたか?本日(06/26)毎日新聞夕刊によれば、@ユニマットは住民説明会で、メタンガス測定を約束した、Aしかるに日立ビルサービスに対しては、メタンガス検知を指示していなかった。これを見ると、住民説明会でのユニマットの説明は、住民の追求に対する、その場しのぎの場当たり対応であったとしか思えない。ということは、(4)からの情報が(1)に十分伝わらなかったことになる。従って、最大の責任者は、(1)と(4)の間にあって、工事責任を負っていた、(2)(3)を統括する大成建設ということになるだろう。
 何故、このような無責任の輪が発生するようになったかというと、ここ10年位の間に急速に進んできた、規制緩和とコストダウン要求と、一元化の嵐だろう。規制緩和によって、全く経験の無いものが、儲かりそうな業界になだれ込んでくる。その代表が介護業界だが、温泉業界も似たようなものである。新規参入者は、自分の未経験部分を専門業者に委託・・・という名の丸投げ・・・に奔るのだが、委託(丸投げ)手段も昔と違って、ドライに割り切ってしまうのである。その念頭にあるのは、勿論コスト管理である。無論委託された側もドライに割り切る。ある事業を展開するには、様々な過程を経なければならない。一番ドライなやり方は、事業の過程を幾つかのブロックに分割し、それぞれを専門業者に丸投げする。出てきた結果はその一つ一つは間違いないものである。それらを繋ぎ合わせれば、間違いないものが出来るはずだ。これが現代流一元化の丸投げ理論である。ところが、この理論の落とし穴は、それぞれのブロック相互に関連が無いため、繋ぎ目に情報のドロップ・変質が生じることである。その結果、最終結果を攪乱してしまうことになる。それを防ぐには、最初から最後まで事業全体を見渡せる第三者(専門技術者)に、事業の方向付けのチェックを委託(丸投げではない)することである。専門技術者とはただのコンサルタントではない。温泉事業なら、地質から温泉掘削技術、管理方式まで、安全からコストまでを指導出来る技術者である。なお、これに対しては、今流行りのISOは全く役に立たない。役に立たないどころか弊害のみである。何故なら、ISO自身、上に挙げた業務一元化を要求しているからである。それが証拠に、今回天然ガス爆発に直接関係した大成建設も、日立ビルメンテナンスも、ISOを取得しているはずだ。

4.2)法的規制の妥当性
 前項では、事業者サイドの関係者の責任を検討してきたが、もう一つ見逃してならないのは、許認可権者側の問題である。現在の温泉法では、事業者は当該都道府県知事に掘削申請を行うものとなっている。各都道府県は温泉審議会を設置し、申請の適否を審議し、掘削許可を交付する。当然、東京都にも温泉審議会があり、シエスパもその審議を経て、温泉開発を行ったものである。問題は、肝心の温泉審議会が機能していなかったのではなかったか、と疑われることである。温泉審議会のメンバーは、大体医者や弁護士、地域商工業者の代表で、地域の地質や掘削方式、揚湯設備等技術面に疎いのが多い。又、事務局は薬務課で、これも温泉技術には素人である。だから、業者の提出した掘削、揚湯計画を鵜呑みにしてしまった疑いが残る。一方で、温泉審議会は職権で、申請者に詳細工事計画の提出を求めることも、不備があればその訂正・追加を許可条件にすることも、行政に立ち入り調査権限を与えることも出来る。それを担保するには、自治体独自で条例を作ればそれで済む。現に、兵庫県や神戸市では、独自の温泉条例で新規開発の規制を行っている。但し、この機能を有効に生かすためには、温泉審議会メンバーに、地域地質、温泉掘削、管理技術に明るい人材を含めることが、是非とも必要なのである。
 
 事故後、早速出てきたのが温泉法改正を含む規制強化である。東京都は早速、温泉の規制強化を打ち出した。別に構わないが、規制の変更に当たっては、関係者が納得出来る客観的・科学的根拠に基づくべきであって、感情で行ってはならない。かつて大阪市地盤沈下対策が、ODー1を始めとする深層ボーリングや物理探査をベースとしたように、少なくとも、公費により「南関東ガス田」の地質学(堆積学、石油地質学、構造地質学)的・地球物理学的基礎調査を行い、それに基づくガス田構造・ガス田評価を明らかにした上で、規制を行うべきである。法律というものは、一旦出来ると、全国を一律に縛ってしまう。ところが、温泉は地域によって個性があり、一律に規制出来るものではない。新たに法律で規制を強化すると、新規の温泉はそれに対応出来る(規制強化分を開発コストに見込んでおけばよい)だろうが、古くからの温泉はそれに対応出来ず、極端な場合、廃業に追い込まれ、地域に歪みを作ることになりかねない。
 
 従って、法律は飽くまで、原則論に止め、具体的には地域ごとに、地域の特性を反映した条例で規制すべきである。こんなことまで、一々法律で規制して貰わなければ何にも出来ない様では、情けないとしか云いようがない。行政能力を疑われる。

4.3)天然ガス処理施設の問題点と、温泉ガスの有効利用
 シエスパの分離施設は地下にあり、換気が不十分になったため、メタンの滞留を生じ、爆発にいたった。では他の施設ではどうかというと、メタンは分離槽から、直接大気中に放出されていたのである。しかしこんなことは許されるでしょうか?
(1)メタンは2酸化炭素と並んで、温室効果ガスの双璧である。環境知事がこんなメタン処理方法を許可するなど、筋が通らない。
(2)今の温泉掘削深度、はせいぜい1000数100mだから、こんないい加減な処理方法でも良いだろうが、今後規制が強くなると、2000m級の温泉が現れるかもしれない。その時はメタン濃度も高くなる(深くなればなるほど、メタンの熟成度も高くなる)から、屋外排出方式でも引火爆発の危険がある。
(注)東京、大阪などかつて温泉が出ると考えられなかった都市で、温泉開発が盛んになったのは、昭和60年代のバブル期以降であろう。当初は1000m台だったが、その後1300m級となり、現在では1500m級が普通である。昨年の北区炎上事故や今回のシエスパ事故などは、掘削深度が大きくなっていることも原因の一つと考えられる。

 ではどうすれば良いか?東京の場合であれば
(1)排出されているメタンを回収し、自家消費に廻す。ガス会社に回収を義務付けても良い。ホテル税を穫ろうとした都知事だから、それぐらいやれるだろう。
(2)分離槽に溜まったメタンをコンプレッサーを介して、抗井に戻す。抗井内のガス圧が高くなるので、それだけで間歇自噴を起こせる。モーターの電気消費量を少なく出来る。但し、抗井の構造には一工夫が必要。

 関西はメタンより炭酸ガスなので、(1)は無理だが(2)は可能である。一方、温泉とは我々人間が、地球内部と直接対話出来るチャンネルでもある。つまり、何よりも温泉の挙動を細かく観察しておけば、それ自身、地域の環境変化のモニタリングポストになるだけでなく、地震予知に繋げることも可能なのである。
(07/06/27)


温泉ボーリングで天然ガス引火・・・・南関東ガス田


 東京都北区の某温泉掘削現場から天然ガスが出て火災になり、TVで報道されたのは05/02/10〜02/11のことである。


事件は事件なのだが、ボーリングがメデイアに登場する自身、歓迎されるべき事である。これまでボーリングが世間の話題になることが少なすぎた。この事故は、ある意味では別に大騒ぎするほどのことでは無いが、メデイアに登場したことに意義がある。施工に当たった明間ボーリングは迷惑だったかも知れないが、これはボーリング業界を世間に知らしめるための必要条件だったのです。 (05/02/14)
 本日(02/18)、明間ボーリング東京支店に、業務上過失出火の疑いで警察の捜査が入りました。これを契機に、あちこちで下らない規制が増えることが予想されます。問題はこういった事態に、地質屋がキチンと対応出来るかです。現代地質屋のように、ふぬけノーナシ地質屋が蔓延するとあまり期待は出来ませんが。


「関東地方地質構造図」

 図で、関東平野の南東部に「南関東天然ガス田」という地域が広がっています。これは過去(おそらく江戸時代以降)から稼働していた天然ガス井の分布を囲んだだけの画で、地質構造を格別考慮したものではありません。しかしその南東及び、南西端は第四紀層と第三紀層との分布の境界に、ほぼ一致しています。関東平野のほぼ中央部、旧利根川沿いに東京湾に至る帯状の地域(図の紫部分)で、堆積物が非常に厚くなっていることが判ります。この部分での堆積層の最大厚さは、埼玉県春日部付近で、約4000mに達します。一般に天然ガスの基にとなる炭化水素は、堆積物中の有機物を材料とし、それに温度、圧力、時間という要素が加わって次第に熟成し可燃性ガスに変化します。他の要因が一定なら、圧力が高く(堆積物が厚く)なる方が炭化水素の熟成は進みます。今回、ガスが噴出した地点は、「南関東天然ガス田」を外れていますが、堆積物が非常に厚くなっている場所に位置すること、掘削深度が1500mと従来の温泉より深くなっている点に注意する必要があります。
 事故後、某TV局でのニュース報道番組で、司会者の「天然ガスが出るなら、これでお金儲けができるじゃないですか?」という突っ込みに対し、ゲストの学者の答えは「関東(南関東ガス田)の天然ガスは水っぽくて品質が悪いので、採算に合いません」と答えていたが、この学者は経済学者。地表のことが、地下深部まで通用すると思っているらしい。そもそも、これまでの天然ガス井は、大部分が数100m級、せいぜい1000mで、民間用では数10mにすぎない。2000m級も希にはあるが数的には限られている。このような浅い井戸では、品質が悪いのは当たり前。しかし、図で見られる堆積層の分布と、今回の噴出事故を合わせて考えると、関東平野〜東京湾の中心で2000〜3000m以上の掘削を行えば、採算に合う天然ガス井が作れる可能性もある。やってみますか?

 ではこのようなことは、大阪では考えられるでしょうか?今のところ、温泉で天然ガスが噴き出すという証拠は見付かっていません。しかし、天然ガスに注意すべきことは考えられます。筆者がサラリーマンをやっていたとき、関空第一期工事の関連で、関空技術検討委員会の偉い先生がやって来て、特別講演を開きました。盛土の沈下と粘土の強度増加を調べて行くと、どうも圧密が理論より遅れている地区がある、という話があった。そこでピーンときたのが、ひょっとすると海底粘土で天然ガスが生産され、そのため地層の間隙圧が高くなって、圧密が遅れているではないかということである。そこでその旨を質問すると、「施工不良と言うのが結論です」というお答え。何とも締まらない話だが、土木屋の想像力不足にも恐れ入った次第です。
 しかし、関空の地盤条件を考えると、地下で天然ガスが生産されていることは十分考えられます。関空の海底地盤の大部分を占めるのは、海成粘土ですが、これは外洋性の泥と異なり、大部分が魚等の海棲生物の排泄物で出来ていることが判っています(1)。これは生物起源の有機物ですから、放って置いてもメタンを作る。おまけに上を空港盛土(キャップロックになる)で覆っていますから、炭化水素の熟成は何もないときより進行します。つまり、空港盛土により、天然ガスが作られる環境を作ってやっているのと同じです。もし、天然ガス圧が高くなって、滑走路から噴き出し、そこへ飛行機が滑走体制に入っていると大惨事です。天然ガスにも注意しておいた方が良いでしょう。大して難しくはありません。空港島の何カ所かに観測井(深さは50mから1000mぐらい)を掘削し、メタンガス濃度を測定すれば良いだけです。対策としてはガス抜きボーリング(昔、炭坑ではよくやっていた)とメタン処理施設の設置だけです。
(1)私はこの事をある時に、中世古孝次郎先生から直接聞いたことがある。当時(昭和60年代初期)フツーの人間は、「まさか、またまたアホな事を」と笑って済ましたかも判らないが、私は「うーむ、なるほど」と頷いたのである。理由はちゃんとある。前年夏、団地の夏休みでカミサンと子供が、金魚すくいで金魚を数匹釣ってきた。その殆どは直ぐに死んでしまったが、一匹だけやけに元気なのがいて、なかなか死なない。仕方がないから、金魚鉢を買ってきてそいつを飼うことにした。それを見ていると、数日くらいで金魚鉢の底に厚さ1oぐらいの緑色の層が堆積するのである。たった一匹の金魚でこれだけの排泄物の層が出来る。これを大阪湾に適用すると、大阪湾の魚の量から考えて、数1000年の間に、20mぐらいの排泄物の層が出来るのは不思議ではない、とある釣り好きの土木屋に話すると、彼曰く「そんなら何でいっこも釣れへんのや?」、「それは腕の問題じゃ」。


地下を掘削していると、ガスの突出に遭遇する事は珍しくはありません。そのパターンをまとめると、次のようになるでしょう。

地形・地質条件 ガスの種類 事故の種類
火山、地熱地帯 硫化水素、亜硫酸ガス、炭酸ガス 酸欠
第三紀、第四紀層 メタン他の可燃ガス、一酸化炭素 坑内火災・爆発、酸欠

 これらは、いわば当たり前・常識のようなもので、こんな話を聞いても少しも面白くない。しかし、世の中にはまさかと思うことがあるのです。その幾つかを紹介します。

名称 位置図(地質図) 摘要
兵庫県武庫川流域下水道

「名塩幹線」
生瀬工区
場所は兵庫県西宮市生瀬町。住宅公団(当時)がスポンサーで兵庫県が事業主体となって、宝塚駅前から、住宅公団「名塩団地」までの下水道幹線が、流体輸送式TBMにより施工されました。
 ルートの地質は、白亜紀後期の「六甲花崗岩」(南側)と、同「有馬層群」(北側)。どちらもガスが突出する地質とは考えられません。ところが、図の×印の地点でメタンガスが突出し(ゼネコンはそう言っていた)、数ヶ月間に渉って、切り羽が停止しました(抗口に労基から封印を貼られ、立ち入りが禁止される)。この付近はいわゆる「六甲衝上断層」の破砕帯にあたり、炭酸ガスの突出なら不思議ではないのですが、メタンとは面妖です。その当時、私は有馬温泉の下水道工事にタッチしていましたが。有馬の工事は泥水加圧式TBMを採用し、ガスには万全の対策を取っていました。だから、名塩幹線工事には無関係で、噂を聞いただけです。メタン発出原因は今も謎です。
 図の右上「すみれが丘」の西端に南北性の断層があるのに注意!
神戸市北区
有馬町
有馬温泉南部でホテル開発事業が計画され、一連の地盤調査が実施されました。泉源中心部に近いことから、当初炭酸ガスの噴出は予想されましたが、ボーリングを数10m程掘削したところ、炭酸ガスだけではなく、H2Sの突出も認められました。これは意外です。
 何故、有馬でH2Sが、それも圧力を持って噴出するのか、それが謎です。
 
 この地質図は、有馬温泉西部での温泉開発調査のデータを基に、筆者が独自にまとめたものです。
 図の中央左、水無谷(懐かしいですねえ。ここは筆者の進論のフィールド)に沿って、南北性の断層があります。
 この種の南北性断層は、昔は「胴切り断層」と呼ばれ、一時期否定されたものですが、実際にはどうも等間隔に発生していることが判っています。土木や、温泉開発にはこの種の南北性断層が重要になるので、注意を怠ってはなりません。
愛媛県  昭和30年か40年代に、四国三波川変成岩中の銅鉱山(佐々連鉱山?か白滝鉱山?)の、地下数100mの坑道中で、メタンガスの突出が発生しました。地山は泥質片岩。普通なら変性作用が進んで、有機物など存在しない、と考えます。メタンの発生などあり得ないことです。
 泥岩の高圧変性作用が進むと、グラファイト(C)が出来ます。これが、坑道の掘削により、空気中のHやOと反応して有機化合物を作るのでしょうか。その場合でも強い電気ショックのような外的作用が必要だと思いますが。それとも嫌気性バクテリアの所為でしょうか?

 なお、逆にガスが出ると思っていたのに、出てこないケースもあります。北陸自動車道春日山トンネル二期工事では、施工計画に当たっていた土木屋からガスが出るでしょうか?という相談を持ちかけられました。一期工事では出たらしい。一期工事でガスが全部抜けてしまっているケースも考えられますが、「大丈夫だ」といってガスが出ると大変な事になるので、そこは曖昧に、「一応ガス対策をしておった方が安全だろう」と適当なことを云って誤魔化しておいた。結局二期工事ではガスは出なかったらしい。(05/02/16)

 まだまだ、ガスに関する話題はあると思いますので、経験のある方は是非ご投稿下さい。


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