イラクの失敗
関連記事   ・ひょっとしてサダムが勝つかも

横井技術士事務所
技術士(応用理学) 横井和夫

 800年前の十字軍時代、アサシン派と呼ばれる暗殺教団が中東に現れ、敵味方構わず殺しまくったので、アラブもヨーロッパ人も恐怖に震えた。13世紀半ばモンゴルがイランに侵攻し、この暗殺教団の根城を破壊し、問答無用で教団員を皆殺しにしたので教団は壊滅。さて現代のアサシン派ISを壊滅させるのは誰か?但しモンゴルが皆殺しにしたのはアサシン派だけではない。


 ガザの敗戦でハマスは壊滅状態。何故ハマスは壊滅したか?それはアラブが900年前の十字軍時代と同じバラバラだったからだ。10・07のハマスの奇襲は如何にも唐突だった。この奇襲にアラブのどの国も反応していない。他のアラブ諸国やイランのような反イスラエル国家との連携の形跡もみえない。単にハマスが目立ちたくてやったに過ぎない。  アラブ諸国は、イスラエルがガザ攻撃を始めてやっと国連安保に持ち込むのがやっと。あとは口先だけで義勇兵を送るわけでもなく、避難民の受け入れもしない。只場外でそれらしいイスラエル非難を繰り返すだけ。最悪はサウジのアブドウラとエジプトのシシだ。この2人は、陰でイスラエルと繋がっているのだろう。
 中世の十字軍時代も今と変わらない。アラブのカリフ同士で対立を繰り返したり、十字軍側と裏で取引する者までいた。始めてアラブを統一させエルサレムを回復した英雄サラデインも、ライバルの嫉妬で暗殺された。アラブは常に互いに足の引っ張り合いをするのだ。今度の勝利でイスラエルは自信を深め、更に領土野心を拡大するだろう。次はヨルダン川西岸地域のイスラエルへの編入。更にその次はゴラン高原を占領して、レバノンを制圧する。
 それができるのは両者に圧倒的な軍事力の差があるからだ。まずイスラエルは毎年60億ドルに上るアメリカの軍事支援で、常に最新鋭の米製兵器が供給される。一方アラブ側は相変わらず旧ソ連やロシア製の低性能の安物兵器。武器商人の中間搾取が大きいのだろう。
 しかしこの状態がいつまでも続くとは限らない。ガザ侵攻後のアメリカ世論調査では、アメリカ人の薬55%がイスラエル支持と答えている。しかし党派別ではかなり差がある。それより面白いのは世代間の差である。WSJの調査では、アメリカ人65才以上は81%がイスラエル支持。しかし世代が分かるなるにつれてこの数字は低下し、20〜30才台、つまりZ世代ではなんと30%を割り込む。この世代が社会の中核を占める20年後のアメリカは、必ずしもイスラエル絶対支持ではなくなる可能性がある。」すると現在のような莫大な軍事援助は望めなくなる。
 中世十字軍時代でも200年目に入った13世紀になると、有力な騎士団は一斉にヨーロッパに引き上げ、十字軍運動も下火になって、無事に聖地に到達できた十字軍など無くなってしまった。つまりヨーロッパ全体が聖地回復運動にあきてしまったのだ。その結果、13世紀末にはパレスチナの十字軍国家は全て滅亡し、ヨーロッパ人は一掃された。
 これと同じで20から30年後にはアメリカの世論は大分変わり、イスラエルへの巨額軍事援助は、別の理由で停止されるかもしれない。この時代、ユーラシアでは大変なことが起こっている可能性がある。かくてアメリカはイスラエルどころではなくなる。又アラブ諸国でも大きな政変が起きているだろう。その結果、イスラエルは再びパレスチナから追放されることになる。これが神の約束だ。
(23/12/12)

 イスラエル国民はいい加減にネタニヤフを解任すべきである。ネタニヤフのようなゴロツキを首相に雇っていると、いずれイスラエル国家自身が、パレスチナから追放の憂き目に会うかもしれない。7日間の一時的休戦明け、イスラエル軍は再びガザを攻撃を開始した。理由としてハマス側の協定違反があったというが、それは言い訳で、始めから準備していたに間違いない。
 そしてネタニヤフは「ハマスが何処に逃げても殲滅する」と宣言した。”何処に”というのはガザたパレスチナに限らず、海外に逃亡しても暗殺するということだ。かつてイスラエル対外治安機関のモサドは、旧ナチス幹部を所かまわず暗殺しまくった。その再現と思えば良いだろう。
 但しこれには次の二つのリスクがある。
1)逃亡国への重大な主権侵害
2)イスラム過激派による対ユダヤ人テロの無限の拡大
1、について;ハマスが逃げ込むとすれば、当然親パレスチナ国家か、悪くても中立国家。少なくともイスラエルとは犯人引き渡し協定などは結んでいない国。そんな国でハマスを殲滅しようとすれば、相当強引な手段を使うことになる。イギリスにおけるロシアによるリトビネンコ事件のようなものだ。当然逃亡国の主権を侵すことになるから、ことは外交問題に発展する。イスラエルは返って敵を増やすことになる。
2、について;海外でのハマス暗殺が始まれば、当然ハマスやハマスに同調するイスラム過激派の報復を呼ぶ。今海外ユダヤ人の多い地域はアメリカtとヨーロッパである。特に後者では昔からの伝統で、ユダヤ人が特定の地域に集住する傾向がある。イスラム過激派の格好のターゲットだ。
 ネタニヤフの強硬姿勢と発言が、ますますイスラエルの国際的孤立を深め、反ユダヤテロの拡散を招く。それにも拘わらず何故強硬姿勢を崩さないのか?現在ネタニヤフは汚職と選挙違反等6件で告発されている。今は戦時中ということで逮捕を免れているが、戦争が終わって只の人になると、逮捕起訴され刑務所行きだ。それを避けるためには戦争をつづけなければならない。戦争を続けるには強硬発言を繰り返さざるを得ないのである。
(23/12/03
)

 昨日ガザにあるシーファ病院地下のトンネルが、イスラエル軍によって爆破されました。このトンネルはこれまでハマスの司令部があった所とイスラエルが主張していた。その証拠として、これまで内部映像が公開されていた。当然砲爆撃の対象になっていた筈だ。しかしこれまでの写真ではトンネルにはなんの損傷もなく、ハマスが司令部として使っていたという証拠も、イスラエル軍が発表すもののみで第三者の検証を経たものではなく、中身も決定的なものでもない。
 更にこのトンネル、14年にイスラエルがガザを占領した時、イスラエルの業者が建設したものと云われる。イスラエル業者が作ったのだから、当然発注者はイスラエル軍かイスラエル政府のはずだ。だったら病院関係者はトンネルの存在すら知らなかった可能性もある。そもそもイスラエルの業者が作った施設をハマスが司令部として使うでしょうか?位置もなにもみんな知れている。それだけではなく、何処に盗聴器が仕掛けられているかもしれない。
 このトンネル爆破について、イスラエル軍は今後ハマスが利用できないようにするためだと説明する。しかし一旦イスラエル軍に占領された施設を、ハマスが又使うとは考えられない。何処にどんな罠が仕掛けられているか分からないからだ。ということで、この爆破はトンネル・・・及び病院・・・をハマスが使用していた証拠が見つからなかったため、使用していなかったという証拠を消すためにやったと考えるのが自然である。そもそも今のユダヤ人は「カインの末裔」、「シャイロックの子孫」だ。言うことを信用してはならない。
(23/11/27)

 イスラエル軍が公開したガザの地下にあるハマスのトンネル。これを見る通り、連日の砲爆撃にも拘わらず、トンネルは無傷です。イスラエル軍の攻撃は地上にいる一般市民を殺傷しただけで、地下にいるハマスには何の損害も与えられなかったということだ。ハマス戦闘員はとっくに逃げ出してていたのだろう。
 そしてこの無駄な攻撃に使われた弾薬の大部分は、アメリカの軍事支援によるもの。アメリカの莫大な対イスラエル支援は、全く無駄だった。この無駄の素を作ったのはアメリカ共和党。共和党が反対する、ウクライナ支援の方が遥かに有効活用されている。
 他に幾つかトンネルの写真を見たが、殆どは所謂弾頭型。中に一つ櫻井先生御推奨の卵型断面があった。これから見ても、ハマスのトンネル技術は相当高いレベルにあると考えられる。
(23/11/25)

 イスラエルは4日間の停戦に合意したが、ネタニヤフは初期の目的を果たすまで戦争は辞めないという。初期の目的とは何か?一応はハマスの撃滅と云っているが、そんなこと出来るわけがないので、別の目的があるはずだ。それは何かは明らかではないが、以前触れたイスラエル諜報機関作成とされる、今後のガザの統治案のうちC案だろう。このC案も詳細は分からないが、ガザの住民をシナイ半島に追い出し、ガザをイスラエルが支配することではないかと考えられる。
 ネタニヤフは相変わらず強硬姿勢だが、ロシアはどうか?昨日のBRICSオンライン会議で、ドイツのショルツがプーチンに向かって「直ぐに軍隊を引き上げろ、そうすれば問題は直ぐに解決する」*と詰め寄った。プーチンは「戦争は悲劇だ」とか「ロシアはこれまで和平交渉を妨げたことはない」などと発言。世間ではプーチンは停戦を求めているという観測まで出ている。まさかと思うが、もしプーチンが停戦に前向きになったとすれば、その理由は何か?仮にウクライナと停戦に合意したなら、その先はどうなるか?
 まず理由としては来年の大統領選だろう。ウクライナでの戦争が始まって以来、ロシア軍の損害は戦死勝者20万とも30万とも云われる。慰安は囚人を動員して不足をカバーしているが、囚人だってそういつまでも続くものではない。囚人が底をつけば一般市民の動員だ。そうなれば来年の大統領選に不利になる。おまけに戦車や装甲車も少なくなってきた。弾薬は北朝鮮から100万発を手に入れたが、これだって何時までも続くものではない。更に追加注文となれば、北朝鮮に足元を見られ、今度はもっと上等の見返りを要求されるだろう。てなところで、そろそろ手打ちと行きたいところだ。
 プーチンが停戦に手を打ったらどうなるか?常識的には賛否両論で収拾が付かなくなるだろう。歓迎する国民もいれば、こんな状態で1年以上も続けてきた戦争を辞めれば、忽ち出てくるのがプーチン批判。筆頭はさしずめ極右のギルキン辺り。それにロシア正教会とか民族主義団体が加わる。クレムリンはプーチン派と民族派に分かれ、遂にロシア分裂、と云うように上手く行くでしょうか?
*私なら、これに続けて「一体どれだけ兵隊と人を殺せば気が済むんだ?これというのもショイグとあのbゲラシモフというノーナシの所為だ!」と続けるが。
(23/11/2
3)


 
イスラエル関連で2点
1、イスラエル軍がガザ、シーファ病院・・・シーファとはひょっとしてシバの女王のシバのことではあるまいか?女王の王国が何処にあったか諸説あるが、その一つにアラビアの砂漠の彼方というのがある・・・でハマスが使っていたとするトンネルと、」それに接続する立て坑を動画で公開しました。この動画、あちこちに編集の跡が見られ、ホンモノかどうか疑う向きもあるが、細かいことは抜きにしてこれから分かることだけを見てみましょう。
 接続部の立て坑は上部はかなりは破損しているが、これは連日の砲爆撃によるもの。当然といえば当然。その下に横坑がある。これが所謂ハマスのトンネルである。画面では、覆工は全く損傷の後は見られず、内部も綺麗に片付けられている。つい最近迄人が使っていたとは思えない。かなり以前・・・ひょっとすると月単位・・・から使用されていなかったかもしれない。
 結論をいうと、(1)地下2〜30m位になると、砲撃や爆撃は全く効果はない、(2)このトンネルを最近までハマスが使っていたという証拠はない。イスラエル軍よ、ご苦労さんでした。
2、イスラエルのある大学が、世界中の国々を(1)親イスラエル(青)、(2)親パレスチナ(赤)、(3)中立(灰)に色分けした地図を作成し、公表した。どういう基準で、どういう根拠で色分けしたのかわからない。
 ここで青に分類されたのはアメリカ・カナダ・西欧は当然としても日本まで青にされている。又アイルランドは紛れもなく赤なのだが、どううわけか青になっている。日本は政府声明でも中立の立場だし、世論的には大手メデイア(新聞、テレビを含め)は概ねイスラエルの無差別攻撃には批判的である。又アメリカやヨーロッパ、イギリスでもパレスチナ支援デモが頻発しており、フランスのマクロンやドイツのショルツも、イスラエルに対する論調に変化が出ている。要するにこの地図はいい加減なのである。この地図を作った研究者の意図に反して、世界は複雑である。
 これらの点を考えると、この地図は作成者が単に世界がこうあってほしいと思って、勝手に描いただけのものかもしれない。しかし本人の意図がどうであれ、一旦表に出てしまうと情報が一人歩きしてしまう。イスラム過激派にとって、日本もイスラエルの同盟国になってしまう。
 そして一昨日起こったのが、紅海でのフーシ派による日本船拿捕事件。この事件の背景にこの地図があったとすれば大迷惑だ。外務省はこの地図の件につき、イスラエル政府に断固抗議すべきである。
(23/11/21)

 制圧後のガザ地区の統治を巡る秘密文書が外部に漏れ出て話題になっています。この文書はイスラエル諜報機関によって、地上軍のガザ侵攻6日前に作成されたものとされる。今月始めアメリカのニューヨークタイムズによってすっぱ抜かれたが、ネタニヤフは「あれはコンセプトデザインだ」と惚けていたが、実物が出るに及んで、そうではなくネタニヤフの本音だ、ということが分かってきた。
 漏洩文書によるガザ地区の統治形態について、作成者(イスラエル諜報機関)はA、B、Cの三案を示し、C案が最適としている。骨子は次の通り。
1、パレスチナ人の再居住を認めるか?
 A、B案はOK、C案はNO.(シナイ半島への移住)
2、統治形態
 A案・・・パレスチナ自治政府による統治
 B案・・・パレスチナ人による統治
 C案・・・?
 なんと、C案では、統治形態がブランク、。つまり未定だということである。統治形態はガザの未来を決める上で決定的な重要性を持つ。それがブランクということは、C案どころかこの比較案そのものが未完成だということだ。
 筆者らの業界では、例えば、高速道路のルートをどうすべきかとか、のり面が施工中に崩壊したとかといった時の方針決定や対策工計画では、数案用意してその中から最適案を選ぶ・・・尤も本命案はその前に決まっていることが多い・・・のは、普通のやり方である。しかしいくら何でも、方法が決まらないのに比較案を出す馬鹿はいない。もしそんな比較案を持って行ったら、「バカヤロー!オトトイ来い」で追い返されてしまう。
 ところが、上の比較案では最も重要な統治形態が未定という欠陥がある。それにも拘わらず、作成者はこれを最適としている。テレビの解説者は、この検討の背後にネタニヤフがいて、その意向に沿って作った文書だろう、と説明する。それはそうだろう。しかし例えそうだとしても、こんな露骨なことはしない。何とか屁理屈を付けてでも、文書を完成させるものだ。それをせずに外部に流出したということは、諜報機関とネタニヤフの間に何らかの対立又は意志疎通の不具合があったのではないか?とも思われる。ネタニヤフ追い落としのための陰謀か。
 なおC案については、ネタニヤフや極右リクード、ユダヤ教原理主義者などの極右派にはガザをイスラエルに吸収すべきという意見がある。つまり地上からガザを消し去れというわけだ。これが受けれられると次の標的はヨルダン川西岸地区に移る。彼らイスラエル極右派にとって、ガザやヨルダン川西岸地区などは、イスラエルの地図のシミにしか過ぎない。シミは消し去るべきだ。そして余勢を駆って、次はレバノンに手を伸ばすだろう。既に軍の一部は、ガザで起こったことは、レバノンでも起こると脅し発言をしている。果たしてこのような発言に対し、他のアラブ諸国やアメリカはどう出るのか?
(23/11/14
)

イギリスのチャールズ国王が議会演説で「ハマスこそ残忍なテロ行為」とハマス非難。果たしてイギリス国王にハマスを非難する権利はあるか?現在のパレスチナの混乱の源を作った張本人こそイギリスである。第一次大戦ではアラブとユダヤ人の双方に独立を持ち掛け結局反故にした。第二次大戦でもアメリカ参戦を誘導するため、アメリカのユダヤ人社会にパレスチナでの独立を持ち掛け、結局反故にしようとした。しかし約束を忘れていないユダヤ人が大挙してパレスチナに押しかけると、イギリスはサッサと逃げ出し、後はアメリカに丸投げした。この「イギリスの三枚舌外交」こそが、今のパレスチナの悲劇のもとになっている。チャールズはそれを学ばなくてはならない。
 さてイスラエルガザ侵攻の最中に行われたG7外相会合。果たして共同声明文書が出せるかどうか、懸念されていましたが、昨日ワーキングデイナーで、骨子が発表された。この声明(案)では、戦争発生直後のG7・・・但し日本は同調していないから正確には六か国声明・・・にあった、一方的なイスラエル支持は消え、人道主義的対応を表に出すなど、国際世論に配慮した内容になっている。これは日本側の説得が効いたものと考えられる。
 そもそも戦争直後の声明を作ったのは、英米仏伊加の六つの白人国家。キリスト教では、6という数字は最も不吉な数字とされる。6は悪・闇・キリストに対する悪魔の数字とされ忌み嫌われる。ところがこれに1が加わり7となると、逆に光・希望の数字になる。ラッキーセブンというのはこれから来ている。
 この1が日本だとすると、中東和平について日本の果たすべき役割は自ずから決まって来る。今回G7外相会合共同声明(案)が、一方的にイスラエルに方寄らなかったことは日本の功績と云ってよいだろう。但し岸田にそれが分かっているかどうかは別問題だが。
 では日本を除く六カ国、世界からどのように見られているのだろうか。筆者の目では、少なくとも中東問題では偽善の塊だ。偽善とはダブルスタンダードのことである。先日のBS-TBS「報道1030」。ゲストのドイツ人女性ジャーナリスト曰く「イスラエル支持はドイツの国是です。それは前大戦のホロコーストに対する贖罪意識にあります」。それは尤もだが、パレスチナ人にとっては無関係だ。他の5カ国も戦前のユダヤ人迫害には大なり小なり負い目がある。だから何か騒ぎが起こると、政府やマスコミはイスラエルを支持しなくてはならなくなる。だからといって、パレスチナ人が一方的に土地を奪われてよいとか殺されてもよいということではない。そもそも混乱の素を作ったのは自分達だということを忘れてなならない。
 一方でヨーロッパ人の潜在意識の中に、「ユダヤ人差別」というものがある。これは今は権力と理性で押さえつけているが、いつ何時噴き出すかわからない。それが怖いから、中東問題に関してはみんな黙ってしまう。これがヨーロッパの対中東ダブルスタンダードの原因になる。なお差別といえば、旧約聖書などでは、明らかにユダヤ人は非ユダヤ教徒であるアラム人(アラビア人)やエジプト人を蔑んでいる、ユダヤ人もまた、パレスチナ人を差別しているのである。
 ではこのユダヤ人差別意識は何時、どのあたりで始まったのか?地域的にはイギリス・ヨーロッパ限定である。日本・中国を含むアジアでは、トルコやアラブなどのイスラム諸国でも差別は行われていない。つまり極めてローカルな現象だということが分かる。
 ヨーロッパでも中世ではユダヤ人差別などは行われていない。十字軍運動はヨーロッパ人が他の世界と激突・接触した最初の機会である。これが有耶無耶で終わって(13世紀末)、150年ほどたってカトリック復興運動がおこり、イエズス会などのカトリック原理主義団体が生まれた。
 シェークスピアの「ベニスの商人」は明らかにユダヤ人差別文学である。テレビでネタニヤフの顔を見ると、昔「世界少年文学全集」の挿絵で見た、ユダヤ商人シャイロックの顔を思い出す。つまり英欧に置けるユダヤ人差別意識は、遅くとも15世紀にはかなり一般化していたと考えられる。そうだとすると、少なくとも5〜600年位の歴史はある。これがヨーロッパ人の潜在意識の中に留まる。
 20世紀におけるヨーロッパ人のユダヤ人迫害の歴史は、贖罪と補償で解消出来るかもしれないが、600年の歴史を持つ潜在意識はそう簡単には消えない。これが英欧の対中東政策の矛盾を生む。ではどうすればよいか。はっきり言えば、英欧は、中東で何が起こっても余計な口出しをするな、ということだ。彼らが口出しするごとに話がややこしくなり、解決が送れる。
 英欧が黙っていてもアメリカがある。但し違うのはアメリカ人には対イスラエル潜在意識というものがない。福音派のような原理主義キリスト教徒はいるが、永久に存在するものではない。また、世論調査では、30才以下の若者層では、イスラエル支持かパレスチナ支持かでは、後者が優勢になっている。世代が変わればいずれアメリカもイスラエル援助を止めるかもしれない。そうなれれば、イスラエルは終わりだ。丁度800年前、ヨーロッパが中東の十字軍国家への援助を止めると、パレスチナのキリスト教徒の力は急速に衰え、遂にパレスチナから追い出されたようなものだ。
(23/11/08)

 連日続くイスラエルのガザ砲爆撃。イスラエルは、これは地上侵攻に備え、ハマスが隠れるトンネルを破壊するためだ、と説明する。これまでテレビなどで紹介されるガザの動画を見ていると、イスラエルによる砲爆撃が、その目的に対しどの程度の効果を挙げているか疑わしい。例えば一昨日のガザ最大の難民キャンプへの爆撃跡では、直径数10mのクレーターが出来たが、大きいのは直径だけで、深さはせいぜい数mに過ぎない。地下2、30m,深いところでは地下80m、平均4、50mとも云われる地下トンネルには到底及ばない。
  トンネルの崩壊とは天端の崩壊を意味する。天端が崩壊すると、周辺の地山が崩壊して、最数的には地上に達する陥没孔が形成される。本当にトンネルが破壊されたなら、クレーターの中心に砲爆弾が突入した小さな穴が開き、それが順次拡大しなければならない。しかし動画では、陥没どころか中心の突入孔すらない。これは他の砲撃によるクレーターでも同じである。つまりこれまでイスラエルが行った方爆撃は、地上のビルや学校・病院といった民生用建物の破壊や住民の虐殺には役だったが、肝心のハマス撲滅には何の効果も無かったとしか言いようがない。
 これはガザの地盤が思った以上に堅硬だったためだろう。その結果砲爆弾の突入深度が浅くなり、爆破エネルギーが地下浅部の土砂をふきとばしたり、空気中に拡散して、地下に及ばなかったためと考えられる。そんなことは、例えばPICESのようなソフトを使えば、簡単に分かることだ。
 要するに、これまでのイスラエルの重方爆撃は、消費した弾薬量の割に当初目的の地下トンネル破壊には効果がなく、、過大な破壊と殺戮映像が全世界に拡散されたことによって、全世界に反イスラエル感情をばらまくという、負の効果しかなかったということになる。 ネタニヤフは勿論だが、あのイスラエル国防相も頭が悪いということだ。
(23/11/03)

 ある情報によれば、エジプト、イスラエル、アメリカ三国が、ガザの住民をみんなシナイ半島に移すという計画について協議を行ったという。ネット情報だから当てにならないが、もしこれが本当なら狂気の沙汰だ。当にナチ顔負けの民族浄化である。ネタニヤフは何時からヒトラーになったのか?
 まずエジプト政府が受け入れるはずがない。先日のガザの一次開放でもエジプトは難民受け入れを拒否した。そのエジプト政府が200万人もの難民を受け入れる訳がない。しかし政府と一般国民の意識が一致しているとは限らない。拒否しているのはエジプト政府で、国民はどうか分からないのである。
 現在のエジプトシシ政権はクーデターで成立した軍事政権。かつてのジャスミン革命政府を樹立したムスリム同胞団系とは対立関係にある。そしてムスリム同胞団とハマスは同根。この圧力でガザ難民がシナイに移住すれば、ここで汎イスラエル臨時政権を作る可能性もある。
 ネタニヤフとその仲間・・・ユダヤ教原理派、シオニストら極右・・・の目的は、要するにイスラエルからパレスチナ人を追い出し、領土を広げユダヤ人人口を増やすことである。ガザでそれができれば、これに味を占めて、次はヨルダン川西岸地区に手を伸ばすだろう。そしてこの地区のパレスチナ人をヨルダンに追い出す。果たしてヨルダンはそれを受け入れるか?
 ここはアラブが一致できるかどうかの分かれ目である。1000年前の十字軍戦争ではエジプトはズーッと知らぬ顔でとおしてきた。しかし十字軍がシナイ半島にやってきたり、聖地どころかメッカ略奪を試みるにあたって、遂にエジプトも戦争に参加し、ヨーロッパ人をパレスチナから追い出すことに成功した。それまで200年掛かっている。
 イスラエル建国から75年。滅びるには未だ時間がありそうだが、800年前に比べ時計の針の進み方はズット早くなっているから、そろそろ合う無いかもしれない。イスラエル滅亡の原因はなにも戦争とは限らない。最も危ないのは気候変動。地球温暖化はゴラン高原の雪に依存する国営水路の供給量を減らし、確実にイスラエルの水供給にダメージを与える。これを無視して、やたら人口を増やすことはできない。
 次に地震だ。ヨルダン川に沿う南北の谷は、確実な活断層。この断層のきたの端では、今年地震が起こったが、イスラエル付近とはセグメントが異なる。このセグメントはBC1世紀に大地震を起こした。それから2000年以上経っている。何時再活動を起こしても不思議ではない。その場合、地震のないヨーロッパやロシアからの移民はパニックだ。西の地中海東部も地震の巣だ。津波の可能性もある。神の怒りと云って、みんな逃げ出す。
 直ぐとは云わないが、いずれそうなる。
(23/11/02)

 日本では何処へ行っても、お寺や神社、キリスト教の教会、天理教の教会、場所によってはイスラム教のモスクまで、あらゆる宗教団体の施設がある。各団体はそこを拠点に布教伝導活動を行う。これらの活動には、原則として規制はかからない。しかしユダヤ教のシナゴーグというのは見たことがない。ないわけではないだろうが、表には出てこない。又、ユダヤ教の布教伝導というのも、お目にかかったことはない。外国ではどうか知らないが、世界で最も宗教に寛大な日本でこれだから、宗教に煩い国ではなおさらだろう。何故かというとユダヤ教というのは、世界でも特異な民族宗教だからだ。何処が特異かというと、その極端な選民主義である。
 どんな宗教でも創立当初は世間から警戒されるものである。彼らは一般に既成宗教の否定から始まるから、教義はとんがっているし、布教活動も乱暴だ。しかしその段階を過ぎ、信者も増え、世間から認められるようになると、教義も丸くなり、世間との折り合いもつくようになる。最初は信者集団だけの救済だったが、特に仏教・キリスト教・イスラム教の様に民族の枠を超えた世界宗教になると、民族を越えた汎世界宗教となると、信者だけでなく全人類の救済を説くようになり、「平和」「調和」が重視されるようになる。但しそうなるには数100年オーダーの時間が要するのが普通だ。
 ユダヤ教は現存する宗教の中では最古の宗教の一つで、数1000年の歴史を持っている。又、ユダヤ教徒も世界中に散らばっている。しかしこの宗教は自分達集団の枠内に閉じこもり、その中で自らの信仰を維持するという特徴がある。つまり他の宗教との折り合いが悪いのである。この原因は2000年前にローマによってパレスチナを追い出されたことや、ユダヤ人がイエスをローマに売ったことでヨーロッパのキリスト教徒から差別されてきた、といった説明がよくされる。しかし原因はそうではなく、ユダヤ教の教義そのものである。
 ユダヤ教は神ヤハウェのみを信じる一神教である。実はこの神が問題なのである。この神はユダヤ人のみを自分の僕として選び、契約を求めた。その契約とは「最期の審判」の後、ユダヤ人のみを救済する。但しヤハウェ以外の神を信じてはならない。この神は疑い深く嫉妬深い。嫉妬深いとはユダヤ人が異教徒と仲良くすると、これはユダヤ人が心変わりしたと疑い復讐するということである。つまりユダヤ人以外は救済しないということだ。それはユダヤ人と他の民族との共存を、自ら否定するもので、「平和」とか「協調」は存在しえない。その所為か、他の世界宗教と異なり、ユダヤの神は「平和」を語らない。異教徒の共存など始めから無視しているのだ。
 そういう精神環境で育った人間で構成されるイスラエルという国を、真から信用出来るでしょうか?何しろ彼らが信ずる神自身が”「疑い深く」、「嫉妬深い」”のである。異教徒に心を許せば、神から復讐される恐れがある。そうなら、彼らは集団を作って固く結びつき、決して心を許さない。”「疑い深く」、「嫉妬深い」”神に青されたためユダヤ人、そしてイスラエルという国は、常に戦い続けなければならない運命にある。彼らが救われる時、それは彼らが地上から消え去る時かもしれない。
(23/10/30)

 今テレビをつければガザ問題。ここでよく紹介されるのが、ハマスがガザの地下に掘ったとされるトンネル。ここではこのトンネルについて若干解説をしておきます。ハマスの掘ったトンネルは縦長で頂部は弾頭型のアーチ形状が特徴的です。これは古くは・・・おそらくは紀元前から・・・中東から中央アジアに広く伝わっていた、地下水道カナルの形状を引き継いだものです。現在では、壁は漆喰で固められていますが、古くは素掘りも多かった。
 これをオーストリア人のラプゼヴィッツらが研究して、従来の鋼アーチ支保工+コンクリート覆工に替わり、素掘りに漆喰だけでも長期間空洞」の安定を維持出来るとし、新オーストリアトンネル工法(NATM)を提案し、今の日本ではこれが標準工法となっている。つまりアーチ形状の空洞をまず掘削し、カナルの漆喰の代わりに吹き付けコンクリートで一次覆工を行う。これが基本で、補助工法としてロックボルトや鋼アーチ支保工などを用いる。始めからコンクリート覆工を考えるのは、NATMとして邪道である。
 2004年から始まったイラク戦争では、イラク軍は早々にかいめつしたが、その一部や反米派はゲリラかして、カナルに潜り込み、米軍に対しゲリラ戦を仕掛けた。米軍はこれを掃討するのに、1ンwン以上掛かっている。ガザのトンネルは、バグダッドのカナルより複雑で大規模だ。
 ヨーロッパでは中世教会建築などにアーチ形状が用いられるようになったが、多くは尖頭型で、トンネルも中世の旧いものにはこれが多い。ガザのトンネルも、現代日本のトンネルも、ルーツは同じだと思えば、テレビを見ていても興味が沸く。
(23/10/26
)

 昔々、東京神田に山本書店という古本屋があって、その主人の山本七平というのが、イザヤベンダサンという偽名で、「日本人とユダヤ人」という評論を文藝春秋に連載していた。時は所謂一週間戦争と呼ばれた第三次中東戦争直後。その中で七平は「日本人は一人の人間を救うために99人を犠牲にする。ユダヤ人は99人を救うために一人を犠牲にする」として、ユダヤ人の思考の合理性を強調してみせた。だったらお前がその一人だったらどうするんだ、と聞き返して見たいものだが、七平はそんなことにはお構いなし、自分は助かる99人の一人と思い込んでいたのだろう。
 さてガザ地上侵攻が目前に迫っていますが、問題の一つに200人とも云われる人質の運命がある。誰だって人質奪還は、作戦の最重要課題と思う。しかし地下にトンネルが縦横に巡らされているガザでは、これは極めて困難だと思う。ところがここにきて、ユダヤ教強硬派の一部が、作戦の主目的に人質奪還を含める必要はない、と言い出した。これは上にあげた七平の評論に通じるが、もしそうならこのユダヤ教指導者達自らが、人質の身代わりとなってハマスに身を捧げれば筋は通る。しかし彼らはそうはしない。聖職者という特権に胡坐をかいて、自らを安全な場所に置き、一般信者に犠牲を強いるのである。まるで現代の統一教会そっくりだ。そして彼らは2000年前、イエスをローマに犠牲としてさしだして、自分達は助かろうとしたユダヤ人そのものだ。或いは作戦に失敗して、人質に犠牲が出ても自分達の責任を逃れるためのアリバイ造りか。それならかつてのユダヤ教司祭団以下のローマ人だ。
 世の中には似たような、自分は安全圏にいて他に犠牲を要求するのは一杯いる。例えば、自分は戦争に行くおそれはないから、台湾で「戦う覚悟を」なんて無責任なことを言う麻生太郎とか、万博予算の膨張を止められず、政府に財政支援をお願いする「大阪維新の会」所属議員とか。経費が増えても「しゃーない」で誤魔化して逃げてしまたt松井一郎とか。
 なお冒頭に挙げた山本七平というオヤジ、他にもアホなことを云っている。代表的なものが騎馬民族と農耕民族の違い。ヨーロッパ人は騎馬民族だから、結論が早い。日本人は農耕民族だから議論がグルグルまわりして結論が出ない。本当か?今回のウクライナ戦争でも、ヨーロッパ人からなるNATOはなかなか結論が出ず、イザコザばかり。そこをプーチンに突かれている。しかし日本人は鈴木宗男のようなへそ曲がりはいるが、国民世論は概ねウクライナ支持でまとまっている。七平の行ったことなど、殆ど個人の思い込みから出た嘘。いまとなってみれば、只の馬鹿オヤジだった。
(23/10/21)

ガザ地区からのハマ攻撃が始まって10日以上が経ちます。直後にイスラエルのネタニヤフはガザ全面侵攻を叫びましたが、未だ空爆とミサイル攻撃が主だ。今回の騒ぎ・・・第何次かの中東戦争になるか・・・が始まって、いくつかの疑問点がある。
1、最初打ち込まれた3000発とも5000発とも云われるロケット弾はどうやって作られ、運び込まれたのか?
 これまでもガザ7地区は境界をイスラエル軍が厳重に封鎖しており、イスラエル側からの持ち込みはほぼ不可能である、筈だ。評論家達はiイスラエル側からのロケットやミサイルの不発弾を分解したり、以前からの備蓄があったからだ、と解説する。そういう部分も確かにあるが、それにしても3000発や5000発というのは多すぎる。
 もう一つ考えらえるのがエジプト側である。以前はエジプトとガザを繋ぐ地下トンネルがあり、これを利用して幾らでも武器を搬入出来た。しかし現在のエジプトシシ政権は、トランプ時代にアメリカからの軍事支援をカタにイスラエルに接近し、ガザへの封鎖を強化したはずだ。今回のアメリカーエジプトーイスラエル三か国会談でも、エジプトは、ガザからの難民受け入れを拒否している。
 しかしエジプト人だけでなくアラブの約束ぐらい当てにならないものはない。現在のシシ政権はクーデターで成立した軍事政権で、エジプト国民から正当な政権と認められているかどうか疑わしい。一般民衆野中には、かつてのムスリム同胞団・・・これはハマスの後ろ盾・・・への懐旧心が残っているはずだ。それはハマスへのシンパシーにもなる。
 エジプト本土とパレスチナとの間に広がるシナイ半島は、全体が荒涼とした砂漠で、殆ど人は住んでいない。国境に若干の警備兵がいるくらいだ。その警備兵を買収するとか、内通者に仕立て上げるなどをすれば、エジプトとガザを繋ぐのは簡単だ。
2、ネタニヤフはガザを制圧ハマスを根絶やしにすると、大見得を切ったが、果たして制圧後、どういう統治形態を考えているのか?多分何も考えていなかったのだろう。
 現在でもガザはイスラエルの空爆により、瓦礫の廃墟と貸している。現在までおおよそ110万人が南部に避難したと云われるが、未だ110万人残っている。更に戦後南部から帰還する人達もいる。ネタニヤフは彼らをどう統治するつもりか?まさか中国新彊ウイグル自治区の様に、強制収容所を作って思想改造をするつもりか?それともガザの何処かにアウシュヴィッツを作って民族浄化を行う気か?多分何も考えていない。そういう場合は強硬意見に流されやすい。
(23/10/18)

現在アメリカはジラルデインフォードとD・アイゼンハウアーの二隻の空母を、東地中海つまりイスラエル沿岸に派遣している何のためにか?イスラエル支援、ハマス・ヒズボラ・シリア・イランの牽制のためだ。たかがハマスというゲリラ制圧のために、わざわざ空母二隻を派遣する必要があるのか?そもそもハマスとイスラエルとでは、兵力差は圧倒的。ガザの制圧など、アメリカの支援など受けなくても十分可能だ。ズバリ目的は、来年の大統領選を睨んだ国内世論向けだ。
 バイデンは就任以来空母を上手く使えば、その後の騒乱を未然に抑えられたケースが幾つもあった。しかし臆病バイデンはそのたびに使用をためらい、紛争を拡大させてしまった。
 まず第一は大統領就任直後に起こった、ミャンマーでの軍部クーデター。この時ミャンマー沖に空母を一隻派遣すれば、クーデターを未然に防げただろう。又へ背げなくともアウンサンスーチー女史の救出は可能だったはずだ。19世紀の砲艦外交以来、軍艦の派遣は派遣国の断固たる意志表示とされる。
 次がウクライナ問題である。アメリカは相当前から、ロシアのウクライナ侵攻を予知していたとされる。そうなら空母を黒海に派遣することも考えられる。但しボスフォラス・ダーダネルス海峡は国際協約で空母の通過は禁止されている。70年代、旧ソ連は第一世代空母としてキエフ級4隻を建造したが、これはVTOL専用(日本の「いずも」級と同じ)で、防空巡洋艦と称して海峡通過を合法化した。その手なら、アメリカもサラトガ級空母型揚陸強襲韓を派遣しても良かった。そしてダーダネルス海峡地中海側に攻撃型空母一隻を遊弋させておけば、ロシアに対する十分な牽制になれた。
 バイデンはその両方とも避けた。臆病だったからだ。その証拠に、今回のガザ紛争では、紛争当事者はイスラエルで、アメリカは間違っても当事者にはならない。そして紛争はイスラエルの勝利で終わるに決まっている。万歳だ。
(23/10/16)

今回のパレスチナ動乱について、G7がハマス批判の声明を出した。この7カ国のうち、日本を除く6カ国は第二次大戦中のユダヤ人迫害に無関係ではない。張本人のドイツは勿論、フランス・イタリアはドイツの同盟国で、国内のユダヤ人摘発に手を貸した。アメリカ・イギリスは無罪か?とんでもない。ナチが政権を取ってユダヤ人迫害色を強めると、ユダヤ人は国外脱出を始めた。当然アメリカ・イギリスはその大きな受け皿になる、筈だった。しかし両国はユダヤ人に厳しい移民制限を課し、ユダヤ人排除に動いた。特に共和党が議会で優位だったアメリカは酷く、身元引受人だけでなく、学歴、資産にも制限を付けた。結果としてアメリカに脱出できたユダヤ人は、一握りの金持ちか知的エリートだけだった。アインシュタインやフェルミフォン・ノイマンといった後の原爆開発に貢献したユダヤ人物理学者達もその仲間である。彼らはアメリカで優雅な生活を過ごしたが、その陰で多くの一般ユダヤ人が犠牲になっていたのである。
 アメリカ・・イギリスにシャットアウトされたユダヤ人は何処へ行ったか?そのまま強制収容所、更にはアウシュヴィッツへだ。意外に多くののユダヤ人を受け入れたのがソ連,、中でもウクライナ。しかし独ソ戦が始まると、ウクライナでもナチのユダヤ人狩りが行われている。その犠牲者は数100万人とも云われるが、正確には分かっていない。
 ハマス批判(=イスラエル支持)を表明したG76カ国は、いずれもかつてのユダヤ人迫害に直接間接に手を貸している。これを償うために今回の声明を出したのだろうが、そんな物は何の役にも立たない。おそらくここ数日のうちにイスラエルはガザに侵攻する。その場合見るもおぞましい大量虐殺が行われる。それに手を貸したと非難されるのを避けるためのアリバイ造りだろう。偽善者のやりそうなことだ。
(23/10/14)

 そもそも筆者はイスラエルを国家として認めていない。占領者の棲家に過ぎない。ハマスのイスラエル攻撃の後、欧米7カ国首脳・・・・バイデン、スマク、マクロン、ショルツら・・・が、ガン首揃えてイスラエル支持を表明。マヌケ・ボンクラ・偽善者の揃い踏みだ。岸田が参加していなかったことは救いだった。アベ晋三なら分からない。
 今のパレスチナ問題は、20世紀以後、戦前のイギリスの無責任な二枚舌(或いは三枚舌)外交、戦後のアメリカのダブルスタンダード外交に原因がある。ある時は石油欲しさにアラブに接近したり、又ある時は選挙目当てにイスラエルにすり寄ったりだ。更にそれを助長したのが、イラク・シリア・サウジ等、周辺アラブ諸国の不一致と無責任である。
 ことの発端は1980年代,、レーガンが対ソ軍拡競争を仕掛けて、ソ連・東欧を経済的に追いつめ、遂に89年から90年にかけて、ソ連・東欧を崩壊させた。ここで息をふきかえしたのが、社会主義体制下では禁止されてきた個別民族主義。忽ちネオナチが現れ、反ユダヤ主義が世界中に広がった。これに危険を感じたイスラエル政府は、世界中のユダヤ人にパレスチナ帰還運動を進めた。
 たちまちイスラエルの人口は増えるが、住まわせる場所がない。西部海岸地帯は、戦後帰還した第一世代イスラエル人で豊かな生活を享受している。そこへ着の身着のままでやってきた新イスラエル人と合うわけはない。そこで、イスラエル政府は、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区への入植を進めた。忽ち起こるのが先住のパレスチナ人による抵抗運動(インテイファーダ)である。これを第五次中東戦争と呼ぶこともある。そしてこれに火をつけたのが、アメリカのレーガンだ。
 パレスチナ紛争は95年からのアメリカ(クリントン)の仲介で、一旦収束を見る(オスロ合意)筈だったが、その後のイスラエル右派政権により、ことごとく反故にされた。理由は選挙目当てで、ユダヤ教原理主義者の支持欲しさである。ヨルダン川西岸地区への入植は更に進み、抵抗運動が継続するどころか過激化する。今回のハマス攻撃は、これらイスラエルの違約が原因であり、その延長線上にある。それにはトランプに代表されるアメリカ保守派が一役も二役も買っているのである。以上は、ことここに至るまでの大雑把な経緯である。問題は一方の当事者であるイスラエル、特にオポチュニストにしてポピュリストの首相ネタニヤフに、問題解決への一貫した方策が無いことである。
 アラブ側には明確な主張がある。ローマによってパレスチナのユダヤ人が追放されて以後900年この方、パレスチナに住んでいたのはアラブ人である。パレスチナをユダヤ人が支配していた数100年間、アラブがパレスチナに侵攻した例はない。何故なら砂漠の民であるアラブ遊牧民は都市は不潔だと云って近寄らないからである。
 20世紀の半ば、そのパレスチナに大勢のユダヤ人が、武器と暴力をもって乗り込んできて、子供や婦女を拉致誘拐したり、井戸に毒を投げ込んだりのテロ行為を働き、ヨルダン川から地中海に至る地域を占領し、これを「イスラエル」とした。無論国連では認められなかったが、アメリカが国連安保理で拒否権を乱発して、強引に押しとおしてしまった。つまり今のパレスチナはイスラエルによる占領地なのである。その行為は国際法上、侵略以外の何者でもない。
 現代では他国への無断の占領は侵略とみなされ、国際法で禁止されている。この点をウクライナと比べてみよう。ウクライナは19991年正式に独立し、国連加盟も認められた。その時点では、クリミヤは勿論南部ドンパス地方もウクライナ領だった。2014年、ロシアはいきなりクリミヤを併合し、その後ドンパス地方のロシア系住民を唆して騒乱状態を作り出し、2022年武力で併合した。立派な占領であり、侵略である。
 ここにアメリカ始め、冒頭で挙げた各国の二重基準がある。つまりウクライナを侵略するロシア人は悪だが、パレスチナを侵略・占領したイスラエル人には正義がある。占領に悪も正義もない。侵略は侵略なのである。
 中世の十字軍戦争は約200年続いた。200n年も続いた理由は、アラブ側がバラバラで、諸侯が自分の利益しか考えなかったからである。しかし最初の100年は優勢だったヨーロッパ人による「十字軍国家も、後半100年では勢力は衰え、とうとう最後は地中海に叩きだされた。その理由はヨーロッパ側の支援疲れである。
 今のイスラエルもアメリカやヨーロッパの支援が不可欠だ。これがなくなれば1000年前と同じ運命を辿ることになる。イスラエルという国は、そもそもパレスチナという土地に根ざしていない人工国家である。かつての十字軍国家もそうだった。土地に根ざすアラブはガザを失っても亡くなることはない。むしろ根無し草のイスラエルがあと何年生きられるか、のほうが興味がある。
(23/10/13)

 昨日世界に衝撃を与えたハマスのイスラエル攻撃。衝撃の中身は1,、イスラエルの情報機関が攻撃を察知できなかったこと、2、イスラエルの防空網、特にレーザー兵器も用いた「アイアンドーム」が全く機能しなかったこと、である。
 それはそうと何故今時ハマスがこんな攻撃をしかけたか、が問題として残る。中東特にパレスチナ問題の構造は極めて複雑で、それを詳しく解説しようとすれば、一冊の本になる。だからそれは省略して、直近の情勢から見ると、直接の現任はイスラエルのネタニヤフにある。この人物、中東和平なzんかより、自分の政権を維持するためには、誰とでも手を組む無定見のオポチュニストにしてポピュリスト。ろくな人間ではない。
 中道左派の前政権はアラブとの共存を望む宥和派だったが、それをいいことにパレスチナ過激派が勢力を延ばす。それに危機感「を抱いた保守派は急速に極右化する。イスラエルの選挙は完全比例代表制。だから少数政党が乱立し安定政権が成立しにくく、常に連立工作が必要だ。先の総選挙で右派リクードは、多数を取ったものの過半数に足りず、結局ユダヤ教極右政党と連立を組まざるを得なくなった。
 その結果、国内向けには最高裁判決を政府が取り消せるよう憲法改正を企んだり、外向きには対パレスチナ政策を強化し、ヨルダン川以西でのユダヤ人入植を進めたり、サウジと組んでパレスチナアラブ勢力を孤立化させようと企んだり、以前とは全く違う政策を取り出した。こんなことを続けていれば、そのうちなんかあるだろうと思っていたら、その矢先の今回の事件である。全てはネタニヤフ近視眼的ポピュリズム政策が産んだ結果。身から出た錆だ。
 なおこの紛争、いずれ有耶無耶のうちに終わります。そして中東で幾ら騒ぎが起こっても、それが第三次世界大戦に発展することはない、ということを理解することです。ウクライナとは重要度が全く違う。過去二回の世界戦争は、いずれもヨーロッパが震源地です。ヨーロッパが不安定化すれば、世界大戦に発展する可能性がある。それを食い止めるには、ウクライナの独立維持が不可欠ということです。
(23/10/10)

 昨日イラン大統領が日本に向けて「経済制裁を解除し」、「アメリカの奴隷から脱却せよ」と説教。アメリカと同盟するのは日本の主権に属するもので、他人からとやかく云われる筋合いはない。何故イラン大統領が今になってこんなことを言い出すのか?それは半導体問題です。今イランは武器の国産化を進めている。中でも力を入れているのがドローン産業だ。
 これまではイランは自国防衛とか、中東紛争のためだけにドローンを使ってきたが、今後はこれを輸出産業に育てるつもりだ。その結果、ベネズエラとか、シリアとか反米各国にドローンを売り込んでいる。中でも最大のお得意さんはロシアだ。そしてロシア国内に年産5000機のドローン生産工場を作る契約を結んだ。
 ところがここで問題が生じた。それはドローン操作に必須の半導体の確保である。これまでは中国が供給国だったが、中国製は性能が悪く、古くて次世代型ドローンには使えない。次世代型ドローンに対応する高精度半導体製造装置を作れるのは、今のところオランダと日本だけだ。オランダはNATOの一員だから無論駄目だ。そこで目を付けたのが日本ということだろう。しかし日本も無理なのは分かっているはずなのに、何故こんなことを云うのか?甚だ不可解。
 いずれにせよロシアもイランも半導体の確保に困っているものと思われる。半導体が確保できなくてはドローンも作れない。ドローンが作れなくなると、今後のイランの国際戦略に狂いが生じる。そこで日本にお願いしたいのだが、大陸の専制国家、中でも騎馬遊牧国家は自意識が強く、他人に頭を下げることができない。そこで何処から理屈を引っ張り出してきて、買ってやるぞ、というフリをする。ロシアは中世に200数10年に渡りモンゴルに支配され、騎馬民族化してしまった。中国は元々中華思想があったが、それに輪を懸けて、三国時代末から始まった北方遊牧民の流入で中国人の殆どは遊牧民に入れ替わり、遊牧民族化してしまった。
 その結果、中華思想と騎馬民族の強い自意識が融合して、大中華思想になってしまった。福島処理水問題で、習近平がこぶしを振り上げたものの、それについてくるものは北朝鮮とロシアだけ。挙げたこぶしを今更おろすわけにもいかず、どうしたもんだろう、と思い悩んでいるのが実情か。
(23/09/01)

 突然の・・・でもなかったらしいが・・・サウジとイランの国交正常化。何があったのでしょうか?しかも仲介に経ったのが中国とあって、奇々怪々。サウジはアメリカにとって中東における最大の同盟国。イランは逆に最大の敵対国。両者を結びつけたのが、アメリカにとって最大のライバルである中国とあっては、アメリカも内心穏やかではないはず。
 現在世界最大の産油国は、誰あろうアメリカです。2010 年代、オイルシェールやオイルサンドからの石油、天然ガス生産が本格化して以来、アメリカは中東への関心が薄らいだ。更に石油が幾らでも国内で生産できるから、こんなのより半導体のほうが大事と、対中国政策からアジア太平洋方面へ外交スタンスを移し出した。これに危機感を抱いたのがサウジアラビアで、何とかアメリカを引き止めとようと、色々画策する。
 といってもお願いするのではない。これがアラブ流なのか、相手の弱みに付け込んでくる。例えばバザールでは、商品は「買ってください」ではなく「売ってやる」でやってくる。その手に乗ればこっちの負け。その典型が昨年のバイデンのサウジ訪問である。
 ウクライナ戦争で原油価格が上がり、これに危機感を感じたバイデンがサウジに出かけ原油増産を要請した。しかしサウジの返事はにべもないものだった。ところが先を見誤ったのがサウジ。ヨーロッパの記録的暖冬で石油消費は減少、原油価格は開戦までの水準に戻ってしまった。結果としてサウジの減産政策はアメリカに有利に働いたのである。
 これはイランにとっても同じことが言える。イランは経済制裁を受けているから、正式な取引はできないから闇取引になる。闇取引価格も当然国際価格に連動する。欧米の対ロシア制裁に加え、暖冬効果が加われば闇価格も下落するから、イランも影響を受ける。
 これはいかんと、増産をしたいがOPEC決議もあるから表立ってはできない。そこに手を出してきたのが中国。中国は対イラン制裁に加盟していないから何でもできる。ロシア産原油もあまり頼りにはならない。何故なら対ロシア制裁が続くと、石油・ガス生産輸送設備が老朽化して、必要量が確保出来なくなる恐れがあるからだ。この分野の技術ノウハウは欧米が、パイプ等素材は日本が握っている。早晩ロシア産石油・ガスは供給不足に陥るだろう。その前に供給源を確保しておかねばならない、てな処ではあるまいか。
 なお、今回リヤド・テヘラン・北京枢軸が出来たとしても、それは「ガラスの枢軸」に終わる可能性が高い。その理由は、サウジもイランも、裏切り・背信・寝首を掻くのは当たり前の中東遊牧国家だからである。中国だって似たようなものだ。
(23/03/15)

 このほど30年前の外交文書が公開され、湾岸戦争時の日本政府と駐米大使館とのやりとりが明らかになりました。なったといっても中身は大したことはなく、みんな知っていることばかり。当時日本の首相は海部俊樹。自民党幹事長は小沢一郎。小沢に「担ぐ神輿は軽いほど良い」と云われた程の軽量内閣。何が軽量かというと、いざというときに何をしてよいか分からず、与党実力者の言いなりになること。今の岸田も同じで、何かあるとうろたえて”検討します”を繰りすばかり。そして出てくる政策は前の実力者の遺言に従うこと。
 それは別にして30年前の湾岸戦争で一番駄目だったのは、村田良平という駐米大使。これがやったことはアメリカの言い分を只本国に伝えるだけ。戦争の背景も何も考えていない。ことの始まりは1990年イラクが隣国クウェートに突如侵攻し、二日で全土を占領してしまったことに始まる。忽ち世界中がこれをイラクによるクウェート侵略と捉え、クウェート解放戦争・・・所謂「湾岸戦争」・・を始めた。その先頭に立って騒いだのがアメリカのブッシュ(父)。しかし本当にイラク単独の侵略だったか、甚だ疑問。
 じつは突如ではありません。イラク侵攻の1週間程前の毎日新聞外信欄に、イラクがクウェート国境に軍隊を終結しているというベタ記事が載っていた。しかしアメリカは何の動きも見せていない。それで筆者はこれはホワイトハウス了解の上のことだろうと思っていた。そして二日程経っていきなり「これは侵略だ!クウェートを救え!」となるのだから、どう見てもこれはヤラセだ。更に当時の駐イラクアメリカ大使のエイプリルは突如帰国して、そのまま行方不明だ。おそらくCIA当たりに黙らされたのだろう。
 各国が多国籍軍を派遣してイラクに攻め込んだ後、クウェート王族はカイロのデイスコで遊びまくっていたという。要するに「湾岸戦争」というのは、なんとなく後ろ暗いというか何か訳アリ戦争なのである。日本で新聞しか読んでいない筆者ですらこの程度はわかる。ましてアメリカにいてアメリカ政府高官とも接触可能な駐米大使なら、もっとデイープな情報を掴めて当然だ。そしてそれを基にアメリカ側に日本の立場を説明し、その上で日本が協力せざるを得ないと判断されれば、日本が何らかの利益を得られる条件を整えて交渉に臨むのが外交官の役割だ。
 しかし村田がやったことはなにか?彼の公文には情報もなければ状況分析もない。ただ単にアメリカの要求を鵜呑みにして本国に伝えるだけ。こんなことなら、駐米大使など中学生でも務まる。駐米大使が無能でボンクラだから、本国政府の決定が遅れ、つまるところ日本国民の利益が損なわれたのである。日本外交の最大の敵は、霞が関の外務省そのものである。ボンクラは去れ!だ。
(22/12/22)

 昨日9.11は20年前のアメリカ同時多発テロの日。当日筆者はテレビで何か映画かなんかを見ていたと思うが、テレビの画面に「ニューヨークで大型機がビルに激突する事故がありました」というテロップが入ったので、「さすがアメリカだ、事故でもスケールが違う」、と感心した。ところがその後、これは事故ではなく、事件ということが分かり二度びっくり。その後の顛末はご存じの通り、今回のアフガニスタン屈辱撤退に結びついています。
 9.11事件の原因は何でしょうか?世間ではイスラム原理主義者の狂気の産物という説明がなされています。今の自民党や菅ーアベ政権もそうです。しかし事実はそうではない。直接の原因は21年大統領になったブッシュjrのうっかり発言が引き金です。前任のクリントン政権はパレスチナ問題の解決のため、イスラエル/パレスチナ共存国家案を示しある程度のところまで行った・・・オスロ合意。ところがイスラエルのラビン首相がユダヤ教過激派に暗殺されたため、話は振出へ。
 更にレーガンが仕組んだソ連・東欧崩壊でロシア・欧州に広がったのが、個別民族主義、ネオナチに代表される反ユダヤ主義。これに対しイスラエル政府はイスラエル帰還運動を始めた。その結果イスラエル人口は急増した。急増した移民を住まわせるために始めたのがパレスチナ自治区への移住である。これがアラブ側の反発を招き、起こったのがイスラム過激派による自爆テロ。その中心にいたのがアルカイダ。
 一方大統領になったブッシュは就任早々、「アメリカ人の心はイスラエル人とともにある」と演説してしまった。これは支援者であるユダヤ系アメリカ人へのリップサービスだろうが、イスラム教徒特にアルカイダのような過激派はそうは受け取らない。ブッシュのこの軽はずみうっかり発言が9.11事件とその後の20年に及ぶ第5次アフガン戦争を産んだのである。
 また2012年首相に返り咲いた安倍晋三が最初に選んだ外遊先が、なんとイスラエル。その結果が後のISによる日本人ジャーナリスト後藤さん殺害事件に繋がったのである。ほかにもアメリカ大統領のうっかり発言がとんでもない事態を産んだ例がある。1929年10月24日、これまでニューヨーク株価は下落を続けていたが、大統領フーバーの「株価は市場に任せるべきだ」といううっかりした一言で、市場は売り一色。所謂大恐慌の始まりである。今回のアフガニスタン崩壊もバイデンの「8月31日までに米軍を撤退させる」といううっかり発言が原因だ。もっとも日本の首相のようにうっかりを怖がるためにだんまりを決め込むのもどうかと思うが。
(21/09/12)

 報道によれば、逃げ出したアフガニスタンのガニ大統領が大量の現金をもっていたという。一体この現金は何処から来たものが?誰でも想像するだろうが、全部とは云わないが相当部分がアメリカや国際的な援助で占められるだろ。つまりガニはこれまでアメリカ他から巨額の援助を受けながら、それを国家国民のために使わず、内部を着服・・・ネコババとも云う・・・して、都合が悪くなるとそれを持ち出して外国に夜逃げしたのである。とんでもない奴だ。こんな大統領が民衆に支持されるわけがない。
 要するにアメリカとその同盟国は、これまでこういうろくでなしを支援してきたのである。前任のカルザイだって似たようなものだ。中世部族社会と云うものは公私の区別が付かない世界である。アフガニスタンはそういう古い制度をそのままぶら下げてきた国である。そこに近代的な民主主義を押し付けようとしたのがアメリカの誤り。いやボルトンやランド研究所に巣くうネオコンの謝り。
 中国の国民党と云い、ベトナムのグエンバンチューと云い、インドネシアのスハルトと云い、何故アメリカは民衆に人気のない腐敗政権を支援するのか?彼らの共通点は・・・、自分を経由する・・・マネーの流通に寛大だということだ。これがウオール街の紳士達と馬が合うのだろう。トランプも勿論馬が合う。
(21/08/17)

 緊迫を極めると云った途端に首都陥落に至ったアフガニスタン状勢。48年前のサイゴンとそっくりだ。このように事態と云うものは、しばしば加速度的に進むのである。コロナの蔓延も同じ。きっかけはやっぱり、バイデンの失言。米軍撤退時期を明言したことによって、これまで政府寄り或いは中立だった軍閥部族勢力が、一斉にタリバンに軸足をおいたことである。要するに勝ち馬に乗ろう、ということだ。
 このあたりの動きは、近代戦ばかり見ていては分からない。日本の南北朝時代や戦国時代を参考にすべきである。何故羽柴秀吉があんな短期間に天下を手に入れることが出来たのか?何故兵力で劣っていた徳川家康が、関が原で圧勝出来たのか?
 では今後のアフガン情勢はどうなるか?かつての中国やベトナムと同じになるだろうか?中国の場合は中国共産党、ベトナムの場合は北ベトナムのベトナム労働党という統一勢力があった。しかしタリバンはそういうタイプの統一勢力ではない。まずタリバンと、後から追随してきた軍閥勢力が一致するとは思えない。いずれ対立が始まるだろう。又タリバン自身、共産党の様に綱領を持ち、縦系の秩序を持った組織ではない。それぞれ思惑を異にする勢力の連合体のようなもの。
 そもそも行政経験もなく、経済政策もない。これまではアメリカの支援で何とかやってきたが、それがなくなると、たちまち待っているのは途轍もないインフレと経済破綻。虐殺を含む暴力の横行である。イランもそうだったが、イランは石油や天然ガスという資源があったから何とかなった。アフガニスタンにはそれもない。ないどころか豊富にある可能性もある。しかしタリバンにはそれを開発する能力がない。
 多分アメリカや西側諸国の反対で、タリバン政権は国際的な承認を得られないだろう。人道援助を名目とした経済援助や、私的な密輸紛いの交易は続くだろうが、それが全体に平等に行き渡るとは思えない。援助の分捕り合戦が始まって、それは勢力の対立となり、それに第三国が介入して再び新たな抗争が始まる、と見るのが常識である。ベトナムとは異なるのである。その第三国とは何処か?多分中国、これに対抗してパキスタンが動くだろう。中国の狙いは一帯一路の重要な通過点としてアフガニスタンを確保すると同時に、その豊富な地下資源。そうなってしまえば、みすみす中国にアフガニスタンを横取りされることになる。そうならないように事前に何らかの手を打っておくことが重要。さてこんな高等芸が今のバイデン政権に出来るでしょうか?日本の菅政権など、目先のことで手一杯だから、およそ当てにならない。気が付いたら美味しいところはみんな他国に持っていかれ、面倒ばっかり押し付けられることになりかねない。
(21/08/16)

緊急を極めるアフガニスタン状勢。原因はバイデンの失敗。そもそも米軍のアフガニスタン撤退は18年のトランプ/タリバン交渉で決っていた。バイデンはそれを踏襲しただけだが、期日を今年の8月末と指定したのが失敗なのである。
 期日を指定さえしなければ、タリバンも用心して一気に攻勢には出なかっただろう。指定してしまったからタリバンは勝ったと思うし、従来政府側についていた軍閥(部族勢力)にとって、もうアメリカの支援は期待できないという落胆感を与えてしまった。いわばこれまでの同盟者への裏切り行為であって、最もやってはいけないことである。
 さて今度のアフガン撤退は、国共内戦、ベトナム戦争と並ぶ戦後アメリカの三大敗北で、パターンもよく似ている。まず支援勢力(国共内戦時では国民政府、ベトナム戦争では南ベトナム政府、アフガンではガニ政権)は、元々国民の支持を得ていなかった。
 その原因は腐敗である。アメリカが幾ら軍事・経済支援をしても、みんな途中で消えてしまう。結果として軍隊の士気は低下し、民衆の気持ちは離れていく。そして何時まで経っても結果は出ず、戦争は泥沼化するばかり。そしてメリカ国内では戦争介入への批判が高まる。典型は60年代末からのベトナム反戦運動である。そこまで行かなくても議会での批判はたかまり、大統領選にも影響する。アメリカが中国、ベトナム、そして今回のアフガンでも新政権候補者は撤兵を主張して当選した。
 ではどうすればよいか?アメリカの敗北の原因は支援者の腐敗だ。かといってアメリカが共産主義者やイスラム原理主義者の味方をするわけにはいかない。また彼らの無制限の拡大を容認することもできない。重要なことは火は小さいうちに消しておく事だ。只ボルトンの様に民主主義を、お題目の様に唱えていても解決にはならない。最も重要なことは教育である。軍事や経済支援より、医療や教育支援に力を入れることが、今後同盟者を増やすポイントになるだろう。
(21/08/15)

 トランプの中東和平案。これ和平案というよりまるっきりパレスチナに対する宣戦布告。これではパレスチナ側は勿論、アラブ側も容易に飲めない。筆者が関心を持つのはサウジアラビアの対応である。従来サウジは対イスラエル宥和派だった。理由は石油の最大のお得意さんがアメリカだったからである。イラク戦争が始まって以来の石油の暴騰でサウジはしこたま儲けた。
 しかしこのところ石油価格の低迷が続いている。新年早々のイラン騒ぎで一時上がったが、また直ぐ元に戻った。戻ったどころではない。前年末価格を割り込む有様。既にアメリカが石油を自給どころか、輸出しかねない。サウジにとってアメリカはお得意さんどころか商売敵になりかねない。
 また、軍事援助だがこれまでのトランプのやり方を見れば、サウジに対し軍事負担を要求してくる可能性がある。さてそこまでされてアメリカに協力する必要があるのか、という機運が国内で出てくる。ということで、かえってアラブ側の対イスラエル包囲網が強まるだろう。
 筆者はこれまで何度もイスラエルはいずれ滅亡すると述べている。その原因は地震と温暖化である。昨年フランス始めヨーロッパは猛烈な熱波に襲われたこれは地中海の海水温が上昇し、サハラ砂漠からの乾いた空気が更にこの熱を吸収したため起こったものである。同じようにインドでは、アラビア海で加熱された空気が内陸に熱波をもたらす。気温は50゜Cに達する。
 東地中海で海水温が上昇すれば、パレスチナからヨルダン、イラク、ペルシャ湾に至る一帯の乾燥化、高温化は更に進み、人が住めなくなる状態になる。それはヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を直撃するだろう。神が約束し、トランプが認めた蜜が流れるイスラエルの土地は、トランプの所為でとんでもないことになる。
 テルアビブなど、初期ユダヤ人居住地区であるイスラエル西岸地帯も無事ではない。東地中海の高温化はハリケーンや竜巻などの気象災害を作る。更に地中海からの砂の吹上が増えるだろう。全体として予想されるのは、イスラエルの砂漠化である。かくて第二次十字軍国家イスラエルは滅亡する。
(20/01/31)

 アメリカによるイラン革命防衛隊動員隊司令官殺害をトランプ自身が、これはオレの命令でやったと表明。5年前のオバマによるウサマビンラデイン殺害の向こうを張って、これはオレの手柄だと、大統領選のプロパガンダ目的は明らか。
 しかしオバマによるラデイン殺害は思ったほど政治的効果は続かなかった。16年大統領選で、絶対有利と思われていたヒラリーは思いがけないところで足をすくわれた。それは経済問題なのである。理念中心のヒラリーに対し、トランプは目先の経済問題、要するに今の民主党政権でくっていけますか?わたしなら間違いなくあなたたちを食っていけるようにします。その代わり外国が食っていけなくなるだけです。あなた達には関係ありません。
 大統領選でモノを言うのは外交・安保ではなく内政特に今誰を儲けさせるかである。その点から云うと、今回のソレイマニ殺害や北朝鮮問題は大統領選にとって重要ではない。一方イラン政府はこの事件に対し強く反発し、強い報復を行うと宣言。報復がどこでどのような形で行われるか、相手次第だ。しかし明確なターゲットは判る。それは夏の東京オリンピック・パラリンピックである。五輪関係者にしてみれば、トランプはなんてことしてくれるんだ、ということだろう。
 一番狙われるのはアメリカとイスラエル選手。多分彼らは選手村ではなく、各地のホテルに分散宿泊するだろう。その結果そういう個所が狙われることになる。ミュンヘン事件の拡大再生産だ。その再現を防止しなければならない。果たしてそれが出来ますか?ミュンヘン当時と今とでは五輪の規模も移動する人数も桁が違う。果たして日本警察がこれに対応できるか?トランプの所為でいつも迷惑するのは日本だ。
(20/01/03)

 アフガニスタン支援ボランテイアの中村哲医師が殺害されました。続報によると、これは現地の水争いに巻き込まれのではないかという噂がある。だとするとこの事件の背景には地球温暖化が影響していると考えられる。
 筆者は元々歴史上の大事件は、地球規模の環境変化によるものと考えている。例えば日本の中世戦国時代(16〜17C)は世界的には近世小氷期に相当するが、この時期ヨーロッパではチェコの農民戦争やフランスのユグノー戦争のような騒ぎがおこり、何をおいてもガリレオやコペルニクスが既存価値観を否定する地動説を出したのが興味深い。
 それはさておき何故水争いに地球温暖化が関係するかというと、アフガニスタン、パキスタン地方の地下水はヒンズークシ、カラコルム山脈の氷河由来ということがポイント。温暖化で氷河が縮小すれば地下への水供給が減少する。
 一方中村医師の活動は簡易井戸を掘ってそれを利用するものである。簡易井戸なら誰でも掘れる。ここに問題があったのではなかったという気がする。例えば・・・実は温暖化で地域全体の水量が低下しているにも関わらず・・・、ある村で水が足りなくなったからと増掘する。隣の村で前の年より水が少なくなった。そうするとその村は隣村が井戸を余計に掘ったからだと、と考える。そして隣村で井戸堀をしていたのがあの日本人だ、となれば殺ってしまえとなりかねないのである。
 こう考えれば、地域水供給は単に地元住民任せにするのではなく、強い公権力、安定した政治が必要だ、ということになる。日本でも戦国乱世の後、徳川幕府は広域水供給を大名だけに任せるのではなく、幕府も介入するシステムに改めた。例えば四国の吉野川は上流は土佐藩、下流は徳島藩。両者の境で農民の水争いがおこれば、下手すれば土佐/阿波両藩の戦争になる。これを避けるために吉野川を幕府の直轄河川とし、川奉行を置いて水供給や利害調整にあたらせた。これが現在の一級河川の始まりである。しかし上手くいっているでしょうか?ダム一つ作るのでも上流下流で意見利害が対立して収まりがつかない。狭い日本でこれだから、アフガニスタンやパキスタンで通用するかどうかは分からない。
(19/12/06)

 某報道によると中東状勢に何やら異変。サウジが密かにイランに接近し、イランも政府レベルではマンザラではない雰囲気らしい。理由は九月のサウジ石油施設爆撃で、アメリカは対イラン軍事行動を仄めかしたにも拘わらず、トランプの一存でそれを中止した。これに対しサウジがトランプに対し不信感を抱きだしたというのである。こんな話を聞けばボルトンやネオコンはカンカンになって起こるだろう。「トランプなどクソくらえ!」だ。
 このように中東世界では、あっという間に敵味方が逆転するのは常識である。当に昨日の敵は今日の友、敵の敵は味方なのである。これは北アフリカからユーラシア中部の遊牧地帯という厳しい環境で育った騎馬民族の特性である。
 さてこれに対し一旦決められたことは何時までも続くと信じるのが農耕民族、特に日本人。その代表的なものが日米安保条約。過日某BS番組で元自衛隊統幕議長だった人物が何としても日米安保体制は守らなくてはならない、と力説。一方同席していた軍事評論家はトランプなど当てにできないから日本独自の防衛体制を構築すべきと主張。いま北東アジア情勢ではっきりしているのは、トランプの関心は、来年大統領選で売りネタになる北朝鮮だけで、日本や韓国はどうでも良い、ということである。
 アメリカ民主党候補争いで、バイデンは日米同盟重視方針を表明した。トランプが勝てば日米安保体制は風前の灯となる。民主党なら安心だ。さて現在世界で最もトランプに信頼されているのが日本のアベ晋三。その次が北朝鮮の金ジョンウンだろう。そのトランプに裏切られるかもしれない。さてアベよどうする。
(19/10/20)

 例のサウジアラムコ製油施設攻撃、マスコミでも韓国ネタと並んで連日騒いでいます。ワタクシは当初、この事件をボルトンとCIAの合作ネタとしましたが、実は裏で動いているのはイスラエルではないかという方向に最近少し考えが変わってきました。どっちにしろBチームということに変わりはありません。
 犯人はその事件で最も利益を得るもの、というのはミステリーのセオリーですがもう一つ、そうしなければ助からないのも犯人、というセオリーもある。攻撃があったのはイスラエル総選挙の直前。イスラエル与党リクードはこのところ支持率が低下し、ここで何とかしなくてはならない。そこで思いついたのが中東での緊張感を高めること。そのためには班イスラエル国特にイランに対する宥和的行為は断固妨害しなくてはならない。これは実は現在のサウジのアブドウル政権にとっても共通する。そういえば6月のアベイラン訪問に合わせたような日本船籍タンカー襲撃も納得できる。
 イスラエルという国は、中東の緊張感の上に成り立っている国と考えた方が良い。800年前の十字軍国家がそうであったようにだ。緊張感がなくなればあっという間に滅亡してしまうのである。だから誰かが仲介に入ってイスラエル/アラブ和解を進めようとすると、必ず妨害する。
 しかしそのイスラエルも自然の摂理には勝てない。今後イスラエルを脅かすものは、地球温暖化に起因する水減少と、地震である。さっさとパレスチナを捨てた方が賢明と思う。イスラエルの神はつねに嘘をつくのである。
(19/09/23)

ホルムズ海峡でアメリカ艦がイランのドローンに襲われたから危険を感じて撃墜した。だから有志連合を作ろうとアメリカ。まるでマンガのような話だ。これも以前のホルムズ海峡での日本タンカー襲撃事件と同じ、アメリカ特にボルトン・ポンペオ系CIAの謀略、というより下手な芝居。なぜならあまりにも見え見えだからだ。先月の事件同様、今回も証拠らしい証拠は何も挙がっていない。それどころか先月の件では各国から批判が出ると、アメリカは急に黙ってしまった。今回では証拠すら出していない。映像などいくらでも作れる。今はその最中だろう。
 こういう事件が起こると必ず出てくるのが1)日本の石油の80%がこの海峡を通過している、という石油事大論。2)それと自国の船の警備を他国に任せてよいのかという自己責任論。これはどれもまやかし又は時代錯誤の帝国主義論である。
 1)を主張する連中は、あたかも中東石油が入ってこなくなれば日本経済は壊滅するような形で国民を脅迫する。現在日本のエネルギーに占める化石燃料特に石油が占める割合は35%程度に過ぎない。その8割りがホルムズ海峡を通るとして、全体に占める割合は30%弱である。日本はその間、備蓄石油の取り崩し、調達先の多様化、一層の省エネ*(日本人が一番得意とする分野)、新エネルギーの開発に国力を注力すべきである。
*特にケータイ、SNSが使う電力量は馬鹿にならない。5G時代には更に多くなる。これに対する規制も考えなくてはならない。
 仮に日本が中東からの石油輸入を三割減らせば、一番困るのはサウジ始め湾岸産油国である。下手すると革命が起こるかもしれない。そこで初めてアラブの石油ボケ馬鹿王達は、自分の身は自分で守らければならないことに気が付くだろう。
 2)はとんでもない話である。19世紀欧米各国はこの論理で自国船警備目的で軍艦を派遣し、アジア・アフリカ諸国を植民地化したのである。ロシアなど捕鯨船にまで軍艦の護衛をつけた。これが長州沖に頻繁に表れてきたので、長州藩は震え上がった。吉田松陰以来の長州恐ロ(ソ)論はこれから始まる。20世紀に入って日本もこの真似をしたが、結果はとんでもないことになったのは歴史が示す通り。
 20世紀に入ってからは領海だけでなく周辺海域の安全は周辺国の役割だ。従ってホルムズ海峡通行の安全は第一に周辺国(イラン、サウジ等)が責任を負うべきで、それが出来ない場合にのみ第三国の介入になる。
 そして最も根本的な解決は、ペルシャ湾の奥からホルムズ海峡の外側のUAEの何処かまでパイプラインを敷くことだ。誰が金を出すかって?当然石油を売らなければやっていけないサウジや湾岸諸国だろう。上で述べたように、石油が売れなくなれば待っているのは革命と国王一族の処刑だ。そしてアラブ産油国に革命が起これば、現代の十字軍国家イスラエルの運命は風前の灯。
 なお、アラビア半島の反対側にあるマンデルバーブル海峡の重要性を指摘する向きもあるが、こんなものは大したことはない。ヨーロッパ向け自動車輸出が阻害されるなら、現地生産を増やすとか、北極航路や第二パナマ運河を使う手もある。
 不思議なことは政治家も官僚もメデイアも、やたら危機を煽るだけで、筆者が挙げた1)省エネとエネルギー調達先の多様化、2)代替エネルギーの開発、3)石油備蓄の取り崩し、4)ホルムズ海峡外へのパイプライン敷設等の対抗策について何も語らないことだ。誰かこういうことをされると困った連中がいるということか?
 つまり国家の安全保障というのは一つのことに拘ってはならず、常に多面的多角的に考えなければならないということだ。今の日本人にはそれが欠けているのだ。
(19/07/20)

 「ホルムズ海峡の安全は我が国にとって死活的に重要だ」というのは官房副長官の野上発言。官房長官が馬鹿なら、副長官はもっと馬鹿だ。ホルムズ海峡警備を日本・中国も負担すべきだ、とトランプが吠えたかと思うと、今度はダンフォート米統合参謀本部議長がホルムズ海峡警備に有志連合を派遣したいから日本にも参加を促した。
 参院選前の大事な時になんてことを言うのだ、とアベ官邸はびっくりしているだろう。折角のイラン訪問が何にもならなかっただけでなく、かえって負担が増えただけになった。しかしこんなことは前から十分予測されていたことで、政府与党がほったらかしにしてきただけなのだ。
 そこで出てきたのが冒頭に挙げた官房副長官談話。何故この談話がダメかというと、あまりに国際情勢に対しナイーブすぎるということだ。「死活的に重要だ」という言葉は、わざわざ自分の急所を相手にさらしているようなものだ。相手とは誰か?イランやイスラム過激主義者のことではない。あんなものは大したことはない。それより日本が友好国と思っていたサウジや湾岸諸国だけでない。中でも最も危険なのはアメリカである。そこが一番分かっていないのが、我が国総理大臣アベ晋三なのである。無論ロシアも舌舐めずりしながら近づいてくるかもしれない。赤ずきんちゃん・・・中東経験に乏しい日本のこと・・・よどうする。
 既にトランプは日米安保条約の片務性を批判している。そこにこのダンフォート発言である。無論理屈では日米安保条約は結果としてアメリカの利益になると説明しても、あんな複雑な条約をトランプやその支持層の単純な頭で理解できるわけがない。日本人だって何処まで理解しているか分からない。
 だからここで重要なことは外交的ハッタリである。「ホルムズ海峡の不安定さは日本も理解している。従って我が国はこのリスクを避ける為にいくつかのオプションを用意している。その中には湾岸諸国の利益にならないものも含まれる」とやればよい。四カ月ほど原油輸入を停止する、とでもいえば原油価格は暴落し、保険会社の幾つかは倒産し、アラブの王様もも安定ではいられなくなる。要するにペルシャ湾の安全はそもそも輸出国が責任を持つべきであって、輸入国だけに責任を押し付けられても困るのである。
(19/07/11)

 トランプが「ホルムズ海峡海峡警備は関係国で」と選挙向けに発言した途端、日本の官房長官である菅が「ホルムズ海峡の安全は日本の死活問題」と反論。何故この、こんなに頭が悪いのか?わざわざ自ら自分の弱点をさらけ出しているのだ。
 こっちが「・・日本の死活問題」と云えば、相手(=トランプ)は「じゃもっと金を出せ」というのに決まっている。脅しに載って金をジャブジャブ出していけば、その時は身を守れても気が付けば何から何まで乗っ取られている。ひょっとしたら今の天皇や雅子皇后は、この危険に気がついているかもしれない。気が付いていないのはアベと菅、他いわゆる自民保守系と公明、維新のアホだけ。
 こういう場合には嘘でもいいから「日本には既に1年分の備蓄がある。工夫すれば2年でも3年でも耐えて見せる」というのだ。仮に日本や中国がホルムズ海峡経由の石油輸入を1年間ストップすればどうなるか?一番困るのはサウジ始めアメリカ寄りの湾岸諸国である。1年どころか半年も石油輸出が停止すれば、革命騒ぎになる。この影響は回りまわってアメリカ経済に影響する。経済制裁で最も有効なのは、ものを売らないのではなく買わないことだ。
 もう一つアメリカを牽制する手段にレアアースがある。2010年尖閣諸島沖衝突事件で中国は日本に対し事実上レアアース禁輸措置を執った。そして6年後どうなったかというと、日本の中国からのレアアースは6割り減ったが、その分を日本は代替品開発、再利用、輸入先の多様化で切り抜けた。逆に中国はレアアース関連企業の4割りが倒産し、とうとう禁輸を解除してしまった。大事なことはレアアース関連ノウハウを簡単にアメリカに売り渡してはならないことだ。しかし、今のアベ政権で一番心配なのはアメリカ(=トランプ)に脅かされれば、何でもハイハイということを聞きかねないことだ。
 現在アベ政権に対する世間(世界)の評判は虎(アメリカ=トランプ)の威を借るキツネ。ボスがキツネなら、子分の菅はさしずめイタチかネズミだ。あの顔つきからみて分相応だろう。
(19/06/25)

 トランプがイラン攻撃中止を10分前に決断したと語ったが、これに対したちまちあちこちから疑問、ブーイングの嵐。私もこれは後からくっつけた言い訳に過ぎないと思う。元々トランプ政権の外交政策はデタラメであっちへ行ったり、こっちへ来たりで行方は定まらないのが特徴。その典型が対北朝鮮外交。それがここ一年程少し変わってきた。変わってきたと云っても方針が固まってきたというわけではない。それは政権内部での対立が目に見えてきたということである。
 この原因は外交安全保障補佐官にボルトンが就任したこと。この結果ホワイトハウスがボルトン、ポンペオら強硬派によって占められ、一方これに対して国防総省は慎重派。今回国防長官に指名されたエスパーがマテイス路線なら国防総省は慎重派で、ホワイトハウスの強硬派に対する歯止めとなる。しかしトランプが選挙に血眼になれば暴走の恐れもある。
 どうでもいいことに無理やり火をつけ、騒ぎを大きくして世間の緊張が高まったところで鎮静化に向かう。これがトランプのやり方だが、典型的マッチポンプである。世の中結構これに騙されるアホが多い。トランプの狙いはイランとの対決でも何でもない。イランの選挙利用である。
 なおこの騒ぎの直後にボルトンがイスラエルに向かった。トランプの狙いの説明か?トランプのマッチポンプいイスラエルが納得するのか?
(19/06/24)

ポンペオが「日本もイラン包囲に加わるべき」と念押し。ここでどう答えるべきか、アベは殆どハムレット状態。昨日トランプがフロリダで来年の大統領選出馬を正式表明。今のところ共和党内に対抗馬はいない。もしポンペオの要求に反して曖昧な態度を採れば、アメリカの報復を受ける。それは自動車の対米輸出総量規制、農業の大幅関税引き下げだ。更にこれに加え、トランプが再選すればイランからの原油輸入は少なくとも後5年半は続く。
 逆にアメリカの要求に屈して、イラン制裁に加われば、いずれイランからの報復が待っている。トランプはあとせいぜい5年半だが、イランは遥かに長い将来がある。ポンペオの要求はこれまでの日本/イランの友好関係を全てチャラにして、たった数年しか続かないトランプに従えということだ。これというのも、アベ晋三、というより岸信介一族の偏った対米従属主義がなせる業。まさに「親の因果が子に報い・・・」だ。
(19/06/19)

吸着性機雷とは何者かとwikipedeaで調べたら、旧大戦中にドイツ軍が開発した吸着性地雷というのが出てきた。これはラッパ状の爆薬筒の先端を磁石で敵戦車の腹に貼りつけ、遠隔操作か時限信管で起爆し爆破するものらしい。無論現在では作っていない。
 今回ホルムズ海峡で日本企業が運航するタンカーに貼りつけられた爆薬はこれとは違うようだ。はっきりした映像が出ていないので推測の域を脱しないが、何か袋状の物体を貼りつけたように見える。これでは爆破エネルギーは外部に発散するだけなので、船体に穴はあけられない。一方公開されている映像ではタンカーの船腹に穴が開き周囲の鋼板が変形している。これは外部から高速の物体が衝突することによって生ずるエネルギーの集中を物語るもので、乗務員の証言(飛翔物の衝突)と矛盾しない。むしろアメリカが主張する吸着性機雷の方が矛盾が多い。第一、爆薬を取り付けたテロリストが、不発だからといってわざわざ取り外しに来ますかねえ?
 なお何処のマスコミも評論家も触れませんが・・・言っているのはワタクシぐらい・・・、現在の民間大型外航船は全て二重鋼板構造だから、下手な軍艦より頑丈なのだ。それをどうもゲリラ側も分かっていないようだ。
(19/06/18)

 アベ晋三イラン訪問に合わせたかのような日本タンカー銃撃事件。ちょいとタイミングが良過ぎる。その直後にアメリカが、これはイランの仕業と声明。これもタイミングが良過ぎる。犯人は誰か?ずばりCIAかCIAに買収された海賊。黒幕はトランプではなくボルトン。
 犯人は誰であれ、目的は今開かれている日本/iイラン会談の妨害。アベがイランに行ったのは、イランの要請かトランプの頼みか分からないが、イランが拒否していないことは間違いない。だからイラン国軍が関与することはない。
 イラン革命防衛隊はどうか?これは対米強硬派だからアベを見せしめにするつもりかもしれない。しかしアベの訪イ前から最高指導者ハメネイとの会談は決っており、マスコミにも発表されていた。しかも事件はアベ/ハメネイ会談の真っ最中だ。革命防衛隊はハメネイに個人的に忠誠を誓っている。だったら最高指導者の顔に泥を塗るようなことをするはずがない。
 トランプにとって今回の日本/イラン会談を妨害しなければならない理由はない。しかしボルトンにとっては重大事だ。もしこの会談の結果、イラン/アメリカが少しでも歩み寄りを見せれば、永年かつてのブッシュ政権以来彼が求め続けていた、中東での十字軍国家樹立の夢が消えるのだ。何としてでも潰さねば。そこで巻き込んだのがポンペオ。彼の古巣のCIA を使っての下手な工作。そういえば、CIA の工作は年々下手になっている。クリントン時代CIAの予算を大幅に削ったから、良い人材は全て流出し、カスばっかり残ったのだろう。
 現在のホワイトハウス外交は二元外交である。一つはトランプ流無節操デイール外交。これは大統領選のため(あるいはビジネスの儲けのため)なら、悪魔に魂を売っても構わないというやり方。一方ボルトンは原理主義的十字軍主義者。世界をキリスト教の価値観で覆うことが神の願いであり正義。それを実現することがアメリカ人の義務であり権利と考える。バカバカしい様だが、こう考えるアメリカ人は結構多いのだ。
 トランプ流なら目先の問題さえ解決できれば後は相手に任せる。例えば対中国問題なら、対中貿易赤字さえ解決すればそれでよい。しかしボルトンはそうではない。対中貿易赤字が増えるのは、中国の政治経済体制がアメリカに合わないからだ、だから体制そのものの変更が必要だ、と考える。こんな考えではどこの国と交渉しても反発を食うだけだ。
 この二つの路線が併存しているから、現在のアメリカ外交が混乱しているのである。但し今のところボルトンが優勢のようだ。トランプはボルトンにいいように操られている。さてトランプとの個人的友情だけのアベ外交は、ボルトン流強硬外交に対抗出来るるでしょうか?これまでホルムズ海峡の安全はイランだけ見ていればよかったが、これからはアメリカも敵に回ってくるのです。
 なお銃撃されたタンカーは火災は起こしていますが沈没はしません。21世紀に運航する大型外航船は全て二重船殻構造になっています。つまり氷山や岩礁にぶつかっても壊れないような設計が義務付けられています。だから船の重要部分を機銃や安物の対戦車ミサイルでやられても、少々へこむだけで船の運航には問題はない。今回火災を起こしたのは、あまり重要でない箇所に銃弾が命中したからでしょう。機雷も問題はないはずです。それよりマスコミや、何も知らず知ったかぶりの軍事評論家がわあわ騒ぐ方が害毒が大きい。
 又、今回の事件で日本のエネルギー事情が直ぐに影響を受けることはありません。日本には7カ月分の石油備蓄があるはずだから。但し筆者は以前から、7カ月では足りない、9から12カ月分の備蓄を目標とすべきと主張しています。無論その大部分を再生エネルギーに転嫁することも重要な選択肢です。
(19/06/14)

 今日からアベがイラン訪問です。イランと何を話すのかわかりませんが、トランプの言い分をそのまま持っていくのでは只のメッセンジャーボーイ。そもそも今回の問題は、トランプの選挙戦術から生まれたもの。イランだってそんなことは見通し。その程度の事で事を荒立てしたくない。この際日本を使って有耶無耶に済ませればそれで良し、という程度。現在アメリカは爆撃機や空母を中東海域に集結させているが、トランプはこれを本気で使うほどの度胸はない。何故なら政敵マケインと違って、私立の士官学校を卒業していながら、ベトナム戦争から逃げまくった臆病者だからだ。
 イラン問題などトランプがいなくなれば簡単に解決する。アメリカが中東から手を引けばサウジに革命が起こって、サイード盗賊王朝は亡び、中東はまともな地域になる。序に、現在の中東問題も、イスラエルという国がなくなれば簡単に解決する。イスラエルは別に暴力やテロに訴えなくても、あと30年もすれば自ら崩壊するでしょう。それは地球温暖化による水不足です。これによってパレスチナは人間が住めなくなる環境になる。それを後押ししているのが、実はトランプのアメリカだからだ。
(19/06/12)

 トランプの置き土産の一つに日本の対イランへの働きかけがある。現在、アメリカはイランに対し全面経済制裁中。イランからの石油・天然ガス輸入を関係各国に対し事実儒禁止する措置をとった。日本もその一つである。
 更に、アメリカはイランに対し軍事行動を辞さない構えで、既に空母機動部隊をアラビア海に派遣している。このような状態で、アメリカはイランと何をしようとするのか?今更イランと交渉したくなってその仲介を日本に期待するのか?それだったら、これまでの強硬姿勢は何だったのか、てな話が直ぐに出てくる。
 イランと云えば昨年、鳩山元首相が電撃訪問して物議を醸したたことがある。最近イラン外相が日本に来たが、これは鳩山ルートを通じての訪日の可能性がある。だとすれば、アベは鳩山が引いたレールの上を歩かなくてはならない。アベは旧民主党政権を「悪夢のような」とののしった。彼は果たして悪夢を呑みこむのか、それともトランプの意に反してイラン外交を拒否するのか?選挙も近いからさっさと態度を決めなくてはならない。
(19/05/30)

 対中貿易戦争といい、対イラン制裁といい、このところトランプ外交の体外強硬姿勢が目立ちます。その理由は来年の大統領選を目指してのパフォーマンスという見方が大きいが、別の要素も忘れてはならない。それはホワイトハウス内の対外強硬派の存在である。これには国務長官のポンペオとボルトンが挙げられる。中でもボルトンには注意が必要である。
 この人物トランプ政権2年目にいきなりホワイトハウス入り。かといって只の機会主義者ではない確信犯的十字軍主義者だ。十字軍主義とはいわばキリスト教原理主義者。彼らは単にキリスト教布教だけでなく、自由・民主主義というアメリカ流価値観の拡大が正義で、そのためには武力行使も辞さないというエキセントリックな集団である。ボルトンはその代表者と云って良いだろう。ボルトンの最大の問題は歴史に学ばず、平気で嘘をつくことである。イラク戦争の時、ボルトンは第二次大戦後の日本を例に、独裁者を排除すればイラクは日本の様に民主化すると嘘をついた。これはかつての日本の天皇とイラクのフセインを同一視するという、最も初歩の誤りである。
 かつての日本帝国憲法では建前上天皇は絶対的な専制君主であるが、現実には法律により、権能には大幅な制限が加えられている。一方フセインは法律無視の独裁者だ。又、日本社会は古くから農村社会の延長であり、全員の同意を無くては何もできない社会で、トップの一声で何でも出来る騎馬民族社会とは根本的に異なる。ボルトンはその違いが分かっていなかった。だからイラクで失敗したのである。
 そしてボルトンの最大の嘘は大量破壊兵器の問題である。ありもしない大量破壊兵器を、如何にもありそうに時のアメリカ大統領ブッシュに吹き込んだのがボルトンだった。ブッシュはアホだったから簡単に騙された。今のトランプはブッシュに輪を掛けたアホだから、こんなのボルトンに掛かれば赤子同然。どうにでも動かせる。かくてアメリカは再び「偽の戦争」に巻き込まれようとしている。これもまたユダヤ人の陰謀か?イラクでの失敗はイランでも繰り返されるだろう。
(19/05/20)

アメリカとイラン関係が俄かに急展開を見せています。アメリカはイランに対し実力行使も辞さない構え。果たしてこの背景には何があるのでしょうか?それはイエーメン状勢を巡って、サウジがトランプに泣きついたからだ。この問題、普通の資源や地政学的方法ではなかなか理解しがたい。しかしミステリーの世界でよく使われる「犯人はこの事件で一番利益を得るものだ」セオリーに従えば、段々背景が見えてくる。登場人物はアメリカのトランプ、サウジのアブドラ皇太子、イスラエルのネタニヤフ、そしてイランのハメネイ。
 まずトランプは、前任のオバマがやったことをみんな潰したくて仕方がない。その中でも対イラン核合意は筆頭。そこにイランの支援を受けて勢力を伸ばすイエーメンシーア派組織がアブドラにとって悩みの種。カショギ事件の所為で、サウジ国内にも反アブドウラの動きが見え隠れする。ここでアブドラに何かあれば、国際石油価格にも影響する。石油価格は大統領選まではなんとぃても守らなくてはならない。
 一方ネタニヤフもここで米イが合意すれば、ユダヤ教保守派を始めとする自分の政権基盤が揺らぎかねない。
 そしてハメネイだが、彼は元々米イ核合意には批判的だった。あれは大統領が勝手にやったことだ。これでイラン国内に巣くう改革派を潰し、イスラム原理主義を守り、にっくきスンニ派を叩き潰す絶好のチャンス。
 というわけで、登場人物のみんながみんな、自分の立ち位置を守る事しか考えていないのである。これが今回の混乱の元凶でしょう。元々はイエーメン内戦にサウジ・イラン両国がちょっかいを出したことが発端。それに石油利権や海上利権が絡んでアメリカどころか中国まで無関心ではいられなくなった。そして混乱は泥沼化する。果たしてこれがキリスト教・イスラム教共通の祖であるアブラムの意思でしょうか?
(19/05/16)

 トランプがイラン革命は40年の失敗作だと云ったが、イラン革命を裏で画策したのがアメリカCIAだということは常識だ。当時のイラン国王だったパーレビー2世が、核開発を始めたという情報を入手したアメリカが、イランの反国王派を焚きつけて起こしたクーデターである。
 パーレビー追放に成功したアメリカが担ぎ出したのが、パリに亡命していたホメイニというイスラム坊主。おとなしくアメリカのいうことを聞くかと思ったらとんでもない。いきなりアメリカを悪魔の手先扱いして、反米政策を指導。おまけにこれを周辺特にサウジアラビアに輸出しようとした。今のアメリカ/イラン対立は、この時のアメリカの判断ミスが原因。自分の間抜けを他人の所為にしてはいけない。
(19/02/12)

 ベンガル湾東部アンダマン海に浮かぶインド領ニコバル諸島のある島で、先住民に伝道に行ったアメリカ人牧師が、先住民に矢で撃たれて死んでしまった。この先住民は孤立し、外来人を拒否するので有名だったらしい。インド政府は近づくな、と警告していたはずだ。さてこの問題、果たして自己責任でしょうか?
 今の日本人なら当然自己責任で片づけるはずです。しかしアメリカ人特にキリスト教原理主義者はそうは受け取らないでしょう。彼らは先住民は野蛮な犯罪者だから、犯人を処罰せよとインド政府に要求するはずだ。これにインド側がどう反応するか?うっかり政府がアメリカの要求をのめば、当然国民の反発を買う。それならと、トランプが軍隊を派遣すれば、インドVSアメリカの対立になる。そこへ中国やロシアが手を出してくる。
 なお、18〜19世紀にかけて、アジアやアフリカでは、こういう事件がしょっちゅう起こり、それをチャンスに欧米列強が植民地を拡大していたTのである。
 なおこの事件は安田純平さんの事件とは全く性質が異なる。従って、筆者はこれは自己責任と考えます。要するに、安田さんのような普遍的価値観に基づくのではなく、キリスト教徒特にアメリカ人の自己チュー善意の押し付けがこういう事件を起こすのである。
(18/111/22)

 カショギ殺害事件に関わったとされる18人の容疑者のトルコ引き渡しをサウジが拒否。サウジ国内で裁判にかけると主張。これだけならあくまでサウジは犯人を庇って軽い刑で済ましてしまうのではないか、のように見える。しかし筆者は逆ではないかと考える。つまり全員を死刑にしてしまう。究極の口封じである。
(18/10/28)

 相変わらずメデイアでは安田純平さんの自己責任論が騒がしい。こんなことをわあわあ騒ぐのは文明国では日本ぐらいではないか?韓国は知らないが、アメリカやイギリスでは、間違いなく安田さんは英雄だ。理由は二つある。一つはあんな危険なところに一人で行ったという勇気。奴はガッツがある、というわけだ。次に一人で三年以上も粘って帰ってきた。その根性がすごい、ガッツがある。つまりガッツの二乗である。尊敬されても迷惑がられることはない。
 それに比べ日本の自己責任論者にはガッツがない。中でも某芸人のように100%の安全性の確認を、なんてやっている奴は意気地なしの臆病者。というわけで欧米社会でははなも引っ掛けられない。日本で一番臆病なのは霞が関の役人と永田町の政治家である。前者は天下りと退職金のことしか考えない。後者の関心は選挙の票と党内ポストだけだ。そういう風潮は日本独特のムラ社会のシステムを反映している。
 封建時代、ムラでみんなと違ったことをすると、領主から睨まれる。ムラは連帯責任制だから処罰はムラ全体に降りかかる。だから何でも自己責任で、個人とムラの関係を切り離すのである。こういう風潮の背景には、永年続いた儒教特に朱子学の影響が背後霊のように付きまとっているのであえう。
 つまり現代の自己責任論者は、150年前の農民から何も進歩していないということだ。
 なお支払った身代金がテロ組織の軍資金に化けるという指摘があるが、これこそ余計なお世話だ。戦後中東動乱の遠因を作ったのは、イスラエルとアメリカである。更に周辺諸国が介入して、事態を複雑にした。現在の混乱を招いたのは、ロシアの介入もあるが、アラブの盟主をこの自称するサウジが、ある時期からイスラエル寄りにスタンスを変えたのが大きい。このアラブの身勝手無責任さが混乱の基である。日本が何らかの責任を中東動乱に負っているならいざ知らず、全く無関係なのだから、日本政府は邦人救出に専念すればよい。身代金でゲリラが力づいて、無責任アラブの盟主が危うくなれば、やっと本気になるだろう。
(18/10/27)

 ジャーナリストの安田純平さん解放について、筆者はもういい加減日本人も大人になったかと思ったが、相変わらずテレビのワイドショーでは相変わらず自己責任論が幅を利かせているようだ。こういう議論は国際的にはナンセンスで、国によっては憲法で国民の生命を守る*ことを義務付けている。事実、19世紀では自国民が拘束されたことを理由に戦争に発展した例もある。無論その結果、当該国は相手国の植民地になったりするのだが。
 ネットやテレビで飛び交う自己責任論は、筆者にとっては籠の中の鶏のバタバタ騒ぎにしか聞こえない。ある芸人は100%の安全を確認してから行くべきだ、などと幼稚園のままごとのようなことを言っていたが、報道に限らず、先端部分で100%安全はあり得ない。先端科学の研究は常に危険と背中合わせである。筆者が携わってきた地質調査という世界はまさに危険と手を繋いで歩くようなものだ。
 さて、自己責任論者が云いたいのは、俗に3億と云われる身代金を支払ったかどうか、支払ったとしたら誰が支払ったかだ。筆者は日本政府は支払っていないと考える。もし日本政府だとすれば解放はもっと早い時点で行われたはずだ。タイミングとして不自然である。また、安田さんは妻あてメールで、身代金は支払うな、と告げている。これは日本政府も把握しているはずである。
 タイミングから考えて、払ったとすればカタール政府かトルコ。その原資は何かというと、これには2ケースが考えられる。一つはカタール政府は日本との経済関係強化の経費とした。もう一つは国際ジャーナリズム組織(例えば国境なき記者団)などNPOによる募金である。
 トルコは身代金は建て替えていないが、仲介にたたのだろう。理由は日本からの投資を呼び込みたいからだ。現在トルコはEUと冷たい関係にある。代わりに入ってきたのがロシアだが、トルコは伝統的に反ロ親日。エルドアンはどうであれ、国民はロシアを信用していない。エルドアンもこれは無視できない。カタールが動き出してきた以上、ここでトルコも動くべきだ。そうでないと、日本からの支援をカタールに独り占めされかねない、てなところだろう。ここで、対中東政策で優位に立ったのが日本。さて日本政府はこのチャンスを生かせるか?慰安のような自己責任論に終始すれば、折角のチャンスを逃してしまう。籠の中の鶏には、それがわからないのだ。
 筆者はカタールが今がチャンスと考えて、身代金を建て替えたという説が最も合理的と考える。カタールは現在ほぼサウジと断交状態にある。石油天然ガスは豊富だから、別にそれで困るわけではないが、カタールだって目指すのは、将来の脱石油社会。その時日本に求めるのはマネーではなく、技術である。日本から様々な先端技術を導入できれば、3億など安いもの、国王の一週間の小遣い程度だ。だから貧乏な鶏がギャーギャーさわぐことではない。ひっしゃはテレビやネットで出てくる自己責任論や税金論を聞くたびに、日本人は本当に貧乏な田舎者(島国根性)と思ってしまうのである。
 なお、安田さんの解放にこれだけ時間が掛かったのは、日本政府中でもアベ晋三の判断ミスが大きい。あの長州のアホの所為で、これだけ時間がかかり、その分税金を無駄遣いしたのだ。税金ロスを言いたいのなら、アベ晋三と外務省に言うべきだ。
*現在の日本国憲法にこの条項はない。これが何か起こる・・・例えば災害であっても・・・自己責任論あまかり通る理由になっている。この条項を加えるなら、筆者も憲法改正に賛成である。
(18/10/26)

 サウジ記者殺害で一気に値を下げたのがサウジ次期王位継承者であるムハンマド皇太子。アラブだけでなくモンゴル・タタールなど騎馬遊牧社会では、王位継承者の資格は農耕社会とは異なる。農耕社会では王位継承は血筋に従ってほぼ自動的に決まる。例えば現在の北欧や日本の様な長子継承制である。一方遊牧社会では、血筋も重要だがそれだけでなく、実力が認められなければならない。認めるのは誰かというと、遊牧社会は一般に部族連合体の形をとる。王位継承を認めるのは、その部族の長達である。実力は何かというと、武力・財力は無論だが、勇気とか弁舌・説得力も重要なファクターである。
 今回の件でいうと、殺害の黒幕がムハンマド皇太子であることは誰でも分かる。しかし王位継承という点を考えればやり方を間違った。まず事件発覚直後、「殴り合いの喧嘩で死亡した」などとあり得ない嘘をついて事件をごまそうとした。次に誤魔化しきれないと思うと、罪を部下に押し付けて自分は雲隠れした。更に自身が招へいしたアラブ投資会議に欧米金融機関がボイコットするとみるや、開会式も出ず内外に大恥をさらした。
 つまり、自分の形勢不利と見ると逃げまくるのは、騎馬遊牧社会では臆病者とみなされる。臆病者に王位を継がせるわけにはいかないと、サウジ王朝の中で反ムハンマド派がまきかえすだろう。この勢力は今年、ムハンマドによって逮捕され財産を没収された連中だから恨みは大きい。
 この騒ぎにイラン・イラク、果てはロシアやイスラエルが手を突っ込んでくると、サウジアラビアは分裂し内戦状態になる。サウド王朝など元をただせば、砂漠の盗賊の親分、「アリババと40人の盗賊」の盗賊のようなものだ。第一次大戦時に、イギリスのスパイだったロレンスという男が拾い出して、勝手に王に祭り上げただけ。だから他の部族には、サウード家に忠誠心などない。泡か秋のススキのようなものだ。
 幸い日本はサウジに対し大きな投資はしていない。ソフトバンクの孫がムハンマドと組んで太陽光発電事業を計画していたが、先日の投資会議では孫は日和見を決め込んで、現地に行ったものの講演は取りやめた。こいつもとんでもない臆病者だ。ただサウジに混乱が起こると石油の値段が上がる、と原発推進論者は吠え立てるだろう。しかしそんなことはない。サウジが混乱すればイランやイラクが増産する。かつてのイランイラク戦争の例では、中東産原油は一時的に上がるが、そのうち落ち着く。更に混乱が長引けば、逆に背値下がりする。勿論、ホルムズ海峡は何の問題もない。
 但しそうだと云って安心してはならない。日本は石油備蓄を更に積み増し(少なくとも12〜15カ月分・・・筆者は以前9〜12カ月分と言っていたが、今回の件で少し嵩上げする)するとともに、脱石油社会を目指さなくてはならない。
(18/10/24)

 古典的精神分析学では、人間の性格を1)分裂気質、2)粘着気質、3)ヒステリー(てんかん)気質に分ける(なおこの分類は現在ではナンセンスとされる)。1)分裂気質は気分転換が速く、最も精神状態は安定している。若い頃の豊臣秀吉だ。2)粘着気質は物事への執着心が強く、気分転換が遅れる。3)ヒステリー気質は感情の起伏が大きく、しばしば精神状態が不安定になる。そのため次の行動の予測が困難になる。人で云えば織田信長だ。又このタイプ、人の好き嫌いが特徴でもある。気に入った人間にはとことん尽くすが、いやな奴にはけんもほろろ。
 サウジ記者カシiョギ氏殺害の黒幕とされるムハンマド皇太子、ある面では改革派で市民特に若者に人気が高い。一方、皇太子になった途端、他の王子約200人を逮捕監禁し資産を没収するととか、イエーメンへの軍事介入を強化して一般市民を殺害するなど、敵に対しては残忍で強権的一面をもっている。つまり次の行動の予測が難しい。気質的には3)ヒステリー気質と考えられる。
 さてこのタイプ、現在の日本にも結構いるのだ。その典型がアベ晋三と元貴乃花。アベ晋三のヒステリー性は明らかだ。例えば国会で弱点を突かれるとむきになって反論して論点をはぐらかしたり、自分を支持する団体や企業・・・ずばり経団連とJR東海・・・が言い出した政策やプロジェクトには大いに賛同支援を約束するが、批判者のそれは無視する。特にアベノミクス批判派に対しては露骨だ。
 元貴乃花はどうか?マスコミ特にテレビジャーナルでは彼は改革者扱いしているが、実態は自分中心主義。自分の主張が入れられない組織は全て的に見えてしまう。これは脳内物質のアドレナリン過多症状である。そもそも自分の親兄弟と何十年も口もきかないというのは異常ではないか。あんなのが自分の部下や上司になるなんてお断りだ。
 ではこういうタイプの人間は過去にいなったのか?居る居る。昭和になってからでは東条秀樹などその典型だろう。彼の同時代人の評価をまとめると、(!)極度に感情的である、(2)過度の精神主義・・・知性や科学的思考の否定、(3)人事が好きで、何時も細々と人を動かすことに枚挙のいとまがない。但し自分に忠実な人間は引き揚げるが、肌の合わない・・・つまり合理的知性的・・・人物は遠ざける、(3)反対者・批判者には憲兵を使っておどしをかける。現代の何処かの首相とよく似ている。しかしその東条も、初めは国民的には改革者と期待されたのである。
 こう見ればムハンマド皇太子も決して特殊な人間ではないことが分かる。改革者と独裁者とは裏表・紙一重なのである。それに共通するのはポピュリズムである。そういう意味では同じポピュリストであるトランプと気が合うのも納得できる。さてアベはどうか?今のところ何の応答もない。必死でトランプの言い分を探っているのだろう。東条と同じ、自分自身の思想・哲学をもたない俗物だからやむを得ない。
(18/10/23)

拷問と暗殺は中近世のアラビア世界・・・トルコも勿論ロシアも・・・では当たり前だった。それが21世紀という時代で繰り返されることが驚かされる。いうまでもなく、サウジアラビアトルコ総領事館でのアラビア人記者の行方不明事件である。
 この件では既にサウジ王室が記者の死亡を認めているので、それが殺人かどうかという点にしぼられる。これについてトランプはサウジ国王と連絡を取って「、ならず者に殺された」とツイートした。なんてことはない、サウジは自分で殺人ということをばらしてしまったのである。
 問題は誰かということだが、サウジ皇太子の警備隊員とか複数の王室関係者が総領事館に入っていったことが確認されているので、これが犯人の可能性が高い。そうすると、今のサウジ王室(=政府)はならず者の集まりということになる。果たして我が国はならず者国家とまともに付き合っていくべきか?首相や外務相に聞いてみたいものだ。サウジに投資する企業や観光客は、あの国にはならず者がうようよしていることをお忘れなく。
 なお日本でも甘粕事件という有名な事件があった。これは関東地震の際、東京憲兵隊の甘粕正彦大尉による作家小林多喜二に対する拷問殺人事件である。これを読売新聞がすっぱ抜いたので、甘粕は陸軍を首になってしまった。その後満州に渡って満映理事長になったが、意外に映画製作には口を出さず、もっぱら政治運動に没頭。このとき日本で映画製作が出来なくなった左翼系映画人が続々と満州にやってきて、自由な映画造りに没頭。このあたりが甘粕の性格の複雑さなのである。なお、小林を殺したのは別人で、甘粕はその身代わりになっただけだという説も根強い。
(18/10/17)

 目先の敵に気を取られて、本当の敵の勢力がつよくなるのを見逃すのは、世界の歴史によくみられる現象である。例えば、秦朝滅亡後天下を獲った楚の項羽は、目先の敵漢の劉邦を追い掛け回すばかり。その間に劉邦は逃げまくって次第に勢力を広げ、ついには項羽を滅ぼした。今年の中間選挙に勝利するためにユダヤロビーの脅しとおだてに乗って、トランプは全く論理性のないイラン制裁に踏み切った。その結果、イラン天然ガス開発に投資していたフランス企業の撤退という成果はでたが、イラン側は別企業との交渉を続けているといい、さらには中国が乗り出してきたという噂もある。
 トランプの強硬策は、同盟国や友好国(EUや日本)に亀裂や反目を生み、その隙間に敵国(いうまでもなく中国)が入り込んで、逆に敵国の勢力拡張を助けるという皮肉な結果を生んでいる。また、トランプは戦略備蓄1100万バーレル取り崩しを発表。このところの原油安はその所為か?そもそも戦略備蓄は中東情勢が不安定になり、餡的な原油供給が維持できない場合に備えてのもの。アメリカの突然のイラン制裁の前には、そんな状態ではなかった。もし現在の中東情勢を不安定というなら、それはアメリカ=トランプ自身が作り出したもの。こういうのをマッチポンプという。これも選挙対策の一環であることは、いうまでもない。こんな猿芝居に付き合わされるアメリカ国民や、世界の一般人民こそ、いい迷惑だ。
 さてこの猿芝居に日本の首相であるアベ晋三はどう立ち向かうのか?それも本来自民党総裁選の争点の一つにしても、おかしくはない。
(18/08/22)

 イスラエルが南米パタゴニアの土地を買って、そこにユダヤ国家を移すという計画がある、という噂がある。どのみち噂だからあてにならないが、火元はどうも10年程前のキッシンジャー論文にあるらしい。キッシンジャーはユダヤ人がイスラエルを見捨てる理由として、(1)欧米人がイスラエル支援に疑問を抱きだす、(2)イスラエルの巨大債務(主に防衛費)を挙げているが、筆者はこれに(3)急激な人口増と地球温暖化に伴う水不足、(4)近々必ずやってくるパレスチナ地震の二つを付け加えている。
 それはともかく、実は今から100年以上前、これと同じ計画があった。ヨーロッパでユダヤ人迫害が始まったのは19世紀末。特にポーランド、ロシア、セルビアなどスラヴ地域で強かった。ナチスの影響で、ドイツもユダヤ人差別が激しかったと思っている人が多いだろうが、実は逆で、ドイツ始め西欧諸国ではユダヤ人迫害などは起こらなかった。
 東欧・ロシア地域で差別や迫害を受けたユダヤ人が目指したのが、自由の天地ウイーン。20世紀の始め、ウイーン第一回国際ユダヤ会議が開かれ、ユダヤ人の将来についての討議が行われた。ここで強硬にパレスチナ帰還を主張したのがロシア東欧出身者。一方経済的に成功し西欧社会に溶け込んでいる西欧出身者は、何を今更不毛のパレスチナなどへ、いっそ南米にでも土地を買ってそこに国を作ればよい、と反論。結局両者は合意せず、ロシア東欧出身者は一方的に、トルコ当局にパレスチナの中のシオンの丘地域への入植を申請し、許可を取ってしまった。これから、彼ら初期入植者をシオニストと呼ぶ。
 こういういきさつがあるものだから、冒頭の噂も、何やら火元のない煙とも思えないのである。トランプによるアメリカ大使館エルサレム移転も、イスラエル国民では賛否両論で、シオニストや90年代ソ連東欧崩壊後やってきた新イスラエル人は賛成だが、それまでに西欧からやってきた入植者は否定的である。ユダヤ人もまた分裂の危機を迎えているのかもしれない。
(18/05/21)

何も考えない人間ほど何かをやると、とんでもないことになる。これは別にトランプのことだけを言っているのではない。こんな人間は、どこの会社にも役所にもいる。現に我が国与党・国会は、この手の人間だらけだ。前財務次官の福田などその典型。何も考えずに女性記者を口説いたばっかりに、自分はクビになるし、国会空転で大臣が頭を下げるハメになってしまった。
 トランプのような三流人間でも、こんな思い切ったことが出来るのは、アラブ諸国の指導者ー特に親米ーレベルが、トランプ並みに低いからである。アラブの問題は、各国がてんでんばらばらで、自国の利益だけを考え、一致することがない、そこを他の勢力に付け込まれるからである。
 こういう傾向は今に始まったわけではない。おおよそ900年前の十字軍戦争でも、同じことが起こった。ヨーロッパのカトリック教徒が、十字軍と称して中東パレスチナ地方に侵入してきた。十字軍も何の理念も思想もない烏合の衆だったが、それ以上にお粗末だったのがアラブイスラム諸国。かつてのサラセン帝国は解体し、中東地域は、カイロ・バグダード・ダマスカスの3カリフ国家に分かれ、互いにいがみ合う。又カリフ国家の中でも兄弟同士で権力争いにうつつを抜かして、パレスチナのことなどほったらかし。その結果、200年もの永い間、パレスチナをキリスト教徒が支配することになった。
 何故、こんなことになったかというと、カリフ始め権力者(族長)の嫉妬である。途中でエルサレムを奪還した英雄サラデインークルド人ーも嫉妬によって暗殺された。要するに誰かが手柄を立てると、他人の嫉妬を買いつぶされてしまうのである。
 第三次中東戦争は、エジプト・シリア・イラク・ヨルダンの四か国が同時にイスラエルに侵攻するはずだったが、実際イスラエルを攻撃したのはエジプトだけで、他は国境7に軍を進めただけで、何もせずじーっと見ているだけ。アラブ側に戦意無しと見切ったイスラエルに、各個撃破される始末。
 中世中東の政治状況を現代で言えば、アラブの盟主を自称するサウジと大国エジプトが親米路線にシフトしているようなもの。しかしこのアラブー十字軍蜜月も、第八回十字軍が聖地奪還を忘れてメッカ略奪に動いたため崩壊。さすがバラバラのアラブ側も遂に団結し、十字軍をアッカの海岸に追い詰め、パレスチナから追放してしまった。このとき中心になったのがエジプト。そしてエジプトを支配していたのは、実はトルコ人。
 さて、今回のアメリカ大使館エルサレム移転が、かつてのメッカ略奪に匹敵するものか?そうであれば、これが現在の十字軍国家イスラエルの滅亡に繋がる。奇しく最も強くイスラエルを非難しているのがトルコだ。これをきっかけに、700年前の歴史が繰り返されれば、こんな面白いことはない。
 なお、今回の騒動をアメリカの対中東政策のパラダイム変換という向きもあるが、本当にそうだろうか?現在のトランプ政策を支持しているアメリカ人は、全人口お25%,、共和党支持者の中でも50%程度にとどまる。もしことしの中間選挙の結果、2年半後の大統領選で政権交替が行われれば、簡単に政策は元に戻る。それ以上に現在の中東政策を主導しているのはボルトン。そのボスのトランプは移り気で、なにをするかわからない。ある日突然ボルトンを首にすることだってあるのだ。従って、トランプが何をしようが、それにペコペコくっ付いて行くのは具の骨頂。当分様子見が賢明。むしろEUとの連携を深めるべきである。
 それと、トランプやボルトンを操るキリスト教福音派というのは、キリスト教徒全体から見れば極少数派。主流であるカトリックやルター派プロテスタントから見れば異端で、カルトのようなもの。統一教会のアメリカ版のようなものだ。統一教会と喧嘩させれば面白かろう。
(18/05/17)

 東で半島核合意、ジョンウンはいい奴だと上機嫌なら、西ではイランに「かつてない制裁を」と吠える。北朝鮮には石油は出ないが、レアメタルやレアアースは産出する(どの程度出るのか、本当のところは誰も分からない。メタルメジャーの株価操作の疑いもある)。それは別にして、裏で筋書きを描いているのはボルトンで、トランプはその手の平で踊っているだけ。ボルトンの頭にあるのは2006年イラン制裁の再現。このとき、ボルトンは国連大使で、中ロを黙らせて対イラン国連制裁を実現させた。それが出来たのも、英仏及びEUが賛成にまわったからである。
 しかしそれから12年、今回はかなり様子が異なる。まず、ロシアはソ連崩壊後の経済的混乱から抜け出し、EUやアメリカにペコペコする必要はなくなった。中国の軍事的・経済的プレゼンスは、12年前とは比べ物にならないほど大きくなっている。更に今回は英仏独がこぞって、イラン制裁に反対している。積極的アメリカ追随はイスラエルとサウジアラビアぐらいだ。
 ということは「かつてない制裁」をやると云っても、国連の場では出来ない。つまり包括的制裁は無理で、・・・貿易交渉と同じように・・・・各国に個別制裁を働きかける以外に手段はない。具体的には対イラン制裁に加わらなければ、対米輸出を禁止するとか、関税を強化するとかである。しかしそれをやると、アメリカ国内物価が上昇するので、被害を受けるのはアメリカ国民。中でもトランプのコア支持者である、白人労働者が最大の被害者になるだろう。これではどっちが制裁を受けているのか、分からなくなる。
 なお、米朝対話、半島非核化を推進しているのは、タカ派で知られるポンペオとボルトン(トランプはコメデイアンであって、本当の意味でタカ派と云えるか疑わしい)。この二人が居れば、この案件は前に進むだろうが、二人のボスがあのトランプ。ある日突然気が変わって、この二人を首にするかもしれない。実際これまでそうやってきた。果たして今のムードが何時までつづくのか、誰にもわからない。それと、12年前の我が国首相は奇しくもアベ晋三。因果は巡る回り灯篭。12年前は確か、制裁決議には棄権したのではなかったか?さて今回はどうでしょう?
(18/05/14)

 同盟国イギリスやフランスの反対にも拘わらず、トランプがイラン核合意離脱を宣言。これに関する彼の声明は、事実の歪曲と独断、つまりフェイクに満ちたものだが、果たして彼はこれまでの経緯を理解した上で、この決定に至ったのでしょうか?トランプのことだから、誰かにそそのかされて喋ってしまった可能性の方が高い。誰がそそのかしたのか?イスラエルか?その手先のユダヤロビーか?その可能性もあるが、筆者はボルトンの可能性の方が高いと考えて居る。
 イランは核濃縮を行い潜在的核保有国である。しかし核兵器は保有していない。その点では日本も同じである。イラクのフセインは持つらしいそぶりを見せたが、それで終わった。枯れ尾花の先に幽霊を見て、ブッシュをたきつけて攻撃させたのがボルトンである。その結果、核兵器は見つからず、アメリカは10年もの無駄と浪費を重ね続けた。その張本人が、今アメリカ大統領首席補佐官として君臨している。又、イラクの失敗を重ねようというのか?現在世界で最も危険な人物は金ジョンウンよりボルトンである。
(18/05/09)

 シリア情勢を巡って、トランプがプーチンにミサイルをお見舞いするぞ、と脅せば、ロシア国連大使が「ロシアは戦争をおそれない」とやり返す。これに英仏も加わって、もはや世界は北朝鮮どころではなくなった。おそらくトランプの頭もそうだろう。
 こんなところにアベがのこのこ出かけていって、北朝鮮がどうの、鉄鋼関税がこうのと云っても、トランプが耳を貸すでしょうか?第一トランプの頭は、こんな複雑な問題を解けるようにはできていない。頭どころか関心すら示さないだろう。昨日云ったことを、今日平気でひっくり返して、当然という頭だ。
 では担当のスタッフに、といっても肝心のスタッフにろくなのがいない。あのボルトンが首席補佐官を務めるような政府だ。誰を信用してよいのか分からない。果たしてトランプに、言葉通りミサイルをぶっ放す度胸があるだろうか?トランプがいきなり前言を翻し、プーチンと握手することだって、無いとは言えない。つまり口先だけで何も起こらない、ということだ。その所為か、原油は上がるが、ダウも金も大きな動きはない。市場もしばらくは、様子見というところか。
 但しやるやると云って何もしなければ、トランプ政権はイスラエルと国内ユダヤロビーの支持を失うから、来年中間選挙が苦しくなる。今トランプは、戦争と中間選挙のジレンマに陥って、どうして良いか分からない状態だろう。トランプは日本やアベどころではない。だからアベが一体何をしに、アメリカに行くのか分からない。のである。
(18/04/13)

 トランプがイスラエル首都をエルサレムとすることを決定。無論アラブや他のイスラム諸国も猛反対。EUも反対で、中ロも賛成とは言えない。さてここで、我が国日本のアベ首相はどうするのでしょうか?
 北朝鮮コワサにトランプに付き従うのか?そうすれば間違いなく日本はイスラム過激派テロの標的になる。それだけでなく、他のイスラム諸国との関係が悪化し資源確保が不透明になる。さらに東京オリンピックのセキュリテイだけでなく、大阪万博誘致にも影響が出かねない。
 この問題についての外務大臣河野太郎の本日記者会見では、あっち(トランプ)を見たり、こっち(アラブ)を見たりのヌエ的表現。これでは、どっちからからも信用されない。
 なお、エルサレム首都承認はトランプの公約の中でもそれほど重要ではなかった。圧倒的トランプ支持者は中西部のラストベルトの住民。彼らの多くは保守派のプロテスタントで、ユダヤ人の首都などどこでもよいのである。この決定が、果たしてトランプ支持率にどう影響するでしょうか?おそらく全く影響しないでしょう。
(17/12/07)

 サウジ/イエーメン国境でサウジ王子を載せたヘリが墜落、王子は死亡。さてこれは単なる事故でしょうか?筆者は王子がイエーメンに脱出しようとして、サウジ空軍に撃墜されたと見ています。
 今サウジでは反皇太子派の粛正が行なわれています。この王子も反皇太子派と見なされ、粛正の危険が迫った。これを逃れるため国外逃亡を企てたところ、追っ手に捕まったということでしょう。
 21世紀の日本人はまさかと思うでしょうが、このようなことは中東ー中近東世界の政権交代時には当たり前に行われていたことです。戦後この地域ではアメリカの存在感が大きくなり、政権交替もCIAが関与する始末。そのため一時期減ったが、アメリカの関与力減少の所為で、中世の昔に戻っただけです。驚く必要はありません。
(17/11/06)

 イスラエルとアメリカが、パレスチナ問題をネタにユネスコ脱退を仄めかしている。さてこの二か国のユネスコ拠出金はどのくらいかと云うと、アメリカが8000万ドル(約90億円)でトップ。イスラエルはたったの100万ドル(1億円)。一方我が国は中国の南京事件や韓国慰安婦の歴史遺産指定を巡って、ユネスコへの拠出を凍結している。日本の分担金はアメリカの約半分で37億円程度。三か国合わせてもたったの1,2億ドル(130億円)程度なのだ。
 さてここで第三国・・・ずばり云えば中国だが・・・が、その程度の金ならウチで出しましょう、そのかわりアメリカ、イスラエル、日本三国をユネスコから追放し、これら三国のユネスコ各種登録遺産を全て取り消してくれ、と迫ってきたらどうするんだ。観光収入激減で上下大損だ。筆者個人としては、昨年歴史登録された、松下村塾のようなバラックとか、三菱造船所工場跡とか、三池炭鉱のようなガラクタは遺産から外し、空地をもっと別の施設に利用した方が、これからの地方創成の役に立つと考える。所有者である三菱重工とか、三井コークスだって妙に遺産指定されたから迷惑なのだ。なお山口県はアホだから、そういう使い道は分からないだろう。
 つまり世の中今や中国という巨大プレーヤーを抱えている限り、かつてのアングロサクソン的・・・日本もイスラエルも、それにどっぷり漬かってきた・・・価値観で動くことはないのである。
817/10/18)

 イギリスはマンチェスターで爆弾テロ。ISの犯行とすれば、タイミングから見てトランプの中東歴訪に合わせたものと考えられます。特にエルサレムに行って、キップを被って、嘆きの壁に手を合わせるなど、心にもないパフォーマンスが酷すぎる。これがIS他の反ユダヤ感情を刺激したのだ。
 あたかもわが国では「テロ等防止法」が衆院通過。イギリスやヨーロッパではとっくにこの種の法律があるはずだ。それでもテロは防げない。こんな役立たずの法律、あってもなくても同じじゃないかと云われかねない。ポイントは捜査当局の能力である。これが劣化しておれば、いくら法律を作っても意味はない。
 さてこういう事件、そもそも反ユダヤであるヨーロッパ極右はどう考えているのか?日本極右の中にも親ナチは大勢いる。アベや稲田、それからあのアホの田母神、三文小説家の百田などだ。
 トランプは自分が中東問題を解決すると大見得を切ったが、それはISを根絶やしにするという、かつて19世紀にアメリカが先住民に対し行った虐殺行為の再現である。果たしてこれでイスラムを根絶やしに出来るか?今のISを根絶やしに出来ても、新たなISを作るだけだ。ヒトラーは自殺間際に「今私が死んでも、100年先に復活するだろう」と予言した。今世界に蔓延する孤立主義・保護主義・排他主義の風潮は、当にヒトラーの再来である。
 従って幾らトランプが騒いでも、イスラム過激主義を根絶やしにすることはできない。もし恒久中東和平を実現するなら、それは常に和平のデッドロックとなるイスラエルを取り除くことである。これには強制的切除法と、自然消滅法の二つがあるが、筆者は後者で、いずれイスラエルと云う国は消えてなくなると考えている。その理由は環境の変化である。トランプが進める反温暖化対策は、地球温暖化を加速し、イスラエルから水資源を奪うだろう。その結果、イスラエルは国家として存続できなくなる。
(17/05/23)

 トルコの改憲国民投票で、エルドアン支持票が51.4%で、エルドアンが勝利宣言。事実上の大統領選だが、4年前の韓国大統領選でも、朴保守層の得票率はこの程度。それが今や逮捕起訴され、投獄の可能性もある。50%±1%程度ではこれは誤差の範囲。数年後エルドアンは逮捕され、イスラム法に依って斬首されているかもしれない。
 エルドアンの主張は簡単に言えば、議会制民主主義のような義西欧文明からの脱却=ケマリズムの否定、大統領への権力集中、イスラム主義の復活という、かつてのオスマントルコ帝国への回帰である。
 彼が目指すのは、プーチンやサダム・フセイン、古くはヒトラーやムッソリーニのような強権政治。エルドアンが目の敵にするケマリズムは,、第一次世界大戦後トルコ近代化革命を主導したムスターファ・ケマル・パシャ=アタチュルクに由来している。以来トルコ軍部は、このケマリズム守護が義務となった。そしてケマリズムにとって最も重要なカテゴリーは、政教分離、つまり脱イスラムなのである。そのアイテムとして採用されたのが、アラビア語、女性のスカーフ、男性のトルコ帽の禁止である。
 しかしイスラム教徒が90%を占めるトルコでは、しばしばイスラム化政権が誕生する。その都度軍部はクーデターを行うことによってバランスを採ってきた。昨年トルコで起きたクーデター未遂事件は、エルドアン政権のイスラム傾斜主義に対するけん制である。これは西欧諸国にとってプラスになってもマイナスになることはない。
 ところが西欧諸国はクーデターという手段=枝葉末節の問題を捉えて、ケマリズムの重要性を無視した。もっとも滑稽なの、は日本国総理大臣のアベ晋三である。
 ケマル・パシャは大の親日家で、彼のトルコ近代化革命は、日本の明治維新に倣ったともいわれ、彼の執務室には、常に明治天皇の肖像が飾られていたもと言われる。明治維新の理念を受け継ぐトルコ軍部が起こすクーデターなのだから、日本政府・国民は挙げてそれを支持すべきである。
 ところが事件後、アベ日本政府が打ち出したのは、これまでの日本・トルコ関係を無視したエルドアン支持声明。誰がこんな声明文を用意したのか?おそらく当面の試験答案しか書けない、東大出身の能無し無知秀才の仕業だろう。この結果、多くのケマリスタが逮捕拘束され、トルコはあたかもケマル以前の中世国家に逆戻りしたようなものだ。
 エルドアン政権が今後何年維持できるか分からない。下手するとケマリスタの多いヨーロッパ側が独立するかもしれない。GDPつまり経済力ではヨーロッパ側の方がアナトリア側に比べ、はるかに大きい。さて、そうなったときアナトリアに支持基盤を持つエルドアンを支持した日本の、対トルコ政策はどうなるのか?
 アベもアホだが、ホそれを支える霞が関官僚の能力劣化が問題なのだ。
(17/04/19)

 さてトランプのシリア空爆。その真意は何か?色々取沙汰されています。そのどれもが本当でしょうが、それ一つではないはずです。ここで筆者が疑問に思ったのが、何故ロシアとの関係悪化リスクまで犯してシリアを空爆したのか?。国務長官のテラーセンは人も知る親ロシア派。余計におかしい。
 トランプは本当に正当な大統領と云えるか、は多くのアメリカ国民が思っている疑念です。その理由の一つが選挙期間中でのロシアの介入です。これがある限りトランプ大統領は正当性を疑われても致し方ない。現にトランプ支持率は36%まで低下してしまった。これでは共和党主流派の突き上げも厳しくなり、来年中間選挙だって危ないものだ。
 折しも昨日スペインで、大統領選に介入した疑いでアメリカから国際指名手配されていたロシアのコンピュータープログラマーが逮捕された。トランプとしてもここらあたりでロシアとは手を切り、改めてアメリカファーストで出直そうということだろう。馬鹿を見たのはプーチンだった、ということだ。
 無論プーチンだって負けてはいられない。何らかの方法で報復に出る。その最初のターゲットが、いち早くトランプ全面支持を打ち出した日本ということは顕か。これで北方領土問題は振り出し。あの鳴り物入りのプーチン訪日は何だったのかね。シリア空爆で大慌ての日本政府。総理が無能なのか、周りにろくなスタッフがいないのか、それとも潰瘍性大腸炎治療薬(特にステロイド)の副作用か?
 ではプーチンの狙いは何だったのか?それは09年たりから活発になった「アラブの春運動」だろう。これを支援したのがEUとアメリカオバマ政権。これをほおっておけば、プーチン体制にも危機が及ぶ。
(17/04/10)

 戦後のアメリカ大統領の共通点・・・・全員ではありませんが・・・の一つに、就任早々何らかの軍事行動を採ることが多いことがあります。ジョンソンのガムラン湾上陸作戦(ベトナム戦争の始まり)とか、カーターのイラン大使館奪回作戦。他にブッシュ(父)のグラナダ襲撃、クリントンのソマリア上陸作戦とかだ。その目的は就任早々で、国民の支持も定かでないときに、こういうパフォーマンスをやって、求心力を高めるということです。
 パフォーマンスをやられた方はたまらないから逆襲する。だから上手くいかなかったことの方が多い。ソマリアの例では、ヘリで着陸しようとしたが、ヘリが不時着してしまって、海兵隊員が住民につかまり、引きずり回された挙句殺されるという始末。おまけにこの事件は映画にまでなった。この結果、クリントンとその後継者は、こういうパフォーマンスはやらなくなった。
 しかしそれにも懲りず同じことをやったのがトランプ。昨日イエーメンに軍事介入した。目的はイエーメンのアルカイダメンバー(ACAP)の打撃.。ACAPメンバーと関係者10数人を殺したが、その内8人は女子供。又、米兵一人が死んだ。この作戦はサウジの要請によるとも言われるが、サウジはトランプの値踏みをしているのだろう。
 さてこれがどういう結果を産むのか、未だわからない。しかし過去の経験則から見ると、アメリカにとっても世界にとっても、ろくな結果を産まないのは顕かだ。一人ご満悦はトランプだけ。
(17/01/30)

 2016年、年末に当たって行われたオバマによる強烈且つ直接的なイスラエル批判演説。これは世界史的には、アベの真珠湾演説よりはるかに重要である。アベ演説は所詮ローカルで、既定化された事実をなぞっただけで新しくもなんともない。おまけにフォーブスの「17年最も影響力のある人物」ランキングでは、アベは37位だ。このレベルの人物の演説など、通常は右から左へゴミ箱行き。
 イスラエルは現在の中東における十字軍国家である。中世十字軍運動は、11世紀末から13世紀末まで約200年間に及ぶが、12世紀末の第三回十字軍を境に前後に分かれる。前期は西欧カトリック世界が一致して聖地回復を目指した時期で、この時代の西欧にはカトリック共同体意識が強く作用していた。それが第三回十字軍の様に、英・仏・独の3元首の参加となったのである。
 ところが13世紀になると様子が変わり、各国元首は十字軍よりは内政重視にスタンスを移しだした。中にはドイツ皇帝の様に、ローマ法王と対立して、北イタリアを占領するまでになった。何故みんな内向きになったの か?それは十字運国家支援に疲れたからである。それだけでなく、この頃、後にブルジョワジーと呼ばれる商人階層が現れ、これが貴族や教会を飛ばして、国王と直接取引をするようになったからである。
 それだけではなく同じ頃、フランス王はいきなりテンプル騎士団の弾圧を始めた。騎士団と云えば聞こえはいいが、実態は現代のゴールドマンサックスとかエクソンモービルのようなグローバル企業で、特に金融で儲けていた。相手が儲け先ならアラブでもトルコでもなんでもよい、というのだからマイクロソフトやアップルも顔負けの会社だ。 
 そしてこれ以降始まったのが、西欧社会の内向き指向。カトリック共同体の崩壊である。崩壊だけならよいが、1453年コンスタンティノープル陥落は、その後の西欧社会の分裂と国家間個別対立を産み、20世紀に至るまでの抗争の歴史を作ったのである。
 この傷を癒すため、又かつてのローマ文明の再現を目指して作られたのがヨーロッパ共同体、つまりEUである。
 さて今の時代、西欧社会に顕著にみられるのは、極右勢力に代表される内向き志向。まさにポスト十字軍現象である。この原因は中東の混乱と、そこからの移民であるが、その原因を作ったのが、イスラエルという十字軍国家なのである。オバマ演説はまさにその問題点をついている。
 無論これで中東問題が解決するわけではないが、今後じわりじわりと効いてくるだろう。中東問題の根本はイスラエル問題である。これを解決したければ、中東をイスラエル建国以前の状態に戻すほかはない。中世十字軍は、そうやって解決したのである。
(16/12/30)

 クビになった国連南スーダンPKO司令官はケニア人だったらしい。この決定がケニア政府に何の相談もなく、事務総長ハンの独断だったからケニア政府はカンカン。PKOから全部隊を引き上げ、追加派遣にも応じない構え。そうするとケニアに追随するアフリカ諸国も出てくる。南スーダンPKOは崩壊だ。ハンに韓国人特有の火病が発生し、後先見ずに「言上げ」してしまったのだ・・・日本のアベもよく興奮して余計なことをしゃべる。やっぱり長州はチョーセン新羅の末裔なのだ。日本では誤った「言上げ」は、神の祟りがある、と言われる。今の山本農水相はTPP強行採決発言で祟りにあっているのである。
 さて、ケニアにそっぽ向かれたら、南スーダンPKOは何処が責任を持つのでしょうか?南スーダンの混乱は部族間対立もあるが、その裏には石油・天然ガスの争奪もある。これがポイントではないか?石油価格が高いときは、その利潤はそこそこ全体にいきわたる。ところが価格が下がれば、当然利潤の取り合いが始まる。一昨年の11月頃までバーレル100ドル前後をつけていた原油価格が突然急落。半値の50ドル台まで下がった。これまで黙っていても莫大な金が入っていたのが突然半分になったのだ。このころから南スーダン情勢がおかしくなってきた。
 さて最近のNY-WTY価格先月25日までバーレル50ドル台をキープしていたが、その後急落し、昨日はなんと2ドル近くも下げてバーレル45ドル。これじゃ南スーダンの混乱は収まらない。
(16/11/04)

 南スーダン派遣国連PKO部隊の司令官が解任された。理由は先月発生した南スーダン政府軍部隊の暴行・略奪に対し、国連職員の安全確保を怠ったということだ。この司令官が何人か知らないが、既に南スーダンPKO部隊は統制を失い、バラバラ状態になってるということだ。
 そもそも国連PKO部隊というのは各国の寄せ集め。特に途上国部隊は国連H除菌目当てに派遣されてきているのが多い。士気は低く装備はバラバラ。統一指揮という概念がない。だからこういうことになるのである。こんなところへPKO部隊を派遣したところで、敢えて火中の栗を拾うようなもの。かつてのシベリア出兵の二の舞だ。 
 ところが稲田はそういう実態を無視し、現地は安定だと強弁し、部隊派遣を強行しようとしている。その心は何か?一つは国連常任理事国の資格を得たいという外務省の思惑。もう一つは、これによって日本も国際的大国になった云いたい、長州アベ晋三の功名心。どっちも自分本位の次元の低い発想だ。こんな低次元レベルで右往左往させられる国民こそいい迷惑。
(16/11/03)

 これはシナイからガザへの連絡トンネルの写真。上半は鋼製覆工、下半も支保工が入り、なかなか立派な作り方だ。問題はこのトンネルがどのように入っているか分からないので、ガザのゲリラ活動を阻止できないこと。
 それに対しイスラエル軍は、自動的にトンネルの施工やルートを補足するシステムを開発中、ということだ。しかしこれはそんなに難しいものでしょうか?パレスチナは砂漠で地下水位は低く、地質構造も単純。たいしたことではないですよ
(16/08/27)

 トルコで軍人・公務員らの解雇逮捕者は5万人以上に上っている。当初は7000人程度だったのが、たった二日ぐらいでこんなにも膨れ上がった。最後は10万人規模に膨れ上がるかもしれない。どうしてこんなに増えたのか?その理由は「密告」です。自分は助かりたい、あるいは新しい体制下で上手い仕事にありつきたい、というエゴ動機で、新体制に少し批判的だったり、あるいは近隣と同和しない人を密告するのは、中世ヨーロッパの魔女裁判以来、ロシア革命やナチ革命後、あるいは中国文化大革命からカンボジャポルポトd政権まで枚挙にいとまがない。おそらく今のトルコもエルドアン支持派のイスラム同胞団系が盛んに密告を奨励しているのだろう。
 さて逮捕(抹殺)の対象は軍人・司法官・公務員である。エルドアンはかれらを追放し、その空きポストに支持派のイスラム同胞団系を入れ、権力基盤を強固なものにするつもりだろう。しかし逮捕者はこれまで国の運営の実務を担っていた。一方同胞団系には行政経験がない。こういうのが国家運営実務をとりしきればどうなるか?たちまち起こるのが行政の混乱と停滞。更に続けて経済の混乱が起こる。トルコリラは暴落し紙屑同然。その結果が超インフレ。物価の上昇は社会不安を発生し、第二のクーデターが起こる。エジプトで、同胞団系のモルシ政権がクーデターで倒れたのと同じパターンだ。
 エルドアンは死刑復活を主張しているが、これが実現すれば、自分が復活させた死刑台に自分自身が上ることになるだろう。フランス革命のダントンvsロベスピエールの物語の様だ。それほど高級な話ではないがね。

 トルコクーデター未遂事件語のアメリカの対応が問題。そもそもオバマがこの問題に日和ってしまったから、ホワイトハウスもばらばら。一番ダメなのは国務長官のケリー。対IS対策という目先の利益に目がくらんで、今後エルドアンの下で行われようとしている大虐殺に目をつぶっている。彼はいわゆる団塊世代。ほんとに日米ともにこの世代はろくなのがいない。姿勢がはっきりしていなから、アベやトランプのような、次世代やくざになめられるのだ。
(16/07/20)

1944年秋、ドイツでヒトラー暗殺未遂事件というのが起こった。ドイツ国防軍特に陸軍を中心とする大掛かりなもので、ヒトラー暗殺の報と同時に、国内外各地で陸軍によりSSの武装解除やナチ幹部の逮捕が行われた。ところがヒトラーは死なず、ラジオを通じて健在を示すと、たちまちクーデター派の勢いは低下し、反乱は鎮圧された。その後行われたのは反ナチ派あるいはそうみなされた者へのおぞましい報復である。ドイツ国民は愚かにも、ヒトラーについていけば何とかなる、と思い込んでいたのだろう。但しヒトラーがドイツ国民を連れて行こうとしたのは、輝かしい未来ではなく地獄だったにも拘わらずだ。
 今回のトルコ軍事クーデター失敗事件は72年前、ドイツで起こった反ヒトラー陰謀と、非常によく似ているのである。失敗の原因として、日本の無知無学で愚かな評論家達は
1、軍全体が一致しなかった
2、民衆の支持がなかった
3、国際社会の支援がなかった
 しかしクーデターというものは、秘密の内に行わなければならない。この三点を満足しようとすれば、必ずどこかで情報が洩れる。だからクーデターにはならない。又クーデター実施後、これをやろうとしても民衆も国際社会も、みんな日和見を決め込むから、あてにならないのである。
 44年ドイツの場合では、クーデター派はカナリス提督を通じて、かなり詳細なクーデター計画を連合軍側に流していたが、英米はこれを偽情報として無視してしまった。その結果、クーデター派は国際的に孤立してしまった。もしこのとき連合軍がクーデター派に協力すれば、ドイツ占領はもっとスムーズに行われ、ソ連の西進をけん制することが出来ただろう。その結果、大戦後の世界情勢も大きく変わったはずである。しかし英米が日和見を決め込んだため、戦後東西冷戦という最悪の結果を生んでしまった。
 今回のトルコクーデターでも、アメリカはじめ西側諸国は当初日和っていたが、エルドアンが生きてるとみるや、たちまちエルドアン支持に周り、トルコ民主主義の芽を潰してしまった。これというのも、オバマの日和見主義が原因である。日本のアベは何も考えず、単にアメリカの後追いをしただけ。ドイツの場合、数千人が処刑されたといわれる。今回のトルコの場合でもこれに匹敵する虐殺が行われるだろう。さらに世俗主義者に対する迫害・弾圧が強化されるだろう。
 この結果、エルドアンが西側諸国が自分を承認したと錯覚すれば、あの与太者国際ごろつきが何をするのかわからない。オバマの人権外交などごみのようなものだ。
(16/07/18)

 トルコのクーデターが失敗、残念。エルドアンのような与太者を消すにはテロかクーデターが一番。日本の2.26事件も、背景には政治家の腐敗・利権独占があった。今のところトルコ軍中央はクーデターに与していない。これでエルドアンは命拾いした。今後軍の関与が強まる可能性がある。
 なおトルコ軍部の使命はケマリズムの守護である。これは日欧米の価値観と一致する。むしろ反対するのは現エルドアン政権である。ケマリストとして注目されるのが、現在アメリカに亡命中のギュレン師。日米欧は今後同師を軸にケマリズム支持者支援を強化すべきである。
16/07/17)

 トルコで軍事クーデター発生。未だ詳細は不明。元々トルコ軍部はケマリズムの守護が使命。ケマリズムとは世俗主義と欧化主義が合体したもの。これはトルコヨーロッパ側で強い。しかしアジア側のアナトリア地方は保守的で、最近反世俗主義(イスラム原理主義)が強くなってきている。
 反ケマリズムを主導しているのが現エルドアン政権。エルドアンがそれほど信心深いとは思えないが、オポチュニストでポピュリスト、権力欲が強いのは間違いはない。トルコのトランプかアベ、タクシンのような奴だ。こいつが自分の権力強化のために、保守イスラム層・・・これはトルコの貧困層に重なる・・・ばら撒きをやった。彼の支持母体APKはばらまき専門の宗教政党。日本の公明党のようなものだ。そこで起こったのが、エルドアンの独裁と強権政治、腐敗と報道規制、民主主義の後退。要するにろくでもない三流人間なのである。
 その内クーデターでくたばるか、追放されればよいと思っていたが、昨日ついにクーデターが起こった。筆者はあくまでケマリズム支持、即ち軍部支持。また日本人はみなそうでなければならない。何故なら近代トルコの基礎を作ったケマル・パシャ=アタチュルクは、日本の明治維新を参考に、していたからだ。

 このクーデター騒ぎに対し、アメリカのケリーは早速エルドアン支持を表明。ほんとにこの男はアホだ。所詮70年代ベトナム世代だ。世界の歴史を全く勉強していないのである。
16/07/16)

 フランスニースでの爆弾トラックテロ。トラックには他に銃器や手榴弾まで積んであったというから、どこかで大量に武器爆薬を入手したということだ。さてそういうシロモノを何処から運んだのか?まさかシリアからはるばるというわけではあるまい。
 考えられるのは、EU域内にそういう武器爆薬を密売するシンジケートか組織があるということだ。そしてそれを取り仕切っているのがロシア人だったりして。資金はISの石油密売利益があちこちロンダリングを重ねて動いたのだろう。
(16/07/15)

 イギリスの独立調査委員会がイラク戦争でのイギリス参戦に法的・合理的根拠はなく、当時のブレア首相を非難する報告書を公開した。同じ調査委員会でも日本のそれとは、スタンスが随分違うようだ。この差は何処からきたのか?
 多分イギリスでは、この種の委員会は上院又は国王に属し、下院即ち政府とは無関係だった。だから”独立”委員会なのである。ところが日本では、しばしば当事者の委嘱で第三者委員会なるものが作られる。これではとても、委員会の独立性は保たれない。従って、依頼者の要求に沿った結論になるのである。例えば、かつての道路公団・東電・理研・舛添などが典型。
 それはともかく、当事者の言い分というか言い訳を聞いてみましょう。イギリスの当時の首相だったブレア(報告書で最大の責任者と名指し)は、開戦は不確かな情報に基づくものだったが、フセイン政権を倒したの正しかった。現在の中東混乱原因はイラク戦争によるものではない。世界はよりよくなっていると強弁。さてこの言い訳に納得する人は、アメリカのトランプとブッシュ、日本の小泉やアベ他数人だけだろう。現在世界では、イスラム過激派ISのテロ猛威を振るっている。サダム時代は過激派は押さえつけられ、ヨーロッパもイギリスもアメリカも、そして日本もテロには安泰だった。しかし今ではこれらの地域はISテロの脅威にさらされている。これでも世界はよくなったと言えるナイーブさに驚きいる。現在の中東の混乱は、米英がフセイン打倒後の中東秩序になんら計画を持っていなかったことが原因である。その中からISのようなイスラム過激派が生まれてきたのである。又我が日本政府はどうか?官房長官談話では、イラクが大量破壊兵器が存在しないことを証明できなかったことが原因だ、という。
 問題の一つはイラクが大量破壊兵器をもっているかどうかであるが、これには国連査察団が入って調査していた。フセインの妨害はあったにせよ国連査察団は、確認には未だ時間が必要だ、と表明している。それにも関わらずブッシュは時間を限って、攻撃を開始した。あたかもこれ以上、国連査察団に調査をさせてはならないかのようだ。
 ブレアもコイズミも情報が不足していたことを理由にしているが、自ら情報を集める努力はしていない。少ない情報でもそれを見る目があれば正しい判断が下せる。ブッシュがイラク空爆に踏み切った根拠に、その一週間前、パウエルが国連安保理総会で見せた一枚の写真がある。それはイラクがサリンを製造しているとするトレーラーである。筆者はこれを見たとたん,これはダメだと思った。何がダメかというと、パウエルの論理である。サリンのような危険な物質をあんなポンコツトレーラーで作れるわけがない。日本人なら、その前にオウム真理教事件があり、サリンとはどういうものか分かっていたはずである。ところが公明冬柴のアホが国会でパウエル発言をそのままオウム返しに答弁。これが政府見解になってしまった。
 その後の展開は筆者が言った通り、イラクに大量破壊兵器は存在せず、その代わりISのようなサリン以上に危険なものを世界中にばらまいたのである。その結果が、パリでのテロ、先日バングラでの日本人を狙ったテロの拡散である。ブレアはそれでも世界はよくなったと言い張る。バングラ犠牲者の家族は、結束してブレア(とブッシュ、小泉そしてアベiに抗議すべきである。何故アベか?それは昨年のカイロ演説である。
(16/07/07)

 今回のバングラ事件で、IS系通信社が日本を十字軍国家と非難し、その報いと報じた。昨年イラクで後藤さん殺害事件が起こったとき、筆者はこの原因を作ったのは、アベのカイロにおける不用意な発言だ、と指摘した。あれでISや他のイスラム過激派が、日本を欧米と同類とみなしたのである。みんなあのバカの所為だ。
 こういう事件が起こる度に、メデイアに出てくるのは、やれ経済格差だの、就職差別だのという、とおり一遍のアナクロ左翼流格差論。実際のテロ実行犯で貧困層出身者は殆どいない。これは戦後日本でテロ事件が吹き荒れた70年代の状況とよく似ている。
 あの当時テロに奔った左翼過激派も、その後の全共闘も主体は国公立大学の知的エリート層。出身階層は富裕ではないが貧困でもない中産階級。この中途半端さが、日本の反体制運動を中途半端にする原因だろう。彼らは経済的格差の是正を求めてテロや全共闘運動に奔ったのではない。その当時の社会を支配していた既得権益層の矛盾とウソを追及したのである。ところが、その全共闘の一部が転向し、今や既得権益層の代弁者になっている。例えば片山さつき(東大全共闘書記)。
 ということで、時間がたてば彼らISもいずれ転向する可能性もある。しかし、その時はもっと酷いテロを自国民に対して行うかもしれない。毛沢東やスターリンの自国民テロを見よ。そうならないためにも、今のうち目を摘んでおいたほうがよい。
(16/07/04)

 バングラでの対外国人テロj事件。みんなバングラデシュというのはどういう国かと思うでしょうが、今から170年ほど前の日本も、似たようなものだったのです。ペリー来航で開国を強制された日本には、多数の開国反対組織が生まれ、それらはみんなテロリズムに奔った。
 久坂玄瑞も吉田松陰も、みな開国反対テロリズムを煽ったのです。いわば日本版ISのようなものだ。
(16/07/03)

 現在の中東混乱について、実はISに武器・資金援助を行っているのはアメリカとトルコ、その陰でシリアの混乱を操っているのはイスラエルという説がある。まさかと思うだろうが、これは昨日BSフジプライムニュースで、ゲストであるパレスチナ・シリア・イラクの駐日大使が揃って云っていることである。と言うことは日本人には俄かに信じられないにしても、現地の人々には広く信じられていると考えられる。おまけにゲストコメンテーターの飯島勲まで同じようなことを云っている。
 さてこんな噂、一体誰が広めたのでしょうか?筆者はそれはロシアではないかと疑っています。元KGB将校というプーチンの前職を考えれば、やりそうなことだ。
 政治・外交は真実では決まらない。政治家や民衆の思い込みが最大の要素である。とすれば、今のアベ政権発足後アベはネタニヤフと会談している。一方現在のアメリカ政権とイスラエルとの関係は険悪である。ネタニヤフがアメリカ議会で演説しようとしたとき、オバマはビザの発給を差し止めた。
 これに比べると、アベのユダヤ傾斜は際立っている。何故か?大正期に酒井勝軍らが宣伝した、日本人優秀民族説或いは日猷同根説をまさか信じているのではあるまいか?
 彼が総裁を務める日本会議というカルトのメンバーを見るとその可能性もある。
(16/02/27)

 ホルムズ海峡近くの島嶼で、米海軍の哨戒艇隻がイラン海軍によって拿捕されたが、イラン政府は直ちに乗員を釈放。さてこの事件、何を意味するでしょうか?イラン政府の対応は、イラン側の対アメリカ関係修復を望むというメッセージです。
 これを横目で見て地団駄踏んでいるのがサウジアラビア。これでイラン/アメリカ関係が冷えれば思う壺、と思っていたところにあっけなく問題解決。従ってサウジは対抗手段として石油増産に励むから、原油価格は更に下がるでしょう。
 しかし筆者の目には、この事件はイラン/アメリカ双方による手の込んだヤラセ芝居に見えるのである。イランもアメリカも、関係修復は既定路線として継続しなくてはならない。しかし、オバマもロウハニも内に保守派という反対勢力を抱えている。両方とも「敵は本能寺にあり」なのだ。これら反対勢力を抑えるためにも、何か一芝居が必要。それは危機を作り、お互いが上手く収めることで、反対派も納得させること。それが今回の哨戒艇拿捕事件なのだ。
 民主党は今年大統領選を控えている。オバマは常に共和党から外交上の弱腰をつつかれている。従来の大統領は、これをかわすために直接的な軍事行動で演じたが、その殆どは失敗している。その典型がブッシュが始めたイラク戦争である。
 ああいう馬鹿なやり方はオバマの美学に反する。もっとスマートにやらなくちゃと云うわけで、思いついたのが今回の拿捕事件。この結末についてはアメリカ共和党もイラン保守派も手出しができない。
(16/01/3)

 本日ダマスカス近郊の反アサド派居住地区に国籍不明機が空爆を加え、住民を殺害したという報道。国籍不明機とは何処の誰の所有物か?今のところISが空軍を持っているという情報はない。又シリア空軍機なら国籍不明というわけはない。と言うことで、この国籍不明機はロシア機以外の何者でもない。但しこの空爆がプーチンの指示で行割れたものか?パイロットがアサドの要請に従っただけのものかは不明。
 これでシリア情勢は更に混迷を深める。今のところ国際原油価格は下落の一途を辿る。果たしてプーチン=ロシアはこの苦境に耐えて欧米に対抗できるのか?そもそもロシアがここまでシリアに肩入れする必要はあるのか?てな批判がいずれ出てくるだろう。
 これはかつてのアフガン介入、或いは日本の満州事変と同様の、国家戦略の誤りとして批判されるだろう。
(15/12/15)

 ロシアの経済制裁に対しエルドアンは「そんなものはたいしたことはない」と反撃。エルドアン反撃の根拠がどのようなものかわからないが、ロシアに比べはるか小国のトルコにここまで反撃されるとは、プーチンも予期しなかったかもしれない。ロシアの栄光も既に過去のもの。プーチンも最早過去の人間と、世間の人に思われかねない。
 ロシアがトルコの農産物を買わなくなっても、恐れることはない。地球温暖化の影響で買い手は幾らでもいる。とりあえずは日本か。イランも有望。ロシアが天然ガスを供給しなくなっても、イランから直接購入する手もある。アルメニア経由でトルコにガスパイプラインを作るのである。但しこのプロジェクトはイラン/アメリカ協議が進展する必要がある。これには来年のアメリカ大統領選挙が重要だ。ヒラリーが当選すればまず問題はないが、下手してトランプなんてことになれば、すべてがぶち壊し。
 と言うことで、今後暫く中東情勢はアメリカ大統領選挙とイランが鍵を握る可能性がある。そういう意味で、昨年の鳩山突然イラン訪問は・・・・大変批判を受けたが・・・意味を持っている。アメリカの言うままに、何もせず金をばら撒くだけで何も出来ないのが、今のアベ政権だ。
(15/12/06)

 連日のロシアvsトルコの対立報道。しかしここ500年来、両国は似たようなことを繰り返してきた。ロシアは何時ものようにトルコに要求を突きつける。一方トルコも何時ものようにやり返す。それだけのことで、500年間繰り返されてきた慣習イベントのようなものだ。だからいずれウヤムヤで終わる。
 只面白いのは、プーチンが一睨みしただけでヨーロッパは振るえあがったが、エルドアンはロシアを対等扱いして居直った。これが農耕民であるヨーロッパ人と騎馬民族トルコ人の違い。簡単には引き下がらない民族性と歴史経験なのである。喧嘩の仕方を知っているのだ。アメリカ相手には、直ぐペコペコする東洋のどこかの国の首相とは大違いだ。
 又平和ボケのヨーロッパ人は、いざとなったら役に立たないというのがよく判った。
 なお、プーチンにしても、トルコ相手に強硬策は取れない。何故ならロシア南方国境の外は、殆どがトルコ系イスラム国家。いざとなれば、これらがトルコ支援に向かうおそれがあるからだ。
(15/11/30)

 トルコ軍機によるロシア爆撃機撃墜事件。一見泥仕合のようです。その後公表されたロシア機航跡図を見ると、撃墜地点付近では微妙な違いはあるものの、全体は大きく変らない。ロシア機の行動範囲は大きくは楕円形であるが、その焦点は東方のIS支配よりは、西方の反体制派地域にシフトしている。おまけにこの地域はトルコ系住民の多い地域だ。
 この航跡図より、プーチンの意図はIS殲滅より、反アサド派弱体化にあったことは顕かである。只トルコがここまで反撃してくるとは、予想外だったかもしれない。トルコ領内進入が意図的なものか、パイロットの誤判断(或いは油断・・・・トルコ人を舐めていた))によるものかは判らない。
 よく外交の場で言われるたとえが、表は握手しているが裏では足を蹴飛ばしあっている。しかしその逆もある。従ってこの事件、一応ワアワア騒いで見るものの、いずれウヤムヤで終わってしまうだろう。
(15/11/27)

 アベがG20サミットでISを批判して関係国に財政支援を行なうと演説。このボッチャン、何か勘違いしているのではあるまいか?つまりKY。要するに金さえ出せばみんな大人しくなる・・・沖縄振興策さえ出せば、みんな辺野古移転に賛成する・・・、と思い込んでいるフシが見え隠れするのだ。
 ここでいきなり物理学の話になるが、一般に複雑に変動する物理現象は、異なる波長の波の重ね合わせとして理解される。つまりベースに最も波長の長い波があり、それに次々と短い波長の波が重なって、複雑な波形を作る。その典型例は地震波だが、これを周波数解析という方法*を使うと、上に挙げたような複数の波に分解できる。
 これを今の中東問題に当てはめてみると、現在のISと言うのは最も周波数の高い・・・波長の短い・・波で、これについでアルカイダやタリバンなどのイスラム過激派が続く。これらのノイズを取り除いていくと、最期に現れるのがイスラエルなのである。
 現在の中東混乱の起源は1947年イスラエル建国に遡る。この混乱を助長したのが戦後のアメリカ中東政策の混乱と失敗である。それを支持したのがナチのユダヤ人迫害に負い目を感じるヨーロッパ人と、中東石油資源に目がくらんだ、アメリカのユダヤ系石油資本。これらはもっと短い波長の波を作る。もっと云えば、ブッシュがサダムを殺してしまったのが最大の失敗と云えよう。ブッシュの浅はかなウェスタンヒーロー気取りが交渉相手を無くし、今の混乱を招いたのである。
 この考えで行くと、仮にISを力づくで倒したところで、後から後から別の過激派が現れることになるので、テロとの戦いは永遠に続くことになる。一番良いのは、問題の原因となったイスラエルという国を一旦解体し、ユダヤ人をパレスチナから追放し、その後西側がアラブ・イスラム側と交渉することである。これは日中戦争が泥沼化したとき、石原莞爾が考えた、日本軍長城外全面撤兵案と同じである。
 実際1000年前の十字軍戦争では、一旦パレスチナの十字軍国家が潰れたが、その後第一次大戦間での600年間は、中東は平和だった。
*今はネットでフーリエ解析ソフトは公開されているので、だれでも気軽に使える。
(15/11/17)

 バングラデシュで日本人農業家がISシンパによって殺害されました。この問題、最初に報じたのはWSJとかロイターなど外信系メデイア。日本メデイアは何も報じていない。こういう事態が発生するのは、昨年のアベ晋三カイロ演説、そして今年五月のアメリカ議会演説で判っていたことです。現にISはアメリカ協力国に対する報復を明言している。要はそれが何処で、誰をターゲットにするかだけの問題です。実際アベアメリカ演説は、ISによる対日本人テロを容認するようなものです。
 これまでのISテロを見ると、軍人官僚などガードの固い人物は狙わず、ジャーナリストとかNPOの援助・医療関係者など、国家によってガードされない弱者を集中的に狙っている。これは相手国に対し国論の分裂を誘う作戦です。日本はまんまと引懸かったわけだ。
 そもそも現在の中東の混乱は、第一次大戦後の英仏による中東分割が原因。ところが中東に莫大な石油資源があることが判って、それにアメリカやソ連まで手を伸ばしだした。ソ連はバース党を支援して中東に対欧米勢力を作ろうと画策した。その残り火が今回のロシア空爆介入である。つまり現在の中東混乱の原因は欧米各国による資源干渉である。この点では日本は中東の混乱やISなどに何の関係もない。それにもかかわらず何故アベが中東介入を口走ったのか?それはアメリカの圧力もあるが、国内的には未だに経産省や外務省に生き残っているペルシャ湾神話だ。こんなものが幼稚園の画物語にすぎないことは、ワタクシは何度も述べているが、それでも判らないアホがいる。それが岡崎研究所という無脳団体、「日本会議」というカルト集団です。彼らが根拠のない中東石油危機を煽って、成蹊裏口入学の劣等生アベとか、強いものにペコペコするしか能がな秋田のハゲネズミ菅を操っているのです。只のあほだ。
 では日本にISはいないのでしょうか?実はいるのです。ジャパンISと云って良いのがいる。それが右翼です。ISの特徴は反米だけでなく、既存のイスラム秩序も敵視している。彼らはムハンマドの世界へ戻れと主張するが、実際やっていることは奴隷制の復活とか、暴力による支配世界の再現である。これらはむしろイスラム以前の部族社会への回帰を主張しているようなものだ。ムハンマドはむしろこのような野蛮な風習を戒めるため、コーランを語り、シャリーヤを制定した。日本会議に象徴される日本右翼の主張はISと同様、古代の非理性的世界への回帰だ。
 シールズの奥田宛に殺害予告を出したのがいる。旧くは朝日新聞西宮支部を襲撃した赤報隊事件というのがあった。彼らは未だに本性を明らかにしない。そのとおり、右翼の本質は権力を頼り、その威力を肩に一般市民を脅す、思想暴力団にして臆病もの集団なのである。
 (15/10/04)

 アムステルダムからパリ行き特急列車にテロリストが現れたところ、アメリカのアフガン一時帰還兵に取り押さえられると言う騒ぎ。まるっきりハリウッド映画並みだが、その内間違いなく映画になるでしょう。中でもテロリストが米兵のパンチを食らって気絶するなど、映画そのもの。このテロリスト、ろくなものを食っていなかったのではあるまいか。
(15/08/23)

  いささか旧聞に属するが2〜3日前、ISによる日本人殺害事件に関する政府審議会が、「事件に対する政府の対応には問題はなかった」という結論を出した。ただし有識者意見として、アベ首相のカイロ演説および事件発覚後アベが犯人に太子「罪を償わせる」という発言がISを刺激した可能性は否定できないと補足。
 最初の結論はこの種の審議会では始めから決まっていることで、審議会メンバーの役割は議論を、如何にこの方向にスムーズに持っていくかである。ただしやってはならないのは、事故責任を政府や役人に持っていくこと。つまり官製ヤラセなのである。これに比べればNHKクロ現など子供の遊びのようなもの。
 しかしそれでもアベ演説を無視できなかったのには、訳があるだろう。そもそもカイロ演説とか、対応をトルコでなくヨルダンに任せたことに対する批判は、海外メデイアからきているのである(筆者が最初に見たのはWSJ)。日本国民はアホだから幾らでも騙せるが、海外メデイアは誤魔化せない。だから仕方なく有識者意見として付け加えただけだ。従って政府責任にはならない。しかし、もしトルコルートやその他のルートを無視するような結論を出せば、アメリカや諸外国が日本の危機管理能力に疑問を抱くのは間違いない。
 なおこの結論にはサンケイやネトウヨのような田舎モノには有効だろう。
(15/05/24)

 さて先日アラブ有志国連合軍が要衝テクリートを奪回しました。これで有志国側が俄然優位に立ったように見えるが、必ずしもそうとはいえない。以前筆者が指摘したのは、有志国連合軍の北上は二重包囲網を作ったが、それだけでは駄目で地上戦で劇的勝利を「収める必要がある。今回テクリート奪回はそれに該当すると云えるかと言うとやや疑問。テクリート近郊でIS軍を包囲殲滅できておればよいが、実際の戦果はIS戦闘員を追い出しただけで、主力は逃亡してしまった可能性が高い。無論一定の打撃を与えたのは間違いないので、有志国連合軍は直ちに追撃戦に移るべきだが、どうもその様子もない。次はどうするんでしょう?
 ISとか西アフリカのポコハラムとかその他、最近とみに過激性を高めるイスラム集団が増えている。それは何か?貧困だとか西欧文明の押し付けだとか、色々説明がなされているが、どうも納得出来ない。例えば今IS主力が占領しているイラク北部は、中東で最も豊かな地域だ。ポコハラムが暴れまわっているナイジェリア北部も、古くから 西欧文明を受け入れてきたのである。
 何故彼等が過激化したのか。筆者の考えでは彼等過激派の中に終末論思想が入り込み、それを扇動する人物や団体・組織がいるのではないか、ということだ。終末論思想はユダヤ教やキリスト教にもある。それどころか、彼等が元祖といっていいだろう。世界が終末を迎えると最後の審判が下され、人々は天国へ行くか、地獄に落ちるか決められる。イスラム教もそう説く。三原じゅん子の軽薄発言で有名になった八紘一宇思想も、日蓮宗の終末論思想が基になっているのだ。
 イスラム過激派の場合、これを救うのがジハードの実践・・・・オウム真理教における救済と同意義・・・であって、異教徒・背信者を殺すことが救いの道だ、というプロパガンダを流すのがいるのだ。迷信深い民衆ほど、こういう俗信に惑わされやすい。だから彼等は自分が助かりたいために、異教徒を攻撃するのである。オウム真理教と同じだ。結局は人間の弱さの発現である。
 筆者が判らないのは、日本にも世界にも多くの宗教学者がいるはずだが、彼等は何故終末論の危険性について注意喚起をしないのだろうか?それどころかワルノリして小銭稼ぎたくらむ悪党もいる。
(15/04/04

  何日か前に対IS戦略として情報戦を仕掛けるべきだ、と書いたら早速それをやった集団が現れた。何処かの国の情報機関かと思ったら、アノニマスという民間ハッカー集団。アメリカ国防総省やその他の政府機関のシステムに侵入して情報を盗み出すということで有名になった集団である。
 
彼等が今度はISのシステムをハッキングして映像を書き換えたり情報を消したりして
ISのネット破壊工作をやった。結構戦果も上がっているらしい。これが成功すればIISの資金ルートやリクルートネットを遮断できる。結果としてISの後方システムを破壊できる。
 
しかし何故各国政府は、これまでこういう情報戦を仕向けなかったのでしょうか?こういう安上がり戦法では、欧米軍需産業・・・・例えばボーイングとか、ドイツ・フランスの武器メーカー・・・や、石油産業が潤わないからではあるまいか。彼等はあくまで正面作戦で儲けるのである。
 
そういえば、昨年来下落を続けていた原油価格が先月末から上昇に転じ、今はバーレル50ドル前半をキープ。これは今春から始まると予想される、有志国連合の反転攻勢を期待してのものでしょうか?
(15/02/18)

 リビアでエジプト人21人がISによってクビを斬られたが、これをISの残虐性とだけ解説する向きもある。そもそも騎馬民族とはどういうものかを理解する必要がある。捕虜に対し情けを掛けたら、本人自身が遣られてしまう。エジプト人のクビを切ったISエイジェントも同じ気持ちだっただろう。うっかり情けをかければ自分が遣られるのだ。日本で言えば、500年前の戦国時代の感覚だ。
(15/02/17)

IS人質事件以来、アベの声がハイトーンになって威勢のいい言葉が連発。この延長に1)集団的自衛権の拡大解釈、2)紛争地での自衛隊隊による邦人救出の二つがある。
1)について;政府・与党は後方支援に留め軍事行動ではない、と言い張るが、これは平和ボケ国内向けの誤魔化しに過ぎない。現代戦では正面作戦と後方支援は一体化しており、区別しない。つまり軍事的に見れば、後方支援も軍事行動の一環であり、しかもその重要性は正面作戦以上のものがある。これは20世紀に入って以来常識である。逆に言うと相手の後方支援を如何に潰すかが、軍事作戦で極めて重要なのである。仮に日本がこれは後方支援であって、軍事行動ではありません、と云ってもそんな言い訳は国際的には通用しない。敵対勢力は軍事行動として、間違いなく後方支援ルートを攻撃してくる。今回のIS人質事件でも、政府は2億ドル援助を人道支援だ、と散々いいわけしていたが、そんなもの何の役にもたっていない。その際日本側、つまり自衛隊員に犠牲者が出るのは当たり前。そのリスクを政府・与党は明確に説明しなければならない。
2)について;これも非現実的マンガ発想である。ハリウッド映画とか、北斗の拳的マンガの見すぎではあるまいか?邦人が反政府勢力によって略取されたとして、その救出は現地国の主権に属することである。かつてイスラエル機がハイジャックされウガンダのダルエスサラームに着陸したとき、イスラエル政府は軍を使って人質奪回作戦を行った。作戦は成功したが、ウガンダ政府や航路下各国の承認を得なかったため、アフリカ諸国の反発を買い、イスラエルは国際的に孤立してしまった。その余波は今も残っている。
 この点から政府・与党は現実的に主権が行使されていない地域に限定するといっているが、そんな処が今の世界で何処にあるのか?例えば今回のIS人質事件でも、政府はIS支配地域は現実的主権は行使されていないといいたいだろうが、イラク・シリア政府はここは我々の主権地域だと主張するだろう。だからこれは現実には意味を持たない。アメリカが人質奪回作戦をやって失敗したが、これはアメリカとイラクの力関係の問題である。もしこれを実行すれば、邦人だけでなく、救出に向かった自衛隊員にも犠牲は避けられない。そのリスクを政府・与党は説明しなくてはならない。
 以上の件について、アベ晋三の情婦の座を高市早苗と争う稲田朋美が、昨日賛意を表明したが、あの政界AV女は何も判っていないのである。
 稲田といい高市といいアベ側近に見えるのは、政治家のヤンキー化である。ヤンキーと言うのはロジックはなくポエムだけだ、と云った人がいる。つまり既存の秩序を否定し、威力ときには暴力で一般市民を威嚇するが、その先には責任を持つ気がない集団である。究極のアナキストだ。その典型が吉田松陰なのである。判るような気がします。

 集団的自衛権の拡大にしろ、自衛隊による邦人救出にしろ、政府与党は大丈夫だ大丈夫だというだけで、そのリスクを全く顕にしていない。つまり今の政権は只のヤンキー政権なのである。
(15/02/16)

 漸くアラブ側にも対IS共同戦線が出来、反撃の機運が見えてきました。純軍事的に見ると、南からイラク+ヨルダン軍からなる有志連合軍が北上し、北のトルコ国境にトルコ+クルド軍が布陣して国境を固めると、所謂カンネー戦パターンの二重包囲が完成する。通常であればこれで包囲された側はギブアップである。
 ところが現代のような非対象型戦争では、そうは簡単にいかない。まず二重包囲を成功させるためには、包囲側の密な連携が不可欠である。さて今回のように数カ国が参加する作戦で、連携が上手くいくでしょうか?そもそもアラブと云うのは、互いにいがみ合うのは得意だが、協力し合うのは苦手だ。だから有志連合軍の連携が上手くいかないケースが発生する可能性が大きい。すると作戦上の隙間が出来、そこをISに突かれると包囲網が崩壊してしまう。又ISが正面戦を避け、浸透戦やゲリラ戦に転じると余計ややこしくなる。なかなか世の中上手くいかないのだ。特に騎馬民族相手では。
 更にISは情報戦を展開し、有志連合に揺さぶりを掛けて来る。これも騎馬民族の得意技。13世紀バツの西方遠征では、モンゴルは西方世界に恐怖宣伝を含む情報戦をやって西方側を骨抜きにしてしまった。有志連合は正面戦だけでなく、これに対抗できる情報戦を展開することが必須である。
(15/02/11)

 アベが国会質疑で、中東での演説・・・つまり2億ドル拠出・・・について、人質の存在は承知していた、その上での演説だ、と答弁。本当かあ?中東演説については内外メデイアから、その不用心性について指摘されている。それをかわすためにこんなたわ言を言っているのだろう。もし知っているのなら、なぜこんな発言をイスラエルなどという際どい場所でやったのか、その説明が必要だ。特に気になるのはアベ内閣のイスラエル傾斜姿勢である。この背景にはアメリカ大使館があるのだろうが、それにしても際ど過ぎる。
(15/02/05)

ヨルダン軍中尉の殺害映像が流れたので、ヨルダン政府はルシャウイ等テロ逮捕者の処刑を決定。つまり筆者が1/29に示したケースの内、4)のケースとなりました。ルシャウイ等の処刑がどういう方法で行われたかは判らないが、中尉の処刑法に対する報復であれば、それに順ずる方法が採られただろう。ヨルダン軍中尉が今まで生きていたかどうかは判らない。とっくの昔に殺していたのを、ヨルダン政府から生存証拠を示せ、と迫られて苦し紛れに映像を公開した可能性もあります。つまりルシャウイ等は始めから捨て駒だったわけだ。
 この件について、日本政府やマスコミからはISの卑劣さ残虐性を非難していますが、そもそも彼らの出自は騎馬民族である。騎馬民族と言うのは問題を戦略的に考え、交渉に於いては相手の弱みを掴み、そこを突いて要求を貫徹する。或いは交渉条件を次々に変えて相手を混乱させる。ローマもアッチラのこの手で振り回された。
 彼らに普遍の正義だの人道だのという言葉は通用しない。あるのは彼らだけに通用する正義であり、道徳であり、利益なのである。騎馬民族と言うのは目的のためには何でもありなのである。騎馬民族にロマンを感じるのは、ハリウッド映画に毒されたアホだけである。

 この点を日本人は・・・・政府や国民を含め・・・よく理解出来ていない例えば韓国・朝鮮人や中国人を日本人の多くは農耕民族と思って居るかもしれないが彼らはれっきとした騎馬民族の末裔である。そこを、判っていないから、外交で後手を踏むのである。
(15/02/04)

 IS人質問題は日本人二人の殺害で、日本にとって一応の決着を見た。しかしこの陰で、一番ほくそ笑んでいるのでいるのはアメリカではないでしょうか?事件の経過に応じて、アメリカはアベから様々な言質を得た。まんまとはまったのはアベー菅政権。戦後日本四番目の対米敗戦だ。長州と言うか岸家には対米敗戦DNAがあるのか?
 この事件、アベ政権「テロには屈しない」と綺麗ごとを並べているが、実態はヨルダンにはコケにされ、裏ではアメリカからネジをまかれている。これが敗戦トラウマなのだ。こんな状態で国際連携などと云っても誰も信用しない。
 他にも怪しい話が一杯あるがそれを、報道するジャーナリストが誰もいない。例えば事件最中から安部が「集団的自衛権の行使に地理的制約はない」とか「自衛隊による邦人救出の法整備が必要」と発言したり、更にはアメリカ第7艦隊司令官が「日本の南シナ海哨戒を歓迎する」という発言が飛び出したり、なんとなく日米双方がこの事件を集団的自衛権拡大に利用している感があります。
 この原因はずばりオバマの優柔不断です。何故オバマは中東問題に対し明確な姿勢を打ち出せないのか?それはノーベル平和賞のトラウマではなかろうか、と筆者は考えています。たとえ相手がISだろうとロシアのプーチンだろうと、ノーベル平和賞受賞者が自ら戦争を始めるわけには行かない。そこで日本を巻き込もうという作戦でしょう。それにマンマと載ったのがアベアホ政権というわけです。
(15/02/03)

後藤さん殺害で、今後の展開は1/29記事での4)のケースの可能性が高くなってきました。この件の背景に何があるのでしょうか?昨日イラク北部キルクークにIS部隊が侵攻したが、クルド治安部隊の反撃で撤退した。なにかこれが関係しているような気もします。
 なおISはアベを名指しで非難している。何故オバマが出てこないのだ、という疑問も沸くが、アベを殺ってくれるのなら、それも日本のためかなと思ってしまうのである。ついでに片付けて欲しいのも何人かいるが。例えばシンタローとか。
 さて今後の日本政府のあり方だが、ワタクシがこの事件に感じるのは日本やヨルダンは大きく取り上げているが、他のイスラム圏諸国はそれほどではない。それどころかIS寄り発言も見られる。
 特に驚いたのは、ヨルダン軍中尉の父親が、日本人より「ヨルダン人を優先せよとあからさまに述べたことである。ずばり言えば人種差別発言である。
 果たしてヨルダンや他のイスラム諸国に、これ以上肩入れすべきか、という議論が今後必ず出てくる。実際従来世俗主義だったマレーシアやブルネイも、保守派に押されてイスラム法を外国人にも適用するという原理主義的政策を採るようになった。具体的にはラマダン月には外国人でも断食をしなければならないということであり、一日5回のメッカ礼拝を強制されるということである。これは外国人、特にキリスト教徒には耐え難い。その結果、欧米資本はこれらの地域から撤退していくだろう。日本はどうか?これまでの投下資本や石油・天然ガスに騙されて、結局はこれらイスラム諸国の言いなりなりかねない。
 その原因はエネルギーの自立である。未だに日本政府特に経産省には、エネルギーを化石燃料や原子力に頼る勢力が多い。ここで筆者が言うように主エネルギー源を水素にシフトすれば問題は全て解決するのである。そうすれば外交もイスラムやアメリカに遠慮しなくて済むのである。
(15/02/01)

 何事でも上手いか下手かは相対的なものである。交渉事で相手に振り回されるのは、相手の交渉術が優れているのではなく、こちらが下手だっただけというケースの方が遥かに多い。筆者は永年建設コンサルタント関連業務を手がけてきた。その中で設計業務で、エネルギーの大部分を占めるのは発注者側との交渉である。交渉で負けるのは、相手に主導権を握られることである。その原因は幾つかあるが、その代表的なものを挙げておこう。
1)課題が発生したとき(業務の受注もこれに含まれる)に、なにもアクションを起こさなかったために、相手に主導権を握られる。
2)こちらはアクションを起こしているが、相手にそれを理解する能力や、担当者に当事者能力が無かったりして、様々な雑音が発生して結論が出なかったりする場合。この場合でも相手は甲の優先権を駆使して主導権を握ろうとする。
3)こちらに業務の内容を理解したり、処理する能力が不足していた場合。要するにその世界の知識が足りなかったケース。
 今回のIS人質事件の日本政府の対応は、これらの要素が複合していたと考えられる。
1)まず、ISに日本人が拘束されていたということは昨年8月から判っていた。又、後藤さん家族に20億円の身代金要求があったのは昨年10月。これも政府は知っていたはずだ。これに対し、日本政府は何らアクションを起こしていない。これはISに日本人人質には何をしても良いというメッセージと受け取られてもやむをえない。
2)日本政府がモタモタしていた間に、ISはヨルダンを交渉窓口として指定してきた。その結果、交渉主導権をISに握られることになった。
3)本来なら日本人対ISの交渉だったはずが、途中からヨルダンが割り込んできたため、余計ややこしくなり、交渉事になれていない日本人にとって、手に負えない状態を作ってしまった。

 さて、今後の展開だが、ISは交渉期限を29日日没(日本時間では同日深夜)と限ってきている。幾つかのケースが考えられる。
1)人質全員解放、ルシャウイ釈放
2)ヨルダンパイロット解放、ルシャウイ釈放・・・・後藤氏殺害
3)その逆
4)全員死亡・・・・ISが人質二人を殺害し、その報復としてヨルダンがルシャウイを処刑した場合。
 筆者は2)のケースが一番高いとみている。次が4)か。何故なら、2)ではヨルダンに恩を売ることが出来る。と言うことはヨルダン国内にシンパや拠点を作ることが出来る。4)のケースでは、ISにとって失うものは何も無い。それどころか、ルシャウイを殉教者に祭り上げることが出来る。3)のケースではISのメリットは何も無い。日本が法外な身代金を払えば別だが。
 交渉とは常に相手の立場で考えて、自分が優位に立てるよう次の手を打つことである。馬鹿馬鹿しいと云えば馬鹿馬鹿しいのであるが。交渉に於いて被交渉者は結果に希望を持つべきではない。これが現実だ。
(15/01/29)

IS人質問題に関し、今国会で与党は現政権の対応を支持するようだが、こんな拙劣対応を容認するようでは、日本人を狙った今回のような類似事件は、今後頻発するだろう。何故なら日本政府は自分では何も決定できず、他国頼みだからだ。全く日本人というのは甘い。 
 なお、本日夕方の報道ではルシャウイと後藤との交換が合意したという。これ自体信用できるかどうか判らないが、もし本当なら裏で相当のマネーが動いていたと考えるべきである。その大部分は日本負担だ。
(15/01/28)


 しかしよく判らないのが、ISが後藤さん釈放の条件に出してきたリシャウイ死刑囚の釈放。彼女がやったのは10年前のテロ。その後直ぐにヨルダン政府は死刑判決を出している。何故10年も生かしていたのか?とっくに処刑しても良いはずなのだ。しかしそれが出来ないのが中東アラブ世界の複雑さ。ヨルダン政府と言うか有力部族長が、過激派から脅迫されていたか買収されていたのだろう。
 
それともう一つ不思議なことは、何故ISと対立するヨルダンに対策本部を置き、ヨルダンを交渉窓口にしたのか?本来なら中東で唯一ISと接触できるトルコを選ぶべきなのだ。海外メデイアはみんなそう云っておる。

 それにも関わらず時事通信の世論調査では、事件当初の政府の対応支持が60%となっている。但しこのメデイアはどちらかと言うと保守系アベ寄りだから、数字は少々割り引いて考える必要はある。それでも、国民の多くがアベ官邸の拙劣な対応を評価するのは驚き。全くこの国民は甘い。だから北朝鮮に拉致されるのだ。アベは事件発生後から「テロには屈しない」と声高に叫んでいたが、これは当たり前で別に自慢できるほどのものではない。むしろ事件発生後のアベの態度は、筆者には背後にいるアメリカ大使館の命令としか聞こえない。
 ISをここまで増長させた原因はアメリカ、特にオバマの優柔不断である。キャロラインだってオバマ一派だからオバマを批判出来ない。だから責任を日本に押し付けようとしているだけだ。また昨年夏以来日本人がISに拘束されているにも関わらず、日本政府が何もしなかったのも、アメリカが判断を誤り、誤情報を伝えていた可能性がある。その結果、日本側は問題について、高をくくっていたのだ。だからといって日本側が免責されるわけではない。敗戦以来何から何まで、外交安保をアメリカに頼ってきたツケが廻ってきただけである。
(15/01/26)

 イスラム国人質で遂に最初の犠牲者が出た模様。今回の事件について、本日ロイターは日本政府の一連の対応に関する分析を紹介しています。要点をまとめると
1)危機意識が低かったか、或いは全くなかった。
 そもそも人質二人が拘束されたのは昨年10月には判っていた。しかし日本政府はそれに何の手も打たなかった。
 今回の首相中東歴訪についても、政府・官邸がISや事前に人質について検討したフシはなかった。話題にも上らなかった
2)中東訪問国の順序を間違えている。
 もし中東和平に貢献する気があるなら、イスラム原理主義者にも影響力を持つトルコを優先すべきだった。ところがアベはエジプト、イスラエル、ヨルダン等パレスチナ問題に直接関係する国を優先している。これは過激派を刺激してしまった。
3)対ヨルダン2億ドル資金援助がISを刺激した
 そもそもこれをアラブと対立するイスラエルで発表したことが過激派を刺激した。東京であれば別だったかもしれない。おまけにヨルダンはISと対立している。アベとしてはこれを中東で発表することによって中東安定化に寄与し、積極的平和主義の意義を強調したかった・・・あわよくばノーベル平和賞も望める・・・のだろうが、逆効果になってしまった。これについては他の外国メデイアも同様の見方をしている。
 
 つまり日本政府はハナから人質を見捨てるつもりだった、と見られても仕方がない状況を、自ら作り出したのである(ノーベル平和賞はもう無理だな)。それが判っていたから、大慌てで各国に援助要請をして責任の分散を図ったのだろう。各国政府は日本政府の対応を稚拙と見ているだろう。
 
 自民党やアベは尖閣衝突事件を取り上げて、民主党政権の平和ボケを批判してきたが、自分自身もっと平和ボケだったことを露呈してしまった。上記1)〜3)は結局、政治家や官僚の危機管理能力の問題である。この平和ボケの源流は外務省や岸家に伝わるアメリカ安全信仰なのである。
 韓国は永年中国に事大して身の安全を図ってきたが、外務省・自民党・岸家のアメリカ事大主義はそれに劣らぬものがある。
(15/01/25)

本日昼の某テレビワイドショー。イスラム国にコンタクトを持つと言うあるジャーナリスト曰く「昨年8月以来(自分が把握している情報では)ISが人質二人に危害を加えるという懸念は無かった。ところが二日前いきなり態度が変わった。その理由は自分には判らない」。
 しかしワタクシ達にはなんとなく判る気がする。それはアベ晋三がいきなりイスラエルに行って対アラブ強硬派のネタニヤフと会談し、日本イスラエル関係強化を強調したり・・・・これなどイスラム強硬派に喧嘩を売っているようなモノだ・・・、ヨルダンやイラクなど反IS国家への資金援助を発表したりしたからだ。幾らこれは人道援助だなどといっても、それが通用する相手ではない。”敵の敵は味方”、”敵の味方は敵”という論理なのである。第一人道援助といっても、アラブ国家がそれを人道目的だけに使うとは限らない。
 だからワタクシが一番不思議に思うのは、アベ中東歴訪に際し、外務省が相手国や周辺諸国にどんな根回しをしたのか?アベにどんな情報を伝えたのか?である。
 とにかくアベのイスラエルにおける唐突発言が今回の事件の引き金になったのは間違いない。事件発生後のアベと政府の、なりふり構わぬ慌てぶり・・・か、ただのパフォーマンス・・・はその所為なのである。とにかく自分の失敗を、人道主義だの反テロなどという綺麗ごとのオブラートで包んで誤魔化そうという腹なのだろう。まあみっともないとしか言いようが無い。所詮経験不足のお坊ちゃん政権だ。
(15/01/23)

  去る2004年にもイラクで日本人が武装勢力に誘拐されたことがあった。このとき国内で吹き荒れたのが「自己責任論」あの時最も声高に叫んだのが佐々淳行。ころが今回は、佐々もアベ官邸もマスコミも何にも言わない。国士佐々淳行よ何処へ行ったのだ?一貫しとらんねえ。テレビワイドショーにも招かれていない。もはや過去の人物なのだ。
 
そもそも人質二人が拘束されていたのは、昨年10月から判っていた。ところが政府も与党も、それには何も触れずほったらかしにしていた。そのツケが今回きたのだ。アベも外務省も、うっかり自己責任論など出せばトバッチリが懸かってくるかもしれない。それは即内閣支持率低下に繋がる。これはまずい。この際何も云わないのが得策だと、はげネズミ(菅義偉のこと)がささやいたのだろう。その結果、自民や保守系マスコミにもバイアスが懸かってしまった。
 
さて今後の展開だが、交渉次第ではナントカなる可能性もある。何故ならISの目的は明らかに金だ。人質ビジネスの場合、人質を殺してしまえば何にもならない。それとISと言うのは元を糾せば砂漠の盗賊団。騎馬民族の流れだ。騎馬民族と言うのは交渉をしたがる。アッチラもそうだったし、サラデンもそうだった。但し彼らの交渉術は数1000年の歴史と経験をもっているから、日本人がうっかりかなう相手ではない。現地に信頼できる交渉コンサルタントでもいれば別だが。
 ISの戦闘能力だが、ワタクシは大したことはないと思っている。戦闘員1万人と云われるが、大部分は戦闘経験のない外国人、要するに烏合の衆なのだ。多分ドラッグを吸わせて戦闘に参加させているのだろう。又ISを支援する国も無い。と言うことは武器は政府軍から奪うか、密輸入しかない。政府軍が保有する武器には限度があるし、密輸の場合は対価が必要だ。その原資はこれまでは石油密売だったが、このところの原油安でそのルートも危ない。と言うことでISが今後拡大出来る要素は殆ど無い。

 
では何故ここまで勢力を広げられたか?それは政府軍が弱かったからだ。慢性的な腐敗で軍隊規律が劣化し、士気も衰えていた。そこにISなどと言う凶暴集団が登場するとみんなびっくりしてしまう。ISはその隙を突いたのだ。更にIS側はそれを恐怖宣伝に使ったと思われる。自分の力を誇大広告して相手を怯ませ、戦わずして勝つ。これはユーラシア騎馬民族の常套手段で、アッチラもモンゴルも使った。しかし、住民は彼らを恐れこそすれ、信頼はしていない。
 従ってこういう相手に対しては、何処かに兵力を集中し劇的勝利を演出することが重要である。これは目に見えない空爆よりは、目に見える地上戦の方が効果がある。そうすれば一気に形勢は逆転し、今度はIS側が住民によって皆殺しにされることになる。例えば1410年タンネンベルグの戦いでのドイツ騎士団の敗北は、中世ヨーロッパ政治環境を変えてしまった。戦術的勝利が戦略的勝利を得た例である。
 これに重要な役割を果たすべきは、やはりアメリカである。何故なら現在の中東不安定化に一番大きな責任を持っているのは、アメリカ・・・・ブッシュとライスとチェイニーとランド研究所の所為だが・・・なのである。問題はオバマが今なお海外派兵に優柔不断だということだ。
(15/01/22)

 アベの中東訪問にタイミングを合わせたかのような、イスラム国による人質殺害予告と身代金要求。なんとなくアベ自らが火種を撒いた感はする。昨今の原油安でISが資金難に陥り、資金目当てに脅迫に及んだという観測もあるが、それならなおさら、ことは慎重に運ばなくてはならないのだ。
 そもそも今回の中東歴訪の意味・目的がよく判らない。「積極的平和主義」実現のために一肌脱ごうとしたのか、単なる・・・国連安保理常任理事国目当ての・・・国際ばら撒き外交か?しかし中東問題はアメリカが動かなくてはどうにもならない。そのアメリカも上下院が共和党に占められているからオバマも身動きできない。つまりネタニヤフの云うがままだ。日本など何も出来ないのが現実。というより、何にもしないほうがマシだ。何故なら当事者同士がにらみ合っている処に、日本という門外漢が乗り込んだところで問題を混乱させるだけだからだ。
 日本とイスラエルとの間に何か特別な関係でもあれば別だが、そんな要素もない。そんなところにうっかり乗り込んで余計なことを言ったばっかりに、とんでもないトバッチリを受けたようなものだ。
 さて問題は今後の展開である。やり方によっては内閣が吹っ飛ぶ可能性もある。と言うことで今後の内閣支持率の変化に注目。
(15/01/21)

イスラム過激派テロに対し、フランスでは370万人もの反過激派デモが行われた。ここには各国首脳が集まったといわれるが、特徴的なのは東南アジアイスラム国家が参列していない*。アメリカも大物は出していない。日本は全く出していない。
 ここで思い出させるのは、故ケネデイ大統領が暗殺されたときの葬儀である。このとき日本は大使レベルで済ます予定だったが、英仏が首脳まで出すということで、慌てて池田首相が駆けつけたというみっともないう醜態があった。ここに今の日本外務省の無能振りがよく見える。昨年くたばった外務省OBの岡崎久彦など、その無能外務官僚の典型だろう。
 今回もそうだが、アベはいきなり中東訪問を発表した。一体何しに行くのか?中東歴訪はおそらく数ヶ月前には決定」されていたはずだ。今回の事件とは何の関係もない。目的は石油天然ガス輸出の円滑化である。ところが、このところの原油安でこんなもの何の意味も無くなってしまった。しかし、重要なことはこれだけ緊迫している中東地域で、何を発信するかだ。
*代表的なのはマレーシアやブルネイです。これらは王国です。イスラム原理主義者は王国を認めない。従って王は国内支持を得る為・・・言い換えれば命が惜しいから・・・に原理主義者に媚を売るのである。
(15/01/13)

 フランステロ犯は三人が射殺されてひとまずは落着。但し未だ一人が逃亡中。この事件、なんだか今のヨーロッパの問題を表しているように感じられます。
1、事件が起こってから解決まで三日間を要している。同日午後には犯人は特定されており、様々な目撃情報から犯人の逃亡経路も判っている。それにも関わらず人質を採って立て篭もりを許している。犯人を射殺するチャンスはもっと前にあったはずだ。アメリカやロシアなら有無を言わせず強行突破する。なんだかフランス政府は事件早期解決に躊躇し、結果として後手後手に廻った感がする。解決方法について政府内で意見の一致を見るのに手間が懸かったのか?これが・・・日本もそうだが・・・左翼政権の弱点だ。
2、犯人は機関銃だけでなくロケット砲まで持っていたという。こんなもの幾らヨーロッパでも簡単に一般人が持てるものではない。おそらく地下武器密売ルートがあるのだろう。一つはイタリアマフィアを介したアフリカ・近東からの地中海ルート。もう一つはロシアマフィアによるロシア・東欧ルート。銃はAKを使っているからどちらとも云えない。
3、流通経路があるということは売る連中がいるということだ。何故ならイスラム過激派が発生するのは北アフリカから中東・中央アジア。これらの地域は伝統的に騎馬遊牧民族地域である。彼らは原則として自分でモノは作らない。モノ作りは下層階級の仕事と考えているからである。だから武器は必ず何処かから奪うか買うかである。何処が売っているのか?北朝鮮やロシア・中国・ウクライナは大変疑わしい。西側先進国はまず武器供給源を突き止め、それをシャットアウトすることが重要である。これが国単位であれば、経済制裁も惜しんではならない。
4、犯人はとりあえず逃げようとしている。ということは逃げられる可能性もあったわけで、逃亡を手助けする地下組織があるということだ。実はこれはヨーロッパでは歴史があって、例えば第二次大戦後ドイツ崩壊に伴って、ナチ残党の多くがこの組織を使って南米に逃亡している。映画「オデッサファイル」はこれを描いたもの。それを請け負うのがイタリアマフィア。
5、実はこれは人事ではない。アジアでも東南部にはイスラム国家が多い。インドネシアやマレーシア・ブルネイなどである。これらはこれまで世俗主義を採ってきた。ところが最近風が変わってきて、マレーシアやブルネイでは原理主義的政策を採るようになってきた。イスラム法は他宗派にも及ぶという思想である。原理主義団体による脅しだろう。例えばこれらの国に観光に行くとき、女性はスカーフを被らなくてはならない。ラマダン月では日本人でも断食をしなくてはならない。酒をのんではいけない。もしこれらイスラム法に背く行為をすれば,たとえ仏教徒でも逮捕されるということだ。
 こんなことをやったのでは日本人観光客が激減する。それでもやろうというのは、資源が豊富だから、日本人も言うことを聞くだろうという思い込みである。
(15/01/10)


 フランスでイスラム過激派のテロがおこったかと思うと、アメリカNYではヘッジファンド創始者のギルバートが射殺された。フランステロはイスラム過激思想によるものとされているが、その背景には現在の世界を覆っている新自由主義経済への反発がある。
 この傾向は日本にも及ぶのは当たり前。竹中平蔵とか日銀黒田、さらにはアベ晋三などはテロの対象となって当然。むしろそれもせずに自民党ポチ化した弱虫意気地なし脳なし日本右翼など無いほうがましだ。
(15/01/08)

 フランスでイスラム過激派による大量殺人事件が発生。犯人は「イエメンのアルカイダ」と名乗っているが嘘か本当かは判らない。組織的バックもあるかどうか疑わしい。本人達の突発的行動の可能性もある。では何故こういう事件がおこったのか?それはフランスがこれまで植民地にしてきたイスラム地域からの移民を安易に使い捨てにしてきたからである。特に酷かったのがサルコジ保守政権時代だろう。同じようなことをやってきたのがドイツ(トルコ人)、そしてアメリカ(メキシコ、ヒスパニック系)である。これら欧米各国は目先の利潤のみを重視し、その陰でテロリストを養成・・・IS戦闘員の最大供給国はフランスである・・・・していたわけだ。今その報いが今やってきたということだ。
 翻って我が日本ではどうか?経団連始め保守系政治家や改革派経済学者が主張するところは、今後の日本の人口減を見れば移民を増やすべきだという意見が多い。これは従来の欧米と同様の、人間をモノ・金に換算する発想である。つまり彼らはこれまでの欧米の失敗を、日本で繰り返せというわけだ。誰が音頭を取っているのでしょうか?ワタクシは竹中平蔵という木っ端学者、それに洗脳された経団連やアベ政権の仕業と考えています。
 このような安易にして理念・哲学の無い政策を実行すれば、、日本はいずれフランス同様テロリスト輸出国家になってしまうだろう。さて今は日本が縮小均衡政策を採って安定国家を目指すか、テロリスト輸出国家になってしまうかの分かれ目のときだ。
(15/01/08)

 マララのノーベル平和賞授賞式に、パキスタンタリバン運動TTPが殺害予告をしたので、ノルウェー政府は大慌て。ノーベル賞の歴史にかつてない厳戒体勢を採る羽目に陥った。さてこのTTPなるもの一体何者か?これを含め例のイスラム国ISISやイエーメンアルカイダ、西アフリカのポコファラムなど、イスラム原理主義を名乗る集団が暴威を振るっています。さて彼らは本当にイスラムなのでしょうか?
 千夜一夜物語やオスマン帝国時代の様々な法令、更にはローマによって滅ぼされたギリシア文明をアラブイスラム世界が伝えてきたことでも、イスラム世界は西欧よりズーット洗練された社会を作ってきたことが判ります。中世十字軍世界ではイスラム世界より、西欧カトリック世界の方が遥かに野蛮で暴力的だったのです(塩野七生や曾野綾子のような十字軍オタクとは若干見解が異なりますが。
 筆者の見方では、上に挙げたイスラム原理主義集団は、イスラムの名を借りたイスラム以前の部族主義の復活です。ムハンマドはこの部族暴力主義を抑えるためにイスラム主義を創造し、その後継者もそれを伝えてきた。
 ところが近年になってそのシステムが崩壊し、旧い部族暴力主義が復活してしまった。誰がシステムを崩壊させたのか?それはアメリカです。まず手始めが70年代のイラン革命です。これまで対米追随主義だったパーレビ王朝が、石油収入の増大を背景にアメリカと距離を置き始めたのが発端です。これが第二次オイルショックで、このときアメリカ(フォード時代」)は、パーレビを倒すためにイスラム原理主義のホメイニを祀り上げた。このホメイニが反米イスラム原理主義を世界に撒き散らしたわけだ。世界はイスラム原理主義とはどういうものかよく判っていなかったのでしょう。
 次はイラン/イラク戦争です。このときアメリカ(レーガン政権)は、何を勘違いしたのか、イラン憎しでイラクに肩入れし過ぎてしまった。その結果イラクのサダムの力が強くなりすぎた。それが怪しからんと言うので、ブッシュ親子でサダムを倒したが、逆に出てきたのがアルカイダ系やISISのような過激組織。
 つまりアメリカがその場その場で、自分の都合の良いように動くたびに、このような暴力集団が生まれてくるのである。だったらアメリカが一切から手を引けば世の中が平和になるか?とんでもない。エボラウイルスと同じで、これら過激主義は天敵がいないと見ると無限に増殖する。とんでもない世界になる。現にマレーシアやブルネイなど、従来世俗主義だった東南アジアンイスラム国家まで、原理主義者の威しに屈してイスラム法の実施を表明している。これらの根源にアメリカアングロサクソン原理主義があったのである。
 西欧の格言に、自分が撒いた種は自分で刈り取らねばならぬ、と言うのがある。従ってアメリカは逃げることは許されない。父親が作った借金は息子が返さなくてはならない。これは世間の常識だ。さてこんな単純なこと、今のアベ政権や外務省がアメリカに対して言えるでしょうか?
 では何故今頃になって、原理主義=部族主義が復活したのでしょうか?部族主義とはユングの言う集合無意識が現実化したものと考えれば判り易い。集合無意識とは人間の持つ潜在意識が、地域・組織或いは部族(民族)単位で結合したものである。


(14/12/10)

 最近危険ドラッグによる犯罪や事故の多発がよく報道されますが、これは日本だけのことでしょうか?アメリカやヨーロッパでよく起きる銃乱射事件も、ひょっとするとこれが原因かもしれない。オランダではハーブの吸引は合法化されている。もっと危険なのは、イスラム国戦闘員がこれを吸引し、そしてその原材料が中国南部で生産されているということです。
(14/11/05)

 昔、ソ連東欧崩壊のとき、これで歴史は終わったと宣ったアホなアメリカ人歴史学者がいた。ワタクシはその逆で、歴史は逆転すると考えた。実際起こったのはそのとおりである。現在顕著なロシアの帝国主義的行動は、19世紀帝国主義への逆戻り。中国の権威主義的政策はかつての中華帝国主義への逆戻り。韓国朴クネの中国接近政策は、かつての李氏朝鮮か古代新羅の朝貢政策の再現だ。
 最近明らかになったイスラム国のカリフ制や奴隷制復活などは古代社会への逆戻りだ。実は人間は時代とtもに堕落してきた、古代の理想社会へ戻るべきだ、という考えはプラトンの昔からあるので別に珍しいことではない。ヒトラーの人種論も、日本右翼の主張もこれの一種である。又、経済のグローバル化にともなう短期利益中心主義はマネー主権性という一種の奴隷制を生み出した。
 さて社会が古代奴隷制社会に戻ったとして、その次にはどんな社会が待っているでしょうか?最も悲観的なシナリオは、ジャングル社会に戻ることで、そこを支配するものは虎でもライオンでもなく、エボラのような未知のウイルス。これによって今の人類の大部分は絶滅し、ウイルスに対する耐性を獲得した種のみが、次の世界に君臨する資格を得るでしょう。
(14/10/16)

「おろかな善人のおろかな行為によって悪が世界に撒き散らされた」これはロマン・ポランスキーの「ドラキュラ」のメッセージです。
 秋葉原の古本屋のポスターを見てIS戦闘員参加を希望した大学生が出た。他にも居るかもしれない。20年くらい前に、サラマン・ラシデイの著作を翻訳した筑波大教授が何者かに殺された事件があった。これと今回の事件とに直接関わりはないだろうが、相当昔から日本にもイスラム過激派のネットワークが侵入していたということだ。
 イスラム教徒のコロニーといえば、昔は新宿から新大久保辺りだったが、いまでは麻布・赤坂は当然、相当広く浸透しているということだ。東京に行くときは用心用心。
 さてこの大学生の動機。まだよく判らないが、一つは在日イスラム教徒による洗脳・リクルート。もう一つが書店に並ぶ軍事マニア雑誌。このパターンは殆どオウム真理教事件とそっくり。オウムのDNAは消えていない。もう一つの軍事マニア雑誌の影響も馬鹿に出来ない。これは結構売れるのである。それと編集者が概ね防衛省とか軍事産業出身者。これらはあまり後のことを考えないのである。その結果がこういうマニアを作ってしまったのだ。

 さて冒頭の「おろかな善人」とは誰でしょう。それはG・W・ブッシュのことです。
(14/10/07)

 とうとうアメリカがIS拠点を空爆。世間一般にはこの効果は限定的で、長続きはしないという見方が優勢。筆者もそれに反対する訳ではないが、結構大きなダメージを与える可能性があると考える。
 まず対IS戦は従来の非対称型戦闘とは異なるということである。かつてのベトナム戦争やその後の第三次アフガン戦争、21世紀に入ってからのタリバンやアルカイダ相手の戦争の場合、相手の実体が見えない。タリバンやアルカイダは指導者はいても組織がない。組織はあってもアメーバのようなもので、切ってもも切っても後から生えてくる。これが従来型非対称型戦闘である。
 一方ISは旧バース党とイラク軍をベースとする政府を持ち、地方組織および統治機構を有している。タリバン型に比べれば遥かに効率的で且つ剛な組織である。この”剛な”というのが曲者で、例えば頭を刎ねるとか、腕をへし折るとかすればたちまち全体の機能が麻痺する。また、強力な統治機構というものは、必ずその中に官僚機構が生まれる。官僚というものは必ず派閥を作り、権力闘争を始める。アラブ人は常にそうだった。ということは、対IS戦には非対称型ではなく、従来型を適用出切ることになる。
 従来型戦闘と考えると、かつての第二次大戦や朝鮮戦争を思い起こせばよい。つまり直接戦闘よりは戦略爆撃によって、相手の生産能力・経戦能力を奪い、その後地上戦に移るという手段が最も効果的である。また、ISは恐怖によって人民を支配しているだけだから、恐怖の源を物理的に断ち切れば、人民の支持も得られる。
 ただしこの戦略は効果が出るまで結構時間がかかる。このとき関係国政治家が功を焦って・・・例えば選挙目当てに・・・足を引っ張る可能性がある。アメリカは来年には、大統領選前の予備選挙が始まる。候補者の足を引っ張るために、トンデも発言をする議員が出ないとは限らない。ISだけでなく自国政治家の言動・行動にも、十分注意4する必要がある。
(14/09/25)



これはガザからイスラエルに向かう攻撃用トンネル。円形コンクリート製だから、シールド用セグメントに間違いない。北朝鮮製とも云われる。一昨年倉敷で起こったシールド崩壊事故のセグメントは一時韓国製と云われたが、日本製であることが判明。ここでの土被りは平均20m程度、おまけにイスラエルから爆撃も受けている。だが、セグメントに何の損傷もない。それは何故か?地山が持つ力を上手く利用すれば、こういうことも可能なのである。倉敷はそれを怠ったのである。
(14/09/03)

 イラクでアメリカ人のジャーナリストが二人過激派に捕まって、一人は殺された。もう一人だって危ないものだ。これに対し、西側諸国は非難声明を出している。非難の根拠は戦場に於けるジャーナリストの権利の保障条約だが、これは欧米人が勝手に作った、欧米人のための条約。肝心のISILは欧米の制度を否定しているのだから、こんなもの何の役にもたたない。
 問題の背景には、紛争地域に於ける記事や映像が、高値で取り引きされる市場が形成されていることである。従って責任の第一は、この様な市場を作ったメデイアが負うべきであって、それを政府(国民)に押しつけるべきではない。
 この様な市場形成は様々な点で現代社会を歪めている。脱法ハーブや児童ポルノ、個人情報の違法流出など、怪しい産業が出回るのは、そういう怪しい商品を取引する市場があるからだ。これを無くさない限り、テロや犯罪は無くならない。少なくとも減少しない。
(14/08/21)

 シリアで過激派に捕まった日本人は、実は軍事会社を経営していた。つまり地域紛争を金儲けの種にしていたわけだ。さてこれは誰の責任か?思い出すのは13年前のイラク戦争時の日本人拉致事件。彼等はNPOで被害者援護を行った。そのNPOが部族集団がに捕まったときに、日本世論はマスコミを含めどうだったか!自己責任だ。その基準に従えば、このアホも自己責任で処理すればよい。もしうっかり身代金でも払えば、ISILはそれを宣伝する。そうなれば、集団的自衛権など吹っ飛んでしまう。何処の世界に、テロリストの脅しに屈して気能代金を払う、馬鹿国家と集団的自衛権を結ぶお人好し国家がいるのか!
(14/08/18
)

 中東ガザ紛争の行方が混沌。原因はイスラエル保守派にある。ネタニヤフは問題の根本解決まで軍事手段を止めないと宣言。これにアバマもケリーもお手上げ。根本解決とは何かと言うと、エジプトとガザを結ぶトンネルの全面破壊と言うことらしい。ダムや橋梁の破壊なら判るが、トンネルの破壊とはどういうことでしょうか?
 トンネルはそれ自身地盤を破壊して築造されるものである。破壊された物を更に破壊する、とは技術的には大変矛盾した行為である。イスラエル軍が現地でどのような作業をしているのか知らないが、例えばトンネルに爆薬を詰め爆発させる。すると周囲の岩盤が崩壊して坑道に落下しトンネルを塞ぐ。これを破壊と云っているのかも知れない。しかし、崩壊した部分の外側には新たな空洞が出来ているのである。これを使えば連絡は幾らでも出来る。又中東の地山の特性を考えれば、仮にトンネルを破壊しても、その脇や下に新たなトンネルを掘削する事はそれほど難しい事ではない。更に崩壊した土砂を発泡モルタルやウレタンで充填するとか、岩盤接着工法を利用すれば、その中に新たなトンネルを掘ることも不可能ではない。SHとかオーガーモールを使えばφ700o位の空洞は作れるので、人員・食糧・武器弾薬の輸送にはことかかない。日本のゼネコンならやってしまうかも知れない。
 つまり、イスラエルとネタニヤフのやっていることは矛盾の再生産なのです。そしてそのネタニヤフ政権を支持しているのが、他ならぬアベ政権
 トンネル位置の探知だが、これはそれほど難しくはない。無人偵察機に高精度の重力計や磁気探知計を積めば、相当の精度で探知は可能。レーダーを使えば可視化も可能。その結果は、破壊したはずのトンネルの廻りに、新しい空洞が出来ているから、がっかりするでしょう。
(14/08/03)

 イラク北部に発生したイスラム原理主義組織がカリフ制に基づく新国家樹立を宣言しました。カリフというのはイスラム国家でも大したものではない。そもそも中世でカリフというのはスンニ派地域で行われていた称号で、シーア派地域には通用しない。それもカリフの権威が通用したのはせいぜい十字軍戦争前半まで。後半になるとエジプトのマメリュークの方が強くなった。その後、オスマントルコ時代にはスルタンの方が強くなって、カリフなど名前だけの下請けになってしまった。カリフ復活とは、日本で云うと平安時代の摂政関白が実権を握るようなものである。この極端な復古主義が、今のイスラム原理主義運動の本質である。
 この手の復古主義が今力を持っているのは、イスラム世界だけではない。ウクライナの親ロ派や、日本の靖国派も似たような物だ。それが国家レベルに達したのが中国である。復古主義と言うのは決して長続きしない。内部分裂を起こして自滅するのがオチだ。
(14/07/26)

 シリアの化学兵器処理にえらく積極的なのが中国とロシア。中でも中国は要員や処理船舶を派遣するなど、ひときわ目立った行動。麗しき国際協力と云いたいだろうが、ズバリ云えばシリアに化学兵器を永年供給してきたのが、中国ということを自らばらしているようなものだ。化学兵器と云っても色々ある。それによって処理の方法も異なる。もしNATOが処理を行えば、中国の技術レベルがみんな判ってしまう。それはイカン、と言うわけで内々に処理してしまおうという腹だろう。
(14/01/06)

 日本政府は南スーダンで自衛隊が韓国軍に供与した5.56o弾丸は、現地では日本自衛隊にしかなかったと云うが、信じられない。5.56o弾はNATO共通仕様で、韓国軍は勿論、欧米から軍事援助を受けたり、同盟関係にある国はみんな持っている。南スーダン軍自身、この弾丸を所有しているはずである。
(13/12/30)


政府が南スーダンの韓国軍に銃弾の供与を決定。それもたった1万発だ。何と、韓国は銃弾の製造も出来ないのか、と驚くだろうが、これはアベシンゾーの集団的自衛権、積極的平和主義の実績作りのためのパフォーマンスに過ぎない。韓国側が要請したのではなく、日本側が押し込んだ、と言うのが実態だろう。
 韓国軍は受け入れを承認していると云われるが、政府特に大統領がどう出るか判らないし、韓国世論の反発も予想される。
 そもそもアメリカでさえ撤退を考慮するほど、急激に事態が悪化している南スーダンに、韓国軍が何時までも駐留しているとは思えない。銃弾が届いた頃には、韓国軍も撤退しているかも知れないのだ。その前に韓国政府から断られる公算の方が大きい。国際的大恥だ。アベは弾丸を供与する替わりに売春婦像を撤去せよと要求すべきだ。日本が銃弾を供与せずに韓国兵が死んでも、自業自得。世界から韓国人が一人でも減れば、それだけ世界は清潔になる。
 韓国人を助けるために、日本が協力するなんて!反韓ネトウヨよどうする?!

 政府は現地の韓国軍から国連に弾薬供与をの依頼があって、国連が各国に問い合わせたところ韓国軍仕様に会う弾丸が日本にしかなかった、と説明しているが、そんなこと信用できますか?仮に日本が自衛隊をPKOに派遣したところ、銃弾が韓国製しか使えなかった、なんてことはあり得ないでしょう。
(13/12/23)

 オバマのシリア攻撃は、13'予算を通すための議会対策だろう。今アメリカは、ホワイトハウスと議会がねじれ状態。予算案を通すためには、共和党の協力が不可欠。その共和党がシリア攻撃に積極的。その理由は、石油メジャーとユダヤ社会が共和党に圧力を加えているからである。
 イラク戦争でアメリカはイラクの石油利権を握った。しかし未だ不安定である。ペルシャ湾ルートには、イランの脅威がある。北方ルートの石油パイプラインは途中のシリアが、反米反イスラエルのアサド政権に握られている。おまけにシリアには、ライバルのロシア・中国の投資が活発だ。下手をすると、北方ルートを中ロに握られてしまう恐れがある。これをなんとかせねば。そこに偶々出てきたのが、化学兵器使用説。
 一方イスラエルの場合。エジプトの民主化革命で誕生したモルシ政権。これが思った以上に反イスラエル的で、ガザへの回廊を開放するなど、一々イスラエルにとって勘に触ることばかり。これは軍部ルートを通じて追い出したものの、暫定政権も民意を恐れて、前のムバラク政権ほど親イスラエル的ではない。南の国境が不安定になれば、北の国境防衛を強化しなくてはならない。幸い中東で沸き起こったのが民主化革命。これを逆利用して、この際アメリカにアサド政権を打倒させ、北方背後の安全を確保する。北方を確保さえしておけば、何時でも南方への侵攻は可能になる。
 さて、こんな画に描いた様に上手くいくでしょうか?シリアを確保しても、北方ルートはトルコ領内のクルド人地域を通過しなくてはならない。元々不安定な地域だ。この中にイスラム過激派が侵入してくれば、ルートの安全は確保されない。
(13/09/01)

 シリア攻撃を前に思いも掛けぬ世論の反発。狐疑逡巡立ち惑うのは英米仏政府。彼等は化学兵器使用の証拠がある、というがこれが未だ弱く、噂のレベルを越えていない。噂で騒ぐのは、アホマスコミだけ。
 イラクの時も、未だ国連調査団が結論を出していないのに、パウエルは国連安保理事会で「これが証拠だ」と、トレーラーの衛星写真を出した。ワタクシはあれで「こりゃダメだ」と思った。あんなボロトレーラーで、サリンなどという危険物質を作れる訳がない。事実はワタクシの思った通り、大量破壊兵器など無かったのである。今回も国連調査団の結論を待たずに、アメリカはやろうとしている。圧力を掛けているのは共和党。背景にランド研究所の唆しと、石油メジャーの臭いがある。マケインはそのポチだ。頭が悪そうな顔をしているからねえ。
 この原因はアメリカの情報収集・分析能力の低下・劣化である。ウイキリークスや契約社員に、重要情報を簡単に抜き取られるようなお粗末な体制で、その結論が信用できますか?これは福島原発事故で、東電の発表が信用されないことと同じである。
(13/08/31)

 アメリカのシリア空爆容認。 昔からの経緯を見れば、ボスニア問題以来、米軍は巡航ミサイルを使用する機会はなくなった。アフガンでもそうで、もはや巡航ミサイルを使うターゲットはなくなった。と言うことで米軍需産業には在庫が溜まってきた。
 そこで偶々出てきたのがシリアのアサド。化学兵器など、あろうが無かろうがどうでも良い。ロッキードやノースロップの在庫調整のための理屈さえ作れれば良いのである。そのために働くのが、アメリカ合衆国議員であり、大統領なのである。なお対シリア軍事介入に最も積極的なのはフランス。そういえばシリアはかつてフランス領地。アサド後の利権確保を狙っているのだろう。とんだキツネだ。リビアのジャスミン革命の際、最も強く軍事介入を主張したのは、元宗主国のイタリア。帝国主義・植民地主義のDNAは無くならない。
 そういえば、来年はアメリカ中間選挙。その前と最中は世界は忙しく、且つ物騒になります。
(13/08/28)

 エジプト状勢でEUは現暫定(軍部)政権批判を強め、一方サウジや湾岸諸国はモルシ派批判を強める。モルシ派(イスラム同胞団)の中に、アルカイダが潜り込んでいるのはあきらかである。それも判らずに、形だけの軍事弾圧を根拠に、暫定政権を批判するEUは、アホと臆病者と中途半端の塊。こんなもの、さっさと解体した方が世の中のためだ、とも思うが、EUを解体すると、ユーロは紙屑。マルクやフランが出てくるのに数年はかかる。そこで起こるのが突出的円高。これは困るから、アホはおだてて上手く使うしかないだろう。
(13/08/18)

 パキスタンで中国人を含む外国人10人が何者かに殺害された。内訳は中国人3人、ロシア人1人、ウクライナ人5人、パキスタン人ガイド1人。これだけ見ると、彼等の背景に何かきな臭いものを感じます。彼等は一体何をしにパキスタンにやってきたのか?核ビジネスか?ミサイルや兵器の売り込みか?タリバーンとの連絡か?どのみちその類だろう。この三カ国は現在世界の兵器輸出国ビッグ5に入っている。
 彼等を殺ったのは誰か?アメリカかイギリスのエージェントの可能性もあります。007の世界だ。

(13/06/23)

 昨日13/03/20はイラク戦争開始10周年。開戦理由となったイラク大量破壊兵器について、当時コイズミ内閣官房長官だった福田康夫は、全く情報が無かったと知らぬ存ぜぬ一点張り。本当でしょうか?ワタクシは始めから半信半疑だった。特に国連総会でパウエルが、イラク大量破壊兵器製造の証拠として出した衛星写真を見て、これはないと思った。あんなポンコツトレーラーで、サリンやVXガスのような危険なものを作れるわけがない。オウムサリン事件を経験した日本人なら誰でも判る筈だ。開戦2週間後に、筆者はイラクに大量破壊兵器は無いと断定したが、アメリカがそれを認めたのはそれから4年後である。日本政府もアメリカに従う形で、渋々それを認めた。
 アメリカ政府は本当にイラクに大量破壊兵器があると信じていたのだろうか?そんなことはどうでも良く、イラク原油の利権を確保するために、イスラエルやメジャーと結託して無理矢理戦争をはじめたのではあるまいか?筆者は当初からそういう疑いを持っている。私のような大阪府高槻市に陋居する一介の市井人でさえ、それぐらいのことは判別出来るのだから、いやしくも日本国政府の中枢にある官房長官がそんなこと判らない筈がない。情報を知っていて握りつぶして、なおかつ知らぬ存ぜぬではこれは嘘つきである。又、政府が保有する莫大な外交予算や官房機密費を使っても情報が得られなかったとすれば、これは無能を通り越して税金泥棒というべきである。泥棒した税金は何処へいったのか?ブッシュとその周辺か?それとイラク戦争を主導しアメリカを経済的破滅に追い込んだ戦犯二人、コンドリーサ・ライスとチェイニーは何処へ行ったのだ!アメリカ人はこの二人を戦犯裁判に掛けるべきである。
(13/03/21)

 フランスのマリ介入に関し、ロイターだかワシントンポストだかに「フランスの失敗」という論文が出た。要旨は「フランスは単独では騒乱を解決出来ず、アメリカに後方支援を頼んだ」。果たしてこれが失敗と云えるでしょうか?フランスが単独で介入したところ、武装勢力の抵抗が激しく、押し返されたのでアメリカに援助を要請した」なら、フランスに判断ミスがあったと云ってもよいが、作戦は順調に進んでおり、先週には北部の要衝を奪回した。また、アメリカの後方支援は事前にフランスとの協議に基づくものであって、慌てて泥縄ではじまったものではない。
 どこを見ても失敗とは云えないのに、アメリカ人は何故これを失敗と見るのか?アメリカが失敗した対イスラム戦を、フランスが順調にこなしている事への妬みか?それなら判る。アメリカ人は、結構他人の成功に嫉妬するのである。
(13/01/31)

 アルジェリアの天然ガスプラント襲撃事件の実態は、アルカイダによる犯行というより、カダフィ派残党の巻き返しだろう。カダフィの私兵には、マリやナイジェリアなど西アフリカ出身の傭兵が多くいた。彼等の多くはカダフィ政権崩壊と同時に姿をくらまし、更に多くがアルジェリアなどの近隣諸国に逃亡した。昨年来からマリ北部を占領している、イスラム原理主義を名乗る集団はこれらカダフィ私兵残党と考えられる。今回の襲撃犯はイスラム原理主義を名乗っているが、本当にそうだろうか?そもそもカダフィはアンチ原理主義で、アルカイダなど弾圧の対象だった。ということは彼等だって本音のところ、イスラム原理主義ではないはずだ。ところがリビアを追われ行く先を失った彼等に、アルカイダがすり寄ってきた可能性は十分ある。「武器と資金を与える。その見返りに・・・・・」というわけだ。
 彼等が持っている武器がリビア逃亡時のものだけなら、たいしたことはない。しかしアルカイダが何らかのルートを造っていたとすると、ことは厄介である。サハラは広い、そしてアフリカの海岸線も長い。アルカイダ経由で、彼等に武器を供給出来る国があるとすれば、まず何と云っても意の一番が北朝鮮。それとウクライナもマークする必要がある。アメリカの銃規制が厳しくなれば、全米ライフル協会だって怪しいものだ。
(13/01/18)

 突然のアルジェリア人質事件。アベにとって最初の試練・運試し。直ちに東京にとって返すかと思ったら、本人はのんびりベトナム旅行。まあ、こういうことはこれから何時までも続く。そうなったときに、腹が痛くならないように。下痢止めの薬は幾らでもあるが、あまりこれにばかり頼ると、薬も段々効かなくなる。
(13/01/17)

 アメリカ人が作った反イスラム映画の所為で世界中に広がる反米騒動。おかげで駐リビア大使と領事館員ら4人が死亡。随分昔、サルマンナントカというインド人が書いた小説がイスラムを侮辱したとして、イスラム最高法廷は作者に死刑判決。本人はイギリスで護衛付きで逃亡生活。日本でもその日本語訳を手がけた筑波大学教授が殺害された。
 死んだ大使・領事館員の家族と合衆国政府は、映画作者とその宣伝マン、宣伝を配信したグーグルを相手取って損害賠償訴訟を起こすべきである。
(12/09/14)

 先月アラファト死亡原因にポロニウム暗殺疑惑が、アルジャジーラから報道された。そして、本日アラファト未亡人が被疑者不詳で、パリの高等法院に提訴という騒ぎ。ワタクシはこの事件、始めからイスラエル特に軍部の仕業と睨んでいました。ポロニウムという物質は大変特殊で、核兵器特にプルトニウム原爆の、核のタネの被覆材に使われる。一般に流通することはなく、国家の厳重な管理下に置かれる。ということは、この事件は国家レベルの犯罪ということ。
 当時パレスチナ問題に関係し得る国で核兵器を持っているのは、ロシアかイスラエルしかない。イランは未だそのレベルに達していない。ロシアは元々PLO支持だから除外される。残るのはイスラエルだけ。アラファトとネタニヤフが共同でノーベル平和賞を貰ったが、その後ネタニヤフはイスラエル極右テロに倒れる。その後イスラエルには極右政権が誕生、PLOとの対立が始まる。そして始まったのがインテイファーダと呼ばれる対イスラエル抵抗運動。この黒幕にアラファトがいると、イスラエル軍部は睨んだのだろう。そこで奴をやってしまえば問題解決と考えた。かつて日本軍部が、満州争乱の元凶は張作霖、これをやってしまえば問題解決と思ったのと同じレベル。
 ところがそれから10数年。アラブの春の訪れで、これまで恐イスラエル症候群でイスラエルペコペコ外交のエジプトが、態度を変えて来たのが誤算。
(12/07/11)

 アメリカ陸軍参謀大学(日本の自衛隊高等幕僚課程)のようなもの?)で、ある人物が、日本の原爆投下やドイツドレスデン無差別爆撃を例にとって、イスラム教徒にも無差別攻撃を仕掛けるべきだ、と講義して大問題。この人物、第二次大戦について全く勉強していない。大戦末期、日本もドイツも全く経戦能力を持っていなかった。原爆もドレスデン爆撃も余計な仕事で、戦争終結を早めるには全く効果は無かった、というのが現代の常識。
 では、こんな馬鹿げたこと云った本人は一体どんな人物でしょう?おそらくユダヤ人、それも原理主義的ユダヤ教徒。イスラエルのプロパガンダのために、わざわざこんな話しをしたのだろう。こういう偏った人物に講義させたという点に、米軍当局のセンスも疑われる。大統領選を控えて、保守系議員による押し込みもあり得る。日本でも戦前に軍部学校に皇道派学者が押し掛け講義をやって、将校・生徒を国粋主義に洗脳したことがある。その結果があの敗戦だ。
(12/05/18)

シリア反体制派の拠点ホムスが陥落。アサドは勝利宣言。これを聞いて、私はスペイン市民戦争を想い出しました。あの時も英米仏は何もせず傍観するのみ。ヒトラーのやりたい放題にさせた。しかし、市民義勇兵は参加した。今回はそれもない。スペインの敗北はその後のナチの勃興を促した。さて、今回は?幾ら何でもアサド独裁が何時までも続くわけはない。中国・ロシアの支援も当てにはならない。世の中行くところに行くのである。これが「全応力理論」なのだが、判っていない人が多すぎる。
(12/03/01)

 中国がシリア反政府組織を招いて何やら相談しているらしい。こんな付け焼き刃はやらない方がまし。当たり前だが、狙いは見え見え。相手に足下を見透かされるだけ。何しろ相手は名うてのアラブ商人だ。
(12/02/10)

 連日ニュース国際欄を賑やかせているのがシリア情勢。その中でも中ロ二カ国の鈍感振りが際だつ。彼等は未だ、リビアから何も学び取らず、相変わらず敵の敵は味方、という冷戦思考に浸っているようだ。
 リビア騒動では、反カダフィ派支援に消極的だった中ロや、カダフィに入れ込みすぎた韓国は、その後リビア石油市場から追い出されてしまった。シリアではアサドが国民を5000人以上も殺している。こんな政権が何時までも無事で居られるわけがない。いずれ新政権が産まれるが、それは反アサド派で占められるのに決まっている。彼等はアサド批判国連決議に反対したり、サボった国を決して忘れない。おまけに、この決議を提出したのは、なにも欧米だけではない。アフリカ連盟が深く関与している。シリアにも石油は出るし、アフリカ諸国は、中国が喉から手が出るほど欲しい地下資源産出国が多い。アサド失脚後、中・ロはアフリカ市場からも追い出されるおそれがある。中国の天下も風前の灯火。それも中国指導部が自ら招いたのである。胡・温は、目先の利害に囚われて判断をミスったな。
(12/02/09)

カダフィが殺されました。みんな独裁者の最後と讃えていますが、一体誰が彼を独裁者に仕立てたのでしょうか?独裁者になるためには、それにふさわしいカリスマ性が必要です。それだけでは独裁者にもなれず、40年間も地位を維持することは出来ない。そのためには、それなりの経済力と軍事力が必要です。に経済力を与えたのは、欧米石油資本軍事力を与えたのは、イタリア・フランス・エジプト・旧ソ連(ロシア)という、リビアと利権を共有する各国です。カダフィとその周辺はこれを裏切りと感じるでしょう。いずれ、復讐が始まるはずです。
 と、ロシアが予言している。まさか、ロシアが旧カダフィ派を支援して、ゲリラ戦を始めようというのではないでしょうねえ。
(11/10/21)


 中世以来、ユダヤ人はキリスト教徒に寄附して長らえてきました。但し、長らえたのは寄附が出来る資産家だけ。出来ないものはゲットーに閉じこめられ、最後はアウシュビッツに送られた。これこそ、ユダヤ的格差社会の象徴。
 NYから始まった反格差デモは全世界に飛び火しています。ソロスやパフェットなど資産家は、彼等に理解を示していますが、これこそユダヤ的二股膏薬。世間がどっちに転んでも自分だけは生き延びようと云う算段。
 自分こそ現代の格差社会を作った立て役者だ。ところが、ナイーブな貧乏人ほど、こういう美談に騙されやすい。従って、この騒ぎもいずれ有耶無耶。世間は再び格差社会に戻るだろう。
(11/10/16)

 イエーメンでアルカイダNO2が殺されて、独裁者ののサレハが辞任の可能性をほのめかす。いよいよアルカイダ対民主化勢力の直接対決か?これに対し中国は「話し合いの解決」を望む。エライ平和主義的提案だね。自分の周りには強面で臨むのに、中東・アフリカには低姿勢。 何故か?中国が擁護する政権は、リビアのカダフィやイエーメンのサレハの様な独裁強権政治。アメリカ人権外交の敵だ。中国と共通している。その隙をついて、これまで相当投資や賄賂攻勢を仕掛けていたのだろう。そして、これらの強権政権は、みんなアルカイダのようなイスラム原理主義勢力を押さえつけてきた。中国だって、西域地方でのイスラム原理主義の活動は気に懸かる。有り難い同盟者なのだ。それが民主化で潰れてしまえば、これまでの努力は何だったのだ?かといって、自ら軍事介入するわけにも行かず、「話し合いの解決」てな中途半端声明しか出せないのだ。中国も段々尻に火がついてきたか?そして皆さんは、アフリカ・中東世界での、ジャスミン革命イコール民主化要求運動の背景に、アメリカの意志が無かったと考える程ナイーブではないと思います。オバマの意志か?昨年ノーベル平和賞の意地か?
(11/10/12)


 リビアに対し英仏が急接近。目的はカダフィ後の石油利権狙いという説がもっぱら。そんなことだと思ったよ。もうこれは昔から繰り返された腐敗の方程式旧政権を倒し、新政権を創る。そこに誰かが食い込んで利権を増やす。ところが、こんなことは直ぐにバレル。そして、新政権は分裂し混乱の再生産。フィリピンでもインドネシアでも繰り返されたパターン。問題はそこに第三国が介入することである。当事国内の混乱なら、その中でも収束が可能だが第三国が介入するとそうはいかない。今回は英仏が介入していくようだ。これはカダフィ派の反帝国主義主張を容認する原因になる。やり方を間違えれば、リビアは英仏に於けるイラク戦争になりかねない。サルコジもイギリス首相(名前を忘れてしまった)もアホだから、自分が何をしようとしているのが判らないのだろう。
(11/09/16)

 本日は9.11事件10周年記念日。石原ノブテルはこの事件を歴史的必然などと、使い古されたマルクス主義用語を使って早速ブーング。中東の反イスラエルテロを、歴史的必然と見るのは明らかに間違い。実はレーガン・ブッシュという二人の愚かな共和党員がユダヤ人票を狙って犯した過ち、それをリードしたネオコンやキリスト教原理主義者の圧力、そしてランド研究所やハドソン研究所のような、共和党系民間シンクタンクの誤誘導の複合要因です。
 但し、将来イスラエル国家がパレスチナから追い出されるのは、「歴史的必然」と呼んでも良いかもしれない。
(11/09/11)


 リビアトリポリ陥落で、反カダフィ派は中国・ロシアに対し今後の石油参入を排除すると声明。中国はカダフィに入れ込みすぎた。同じ事はスーダンにも云える。韓国もチョットトロイ。今景気の良い政権というのは、実は極めて不安定なのだ。こんなこと、国際政治のイロハのイと思っていたのだが、実は誰も解っていなかったのだ。胡も温もだ。今解っている人間を認定するのは難しい。しかしその逆は何とかなる。今一番世の中を解っていないのは、ロシアのメドだろう。
(11/08/23)

 リビアトリポリ陥落間近で、中国が(渋々)反体制派政権を容認。韓国はどうだったかねえ?従来、リビアに入れ込んでいた国々は、ヨーロッパではイタリア始め地中海諸国とロシア。アジアでは中国と韓国。特に中国は、リビアに3万人以上の要員を送り込み、関係は半端ではない。韓国だって、石油利権を巡って相当カダフィに賄賂を送っているはずだ。カダフィ没落で、これらの投資が一挙の焦げ付くおそれが出てきた。
 さてどうするか?ワタクシが思うに、新政権に対し、カダフィ時代と同じ賄賂攻勢を掛け、利権維持に努めるのではあるまいか?
(11/08/22)

 今中国が資源目当てに、米軍撤退後のアフガニスタン経済進出を目論んでいると考えられている。アフガニスタンが地下資源の宝庫であることは、筆者は既に三年前に指摘しています。そして、中国もまた、ソ連・アメリカの轍を踏むか?
(11/07/30)

オバマが来年夏までにアフガンから3.3万人の撤退を発表。これを聞いてブッシュはどう思ったでしょうか?ビン・ラデインを殺すまでに11年懸かっている。しかも当面の敵タリバンは未だ健在。ブッシュがでっち上げたカルザイ政権は腐敗でどうにもならない。あの頃、来日したカルザイを指して「カッコ良い」とか「服装のセンスを日本の政治家も見習わなくては」などとピント外れの馬鹿を云ったオンナ評論家がいた(名前は忘れたが)。だからオンナは馬鹿と云われるのだ。反省せよ。結局、アフガン戦争は終局が曖昧なままに終わってしまった。結局はブッシュの敗北にカウントされるだろう。何故負けたか?それは政治とビジネスを混同したからである。中でもコンドリーサ・ライスの単細胞とアホさ加減には恐れ入った。あんな馬鹿オンナ見たことがない。管が進める再生エネルギー促進法もこれの典型。従って、これも敗北するだろう。
(11/06/23)

 アフガニスタン政府がタリバンと協議開始という報道がある。ワタクシはこれこそがビン・ラデイン殺害事件の本質と考えています(「イラクの失敗」05/02)。あの事件はアメリカーパキスタンーアフガニスタン(カルザイ政権+タリバン)による壮大なヤラセなのです。
(11/06/19
)

 ラデイン殺害後、オバマが語ったビン・ラデインをかくまった、何らかのネットワークとはなんでしょう?当たり前ですが、パキスタン軍情報部・治安機関のことです。オバマはそれを露骨に云えないから、間接表現で終わらせたのです。
(11/05/09)


 
常識で考えれば、何故ラデインが今まで10年近く逃げ仰せたのか、それが不思議。ワタクシ・・・だけでなく多くの一般人・・・は、ラデインは国境近くの洞窟とか、或いは街のバザールの奥深く潜んでいたと思っていた。何故なら、アメリカが持つ偵察衛星でも見つからなかったからである。処が見つかったのは、首都の近くの都市郊外。おまけに高級住宅街の一画で、しかも周りには軍事施設が一杯ある箇所の広大な屋敷だった。このことをパキスタン軍部や政府が知らなかった、なんてことある筈がないでしょう。ラデインは両者の了承もしくは保護の下に、ここに住んでいたのです。そう考えるのが、世間の常識。
 しかし、ラデインはアフガン戦争が始まった時から、この屋敷にいたのでしょうか?この屋敷が建設されたのは、報道によれば、今から4年前と云われる。4年前と言えばブッシュドクトリンで、米軍のイラク撤兵とアフガン増派が始まった年。この頃から米軍のパキスタンへの越境攻撃が始まった。おそらく、それまでは国境近くの辺境地帯に潜んでいたと思われる。ところで、この辺境地帯というのは、部族とパキスタン軍部(情報部と治安組織)が実質的に支配する特殊地帯。アフガン戦争開始以来、ラデインはこの地域にパキスタン軍の庇護の下に隠れ潜んでいたのだろう。その後のブッシュによるアフガン増派以来、米軍の越境攻撃が盛んになり、この地域も安全ではなくなり、パキスタン軍の手引きで首都近くの別荘に避難してきた。
 ところがなにかの理由で、パキスタン軍部にとって、ラデインを何時までもかくまっている必要が無くなった。その結果、アメリカによるラデイン殺害を容認するに至った。その証拠は、40分に及ぶ銃撃戦と、その後の遺体持ち出しに至る間、パキスタン軍も警察も何も手出しもせず、アメリカ側のやりたい放題に任せたことです。40分は長い。現地の軍や警察が気がつかない筈がない。こんなこと、軍・政府の了解なしではあり得ない。その理由は何でしょう?まず考えられるのは、パキスタンにとって、これ以上ラデインをかくまっているメリットが無くなった、ということです。パキスタンは核実験以来、西側、特にアメリカの経済・軍事援助を断ち切られてきた。それが終わったのは、アフガン戦争でパキスタン領内の自由交通権をアメリカに与えてから。これによって、パキスタンは再びアメリカの援助を受けられるようになった。これの隠し球として利用出来たのがビン・ラデイン。ラデインを生かして置く限り、アフガン戦争は終わらない。戦争が終わらない限り、パキスタン軍はアメリカから協力金を得られる。まあ、日本でも公共事業などでよく見られる自民党議員及びヤクザの論理だね。しかしアメリカだって何時までも黙って金を払い続ける訳にはいかない(特に今のアメリカは財政状況が厳しい)。そこでCIAがラデインの居場所を突き止めたことをネタに、パキスタン軍と政府を脅した。CIAがラデインが居るのを突き止めたのが2年前と云われる。その間2年何をしていたのでしょうか?ラデイン処分とパキスタン援助に関する交渉でしょう。それがまとまったので今回のの行動。無論お互い見返りはある。このところ中国と関係を深め、軍備特に海軍の拡張に余念のないインドへの牽制。ここでパキスタン海軍を増強して、インド洋自由通行権を確保する。古典的海上帝国主義の延長だが、パキスタンにとっても重要課題。オバマにとっても、次の大統領選は頂いたようなものだから、どっちにとっても損はしない。
(11/05/03)

アメリカがとうとうヴィン・ラデインを殺害。ゲバラ処刑以来のCIAの大戦果。この結果がどうなるか、色々見方が別れています。一つは(1)シンボルを無くしたことによるアルカイダ組織の弱体化。これの行方はイスラム過激主義の分裂と国際テロの収束。一方(2)報復テロが活発化し、却って世界の治安は不安定化する。実際には、まず(2)が先行し、次いで(1)に移行するでしょう。ラデインの跡目をだれが継ぐのかよく判らない。おそらく後継者争いによる内ゲバが発生し、その過程で自爆テロが多発するでしょう。要するに殉教者を如何に多く作ったかで手柄を争う訳だ。しかし、そんな何時までも続けていけるわけがない。一般メンバーから反発が起こり結果として分裂。後は一つ一つ潰して行けばよい。
 なお、今回の事件の裏にパキスタン軍情報部が、協力していないわけがない(戦闘時にパキスタン軍ヘリが墜落したという報道がある)。そうだとすると、タリバン穏健派の協力があった可能性もある。何故なら、パキスタン軍情報部とタリバンとは、表裏一体の関係。タリバンもアルカイダもスンニ派原理主義だが、タリバンはアフガン民族主義を基盤とする。一方、アルカイダは外人部隊の集まり。そもそも肌がが合わなかったのだろう。実はタリバンもアルカイダにうんざりしたのではあるまいか。もしそうだとすると、アメリカとタリバンが裏で手を握ったことになる。この結果、カルザイ政権の立場は微妙になる。一方ここ1〜2年、カルザイはアメリカ批判を強めている。つまり、タリバンへの保険を掛けているわけだ。しかし、アメリカはとっくにカルザイ政権を見放しているから、カルザイのクビと引き替えにアフガン撤兵の実を取ったのではあるまいか?カルザイよりは次の大統領選のほうが大事だ、ウン。何となく、この事件の裏には、アメリカーパキスタンーアフガニスタン(カルザイ政権+タリバン)による壮大なヤラセ疑惑が感じられるのである。
 ラデイン殺害で一番びくついているのが、キムジョンイルやカダフィ、チャベスのような反米独裁者。アメリカ人はその気になれば、徹底的にやるという恐怖。日本人もそこまで出来れば良いのだが、この東洋の君主国は、何事も中途半端。自己満足で終わり。
(11/05/02)

皆さんはランド研究所というアメリカのシンクタンクをご存じでしょうか?これは、アメリカが他国に武力干渉するときに必ず現れる保守系シンクタンク。そもそもは、アイン・ランドというチョットおかしい超反共女流作家が主催したサークルが、保守系財界の支援を受けて出来たもの。古くはベトナム戦争当時、ドミノ理論を発表してアメリカを泥沼に導いた。最近では自由と民主主義拡大理論を用いて、アメリカを泥沼のイラク戦争に誤誘導した。ブッシュの「不安定の弧」という理論もおそらくランド研製。これを見るとおり、この研究所の理論は常に失敗している。さて、今回のリビア騒動に対するアメリカの軍事介入。背景にランド研が無ければ、オバマは成功するでしょう。そして、ランド研は干渉していないと思われます。何故なら、ランド研のパートナーは常に共和党、民主党はライバルだから。
(11/03/23)

 世界中が東北太平洋沖地震で大騒ぎしている間に、カダフィは着々と失地回復。何故か?まず先般の国連安保理で、中ロがリビア制裁に反対したこと肝心のアメリカも慎重姿勢を示したことから、カダフィは相手は与し易しと見て、反転攻勢に出たのだろう。相手の様子を見て駆け引きするのは、当にヤクザの手口。欧米もアフリカのチンピラに舐められたものだ。
次に考えられるのは、世間に潜ってカダフィを支援する勢力があること。サウジ、スーダン、シリア、ベネズエラ辺りは怪しい。これら各国は資金だけでなく、義勇兵も送り込んでいる可能性がある。
(11/03/14)

 リビア情勢が一進一退。意外に長引くかも。ここでやるなら兵糧攻めだな。海はNATO軍で封鎖(理由は何とでも付けられるし、そもそもカダフィ側はろくな海軍を持っていない)。陸上を封鎖して食糧・燃料の流入を防ぐ。無論カダフィ側は有力な戦車と空軍を利用して突破を計るだろうが、その時は一旦退却し後方で待機。敵はその内燃料が無くなるので引き返す。そしてその後に穴を又埋める。これを何度か繰り返せば、相手は根負けして白旗を掲げる。
 豊臣秀吉なら、この段階で敵に内通者を作り、内部からの切り崩しを計るだろう。
(11/03/10)

 リーダー無き革命。現在進行中の中東騒動がそれです。果たしてこれが上手くいくのか?失敗例を挙げておきましょう。それは19世紀始め、インドで起こったスパーフィーの叛乱(日本ではセポイの乱と言った方が一般的)。北インドに駐屯するベンガル連隊で起こった些細なトラブルが大騒ぎとなって、インド傭兵(スパーフィー)の反英大叛乱に発展。あっという間に首都デリーが陥落した。処が、明確なリーダーも指導テーゼも無かったので、早速始まったのが内輪もめ。その内、皇帝側の裏切りや仲間の離反もあって、弱体化。イギリス軍の反撃にあって敢えなく挫折。結局皇帝は追放され、インドはイギリスの植民地になってしまった。
 この騒動を脇から見ていたのが、当時ロンドンタイムス特派員だったカール・マルクス。彼は後に、この失敗を前衛(共産党)の指導が無かったためと結論。共産党宣言に発展する。
 さて、今回の中東大革命。マルクスの予言通りとなるか、それとも新しいパラダイムを切り開くきっかけとなるか?
(11/03/01)

カダフィのウクライナ人愛人がリビアを脱出。カダフィ最愛と云うが、このウクライナ女が、カダフィより金目当てだったのは顕か。中国人だけでなく、ロシア人ウクライナ人など、旧共産圏民は信用してはならないという一例。
 資本主義を否定した彼等旧共産圏民が、資本主義民以上に資本主義的行動に奔るのは何故か?
 あのロシアのアンナチャップマンだって、今はプーチンにちやほやされていい気になっているが、プーチンとメドが仲違いを始め、怪しくなるとどうなるか判らない。
(11/02/28)

 今回の中東騒動で驚かされるのは欧米・中ロ各国の情報能力の劣化。チュニジアから始まった騒動がどうなるか、はっきり見通した国は一つもない。アメリカにしてもエジプト問題が漸く収束に向かいつつある頃にやっと態度表明。中ロに至っては未だ事態把握が出来ていない。
 何故各国情報機関がダメになったかというと、ソ連東欧崩壊で情報活動の主眼が、政治情報から経済情報に移ったからである。その最もお粗末典型が韓国。先日、韓国情報部員がインドネシア経済訪問団宿舎に忍び込んで、次期訓練機予算情報を盗もうとしたら、ホテルの警備員とガッチンコして、警察に突き出された。アホとしか云いようがない。
 経済情報員の欠点は、市民の内部に潜り込んで本音を探ろうとはせず、経済統計とかその国の経済エリートの意見など、表面情報ばかりを集めてリポートにして事足れり、とする慣習である。この結果、最近先進国情報機関は失敗ばかりを積み重ねている。その典型はエシェロンという盗聴装置。今回の中東争乱で、これが只の役立たずの木偶の棒の税金泥棒であることが明らかになりました。
 どうでも良い話しですが、例のカダフィガールズには、アラブ系・アフリカ系以外に金髪のヨーロッパ系もいる。なかなか良いオンナ揃いだ。ジョンイルと良い勝負。独裁者はメンクイが揃っているのか?さて、彼女達は何処からきたのか?ベルルスコーニの紹介でイタリアから、なんてのが一番ある話し。事ここに及んで、このイタリア娘達の運命や如何に?
(11/02/26)

 革命→反動→第二次革命。これは世界史でよく見られるパターンです。例えば1917ロシア革命。三月革命で社民党主導政権が出来たが、旧体制下の資本家・官僚が復活してきたために、その秋ボリシェビキによる10月革命となった。それに似た状況が今中東で出ています。チュニジアでもエジプトでも、独裁者は追放できたが、暫定政権には相変わらず旧体制下での実力者が居座っている。従って、この後再び揺り戻しがあって、第二次革命になるでしょう(今年の夏くらいか?)。しかし、それでもアルカイダのような過激派の影響が強くなるとは思っていません。何故なら、今のところイスラム原理主義の臭いがしないからです。
(11/02/25

 次第に狭まるカダフィ包囲網。これに一番どきどきしているのが、金ジョンイル。明日は我が身だ。同じような気分が湾岸のアラブの王様達。彼等は断頭台の露と消えたルイ16世の気分だろう。そもそもUAEの王様達は元を糺せば、ペルシャ湾を根城にしていた海賊の子孫。海賊は捕まれば縛り首が常道。先祖の悪業の報いが今、自分に降りかかってきたようなものだ。一時的な石油高騰で我が世の春を謳ったが、哀れなもので、明日は海の藻屑か、砂漠でジャッカルの餌か。
 もっと厳しいのが中国。今の繁栄はここ1〜2年で終わり、中東情勢の影響如何では、2〜3年後には中国共産党政権は崩壊し、劉暁波大統領が誕生しているかもしれません。そうなったら、彼のノーベル賞受賞式をサボった連中はどんな顔をするでしょうか?はたまた、日本でも今の中国政権に媚びを売った連中も同様。なお、筆者はチュニジアで騒ぎが起こった二日後に、エジプト・リビア・サウジへの飛び火を予測しています。それに倣えば、中国・北朝鮮への飛び火は十分あること。それどころか、ベラルーシ、ロシア、タジキスタン他旧ソ連圏独裁国家への飛び火も十分あり得ます。ロシア再分裂か?!あんな国、潰れるのは時間の問題。その時、北方領土はどうなるか?柿は熟して落ちてくるのを待てばよい。
(11/02/24)

 リビアが大騒動で面白くなってきました。これは数学で云えば、カオス理論が国際政治に、どのような影響を及ぼすかどうかの実験でもあります。例の鳩山普天間方便も、実はこれを実験したかったのではあるまいか?処が意に反してカオスの風は吹かなかった?何故か?民族の差があるのかもしれない。
 それはそうとして、今一番どっきりは中国。この民主化風が、中国にどういう影響を与えるか未だ判らない。最近、経団連幹部と管が会談したが、そこで経団連は相変わらずの中国一遍道論。経団連というより、ノーテン団蓮と云ったほうがよいだろう。それをホイホイと聞く管も管だ。
 中国バブルは後15年続くと言った民主党議員がいたが、15年も続くバブルは歴史上存在しない。中国好景気はせいぜい後5年。今の中東民主化騒ぎが伝染すると(その可能性は十分ある)、下手すると今年中にもおかしくなるかもしれない。そのあげくは、中国は再び分裂し、内戦になる事態もあり得る。今早く手を打たねばならないのは、中国からの逃げだし、チャイナレス社会の構築だ。なお、この騒ぎ、いずれロシアにも飛び火するでしょう。
 リビアではとうとう韓国人労働者住宅が襲われた(韓国は今の時代でも援助物件に自国労働者を使っているのだ。大韓航空機事件当時と変わらない)。今回の騒ぎは経済問題に加えて民族問題がある。その内、韓国人だけじゃなく、中国人やベトナム人・インド人も襲われるだろう。
(11/02/21)

中東情勢がまだまだゴタゴタ。バーレーンは国王が浮き足だって、野党と手打ちしようと画策中だが、リビアはなかなか。カダフィは今回は強硬手段でデモを抑えきるかもしれないが、奴も最早69才。後長くはない。彼が死んだとき、その後はどうなるかは判らない。カダフィは息子を後継者にしたいらしいが、そう上手くいくか?。北朝鮮の世襲が続くのは、あの国が農業国家で儒教社会だから。実力がものを云うアラブ遊牧世界で、それが通用するとは限らない。今回は乗り切れたとしても、あと2〜3年後に又やってくる。
 忘れてはならないのは、人間には寿命があること。そしてどんな独裁者も人間であること。
(11/02/20)


 
金ジョンイルが訪朝中の中国公安担当相と会談。何を話し合っていたのでしょうか?チュニジア・エジプトで起こった政権転覆、更にイラン他中東で起こっている反政府運動への対応策でしょう。さて結論は?エジプトの場合、首都を脱出したムバラクは、早くも健康状態悪化と伝えられる(少し早すぎる。毒物をやられたか?死人に口なしで誰かに消された可能性もある)。早晩、親族・側近の主なものは逮捕され、資産も凍結されるだろう。ムバラク資産を管理していたのが誰かよく判らないが、ゴールドマンサックスとか英米系投資ファンドなどは当然マークされる。ムバラク資産は700億ドルとも云われる。半端な数字ではない。これには様々な国の様々な機関が関与して、一つの巨大腐敗コネクションを構成していたと考えられる。これが凍結されるとムバラクショックだ?この影響がイラン・中央アジアを経由して、中国・北朝鮮に伝染するのが一番怖い。イスラエルやロシアだって例外ではない。あのダイアナ妃死亡の時、同乗していたのはエジプト人自称実業家。彼は一体何者だ?全く顕かではない。彼もムバラクコネクションの一員だったかもしれない。果たして、この事件は21世紀最大のスキャンダルに発展するでしょうか?
(11/02/15)

 
エジプト報道映像を見ていると、街の警戒に当たっているエジプト軍戦車は旧式のアメリカ製M60。去る第四次中東戦争シナイ戦線で、エジプト軍のソ連製戦車(確かT57)はイスラエル軍戦車(イギリス製だったかもしれない)にコテンパンにやられてしまった。その理由は中部ヨーロッパの平原を想定して作られたソ連製戦車が、起伏の激しい砂丘が連続する砂漠戦に適応していなかったからである。それにも拘わらず、ソ連はこの役立たず戦車の代金をエジプトに請求した。それでサダトが怒ってソ連と手を切り、アメリカに乗り換えたのが実態という説がある。ソ連の前科はまだあって、朝鮮戦争の時、北朝鮮援助武器代金を中国に請求して、それで毛沢東が怒って、その後の中ソ対立の原因になったという説がある。このようにロシア人というのは金に汚いのだ。そしてロシア製工業製品は安くて頑丈なだけが取り柄で、性能と安全性は無視。ロシア製原子炉など信用出来ますか?未だに新幹線が作れない国なのだ。
 なお、中東戦争の後、中東諸国が俄に注目したのが日本の74式中戦車。サウジからは実際に引き合いがあったらしい。しかし、防衛庁かアメリカか何処から邪魔が入って、この商談はパーになった。
(11/02/12)

オバマは辞めろ辞めろと言うが、一向に辞める気配はないのがエジプトのムバラク。そりゃ当たり前で、昔からアラブ世界では権力者が権力を捨てると、彼を待っているのは”死”のみ。彼はサダムの処刑をみている。サダムはある時期、中東最大のアメリカ協力者だった。それをアメリカは・・・ブッシュが支持率欲しくて・・・いともさっぱりと切り捨てた。誰だってサダムの二の舞にはなりたくない。常に最も悪い先例を作るのは、アメリカなのである。
 今彼を受け入れられるのはイスラエルぐらいしかないだろう。思い切って、イスラエルに亡命するか?
(11/02/05)

 今度はヨルダンで国王が内閣を更迭して民主化促進を指示。そういう一時しのぎの姑息手段を何時までやっても意味はない。サウジを始め中東・湾岸王政諸国は、西欧=日本型立憲君主制に移行すべきである。早い方がよい。サウジのように国王一族に政治・経済・軍事全ての権限が集中するのは、国家の安定にとってむしろ有害である。
 さて、この結果はアラブ諸国から中央アジアの独裁強権国家に波及する可能性が高い。例えばキルギスとか、ウズベキスタンなど中国の近隣諸国だ。そして中国が重点的に経済援助を行っているのも、このタイプの国が多い。中国はこれらの国に中国型統治システムを売り込んできた。今回の騒ぎはそのシステムの終わりの始まりかもしれない。今頃、北京ではカンカンがくがくかもしれないが、元々パクリだけで独自の発想が出来なかった二級民族だ。どうにもならないだろう。
(11/02/02)

 エジプト争乱でイスラム原理主義の台頭を懸念する声があるが、筆者はそうはならないのではないか、と考えている。但し今の処。理由はチュニジアもそうだが、反政府運動の主張は主に物価経済問題、失業問題、民主化問題、政府の腐敗追及でパレスチナ問題は上がっていない。そして、同じアラブでもエジプトを始めとする北アフリカ諸国は・・・昔からヨーロッパに近いせいか・・・政治的成熟度が高い。今更イスラム原理主義でもないだろう。エジプトでは軍部が民衆側に付いた(チュニジアも)のは重要。軍部の権威を維持さえ出来れば、おそらくこの騒ぎはイラン型革命ではなく、ソ連・東欧型民主化で収束する可能性がある。その為には如何にアメリカが我慢出来るかが問題。イランの場合はアメリカのチョンボ。軍を見捨てたばっかりに原理主義者に乗っ取られた。うっかりイスラエルの口車に乗れば、イラン型になってしまう恐れがある。そして、ソ連・東欧型を一番恐れているのが中国。
(11/02/01)

  チュニジアでクーデターが起こって、一番どっきりしたのは中国じゃないかと、本欄で書いたらどうやら本当らしい(中国ではチュニジアーエジプト関連報道は規制中)。チュニジア騒ぎがエジプトに飛び火し、さて次は何処か、というのが多分CIAの興味の的。20世紀始めの西欧型民主主義に対抗したのがソ連・中国型一党独裁制社会主義。今の中国は自身の経済的成功をバックに新興国に対し、「統治主義」という政治モデルを売り込んでいる。長期独裁政権にとって、中国型が望ましいのは云うまでもない。中国型統治主義と、かつてのアジア型開発独裁とはニュアンスが異なる。後者は少なくともアメリカの支持を得、且つ弱いながらも野党は存在していた。中国型は基本は反米・反西欧、野党の存在は認めない強権主義が基本。今度のチュニジア・エジプト騒動で中国型モデルが崩壊する可能性がある。さて、中国市場重視だったS&Pはどう格付けをするのでしょうか?
 そしてベネズエラのチャベスよ、どうするか?いずれキューバに亡命か!
(11/01/30)

エジプト反政府デモで死者発生。一方はデモ隊の投石で治安部隊員が死亡と云うし、一方は治安部隊のゴム弾で死亡と言う。そもそも投石やゴム弾で人が死ぬ訳がない。双方とも、もっと強力な武器を使ったに違いない。
(11/01/26)

チュニジアで前大統領が事実上追放されたが、事態がこれで収まるかどうか判りません。そもそも23年間も独裁を続けておれば、その周囲に膨大な利権組織が生まれている。彼等が黙っているはずがない。必ず反撃してくる。その隙を狙って前大統領復活というケースもないではない。新政権が何処まで旧利権組織を抑えきれるかが問題だ。新政権を欧米が支持したとき、中国・ロシアが旧大統領派支持に廻る可能性だってなきにしもあらず。独裁と利権!これは永遠のテーマだな。北朝鮮も中国も皆同じ。日本だって戦後半世紀以上続いた自民党独裁が膨大な利権組織を産み、その結果自民党 の敗北になった。そして利権組織は必ず復活する。最近の自民支持率アップを見るとその徴候か?
(11/01/17)


 チュニジアで実質クーデター事件。前大統領は23年間に渉って独裁を続けていたが、遂にアウト。ところでこれに似た政権がエジプトやリビアやアルジェリア。特にエジプトは親米独裁路線を採ってきたからチュニジアとよく似ている。チュニジア事件が周辺に飛び火する可能性がある。
 ではこれら親米独裁政権が倒れたらどうなるか?当たり前だがイスラム原理主義の台頭。最終的にはサウジまで行く可能性だってある。さて、こうなると、中東への原発輸出は正しい方策だったかどうかも、もう一度考え直さなければならないだろう。韓国がどうなろうと日本には関係ない。
 そして一番どっきりしたのが中国かも判りません。
(11/01/15)

先日、「アメリカがアフガンから撤退したら今度は中国がやってくる」と書いたら早速、アメリカは14年以降もアフガン駐留を続けると発表。別にホワイトハウスがこのHPを見ているとは思いませんが(いや、エシェロンを通して監視されているかも判りません)、やっとアメリカも中国の危険性に気がついたか?しかし、ゲーツは未だ気がついていないみたいだ。
(11/01/13)

アフガンで拉致されたフリージャーナリストが解放され、そのインタビューが先日(10/09/12)のニュースフロンテイア。彼は、拉致犯人が日本語が分からないことを利用して、日本大使館側に「犯人はタリバンではない。拉致犯人はカルザイ側の武装勢力。身代金を払わないように、一回払うと癖になって同じことを繰り返す」と証言。ところがその後出てきた鈴木宗男は「これは日本政府からのアフガンへの50億ドル」支援が効いたんですよね。」と自分の手柄話。要するに、拉致犯人はカルザイ側で、それに金を渡したのを自ら認めたものと同じ。さすがに「疑惑の総合商社鈴木宗男らしい」。日本は今後もカルザイ政権の腐敗に手を貸したことになる。今後、非カルザイ政権が成立すれば、日本とアフガンの関係はややこしくなる。その原因を作ったのは、鈴木宗男である。こんな人間は2年どころか、10年か15年ぐらい刑務所に放り込んだ方が良い。なお、アフガニスタンは様々な鉱物資源の宝庫である。
(10/09/14)

コーランを焼くと云ったり、止めたと云ったり、またまた延期だと云ったり。行ったりきたりのアメリカ人牧師。本当に焼きたければ、自分や仲間と一緒に勝手にやればよい。それをわざわざメデイアに露出したのは、売名目的のパフォーマンスだろう。原理主義プロテスタントというのは、しばしば、はた迷惑な宗派なのだ。
 福音派というのは、よく知らないが、ルーツは確かオランダ人ではなかったか?キリスト教徒の中でもかなり、孤立したセクトだった。宗教戦争の後、アメリカに渡り、19世紀に教勢を延ばし、特にブッシュ政権下で大拡張した。
(10/09/10)


 米軍のイラク撤退を期に、イラク戦争開始に関わった関係者が、それぞれ自分の当時の思いを述べています。しかし、ワタクシの思うところ、みんな嘘です。イラク戦争の本質はJ.W.ブッシュによるサダムへの復讐です。湾岸戦争以来、オヤジのブッシュはサダムに散々恥をかかされた。その所為で再選を果たせなかった。一度話しを付けなくちゃならんと、しかしなかなかチャンスがない。そこへ突然起こったのが9.11テロ。これはチャンスだ。それらしい理屈をくっつけろ、とNSAとかCIAに圧力を懸ける。そこで彼等が飛びついたのが大量破壊兵器。ブッシュもしめしめ。よし行こう!と言うわけだ。当にテキサス人らしいやり方。そういえば、シェーンを始め西部劇の主なテーマは「復讐」なのだ。
(10/09/02)


 ホワイトハウス最長老記者のトーマス氏が「ユダヤ人はパレスチナから出て行け」と怒鳴って、クビになりました。ワタクシはトーマス氏の意見に賛成です。何故なら、今パレスチナにいるユダヤ人の殆どは、ユダヤ人の仮面を被ったフランク人だからです。金髪で肌が白いユダヤ人などあり得ません。シオニズムなど、近現代が作ったヨタ話です。フランク人はいずれ、パレスチナから追放されるでしょう。
(10/06/08)

 イスラエルによるガザ支援船襲撃。あの国は常に何かに脅えているのだ。何故か?三界に家無し民族だからである。アダムの長男カインは神に逆らって、農業、度量衡、貨幣、利子を発明し巨富を得た。それ以来ユダヤ人は神に見放された。今も市場原理主義、グローバリズムの名の下に、神を小馬鹿にしている。
 なお、この件でトルコが強硬に出る可能性がある。十字軍時代、最終的にパレスチナのキリスト教徒を追い出したのは、トルコ人傭兵に率いられたエジプト軍。その間アラブは手をこまねいて仲違いばかり。中にはキリスト教徒と手を組むものまで現れた。今とおなじだよ。
(10/06/01)

女ヒトラーペイリン
 元アラスカ州知事のペイリンが本日ABCとのインタビューで、イスラエルのエルサレム入植支持を明言。その理由は「今後イスラエルの人口は増える。居住区を確保する権利はある」。それがパレスチナ人の土地でもですか?という問いに「だれの土地であろうと、ユダヤ人居住地は必要だ」と返答。これはかつて、ヒトラーがズデーデンやポーランドの割譲、ロシア・ウクライナ支配を正当化したときの論理と同じ。いよいよ、ヒトラーの呪いがユダヤ人に乗り移ってきたようですな。
(09/11/18)


 アルカイダがウイグル問題について、反中国聖戦の発動を宣言。更に世界中のイスラム過激派に対し、同聖戦への援助と参加を勧告。という報道が主に韓国系メデイアを通じて流されているが、日本では一向に報道されない。鳩山新政権が中国寄り姿勢を示していること、中国や欧米メデイアが無視していることにおもねって無視しているのでしょうか?もしそうなら、日本のマスコミは報道機関を名乗る資格はない。それは今に始まったことではなく、日本のマスコミは明治以来、力の強いものにペコペコが本業だから仕方がないが。
 筆者は昨年8月のカシュガル暴動時に、背景にアルカイダが影響していると観ていたので、今更別に驚く事ではないが、ラデインが明確に声明したことは、実質上の対中宣戦布告。さて、日米欧はどう対応するか?昨年時点では、中国の人権問題を見据えて、欧米は一致して中国批判、ウイグル支持を表明していた。しかし、日本福田内閣は相変わらずの曖昧ヘナヘナ。次の麻生はかなり明確に欧米(ウイグル)寄り姿勢を示した。民主党はどうだったか?実はよく判らないのである。相変わらずの外交オンチ。
 さて、アルカイダがウイグル介入を表明したことによって、事態は急展開し、対応の仕方によっては第二のアフガン戦争に匹敵する大混乱を招くだろう。
1)昨年8月暴動時点では、西側は中国人権問題だけをターゲットにしておけば良かった。
2)しかし、アルカイダ介入が本格化すると、中国はウイグル問題を民族独立弾圧から対テロ戦にすり替え、自己の行動を正当化するだろう。
3)更にアルカイダやイスラム過激派の浸透が活発化すると、西側はウイグル独立派支援の大義名分を失うことになる。
4)一方、昨年来の経済危機で、日米欧経済は中国の旺盛な内需と消費に、頼らざるを得ない状況にある。ウイグル支持に傾けば、欧米が間接的にアルカイダのテロを支援することになり、中国から逆経済制裁を受けることになる。
5)結局、中国と人権とアルカイダの間に挟まって米欧は身動きがとれなくなり、最期は、西側諸国はウイグルを見捨てるだろう。その結果、ウイグル独立派は更に過激路線への傾斜を強めることになる。
6)その結果、アフガニスタンからトルクメニスタン、中国ウイグル自治区に至る広範囲が第二のアフガニスタン状態となり、アメリカはこの地域から何も得ずに撤兵する。そして、この地域は以後、チンギスハーンによって征服されるまで、そしてモンゴルが滅亡しチムールによって統合されるまでの、無政府状態に戻るだろう。
(09/10/10)

オバマは議会02/25議会演説で、イラクからの早期撤退を表明。事実上イラク戦争の失敗を認めた形だろう。何故、失敗と言えるかと云うと、(1)後に残されたイラク政権が必ずしも親米一遍道とは云えない、(2)イラク国民も必ずしも米軍駐留を望んでいない、(3)武装勢力によるテロが根絶されたわけではない。ここで、(1)(2)はかつての日本とは全く異なる。ブッシュはイラク戦争を始めるに当たって、かつての日本占領イメージをだぶらせ、イラクが日本の様になると考えた。ところが現実は全く正反対。イラク人は日本人のよう対米追従主義ではなく、自主独立の道を選択した。これだけでも失敗と言ってよい。
 では何故失敗したかというと、戦争が予想より長引きすぎたためである。自分の意志と反対に長引いたから、国民に対し長引いた理由を説明しなくてはならない。そこでいろいろと理屈をくっつける。ところが現実は、あとからくっつけた理屈とは違う方向に走る。そこで又別の理屈を考え出す。これの繰り返しで、結局は戦争どころか、政権への支持も失う結果になったのである。だから何故長引いた理由は何かを考えなくてはならない。
 戦争が予想外に長引いた理由としては次の二つが考えられる。
    (1)戦費を税金ではなく借金で賄おうと考えたこと。
    (2)戦争を民営化したこと。
(1)について
 通常、戦費とは、まずは税金を当て、足らない部分を借金(国債)で、と考えるものである。ところがブッシュはそれをまるまる借金で賄おうとした。そのため、為替相場を意図的にドル安傾向に持っていき、短期金利を上げて日本やアジアからの資金流入を促進した。お陰で日本の輸出産業は大いに潤ったのである。又、借金は返さなくてはならないが、それをイラク原油の販売益で賄うとした。そのためか、イラク戦争が始まると原油価格はたちまち倍以上に跳ね上がり、一昨年にはバーレル70ドル、昨年春からは100ドルを越え6月末には140ドルというキチガイ相場になってしまった。ではそれで戦費は賄えたかというとそうではない。アメリカの財政赤字は増え続け、おそらく1兆ドルは越えているのではないか思われる(ブッシュ政権は数字を誤魔化しているので、本当の赤字はどれぐらいか判らなくなっている)。アメリカの財政赤字増大に伴って増大した原油利益は、アメリカに戻ってくるのではなく、ペルシャ湾岸国及び、そのおこぼれに預かった英欧米の金融・不動産バブルに化けてしまった。この結果がアメリカ国民の途方もない浪費に繋がったのである。税金が増えず、おまけに経済が拡大すれば、国民は戦争の事などすっかり忘れてしまう。それどころか、戦争継続を歓迎するだろう。
(2)について
  ベトナム戦争後半、ジョンソン政権は徴兵を実施した。戦争の初期は確かにテレビを通じたお茶の間戦争劇だった。しかし徴兵実施と同時に、アメリカ一般市民にとって極めて身近なものになった。これがアメリカ青年層にベトナム反戦運動のうねりを作り、次のニクソン政権での戦争のベトナム化という方針転向を促した。
 イラク戦争では、ブッシュ政権は一貫して、戦争と市民生活との距離を保とうとしてきた。その方法として用いたのが、情報統制と戦争の民営化である。近現代で今回のイラク戦争ほど、民間企業が戦争に深く関わった例はない。即ち、米軍の後方・側面を支援する軍事会社や、ハイテク戦争を主導する各種メーカーの存在である。これら軍事会社のスタッフが武装勢力のテロに倒れても、それは米軍の戦死傷者にはカウントされない。又、米軍兵士は全て志願兵であるが、そのかなりの部分が市民権待機者で占められている。一説では兵士全体の1/3を占めていたとも云われる。市民権待機者とは、アメリカ永住権は持っているが、市民権は持っていない者のことである。かれらには兵役に付くと優先的に市民権が与えられる。この結果、市民権待機者の志願が増加する。彼らは通常のアメリカ人以上に、アメリカ人たるとする。例のバグダード陥落後、フセインの銅像の上に登って星条旗を振った兵士も、ビルマ系市民権待機者だったのである。
 兵士も又、一般市民とは遠い処にいた人が大部分だったのである。従って、その死傷も一般市民にとっては自分には縁の遠い、新聞やテレビでの話しに過ぎなかった。

 通常、市民が戦争に対し疑問を持ち出すのは、いつまで経っても戦争は終わらず税金ばっかりが上がる、政府は勝った勝ったと云っているが、近所で男が段々と少なくなり、誰それが戦死したという噂ばっかりが聞こえてくる、というような状態が続いたときである。上で述べたように、ブッシュ政権はこの二つの要件を誤魔化してきたため、国民は戦争に疑問を持たなくなってしまった。その結果ダラダラと、5年も戦争を続けてしまったのである。
(09/02/28)

 通常、市民が戦争に対し疑問を持ち出すのは、いつまで経っても戦争は終わらず税金ばっかりが上がる、政府は勝った勝ったと云っているが、近所で男が段々と少なくなり、誰それが戦死したという噂ばっかりが聞こえてくる、というような状態が続いたときである。上で述べたように、ブッシュ政権はこの二つの要件を誤魔化してきたため、国民は戦争に疑問を持たなくなってしまった。その結果ダラダラと、5年も戦争を続けてしまったのである。
(09/02/28)

 オバマはイラク紛争をイラクに委ねると言明(02/25米議会演説)。かつてベトナム戦争が泥沼状態になったとき、同じように戦争のベトナム化が行われた。結局は南ベトナム政府とアメリカのベトナム撤退となった。今回とは少しニュアンスは違うが、これでイラクが安定化するかどうかは別問題。もし将来イラクがイスラム過激派に乗っ取られたとき、イスラエルの関係でアメリカが冷静でいられるでしょうか?
(09/02/25)

 あるサイトを見ていると世の中には仕事をゲーム感覚でやろうとする会社があるらしい。ではどういう感覚かというと、単に仕事のやり方によってポイントが積み上がるだけの単純なもので、ゲームというより、お友達同士のお遊びかスーパーのポイントカードに近い。ゲームというと思い出すのは「ゲームの理論」。これを作ったのはフォン・ノイマンというユダヤ人学者。計算数学の天才でノーベル賞受賞者。量子力学の解法である統計力学の創始者の一人でもある。量子力学に何故統計が必要かというと、ハイゼンベルグの定理により、量子の挙動はニュートン型の決定論では記述出来ず、確率的にしか記述出来ないからである。これには膨大な計算が必要になるが、ここに計算数学の天才が力を発揮出来る場が生じた。更にこれを必要としたのが、原爆の開発である。彼はマンハッタン計画にも関係したが、本業は弾道計算器の開発。彼はこれを0と1の組み合わせ(真空管のON、OFF)で解決した。この結果がENIACという世界最初のコンピューターである。現在のコンピューターをノイマン型と云うのは、これが理由である。
 さて、ノイマンはその後「ゲームの理論」に転身した。「ゲームの理論」といってもテレビゲームの世界ではない。その目的はアメリカの戦略意志決定の理論構築。戦略を練る場合まず必要なことは、相手がこちらの行動に対しどう反応するかの予測である。19世紀型帝国主義戦争は比較簡単で、第一次大戦のように複数国が参加する場合でも、、参加者は概ね同じ価値観・行動原理を持っている。しかも参加者はそれぞれ条約によって関係付けられている。つまりみんな共通のルールで戦うわけだ。従って、それぞれを縛る条約の内容を吟味すれば、相手がどう動くは予測出来た。しかし、第二次大戦後の世界はイデオロギー対立という、かつて経験したことのない状況下での戦略である。ゲーム参加者の数が遙かに多くなると同時に、ルールは参加者毎に異なってくる。例えば民族解放戦争の場合、独立派にとっては、先進帝国主義国家が作ったルールなどクソ食らえと言うわけだ。この場合、戦略はそれまでのような決定論的方法は使えなくなる。相手の反応は確率的にしか予測出来ない。この確率を如何に予測するかに統計力学の手法が応用されたのである。これが「ゲームの理論」の本質である。
 この理論を最も強力に推進しアメリカ政府に売り込んだのが、ランド研究所という保守系シンクタンクである。ランド研究所についての詳細は避けるが、何となくカルト集団の傾向も見受けられる。ランド研はまず1960年代に、ドミノ理論という悪名高い理論をあみ出し、これを当時のアメリカ(ジョンソンーニクソン)政府に売り込んだ。ジョンソンはこれにはまってしまったが、ニクソンはそうでも無かった。結局は73年のベトナム全面撤退に追い込まれてしまった。
 ベトナム戦争の失敗でランド研は、暫くなりを潜めていたが、イラク戦争で再び姿を現した。その間、おそらくネオコンと接触し、ブッシューチェイニー外交路線の筋書きを書いたと思われる。即ち、9・11事件の後のブッシュドクトリン、即ち「単独行動主義」、「自由と民主主義の拡大」、「不安定の弧」といった一連のネオコンテーゼはランド研の創作によるものと考えられる。そして、その戦略のベースになったのが「ゲームの理論」なのである。
 そして結果はどうなったか?再び失敗したのである。07年、泥沼に陥ったイラク情勢を立て直すために、ブッシュはイラクへの兵力増派に踏み切った。この背景にもランド研の介在が疑われるが、はっきり言えば、これはこれまでの戦略理論の破綻を認め、力づくで問題を解決しようとしたに過ぎない。例えば、上越新幹線中山トンネルは着工以来10年経っても、坑内の湧水、崩壊で全く開通の目処が立たなくなった。これに対し最期はトンネル上部の地表から強引に薬液注入をやって開通にこぎ着けた。環境汚染など関係なし、工期に間に合えばそれでよし、という発想である。何となくこれによく似ている。
 では、ベトナム・イラク戦争の失敗の原因は「ゲームの理論」の破綻なのか、それともゲームモデルの構築にあったのか?その辺りはよく判らないが、少なくとも後者に何らかの欠陥があったようには思える。モデルの構築には経験の積み重ねが重要だが、アメリカはレーガン政権以後、経験よりは理論重視に陥った。その結果が市場経済主義の導入であり、更に選択と集中のかけ声の下に古い経験と知恵を捨て去った。その結果、コンドリーサ・ライスという大学院程度の知識しかない人間に国家の命運を託してしまったのである。イラクの失敗は何も史上初めて起こったことではない。アメリカ自身30年前に経験したことを再学習したに過ぎない。果たして、アメリカはこの学習を経験として取り込めているだろうか?未だ判らない。
(09/02/12)


 大日本雄弁会講談社発行の「クーリエジャパン」という雑誌があって、それを本屋で立ち読みしていたら、ライス前米国国務長官へのインタビュー記事が載っていた。斜め読みしたが、それ以上詳しく読む気もしなかったですねえ。印象は、まるで指導教官向けに書いた女子大学院生的答案、内容空疎な言い訳の羅列。反省も無ければ今後の展望もない。6年経ってライスのイラク・アフガン戦略は失敗したのは顕か。このほどやっとイラクで地方選挙が行われた。これをライス等は成功々と自画自賛するが、これに要した時間・コスト・犠牲者の数、それに政策・戦略の混乱を見ると、とても成功と言えたものではない。大統領選に合わせて強引にこじつけただけである。既に過去の人間だからどうでも良いが、もう少し我が身を振り返ってみてはどうかね。
 ワタクシがライスを大学院生並みと評する理由をもう一つ。それはクーリエの記事に、経済的な観点が全く欠如していることである。それだけではなく、ブッシュ政権時代(安保補佐官と国務長官)に彼女から、経済的視点からのコメントを聞いたことがない。それどころかブッシュの放漫財政を放任していたのである。彼女の担当は外交と安全保障だが、内閣の一員である以上、国家財政に無関心であって良いはずがない。ブッシュ政権閣僚のこの無責任たこつぼ振りが、現在のアメリカ経済崩壊を呼んだのである。なお、彼女が唯一経済的発言を行った例としては、イラク戦争が始まったときに日本政府に「戦争に協力すればイラク復興ビジネスに参入出来る。悪い話しではない」と語ったことがあげられるが、これは経済というより、品の悪い地上げ屋まがいの勧誘である。
(09/02/02)

 イスラエルはエジプトとガザを結ぶ密輸トンネルを空爆しているようですが、これは殆ど効果は無いでしょう。例えば、イスラエルがトンネルルートを正確に把握し、そこへピンポイントの地中貫通弾を打ち込んだところで、破壊される部分はせいぜい直径10数m程度。こんなもの、迂回トンネルを掘れば直ぐに元通りになる。
 そもそも中東パレスチナという地域は地下水位は低く、地山は中生代の砂岩や石灰岩などで自立性は高く、しかもスコップやツルハシで十分掘れる程度の堅さだ。だからトンネルを掘るのに障害になるものは何にもない。おまけに西南〜中央アジアにかけての地域は、有史以前から水路トンネル(カナル)が掘られ、トンネル技術に関しては、極めて進んでいるのである。現在日本のトンネル標準工法であるNATMももとはと言えば、その起源は中東地域にあったのである。
(09/01/28)

これはガザ上空の衛星写真です。赤線の内側がいわゆるガザ地区。その外側はイスラエルです。イスラエル側に点々と見える緑はユダヤ人入植者用のファームです。レーガン政策で東欧・ソ連が崩壊すると、ヨーロッパ・ロシア地域に発生したのが個別民族主義、即ち人種差別主義。その最初のターゲットになったのがユダヤ人。同時期に北アフリカでもイスラム原理主義運動が始まり、アフリカ系ユダヤ人に対する迫害がはじまる。これに対し、イスラエル政府ははパレスチナ帰還運動を始める。そして新イスラエル人をガザやヨルダン川西岸地域の周辺に入植させた。そこを追い出されたのが、居住権を持っていたパレスチナ人。これがその後の新しいパレスチナ紛争を産んだのです。今回のガザ紛争も、元を糺せばレーガンに行き着くのです。
 
では緑の斑点、つまりファームを維持するには何が必要でしょうか?それは水です。この水を現在のイスラエル政府はヨルダン川と地下水に頼っています。しかし、こんなに沢山のファームを一時に作って、全体の水収支バランスは大丈夫でしょうか?それ以上にイスラエルの経済バランスは大丈夫でしょうか?いいえ、とんでもない。先進国の中で、イスラエルほど経済バランスの悪い国はありません。農業は国庫補助頼み。国家財政も慢性赤字財政。海外からの送金と、アメリカの無制限軍事・経済援助で、やっと帳尻合わせをしているだけ。今回の世界同時不況で海外からの送金も当てにならなくなった。唯一の外貨獲得資源であるダイヤモンド加工やITだってどうなるか判らない。ドル安でシケル(イスラエルの通貨でドルにリンク)など紙屑みたいなもの。というわけで今回のガザ侵攻は、イスラエルにとって乾坤一擲の大バクチ。イスラエルの一方的停戦など、ズバリ金がなくなったのだよ。それに世界中が目くらましに合ったようですな。(09/01/19)

 原油高が止まりません。この原因については皆さんいろんなことを云っています。やれ中国・インドのような新興国の石油需要だとか、サブプライムローン問題で行き場を無くした投機資金が原油市場になだれ込んだとか。それぞれはみんな当たっています。しかし誰も触れない原因があります。それは今のブッシュ政権がこの問題に無関心か、逆に原油高を容認しているフシがあることです。イラク戦争が始まったとき、ブッシュは戦費はイラクの石油生産を回復しその利益でまかなう、皆さんにご迷惑はおかけしません、と云った。ところが戦争は当初の目論見を外れ5年経っても終結の目処はつかない。戦費は膨れ上がる一方。ところがイラクの石油生産能力は過激派の妨害もあって遅々として進まない。石油生産が増えないのに利益を上げようとすれば、当たり前だが単価を上げるしかない。イラク産原油価格だけを上げるわけにいかないから、この際世界中の原油価格を上げてしまえ、というわけだ。昔なら戦費はアメリカの負担だけで済んだ筈だが、何のことはない、世界中の人々がガソリンや石油、食料価格という形でイラク戦費を支払わされているのである。従って、ブッシュが大統領でいる限り、原油価格も食料価格も下がらない。ブッシュこそ21世紀最大のキリストの敵、吸血鬼と云ってよいだろう。ブッシュは熱心なキリスト教徒ではないか?だって。あのドラキュラ・ブラド・チェペシュも熱心なカトリックだった。
(08/06/02)

 新春、ろくでもない正月番組など見たくもないのでリモコンを回していると、NHKBSでカイロ、ニューヨーク、東京の三元中継でイラク問題徹底デイペートというのをやっていたので、一部だけ何気なく見てみた。登場者はカイロは、カイロに逃げ出してきたイラク人学生、ニューヨークはアメリカ人学生それぞれ6人、東京はNHK解説員。カイロ側は当然だが全員がイラク戦争並びにアメリカの占領統治に対し批判・否定的。一方ニューヨーク側は、昨年アメリカ中間選挙でイラク撤兵を主張する民主党が勝利し、しかもニューヨークは民主党の金城湯池。だからここでもイラク戦争批判意見が出るかと思いきや、意見はバラバラ。三人がイラク戦争積極肯定・ブッシュ政策支持、一人が消極的支持、批判派は二人、しかも積極的批判派は一人に過ぎなかった。さて、面白いのが、これらの意見の人種構成である。消極的支持及び批判派の全員がプロパーのアメリカ人と思われる白人。一方積極肯定派は一人がユダヤ系、一人が中国(名前から見ると香港?)系、もう一人が亡命イラン人。つまり、アメリカの政策を積極支持しているのは、全員が人生の途中からアメリカ人になった人達なのである。「辺境に忠誠心が宿る」と云う言葉がある。普段、辺境にあって差別されている者ほど、危機に際し君主から忠誠を求められると、より忠誠心を発揮する、という意味である。ロシア革命の際、普段辺境で過酷な境遇にあったコザックはロシア帝国のために最後まで戦った。滅び行く徳川幕府に最後まで忠誠心を発揮した新撰組は、三多摩の農民に過ぎなかった。上に挙げた新アメリカ人は、未だ十分アメリカ人とは認められていないだろう。従って、よりアメリカ人らしく振る舞う必要がある。又、何世代も前からのアメリカ人ならアメリカを批判的に見ることも出来るが、新アメリカ人の場合本人自身もアメリカを全肯定してアメリカにやってきているわけだから、今更アメリカを否定すれば自分自身を否定することになる。従って、一般アメリカ人以上にアメリカを肯定することになるのだろう。と言うことは、このトーク番組におけるアメリカ人学生の意見は、全アメリカ人学生の平均的意見を反映している物では無いということだ。要するにNHK側の人選ミスということになる。
 なお、アメリカ側イラク戦争積極肯定派の問題点は次の諸点である。
 (1)中東特にオスマントルコとイラクの歴史・文化に対する無知。
 (2)イスラムの歴史に対する無知。特にスンニ派シーア派の歴史と関係に関する無知。
 (3)9.11テロの背景とイラク(特にフセイン政権)、アルカイダ、タリバンの関係に関する無知及び認識不足。
 (4)イラク戦争開戦に関する欺瞞に対するナイーブさ。
 (5)アメリカ文化に対する盲目的信仰。これの押しつけが如何に他国・他民族を侮辱しているかに関する認識不足。
 要するに馬鹿だということだ。
(08/01/06)

トルコ/アメリカ関係が急速に悪化。原因は米下院外交委員会が、第一次大戦中のアルメニア人殺害事件を、トルコ軍による虐殺として、トルコ非難決議をしようとしたことに始まる。アルメニア人というのは、ユダヤ人と並ぶ商売上手で、アメリカにもアルメニア商人が多数住んでいる。彼らが米共和党に金品を送って議員を籠絡し(判りやすい言葉で言えば買収)、事を進めたのである。この構図は、イラク戦争の前に、クルド商人が共和党を買収して、開戦を唆したケースとそっくりである。この結果、アメリカの支持を良いことに、トルコ国内でのクルド人武装勢力の反トルコ活動が活発化している。なお、今から65年ほど前に、蒋介石のスポンサーである浙江財閥が米議員を買収して、アメリカの対日世論を一気に反日に持っていき、日米開戦のきっかけを作ったことがある。筆者は私見ながら、相手が買収しているのなら、こちらも負けずに買収作戦で対抗すればよかったのにと考えるのだが、単細胞単直線思考しか出来ない日本人には、それが無理だったのだろう。
 さて、この問題について過日駐トルコ米大使と、共和党議員との討論があった。駐トルコ大使はイラク戦争への悪影響を懸念して、米議会での非難決議に反対する。一方、これに対する共和党議員は、日本の従軍慰安婦問題非難決議採択が日本で全く問題にならなかったことを引き合いに出して、今度のアルメニア人問題も自ずから解決するだろうと、楽観的な見通しを示した。この単純さが、アメリカ人の最大の欠点なのである(そしてその代表がブッシュ)。そもそも従軍慰安婦問題は、日本から始まったものである(火を付けたのは、既に死んでいる元朝日新聞女性記者)。そして、この問題は日本国内でも否定的に受け止められている。一方アルメニア問題は、まずフランスで始まり、それがアメリカに飛び火した。日本とは条件が違うのである。当然、トルコ国内から猛反発を喰らう。そして、昨日トルコ軍部がイラクへの越境攻撃を議会に申請したと云われる。アルメニア問題はとんでもない方向に行こうとしている。
 これというのも、ブッシュ始めアメリカ人自身が深い歴史認識を持ち得ていないからである。
(07/10/16)

本日、日本記者クラブ主催公開討論会で、麻生が安保理謝意決議に関する「国連への働きかけは、参院選直後からワタクシ主導で行った」と発言。なんだかこれまでと話しが違ってきた。一体全体どれが本当なのでしょうか?さて、何故このような工作を行ったか、と言うと、17年前の湾岸戦争の時に、「日本は莫大な戦費負担をした。しかるに、戦後のクウエート政府は、戦争参加各国に謝意を表したものの、日本に対しは一言も触れなかった」。どうもこれが外務省のトラウマになっているらしいのである。麻生はその代弁をしているだけ。何故そんなに感謝して欲しいのだろう。誰かに何かをして貰えば、それに対し感謝の意を表するのは常識である。それをしなかったのは、クウエート政府が非常識であっただけ。要するに金持ちアラブ人は、そのような人でなしなのだ。そんなのは相手にしなければよい。そんな人でなしの獣の謝意が、何故欲しいのかね。金持ちに取り入って、自分も上手い汁を吸いたいだけなのか?湾岸戦争中、クウエートの王族や高級官僚は、カイロのデイスコに入り浸って遊び撒くっていたらしい。サウデイなら酒は飲めないが、カイロは構わないからね。アルカイダは、こういう腐敗堕落したアラブ王族こそ、テロのターゲットにすべきなのだ。

 「小人閑居して不善をなす」。国連安保理感謝決議は、日本外務省の独走と思っていたが、なんとアベがブッシュに直談判して実現したらしい(外務省筋)。おそらく外務省とアベの二人三脚で、考え出したのだろう。つまり、ブッシュを巻き込んだヤラセなのだ。そうすると、安保理決議の権威も疑わしいものになり、自民党が大はしゃぎするほどのものではない、ことになる。さて、このニュース、外務省は(首相やブッシュも動かせるという)自分の力を誇示するためにリークしたのだろうが、逆効果だと思うがね。何故なら、ブッシュが動かなければ感謝決議も無かったわけで、そうなら他の安保理各国は、日本の給油活動を感謝していなかったことになる。そう言えば、アメリカ中東軍司令官の談話も、それほど焦っている様子でもなかった。
(07/09/21)

 昨日国連安保理で、日本のアラビア海における給油活動について感謝決議。何のことはない、陰で外務省がウロウロ根回ししたおかげ。国内では、福田や与党は、「給油活動は国民の理解を得られている」なんて呑気なことを云っているが、早速民主党の反発を買い、国会でもどうなるかどうか判らない。この対国連根回しは、外務省全体の意志で行われたものでしょうか?ワタクシは外務省内の一部の独断暴走と見ています。無論、陰にアベやその周辺の了解があったことは、疑う余地はありませんが。外務省といっても、一枚岩の団結があるわけではなく、中に幾つもの派閥がある。
 そもそも、日本が本格的な外交官僚を養成し出したのは明治維新以降、教師はイギリス。日本はイギリスの云うことさえ聞いていればよかった。これで日露戦争をクリアーしたところまでは良かった。ところが、第一次大戦後、イギリスは突然日英同盟を廃棄し、更にその後ロンドン軍縮条約で日本の敵側に廻った。たちまち外務省内は混乱し、守旧派である英米派と反英米派に分裂する。反英米派が注目したのは、当時上昇気流に乗っていたファシズム国家、就中ナチスドイツ。日中戦争が泥沼化するにつれ、国内世論は反英米に偏る。結果として英米派は駆逐され、外務省はドイツ派に乗っ取られた。ドイツ派の代表が松岡洋右であり、大島浩である。彼らは陸海軍のドイツ派と手を組んで、三国同盟に突き進み、対英米開戦を主導した。そして敗戦。ドイツ派は追放され、英米派・・・といっても実態はアメリカ派・・・が実権を握った。そして、日米安保条約により、日本の外交政策は対米追随主義となり、この傾向はコイズミ・アベ政権により、更に強化された。外務省内は親米派一色に塗りつぶされた、と言いたいところだが、そうは問屋が卸さない。かつての反英米派のDNAは未だ残っていた。その内一つは日中国交回復で息を吹き返し、親中派(いわゆるチャイナスクール)を作り、又一つは親露派を作った(例の佐藤優などはこれのメンバーだろう)。今回の事件は、彼らに対抗する岡崎ー柳井ラインに繋がる、親米強硬派が引き起こしたもの。なお、田中真紀子が辞めたのは、外務省の派閥争いに巻き込まれたためと考えられる。田中の立場は無論親中である。当時やっと外務省の実権を取り戻した親米派は、真紀子の出現で自分達の力が弱められるのを恐れ、真紀子追い出しのために、様々な瑣事をマスコミや官邸にリークし、世論を自己有利の方向に誘導していったのである。それを知らないマスコミは真紀子バッシングに奔り、陰険冷酷なコイズミはこれ幸いと真紀子斬り。
まあ、日本の外務省の考えること、やることはこの程度だから、いずれ馬脚を現すでしょう。
(07/09/20)

アフガニスタンの韓国拉致被害者全員解放が決定。建前としては、韓国軍の年内撤退とか、キリスト教の布教禁止などと云われているが、裏で金が動いているのは間違いない。要するに、韓国はアメリカの云うことは聞かないぞ、という意思表示。これはこれまでの対北朝鮮政策でも顕かだったのだが、誰もそれに気が付かなかったのだろうか?
(07/08/29)

 小沢、シーファー駐日大使に対テロ特別措置法延長反対を明言。これに対しアメリカや自民党、民主党の一部からも反発の声が挙がっている。幾ら小沢でも、野党なんだから、アメリカだって無視しても良さそうなのに、わざわざ駐日大使が民主党本部まで出向いたというのが重要なのである。一番慌てているのが自民党。自民はみんながみんな馬鹿じゃないから、小沢の狙いを判るものは判っている。一番判っていない馬鹿が前原のような民主保守派だろう。さて以上は国内問題だが、小沢の対テロ特別措置法延長反対の真意は、国連決議がどうあろうと、現在の対テロ戦争は既に主旨・目的から逸脱しており、方法としても全く破綻している。今後このような戦争を続けたところで効果はなく、いたずらに犠牲を増やすだけである。ここはひとまず原点に帰り、戦略そのものを練り直すべきある、というところか。但し、これでは日米同盟の根幹を崩すことになるから、与党としては到底認められない。
 まずアフガニスタンでは、最初に米軍が侵攻しタリバンを追い出した後、国連決議に基づいてNATO軍が展開した。カブールにはカルザイを首班とする傀儡政権も誕生した。それから5年半、今どうなっているかというと、主犯のラデンはいまだに行方を眩ましたまま。知らない間にタリバンは勢力を盛り返し、全土の1/3を制圧するまでになった。これまでタリバンが弱かったアフガン北部まで、タリバンの攻勢が強まっている。それどころか、これまでアルカイダとは無関係だったタリバンが、実質的にアルカイダに指導されている疑いさえ出てきているのである。これは、これまでのアメリカとNATOの干渉が全く無意味どころか、返ってタリバンやアルカイダの復活・勢力伸張に寄与したに過ぎない、という結論しか出てこない。
 イラクではどうか?4年経っても事態は一向に改善しない。マリキ政権は閣僚の半数近くがボイコット又はサボタージュで穴を埋められず、半身不随状態。大統領は強欲で利己主義者のタラバニだから、誰からも信用されていない。昨年の中間選挙敗北に驚いたブッシュ政権は、08年4月までの撤兵を表明せざるを得なくなった。その為07年5月から米軍を増派し、イラクの治安を回復して、8月からは漸次撤兵を始めるはずだったのである。その為に06年年末に急いでフセインを処刑したが、治安が良くなるどころか、テロはますます規模を拡大している。冷静に見れば、アフガニスタンもイラクも出口の見えない袋小路状態で、対テロ戦争も今や、かつてブッシュやコイズミが毛嫌いした、「効果のない公共事業化」しているのである。
 何故こうなったかは、ブッシュを始めコイズミもブレアもアベも前原も、中東紛争の歴史を全く勉強していないからである。勉強していないから、横からそれらしい話しを聞かされるとその気になって、ますます深みにはまりこむ。認知症レベルの老人が詐欺師の甘言に乗って、財産を皆はたいてしまうのと同じパターンなのだ。まず、現在の対テロ戦争の発端が9.11テロということは、誰でも判る。では9.11テロの原因になったことは何か、と云うとパレステナ問題である。この問題の始まりは古く複雑で、第一次大戦まで行ってしまうのだが、それは別にしても1980年代のレーガン戦略にその遠因がある。それまでの世界は米ソ冷戦という奇妙な対立均衡状態にあった。この状態を一番上手く利用したのが、誰あろう、我が日本国なのである。ところがこのカリフォルニア出身の頭のおかしい元三流西部劇役者が大統領になって、この均衡を潰してしまった。東欧ソ連崩壊である。社会主義体制は崩壊したが、その変わり台頭してきたのが、欧州各国の右傾化と個別民族主義である。その標的になったのが、東欧旧ソ連地区のユダヤ人。同じ頃、東アフリカでもスーダン、ソマリアにイスラム原理主義政権が誕生し、アフリカ系ユダヤ人に対する迫害が始まった。これに対し、イスラエル政府は、紛争地域のユダヤ人、ユダヤ教徒に対しパレステナ帰還運動を始めた。その結果、イスラエルの人口が急速に増加した。問題は急増した新イスラエル人を何処に住まわせるか、である。これに対し、イスラエル政府はこれまでパレステナ人地区との緩衝地帯だった非武装地区への入植を始めた。当然パレステナ人側からの反発を買い、自爆テロを含む報復が始まる(いわゆるインテファーダ。第6次中東戦争とも呼ばれる)。これに対しイスラエルはパレステナ人地区への軍事侵攻で答える。いわゆる報復の連鎖である。これはクリントン政権が仲介に立って、一旦和平が実現する(オスロ合意)。ところが、イスラエルのネタニエフ首相がユダヤ教極右のテロに倒れ、あとを襲ったシャロンが強硬派だったから、和平合意は元の木阿弥。おまけに01年アメリカ大統領になったG.W.ブッシュはパレステナ問題に無関心。おまけに「イスラエル人にも生きる権利がある」とか、「シャロンは平和の人」などと、無神経なことを放言するものだから、パレステナ人やアラブ人(特にイスラム原理主義者)の反発を買ってしまった。これが9.11の原因なのである。それから先はボタンの掛け違いの連続。つまり現在の対テロ戦争は、ブッシュが自ら撒いた種なのである。ブッシュはイスラエルというちっぽけな国に拘り、ユダヤ人と宗教右派の票が欲しいばっかりに、パレステナという狭い地域に限定しておけば解決出来る問題を、イスラム対欧米という解決不可能な国際問題に拡大してしまった。これがそもそもの間違いである。更に問題は、今の世界に、ブッシュに対し以上のことを直言出来る人材がいないことである。
(07/08/18)


 今度はアフガニスタンで23人の韓国人団体がタリバンの捕虜になる。この団体は某キリスト教団体に所属しているらしいが、どういう団体なのでしょう?それは別にして、タリバンはこれまで、外国人の人質を取ったり、脅迫するようなことはしなかった。この手は、むしろイラクでスンニ派武装勢力によって使われてきた。スンニ派を陰で動かしていたのがアルカイダだから、いよいよアルカイダがタリバンの前面に出てきた証拠。
(07/07/26)

 云った通り、「ラル・マスジッド」モスク制圧後、パキスタンで自爆テロが相次いでいます。この背後にタリバンとアルカイダがいるのは顕かです。いよいよパキスタンのアフガン化とイラク化が始まりました。これまで、パキスタン政府とタリバンが、手打ちするチャンスは何度かあったと思うのだが、その都度潰してきたのがブッシュ。そもそもこれまで、タリバンは自爆テロなんかやらなかった。むしろ今、タリバンを操っているのがアルカイダと思って良いでしょう。いや、アルカイダが前面に出てきたとも云える。タリバンのアルカイダ化、パキスタンのイラク化だ。
(07/07/21)

またまた、不吉な予言をしなくてはならないようです。それは、今後、パキスタンでも自爆テロが発生するだろう、ということです。パキスタン政府はイスラム過激派神学生が支配する、首都イスラマバードのモスクへの武力制圧に乗り出した。本日毎日新聞外信では、イスラマバード市民は概ね好意的に受け止め、イスラム過激派への反感が強いことを報道している。さて、これはパキスタン全土について云えることだろうか?ムシャラフはアメリカの要請を受けて、アフガニスタンとの国境を封鎖し、パキスタン国内でのタリバンの弾圧に乗り出した。その見返りとして得られたのが、アメリカからの経済支援。問題はこの支援が、全土全国民に等しく分け与えられたかどうかである。日本では、北朝鮮支援が全国民に行き渡らず、政権周辺に留まってしまって、キムジョンイル体制の維持にしか貢献していないのではないか、という批判がある。北朝鮮で起こっていることが、パキスタンで起こっていないはずがない。何故なら、どちらも非民主的な強権独裁政権だからである。西側の経済支援はムシャラフとその周辺、地域的には首都周辺に留まり、地方、特に従来反ムシャラフ勢力の強かった北部山岳地帯は、支援の枠外に置かれる。結果として、都市と地方の経済格差はますます広がる。都市には経済支援の恩恵に浴した新富裕層が産まれる。彼らは当たり前だが、アメリカとその下請けである現政権を支持する。一方地方には新たに貧困層が発生し、更に貧困化が進む。その隙間に入り込んで来たのが、タリバンとアルカイダ。タリバンは元もと、パキスタン北部のイスラム神学校から産まれたものだから、故郷に帰ってきたようなものだ。
 現在アフガニスタンでも、国連支援に湧く首都カブールと、それから疎外された地方との格差が顕在化し、地方に根拠を置くタリバンが復活し、カブールでも自爆テロが発生するようになった。カルザイなんか、最早お飾りで実権はない。アフガンのイラク化が進んでいるのだ。従って、今後予想されるのは、パキスタンのアフガン化であり、更にはイラクからパキスタンまでのイラク化である。その背後にあるのがアルカイダ。その結果、パキスタンでも自爆テロが頻発し、ムシャラフ政権は、イラクのマリキやアフガニスタンのカルザイと同様、ブッシュがいなければ、一日も持たないような状態になるだろう。
 そもそもアメリカは北アフリカから北東アジアまでを「不安定な弧」と称して、この地域の民主化を推進しようとしてきた。何が不安定だったか?それはこれら地域社会が、元もと不安定だったのではなく、政権がアメリカを支持するかどうか、が不安定だっただけの話しである。アメリカがこの地域に持ち込んだものは、アメリカ型民主主義だけではなく、アメリカ型消費社会と市場原理主義経済である。それが返って地域内経済格差を産み、不安定でなかった地域を不安定化してしまった、というのが実態だろう。ブッシュとライスとチェイニーのおかげで、アルカイダはイラクとアフガニスタンを手に入れ、次はパキスタンを手に入れるだろう。その次は、エジプトかサウデか?
(07/07/09)

 サミットと平行して、バーレーンで中東経済フォーラムが開催された。これについて日本のマスコミが殆ど報道しないのが不思議。フォーラムコメンテーターは主に中東イスラム諸国指導者(イラク、サウデだけでなく、イランやカルザイまで出席)であるが、リスナーにはインド・中国など非イスラム諸国からも参加があった。ところが日本からは誰も出席していない。ついこの間、日本の首相が中東諸国を訪問したにも拘わらずだ。おそらくサミットで手が一杯で、中東までも手が回らなかった、と言い訳するだろう。しかし、一事が万事この調子だから、日本は中東諸国の信頼を失い、重要な時に足下を見られるのである。
 なお、このフォーラムで注目されるのは、パレスチナ問題へのアラブ諸国の対応の変化である。サウデやヨルダンまでもオスロ合意への復帰を要求している。日本もアメリカ追随一編道では船に乗り遅れる。
(07/06/10)

 先日、アメリカABCのタラバニ大統領(クルド人)に対するインタビューを聞いていると、この大統領の下ではイラクは駄目だなという感がした。インタビュアーはしきりに、「イラクではイラク人犠牲者・アメリカ兵の死亡が増え、治安は悪化する一方、難民は膨大な数に上っている、アメリカ国内ではこれ以上の派兵に対する批判が強まっている」、とイラクの責任を追及する。しかし、タラバニは「いや、治安は以前に比べ良好で、数100万の人が安全に暮らしている。収入は以前に比べ200倍に増えた。今米軍が撤退するとかえってこの状況が悪化する。従って、米軍は撤退すべきではない」と言い張る。今イラクでこんな良い地域があるのか、というとそれがある。タラバニが出たクルド人地区である。つまり、今のところ今回の戦争で一番得をしたのがクルド人なのだ。首都バクダッドの制圧が今後のイラクの勢力地図を大きく左右するから、戦争の中心はバクダッド周辺となる。スンニ派武装組織の戦闘は、そこに展開する米軍・イラク政府軍・シーア派が相手になる。もし米軍が撤退すれば、スンニ派の攻撃はクルド人地域へも向けられることになる、そうなれば、タラバニだって呑気なことを云ってはいられない。だから、彼が米軍撤退に絶対反対することは当然なのだ。彼は今度の戦争で相当ためこんだのだろう。そうでなければ、こんなに米軍撤退に反対する訳がない。それともタラバニが貯め込んだ分の一部が、ブッシュ政権の周辺に還流していたりして。
(07/06/05)

今年、特に二月以降、イラクでのテロが増え、大規模化しています。これを一般にはスンニ派対シーア派の宗派間対立と捉えられていますが、果たしてそれだけでしょうか?私は急ぎすぎたフセインの処刑に対するスンニ派、特にフセイン支持派の報復が始まったと考えています。そもそもフセイン裁判はシーア派主導の一方的なもので、ヨーロッパ各国からは裁判の正当性について疑問が出されています。おまけに裁判が済むと直ぐ判決、判決が出ると直ぐに処刑実施。つまり、裁判から処刑までが、一連の政治スケデールに沿って動いていたことが判ります。さてこのスケデールは誰が決めたのでしょうか?ブッシュではないでしょう。いくら彼が馬鹿と言っても、こんな見え透いたことをやればテロが増える位のことは判る。おそらくマリキ・タラバニそれとサドルあたりの談合で決まったのではないでしょうか?手前勝手のマリキ、強突張りのタラバニが仕切っているようじゃこの国は何時までも持たない。アメリカだって何時までもこんなのに付き合っている訳にはいかない。2年後には間違いなく撤退(事実上の敗北)だ。米軍撤退と同時に崩壊だ。その後、この国に入ってくるのは何処か?ロシアか?中国か?
(07/04/24)


 チェイニーを狙った自爆テロが、カブール近郊の米軍基地で発生。米側はこれは予測内と主張しているが、未然に防げなかったことは、今のアフガン政府の権威が首都近郊でもぐらついている証拠。何故こうなったかというと、アメリカの驕りと、それに伴う誤算の結果です。
1、アフガン作戦の初期の成功に舞い上がり、タリバンは排除されたと錯覚してしまった。ところがタリバンはパキスタン領内に逃げ込んだだけ。
2、次いで、傀儡であるカイザルを支援するために部族勢力の武装解除に踏み切ったが、当たり前だが、これに素直に応じるのもいれば形だけで武器を隠匿するのもいる。その結果、部族勢力の均衡にアンバランスが生じ、カイザル政権の基盤を返って不安定にしてしまった。
3、そこがタリバンの付け目で、政権と部族勢力との間に出来た隙間に、アルカイダと一緒に潜り込む。
 その結果、今やタリバンはアフガン中で我が物顔に大暴れ(アメリカABCニュース)。このまま行けば、アフガンは再び大混乱。カルザイはその内、殺されるかアメリカに逃亡しかない。タリバンと手を組んで置けば(少なくともタリバンは9.11テロには無関係)、アルカイダは支持を失って孤立する。元もと反イランのタリバンはイランに対するプレッシャーにもなる。尤も、タリバンがウンというかどうか判らないが。
(07/03/01)

 アメリカは今年の夏、遅くとも秋にはイラク撤兵を開始すると思われます。と言うよりむしろそうせざるを得ないでしょう。1年半後には次期大統領選挙です。もし、イラク情勢が今の状態なら、民主党はイラク即時撤兵を求めて共和党を攻め立てるでしょう。その時点での米軍死者数は、およそ4600〜4800人程度と予測されます。これではとても勝ち目がない。だからブッシュが今やっておかなければならないのは、共和党の次期大統領候補が誰であれ、彼が勝てる環境を作ることです。それは、少なくともイラク戦争を終わらせ、出来れば勝利の装いのもとに撤兵を実現することです。その為の準備期間として少なくとも1年以上は必要です。それを実現するために必要な措置が米軍増派です。だからブッシュは幾ら議会が反対しても、支持率が低下しても増派をするでしょう。では、増派すれば、ブッシュの思惑は実現するでしょうか?大きな賭けです。しかし、強引な手法で、一時的にも治安が回復すれば、それを口実に撤兵すればよい。撤兵後、イラクは再び混乱するでしょう。その時はブッシュは引退しているし、責任を後継者に押しつけておけばそれで済む。後継者が民主党なら尚更だ。
 
 今、イラン攻撃が取りざたされています。何となく、太平洋戦争末期のインパール作戦を思い出します。日本軍は中国大陸の海岸線を封鎖し、中国軍を大陸奥地に追いつめ、都市と交通線の大部分を占領しました。それでも中国軍ゲリラの活動は止まず、200万もの日本軍は大陸に釘付けのまま。中国軍を支援しているのは英国。インドからビルマを通り、中国奥地を結ぶ、いわゆる援将ルートを使って大量の軍事物資を送り込む。これでは埒が開かんと、折から太平洋戦線の膠着状態打開・・・国民の目をそらす・・・の必要性もあって、昭和19年大本営はいわゆるインパール作戦を発動。これがとんでもない杜撰な計画で、大失敗。日本は太平洋だけではなく、東南アジアでもボロボロになったのです。
 今考えられているイラン作戦も、元はといえば@イラク膠着状態の打開(国民の目をイランに向けさせる)、Aイランによるシーア派武装組織への支援ルートを遮断する、の2点が発想の原点。インパール作戦とそっくりです。まさか、アメリカ国防総省の秀才達が、インパール作戦の戦訓を学んでいないとは思いませんが、大丈夫でしょうか?
(07/01/31)

ブッシュの対イラク兵力増派案に対し、アメリカ議会・マスコミでは悪評芬々。それでも更に今度はアフガニスタン派兵を計画。アメリカが幾ら何をやろうが関係は無いので構わないが、将来的には日本にもマイナス方向で影響が出てくる可能性がある。
 今の米国の置かれた状況は、かつて日中戦争での日本の状況と非常に似ている。従って、アメリカの将来は、かつての日本と同じようになるだろう。日本との類似点は次のとおりである。
1)相手が特定出来ない。
 日中戦争で、日本が闘った相手は単一中国軍ではない。大きくは、国民党軍、八路軍(共産党)それと独立系反日武装勢力である。それぞれが協同して(第二次国共合作)、バラバラに日本軍を叩くものだから、日本軍は常に兵力分散・逐次投入の愚を犯さなくてはならない。増派に継ぐ増派である。一方、イラクでも、スンニ派、シーア派がそれぞれ武装勢力を抱え、これにアルカイダのような国際反米組織が加わる。米軍もどれが本当の敵か判らなくなっている。
 戦争は始めたら終わらさなくてはならない。近代の戦争では、それは交渉で確認される。交渉する時には、はっきりした交渉相手が無ければならないし、出来れば信頼出来る仲介者がいた方がよい。ベトナム戦争の時は、北ベトナム政府というはっきりした交渉相手と、中国という仲介者がいたから、アメリカは途中で手をひけた。ところが相手が二つも三つもいれば、どれを交渉相手にして良いか判らないし、その内の一つと交渉しても、他の連中が足を引っ張る。だから何時までも戦争を引きずって行かなければならなくなるのである。
2)味方が頼りない
 そこで、交渉しやすい相手を自分でつくることになる。日中戦争では南京政府、イラク戦争ではマリキを頭にしたイラク暫定政権はそれである。ところがこれらが肝心の国民の信頼が無くて、全く頼りにならない。それどころか、マリキはタイミングが合わないのに、勝手にフセインとその子分を処刑して、混乱の火に油を注ぐ始末。これでは何時まで経っても埒があかない。国内世論からの批判は高まるばかり。
3)そこでよそに目を付ける
 中国大陸でどうにもならなくなった日本は、事態打開(という名の国民世論のすり替え)のため南方に戦線を広げ、遂に英米に宣戦し最終的に国を滅ぼした。ブッシュもイラクで立ち往生している現状を打開するため、アフガニスタンに戦線を広げようとしている。次はイランだろう。

 さて、日本はアメリカを敵にしたため、国を滅ぼした。アメリカはどうなるでしょう。いくらなんでも、タリバンやイランがアメリカを占領してしまうとは思えない。考えられることは、二年後ブッシュは負け犬として政権を追われ、後継政権は何ら成果を上げ得ないまま、中東から兵力を引き上げることです。アメリカの威信は地に落ち、中東特にイラクはその後10年に渉って混乱するでしょう。では、我が日本はどうなるでしょうか?現在の持続的経済成長はイラク戦争のおかげです。これには日本だけでなく、世界の様々な国が関係している。そのバランスが二年後には一挙に崩れるということです。何時までも輸出偏重市場経済原理主義だけではやっていけなくなるだろう、ということです。
(07/01/18)


 フセインが遂に処刑されました?何故クスチョンマークを付けたかというと、この手の話しに必ず付き物なのが、「処刑されたのは替え玉で、実は本物は生きている」という噂が発生することです。おそらく数年後、早ければ来年早々にも、この手の噂があちこちで流れ出すでしょう。それを避けるために、イラク政府は処刑直前のフセインの映像を、わざわざ流したのでしょう。しかし、人間の心理はしばしば科学技術を越えてしまう。フセインの存在を考えると、この手の噂が出来ないわけがない。但し、ブッシュが死んでも、このような噂は流れないでしょう。
 ワタクシ自身は、フセインの独裁肥大化の最大の協力者はアメリカだったと思っています。フセインが属したバース党は、そもそも反共反ソ政教分離が建前の世俗的民族主義政党で、米ソ冷戦時代の中東では、アメリカの最大の協力者だった。フセイン時代のイラクは、アメリカの手代としてイランに喧嘩を売り、その間アメリカ製兵器を大量購入して、アメリカ兵器産業の経営安定にも貢献した。90年湾岸戦争のきっかけになったクウェート侵攻は、アメリカの承認のもとに行われたのは間違いない。その証拠に、侵攻1週間前に、イラクがクウエート国境に軍を集結しているという報道があったにも拘わらず、ホワイトハウスは何にも動いていない。これじゃフセインは、アメリカがOKを出していると勘違いしても矢無を得ない。ワタクシもそう思っていました。おまけに駐イラク大使だったエイプリルは侵攻直後、本国に帰還してその後行方不明。エイプリルよ何処に行ったのだ?この件をアメリカでは民主党だけではなく、マスコミも一切追求していない。フセインのクウエート侵攻は、チリのピノチェトクーデターと並んで、戦後アメリカ外交最大のスキャンダルになっておかしくないのだ。
(06/12/31)

 フセインは30日中にも処刑される?かくて稀代の独裁者は殉教の英雄としてよみがえり、更なる災いをイラクの地にもたらすであろう。日本でも麻原彰晃の死刑が確定され、実施されれば、将来麻原が殉教者として復活するおそれがないとは言えない。
(06/12/30)

 イラク政府は年内にもフセインを処刑する構え。アメリカの圧力らしい。ブッシュはどうしても、さっさとフセインを始末してしまいたいようだ。フセインに生きていられると困ったことでもあるのか。大統領がクルド人で、首相がシーア派、副大統領がスンニ派とシーア派だから、政府自身が分裂してしまっている。間違いないのは、年明けからスンニ派によるシーア派へのテロが激化し、事実上の内戦に突入すること。そして米軍死傷者の数が増え、ブッシュの支持率が更に低下すること。
(06/12/29)


 イラク問題に対するベーカー/ハミルトン(B/H)委員会報告書は、アメリカ国内ではブッシュを除けば、概ね好意的に受け止められているようである。ところが、肝心のイラク大統領がこれに猛反発。反発のポイントは次の下り
(1)治安の回復にはイラク人(政府)が責任を持つべきだ。
(2)イラク政府が責任を果たさなければ、アメリカはイラク支援を停止すべきだ。
 この点は、筆者もB/H報告書のポイントを聞いていて疑問に思った。これでは今回のイラク戦争開戦責任、その後の治安悪化はイラク人(政府)にあるといわんばかりである。どうもアメリカ人は、ブッシュだけでなく議会を含めて、みんな今回の戦争の実態を理解していないようだ。「イラク人(政府)が責任を持つべき」という下りには、今回の戦争はイラク人が望み、米軍介入もイラク人の要請に依るものだ、といったニュアンスが感じられる。普通の人間なら、今回の戦争はアメリカが勝手にイラクに侵攻したのではないか?と思うのだが、アメリカ人はそうは思っていないようなのだ。実は伏線がある。フセイン時代、イラクからは反フセイン派のイラク人、クルド人が大量にアメリカに亡命して、それが一つの勢力を作っていた。特にクルド人は商売の民であり、共和党に多額の献金をしていた可能性は高い。他にも結構いい加減なのが多いのだ。例えば、チャビリの様なヨルダンから指名手配を受けているペテン師とか。これらは、フセインに掻っ払われた利権を取り戻したくて、アメリカにイラク侵攻をお願いしたのである。アメリカのイラク侵攻を主導した勢力には、ネオコンだけではなく、これら亡命反フセイン勢力も含まれている。その根拠は、何度も引用する、開戦半年前のアメリカABCによる対ライスインタビューである。これが米議会も含めて、アメリカ人がイラク戦争に対して持つ感情の現れであろう。つまり、「我々アメリカ人こそが、独裁者によって虐げられた哀れな人民を救済すべき義務を負っている。又、世界中もそれを望んでいる。」という錯覚だ。B/H報告書には、未だその点のトラウマが残っているようである。従って、米軍イラク撤兵はまだまだ先の話しになるでしょう。ただ、撤兵が遅れれば遅れるほど、アメリカの双子の赤字は膨れる一方。それを一体何時まで許容するのだろうか?その点がさっぱり理解出来ない。日本も何時まで付き合うのでしょうか?
(06/12/11)

 今度はボルトンが国連大使を辞任。海の向こうのネオコンは今やガタガタになった。ブッシュ政権発足時からつい最近までの、飛ぶ鳥射落とすあの勢いは何処に行ったのでしょう(以前「何処へ行った〇〇〇」という唄がありました)?ホワイトハウス、政府、議会、産業界から宗教右派を通じてアメリカ人の精神世界まで支配し、盤石の強さを誇り、数10年はアメリカと世界をリードするだろうと思われたあの勢力も、ピーク期間はたったの6年。日本の平家より短い。それでも彼らは自分が間違ったと気がつけば、辞めて行くだけましである。かつて、ネオコン勢力を誇大視し、アメリカ追従政策の旗振りをした、日本の政治家、評論家、マスコミの中では、未だ誰も過ちを認めたものはいない。それどころか、奴らはジャパンNSCに潜り込んで、更に日本を間違った方向に導こうとしている。そしてその親玉がアベシンゾーなのである。
(06/12/05)

 ラムズフェルドに続いて、ライスも政策の過ちを認める。チェイニーは多分絶対に認めないと思う。それは別として、果たして我が日本国の政府、外務省、防衛庁、自民党、公明党の判断はどうだったのでしょう?
(06/12/03)

 連日のイラク爆弾テロ。事態はブッシュや各国の思惑を越え、最早内戦モード。国内各派は既に内戦を準備している。ここにアフマデイネジャドがシリア、イラク、イラン枢軸を提案。イラクのマリキがシーア派だと言うことを考えると、これは呈の良いシーア派連合。シーア派による中東支配を目指すのか?これはサウジやヨルダンなどの親米スンニ派国家を痛く刺激するだろう。単なるイラク内戦を越えて、大規模中東戦争に発展するか?果たしてジャパンNSCはどう判断するか?あのメンバーじゃ、「まずワシントンにお伺いして」ということになるのではないでしょうか?
 もしこのシーア派枢軸が実現したらどうなるのでしょう。アフマデイネジャドの頭の中には次のような構想があると思われます。
1)シーア派連合を作ることにより、南の親米イスラム諸国に圧力を加え、国内に騒擾状態を作りイスラム革命を起こす。サウジ、ヨルダン、エジプト、クウエート辺りが標的です。
2)これらの国に反米、反西欧政権を樹立する。
3)シーア派連合と協同してイスラエルを包囲圧迫し、最終的に滅亡に追い込む。
4)その後中東イスラムは数100年の安泰につく。
 馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、実はこれは700数10年前に中東アラブ世界で起こったことを、現代風にそのままアレンジしているのです。200年近く続いたパレスチナの十字軍国家は、ほんの最期の20年位の間で、あっという間に滅んでしまったのです。一度あったことは繰り返す。二度あることは三度ある。但し、この構想を実現するためには、アルカイダのようなスンニ派原理主義者を撲滅しておくことが必要です。だから、将来アメリカがアルカイダやタリバンを支援する可能性もあります。
 なお、こういう騒ぎが起こると直ぐに石油が入ってこなくなるとか、ガソリン価格が上がるとか、くだらんことを云う馬鹿が直ぐに出てくる(例えばジャパンNSCメンバー候補生)。ご心配なく。多少の乱高下はあっても、石油価格は殆ど変化はないでしょう。
(06/11/25)

中間選挙に関するABC(11/05)のインタビューに対し、チェイニーが反論。「選挙結果がどうあろうと、議会が反対しようが、国民が反対しようが、我々は正しいことをやり抜く」。何処かで聞いたようなセリフですねえ。そうです。太平洋戦争末期。戦局は最期の巻頭に直面するも「断固聖戦完遂」を叫んだ、旧大日本帝国主戦論者のセリフです。しかし、今の米国が置かれている立場は、かつての日本ほど深刻ではない。止めようと思えば、何時でも止められる。彼は一体何のために闘おうとしているのでしょうか?彼の云う「正しいこと」とは何でしょう。ブッシュと石油産業の利益、チェイニー、ラムズフェルド、ライス、ネオコンとベクテル、ハリバートンら政権寄り企業の利益、ランド研のような保守系シンクタンク、一部の投資ファンドの利益、と考えれば納得できます。
(06/11/06)

 ダナット英参謀総長が「イラクの治安悪化は我々の存在が原因だ」として、イラクからの早期英軍撤退の必要性を示唆(06/10/14)。やっと気がついたか。この鈍さがアングロサクソンの特徴だが、海の向こうに、もっと鈍感なアングロサクソンがいるのが問題。さて、同参謀総長は失敗の原因を「イラク侵攻後の米英軍の対応は、楽観主義に基づいたお粗末なものだった」と言明。楽観主義をばらまいたのは誰でしょう。最終責任者がブッシュとブレアであることは間違いありません。彼等が楽観主義に陥ったストーリーを描いたのは誰でしょう。これは本当のことは判りません。共和党と石油産業、それに連なるシンクタンク、それに乗っかった国防総省の官僚達、何よりも彼等の尻を叩き急がせたのは、チェイニー、ラムズフェルドとライスの三人だとは言えるでしょう。
 彼等の過ちは何だったでしょう。それはあちこちに、全く脈絡の無い約束を、し過ぎたことです。
1、民主主義のばらまき
 開戦の前、某黒人女性・・・今から思えばこれがライスか・・・に対するアメリカABC放送のインタビュー。詳しいことは忘れたが、彼女曰く「独裁者を追い出して、弾圧されてきた反フセイン団体や、外国への亡命団体、シーア派、クルド人を含めた民主・平等な会議を開いて、真の民主主義を実現するのです・・・」と言うことらしい。その単純さに、何となく三昔ほど前の左翼原理主義者の主張を思い出してしまった。反フセイン団体も、イスラム原理主義者からイラク共産党まで幅が広い。外国亡命団体も、みんながハリウッド好みの抵抗団体ではない。大概が、フセインとの権力闘争に敗れた元政治家とか軍人。中にはフセインの個人財産や国家資産をネコババして、それがばれて逃げ出したのもいる。クルド人とアラブが同じテーブルにつく訳がない。こういうことも判らないで、それぞれの団体に、フセインを追い出したら、あなた達の権力は「民主主義の名の下にアメリカが保障しますよ」、などという、約束をばらまいたのである。だから、みーんな自分が正しいと主張して、他人の云うことなど聞かない。だから現在のイラク暫定政権など全く機能しない。にも拘わらず、アメリカはこれを支えるために、10数万の兵力をこの先も駐留させざるを得なくなってしまったのである。
2、アメリカ型自由のばらまき
 バグダード陥落後、アメリカ製TシャツにGパン姿の17〜8才ぐらいの少女(結構美人)が、コーラを飲みながら、米兵と戯れる映像がTVに流れた。フセイン時代に禁止されていた、アメリカ型自由がもたらされた、イラク人は解放された、というアメリカ製プロパガンダである。可哀相に、彼女らはその後イスラム勢力により、首を切られて死んでしまっただろう。良くて、アメリカ亡命か。そもそも1300年続いてきたイスラム文明の上に、いきなりアメリカ型消費文明を据え付けようとした性急さ、据えられるだろうと思った楽観主義に問題がある。最も哀れなのは、アメリカ人の勝手な自由のばらまきに騙された、イラクの青少年達である。
3、石油利権のばらまき
 ブッシュ政権は、イラク亡命団体やアメリカ共和党・石油資本に対し、イラクをフセインから解放すれば、イラクの石油利権は反フセイン団体(現在のイラク暫定政権)とアメリカのものになる、という宣伝をしまくって、産業界からのイラク開戦支持を取り付けた。実際はどうか。せっかく石油生産施設、パイプラインを再建しても、イスラム過激派や武装勢力の攻撃にあって、なかなか生産が回復しない。生産が回復しても、警備コストが高くついて採算に合わない。そこで思い付いたのが昨年来の原油価格高騰。石油の値段を思い切って上げてしまえば、警備コストが吸収出来るだろう、というわけだ。しかし、原油が一番上がっている時期は、イラクの石油生産能力は復活しておらず、肝心のイラク政府は儲け損なっている。しかも、逆にイラン、ロシア、ベネズエラなどの反米・非米国家が原油高で大儲け。結局、アメリカの相対的地位が低下する結果を招いてしまった。そして最近原油価格は低下の傾向を強めている。タイミングがずれてしまっている。こんな筈ではなかったのだ。
4、復興支援事業のばらまき
 日本がイラク派兵(自衛隊派遣は国際的に見れば、派兵である)で揉めているときに、ライスがやってきて、「イラク復興事業は協力国に、協力の程度に応じて応分に配分する。日本にとっても有利なビジネスと思う」と宣わった。途端に日本工営の株は急騰。ところが蓋を開けてみると、実態は、ベクテルとかハリバートンとかいったアメリカゼネコン、それもチェイニイー、ライスのひも付き会社の下請けだということが判ったのである。おまけに中間に訳の判らないブローカーが介在する。何のことはない、ブッシュとその仲間だけが儲かって、下請けは儲けを吐き出さされるだけ、という構造になっていることが判ったのである。途端に日本工営株は急落し、もとの株価に戻ってしまった。
5、希望のばらまき
 ブッシュは、戦争前にフセインとその取り巻きを追放すれば、イラクは民主化し、テロリストは退治され、大量破壊兵器も見つかって破壊され、世界は平和になるだろう、と約束した。この中で実現出来たものが、一つでもあるでしょうか?更に、アメリカ人兵士をイラクに派兵するとき、ブッシュは兵士達にどんな約束をしただろう。「早ければ秋には、遅くともクリスマスには諸君は故郷に帰れるだろう」と宣言したのである。実態はどうか?夏にはフセインの息子達が殺された。秋にはフセイン自身が逮捕された。それでイラク戦争が終わったでしょうか。むしろ、その頃からアルカイダのような過激派のイラク潜入、部族勢力の反米武力活動が活発になってきたのである。しかも何時まで経っても大量破壊兵器は見つからない。三年経って、とうとうブッシュも、大量破壊兵器が無かったことを認めざるを得なくなってしまった。しかし、ブッシュは自分の誤りを認めず、今度はイラク内戦を理由に米軍撤退を拒否し続けている。いつの間にか、戦争目的が、対テロからイラク内政問題にすり替わっているのだ。兵士にとって、こんな話では無かったのじゃないか、というのが実態だろう。ただ、彼等は現代アメリカではマイナーな存在なので、軍や政府に反することは言えない。ここがベトナム時代と違う処なのだ。ベトナム時代は、アメリカ社会も格差は大きくなく、いわゆる総中産階級の時代だった。だから、政府の云うことに嘘があれば、みんながクレームを付けることが出来た。しかし、今のように経済格差が広がれば、上部階層は戦争で一儲け出来るが、マイナー階層は政府に反する言動をすれば、そこで生活できなくなる。そこで政府批判をする人間が誰もいなくなり、何時までもだらだらと戦争が続くという訳なのだ。

 さて、筆者は戦争を仕掛けた側にとって、戦争の時間経過に伴って、国民の中に次のような現象が発生すると述べた
1)開戦〜0.5年      援戦・・・・・積極的に戦争を支援する。政府支持率最高。
2)開戦〜1〜2年     継戦・・・・・戦争目的にやや疑問が出てくるが、始めたものは仕方がないので、それを続ける。政府支持率やや低下。
3)開戦後丸2年目以降 厭戦・・・・・戦争が段々うっとおしくなる。部分的に反戦活動が出てくる。政府支持率かなり低下。
4)開戦後丸4年目以降 反戦・・・・・反戦活動が活発化する。政府支持率最悪。
 今やブッシュ政権の支持率は40%を割り、民主党だけじゃなく、肝心の共和党内部からもイラク政策を批判される始末。現在イラク戦争は丸3年を経過している。つまり、アメリカの現状は3)の段階に入っており、おそらく来年には4)のレベルに達するだろう。通常この段階なら、冷静な政府・政治家なら、戦争の終結点について検討を始めているはずだ。ところがブッシュは相変わらずの強気一編道(Stay the coarse)である。最近出版された、シュレーダー元ドイツ首相の著書によれば、ブッシュは神と対話し、その結果で政策を決めているらしい。最早神懸かりの状態である。指導者がこういう状態であれば、冷静客観的なアドバイスは効果を有しない。何故なら、彼は神のお告げで行動するからだ。そして、彼の神は犠牲を要求する。一方もう一人、神懸かり状態ではないかと思われる人物がいる。キムジョンイルである。彼は朝鮮の祖霊と対話しているのかもしれない(朝鮮半島はシャーマニズム勢力が強い)。祖霊神も又、犠牲を要求する。神と対話する人間と祖霊と対話する人間が、ガチンコで勝負すれば、行くとこまで行くしかない。そういえば、ヒトラーも末期には神懸かり状態になっていた。(06/10/25)


混乱の始まり
・・・・何故こうなったかは、ブッシュを始めコイズミもブレアもアベも前原も、中東紛争の歴史を全く勉強していないからである。勉強していないから、横からそれらしい話しを聞かされるとその気になって、ますます深みにはまりこむ。認知症レベルの老人が詐欺師の甘言に乗って、財産を皆はたいてしまうのと同じパターンなのだ。
 まず、現在の対テロ戦争の発端が9.11テロということは、誰でも判る。では9.11テロの原因になったことは何か、と云うとパレステナ問題である。この問題の始まりは古く複雑で、第一次大戦まで行ってしまうのだが、それは別にしても1980年代のレーガン戦略にその遠因がある。それまでの世界は米ソ冷戦という奇妙な対立均衡状態にあった。この状態を一番上手く利用したのが、誰あろう、我が日本国なのである。ところがこのカリフォルニア出身の頭のおかしい元三流西部劇役者が大統領になって、この均衡を潰してしまった。東欧ソ連崩壊である。社会主義体制は崩壊したが、その変わり台頭してきたのが、欧州各国の右傾化と個別民族主義である。その標的になったのが、東欧旧ソ連地区のユダヤ人。同じ頃、東アフリカでもスーダン、ソマリアにイスラム原理主義政権が誕生し、アフリカ系ユダヤ人に対する迫害が始まった。
 これに対し、イスラエル政府は、紛争地域のユダヤ人、ユダヤ教徒に対しパレステナ帰還運動を始めた。その結果、イスラエルの人口が急速に増加した。問題は急増した新イスラエル人を何処に住まわせるか、である。これに対し、イスラエル政府はこれまでパレステナ人地区との緩衝地帯だった非武装地区への入植を始めた。当然パレステナ人側からの反発を買い、自爆テロを含む報復が始まる(いわゆるインテファーダ。第6次中東戦争とも呼ばれる)。
 これに対しイスラエルはパレステナ人地区への軍事侵攻で答える。いわゆる報復の連鎖である。これはクリントン政権が仲介に立って、一旦和平が実現する(オスロ合意)。ところが、イスラエルのネタニエフ首相がユダヤ教極右のテロに倒れ、あとを襲ったシャロンが強硬派だったから、和平合意は元の木阿弥。おまけに01年アメリカ大統領になったG.W.ブッシュはパレステナ問題に無関心。おまけに「イスラエル人にも生きる権利がある」とか、「シャロンは平和の人」などと、無神経なことを放言するものだから、パレステナ人やアラブ人(特にイスラム原理主義者)の反発を買ってしまった。これが9.11の原因なのである。その原因はこれまで民主党に奪われっぱなしだった大統領を取り返すために、ユダヤ票が欲しかっただけである。
 それから先はボタンの掛け違いの連続。つまり現在の対テロ戦争は、ブッシュが自ら撒いた種なのである。ブッシュはイスラエルというちっぽけな国に拘り、ユダヤ人と宗教右派の票が欲しいばっかりに、パレステナという狭い地域に限定しておけば解決出来る問題を、イスラム対欧米という解決不可能な国際問題に拡大してしまった。これがそもそもの間違いである。更に問題は、今の世界に、ブッシュに対し以上のことを直言出来る人材がいないことである。


 RETURN    一覧へ    TOPへ